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特許拒絶査定不服審判

2024-020512

情報処理装置

審判番号
2024-020512
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-121854
請求日
2024年12月23日
審決日
2025年07月17日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】山口 松之進
  • 【請求人代理人】齋藤 拓也
  • 【請求人代理人】菅沼 和弘
審判長/審判官
  • 審判長 松田 直也
  • 審判官 田川 泰宏
  • 審判官 岡北 有平
分類
P18 .113-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-121854「情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年10月 2日出願公開、特開2023-138576〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月18日に出願した特願2019-50160号の一部を令和5年7月26日に新たな出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和5年10月12日 手続補正書の提出 令和6年 5月15日付 拒絶理由通知 令和6年 7月22日 意見書・手続補正書の提出 令和6年 9月13日付 拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和6年12月23日 審判請求書の提出 第2 本願発明について 本願の請求項1ないし3に係る発明は、令和6年7月22日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷予測情報として受け付ける出荷予測受付手段と、 前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立して、前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物の夫々の出荷確定の前のタイミングまで、前記1以上の生産物のうち少なくとも一部を使用する1以上の使用者の夫々による、当該生産物の使用の予測を示す情報を、使用予測情報として受け付ける使用予測受付手段と、 前記出荷確定の後のタイミングに、前記1以上の生産者の夫々により生産され、出荷できることが確定した1以上の前記生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷確定情報として受け付ける出荷確定受付手段と、 を備える情報処理装置。」 第3 原査定の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 1.(新規性)この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1または2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1または2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特開2011-008546号公報 引用文献2.特開2001-195513号公報 ●理由1(第29条第1項第3号)、理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1~3 ・引用文献等 1 ・請求項 1~3 ・引用文献等 2 第4 引用文献について 1 引用文献2に記載されている事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前であるに平成13年7月19日に出願公開された特開2001-195513号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている(なお、下線は、当審で付与した。以下同じ。)。 「【0043】 【実施例】以下本発明の一実施例について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例による電子商取引システムの概念構成図である。この電子商取引システムは、農作物等の取引情報を送信する情報通信手段又は放送通信手段を備えた生産側システム1A、1B、1Cと、消費者ニーズ情報や購入希望情報等の取引情報を送信する情報通信手段を備えた購入側システム2A、2B、2Cと、生産側システム1A、1B、1C及び購入側システム2A、2B、2Cと情報を送受信可能な情報通信手段を備えた情報交換センター側システム3と、情報交換センター側システムと情報を送受信可能な情報通信手段を備えた配送側システム4とから構成されている。・・・(途中省略)・・・ 【0044】生産側システム1A、1B、1Cは、生産農家自体、これら生産農家の集合体である農村地域の団体や法人、又は出荷団体や出荷者等において構築されるシステムであり、農作物等の農作物等に関する情報の発信源として位置づけられるものである。なお、農作物以外でも畜産物や養殖による水産物等にも適用可能である。生産側システム1A、1B、1Cから発信される情報としては、生産者名、生産地、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報である。その他商品属性情報としては、農作物等の品種名、品位、サイズや重量、価格、ロット数、その他鮮度データや含有栄養素データ等がある。また、生産者情報、過去の実績データ、小ロット生産品、手作り野菜などの自家野菜、特産品、規格外品等の情報や、農法や生産者自身の「こだわり」等も含めた栽培方法に関する情報、又は土、水、若しくは空気等の野菜を育む自然環境に関する情報も有効である。その他、生産側システム1A、1B、1Cからは、受注希望品、受注希望価格、受注希望量、収穫希望日又は出荷希望日等を発信する場合もある。生産側システム1A、1B、1Cは、独自に商品情報管理システムや商品出荷管理システム、生産者管理システム等を備えていることが好ましい。 【0045】購入側システム2A、2B、2Cは、小売業者において構築されるシステムであり、基本的には取引を行いたい商品の取引条件に関する情報、消費者ニーズ情報、及び小売業等としての中・長期商品戦略情報の発信源として位置づけられるものである。なお、購入者としては、小売業者の他、レストラン等の外食産業業者や小料理屋、居酒屋、惣菜若しくは弁当等の加工食材販売業者、又はそれぞれの取引ニーズをまとめる購入者等が利用することができる。ここで取引条件に関する情報としては、基本的には購入希望商品、購入希望価格、購入希望量、納入や納入希望日に関する情報等がある。また、取引条件に関する情報として、農作物等の品種名、サイズや重量、品位、ロット数、生産者名や商品属性情報の少なくとも一部を含む場合もある。消費者ニーズ情報、及び小売業等としての中・長期商品戦略情報としては、小ロット生産品、手作り野菜などの自家野菜、特産品、規格外品等の情報や、農法や生産者自身の「こだわり」等も含めた栽培方法に関する情報や商品属性情報がある。 【0046】情報交換センター側システム3は、生産側システム1A、1B、1Cから送信された農作物等の取引情報を管理する生産側取引データベース3Aと、購入側システム2A、2B、2Cから送信された消費者ニーズ情報や購入希望情報等の取引情報を管理する購入側取引データベース3Bとを備えている。ここで、情報交換センター側システム3は、生産農家や小売業者等ではない第三者的な独自の運営管理者において構築、運用されるシステムである。この運用は、生産農家や小売業者の取引を活性化させたり、新しいビジネスを起こす基盤を提供する役割をビジネスとして行うプラットホームビジネスとして行う。ただし、情報交換センター側システム3は、例えば、生産側システム1A、1B、1Cを各農家自体に導入したときには、産地集荷市場、産地集荷業者、又は農協や組合等の出荷団体において運営されるものであってもよく、一方、例えば、購入側システム2A、2B、2Cを各支店や各店舗に導入したときには、本店や統括店舗において運営されるものであってもよい。この情報交換センター側システム3は、基本的には、生産者又は購入者からの取引情報のエントリーに始まり、取引の成立と完了に至るまでのシステムを備えている。より具体的には、生産者、購入者及び物流業者の会員管理システム、取引予定情報の収集(受付)と配信システム、生産者又は購入者からのエントリー情報の受付・配信システム、生産者又は購入者の取引希望内容の受付・配信システム、取引管理システム、取引結果表示・通知システム、配送依頼情報送信システム、配送スケジュールの受信・通知システム、及び代金決済システムを備えていることが好ましい。・・・(以降省略)」 「【0048】(実施例1)本実施例について図2を用いて説明する。まず、第1のステップとして、生産側システムにおいて、生産者が、生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等の取引エントリー情報を入力して送信する(X11)。そして、送信された情報は、情報交換センター側システムのデータベースに登録される(Y11)。この取引エントリー情報の登録は、例えば月1回、毎月20日まで、又は四半期ごと週1回程度で行う。次に、第2のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、取引エントリー情報の少なくても一部を事前取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供する(Y12)。このように、購入者は、農作物等について本取引前に情報を得ることができるため、消費者に対して早い段階で宣伝ができると共に、消費者ニーズに合わせて農作物等を発注することができる。次に、第3のステップとして、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された事前取引情報に対する発注エントリー情報を入力して送信する(Z11)。このとき、発注エントリー情報として、購入希望商品、購入希望量、購入希望価格、納入希望日時等を入力する。この発注エントリー情報は、情報交換センター側システムのデータベースに登録される(Y13)。なお、この発注エントリー情報を出した者が基本的に取引権を獲得できるものとする。次に、第4のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、発注エントリー情報の少なくても一部を発注予測情報として生産側システムにて閲覧可能に提供する(Y14)。この発注予測情報は、第1のステップの後、所定日数以内までに行う。このように、生産者においても、栽培段階で購入者の発注エントリー情報を得られるため、生産量や収穫時期を変更したり、販売先を事前に調整することができる。次に、第5のステップとして、生産側システムにおいて、本取引情報を送信し(X12)、情報交換センター側システムのデータベースに登録する(Y15)。ここで、本取引情報は、基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報である。従って、例えば出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力し、その他変更ない情報については再度入力する作業を省略することで情報の登録の作業を軽減できる。次に、第6のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、本取引情報の少なくても一部を取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供する(Y16)。次に、第7のステップとして、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された取引情報に対する発注情報を送信し(Z12)、取引成立情報として情報交換センター側システムのデータベースに登録する(Y7)。セリ取引は、締め切り時間を過ぎた時点で最も高値付けをした購入者に落札させて取引を成立させる。また、同値の場合は、時間的に早く入札した方に落札させる。なお、生産者の意思において相対取引を成立させることもできる。セリ取引と相対取引の組み合わせにより、例えば相対取引で成立しなかった対象物を競り取引の対象とすることで、常に取引成約率を高水準に維持させる機能を有する。そして取引が成立した案件について、取引日、発注購入者名、受注生産者名、取引品目、取引量(ロット数)、取引価格、納入日時等に関する情報を取引データとしてデーターベースに登録する。一方、セリ取引の他の方法として、ある一定時間内に競ってもらい、最も高値付けをした購入者に落札させて取引を成立させる方法でも良い。なお、第6のステップにおいて提供される情報を取引情報とし、第7のステップでは、この取引情報に対する発注情報を送信するとして説明したが、必ずしも取引が行われる必要はない。従って、取引情報は、生産者における受注予測情報であってもよく、購入者からの発注情報は、この受注予測情報に対する最終的な発注を確認する本取引情報であってもよい。また、取引が行われる場合であっても、実質的な取引は第3のステップで行われ、第7のステップでは、受注予測情報に対する最終的な発注を確認する本取引情報を送信するものであってもよい。次に、第8のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、取引成立情報の少なくても一部を閲覧可能に提供する(Y8)。取引情報の内容は、取引が成立した案件について、当該生産者と当該購入者に通知される。なお、通知を受けた当該生産者と当該購入者は、取引内容について確認し、確認済みの内容を情報交換センター側システムに送信する。ここで、取引成立情報は、必ずしも取引成立情報に限るものではなく、取引の不成立情報を含むものであってもよく、また不成立情報だけの場合であってもよい。以下の実施例においても同様である。」 「【0049】(実施例2)本実施例について図3を用いて説明する。まず、第1のステップとして、購入側システムにおいて、消費者ニーズ情報や購入希望情報等の取引エントリー情報を入力して送信する(Z21)。そして、送信された情報は、情報交換センター側システムのデータベースに登録される(Y21)。次に、第2のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、取引エントリー情報の少なくても一部を事前取引情報として生産側システムにて閲覧可能に提供する(Y22)。このように、生産者は、あらかじめ消費者ニーズや購入希望情報等を得ることができるため、消費者ニーズに合わせて農作物の品目や、生産量、又は収穫時期を変更したり、販売先を事前に調整することができる。次に、第3のステップとして、生産側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された事前取引情報に対する受注エントリー情報を入力して送信する(X21)。このとき、受注エントリー情報として、受注希望商品、受注希望量、受注希望価格、収穫又は出荷希望日時等を入力する。この受注エントリー情報は、情報交換センター側システムのデータベースに登録される(Y23)。なお、この受注エントリー情報を出した者が基本的に取引権を獲得できるものとする。次に、第4のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、受注エントリー情報の少なくても一部を受注予測情報として購入側システムにて閲覧可能に提供する(Y24)。この受注予測情報は、第1のステップの後、所定日数以内に行う。このように、小売業者等の購入者は、あらかじめ提供した消費者ニーズにあった生産者の受注予測情報を得ることができるため、消費者に対して的確・迅速に宣伝ができると共に、消費者ニーズに合わせた農作物等を提供することができる。次に、第5のステップとして、購入側システムにおいて、本取引情報を送信し(Z22)、情報交換センター側システムのデータベースに登録する(Y25)。ここで、本取引情報は、基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報である。従って、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力し、その他変更ない情報については再度入力する作業を省略することで情報の登録の作業を軽減できる。なお、ここでの作業を行いやすくするために、例えば第4ステップの受注予測情報を取引エントリー情報と併記し分かりやすく表示する。次に、第6のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、本取引情報の少なくても一部を発注取引情報として生産側システムにて閲覧可能に提供する(Y26)。次に、第7のステップとして、生産側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された発注取引情報に対する受注情報を送信し(X22)、取引成立情報として情報交換センター側システムのデータベースに登録する(Y7)。なお、第6のステップにおいて提供される情報を発注取引情報とし、第7のステップでは、この発注取引情報に対する受注情報を送信するとして説明したが、上記実施例で示したような取引が行われる形態であってもよい。従って、発注取引情報は、購入者における取引情報であってもよい。また、取引が行われる場合であっても、実質的な取引は第3のステップで行われ、第7のステップでは、発注予測情報に対する最終的な受注を確認する本取引情報を送信するものであってもよい。次に、第8のステップとして、情報交換センター側システムにおいて、取引成立情報の少なくても一部を閲覧可能に提供する(Y8)。取引情報の内容は、取引が成立した案件について、当該生産者と当該購入者に通知される。なお、通知を受けた当該生産者と当該購入者は、取引内容について確認し、確認済みの内容を情報交換センター側システムに送信する。」 2 引用文献2に記載されているといえる事項 (1)段落【0043】の記載事項を踏まえると、引用文献2には、「電子商取引システムは、農作物等の取引情報を送信する情報通信手段を備えた生産側システムと、消費者ニーズ情報や購入希望情報等の取引情報を送信する情報通信手段を備えた購入側システムと、生産側システム及び購入側システムと情報を送受信可能な情報通信手段を備えた情報交換センター側システムを備えた電子商取引システム」との事項が記載されているといえる。 (2)段落【0045】の記載事項を踏まえると、引用文献2には、「購入側システムは、小売業者において構築されるシステムであって、購入者としては、小売業者の他、レストラン等の外食産業業者や小料理屋、居酒屋、惣菜若しくは弁当等の加工食材販売業者、又はそれぞれの取引ニーズをまとめる購入者等が利用することができる」ことが記載されているといえる。 (3)段落【0048】の記載事項を踏まえると、引用文献2には、以下の事項が記載されているといえる。 ア 「まず、生産側システムにおいて、生産者が、生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等の取引エントリー情報を入力して送信し、送信された情報を、情報交換センター側システムのデータベースに登録し、情報センター側システムにおいて、取引エントリー情報の少なくても一部を事前取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供する」 イ 「次に、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された事前取引情報に対して、購入者の発注エントリー情報として購入希望商品、購入希望量、購入希望価格、納入希望日時等を入力して送信し、発注エントリー情報を、情報交換センター側システムのデータベースに登録し、情報交換センター側システムにおいて、発注エントリー情報の少なくても一部を発注予測情報として生産側システムにて閲覧可能に提供する」 ウ 「次に、生産側システムにおいて、本取引情報を送信し、情報交換センター側システムのデータベースに登録し、本取引情報は、基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報であり、出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力する」 エ 「次に、情報交換センター側システムにおいて、本取引情報の少なくても一部を取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供する」 オ 「次に、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された取引情報に対する発注情報を送信し、取引成立情報として情報交換センター側システムのデータベースに登録する」 3 引用発明 上記1及び2より、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「農作物等の取引情報を送信する情報通信手段を備えた生産側システムと、消費者ニーズ情報や購入希望情報等の取引情報を送信する情報通信手段を備えた購入側システムと、生産側システム及び購入側システムと情報を送受信可能な情報通信手段を備えた情報交換センター側システムを備えた電子商取引システムにおける情報交換センター側システムであって(上記2(1))、 購入側システムは、小売業者において構築されるシステムであって、購入者としては、小売業者の他、レストラン等の外食産業業者や小料理屋、居酒屋、惣菜若しくは弁当等の加工食材販売業者、又はそれぞれの取引ニーズをまとめる購入者等が利用することができ(上記2(2))、 まず、生産側システムにおいて、生産者が、生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等の取引エントリー情報を入力して送信し、送信された情報を、情報交換センター側システムのデータベースに登録し、情報センター側システムにおいて、取引エントリー情報の少なくても一部を事前取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供し(上記2(3)ア)、 次に、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された事前取引情報に対して、購入者の発注エントリー情報として購入希望商品、購入希望量、購入希望価格、納入希望日時等を入力して送信し、発注エントリー情報を、情報交換センター側システムのデータベースに登録し、情報交換センター側システムにおいて、発注エントリー情報の少なくても一部を発注予測情報として生産側システムにて閲覧可能に提供し(上記2(3)イ)、 次に、生産側システムにおいて、本取引情報を送信し、情報交換センター側システムのデータベースに登録し、 本取引情報は、基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報であり、出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力するものであり(上記2(3)ウ)、 次に、情報交換センター側システムにおいて、本取引情報の少なくても一部を取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供し(上記2(3)エ)、 次に、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された取引情報に対する発注情報を送信し、取引成立情報として情報交換センター側システムのデータベースに登録する(上記2(3)オ)、 情報交換センター側システム。」 4 技術的事項1 段落【0049】の記載事項を踏まえると、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「技術的事項1」という。)が記載されているといえる。 「まず、購入側システムにおいて、消費者ニーズ情報や購入希望情報等の取引エントリー情報を入力して送信し、 次に、生産側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された事前取引情報に対する受注エントリー情報を入力して送信すること。」 第5 当審の判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)本願発明の「1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷予測情報として受け付ける出荷予測受付手段」について 引用発明は、生産者側システムにおいて、生産者が、「生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等」を「取引エントリー情報」として入力するものであって、「出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力」したものを「本取引情報」とすることができるものである。そして、引用発明は、生産者側システムから送信された「取引エントリー情報」を「情報交換センター側システムのデータベースに登録」するものである。 そうすると、引用発明の「生産者」は、本願発明の「生産者」に相当し、引用発明の「農作物等の種類」で特定されるものは、本願発明の「生産物」に相当する。そして、引用発明の「取引エントリー情報」として登録される「出荷予定量」等は、「生産者名」、「農作物等の種類」等で特定される農作物の出荷予定量等であって、取引エントリーの情報時と異なる内容となった場合には修正できる情報である。さらに、引用発明の「生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等」は、1以上の生産者についての情報であることは明らかであり、農作物や出荷予定量等は生産者によって異なることが多いことは明らかであるから、本願発明の「1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報」に相当する。 したがって、引用発明の、生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等の「取引エントリー情報」は、本願発明の「1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報」である「出荷予測情報」に相当する。 そして、引用発明の「情報交換センター側システム」は、生産側システムから送信された「取引エントリー情報」を情報交換センター側システムのデータベースに登録するものであるところ、「取引エントリー情報」を登録することは、情報交換センター側システムが生産側システムからの「取引エントリー情報」を受け付けることといえるから、当該機能は、本願発明の「出荷情報として受け付ける」機能に相当する。 してみると、引用発明の「情報交換センター側システム」が備える生産側システムからの「取引エントリー情報」を受け付ける機能を実現する手段は、本願発明の「1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷予測情報として受け付ける出荷予測受付手段」に相当する。 (2)本願発明の「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立して、前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物の夫々の出荷確定の前のタイミングまで、前記1以上の生産物のうち少なくとも一部を使用する1以上の使用者の夫々による、当該生産物の使用の予測を示す情報を、使用予測情報として受け付ける使用予測受付手段」について ア 本願発明の「出荷確定の前のタイミング」の技術的意味について確認する。 (ア)本願の発明の詳細な説明には次の記載がある。 「【0013】 本サービスは、出荷される野菜の種類、量、及び出荷のタイミングが、生産者Pによって確定される前と後との2段階にわたって提供されるサービスである。以下、出荷される野菜の種類、量、及び出荷のタイミングが、生産者Pによって確定されることを「出荷内容が確定する」、又は「出荷内容確定」と表現する。 即ち、野菜は、出荷する日の早朝に収穫してそのまま出荷することが多いため、天候や温度といったその日の状況が生育に影響を与える。その結果、出荷可能な野菜の種類、量、出荷のタイミングについては、その日の朝になってみなければ確定できないことが多い。 そこで、本サービスは、出荷内容確定前と、出荷内容確定後との2段階に分けて提供される。 ただし、出荷内容確定前のサービスは、本サービスにとって必須ではなく、適宜省略されてもよい。」 「【0020】 (出荷内容確定後) 出荷内容が確定した後は、ステップSS7において、生産者Pは、サービス提供者Mに対し、出荷可能な野菜の品種、品質(例えば大きさや出来具合)、数量、価格、撮像画像、出荷可能なタイミング等を含む、生産した野菜に関する情報を提供する。具体的には例えば、生産者Pは、「トマト(大)を100個○○円で本日の朝8:00頃出荷できる」といった文字情報と、撮像画像とをサービス提供者Mに提供する。 ここで、サービス提供者Mは、出荷確定情報を取得するタイミングを固定してもよい。例えば、毎日午前7:00の時点における出荷確定情報を一斉に取得するようにしてもよい。 【0021】 ステップSS8において、サービス提供者Mは、生産者Pから提供された情報を、出荷確定情報として取得する。 ステップSS9において、サービス提供者Mは、取得した出荷確定情報をレストランRに提供する。 ここで、出荷確定情報がレストランRに提供されるタイミングは、サービス提供者Mにより任意に決定される。サービス提供者Mは、出荷確定情報を提示するタイミングを固定してもよい。例えば、毎日午前7:30の時点で出荷確定情報を一斉に公開するようにしてもよい。」 「【0039】 確定前処理とは、出荷内容が確定する前に、サーバ1により実行される処理であり、レストランRからの事前予約と、生産者Pからの出荷予測情報とを受け付ける処理、及びこれに関連する処理のことをいう。 【0040】 確定後処理とは、出荷内容が確定した後に、サーバ1により実行される処理であり、レストランRからの注文情報と、生産者Pからの出荷確定情報とを受け付ける処理、及びこれに関連する処理のことをいう。」 (イ)このように、本願発明の「出荷確定の前タイミング」とは、発明の詳細な説明の「出荷内容が確定する前」であって、出荷確定情報を受け付けておらず、レストランRからの事前予約を受け付けることができるタイミングであると解釈される。 イ 引用発明は、「購入側システムは、小売業者において構築されるシステムであって、購入者としては、小売業者の他、レストラン等の外食産業業者や小料理屋、居酒屋、惣菜若しくは弁当等の加工食材販売業者、又はそれぞれの取引ニーズをまとめる購入者等が利用することができ」るものである。 そうすると、引用発明の「購入側システム」は、小売業者の他、レストラン等の外食産業業者や小料理屋、居酒屋、惣菜若しくは弁当等の加工食材販売業者、又はそれぞれの取引ニーズをまとめる購入者等が利用することができるシステムであって、複数の購入者によって使用されることは明らかであるから、引用発明の「購入者」は、本願発明の「1以上の使用者」に相当する。 ウ また、引用発明は、「購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された事前取引情報に対して、購入者の発注エントリー情報として購入希望商品、購入希望量、購入希望価格、納入希望日時等を入力して送信し、発注エントリー情報を、情報交換センター側システムのデータベースに登録」し、「次に、生産側システムにおいて、本取引情報を送信し、情報交換センター側システムのデータベースに登録し」、「本取引情報は、基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報であり、出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力する」ものであり、「次に、情報交換センター側システムにおいて、本取引情報の少なくても一部を取引情報として購入側システムにて閲覧可能に提供し」、「次に、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された取引情報に対する発注情報を送信し、取引成立情報として情報交換センター側システムのデータベースに登録する」ものである。 そうすると、引用発明の「購入希望商品」は、上記イを踏まえると、生産側システムにおいて登録されたものを、レストラン等の外食産業業者や小料理屋、居酒屋、惣菜若しくは弁当等の加工食材販売業者、又はそれぞれの取引ニーズをまとめる購入者等がこれから使用するためのものであるといえるから、本願発明の「1以上の使用者の夫々」が「使用する」「前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物」「のうち少なくとも一部」に相当し、引用発明の「購入希望商品、購入希望量、購入希望価格、納入希望日時等」の「発注エントリー情報」は、本願発明の「前記1以上の生産物のうち少なくとも一部を使用する1以上の使用者の夫々による、当該生産物の使用の予測を示す情報」である「使用予測情報」に相当する。 さらに、引用発明において、「本取引情報」は、出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものが修正入力されるものであり、「本取引情報」が情報交換センター側システムに送信されデータベースに登録されると、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された本取引情報に対する発注情報を送信することができるものであるから、引用発明の「本取引情報」が入力されるタイミングは、上記ア(イ)を踏まえると、本願発明の「出荷確定」している「タイミング」に相当する。 そして、引用発明は、「本取引情報」が情報交換センター側システムに送信されるよりも前においては、購入側システムにおいて、発注エントリー情報の入力を行うことができるものであるから、引用発明において、「生産側システムにおいて、本取引情報を送信し、情報交換センター側システムのデータベースに登録」することよりも前に行われる、購入者側システムからの発注エントリー情報の入力は、上記ア(イ)を踏まえると、本願発明の「前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物の夫々の出荷確定の前のタイミングまで」に行われることに相当する。 そして、引用発明の「情報交換センター側システム」は、購入側システムから送信された「発注エントリー情報」を情報交換センター側システムのデータベースに登録するものであるところ、「発注エントリー情報」を登録することは、情報交換センター側システムが、生産側システムからの「発注エントリー情報」を受け付けることといえるから、当該機能は、本願発明の「使用予測情報として受け付ける」機能に相当する。 エ してみると、引用発明の「情報交換センター側システム」の上記「発注エントリー情報」を受け付ける機能を実現する手段は、本願発明の「使用予測受付手段」と、「前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物の夫々の出荷確定の前のタイミングまで、前記1以上の生産物のうち少なくとも一部を使用する1以上の使用者の夫々による、当該生産物の使用の予測を示す情報を、使用予測情報として受け付ける使用予測受付手段」との点で共通する一方、以下の点で両者は相違する。 本願発明は、使用予測情報を受け付けることが、「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立」したものであるのに対し、引用発明は、「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立」したものであるか判然としない点。 (3)本願発明の「前記出荷確定の後のタイミングに、前記1以上の生産者の夫々により生産され、出荷できることが確定した1以上の前記生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷確定情報として受け付ける出荷確定受付手段」について 引用発明の「本取引情報」は「基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報」であるから、「生産者名、農作物等の種類、品位、サイズ、収穫若しくは出荷予定量、収穫若しくは出荷予定日、又はその他商品属性情報等」の情報を含むこと、上記(2)イのとおり「本取引情報の入力」が、「出荷確定しているタイミング」に行われるものであり、その後、購入側システムにおいて、情報交換センター側システムにて閲覧可能に提供された本取引情報に対する発注情報を送信することができることを踏まえると、「本取引情報」は、本願発明の「前記1以上の生産者の夫々により生産され、出荷できることが確定した1以上の前記生産物の夫々の内容を示す情報」である「出荷確定情報」に相当する。 加えて、引用発明の「情報交換センター側システム」は、生産側システムから送信された「本取引情報」を情報交換センター側システムのデータベースに登録するものであるところ、「本取引情報」を登録することは、情報交換センター側システムが生産側システムからの「本取引情報」を受け付けることといえるから、当該機能は、本願発明の「出荷確定情報として受け付ける」機能に相当する。 してみると、引用発明の「情報交換センター側システム」の「本取引情報」を受け付ける機能を実現する手段は、本願発明の「前記出荷確定の後のタイミングに、前記1以上の生産者の夫々により生産され、出荷できることが確定した1以上の前記生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷確定情報として受け付ける出荷確定受付手段」に相当する。 (4)本願発明の「情報処理装置」について 引用発明の「情報交換センター側システム」は、上記(1)~(3)の機能を実現する手段を備える点で、後述する相違点は別にして、本願発明の「情報処理装置」に相当する。 2 一致点及び相違点 上記「1 対比」で検討したことを踏まえると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。 (一致点) 「1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷予測情報として受け付ける出荷予測受付手段と、 前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物の夫々の出荷確定の前のタイミングまで、前記1以上の生産物のうち少なくとも一部を使用する1以上の使用者の夫々による、当該生産物の使用の予測を示す情報を、使用予測情報として受け付ける使用予測受付手段と、 前記出荷確定の後のタイミングに、前記1以上の生産者の夫々により生産され、出荷できることが確定した1以上の前記生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷確定情報として受け付ける出荷確定受付手段と、 を備える情報処理装置。」 (相違点1) 本願発明は、使用予測情報を受け付けることが、「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立」したものであるのに対し、引用発明は、「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立」したものであるか判然としない点。 3 判断 (1)相違点1について 相違点1について検討する。 ア 本願発明の「出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立」との技術的意義について検討をする。 本願発明の「使用予測受付手段」における「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立して・・・当該生産物の使用の予測を示す情報を、使用予測情報として受け付ける」との特定について、本願明細書には「独立」という用語は用いられていないものの、段落【0018】の「なお、ステップSS1乃至SS3と、ステップSS4乃至SS6とは順番が逆であってもよい。つまり、レストランRは、出荷予測情報が提供される前に、自らの発案に基づいて料理の内容を決めることもできるし、提供された出荷予測情報を参考にしながら料理の内容を決めることもできる。また、生産者Pは、出荷可能と予測される野菜の種類、量、及び出荷のタイミングを決める際に、提供された事前予約の内容を参考にすることもできるし、自らの判断に基づいて、出荷可能と予測される野菜の種類、量、及び出荷のタイミングを決めることもできる。」との記載を参酌すると、本願発明の「出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立」とは、「出荷予測情報」の受け付けのタイミングと、「使用予測情報」の受け付けのタイミングについては、どちらが先でもよいということを示しているものと解される。 イ 上記アを踏まえて相違点1を検討する。 引用文献2には、上記「第4」の1(4)のとおりの技術的事項1が記載されている。 そして、引用発明は「生産側システムから取引エントリー情報が入力された後に、購入側システムから発注エントリー情報が入力されるもの」であり、それにより、引用文献2の段落【0048】に記載されているように「購入者は、農作物等について本取引前に情報を得ることができるため、消費者に対して早い段階で宣伝ができると共に、消費者ニーズに合わせて農作物等を発注することができる。」との効果を奏するものである。 一方、引用文献2の段落【0049】には、技術的事項1より、「生産者は、あらかじめ消費者ニーズや購入希望情報等を得ることができるため、消費者ニーズに合わせて農作物の品目や、生産量、又は収穫時期を変更したり、販売先を事前に調整することができる。」との効果を奏することが記載されている。 そうすると、引用発明において、「生産者は、あらかじめ消費者ニーズや購入希望情報等を得ることができるため、消費者ニーズに合わせて農作物の品目や、生産量、又は収穫時期を変更したり、販売先を事前に調整することができる。」との効果を奏するために、技術的事項1のように「購入側システムから発注エントリー情報が入力された後に、生産側システムから取引エントリー情報が入力される」構成も採用可能とすること、すなわち、「取引エントリー情報」の入力のタイミングと、「発注エントリー情報」の入力のタイミングを、得られる効果に基づいて適宜設計できるものとし、相違点1に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 (2)効果について 本願発明の奏する作用効果は、上記相違点1を勘案しても、引用発明による作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものではない。 (3)請求人の主張について 請求人は、令和6年12月23日提出の審判請求書において、以下のとおり主張している。 「請求項1に係る本願発明は、技術的特徴(A)及び(B)を有しています。 即ち、請求項1に係る本願発明は、「1以上の生産者の夫々により生産され、出荷することができると予測される1以上の生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷予測情報として受け付け」ます(技術的特徴(A))。 また、請求項1に係る本願発明は、「前記1以上の生産者の夫々による前記出荷予測情報の受け付けのタイミングとは独立して、前記1以上の生産者の夫々による前記1以上の生産物の夫々の出荷確定の前のタイミングまで、前記1以上の生産物のうち少なくとも一部を使用する1以上の使用者の夫々による、当該生産物の使用の予測を示す情報を、使用予測情報として受け付け」ます(技術的特徴(B))。 これにより、請求項1に係る本願発明は、本願の当初明細書の段落[0018]に記載の効果を奏します。即ち使用者(例えばレストランR)は、出荷予測情報が提供される前に、自らの発案に基づいて使用内容(例えば料理の内容)をきめることもできるし、提供された出荷予測情報を参考にしながら使用内容(例えば料理の内容)をきめることもできるようになります。また、生産者は、出荷可能と予測される生産物(例えば野菜)の種類・量・出荷タイミングを決める際に、提供された使用者予測情報を参考にすることもできるし、自らの判断に基づいて出荷可能と予測される生産物(例えば野菜)の種類・量・出荷タイミングを決めることもできます。 このような効果を、請求項1に係る本願発明は奏することができます。 上述の効果を換言すると、生産者側の出荷予測を見た後でしか使用予測(注文等)をすることしかできないという課題が存在するところ、請求項1に係る本願発明は、生産者側の予測タイミングとは独立して出荷確定前の所定タイミングまで、使用者予測をすることができるという効果を奏するのです。 これに対して、引用文献1及び2の何れにも、生産者側の予測タイミングとは独立して出荷確定前の所定タイミングまで、使用者予測をすることができるようにするという課題についてすら開示されていません。即ち、引用文献1及び2には、単に、生産者側の出荷予測を見た後に、使用予測(注文等)をすることが単に開示されているだけです。 したがって、当然ながら当該課題の解決策たる技術的特徴(A)及び(B)については開示は勿論示唆もされていません。 よって、たとえ引用文献1及び2に記載の各発明をたとえ組み合わせたとしても上述の効果を奏することはできません。」と主張する。 上記主張について検討する。 本願発明は、情報処理装置が、出荷予測情報として受け付けること、使用予測情報として受け付けること、出荷できることが確定した1以上の前記生産物の夫々の内容を示す情報を、出荷確定情報として受け付けることが特定されているものの、本願発明において、「提供された使用者予測情報を参考にすることもできる」との効果を奏するための構成は特定されていないため、当該効果は本願発明の記載に基づくものではなく、また、本願発明の「自らの判断に基づいて出荷可能と予測される生産物(例えば野菜)の種類・量・出荷タイミングを決める」との効果については、引用発明は「本取引情報は、基本的には取引エントリー情報と同じ項目についての情報であり、出荷予定量等、取引エントリーの情報時と異なる内容となったものだけを修正入力する」ことができることから、引用発明においても同様の効果を奏するものであって、格別なものでもない。 念のため付言すると、上記2で検討したとおり、相違点1を除いて、引用発明には、技術的特徴(A)、(B)に対応する事項が記載されている。 そして、相違点1については上記3(1)で検討したとおり当業者が容易に想到することができたものであり、請求人が主張する「即ち使用者(例えばレストランR)は、出荷予測情報が提供される前に、自らの発案に基づいて使用内容(例えば料理の内容)をきめることもできるし、提供された出荷予測情報を参考にしながら使用内容(例えば料理の内容)をきめることもできるようになります。また、生産者は、出荷可能と予測される生産物(例えば野菜)の種類・量・出荷タイミングを決める際に、提供された使用者予測情報を参考にすることもできるし、自らの判断に基づいて出荷可能と予測される生産物(例えば野菜)の種類・量・出荷タイミングを決めることもできます。」との効果についても、上記(1)イのとおり、引用文献2の段落【0048】~【0049】に開示されている効果である。 よって、請求人の主張は、採用できない。 4 小括 よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、原査定で引用された引用文献1について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-020512

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