特許拒絶査定不服審判
2024-012486
モータの冷却構造
- 審判番号
- 2024-012486
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-559259
- 請求日
- 2024年07月31日
- 審決日
- 2025年06月06日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社Liberaware
- 【請求人代理人】One ip弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 小宮 慎司
- 審判官 緑川 隆
- 審判官 今井 聖和
- 分類
- P18 .121-WY (H02K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-559259「モータの冷却構造」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月18日国際公開、WO2020/122077、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和1年)12月10日(優先権主張 平成30年12月10日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月 7日 :手続補正書の提出
令和5年12月27日付け:拒絶理由通知書
令和6年 2月19日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月 9日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 7月31日 :審判請求書の提出
令和7年 3月12日付け:拒絶理由通知書(以下、当該拒絶理由通知書に係る拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)
同年 4月24日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和6年5月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~5に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明、引用文献B、E、Fに記載された事項及び引用文献C、Dに記載された周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2006-158134号公報
B.特開2017-034933号公報
C.特開2018-113758号公報(周知技術を示す文献)
D.特開2009-153261号公報(周知技術を示す文献)
E.特開平10-191595号公報
F.国際公開第2018/139661号
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1、3、4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2、3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2018-129894号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開2017-34933号公報(原査定の引用文献B)
3.特開昭54-34539号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明4」という。)は、令和7年4月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1~4は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
基板に配置されるモータ及び該モータの駆動によって回転されるプロペラを備えるモータの冷却構造において、
前記プロペラは、熱伝導性部材によって形成され、
前記モータは、
コイルが配置されて該コイルから発生する熱を前記基板に伝熱する熱伝導性部材によって形成されるステータと、
前記プロペラが連結されて前記ステータと組み合わせられるとともに該ステータに配置される前記コイルとの間で磁界を発生させる磁石が配置されて該磁石から発生する熱を前記プロペラに伝熱する熱伝導性部材によって形成されるロータと、を備え、
前記プロペラの回転によって前記ロータから前記プロペラに伝熱された熱が放熱されるとともに前記ステータから前記基板に伝熱された熱が前記プロペラの回転によって発生する空気流に放熱され、
前記ロータは、
前記ステータを収容するアウタロータであり、
前記アウタロータの回転軸に前記プロペラのプロペラ側軸受が係合され、前記プロペラ側軸受を貫通して前記アウタロータのロータケースの上面部に係合するビスによって前記プロペラと前記アウタロータとが連結され、
前記ロータケースの上面部には、前記回転軸が通る穴及び前記ビスが通る穴を除き、ロータケースの内部に連通する通気穴が形成されておらず、
前記熱伝導性部材は、
熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂であることを特徴とするモータの冷却構造。
【請求項2】
前記ステータは、ビスによって基板に固定されるフランジを有することを特徴とする請求項1に記載のモータの冷却構造。
【請求項3】
無人飛行装置に搭載されることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータの冷却構造。
【請求項4】
基板に配置されるモータ及び該モータの駆動によって回転されるプロペラを備えるモータの冷却構造において、
前記プロペラは、熱伝導性部材によって形成され、
前記モータは、
コイルが配置されて該コイルから発生する熱を前記基板に伝熱する熱伝導性部材によって形成されるステータと、
前記プロペラが連結されて前記ステータと組み合わせられるとともに該ステータに配置される前記コイルとの間で磁界を発生させる磁石が配置されて該磁石から発生する熱を前記プロペラに伝熱する熱伝導性部材によって形成されるロータと、を備え、
前記プロペラの回転によって前記ロータから前記プロペラに伝熱された熱が放熱されるとともに前記ステータから前記基板に伝熱された熱が前記プロペラの回転によって発生する空気流に放熱され、
前記ロータは、
前記ステータを収容するアウタロータであり、
前記アウタロータの回転軸に前記プロペラのプロペラ側軸受が係合され、前記プロペラ側軸受を貫通して前記アウタロータのロータケースの上面部に係合するビスによって前記プロペラと前記アウタロータとが連結され、
前記ロータケースの上面部には、前記回転軸が通る穴及び前記ビスが通る穴を除き、ロータケースの内部に連通する通気穴が形成されておらず、
前記プロペラは、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリアセタール樹脂、または変性ポリフェニレンエーテル樹脂によって形成されることを特徴とするモータの冷却構造。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータがステータの外周側を回転するようにしたアウターロータ型モータに関し、特に防水防塵のためのシール構造を備えるアウターロータ型モータ及び、このアウターロータ型モータを駆動源とする飛行装置に関するものである。」
「【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い防水防塵性能を備えるアウターロータ型モータ及び風雨などの過酷な環境下でも安全で安定した飛行を行える小型の飛行装置を提供することができる。」
「【実施例】
【0017】
図1、図2、図3は、本発明の一例を示すアウターロータ型モータ1の外観図である。図1を正面図として、図2は平面図、図3は底面図を示している。図4は、図1で指示したX-X断面であって、アウターロータ型モータ1の内部構造を示している。
【0018】
アウターロータ型モータ1は、ステータの周囲でロータが回転するアウターロータ型のブラシレスモータである。アウターロータ型モータ1が起動しているとき、固定側ユニット10に対して、回転体20が回転する。
固定側ユニット10は、固定支持体11及び、固定支持体11に固定配置されたステータ12、プレート13などで構成される。
回転体20は、回転出力軸21、ロータ支持部材22、ロータ23、ロータ23の内周部に固定されたマグネット24、カバー部材25などで構成される。
回転体20は、ベアリング31、32を介して、固定側ユニット10に対して回転可能に支持されている。
【0019】
ステータ12は、図4に示す例によれば、軸方向に2つ並んだかたちで固定支持体11に固定配置されている。各ステータ12の位置は、スペーサ15a,15bによって定まっている。そして、各ステータ12には巻線コイル14が巻かれている。巻線コイル14のリード線14aは、固定支持体11の穴部11hとプレート13の穴部13hを通って、外部に導かれている。尚、リード線14aを外部に導いた後、固定支持体11の穴部11hは、封止用の接着剤を充填し密封している(封止材16)。
リード線14aは、アウターロータ型モータ1の駆動装置(図示せず)に接続され、この駆動装置が出力する制御電圧によって、アウターロータ型モータ1の回転体20が回転する。
【0020】
回転体20は、回転出力軸21を下にして見るとき、カバー部材25側を開放端側、ロータ23の円筒部位を側面、ロータ支持部材22側を有底側とするカップ形状をしている。回転体20には、カップ形状の内側と外側をつなぐ貫通部は無い。また固定側ユニット10を構成する固定支持体11において、回転体20の開放端付近に位置する部分は、穴部11hに封止用の接着剤を充填した状態では、カップ形状の内側と外側をつなぐ貫通部は無い。すなわち、カップ形状の開放端側に位置するカバー部材25と固定側ユニット10との間を、防水防塵構造とすることにより、アウターロータ型モータ1の防水防塵対策となる。」
「【0023】
カバー部材25と固定支持体11でラビリンス隙間S(s2、s3、s4)を形成している対向面となる部分に撥水性皮膜を設けている。また、カバー部材25とプレート13でラビリンス隙間S(s1)を形成している対向面となる部分に撥水性皮膜を設けている。これにより、カバー部材25と固定側ユニット10との間の防水性能を高めている。より具体的な形態として、例えば、カバー部材25、固定支持体11、プレート13の材質を非磁性体のアルミニウム材として、少なくともラビリンス隙間Sの一部を形成する部分に潤滑アルマイト加工処理を行い撥水性皮膜を形成する。
【0024】
図6は、アウターロータ型モータ1において、固定支持体11にネジ止めしているプレート13を取り外した状態での底面図である。図5及び図6に示すように、カバー部材25には、プレート13と対向する面にフィン25fを備えている。例えば、カバー部材25とプレート13との間に水分が介在する状態で回転体20が一定の方向(底面図である図6の例によれば、底面側からみて半時計方向)に回転するとき、フィン25fによって水分は径外方向にはじき飛ばされるとともに、径方向内側に水などが浸入するのを防ぐことができる。」
「【0028】
図7は、アウターロータ型モータ1を動力として適用した小型飛行装置の一形態であるマルチコプター100を示す斜視図である。図示例によれば、マルチコプター100は、回転出力軸21にプロペラ41を取り付けたアウターロータ型モータ1を4台使用している。
マルチコプター100の本体ユニット101にアーム102が4本取り付けられている。各アーム102の端部のモータ固定部102bに、アウターロータ型モータ1が固定されている。
アウターロータ型モータ1は、プレート13を取り付けられていない状態で、モータ固定部102bに固定支持体11が固定されている。
このとき、モータ固定部102は、カバー部材25との間でラビリンス隙間の一部を形成するとともに、アウターロータ型モータ1の発熱を逃がす。すなわち、モータ固定部102は、プレート13と同じ役割をはたしている。
【0029】
マルチコプター100は、過酷な環境下での使用においても、アウターロータ型モータ1の高い防水防塵性能に加え、アウターロータ型モータ1の発熱による損失を抑えることができるので、風雨などによる過酷な環境下でも安全で安定した飛行を行える。」
「【図2】
[図:0001423312000001.jpg]
」
「【図4】
[図:0001423312000002.jpg]
」
「【図6】
[図:0001423312000003.jpg]
」
(2)引用文献1に記載された事項
上記(1)の記載によれば、引用文献1には、以下の事項が記載されているといえる。
ア 【0018】によれば、「アウターロータ型モータ1」は、「ステータの周囲でロータが回転するアウターロータ型」であって、「固定側ユニット10に対して、回転体20が回転する」ものである。
イ 【0018】によれば、「固定側ユニット10は、固定支持体11及び、固定支持体11に固定配置されたステータ12、プレート13など」で構成されるものである。一方、【0028】によれば、「マルチコプター100」で使用する「アウターロータ型モータ1」は、「プレート13を取り付けられていない状態で、モータ固定部102bに固定支持体11が固定され」、「モータ固定部102bは、プレート13と同じ役割をはた」すとされている。そうすると、「マルチコプター100」で使用する「アウターロータ型モータ1」の「固定側ユニット10」は、「固定支持体11及び、固定支持体11に固定配置されたステータ12など」で構成されるものである。(【0028】の「モータ固定部102」は、「モータ固定部102b」の誤記と認められるため、訂正した。)
また、【0019】によれば、「ステータ12」には「巻線コイル14」が巻かれている。
また、【0023】によれば、「固定支持体11」の材質は、「アルミニウム材」である。
ウ 【0018】によれば、「回転体20は、回転出力軸21、ロータ支持部材22、ロータ23、ロータ23の内周部に固定されたマグネット24、カバー部材25など」で構成されるものである。
また、【0020】によれば、「回転体20」は、「カバー部材25側を開放端側、ロータ23の円筒部位を側面、ロータ支持部材22側を有底側とするカップ形状」をしており、「回転体20には、カップ形状の内側と外側をつなぐ貫通部は無い」ものである。
また、【図2】及び【図4】によれば、「回転体20」の「ロータ支持部材22側」には、「回転出力軸21」が通る穴が設けられていることが見て取れる。
エ 【図4】によれば、「固定側ユニット10」の「固定支持体11」及び「ステータ12」は、「回転体20」の「ロータ23」の内部に配置されることが見て取れる。
オ 【0028】によれば、「マルチコプター100」は、「本体ユニット101にアーム102が4本取り付けられて」おり、「各アーム102の端部のモータ固定部102b」に、「回転出力軸21にプロペラ41を取り付けたアウターロータ型モータ1」が固定されている。また、【0028】によれば、「アウターロータ型モータ1」は、「プレート13を取り付けられていない状態」で、「モータ固定部102bに固定支持体11が固定され」、「アウターロータ型モータ1の発熱を逃がす」ものである。
(3)引用発明
上記(2)の摘記事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。(括弧内は、上記(2)の引用元を示す。)
「アウターロータ型モータ1は、ステータの周囲でロータが回転するアウターロータ型であって、固定側ユニット10に対して、回転体20が回転するものであり、(ア)
固定側ユニット10は、固定支持体11及び、固定支持体11に固定配置されたステータ12などで構成され、ステータ12には巻線コイル14が巻かれており、固定支持体11の材質は、アルミニウム材であり、(イ)
回転体20は、回転出力軸21、ロータ支持部材22、ロータ23、ロータ23の内周部に固定されたマグネット24、カバー部材25などで構成され、カバー部材25側を開放端側、ロータ23の円筒部位を側面、ロータ支持部材22側を有底側とするカップ形状をしており、カップ形状の内側と外側をつなぐ貫通部は無く、回転体20のロータ支持部材22側には、回転出力軸21が通る穴が設けられており、(ウ)
固定側ユニット10の固定支持体11及びステータ12は、回転体20のロータ23の内部に配置され、(エ)
本体ユニット101にアーム102が4本取り付けられており、各アーム102の端部のモータ固定部102bに、回転出力軸21にプロペラ41を取り付けたアウターロータ型モータ1が固定され、アウターロータ型モータ1は、プレート13を取り付けられていない状態で、モータ固定部102bに固定支持体11が固定され、アウターロータ型モータ1の発熱を逃がす、マルチコプター100。(オ)」
2 引用文献2(引用文献B)について
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献2(原査定の引用文献B)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0059】
翼取付部44は、例えば、ネジ71等によってマグネット保持部41に固定される。ネジ71は、翼取付部44の上側から、第1凹部44hおよび第2孔部44fを介して取付部固定孔41dに締め込まれる。ネジ71のヘッド部は、第1凹部44h内に位置する。ネジ71の上側の端部は、フランジ部上面44iよりも下側に位置する。そのため、フランジ部上面44iに、後述する翼2の固定部2bを固定する際に、固定部2bの平行度を保つことができる。
【0060】
翼2は、例えば、マルチコプター用のプロペラである。翼2は、翼取付部44に取り付けられる。翼2は、翼取付部44に固定される環状の固定部2bと、固定部2bから径方向外側に延びる複数の翼本体2aと、を有する。固定部2bは、例えば、円環状であり、その中心を中心軸Jが通る。固定部2bの内側面である固定部内側面2cには、取付軸部44aが挿入される。固定部2bの下面は、フランジ部上面44iと接触する。
【0061】
固定部2bは、固定部2bを軸方向に貫通する固定部貫通孔2dを有する。固定部貫通孔2dは、第1孔部44gと軸方向に重なる。固定部2bは、翼取付部44と、例えば、ネジ72等によって固定される。ネジ72は、例えば、固定部2bの上側から、固定部貫通孔2dを介して、第1孔部44gに締め込まれる。ネジ72は、固定部2b(翼2)の回り止めとして機能する。これにより、翼2がロータ40に対して相対的に回転することを防止できる。すなわち、取付フランジ部44bが設けられることで、翼2の回り止めとしてネジ72を設けることができる。」
「【図1】
[図:0001423312000004.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された事項
上記(1)の記載によれば、引用文献2には、翼2を翼取付け部44に取り付けるために、翼2を、環状の固定部2bと、固定部2bから径方向外側に延びる複数の翼本体2aとを有する形状とし、固定部2bの内側面である固定部内側面2cに取付軸部44aが挿入され、固定部2bと翼取付部44をネジ72によって固定することで、翼2が、ロータ40に対して相対的に回転することを防止することが記載されている。
3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「したがって本発明では第4図に示すようにアウターロータモータを用いた。
本発明のアウターロータの構造は第4図に示す様に巻線12を行なつた固定子13に、軸受14を圧入した軸受部15を圧入し、レジン材16で固定させている。」(第2頁左上欄第5行-第2頁左上欄第10行)
「本発明の他実施例として、温度上昇を下げる手段として、換気扇の羽根を冷却ファンとする方法も有り、この場合は羽根を金属羽根とし、回転子に密着させても多大な効果を発揮することができる。」(第2頁右上欄第20行-第2頁左下欄第第4行)
(2)引用文献3に記載された事項
上記(1)の記載によれば、アウターロータモータの温度上昇を下げる手段として、羽根を金属羽根とし、回転子に密着させることが記載されている。
4 引用文献Aについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Aには、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0018】
図1に示すアウターロータ型ブラシレスDCモータ1は、アウター型のロータ10と、このロータ10を回転自在に支持するステータ20とから構成される。ロータ10は、回転軸11と、この回転軸11がブッシュ12を介して底面13aに固定された有底筒状のロータカップ13と、ロータカップ13の筒状部13bの内周面に沿って配置される円筒状のマグネット14とを備えている。
【0019】
一方、ステータ20は、2つの軸受け21a,21bを介して回転軸11を回転自在に支持する支持部材22と、ロータ10のマグネット14の内側でラジアル方向のギャップを介して支持部材22に支持されたステータコア23と、このステータコア23に巻回されたコイル24とを備えている。
なお、支持部材22は、樹脂製であり、ステータコア23及びコイル24を封止する封止部22aと、ロータカップ13の開放端側を覆う板状の前カバー部22bとから構成されている。支持部材22の封止部22aと前カバー部22bとの間には、プリント配線基板30が挟持されている。
このプリント配線基板30には、給電用の外部リード線を接続するための図示せぬコネクタが設けられると共に、外部リード線から供給される電流をコイル24に所定のタイミングで伝達する図示せぬ電気回路、及びマグネット14の回転により変化する磁束を検出してロータ10の回転を検知する図示せぬFGパターン等が搭載されている。
【0020】
上記のロータカップ13の底面13aには、ロータカップ13と一体に回転する羽根15が固着されている。また、ロータカップ13の底面13aには、ロータカップ13内に連通する通気穴13cが複数形成されている。この例では、図3に示すように、円周方向に沿って12個の通気穴13cが形成されている。
【0021】
羽根15は、ロータカップ13と一体に回転することにより通気穴13cを通してロータカップ13内の空気を排出する作用を持つ。羽根15は、回転軸11の軸線方向と平行に形成され、放射状に配置された複数のフィン15aと、周辺部でフィン15aを覆うことにより隣り合うフィンの間に空気の流れる通路を形成するカバー部15bとを備える。また、カバー部15bは、中央部に開口16を持ち、ロータカップ13の底面13aと平行に形成された平板部分と、ロータカップ13の筒状部13bと平行な円筒部分とを備えており、これらの平板部分と円筒部分とは断面円弧状の曲面により滑らかに連続して形成されている。」
「【0034】
さらに、フィラーとしてアルミナを高充填し、熱伝導率を5(W/m・K)以上とした樹脂モールド材を支持部材として利用してもよい。モータ用に用いられる樹脂モールド材は熱硬化樹脂であり、その熱伝導率は3(W/m・K)程度が一般的である。このため、熱伝導が悪く、表面からの放熱が難しい。これに対して、上記のように熱伝導率を5(W/m・K)以上とすれば、樹脂製の支持部材の表面からの放熱効果が増加し、冷却用の羽根を用いなくともロータカップ内に配置されたステータの温度上昇を抑えることができる。」
「【図1】
[図:0001423312000005.jpg]
」
5 引用文献Cについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Cには、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0028】
一方、上記アウターロータ20は、図1および2に示すように、カップ状のロータ本体21と磁石22とバックヨーク23とインサート金具24とを有する。上記カップ状のロータ本体21は、モールド樹脂からなっていて、磁石22とバックヨーク23とインサート金具24に樹脂モールド成型によって一体化されている。上記磁石22はロータ本体21の筒状部の内側に設けられていて、上記ステータコア12の径方向の外側に位置し、上記バックヨーク23は磁石22の背面側に位置する。上記インサート金具24は、上記ロータ本体21に一体化すると共に、回転軸30のローレット部に係合しているため、上記アウターロータ20は、回転軸30と一体になってインナーステータ10の回りを回転する。」
「【図1】
[図:0001423312000006.jpg]
」
「【図2】
[図:0001423312000007.jpg]
」
6 引用文献Dについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Dには、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0033】
送風ファン40は、5枚の羽根47を備えており、5枚の羽根47は、ボス部41から径方向外周側にそれぞれ延出するように形成されている。5枚の羽根47は、ボス部41とともに、軸流ファンを構成している。
【0034】
なお、5枚の羽根47およびボス部41は、樹脂材料により一体に成形されている。」
「【図1】
[図:0001423312000008.jpg]
」
「【図2】
[図:0001423312000009.jpg]
」
7 引用文献Eについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Eには、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0017】
14は前記ハウジング1の基部1aの下面にネジ21止め固定された制御回路基板であって、前記センサマグネット12の磁力を検出するために120゜おきに配列された3個のホールセンサ15と、ホールセンサ15の検出信号に従って駆動素子16をドライブする制御回路が設けられている。駆動素子16は、具体的には例えばパワーMOSFETであり、ハウジング1の基部1aの裏面に水平向きに密着するように絶縁シートを介して取付けられており、前記3組のコイル7への電流をスイッチングする。ここで前記したように制御回路基板14はハウジング1に固定されているので、基板14と駆動素子16とは相対的に固定された位置関係にある。同様に基板14とコイル7の位置関係も固定される。」
「【図2】
[図:0001423312000010.jpg]
」
8 引用文献Fについて
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Fには、図面とともに以下の事項が記載されている。
「[0012] 図1から図3に示すように、無人飛行体Dr1は、本体部1と、主シャフト2と、主プロペラ3と、主モータ4と、3個の補助シャフト5と、3個の補助プロペラ6と、3個の補助モータ7と、バッテリ81と、カメラ82と、回路基板83と、を備える。無人飛行体Dr1において、主シャフト2及び3個の補助シャフト5は、本体部1より軸方向に延びる。そして、主シャフト2に接続された主プロペラ3及び3個の補助シャフト5のそれぞれに接続された補助プロペラ6が、それぞれ、主モータ4及び3個の補助モータ7によって回転される。主プロペラ3及び3個の補助プロペラ6の回転によって、軸方向下方に気流が発生する。無人飛行体Dr1は、主プロペラ3及び3個の補助プロペラ6の回転で発生する気流によって揚力を得て、空中に浮揚する。無人飛行体Dr1は、補助プロペラ6を3個備えているが3個に限定されず、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。姿勢制御、移動制御等を容易に行うことができれば、個数には、こだわらないが、少なくとも、複数備える。主プロペラ3の回転軸に対する回転半径は、補助プロペラ6の回転軸に対する回転半径よりも大きい。つまり、主プロペラ3は、補助プロペラ6よりも大型のプロペラである。」
「[図1]
[図:0001423312000011.jpg]
」
「[図3]
[図:0001423312000012.jpg]
」
第6 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 「基板に配置されるモータ及び該モータの駆動によって回転されるプロペラを備えるモータの冷却構造」について
本願明細書の【0036】に「この無人飛行装置1は、機体2及びこの機体2から放射状に形成される基板11が実装された形態である4本のアーム3を備え、これら各アーム3の先端に、モータの冷却構造10を構成するモータ20及びモータ20に連結されたプロペラ30が搭載される。」と記載され、【0049】に「フランジ21aに伝熱された熱H1は、アーム3(基板11)に伝熱され、アーム3(基板11)に伝熱された熱H1は、プロペラ30の回転によって発生する空気流Aに放熱される。」と記載されていることから、本願発明1の「モータ」が配置される「基板」は、「無人飛行装置」の「アーム」を含むものである。そうすると、引用発明の「アーム102」の端部の「モータ固定部102b」に固定される「アウターロータ型モータ1」は、本願発明1の「基板に配置されるモータ」に対応する。
また、引用発明の「アウターロータ型モータ1」の「回転出力軸21」に取り付けた「プロペラ41」は、「アウターロータ型モータ1」の駆動によって回転されるものといえるから、本願発明1の「モータの駆動によって回転されるプロペラ」に対応する。
そして、引用発明は、「モータ固定部102b」に「アウターロータ型モータ1」の「固定支持体11が固定されて、アウターロータ型モータ1の発熱を逃がす」構造を有するものであるから、「モータの冷却構造」といえる。
してみれば、引用発明は、「基板に配置されるモータ及び該モータの駆動によって回転されるプロペラを備えるモータの冷却構造」である点で、本願発明1と共通する。
イ 「前記モータ」が備える「コイルが配置されて該コイルから発生する熱を前記基板に伝熱する熱伝導性部材によって形成されるステータ」について
引用発明の「アウターロータ型モータ1」は、「ステータの周囲でロータが回転するアウターロータ型であって、固定側ユニット10に対して、回転体20が回転するもの」であるから、「固定側ユニット10」は「ステータ」といえるものである。また、引用発明の「固定側ユニット10」の「ステータ12」には、「巻線コイル14」が巻かれているから、「固定側ユニット10」に「巻線コイル14」が配置されているといえる。また、引用発明の「固定側ユニット10」の「固定支持体11」の材質は、「アルミニウム材」であり、「モータ固定部102b」に固定されて、「アウターロータ型モータ1の発熱を逃がす」ものであるから、「固定支持体11」は、熱を「モータ固定部102b」に伝熱する熱伝導性部材によって形成されているといえる。
してみれば、引用発明は、「前記モータ」が「コイルが配置され、熱を前記基板に伝熱する熱伝導性部材によって形成されるステータ」を備える点で、本願発明1と共通している。
ウ 「前記モータ」が備える「前記プロペラが連結されて前記ステータと組み合わせられるとともに該ステータに配置される前記コイルとの間で磁界を発生させる磁石が配置されて該磁石から発生する熱を前記プロペラに伝熱する熱伝導性部材によって形成されるロータ」について
引用発明の「回転体20」の「回転出力軸21」には「プロペラ41」が取り付けられている。
また、引用発明の「アウターロータ型モータ1」は、「ステータの周囲でロータが回転するアウターロータ型であって、固定側ユニット10に対して、回転体20が回転するもの」であるから、「回転体20」は「ロータ」といえるものであり、「ステータ」といえる「固定側ユニット10」と組み合わせられるものである。
また、「回転体20」の「ロータ23の内周部」には「マグネット24」が固定され、「固定側ユニット10」の「ステータ12」には「巻線コイル14」が巻かれており、「マグネット24」は、「巻線コイル14」との間で磁界を発生させるものといえる。
してみれば、引用発明は、「前記モータ」が「前記プロペラが連結されて前記ステータと組み合わせられるとともに該ステータに配置される前記コイルとの間で磁界を発生させる磁石が配置されるロータ」を備える点で、本願発明1と共通している。
エ 「前記ロータは、前記ステータを収容するアウタロータであり」について
引用発明の「アウターロータ型モータ1」は、「ステータの周囲でロータが回転するアウターロータ型」であって、「固定側ユニット10に対して、回転体20が回転するもの」である。また、「固定側ユニット10の固定支持体11及びステータ12は、回転体20のロータ23の内部に配置される」ものであり、固定支持体11及びステータ12は、ロータ23に収容するものといえる。
そうすると、引用発明は、「前記ロータは、前記ステータを収容するアウタロータ」である点で、本願発明1と共通する。
オ 「前記ロータケースの上面部には、前記回転軸が通る穴及び前記ビスが通る穴を除き、ロータケースの内部に連通する通気穴が形成されておらず」について
引用発明の「回転体20」は、「カバー部材25側を開放端側、ロータ23の円筒部位を側面、ロータ支持部材22側を有底側とするカップ形状をしており、カップ形状の内側と外側をつなぐ貫通部は無く、回転体20のロータ支持部材22側には、回転出力軸21が通る穴が設けられて」いる。そして、引用発明の「ロータ23」及び「ロータ支持部材22」は、「回転体20」のカップ形状を構成するものであるから、本願発明1の「ロータケース」に対応し、また、引用発明の「回転体20」の「ロータ支持部材22側」は、回転出力軸21が通る穴が設けられていることから、本願発明1の「ロータケースの上面部」に対応する。
そうすると、引用発明は、「前記ロータケースの上面部には、所定の用途の穴を除き、ロータケースの内部に連通する通気穴が形成されて」いない点で、本願発明1と共通する。
カ 上記ア~オによれば、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「基板に配置されるモータ及び該モータの駆動によって回転されるプロペラを備えるモータの冷却構造において、
前記モータは、
コイルが配置され熱を前記基板に伝熱する熱伝導性部材によって形成されるステータと、
前記プロペラが連結されて前記ステータと組み合わせられるとともに該ステータに配置される前記コイルとの間で磁界を発生させる磁石が配置されるロータと、を備え、
前記ロータは、
前記ステータを収容するアウタロータであり、
前記ロータケースの上面部には、所定の用途の穴を除き、ロータケースの内部に連通する通気穴が形成されていないことを特徴とするモータの冷却構造。」
[相違点]
(相違点1)本願発明1の「プロペラ」は、「熱伝導性部材」によって形成されるのに対し、引用発明の「プロペラ41」の材質は不明である点。
(相違点2)本願発明1の「ステータ」は、「該コイルから発生する熱」を「前記基板に伝熱する」のに対し、引用発明の「固定側ユニット10」の「固定支持部材11」が伝熱する熱は、どこで発生したものであるのか不明である点。
(相違点3)本願発明1の「ロータ」は、「該磁石から発生する熱を前記プロペラに伝熱する熱伝導性部材」によって形成されるのに対し、引用発明の「回転体20」の材質は不明である点。
(相違点4)本願発明1は、「前記プロペラの回転によって前記ロータから前記プロペラに伝熱された熱が放熱されるとともに前記ステータから前記基板に伝熱された熱が前記プロペラの回転によって発生する空気流に放熱され」るのに対し、引用発明は、それらの放熱が特定されていない点。
(相違点5)本願発明1は、「前記アウタロータの回転軸に前記プロペラのプロペラ側軸受が係合され、前記プロペラ側軸受を貫通して前記アウタロータのロータケースの上面部に係合するビスによって前記プロペラと前記アウタロータとが連結され」るのに対し、引用発明は、「プロペラ41」がそのように連結されるものではない点。
(相違点6)本願発明1の「ロータケースの上面部」には、「所定の用途の穴」として「前記回転軸が通る穴及び前記ビスが通る穴」が形成されているのに対し、引用発明は、「回転出力軸21が通る穴」が形成されているものの、「プロペラ41」を連結させるための「ビスが通る穴」が形成されていない点。
(相違点7)本願発明1の「プロペラ」、「ステータ」、「ロータ」を形成する「熱伝導性部材」は、「熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂」であるのに対し、引用発明は、「熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂」を用いるものではない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点1及び上記相違点7についてまとめて検討する。
上記相違点1及び上記相違点7に係る本願発明1の「前記プロペラは、熱伝導性部材によって形成され、」「前記熱伝導性部材は、熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂である」との構成に関し、本願発明1は「前記プロペラの回転によって前記ロータから前記プロペラに伝熱された熱が放熱される」との構成を有し、また、本願明細書の【0052】の「磁石24が配置されたアウタロータ23のロータケース23A及びプロペラ30が熱伝導性部材によって形成されることから、モータ20の熱がその熱源となるコイル22及び磁石24のそれぞれに応じて分散して放熱される。」との記載、【0054】の「しかも、本実施の形態では、熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある熱伝導効率のよい樹脂が熱伝導部材として用いられることから、モータ20の冷却効率をより向上させることができる。」との記載があることから、上記相違点1及び上記相違点7に係る本願発明1の上記構成は、「ロータ」から伝熱された熱を「プロペラ」から放熱することを目的として特定されるものである。
これに対し、上記第5の3(2)のとおり、引用文献3は、「羽根」を「金属羽根」とするもの、つまり、「羽根」を「金属」によって形成するものであって、「羽根」を「熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂である」「熱伝導性部材」によって形成することは、記載も示唆もされていない。
また、上記第5の2(2)のとおり、引用文献2にも、「プロペラ」である「翼2」を「熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂である」「熱伝導性部材」によって形成することは、記載も示唆もされていない。
そして、上記相違点1及び上記相違点7に係る本願発明1の構成によって、「ロータ」から伝熱された熱を「プロペラ」から放熱することが、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2、3について
上記第4のとおり、本願発明2、3は、本願発明1に構成を付加し限定したものであるから、引用発明と対比すると、少なくとも上記1(1)で示した相違点1~7を有するものである。
そうすると、本願発明2、3も、上記1(2)と同様の理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明4について
(1)対比
本願発明4は、本願発明1の「前記熱伝導性部材は、熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある樹脂である」との構成を削除し、「前記プロペラは、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリアセタール樹脂、または変性ポリフェニレンエーテル樹脂によって形成される」との構成を追加したものである。
そうすると、本願発明4と引用発明とは、上記1(1)で示した一致点において一致し、上記1(1)で示した相違点1~相違点6、及び、次の相違点8で相違する。
(相違点8)本願発明4の「プロペラ」は、「ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリアセタール樹脂、または変性ポリフェニレンエーテル樹脂によって形成される」のに対し、引用発明の「プロペラ41」の材質は不明である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点1及び上記相違点8についてまとめて検討する。
上記相違点1及び上記相違点8に係る本願発明4の「前記プロペラは、熱伝導性部材によって形成され、」「前記プロペラは、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリアセタール樹脂、または変性ポリフェニレンエーテル樹脂によって形成される」との構成に関し、本願発明4は「前記プロペラの回転によって前記ロータから前記プロペラに伝熱された熱が放熱される」との構成を有し、また、本願明細書の【0052】の「磁石24が配置されたアウタロータ23のロータケース23A及びプロペラ30が熱伝導性部材によって形成されることから、モータ20の熱がその熱源となるコイル22及び磁石24のそれぞれに応じて分散して放熱される。」との記載、【0054】の「しかも、本実施の形態では、熱伝導率が0.6W/mK~30W/mKの範囲にある熱伝導効率のよい樹脂が熱伝導部材として用いられることから、モータ20の冷却効率をより向上させることができる。」との記載があることから、上記相違点1及び上記相違点8に係る本願発明4の上記構成は、「ロータ」から伝熱された熱を「プロペラ」から放熱することを目的として特定されるものである。
これに対し、上記第5の3(2)のとおり、引用文献3は、「羽根」を「金属羽根」とするもの、つまり、「羽根」を「金属」によって形成するものであって、「羽根」を「熱伝導性部材」であり、且つ、「ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリアセタール樹脂、または変性ポリフェニレンエーテル樹脂」によって形成することは、記載も示唆もされていない。
また、上記第5の2(2)のとおり、引用文献2にも、「プロペラ」である「翼2」を、「熱伝導性部材」であり、且つ、「ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリアセタール樹脂、または変性ポリフェニレンエーテル樹脂」によって形成することは、記載も示唆もされていない。
そして、上記相違点1及び上記相違点8に係る本願発明4の構成によって、「ロータ」から伝熱された熱を「プロペラ」から放熱することが、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明4は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和7年4月24日に提出された手続補正書による補正により、本願発明1~3は、いずれも上記相違点1及び上記相違点7に係る本願発明1の上記構成を有するものとなっており、また、本願発明4は、上記相違点1及び上記相違点8に係る本願発明4の上記構成を有するものとなった。
そして、上記相違点1及び上記相違点7に係る本願発明1の上記構成、及び、上記相違点1及び上記相違点8に係る本願発明4の上記構成は、原査定における引用文献A~Fには記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえないので、本願発明1~4は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Fに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、当審において通知した拒絶理由及び原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-012486