意匠拒絶査定不服審判
2024-014694
車両の内装
- 審判番号
- 2024-014694
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2023-022477
- 登録番号
- 1807794
- 請求日
- 2024年09月13日
- 審決日
- 2025年08月01日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東日本旅客鉄道株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人光陽国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 綿貫 浩一
- 審判官 前畑 さおり
- 審判官 坂田 麻智
- 分類
- D18 .121-WY (G2-1)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条、意匠法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2023- 22477「車両の内装」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和5年(2023年)10月27日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 6年(2024年) 4月25日付け 拒絶理由の通知
同年 5月31日 意見書の提出
同年 6月12日付け 拒絶査定
同年 9月13日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願は、店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾」を「内装」という。)を構成する物品及び建築物(以下「内装を構成する物品及び建築物」を「内装意匠」という。)について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の内装意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の意匠に係る物品の欄の記載を「車両の内装」とし、その形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において、当該意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「図面において、青色で着色された部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は、車両の内装に係るものであって、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、車両内を部分的に遮蔽し、又は乗客の立ち入りを防ぐシート状部材であって、その形状は車両の長手方向に設けられた両側のドアと水平にそれぞれ略縦長長方形のシートが設けられ、それらをつなぐようにそれらシートと垂直に略横長長方形のシートが設けられている部分です。(なお、【意匠の説明】及び添付図面から、3枚のシートのそれぞれ四隅に設けられた紐状の接続部は意匠登録を受けようとする部分に含まれていないと認定します。)
この種物品分野において、車両内の一部をシート状部材によって遮蔽し荷物を目隠しする手法は、意匠1に示すように本願出願前から極一般的に見受けられます。また、その形状を矩形とすることは意匠1に示すように本願出願前から公知です。さらに、シート状部材によって車両への乗客の立ち入りを防ぐ手法は、意匠2に示すように本願出願前から極一般的に見受けられます。また、その形状を矩形とすることは意匠2に示すように本願出願前から公知です。したがって、この意匠登録出願の意匠登録を受けようとする部分は、すでに公知の形状に基づいてシート状部材をありふれた手法で平面視コの字状を構成したに過ぎず、当業者であれば容易に創作することができたものと認められます。
<意匠1>
表題 宇都宮線の新聞輸送列車(541M・13:08発宇都宮行)
掲載箇所 記事中に掲載された17枚の写真中、9枚目の写真及び16枚目の写真
媒体のタイプ [online]
公開年月日 2018年2月4日
検索日 2024年4月23日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://westantenna.com/%E6%96%B0%E8%81%9E/1317/
<意匠2>
表題 <東横線にQシート>1両の定員は最大で45人、指定席車の価値は車内環境
掲載箇所 記事中に掲載された20枚の写真中、14枚目の写真及び20枚目の写真
媒体のタイプ [online]
公開年月日 2023年8月11日
検索日 2024年4月23日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://shin-yoko.net/2023/08/11/tokyu_line2023-7/」
第4 請求人の主張
請求人は、令和6年(2024年)9月13日に提出した審判請求書において、要旨以下のとおり主張した。
「1 本願意匠のコンセプト
本願意匠は、意匠に係る物品を「車両の内装」としており、列車の先頭部または最後尾部の運転室に隣接するスペースに遮蔽された空間領域をつくり、旅客と荷物運搬とを双方同時に行いながら、遮蔽された空間領域内で荷物運搬の積荷を行うことにより、乗客から見えないように積荷を行うことを可能とするものです。そして、本願意匠では、旅客車の先頭部または最後尾部の運転室に隣接するスペースに遮蔽された空間領域を作るため、ポールとポールを結ぶようなシートを、左右にある開閉ドアに各1枚、列車進行方向につき車両を塞ぐように1枚、計3枚のシートをコの字状に張ることによって(意匠出願書に添付した「使用状態を示す参考斜視図1」を参照)、運転室に隣接する部分に空間領域を創出するものとなっています。運転室に隣接するスペースは、乗客用の座席が配置されていないこともあり、十分な積荷のスペースを確保でき、運転室から運転手や車掌や乗務員による監視を可能にし、さらには、運転室側からの採光を確保することもできる仕様になっています。
実際に、旅客車の内部に、乗客の座席など障害物のない採光性に優れた一定程度の大きさを有する空間領域を作ることは、旅客車両の有効活用という面から、多様性や利便性を有しています。
そのため、本願意匠は、車両空間の有効活用という観点から、新たな着想点を有する内装の意匠といえます。
2 本願意匠について
(1)意匠に係る物品
本願意匠は、意匠に係る物品を「車両の内装」とし、「意匠に係る物品の説明」には、「先頭または最後尾の車両の、運転室に隣接するスペースを、部分的に遮蔽できる車両の内装である。本物品を用いることで、旅客車に同乗した乗客から、本物品で遮蔽したスペース内の荷物を目隠しでき、かつ、当該スペースへの立ち入りを防ぐことができる。本物品を構成するシート状部材のうち、ドア側の一部を取り外しできるので、車両停車時に、開いたドア側から荷物を載せたり、降ろしたりすることもできる。さらに、本物品は、ドア側又は運転室側からの採光も部分的に確保できるようになっている。」と記されています。
(2)本願意匠の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
・本願意匠の用途
本願意匠の用途は、「意匠に係る物品の説明」に記載されるように、「車両の内装」であって、特に「先頭または最後尾の車両であって運転室に隣接する箇所の内装」用であります。
・本願意匠の機能
本願意匠の機能は、同様に、「同乗した乗客から、本物品で遮蔽したスペース内の荷物を目隠しでき、かつ、当該スペースへの立ち入りを防ぎながら、車両停車時に、開いたドア側から荷物を載せたり、降ろしたりすることもできる。」ものであります。
・本願意匠の位置
本願意匠の位置は、上述のように、「先頭または最後尾の車両であって運転室に隣接する箇所」に、「通路を塞ぐ矩形状シート」と、当該「通路を塞ぐ矩形状シート」を挟んで「左右のドアを塞ぐ矩形状シート」とからなるいわば「コの字状」形態が、「先頭または最後尾の車両であって運転室」側に向かった位置に配されるものであり、本願意匠と「先頭または最後尾の車両であって運転室」の壁が、遮蔽したスペースを形成するものであります。
・本願意匠の大きさ
本願意匠の大きさは、「左右の開閉ドア側に配される矩形状シート」では、開閉ドアの3分の2程度の大きさであって、縦方向の長さは開閉ドアの3分の2程度であり、縦横比は凡そ4:3.7となっています(本願意匠の願書案に添付した図面「B―B・C―C部分におけるA―A線拡大断面図」を参照)。同様に、「通路を塞ぐ矩形状シート」では、縦方向の長さは「左右の開閉ドア側に配される矩形状シート」と同様の長さで、横方向の長さは車両の幅とほとんど変わらない長さであって、「左右の開閉ドア側に配される短形状シート」と「通路を塞ぐ短形状のシート」の間に隙間がほとんどないようによって遮蔽された空間内につき、通路及び座席から視認し難く、遮蔽できるように、凡そ「左右の開閉ドア」間を塞ぐ大きさを有しており、縦横比は凡そ4:7.2となっています。
・本願意匠の範囲
本願意匠の範囲は、「先頭または最後尾の車両」であって、且つ、「運転室に隣接する箇所の内装」となる範囲になっています。
(3)本願意匠の形態
本願意匠の形態は、
ア.「通路を塞ぐ矩形状シート」と、「左右の開閉ドア側に配される矩形状シート」とからなる、3つの矩形状シートを「コの字状」にする形態を有しており、
イ.「通路を塞ぐ矩形状シート」の縦横比は凡そ4:7.2であり、
ウ.「左右の開閉ドア側に配される矩形状シート」の縦横比は凡そ4:3.7となっています。
(4)本願意匠の特徴
本願意匠は、旅客車両の先頭部または最後尾部に、採光性に優れた、遮蔽された空間を作ることができる内装の意匠です。遮蔽された部分は、願書案で記載したとおり、左右の開閉ドアに配される短形状のシートには、縦横比凡そ4:3.7のシートを、列車の進行方向の通路を塞ぐ短形状のシートには、縦横比凡そ4:7.2のシートを配しており、遮蔽された空間の外側からは、遮蔽された空間の内部の様子が簡単に覗くことができないようになっています。
また、遮蔽された空間の運転席側には、短形状のシートなどを張らず、運転席側から採光を確保できるのみならず、運転席からは、遮蔽された空間の内部の様子を観察することができる仕様となっています。
3 引用意匠について
(1)引用意匠1について
<意匠に係る物品>
引用意匠1は、その記載から、意匠に係る物品は「荷物室・荷物用の幕」であり、そもそも「内装の意匠」にはあたりません。
<引用意匠の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲>
・引用意匠1の用途
引用意匠1の用途は、荷物室として1両全体か1両の大部分を使用している車両の中央に、1枚のシートが左右の開閉ドア、床下及び天井から離間させてとりつけられていることから、目印となるもの、或いは、車両の中央の往来を防ぐものといえます。そして、引用意匠1からは遮蔽された空間領域を創出するというような点は見出せません。
・引用意匠1の機能
引用意匠の機能は、上述のように、目印となるもの、或いは、車両の中央の往来を防ぐものであって、「同乗した乗客から、本物品で遮蔽したスペース内の荷物を目隠しできる」ものでもなければ、遮蔽したスペースを設け得るものでもありません。
・引用意匠1の位置
引用意匠1の位置は、少なくとも「荷物室として1両全体か1両の大部分を使用している車両の中央箇所」に、「荷物用」と表示された1枚の横長シート状「幕」が、紐又はワイヤーにテンションをかけながら、その上辺側の左右頂点の夫々が、乗降者用ドアの左右のポールから離間させながら、且つ、座席側近傍のL字状ポールの位置に重なり、且つ、括り付ける左右のポールよりも下側になるように吊り下げられて、左右ドアの近傍に空間を生じさせ、さらに、下辺側の左右頂点の夫々は、乗降者用ドアの左右のポールから離間させ、且つ通路床から座席の上端側までの所定高さの空間ができて解放され、さらに、左右の開閉ドアの3か所には、左右開閉ドアの10分の1程度の大きさであって、「荷物室」と表示された小さな幕が、左右開閉ドアの略中央にはられています。
・引用意匠1の大きさ
引用意匠1(令和6年4月30日付の拒絶理由通知書に添付された「荷物用」と書かれた幕)の大きさは、開閉ドアの5分の3程度の大きさであって、縦横比は庁資料により凡そ6.1:10.1と測定できます。さらに、左右の開閉ドアの3か所にはられた「幕」(令和6年4月30日付の拒絶理由通知書に添付された開閉ドアを塞ぐように配置された「荷物室」と書かれた幕)は、左右開閉ドアの10分の1程度の大きさであって、縦横比は庁資料により凡そ1.5:2.9と測定できます。
・引用意匠1の範囲
引用意匠1の範囲は、少なくとも「荷物室として1両全体か1両の大部分を使用している車両の中央箇所」に、左右開閉ドア周りを解放できるように、所定距離離間させて、且つ、通路床下から所定高さになる位置に配して、目印としての「幕」として視覚効果を発揮できる範囲に張られています。
<引用意匠1の形態>
引用意匠の形態は、
ア.「左右開閉ドア周りを解放しながら、新聞等を視認できるよう通路を部分的に塞ぐ矩形状シート」とからなるもので、「荷物室として1両全体か1両の大部分を使用している」ことから、3つの矩形状シートの形態を備える必要もありません。
イ. 「通路を塞ぐ矩形状シート」の縦横比は庁資料により凡そ6.1:10.1と測定でき、
ウ.「左右の開閉ドア側に配される矩形状シート」の縦横比は庁資料により凡そ1.5:2.9となっております。
(2)引用意匠2について
<意匠に係る物品>
引用意匠2は、その記載から、1か所を除き開閉するドアから乗客の車両内への乗車を防止するための「幕」であって、意匠に係る物品としては「幕」であり、そもそも「内装の意匠」にはあたりません。
<引用意匠2の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲>
・引用意匠2の用途
引用意匠2の用途は、開閉するドアから車両内への乗車を防止するための幕であって、視覚的効果も発揮するような目印ともなる幕といえます。
・引用意匠2の機能
引用意匠2の機能は、同様に、開閉するドアから車両内への乗車を防止し、目印ともなる機能を有しています。
・引用意匠2の位置
引用意匠2の位置は、少なくとも乗客が乗車する車両の、1か所を除き左右開閉ドアの箇所に、「Q SEAT こちらからはご乗車になれません」と表示された1枚の横長シート状「幕」が、紐又はワイヤーにテンションをかけながら、上辺側の左右頂点の夫々が、乗降者用ドアの左右のポールから略離間せずに、且つ、開閉するドアの3分の2程度の高さから床まで吊り下げられるような位置にはられています。
・引用意匠2の大きさ
引用意匠2の大きさは、開閉ドアの3分の2程度の大きさであって、縦横比は庁資料により凡そ6.5:7.2と測定できます。
・引用意匠2の範囲
引用意匠2の範囲は、少なくとも「1か所を除き開閉するドアから乗客の車両内への乗車を防止するために、1か所を除いた車両全体の余りの開閉ドア」の範囲となっています。
<引用意匠2の形態>
引用意匠の形態は、
ア.「左右開閉ドアが開いても乗車できないような幕を張ってドアを部分的に塞ぐ矩形状シート」からなるもので、少なくとも「1か所を除き開閉するドア」のみに取り付けていることから、所謂3つの矩形状シートの形態を備える必要もありません。
イ.「左右の開閉ドア側に配される矩形状シート」の縦横比は庁資料により凡そ6.5:7.2と測定できます。
(3)引用意匠の考察
引用意匠1および引用意匠2は、いずれも、意匠に係る物品としては「幕」または「シート」であり、「車両の内装」ではなく、「内装の意匠」にもあたりません。また、上記のとおり、引用意匠1および引用意匠2は、本願意匠と比較すると「用途」「機能」「位置」「大きさ」の点でも異なるものであり、ポールとポールを結ぶようにシートを張っている態様が現れている点などが、一部、共通しているにすぎないと思料いたします。
すくなくとも、引用意匠を基にして、「置き換え」、「寄せ集め」、「配置の変更」、「構成比率の変更」、「連続する単位の数の増減」、「物品等の枠を超えた構成の利用・転用」などのありふれた手法を組み合わせても、本願意匠は創作できないものと思料いたします。
4.本願意匠の創作性について
本願意匠は「車両の内装」であり、特に「先頭または最後尾の車両の、運転室に隣接するスペースを、目隠しできる程度に部分的に遮蔽できる車両の内装」であります。
これに対して、引用意匠1及び引用意匠2は、「先頭または最後尾でなく、運転室に隣接しないスペース」に張られた「1枚の矩形状シート」や、単に「左右の開閉ドア」に配された「1枚の矩形状シート」であり、単にポールとポールを結ぶようにシートを張った創作です。
本願意匠は、単に、「鉄道車両のドア付近のポールとポールを結ぶようにシートを張った創作」ではなく、「車両の内装」として、「運転室に隣接するスペースを、部分的に遮蔽できる」といった、「所望の空間領域」を「車内の内装」として創出し得る形態として具現化したものであるといえます。」
第5 当審の判断
以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠
(1)本願意匠について
本願意匠は、鉄道車両の車内において、シートにより一部の空間を遮蔽するための用途及び機能を有する「車両の内装」である。
(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、車内の両扉と客室を仕切ることによって、荷物を目隠しする用途及び機能を有するものである。
(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分の位置、大きさ及び範囲は、左側面視、右端寄り(先頭又は最後尾)の車内の両扉周辺の床から半分程度の高さに位置し、側面視において扉の約半分強の大きさ、正面視において車内の約半分弱の大きさ及び範囲である。
(4)本願部分の形状等
本願部分は、正面視、略横長長方形のシート(以下「正面シート」という。)の両側に、同じ高さの略縦長長方形のシート(以下「側面シート」という。)をやや隙間を空けて上面視略逆「コ」の字状に配置したものであって、縦横の長さの比率は、正面シートが約1:1.8、側面シートが約1:0.9で、正面シートは側面シートの約2倍の大きさである。
2 引用意匠の認定
(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は、鉄道車両の車内において、両扉周辺の床から約1/4から約3/4までの高さを横に仕切る「幕」の意匠であって、その形状等は、正面視、略横長長方形の白色のシートで、上端の両隅から車内の上隅に斜めに固定用のロープを張っている。
縦横の長さの比率は、約1:1.8で、中央付近に「荷物用」の文字列を施している。
(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は、鉄道車両の車内において、扉の前を床から2/3程度の高さを横幅いっぱいに仕切る「幕」の意匠であって、その形状等は、扉の外側から見て略矩形状の赤色のシートで、両端の上下端寄りと真ん中付近に取り付けたチチを介して両側のポールに固定している。
縦横の長さの比率は、おおよそ1:1で、上端寄りに「Qシート こちらからはご乗車になれません」の白文字列と中央やや下に白色の禁止マークを施している。
3 本願意匠の創作性の検討
この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、略横長長方形のシートを鉄道車両の車内の両扉周辺の床から約1/4から約3/4までの高さを横に仕切るように配置したもの(意匠1)や、略矩形状のシートを鉄道車両の車内の扉の前を床から2/3程度の高さを横幅いっぱいに仕切るように配置したもの(意匠2)が、本願の出願前から公然知られているものである。
しかしながら、本願部分のように、正面シートと側面シートをやや隙間を空けて上面視略逆「コ」の字状に配置し、鉄道車両の車内の先頭寄り又は最後尾寄りの両扉周辺の床から半分程度の高さを仕切ったものは、引用意匠には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願意匠は、この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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