特許拒絶査定不服審判
2024-018434
非接触スイッチ
- 審判番号
- 2024-018434
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-157725
- 請求日
- 2024年11月19日
- 審決日
- 2025年12月22日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】オムロン株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】河野 努
- 【請求人代理人】南山 知広
- 審判長/審判官
- 審判長 石井 孝明
- 審判官 山田 由希子
- 審判官 岩瀬 昌治
- 分類
- P18 .121-WY (H01H) / P18 .55 -WY (H01H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-157725「非接触スイッチ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月31日出願公開、特開2022- 51309、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
本願は、令和2年9月18日の出願であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和6年 3月18日付け 拒絶理由通知書
令和6年 7月23日 意見書の提出
令和6年 8月 8日付け 拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和6年11月19日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年11月19日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「第1の光源と、
背面側に配置された操作入力を受け付ける位置を示すパターンを正面側から視認可能であり、かつ、前記第1の光源から発した光により前記位置を示す立体像を表示可能な立体表示部と、
発光色を変更可能な照明光を発する第2の光源と、
前記立体表示部の背面側に配置され、前記第2の光源から発した照明光を前記立体表示部の側へ向ける導光板と、
前記立体表示部と前記導光板との間に配置され、センサ光及び前記照明光を遮光する遮光領域と、前記センサ光及び前記照明光を透過する透過領域とを有し、前記透過領域内に、前記照明光によって表示される、前記位置を示すパターンが形成される遮光部と、
前記導光板の背面側に配置され、前記センサ光を発するとともに、前記位置にある所定の物体により反射または散乱された前記センサ光を検知すると、当該検知したことを表す検知信号を出力する検知部と、
前記検知部から前記検知信号を受信すると、前記操作入力が行われたことを表す信号を出力し、かつ、前記第1の光源の点灯状態を変化させるとともに前記第2の光源の照明光の発光色を変化させる制御部と、
を有する非接触スイッチ。」
とあるのを、
「第1の光源と、
背面側に配置された操作入力を受け付ける位置を示すパターンを正面側から視認可能であり、かつ、前記第1の光源から発した光により前記位置を示す立体像を表示可能な立体表示部と、
発光色を変更可能な照明光を発する第2の光源と、
前記立体表示部の背面側に配置され、前記第2の光源から発した照明光を前記立体表示部の側へ向ける導光板と、
前記立体表示部と前記導光板との間に配置され、センサ光及び前記照明光を遮光する遮光領域と、前記センサ光及び前記照明光を透過する透過領域とを有し、前記透過領域内に、前記照明光によって前記立体表示部の背面と前記導光板の間において表示される、前記位置を示すパターンが形成される遮光部と、
前記導光板の背面側に配置され、前記センサ光を発するとともに、前記位置にある所定の物体により反射または散乱された前記センサ光を検知すると、当該検知したことを表す検知信号を出力する検知部と、
前記検知部から前記検知信号を受信すると、前記操作入力が行われたことを表す信号を出力し、かつ、前記第1の光源の点灯状態を変化させるとともに前記第2の光源の照明光の発光色を変化させる制御部と、
を有し、
前記位置を示すパターンは、前記立体像の所定点から前記遮光部へ下した垂線の足と重なる位置に設けられる、
非接触スイッチ。」
とする補正を含むものである。(下線は、補正箇所を示す。)
2 本件補正の適否について
本件補正により、「位置を示すパターン」が表示される位置が、「立体表示部の背面と前記導光板の間」に特定されたところ、「立体表示部の背面と前記導光板の間」には、立体表示部の背面と導光板の正面との間に存在する空間も含まれるから、補正後の請求項1に係る発明には、「位置を示すパターン」が、立体表示部の背面と導光板の正面との間の空間に浮き上がる形態で表示されるようなものも含まれることとなる。
しかし、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「マスクシート12は、遮光部の一例であり、立体表示部11と導光板13の間に配置されるシート状の部材であり、第2の光源16からの照明光により操作入力が受け付けられる位置を示すパターン22を表示するとともに、背面側から正面側へ向かう照明光及び光センサ14からのセンサ光について、パターン22以外の部分を遮光する。」(【0017】)、「パターン22は、例えば、光センサ14からのセンサ光及び第2の光源16からの照明光を透過するようにマスクシート12を切り抜くことで設けられた透過領域12a内において、その照明光を透過しない材質、例えば、インキまたは塗料を導光板13の正面側の面に塗布することで形成される。これにより、第2の光源16が点灯することで、ユーザは、パターン22を視認することが可能となる。なお、パターン22を形成する材料として、第2の光源16からの照明光を透過しないものの、光センサ14からのセンサ光は透過する材質、例えば、センサ光が赤外光である場合、赤外透過インキが用いられることが好ましい。あるいはまた、透過領域12a内のパターン22の周囲が、第2の光源16からの照明光を遮光するものの、光センサ14からのセンサ光を透過する材料で覆われるとともに、パターン22自体は照明光及びセンサ光の何れ透過するように形成されてもよい。」(【0018】)という記載があり、「位置を示すパターン」であるパターン22が、導光板13の正面側の面に、照明光を透過しない材質を塗布することで形成されることは記載されているものの、「位置を示すパターン」が、立体表示部の背面と導光板の正面との間の空間に浮き上がる形態で表示されることは、当初明細書等には記載されておらず、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。
よって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえず、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1(特開2020-009267号公報)に記載した発明及び引用文献2(特開2020-064632号公報)に記載された発明に基いて、また、本願の請求項2~4に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された発明及び引用文献3(特開2019-191340号公報)で例示される周知技術に基いてその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたため、本願の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1~4」という。)は、本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち本願発明1は次のとおりのものである。
「【請求項1】
第1の光源と、
背面側に配置された操作入力を受け付ける位置を示すパターンを正面側から視認可能であり、かつ、前記第1の光源から発した光により前記位置を示す立体像を表示可能な立体表示部と、
発光色を変更可能な照明光を発する第2の光源と、
前記立体表示部の背面側に配置され、前記第2の光源から発した照明光を前記立体表示部の側へ向ける導光板と、
前記立体表示部と前記導光板との間に配置され、センサ光及び前記照明光を遮光する遮光領域と、前記センサ光及び前記照明光を透過する透過領域とを有し、前記透過領域内に、前記照明光によって表示される、前記位置を示すパターンが形成される遮光部と、
前記導光板の背面側に配置され、前記センサ光を発するとともに、前記位置にある所定の物体により反射または散乱された前記センサ光を検知すると、当該検知したことを表す検知信号を出力する検知部と、
前記検知部から前記検知信号を受信すると、前記操作入力が行われたことを表す信号を出力し、かつ、前記第1の光源の点灯状態を変化させるとともに前記第2の光源の照明光の発光色を変化させる制御部と、
を有する非接触スイッチ。」
なお、本願発明2~4は、本願発明1を引用する発明であり、本願発明1を減縮した発明である。
第5 引用文献の記載及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、空間に画像を結像させるとともに、当該画像に対するユーザによる入力を検知する入力装置に関する。」
「【0036】
§2 構成例
以下、本発明の入力装置の構成例を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における入力装置1Aの側面図である。図2は、入力装置1Aのブロック図である。
【0037】
図1および図2に示すように、入力装置1Aは、第1立体画像表示部10と、第2立体画像表示部20と、位置検出センサ2(センサ)と、音出力部3(音出力装置)と、制御部30とを備えている。なお、以降では、説明の便宜上、図1における+X方向を前方向、-X方向を後方向、+Y方向を上方向、-Y方向を下方向、+Z方向を右方向、-Z方向を左方向として説明する場合がある。
【0038】
第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、ユーザにより視認される立体画像をスクリーンのない空間に結像する。以降の説明では、第1立体画像表示部10が結像する立体画像を立体画像I1、第2立体画像表示部20が結像する立体画像を立体画像I2と称する。なお、立体画像I1と立体画像I2とを区別しない時は、単に立体画像Iと記載する。
【0039】
第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20の構成は同様であるため、本明細書では、第1立体画像表示部10の構成について詳細に説明し、第2立体画像表示部20については、第1立体画像表示部10と異なる点についてのみ説明する。
【0040】
図3は、第1立体画像表示部10の斜視図である。なお、図3では、説明の便宜上、第1立体画像表示部10が立体画像Iの一例として、「ON」の文字が表示されたボタン形状(+X軸方向に突出した形状)の立体画像Iを表示している様子を示している。図3に示すように、第1立体画像表示部10は、導光板11と、光源12とを備えている。
【0041】
導光板11は、直方体形状しており、透明性および比較的高い屈折率を有する樹脂材料で成形されている。導光板11を形成する材料は、例えばポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ガラスなどであってよい。導光板11は、光を出射する出射面11a(光出射面)と、出射面11aとは反対側の背面11bと、四方の端面である、端面11c、端面11d、端面11eおよび端面11fとを備えている。端面11cは、光源12から投射された光が導光板11に入射する入射面である。端面11dは、端面11cとは反対側の面である。端面11eは、端面11fとは反対側の面である。導光板11は、光源12からの光を出射面11aに平行な面内で面上に広げて導く。光源12は、例えばLED(Light Emitting diode)光源である。本実施形態では、出射面11aが鉛直方向に平行になるように導光板11が配置されている。なお、本発明の一態様では、出射面11aが鉛直方向に対して所定の角度を有するように導光板11が設置されてもよい。」
「【0046】
入力装置1Aでは、第1立体画像表示部10の導光板11と、第2立体画像表示部20の導光板21とが、X軸方向に沿って重ねて配置されている。導光板11の出射面11aおよび導光板21の出射面21aは、YZ平面に平行に配置されている。入力装置1Aでは、導光板11の出射面11aおよび導光板21の出射面21aが前側(すなわち、+X軸側)になるように、導光板11および導光板21が配置されている。これにより、第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20によって、入力装置1Aの前側(+X軸側)に立体画像が結像される。
【0047】
図4は、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1を示すものであり、(a)は、立体画像I1の斜視図であり、(b)は、立体画像I1を出射面11aに平行な方向から見た図である。
【0048】
図4の(a)および(b)に示すように、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1は、立体画像I1aおよび立体画像I1bからなっている。立体画像I1aは、略三角柱形状をしており、スイッチの台座を模した形状となっている。立体画像I1bは、台形錐台形状をしており、スイッチの可動部を模した形状となっている。立体画像I1bでは、台形錐台の高さ方向が、出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する(すなわち、出射面11aとは平行ではない)ように結像される。」
「【0051】
位置検出センサ2は、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1の結像位置を含む空間に位置する物体を検出するセンサである。本実施形態における位置検出センサ2は、限定反射センサである。位置検出センサ2は、発光素子(不図示)と受光素子(不図示)とを備えている。位置検出センサ2は、上記発光素子から照射され、検出物体により正反射された光を上記受光素子によって受光することにより、特定の位置に位置する物体を検出する。位置検出センサ2は、検出結果を後述する入力検知部31に出力する。
【0052】
位置検出センサ2は、第2立体画像表示部20の後側(-X軸方向側)であって、上下方向において立体画像I1bが結像される位置に設置されている。」
「【0059】
§3 動作例
次に、入力装置1Aの動作例について図面を参照しながら説明する。図6は、入力装置1Aにおけるユーザの入力を受け付ける動作を示すものであり、(a)は、ユーザが入力装置1Aに対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【0060】
入力装置1Aでは、ユーザによる入力を待機している状態においては、画像制御部32が第1立体画像表示部10の光源12を点灯させるように制御する。これにより、図4に示すように、立体画像I1が結像された状態となっている。
【0061】
図6の(a)に示すように、ユーザは、入力装置1Aに対して入力する際には、立体画像I1(詳細には、立体画像I1b)が結像される結像位置に物体(図6に示す例では指)を位置させる。より詳細には、ユーザは、立体画像I1bとしての台形錐台形状の上面にあたる面I1b1に対して入力操作を行う。面I1b1は、立体画像I1においてユーザが仮想的に入力を行う入力面である。
【0062】
ここで、位置検出センサ2は、立体画像I1aが結像される結像位置および当該結像位置の周辺領域に物体が位置したことを検出できる位置に設置されている。したがって、位置検出センサ2は、ユーザが入力装置1Aに対して入力するために立体画像I1aが結像される位置にユーザの指が位置したことを検出できる。位置検出センサ2は、ユーザの指を検知した旨の情報を、入力検知部31に出力する。
【0063】
入力検知部31は、位置検出センサ2からユーザの指を検知した旨の情報を取得すると、入力装置1Aに対してユーザが入力したことを検知する。入力検知部31は、ユーザの入力を検知した場合、その情報を画像制御部32および報知制御部33へ出力する。
【0064】
画像制御部32は、ユーザの入力を検知した情報を取得した場合、第1立体画像表示部10の光源12を消灯させるとともに、第2立体画像表示部20の光源22を点灯させるように光源12および光源12に対して指示を出す。これにより、図6の(b)に示すように、入力装置1Aによって表示される立体画像が、立体画像I1から立体画像I2に変化する。」
「【0133】
<4.7>
入力装置1Aにおける第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20の少なくとも一方は、以下に説明する立体画像表示部80と置き換えることができる。
【0134】
図28は、立体画像表示部80の斜視図である。図29は、立体画像表示部80の構成を示す断面図である。
【0135】
立体画像表示部80は、図28および図29に示すように、画像表示装置81と、結像レンズ82と、コリメートレンズ83と、導光板84と、マスク85とを備えている。なお、Y軸方向に沿って、画像表示装置81、結像レンズ82、コリメートレンズ83、および導光板84が順番に配置されている。また、X軸方向に沿って、導光板84およびマスク85が、この順番で配置されている。
【0136】
画像表示装置81は、制御装置(不図示)から受信した映像信号に応じて、立体画像表示部80により空中に投影される2次元画像を表示領域に表示する。画像表示装置81は、表示領域に画像を表示することによって、画像光を出力することができる、例えば一般的な液晶ディスプレイである。なお、図示の例において、画像表示装置81の表示領域、および当該表示領域に対向する、導光板84の入射面84aは、ともにXZ平面と平行となるように配置されている。また、導光板84の、後述するプリズム141が配置されている背面84b、および当該背面84bに対向する、マスク85に対して光を出射する出射面84c(光出射面)は、ともにYZ平面と平行となるように配置されている。さらに、マスク85の、後述するスリット151が設けられている面も、YZ平面と平行になるように配置されている。なお、画像表示装置81の表示領域と導光板84の入射面84aとは、対向して配置されてもよいし、画像表示装置81の表示領域が入射面84aに対して傾けて配置されてもよい。」
「【0139】
導光板84は、透明な部材によって構成されており、コリメートレンズ83によって平行光化された画像光を入射面84aにて受光し、出射面84cから出射する。図示の例において、導光板84は平板状に形成された直方体の外形を備えており、コリメートレンズ83に対向する、XZ平面と平行な面を入射面84aとする。また、YZ平面と平行かつX軸の負方向側に存在する面を背面84bとし、YZ平面と平行かつ背面84bに対向する面を出射面84cとする。導光板84は、複数のプリズム(出射構造部、光路変更部)141を備えている。」
「【0141】
マスク85は、可視光に対して不透明な材料にて構成され、複数のスリット151を備えている。マスク85は、導光板84の出射面84cから出射された光のうち、平面102上の結像点101へ向かう光のみを、複数のスリット151を用いて透過させることができる。」
ここで、「入力装置1Aにおける第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20の少なくとも一方は、以下に説明する立体画像表示部80と置き換えることができる。」(【0133】)との記載によれば、入力装置1Aの一態様は、第1立体画像表示部10および立体画像表示部80を備えるものであることがわかる。
そうすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「光源12と、
光源12を点灯させることにより、ユーザにより視認される立体画像I1をスクリーンのない空間に結像するものであり、立体画像I1は立体画像I1aおよび立体画像I1bからなり、ユーザは、立体画像I1bに対して入力操作を行う第1立体画像表示部10と、
表示領域に画像を表示することによって、画像光を出力することができる、一般的な液晶ディスプレイである画像表示装置81と、
第1立体画像表示部10の背面側に配置され、画像表示装置81の表示領域から出力された画像光を入射面84aにて受光し、出射面84cから出射する導光板84と、
第1立体画像表示部10と導光板84との間にあって、可視光に対して不透明な材料にて構成され、複数のスリット151を備え、導光板84の出射面84cから出射された光のうち、平面102上の結像点101へ向かう光のみを、複数のスリット151を用いて透過させることができるマスク85と、
導光板84の後側であって、上下方向において立体画像I1bが結像される位置に設置されており、発光素子と受光素子とを備えており、発光素子から照射され、検出物体により正反射された光を受光素子によって受光することにより、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1の結像位置を含む空間に位置する物体を検出し、物体を検知した旨の情報を出力する位置検出センサ2と、
位置検出センサ2が、ユーザが入力装置1Aに対して入力するために立体画像I1aが結像される位置にユーザの指が位置したことを検知した情報を取得した場合、第1立体画像表示部10の光源12を消灯させるとともに、画像表示装置81に画像光を出力させるように、光源12および画像表示装置81に対して指示を出す画像制御部32と、
を備える入力装置1A。」
2 引用文献2
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0022】
以下、図面を参照して実施形態にかかる入力装置1について説明する。図1は、入力装置1の斜視図である。図2は、入力装置1の構成を示すブロック図である。入力装置1は、導光板2と、光源3と、センサ4と、コントローラ5と、信号出力装置6とを含む。
【0023】
導光板2は、光源3からの光を導いて空間に画像I1を結像させる。それにより、導光板2は、ユーザーにより視認される第1画像I1をスクリーンのない空間に投影する。導光板2は、透光性材料で形成されている。導光板2は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、或いはシクロオレフィンポリマーなどの透明な樹脂、或いは、ガラスなどの材料で形成されている。」
「【0037】
本実施形態では、コントローラ5は、センサ4からの出力に基づいて、ユーザーによる入力動作を検出する。すなわち、コントローラ5は、センサ4によって物体が検出されたときに、ユーザーの第1画像I1に対する入力動作を検出する。コントローラ5は、ユーザーの第1画像I1に対する入力動作に応じて、信号を信号出力装置6から出力する。」
「【0056】
導光板2によって表示される画像は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。或いは、導光板2は、上述した実施形態の画像を組み合わせて表示してもよい。コントローラ5は、ユーザーの入力動作に応じて画像の色、或いは明るさを変更してもよい。入力装置1はスピーカー、或いはブザーなどの音声出力装置を備えてもよい。コントローラ5は、ユーザーの入力動作に応じて音色、音階、音声、メロディなどを変更してもよい。コントローラ5は、ユーザーの入力動作に応じて、画像、色、明るさ、音などの任意の組み合わせを変更してもよい。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「光源12」は本願発明1の「第1の光源」に相当する。
イ 引用発明の「立体画像I1」は本願発明1の「立体像」に相当するから、引用発明の「光源12を点灯させることにより、ユーザにより視認される立体画像I1をスクリーンのない空間に結像するものであり、立体画像I1は立体画像I1aおよび立体画像I1bからなり、ユーザは、立体画像I1bに対して入力操作を行う」「第1立体画像表示部10」と、本願発明1の「背面側に配置された操作入力を受け付ける位置を示すパターンを正面側から視認可能であり、かつ、前記第1の光源から発した光により前記位置を示す立体像を表示可能な」「立体表示部」とは、「前記第1の光源から発した光により操作入力を受け付ける位置を示す立体像を表示可能な」「立体表示部」の点で共通する。
ウ 引用発明の「画像光」は本願発明1の「照明光」に相当するから、引用発明の「表示領域に画像を表示することによって、画像光を出力することができる、一般的な液晶ディスプレイである」「画像表示装置81」と本願発明1の「発光色を変更可能な照明光を発する」「第2の光源」とは、「照明光を発する」「第2の光源」の点で共通する。
エ 引用発明の「第1立体画像表示部10の背面側に配置され、画像表示装置81の表示領域から出力された画像光を入射面84aにて受光し、出射面84cから出射する」「導光板84」は本願発明1の「前記立体表示部の背面側に配置され、前記第2の光源から発した照明光を前記立体表示部の側へ向ける」「導光板」に相当する。
オ 引用発明の「複数のスリット151」は本願発明1の「透過領域」に相当するから、引用発明の「第1立体画像表示部10と導光板84との間にあって、可視光に対して不透明な材料にて構成され、複数のスリット151を備え、導光板84の出射面84cから出射された光のうち、平面102上の結像点101へ向かう光のみを、複数のスリット151を用いて透過させることができる」「マスク85」と本願発明1の「前記立体表示部と前記導光板との間に配置され、センサ光及び前記照明光を遮光する遮光領域と、前記センサ光及び前記照明光を透過する透過領域とを有し、前記透過領域内に、前記照明光によって表示される、前記位置を示すパターンが形成される」「遮光部」とは、「前記立体表示部と前記導光板との間に配置され、遮光領域と、センサ光及び前記照明光を透過する透過領域とを有」する「遮光部」の点で共通する。
カ 引用発明の「導光板84の後側であって、上下方向において立体画像I1bが結像される位置に設置されており、発光素子と受光素子とを備えており、発光素子から照射され、検出物体により正反射された光を受光素子によって受光することにより、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1の結像位置を含む空間に位置する物体を検出し、物体を検知した旨の情報を出力する」「位置検出センサ2」は、本願発明1の「前記導光板の背面側に配置され、前記センサ光を発するとともに、前記位置にある所定の物体により反射または散乱された前記センサ光を検知すると、当該検知したことを表す検知信号を出力する」「検知部」に相当する。
キ 引用発明の「位置検出センサ2が、ユーザが入力装置1Aに対して入力するために立体画像I1aが結像される位置にユーザの指が位置したことを検知した情報を取得した場合、第1立体画像表示部10の光源12を消灯させるとともに、画像表示装置81に画像光を出力させるように、光源12および画像表示装置81に対して指示を出す」「画像制御部32」と本願発明1の「前記検知部から前記検知信号を受信すると、前記操作入力が行われたことを表す信号を出力し、かつ、前記第1の光源の点灯状態を変化させるとともに前記第2の光源の照明光の発光色を変化させる」「制御部」とは、「前記検知部から前記検知信号を受信すると、前記操作入力が行われたことを表す信号を出力」する「制御部」の点で共通する。
ク 引用発明の「入力装置1A」は本願発明1の「非接触スイッチ」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点及び相違点がある。
[一致点]
「第1の光源と、
前記第1の光源から発した光により操作入力を受け付ける位置を示す立体像を表示可能な立体表示部と、
照明光を発する第2の光源と、
前記立体表示部の背面側に配置され、前記第2の光源から発した照明光を前記立体表示部の側へ向ける導光板と、
前記立体表示部と前記導光板との間に配置され、遮光領域と、センサ光及び前記照明光を透過する透過領域とを有する遮光部と、
前記導光板の背面側に配置され、前記センサ光を発するとともに、前記位置にある所定の物体により反射または散乱された前記センサ光を検知すると、当該検知したことを表す検知信号を出力する検知部と、
前記検知部から前記検知信号を受信すると、前記操作入力が行われたことを表す信号を出力する制御部と、
を有する非接触スイッチ。」
[相違点1]
「立体表示部」について、本願発明1は「背面側に配置された操作入力を受け付ける位置を示すパターンを正面側から視認可能であ」るのに対し、引用発明はそのような構成は備えていない点。
[相違点2]
「第2の光源」が発する「照明光」について、本願発明1は「発光色を変更可能な」ものであるのに対し、引用発明はその点が不明である点。
[相違点3]
「遮光領域」について、本願発明1は「センサ光及び前記照明光を遮光する」のに対し、引用発明は可視光に対して不透明な材料にて構成されている点。
[相違点4]
「遮光部」について、本願発明1は「前記透過領域内に、前記照明光によって表示される、前記位置を示すパターンが形成される」のに対し、引用発明は、平面102上の結像点101へ向かう光のみを、複数のスリット151を用いて透過させるものであり、複数のスリット151内に、光によって表示される、操作入力を受け付ける位置を示すパターンを形成するものではない点。
[相違点5]
「制御部」について、本願発明1は「前記第1の光源の点灯状態を変化させるとともに前記第2の光源の照明光の発光色を変化させる」のに対し、引用発明は、第1立体画像表示部10の光源12を消灯させるとともに、画像表示装置81に画像光を出力させるものである点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討する。
引用文献2に記載された事項は、本願発明1の記載ぶりに沿って表現すれば、非接触スイッチにおける光源の照明光の発光色を変化させる点を開示するにとどまり、照明光によって表示される、操作入力を受け付ける位置を示すパターンに係る点について開示も示唆もされていないから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用したとしても、上記相違点4に係る本願発明1の構成には到らない。
そうすると、上記相違点4に係る本願発明1の構成は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に想到できたものではない。
したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2~4について
本願発明2~4も、上記相違点4に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1~4は、当業者が引用発明等に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-018434