特許拒絶査定不服審判
2024-014718
プラスチック材料で作られた液体タンクと車両に搭載された液体供給モジュールの間の接続装置
- 審判番号
- 2024-014718
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-539353
- 請求日
- 2024年09月13日
- 審決日
- 2026年02月02日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】オプモビリティ・シー-パワー・ベルジャム・リサーチ
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 審判長/審判官
- 審判長 草野 顕子
- 審判官 藤崎 詔夫
- 審判官 倉橋 紀夫
- 分類
- P18 .121-WZ (B60K) / P18 .537-WZ (B60K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-539353号「プラスチック材料で作られた液体タンクと車両に搭載された液体供給モジュールの間の接続装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年9月3日国際公開、WO2020/173979号、令和4年4月15日国内公表、特表2022-522261号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)2月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年2月28日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 5年11月29日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 2月22日提出:意見書、手続補正書
令和 6年 5月21日付け:拒絶査定
令和 6年 9月13日提出:審判請求書、手続補正書
令和 7年 7月17日付け:拒絶理由通知書
令和 7年10月22日提出:意見書、誤訳訂正書
第2 本願発明の認定
本願の請求項1~13に係る発明は、令和7年10月22日提出の誤訳訂正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「車両に搭載されたプラスチック材料で作られた液体タンク(2)に液体供給モジュール(3)を取り付けるように構成された接続装置(1)であって、
前記接続装置(1)は、
前記液体タンク(2)の開口部(5)に挿入するために設けられた管状部材(10)であって、前記管状部材(10)は、前記管状部材(10)内への液体の侵入を可能にするために設けられた開口部(1010)を有する第2の端部(101)と、前記液体供給モジュール(3)を挿入するために設けられた開口部(1000)を有する第1の端部(100)とを有し、前記第1の端部(100)と前記第2の端部(101)との間にスワールポット(4)を構成する、管状部材(10)と、
前記第1の端部(100)の外部に配置されたフランジ(11)であって、前記フランジ(11)の第1の表面(110)は、前記開口部(5)の周囲で前記液体タンク(2)の壁の外面に溶接されるように提供され、前記フランジ(11)の前記第1の表面(110)の反対側の前記フランジ(11)の第2の表面は、接続手段(12)を備える、フランジ(11)とを備え、
前記接続手段(12)は、前記液体供給モジュール(3)を前記接続装置(1)の前記管状部材(10)の前記第1の端部(100)に固定して前記スワールポット(4)のベースを形成するよう設けられ、
前記接続手段(12)は、前記液体供給モジュールが前記液体タンクから取り外せるようにシールを備えるアセンブリ手段であることを特徴とする接続装置(1)。」
第3 原査定の拒絶の理由
1 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由2は、以下のとおりのものを含むものである。
この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に示された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2001-247071号公報
引用文献2.特開2016-222089号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2014-91337号公報(周知技術を示す文献)
2 令和7年7月17日付け拒絶理由通知書について
令和7年7月17日付け拒絶理由通知書は、令和7年10月22日提出の誤訳訂正書による補正前の請求項1に係る発明について特許法第36条第6項第2号に係る拒絶理由を通知するものであり、かつ、
「また、上記のとおり本願は不明確であるから、拒絶査定の理由2についての判断を留保する。」
と記載したものであるから、上記1の原査定の拒絶の理由の判断は留保されている。
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の図面とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した(以下同様。)。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンク本体の内部に燃料ポンプが設置された自動二輪車の燃料タンク装置に関するものである。」
(2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように燃料ポンプ102の吸入部103がタンク本体101の底面101aよりも高い位置にあることから、例えばタンク本体101内の燃料が残り少ない時に自動二輪車が急減速した際、タンク本体101内の燃料が前方に片寄って燃料ポンプ102の吸入部103が燃料液面上に露出し、燃料ポンプ102が空気を吸入して一時的な燃料切れが起こり得るという問題がある。」
(3)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る燃料タンク装置が適用された自動二輪車の一例を示す左側面図である。」
(4)「【0016】図2にも示すように、燃料タンク装置11は、タンク本体22の底面22a後部に燃料ポンプ23が設置された構成であり、タンク本体22の前部下面には上方に凹む凹部22a(図1参照)が形成され、ここにエアクリーナー15が収容される。燃料ポンプ23の下部(後述するポンプケース37)はタンク本体22の底面22a後部から下方に突出(露出)し、ここに設けられたユニオン24と燃料噴射装置14との間が燃料ホース25で接続される。
【0017】図3に拡大して示すように、タンク本体22の底面22a後部には円形の貫通穴27が形成され、その内周に下方から嵌合される形で別体のポンプ取付ブラケット28が溶接等により固着され、このポンプ取付ブラケット28に開設された円形のポンプ取付穴29に燃料ポンプ23がスクリュー部材30で取り付けられる構造である。
【0018】ポンプ取付ブラケット28は平面視で略環状であり、中心に上記ポンプ取付穴29が形成され、その周囲に複数のネジ孔31が下方から形成されている(例えば5箇所)。また、ポンプ取付ブラケット28の上面側にはポンプ取付穴29の外周を囲むように上方に延びる短い筒状の囲い部32が一体に形成され、ポンプ取付ブラケット28の下面側かつポンプ取付穴29の直ぐ外周には環状のシール溝33が刻設されている。
【0019】一方、燃料ポンプ23は、ポンプ本体35の上にフィルター部36が搭載され、ポンプ本体35の下部にはポンプケース37が一体的に設けられ、このポンプケース37が燃料ポンプ23全体をタンク本体22(ポンプ取付ブラケット28)に取り付ける取付ブラケットを兼ねている。ポンプケース37は有底椀状に形成され、その上部に形成された平板状の取付フランジ38に、ポンプ取付ブラケット28のネジ孔31に整合する複数のスクリュー孔39が形成されている。
【0020】ポンプ本体35の下部に設けられている吸入部40はポンプケース37の内部にあり、その高さH1がタンク本体22の底面22aの高さH2とポンプケース37の底面37aの高さH3との間に、好ましくはややH3寄りになるように設定されている。また、フィルター部36から下方に延びる吐出管41がポンプケース37に設けられた前述のユニオン24に繋がる。
【0021】ポンプ取付ブラケット28のシール溝33には耐燃料性のあるゴム製のシールリング43が嵌装され、ポンプケース37の取付フランジ38がポンプ取付ブラケット28の下面に合わせられ、複数のスクリュー部材30が取付フランジ38のスクリュー孔39に挿通されてポンプ取付ブラケット28のネジ孔31に締結される。これにより、ポンプケース37(取付フランジ38)の上面がポンプ取付ブラケット28の下面に固定され、燃料ポンプ23全体がタンク本体22に固定される。シールリング43はポンプ取付ブラケット28とポンプケース37間の液密性を保つ。
【0022】このように、タンク本体22の底面22a(貫通穴27)に別体のポンプ取付ブラケット28を固着し、このポンプ取付ブラケット28の下面にポンプケース37を複数のスクリュー部材30で締結固定する構造としたことにより、例えばタンク本体22の底面22aに燃料ポンプ23のポンプケース37を直接締結固定した場合に比べてタンク本体22と燃料ポンプ23との間の組付性やシール性を格段に向上させることができ、信頼性も高められる。
【0023】ところで、燃料ポンプ23のポンプ本体35と、ポンプケース37の内側面およびポンプ取付ブラケット28のポンプ取付穴29ならびに囲い部32との間には空隙45があり、この空隙45によりポンプケース37の内部空間がポンプ取付穴29を経てタンク本体22の内部空間に連通しており、タンク本体22に注入された燃料(非図示)がポンプ取付穴29を通ってポンプケース37内に流れ込むようになっている。
【0024】このように構成された燃料タンク装置11において、燃料ポンプ23が作動すると、タンク本体22内からポンプ取付穴29を経てポンプケース37内に流れ込んだ燃料が吸入部40に吸入され、吸入された燃料はポンプ本体35により所定圧まで加圧されてからフィルター部36により濾過され、吐出管41からユニオン24と燃料ホース25を経て燃料噴射装置14に供給される。
【0025】例えば、タンク本体22内部の燃料が少なくなった時に自動二輪車1が急減速すると、タンク本体22内部の燃料は慣性力により前方に片寄るが、ポンプケース37内に満ちている燃料はタンク本体22の底面22aよりも低位置にあるため前方に流動せずにポンプケース37内にとどまり、その液面が燃料ポンプ23の吸入部40よりも上方に保たれる。したがって、一時的な燃料切れが起こらない。
【0026】このようにポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、ポンプ取付穴29の周囲に設けられた囲い部32によって大幅に増量され、燃料ポンプ23の吸入部40に対する残留燃料の液面が高くなるため、例えば急激な加減速が繰り返されるような運転状況下においても一時的な燃料切れを確実に防止することができる。なお、囲い部32をポンプ取付ブラケット28に一体形成したことにより、囲い部32を別部品として設ける必要がなくなるため、燃料ポンプ23の関連部品点数や組立工数を削減することができる。」
(5)「【図3】
[図:0001436717000001.jpg]
」
2 引用文献1の認定事項
上記1の記載事項及び図示内容から、引用文献1には、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
(1)上記1(1)の【0001】、同(3)の【0012】、同(4)の【0017】の記載事項から、引用文献1に記載された技術は、自動二輪車に適用された燃料タンク本体22に燃料ポンプ23を取り付けるためのポンプ取付ブラケット28に関するものであると認められる。
(2)上記1(4)の【0017】~【0019】、【0021】の記載事項、同(5)の【図3】の図示内容から、ポンプ取付ブラケット28は、平面視で略環状であり、中心にポンプ取付穴29が形成され、上面側にはポンプ取付穴29の外周を囲むように上方に延びる短い筒状の囲い部32が一体に形成され、囲い部32がタンク本体22の貫通穴27に下方から挿入され、燃料ポンプ23のポンプ本体35及びフィルター部36等がポンプ取付穴29に下方から挿入されていると認められる。
(3)上記1(4)の【0017】~【0018】の記載事項、同(5)の【図3】の図示内容から、ポンプ取付ブラケット28は、下面側外周部がフランジ状に形成され、フランジ状の部分の上面は、タンク本体22の貫通穴27の周辺部に溶接等により固着され、フランジ状の部分の下面は、ゴム製のシールリング43が嵌装される環状のシール溝33と複数のネジ孔31とを備えていると認められる。
(4)上記1(4)の【0021】、【0023】、【0026】の記載事項から、燃料ポンプ23のポンプケース37の取付フランジ38がポンプ取付ブラケット28の下面に合わせられ、複数のスクリュー部材30が取付フランジ38のスクリュー孔39に挿通されてポンプ取付ブラケット28のネジ孔31に締結されることによって、タンク本体22に注入された燃料がポンプ取付穴29を通ってポンプケース37内に流れ込むようになり、ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、ポンプ取付穴29の周囲に設けられた囲い部32によって大幅に増量されると認められる。
3 引用文献1記載の発明
上記1、2から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「自動二輪車に適用された燃料タンク本体22に燃料ポンプ23を取り付けるためのポンプ取付ブラケット28であって、
前記ポンプ取付ブラケット28は、
平面視で略環状であり、中心にポンプ取付穴29が形成され、上面側には前記ポンプ取付穴29の外周を囲むように上方に延びる短い筒状の囲い部32が一体に形成され、前記囲い部32が前記タンク本体22の貫通穴27に下方から挿入され、前記燃料ポンプ23のポンプ本体35及びフィルター部36等が前記ポンプ取付穴29に下方から挿入されており、
下面側外周部がフランジ状に形成され、前記フランジ状の部分の上面は、前記タンク本体22の前記貫通穴27の周辺部に溶接等により固着され、前記フランジ状の部分の下面は、ゴム製のシールリング43が嵌装される環状のシール溝33と複数のネジ孔31とを備えており、
前記燃料ポンプ23のポンプケース37の取付フランジ38が前記ポンプ取付ブラケット28の下面に合わせられ、複数のスクリュー部材30が前記取付フランジ38のスクリュー孔39に挿通されて前記ポンプ取付ブラケット28の前記ネジ孔31に締結されることによって、前記タンク本体22に注入された燃料が前記ポンプ取付穴29を通って前記ポンプケース37内に流れ込むようになり、前記ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、前記ポンプ取付穴29の周囲に設けられた前記囲い部32によって大幅に増量されるポンプ取付ブラケット28。」
4 引用文献2の記載
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、自動二輪車のような鞍乗型乗物に乗物の部品を取り付ける取付構造に関するものである。」
(2)「【0025】
エンジンEの上方に、樹脂製の容器の一種である燃料タンク15が配置され、メインフレーム1の上部に支持されている。燃料タンク15の後方でシートレール2aにシート18が支持されている。自動二輪車の上部は、乗物の装着部品の一種である左右一対のシュラウド14により外側方から覆われている。」
5 引用文献3の記載
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、車両の樹脂タンク構造に関する。」
(2)「【0012】
図1は、この実施形態の鞍乗り型車両の全体を示す側面図である。
この実施形態の鞍乗り型車両は、エンジン(内燃機関)2によって後輪WRが駆動されるオフロードタイプの自動二輪車である。以下、この実施形態の鞍乗り型車両については、「自動二輪車1」と呼ぶものとする。」
(3)「【0022】
図2に示すように、燃料タンク31は、中空のタンク本体41と、タンク本体41の上端部に突設された給油口42aに螺着されるタンクキャップ42と、タンク本体41の左下端部に取り付けられる燃料コック43と、を有する。
【0023】
タンク本体41は、例えば高密度ポリエチレンを原料としたブロー成型により中空一体に形成される。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
(1)後者の「自動二輪車に適用された燃料タンク本体22」と前者の「車両に搭載されたプラスチック材料で作られた液体タンク(2)」とは、「車両に搭載された液体タンク(2)」という限りにおいて一致する。また、後者の「燃料ポンプ23」は前者の「液体供給モジュール(3)」に相当し、後者の「自動二輪車に適用された燃料タンク本体22に燃料ポンプ23を取り付けるためのポンプ取付ブラケット28」と前者の「車両に搭載されたプラスチック材料で作られた液体タンク(2)に液体供給モジュール(3)を取り付けるように構成された接続装置(1)」とは、「車両に搭載された液体タンク(2)に液体供給モジュール(3)を取り付けるように構成された接続装置(1)」という限りにおいて一致する。
(2)後者の「前記タンク本体22の貫通穴27」は前者の「前記液体タンク(2)の開口部(5)」に相当し、後者の「前記ポンプ取付ブラケット28は、平面視で略環状であり、中心にポンプ取付穴29が形成され、上面側には前記ポンプ取付穴29の外周を囲むように上方に延びる短い筒状の囲い部32が一体に形成され」る態様は、ポンプ取付ブラケット28が、略環状のポンプ取付穴29の周辺部と、当該ポンプ取付穴29の周辺部から上方に延びる短い筒状の囲い部32を備えることが明らかであり、さらに、当該「囲い部32が前記タンク本体22の貫通穴27に下方から挿入され」るから、後者の「ポンプ取付穴29」の周辺部と「囲い部32」とは前者の「前記液体タンク(2)の開口部(5)に挿入するために設けられた管状部材(10)」に相当する。
また、後者の「筒状の囲い部32」の上端が開口を有し、「前記タンク本体22に注入された燃料が前記ポンプ取付穴29を通って前記ポンプケース37内に流れ込むようになり、前記ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、前記ポンプ取付穴29の周囲に設けられた前記囲い部32によって大幅に増量される」のだから、「筒状の囲い部32」の上端の当該開口から「ポンプ取付穴29」の周辺部と「囲い部32」内へ燃料が侵入することが明らかであるから、後者の「筒状の囲い部32」の上端は前者の「前記管状部材(10)内への液体の侵入を可能にするために設けられた開口部(1010)を有する第2の端部(101)」に相当する。
さらに、後者の「ポンプ取付穴29」は、「前記燃料ポンプ23のポンプ本体35及びフィルター部36等が前記ポンプ取付穴29に下方から挿入されて」いることから、前者の「前記液体供給モジュール(3)を挿入するために設けられた開口部(1000)」に相当し、後者の「ポンプ取付穴29」の周辺部の下端は前者の「前記液体供給モジュール(3)を挿入するために設けられた開口部(1000)を有する第1の端部(100)」に相当する。
そして、後者の「前記タンク本体22に注入された燃料が前記ポンプ取付穴29を通って前記ポンプケース37内に流れ込むようになり、前記ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、前記ポンプ取付穴29の周囲に設けられた前記囲い部32によって大幅に増量される」態様は、「筒状の囲い部32」の上端と「ポンプ取付穴29」の周辺部の下端との間にも燃料を残留させていることが明らかである。
以上より、後者の「前記ポンプ取付ブラケット28は、平面視で略環状であり、中心にポンプ取付穴29が形成され、上面側には前記ポンプ取付穴29の外周を囲むように上方に延びる短い筒状の囲い部32が一体に形成され、前記囲い部32が前記タンク本体22の貫通穴27に下方から挿入され、前記燃料ポンプ23のポンプ本体35及びフィルター部36等が前記ポンプ取付穴29に下方から挿入されており」、「前記タンク本体22に注入された燃料が前記ポンプ取付穴29を通って前記ポンプケース37内に流れ込むようになり、前記ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、前記ポンプ取付穴29の周囲に設けられた前記囲い部32によって大幅に増量される」態様は前者の「前記接続装置(1)は、前記液体タンク(2)の開口部(5)に挿入するために設けられた管状部材(10)であって、前記管状部材(10)は、前記管状部材(10)内への液体の侵入を可能にするために設けられた開口部(1010)を有する第2の端部(101)と、前記液体供給モジュール(3)を挿入するために設けられた開口部(1000)を有する第1の端部(100)とを有し、前記第1の端部(100)と前記第2の端部(101)との間にスワールポット(4)を構成する、管状部材(10)」「を備え」る態様に相当する。
(3)後者の「前記ポンプ取付ブラケット28」の「下面側外周部」「に形成され」た「フランジ状の部分」は前者の「前記第1の端部(100)の外部に配置されたフランジ(11)」に相当し、同様に「前記フランジ状の部分の上面は、前記タンク本体22の前記貫通穴27の周辺部に溶接等により固着され」る態様は「前記フランジ(11)の第1の表面(110)は、前記開口部(5)の周囲で前記液体タンク(2)の壁の外面に溶接されるように提供され」る態様に相当する。また、後者の「複数のネジ孔31」は「前記燃料ポンプ23のポンプケース37の取付フランジ38が前記ポンプ取付ブラケット28の下面に合わせられ、複数のスクリュー部材30が前記取付フランジ38のスクリュー孔39に挿通されて前記ポンプ取付ブラケット28の前記ネジ孔31に締結される」ことから、燃料ポンプ23がタンク本体22に取り外せるように接続する手段であるといえるから、後者の「ゴム製のシールリング43が嵌装される環状のシール溝33と複数のネジ孔31」は前者の「前記液体供給モジュールが前記液体タンクから取り外せるようにシールを備えるアセンブリ手段である」「接続手段」に相当し、後者の「前記フランジ状の部分の下面は、ゴム製のシールリング43が嵌装される環状のシール溝33と複数のネジ孔31とを備えて」いる態様は前者の「前記フランジ(11)の前記第1の表面(110)の反対側の前記フランジ(11)の第2の表面は、接続手段(12)を備え」、「前記接続手段(12)は、前記液体供給モジュールが前記液体タンクから取り外せるようにシールを備えるアセンブリ手段である」態様に相当する。
以上より、後者の「前記ポンプ取付ブラケット28は」、「下面側外周部がフランジ状に形成され、前記フランジ状の部分の上面は、前記タンク本体22の前記貫通穴27の周辺部に溶接等により固着され、前記フランジ状の部分の下面は、ゴム製のシールリング43が嵌装される環状のシール溝33と複数のネジ孔31とを備えて」いる態様は前者の「前記接続装置(1)は」、「前記第1の端部(100)の外部に配置されたフランジ(11)であって、前記フランジ(11)の第1の表面(110)は、前記開口部(5)の周囲で前記液体タンク(2)の壁の外面に溶接されるように提供され、前記フランジ(11)の前記第1の表面(110)の反対側の前記フランジ(11)の第2の表面は、接続手段(12)を備える、フランジ(11)とを備え」、「前記接続手段(12)は、前記液体供給モジュールが前記液体タンクから取り外せるようにシールを備えるアセンブリ手段である」態様に相当する。
(4)後者の「前記燃料ポンプ23のポンプケース37の取付フランジ38が前記ポンプ取付ブラケット28の下面に合わせられ、複数のスクリュー部材30が前記取付フランジ38のスクリュー孔39に挿通されて前記ポンプ取付ブラケット28の前記ネジ孔31に締結されることによって、前記タンク本体22に注入された燃料が前記ポンプ取付穴29を通って前記ポンプケース37内に流れ込むようになり、前記ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、前記ポンプ取付穴29の周囲に設けられた前記囲い部32によって大幅に増量される」態様は、前記ポンプ取付ブラケット28の前記ネジ孔31が、前記燃料ポンプ23を前記ポンプ取付ブラケット28の下面に締結することによって、前記タンク本体22に注入された燃料が前記ポンプケース37内に流れ込むようになり、前記ポンプケース37内に残留する残留燃料の量は、前記ポンプ取付穴29の周囲に設けられた前記囲い部32によって大幅に増量され、当該ポンプケースの底面は燃料を残留させている部分の底面になることは明らかであるから、前者の「前記接続手段(12)は、前記液体供給モジュール(3)を前記第1の端部(100)の前記開口部(1000)に固定するよう設けられ、前記スワールポット(4)のベースを形成」する態様に相当する。
したがって、両者は、
「車両に搭載された液体タンクに液体供給モジュールを取り付けるように構成された接続装置であって、
前記接続装置は、
前記液体タンクの開口部に挿入するために設けられた管状部材であって、前記管状部材は、前記管状部材内への液体の侵入を可能にするために設けられた開口部を有する第2の端部と、前記液体供給モジュールを挿入するために設けられた開口部を有する第1の端部とを有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間にスワールポットを構成する、管状部材と、
前記第1の端部の外部に配置されたフランジであって、前記フランジの第1の表面は、前記開口部の周囲で前記液体タンクの壁の外面に溶接されるように提供され、前記フランジの前記第1の表面の反対側の前記フランジの第2の表面は、接続手段を備える、フランジとを備え、
前記接続手段は、前記液体供給モジュールを前記第1の端部の前記開口部に固定するよう設けられ、前記スワールポットのベースを形成し、
前記接続手段は、前記液体供給モジュールが前記液体タンクから取り外せるようにシールを備えるアセンブリ手段であることを特徴とする接続装置。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
液体タンクに関し、本願発明は、「プラスチック材料で作られた」のに対し、引用発明は、何の材料で作られたものか不明な点。
第6 判断
1 判断
自動二輪車の燃料タンクがプラスチック材料で作られることは、引用文献2及び3にそれぞれ示されるように周知技術である。
そして、引用発明の自動二輪車に適用された燃料タンク本体22の材料は不明であるところ、引用発明の実施に伴う具体化手段として周知技術を採用して相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
また、引用発明の自動二輪車に適用された燃料タンク本体22をプラスチック材料で作られることによって、ポンプ取付ブラケット28が燃料タンク本体22に溶接できなくなる等の阻害要因もない。
さらに、相違点を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 審判請求人の主張
(1)令和7年10月22日提出の意見書において、審判請求人は、以下のように主張している。
「引用文献1において、スワールポットのベースを形成しているのは、燃料ポンプ23のポンプケース37の下面です。ということは、引用文献1では、スワールポットは、筒状の囲い部32の上端部と、ポンプケース37の下端部との間にスワールポットが構成されているといえます。
一方で、本願請求項1発明においては、「前記第1の端部(100)と前記第2の端部(101)との間にスワールポット(4)を構成する、管状部材(10)」と明記されているように、スワールポット(4)は、管状部材10の第1の端部100と第2の端部101との間に構成されています。そして、スワールポットのベース(底部)が液体供給モジュールが第1の端部に固定されることによって形成されます。
このように、本願請求項1発明と引用文献1に記載の発明では、スワールポットが形成されるための構成が異なっており、本願発明は、引用文献1に基づいて容易に想到し得るものではないと思料いたします。」
(2)引用発明は、審判請求人も認めているように、ポンプ取付ブラケット28の筒状の囲い部32の上端部と、ポンプケース37の下端部との間にスワールポットが構成されているといえ、また、ポンプ取付ブラケット28の筒状の囲い部32の上端部とポンプケース37の下端部との間にポンプ取付ブラケット28のポンプ取付穴29の周辺部の下端部があることから、当然、ポンプ取付ブラケット28の筒状の囲い部32の上端部とポンプ取付ブラケット28のポンプ取付穴29の周辺部の下端部との間にもスワールポットが構成されているといえる。そして、燃料ポンプ23のポンプケース37の取付フランジ38が前記ポンプ取付ブラケット28の下面に取り付けられることによって、ポンプケース37の下面がスワールポットのベースを形成するといえるから、本願発明と引用発明では、スワールポットが形成されるための構成が異なっているとはいえない。
したがって、審判請求人の主張は、当を得たものではなく、採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-014718