特許拒絶査定不服審判
2024-011734
道路構造物の製造方法および道路構造物
- 審判番号
- 2024-011734
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-201589
- 請求日
- 2024年07月17日
- 審決日
- 2025年12月22日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社イノアック住環境
- 【請求人代理人】江口 基
- 【請求人代理人】多賀 久直
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 澤田 真治
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P18 .113-Z (E01D) / P18 .121-Z (E01D) / P18 .575-Z (E01D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-201589「道路構造物の製造方法および道路構造物」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 4月 3日出願公開、特開2023- 46196〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年12月13日の出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和5年12月 5日付け 拒絶理由通知
令和6年 2月 7日提出 意見書及び手続補正書
同年 4月10日付け 拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月23日 謄本の送達日)
同年 7月17日提出 審判請求書及び手続補正書
第2 令和6年7月17日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年7月17日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、令和6年2月7日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
(補正前)
「【請求項1】
橋梁において路面が設けられた床版を除去し、
ポリウレタンフォームまたはエアモルタルで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する
ことを特徴とする道路構造物の製造方法。」を、
審判請求時に提出された手続補正書(令和6年7月17日提出)の特許請求の範囲の請求項1における
(補正後)
「【請求項1】
橋梁において路面が設けられた床版を除去し、
現場発泡ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する
ことを特徴とする道路構造物の製造方法。」にする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ポリウレタンフォームまたはエアモルタル」を択一的な選択肢である「エアモルタル」を削除して、「ポリウレタンフォーム」に限定するとともに「ポリウレタンフォーム」が「現場発泡ポリウレタンフォーム」であることを限定する補正を含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0012】の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術事項を導入するものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明1」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明1は、次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
橋梁において路面が設けられた床版を除去し、
現場発泡ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する
ことを特徴とする道路構造物の製造方法。」
(2)引用文献1の記載事項、引用発明1
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった登録実用新案第3213990号公報(平成29年12月14日公開)(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
「【技術分野】
【0001】
本考案は、橋梁補強構造体に関するもので、特に、傾斜地に既設された老朽化した橋梁を簡易に補強する、橋梁補強構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、傾斜地に既設された老朽化した橋梁に対しては、新たな橋梁を構築し、橋梁の掛け替えを行う場合がある。しかし、このような橋梁の掛け替えは、費用のみならず、通行規制によって多くの移動者に影響を与えることから、継続して使用できる状態で、既設の橋梁を補強することが望ましい。
【0003】
このような橋梁補強工法としては、各種の方法が提案されている。
・・・」
「【0007】
本考案は、上述した背景技術が有する課題に鑑み成されたものであって、その目的は、施工が容易で作業性に優れると共に、傾斜地に既設された老朽化した橋梁を簡易に補強することができる、橋梁補強構造体を提案することにある。」
「【0012】
本考案は、傾斜地の傾斜面に既設された橋梁を補強する構造体であって、図1に示したように、橋梁1の床版2の下方に積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と、該積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に充填されて固化した軽量盛土材4とを有し、傾斜面5側とは反対側の最外面側に位置する合成樹脂発泡体ブロック3の外表面が壁面材6で覆われている橋梁補強構造体である。
ここで、本考案に係る上記橋梁1は、道路橋、鉄道橋、水路橋などの用途の限定は無く、また、橋梁1を構成する材料は、コンクリートであっても、鋼材などであっても対象となる。
【0013】
本考案にかかる補強構造体は、橋梁1の床版2の下方の空間に、先ず合成樹脂発泡体ブロック3を積み重ねたものである。
合成樹脂発泡体ブロック3を積み重ねるにあたり、水平面を有する基礎部を形成することが好ましい。基礎部は、例えば、地面を掘削することにより設けられた穴部に、砕石や敷砂、掘削土等を敷き込んだ後、転圧し、その上にコンクリートを打設することによって形成することができる。また、砕石・敷砂等のみの基礎部、コンクリートのみの基礎部であってもよい。
また、基礎部には、最下層となる合成樹脂発泡体ブロック3を固定するために、I型のピンなどを埋め込んでおくことや、排水工を設けておくことができる。排水工は、基礎部だけではなく、合成樹脂発泡体ブロック3をくり抜いて設けても、合成樹脂発泡体ブロック3間に設けてもよく、さらには後述する中間コンクリート床版を施工する際に設けてもよい。
【0014】
積み重ねる合成樹脂発泡体ブロック3としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を発泡させたブロックを用いることができるが、中でも、耐水性に優れ、低密度でも強度が高いという観点からポリスチレン系樹脂発泡体ブロックが好適に使用される。また、洪水等により水位が上昇するおそれのある橋梁の補強に使用する場合には、外部と連通した空隙を有するポリスチレン系樹脂発泡体ブロックを用いることで、ポリスチレン系樹脂発泡体ブロックの浮力を低減させることもできる。合成樹脂発泡体ブロックとしては、押出発泡体、発泡粒子の型内成形体のいずれも使用することができる。
【0015】
合成樹脂発泡体ブロック3を橋梁1の床版2の下方の空間に積み重ねる際には、各ブロック同士の突合せ部が最下段から最上段まで貫通することのないように、上部と下部のブロック同士の突合せ部をずらすようにして積み重ね、また、積み上げた上下のブロックにピン等を挿通させ、上下のブロックを互いに結合させることは好ましい。前記ピンとしては、従来公知のものを用いることができ、例えば特開2005-23740号公報に記載されているようなL型などの形状のピンを用いることができる。また、緊結具等を用いて、水平方向に隣接する合成樹脂発泡体ブロック3を結合させることも好ましい。前記緊結具としては、従来公知のものを用いることができ、例えば特開2005-16024号公報に記載されているような形状の緊結具を用いることができる。また、荷重分布の均一化、不陸調整、浮力防止等のために、合成樹脂発泡体ブロックを概ね3mの高さに積み上げたところで、その上に中間コンクリート床版と呼ばれるコンクリート層(図示せず)を施工することは好ましい。
【0016】
合成樹脂発泡体ブロック3と傾斜地の傾斜面5との間に、排水材層を設けることは好ましい。排水材層としては、砕石や、多数の合成樹脂発泡片を透水性を有する袋に袋詰めしたもの、多数の合成樹脂発泡片を結合して得られる合成樹脂発泡片成形体などを用いることができる。合成樹脂発泡片の形状はチップ形状であることが好ましい。また、傾斜面に透水シートを敷設してから排水材層を設けることが好ましい。
【0017】
合成樹脂発泡体ブロック3の敷設高さは、床版2の下面近傍まで積み重ねた高さとする。これは、積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に充填する軽量盛土材4の使用量を出来るだけ少ないものとするためである。
なお、本考案において言う上記床版2の下面近傍まで合成樹脂発泡体ブロック3を積み重ねるとは、床版2と、傾斜面5と、橋脚等からなる支持部との間の空間を出来るだけ合成樹脂発泡体ブロック3で充填すると言う程度の意味で使用しており、合成樹脂発泡体ブロック3を、床版2の下面に存在する橋桁等の凹凸に邪魔されることなく、また後の軽量盛土材4の施工に支障が生じない高さ位置まで積み重ねられていれば良い。なお、施工方法によっては、この合成樹脂発泡体ブロック3の積み重ね状態が若干相違したものとなるので、このことについては、また後述する。」
「【0020】
本考案にかかる補強構造体は、上記積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に充填されて固化した軽量盛土材4を有するものである。
軽量盛土材4としては、気泡軽量混合土(FCB等)、発泡ビーズ混合軽量土(SLS等)、発泡ポリウレタン樹脂等を用いることができるが、中でも発泡ポリウレタン樹脂が、施工性及び軽量性に優れるために好ましく用いられる。」
「【0041】
続いて、図5(a)に示したように積み重ねた発泡体ブロック3の上表面にポリカーボネート系樹脂発泡体等からなる遮熱層7を形成し、一部の出入り口となる部分を除いてパネル31を支柱材30に固定することにより床版2との間を塞ぎ、図5(b)に示したように積み重ねられた発泡体ブロック3と床版2との間の空間に発泡ポリウレタン等からなる軽量盛土材4を充填・発泡させ、床版2の下方を充填物3,4で満たす。続いて、出入り口として開けていた部分をパネル31で塞ぎ、図5(c)に示した本考案に係る橋梁補強構造体が完成する。
なお、必要に応じて、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替えることもできる。」
イ 認定事項
(ア)上記アの【0013】には「合成樹脂発泡体ブロック3を積み重ねるにあたり、水平面を有する基礎部を形成することが好ましい」と記載されていることから、引用文献1には、合成樹脂発泡体ブロック3を積み重ねるにあたり、水平面を有する基礎部を形成しないこと、すなわち、合成発泡体ブロック3を地面に直接積み重ねること(以下「認定事項ア」という。)が記載されているといえる。
(イ)上記アの【0041】には「必要に応じて、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替えることもできる」と記載されていることから、引用文献1には、既設の上部工をごと架け替えること、すなわち、既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができること(以下「認定事項イ」という。)が記載されているといえる。
ウ 引用発明1
上記ア及びイより、引用文献1には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用発明1」という。)。
「傾斜地に既設された老朽化した橋梁を簡易に補強する、橋梁補強構造体に関するものであって(【0001】)、
既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができ(認定事項イ(イ))、
道路橋である橋梁1の床版2の下方に積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と、該積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に充填されて固化した軽量盛土材4とを有し(【0012】)、
合成発泡体ブロック3を地面に直接積み重ね(認定事項イ(ア))、
積み重ねる合成樹脂発泡体ブロック3としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を発泡させたブロックを用いることができ(【0014】)、
軽量盛土材4としては、気泡軽量混合土(FCB等)、発泡ビーズ混合軽量土(SLS等)、発泡ポリウレタン樹脂等を用いることができ(【0020】)、
合成樹脂発泡体ブロック3の敷設高さは、床版2の下面近傍まで積み重ねた高さとし、積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に軽量盛土材4を充填した(【0017】)
橋梁補強構造体(【0001】)。」
(3)引用文献2の記載事項、引用発明2
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-73937号公報(令和元年5月16日公開)(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁補強構造体の施工方法に関するもので、特に、既設の老朽化した橋梁を簡易に補強する、橋梁補強構造体の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した橋梁に対しては、新たな橋梁を構築し、橋梁の掛け替えを行う場合がある。しかし、このような橋梁の掛け替えは、費用のみならず、長い工期と広い用地が必要となることから、例えば都市部においてはその用地が確保できない場合があり、また車道、鉄道として利用される橋梁のように大量の交通量を支えているものにあっては、通行規制によって多くの移動者に影響を与えることから、継続して使用できる状態で、既設の橋梁を補強することが望ましい。
【0003】
このような橋梁の補強工法としては、各種の方法が提案されている。
・・・」
「【0007】
本発明は、上述した背景技術が有する課題に鑑み成されたものであって、その目的は、施工が容易で作業性に優れると共に、既設された老朽化した橋梁を簡易に補強することができる、橋梁補強構造体の施工方法を提案することにある。」
「【0012】
本発明は、橋台及び/又は橋脚等からなる支持部の間に床版を架け渡した構成の既設橋梁を補強する構造体の施工方法である。図1及び図2は、橋梁の一例を示した図であり、鉄道Tの上方に立体交差で道路Rを形成するために構築された橋梁1である。該橋梁1は、複数の橋脚2からなる支持部と、該支持部の間に架け渡された床版3とから少なくとも構成されている。
なお、本発明が対象とする橋梁は、図1,図2に示したものに限定されるものではなく、河川等に架けられる橋、高速道路の高架等も含むものである。また本発明で床版とは、橋桁を含む概念で使用している。
【0013】
本発明は、上記した橋梁1の床版3の下方に充填材を充填して橋梁を補強する橋梁補強構造体の施工方法であって、図3,図4に示したように、充填材として合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと流動性を有する軽量盛土材5とを用い、先ず、床版3の下方に前記合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを積み重ねて充填する際に、橋梁1の少なくとも一方の側方側(図示した実施形態においては両側方側)には、壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aをその壁面材10が橋梁補強構造体の側壁面となるように、かつ最上段に積み重ねられる壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの壁面材10の上端が床版3の側方側の下面と略同一の高さに位置するまで積み重ね、続いて、前記積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に前記流動性を有する軽量盛土材5を充填して固化させたものである。
【0014】
上記合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを積み重ねるにあたり、水平面を有する基礎部を形成することは好ましい。基礎部は、例えば、地面を掘削することにより設けられた穴部に、砕石や敷砂、掘削土等を敷き込んだ後、転圧し、その上にコンクリートを打設することによって形成することができる。また、砕石・敷砂等のみの基礎部、コンクリートのみの基礎部であってもよい。
また、基礎部には、最下層となる合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを固定するためにI型のピンなどを埋め込んでおくことや、排水工を設けておくことができる。排水工は、基礎部だけではなく、合成樹脂発泡体ブロック4,4Aをくり抜いて設けても、合成樹脂発泡体ブロック4,4A間に設けてもよく、さらには後述する中間コンクリート床版を施工する際に設けてもよい。」
「【0017】
また、合成樹脂発泡体ブロック4,4Aの積み重ね高さは、壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aにあっては、上記したように最上段に積み重ねられる壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの壁面材10の上端が床版3の側方側の下面と略同一の高さに位置するまで積み重ねるものとし、その内側の合成樹脂発泡体ブロック4については、上記最上段の壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aよりも一段以上低く積み重ねられていることは好ましい。また、内側の合成樹脂発泡体ブロック4にあっては、該発泡体ブロック4の上面と床版3の下面との間隔が1~2mである積み重ね高さとすることは好ましい。これは、流動性を有する軽量盛土材5の充填作業性を考慮したものである。更には、積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に充填する軽量盛土材5の使用量を出来るだけ少ないものとするためである。
なお、施工方法によっては、この合成樹脂発泡体ブロック4,4Aの積み重ね状態が若干相違したものとなるので、このことについてはまた後述する。
【0018】
上記積み重ねる合成樹脂発泡体ブロック4或いは壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの合成樹脂発泡体ブロック11としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を発泡させたブロックを用いることができるが、中でも、耐水性に優れ、低密度でも強度が高いという観点からポリスチレン系樹脂発泡体ブロックが好適に使用される。また、洪水等により水位が上昇するおそれのある橋梁の補強に使用する場合には、外部と連通した空隙を有するポリスチレン系樹脂発泡体ブロックを用いることで、ポリスチレン系樹脂発泡体ブロックの浮力を低減させることもできる。合成樹脂発泡体ブロックとしては、押出発泡体、発泡粒子の型内成形体のいずれも使用することができる。」
「【0024】
本発明にかかる補強構造体の施工方法は、続いて、上記積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に、上記したように流動性を有する軽量盛土材5を充填して固化させるものである。
流動性を有する軽量盛土材5としては、気泡軽量混合土(FCB等)、発泡ビーズ混合軽量土(SLS等)、発泡ポリウレタン樹脂等を用いることができるが、中でも発泡ポリウレタン樹脂が、施工性及び軽量性に優れるために好ましく用いられる。」
「【0039】
続いて、図8(a)に示したように積み重ねた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aの上表面にポリカーボネート系樹脂発泡体等からなる遮熱層6を形成する。その際、段状に発泡体ブロック4,4Aが積み重ねられている場合には、側面にも遮熱層6を形成することが好ましい。続いて、図8(b)に示したように積み重ねられた発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に発泡ポリウレタン等からなる軽量盛土材5を充填して、床版3の下方を充填物4,4A及び5で満たし、図3、図4に示した橋梁補強構造体が完成する。
なお、必要に応じて、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替えることもできる。」
イ 認定事項
(ア)上記アの【0014】には「上記合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを積み重ねるにあたり、水平面を有する基礎部を形成することは好ましい」と記載されていることから、引用文献2には、合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを積み重ねるにあたり、水平面を有する基礎部を形成しないこと、すなわち、合成発泡体ブロック4,4Aを地面に直接積み重ねること(以下「認定事項ア」という。)が記載されているといえる。
(イ)上記アの【0039】には「必要に応じて、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替えることもできる」と記載されていることから、引用文献2には、既設の上部工をごと架け替えること、すなわち、既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができること(以下「認定事項イ」という。)が記載されているといえる。
ウ 引用発明2
上記ア及びイより、引用文献2には次の事項が記載されていると認められる(以下「引用発明2」という。)。
「鉄道Tの上方に立体交差で道路Rを形成するために構築され、複数の橋脚2からなる支持部と、該支持部の間に架け渡された床版3とから少なくとも構成されている橋梁1であり(【0012】)、
既設の老朽化した橋梁を簡易に補強する、橋梁補強構造体の施工方法に関するものであって(【0001】)、
既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができ(認定事項イ(イ))、
充填材として合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと流動性を有する軽量盛土材5とを用い、先ず、床版3の下方に前記合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを積み重ねて充填する際に、橋梁1の少なくとも一方の側方側には、壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aをその壁面材10が橋梁補強構造体の側壁面となるように、かつ最上段に積み重ねられる壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの壁面材10の上端が床版3の側方側の下面と略同一の高さに位置するまで積み重ね、続いて、前記積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に前記流動性を有する軽量盛土材5を充填して固化させ(【0013】)、
合成発泡体ブロック4,4Aを地面に直接積み重ね(認定事項イ(ア))、
積み重ねる合成樹脂発泡体ブロック4或いは壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの合成樹脂発泡体ブロック11としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を発泡させたブロックを用いることができ(【0018】)、
流動性を有する軽量盛土材5としては、気泡軽量混合土(FCB等)、発泡ビーズ混合軽量土(SLS等)、発泡ポリウレタン樹脂等を用いることができる(【0024】)、
橋梁補強構造体の施工方法(【0001】)。」
(4)引用文献3の記載事項、引用文献3記載の技術事項
ア 記載事項
新たに提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第6559461公報(令和元年8月14日公開)(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
道路の拡幅や急傾斜地への道路の建設などを行う場合には、近年、土を盛り上げる盛土に代わり、盛土材として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する軽量盛土工法が提案されている。また、橋梁などの橋台や橋脚間に支持された橋桁の下面に沿って軽量盛土を構築することも提案されている。
【0003】
この軽量盛土工法では、発泡ポリスチレンブロックや現場発泡の硬質ポリウレタンフォームを紫外線などから保護したり、目隠しや見栄え(外観)のため盛土の外側面に沿って側壁体を設けている。
・・・」
「【0032】
次に、本願の軽量盛土構造の他の実施の形態について、図9により説明する。なお、本実施例は、橋梁などの橋台に支持された橋桁7の下面に沿って軽量盛土構造40を設けたものであり、既に説明した道路拡幅の場合と同一部材には、同一記号を記し、その説明は省略する。
リップ溝型鋼の支柱32は、図示例のように、基礎31と橋桁7との間に両端を取り付けて固定している。この支柱32にリップ溝型鋼の横梁33を取り付けて支持枠体34を構築するなど他の構成は、既に説明した軽量盛土構造10の場合と同一である。
このような軽量盛土構造40を設けることで、橋桁7に加わる荷重を分散して支持することができ、特に既設の橋桁7の補強などに用いることができる。
このような橋桁7に適用する場合も専用部品を必要とせずに簡単にリップ溝型鋼の支柱32とリップ溝型鋼の横梁33を組み合わせて支持枠体34の自立性を持たせて立設することができ、支持枠体34に両面金属複合パネル35を取り付けることで連続した側壁体30を効率よく構築でき、側壁体30の内側に軽量盛土50を構築することができる。
また、軽量盛土構造40によっても既に説明した軽量盛土構造10と同様の効果を奏する。
【0033】
以上、実施の形態とともに、説明したように、軽量盛土構造10によれば、現場発泡ウレタンからなる軽量盛土20と、軽量盛土20の外側面に沿って立設される側壁体30と、を備えた軽量盛土構造10であって、側壁体30は、基礎31上に立設されるリップ溝型鋼で形成された支柱32および支柱32の軽量盛土20側に取り付けられるリップ溝型鋼で形成された横梁33でなる自立可能な支持枠体34と、支持枠体34の支柱32の外側面に取り付けられる両面金属複合パネル35と、を備え、支持枠体34の軽量盛土20側には、現場発泡ウレタンの収縮にともなう力の側壁体30への伝達を防止する固定仕切り部材36と、現場発泡ウレタンと接して収縮にともなう力により移動可能な可動仕切り部材37と、が設けてあるので、専用部品などを必要とせず、リップ溝型鋼の支柱32と横梁33とで自立する支持枠体34を構築することができ、支持枠体34に両面金属複合パネル35を取り付けることで、側壁体30を短時間に構築することができる。
また、側壁体30の内側に固定仕切り部材36と可動仕切り部材37を介して軽量盛土20を現場発泡で構築するので、軽量盛土20の収縮にともなう力を側壁体30に伝えることがなく、簡単な構造の側壁体30で軽量盛土構造10を構築することができる。
また、リップ溝型鋼の支柱32の間隔とは、関係なく両面金属複合パネル35の長さを設定することができ、両面金属複合パネル35を連続して取り付けることで、短時間に効率よく施工することができる。」
イ 引用文献3記載の技術事項
上記アより、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「土を盛り上げる盛土に代わり、盛土材として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する軽量盛土工法が提案されており、また、橋梁などの橋台や橋脚間に支持された橋桁の下面に沿って軽量盛土を構築することも提案されており(【0002】)、
橋梁などの橋台に支持された橋桁7の下面に沿って軽量盛土構造40を設け、軽量盛土構造40を設けることで、橋桁7に加わる荷重を分散して支持することができ、特に既設の橋桁7の補強などに用いること(【0032】)。」
(5)引用文献4の記載事項、引用文献4記載の技術事項
ア 記載事項
新たに提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2005-155166公報(平成17年6月16日公開)(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして成る軽量盛土構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路や港湾の建設、宅地の造成、橋台の建設などで盛土補強工事が広く行われているが、盛土を土砂のみで形成した場合その重みで下の層との間ですべりが生じ易かった。そこで、盛土の一部または全部を発泡ポリスチレン等からなる発泡合成樹脂ブロックを積層したものにして盛土全体の重量を例えば40kg/m3以下に軽減する、いわゆる軽量盛土構造が広くされるに至っている。しかし、この軽量盛土構造の場合、工場等で一定の規格で形成された多数のブロックを現場に運んで積層することにより盛土を形成する施工方法を採用せざるを得ないため、工数が多くなると共に、設計の自由度が低いために現場の地形に合わせた盛土を構成することが容易ではなかった。
【0003】
そこで、これらの問題を解消するものとして、発泡合成樹脂原料としてポリウレタン等を使用し、施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして成る軽量盛土構造が採用されるようになってきている(例えば特許文献1参照)。」
イ 引用文献4記載の技術事項
上記アより、引用文献4には次の事項(以下「引用文献4記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「盛土の一部または全部を発泡ポリスチレン等からなる発泡合成樹脂ブロックを積層したものにして盛土全体の重量を軽減する、いわゆる軽量盛土構造が広くされるに至っているが、この軽量盛土構造の場合、工場等で一定の規格で形成された多数のブロックを現場に運んで積層することにより盛土を形成する施工方法を採用せざるを得ないため、工数が多くなると共に、設計の自由度が低いために現場の地形に合わせた盛土を構成することが容易ではなかったため(【0002】)、
発泡合成樹脂原料としてポリウレタン等を使用し、施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして成る軽量盛土構造が採用されるようになってきている(【0003】)こと。」
(7)周知技術
上記(5)イ及び(6)イを総合すると、
「盛土材として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する軽量盛土工法があり、施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして成る軽量盛土構造が採用されること。」は本願出願前に軽量盛土構造として周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。
(8)対比
ア 引用発明1について
本件補正発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「橋梁」、「撤去」することは、それぞれ本件補正発明1の「橋梁」、「除去」することに相当する。
(イ)引用発明1では、「既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができ」、橋梁における上部工とは、一般に、橋台や橋脚の上に設けられる橋桁部分の工作であることは技術常識である。
そして、引用発明1が「道路橋」であることを踏まえると、少なくとも床版と路面を備えることは明らかであるから、引用発明1は、本件補正発明1の「橋梁において路面が設けられた床版を除去」することに相当する構成を有する。
(ウ)引用発明1では、「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3」を「床版2の下面近傍まで積み重ね」、「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に軽量盛土材4を充填」しており、「軽量盛土材4としては、」「発泡ポリウレタン樹脂」「を用いることができ」、「合成発泡体ブロック3を地面に直接積み重ね」ていることから、「合成樹脂発泡体ブロック3」と「軽量盛土材4」からなる部材は、「地面に直接積み重ね」られているといえる。
(エ)引用発明1の「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材4」は、本件補正発明1の「ポリウレタンフォーム」「で構成し」た「盛土」である点で共通する。
(オ)そうすると、本件補正発明1と引用発明1とは「ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土」を有する点で共通する。
(カ)引用発明1では、「既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができ」、道路橋であることからして、新たな上部工には、少なくとも床版と路面を備えていることは明らかである。そして、「道路」とは、一般に、「人や車などの通行するみち。」(デジタル大辞泉、小学館)を意味するから、引用発明1の「道路橋である橋梁1」の「新たな上部工」は本件補正発明1の「道路」に相当するといえる。
(キ)また、引用発明1では、「合成樹脂発泡体ブロック3の敷設高さは、床版2の下面近傍まで積み重ねた高さとし、積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に軽量盛土材4を充填」していることから、「上部工」(道路)は、「合成樹脂発泡体ブロック3」と「軽量盛土材4」(盛土)の上に設けられているといえる。
(ク)そうすると、本件補正発明1と引用発明1とは「ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する」点で共通する。
(ケ)引用発明1の「橋梁補強構造体」は、本件補正発明1の「道路構造物」に相当する。
(コ)引用発明1は「橋梁補強構造体に関するもの」であって、「道路橋である橋梁1」を「補強する」ための構造であるものの、「合成樹脂発泡体ブロック3の敷設高さは、床版2の下面近傍まで積み重ねた高さとし、積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3と床版2との間の空間に軽量盛土材4を充填する」「橋梁補強構造体」に関するものであるから、「橋梁補強構造体」(道路構造物)を製造するための方法を実質的に備えているといえる。
(サ)よって、引用発明1は本件補正発明1の「道路構造物の製造方法」に相当する構成を有する。
上記(ア)~(サ)によれば、本件補正発明1と引用発明1は、以下の一致点1で一致し、以下の相違点1で相違する。
<一致点1>
「橋梁において路面が設けられた床版を除去し、
ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する
道路構造物の製造方法。」
<相違点1>
「盛土」に関して、
本件補正発明1では、「現場発泡ポリウレタンフォームで構成」されているのに対して、
引用発明1では、「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材4」からなっている点。
イ 引用発明2について
本件補正発明1と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「橋梁」、「撤去」することは、それぞれ本件補正発明1の「橋梁」、「除去」することに相当する。
(イ)引用発明2では、「既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができ」、橋梁における上部工とは、一般に、橋台や橋脚の上に設けられる橋桁部分の工作であることは技術常識であって、引用発明2が「鉄道Tの上方に立体交差で道路Rを形成するために構築され」たものであることを踏まえると、少なくとも床版と路面を備えることは明らかであるから、引用発明2は、本件補正発明1の「橋梁において路面が設けられた床版を除去」することに相当する構成を有する。
(ウ)引用発明2では、「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4A」を「最上段に積み重ねられる壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの壁面材10の上端が床版3の側方側の下面と略同一の高さに位置するまで積み重ね」、「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に前記流動性を有する軽量盛土材5を充填」しており、「軽量盛土材5としては、」「発泡ポリウレタン樹脂」「を用いることができ」、「合成発泡体ブロック4,4Aを地面に直接積み重ね」ていることから、「合成樹脂発泡体ブロック4,4A」と「軽量盛土材5」からなる部材は、「地面に直接積み重ね」られているといえる。
(エ)引用発明2の「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4A」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材5」は、本件補正発明1の「ポリウレタンフォーム」「で構成し」た「盛土」である点で共通する。
(オ)そうすると、本件補正発明1と引用発明2とは「ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土」を有する点で共通する。
(カ)引用発明2では、「既設の上部工を撤去して、新たな上部工を架けることができ」、鉄道Tの上方に立体交差で道路Rを形成するために構築されたものであることからして、新たな上部工には、少なくとも床版と路面を備えていることは明らかである。そして、「道路」とは、一般に、「人や車などの通行するみち。」(デジタル大辞泉、小学館)を意味するから、引用発明2の「鉄道Tの上方に立体交差で道路Rを形成するために構築され、複数の橋脚2からなる支持部と、該支持部の間に架け渡された床版3とから少なくとも構成されている橋梁1」の「新たな上部工」は本件補正発明1の「道路」に相当するといえる。
(キ)また、引用発明2では、「床版3の下方に前記合成樹脂発泡体ブロック4,4Aを積み重ねて充填する際に、橋梁1の少なくとも一方の側方側には、壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aをその壁面材10が橋梁補強構造体の側壁面となるように、かつ最上段に積み重ねられる壁面材付き合成樹脂発泡体ブロック4Aの壁面材10の上端が床版3の側方側の下面と略同一の高さに位置するまで積み重ね、続いて、前記積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4Aと床版3との間の空間に前記流動性を有する軽量盛土材5を充填」していることから、「上部工」(道路)は、「合成樹脂発泡体ブロック4,4A」と「軽量盛土材5」(盛土)の上に設けられているといえる。
(ク)そうすると、本件補正発明1と引用発明2とは「ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する」点で共通する。
(ケ)引用発明2の「橋梁補強構造体」、「施工方法」は本件補正発明1の「道路構造物」、「製造方法」に相当する。
上記(ア)~(ケ)によれば、本件補正発明1と引用発明2は、以下の一致点2で一致し、以下の相違点2で相違する。
<一致点2>
「橋梁において路面が設けられた床版を除去し、
ポリウレタンフォームで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する
道路構造物の製造方法。」
<相違点2>
「盛土」に関して、
本件補正発明1では、「現場発泡ポリウレタンフォームで構成」されているのに対して、
引用発明2では、「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4A」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材5」からなっている点。
(9)当審の判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討すると、上記(7)のとおり、「盛土材として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する軽量盛土工法があり、施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして成る軽量盛土構造が採用されること。」は、軽量盛土構造として周知技術である。
そして、軽量盛土工法として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する工法を含め複数種類あることは技術常識であり、そのいずれの工法を採用するかは、当業者が現場の状況等を勘案して適宜決定し得る程度の事項に過ぎないことであるから、引用発明1において、盛土として「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材4」を用いることに代えて、上記周知技術のように施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして、相違点1に係る本件補正発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
また、本件補正発明1の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び上記周知技術の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。
イ 相違点2について
上記相違点2は、上記アで検討した相違点1と実質的に同じであることから、同様の理由により、引用発明2において、盛土として「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4A」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材5」を用いることに代えて、上記周知技術のように施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして、相違点2に係る本件補正発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
また、本件補正発明1の奏する効果は、引用発明2の奏する効果及び上記周知技術の奏する効果から、当業者が予測することができる程度のものである。
(10)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和6年7月17日提出の審判請求書において、次の点について主に主張をする。
「(2-2)本願発明と引用発明との対比
(A)本願請求項1に係る発明と引用発明1及び引用発明2とを対比すると、少なくとも以下の相違点1及び相違点2で相違しています。
(相違点1)本願請求項1に係る発明は、「橋梁において路面が設けられた床版を除去し」、「道路を形成」しているのに対し、引用発明1及び2は、上部工を架け替えるのであって道路を形成している訳ではない点。
(相違点2)本願請求項1に係る発明の「盛土」は、「現場発泡ポリウレタンフォームで構成」されて「地盤上に直接配置」されているのに対し、引用発明1及び2は、床版を支える軽量盛土材が合成樹脂発泡体ブロックの上に配置されている点。
相違点1について検討します。
(ア-1)引用文献1及び引用文献2には、本願発明の課題が記載されていない点
本願発明は、明細書段落[0004]に記載されているように、床版を新設する場合、交通を長期間遮り、高額な費用がかかることを課題としています。
これに対して、引用発明1及び2は、明細書段落[0006]に記載されているように、橋桁下面に引張補強材を貼り付ける補修方法や、橋脚に鉄筋コンクリートを巻く補修方法や、高架下をすべて気泡混合軽量土で埋める補修方法に由来する問題を課題としています。すなわち、引用発明1及び2の課題は、床版を新設することに起因する課題ではありません。
このように、引用文献1及び2には、本願発明の課題が記載されていないことから、引用文献1及び2に接した当業者は、本願発明の課題を把握することはできません。
(ア-2)引用文献1及び2に相違点1が記載されていないこと
原審の審査官殿は、引用文献1の明細書段落[0041]及び引用文献2の明細書段落[0039]の「必要に応じて、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替える」との記載から、上部工である床版を撤去すると解されると指摘されています。
引用文献1及び引用文献2の前記記載は、古い上部工を除去して新たな上部工を形成すると考えるのが自然であり、古い上部工に代えて道路を形成している訳ではありません。すなわち、引用文献1及び2には、床版に代えて道路を形成するという技術的思想が開示されていないことは明らかです。
このように、引用文献1及び2には、相違点1が開示も示唆もされていません。そして、引用文献1及び2の記載から充填材の上に道路を形成しようとする動機付けがなく、引用発明1及び2から相違点1を埋めることはできません。
(ア-3)相違点1を埋めることは引用発明1及び2の技術的意義を没却する点
(a)引用発明1は、明細書段落[0007]に「…その目的は、施工が容易で作業性に優れると共に、傾斜地に既設された老朽化した橋梁を簡易に補強することができる、橋梁補強構造体を提案することにある」と記載されている通り、老朽化した橋梁を補強することです。また、引用発明2は、明細書段落[0007]に「…その目的は、施工が容易で作業性に優れると共に、既設された老朽化した橋梁を簡易に補強することができる、橋梁補強構造体の施工方法を提案することにある」と記載されている通り、老朽化した橋梁を補強することです。
引用発明1及び2において、仮に床版に代えて道路を形成すると、橋梁ではなくなってしまい、橋梁を補強するという引用発明1及び2の目的を達成できない別個の発明になります。
前記(ア-1)に記載したように、引用発明1及び2は、橋桁下面に引張補強材を貼り付ける補修方法や、橋脚に鉄筋コンクリートを巻く補修方法や、高架下をすべて気泡混合軽量土で埋める補修方法に由来する問題を課題としています。そして、引用発明1は、請求項1に記載されているように「傾斜地の傾斜面に既設された橋梁を補強する橋梁補強構造体」であることを前提としています。同様に、引用発明2は、請求項1に記載されているように「既設の橋梁の床版の下方に充填材を充填して橋梁を補強する」ことを前提としています。
引用発明1及び2において、仮に相違点1を埋めようとすると床版に代えて道路を形成することになりますが、引用発明1及び2が前提とする橋梁を補強することが失われてしまいます。
すなわち、引用発明1及び2から出発して相違点1を埋めることは、引用文献1及び2の目的及び課題解決手段を損なうことになるから、当業者であればそのようなことを到底考えません。
(b)原審の審査官殿は、拒絶査定において「盛土を施工して、盛土の上に直接、舗装構造を施工して道路にすることは、通常行われていることである。そして、引用文献1、2には、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替えることが記載されているところ、上部工を撤去して、盛土層の上に直接、舗装構造を施工して道路にすることは当業者が適宜なし得ることである」と指摘しています。
前述したように、引用文献1の明細書段落[0041]及び引用文献2の明細書段落[0039]には、「必要に応じて、床版上の舗装を修繕することや、既設の上部工ごと架け替える」と記載されており、引用文献1及び2には軽量盛土材の上に道路を直接形成することは記載されていません。仮に原審の審査官殿が指摘するように盛土の上に道路を直接作る例があったとしても、あくまでも橋梁を補強することを目的として床版を除去しない引用発明1及び2に対して、これと矛盾する床版を除去する例を適用する動機付けがなく、適用することができません。このように、床版を除去しない引用発明1及び2に対して、これと矛盾する床版を除去する例を都合良く適用することは所謂後知恵であり、許容されるものではありません。
(ア-4)小括
以上の通りであるので、引用発明1及び2から相違点1を埋めることは困難です。
相違点2について検討します。
(イ-1)引用文献1及び引用文献2には、本願発明の課題が記載されていないことは前述した通りです。
(イ-2)相違点2を埋めることは引用発明1及び2の技術的意義を没却する点
(a)引用文献1及び2の明細書段落[0006]には、「…高架下をすべて気泡混合軽量土で埋める方法では、気泡混合軽量土は、他の軽量盛土であるポリスチレン発泡体ブロックに比べると比重が大きいため、施工高さが制限される場合や、傾斜面を掘削して底板幅を確保しなければならない場合があった。また、一定の高さまで気泡混合軽量土を打設した後、これを固化させ、さらに一定の高さまで気泡混合軽量土を打設するという工程を繰り返す必要があるため、施工に時間がかかるという問題もあった」と記載されており、引用発明1及び2は、高架下をすべて気泡混合軽量土で埋める方法に起因する課題を解決するためのものです。
引用発明1及び2は、床版の下方に合成樹脂発泡体ブロックを積み重ねて、積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロックと床版との間の空間に流動性を有する軽量盛土材を充填する構成であり、当該構成を課題解決手段としています。
仮に引用発明1及び2において、相違点2の「盛土」を「地盤上に直接配置」する構成を埋めようとすると、合成樹脂発泡体ブロック又は軽量盛土材の一方だけにすることになります。しかしながら、引用発明1及び2において、合成樹脂発泡体ブロックを有さずに軽量盛土材だけにすること、又は、軽量盛土材を有さずに合成樹脂発泡体ブロックだけにすることは、引用発明1及び2の課題解決手段を失ってしまうことになります。また、引用発明1及び2において、仮に相違点2を埋めた場合、充填物が合成樹脂発泡体ブロック及び軽量盛土材であることを前提とする引用発明1及び2の作用効果([0009])が得られなくなります。
すなわち、引用発明1及び2から出発して相違点2を埋めることは、引用文献1及び2の課題解決手段及び作用効果を損なうことになるから、当業者であればそのようなことを到底考えません。
(b)原審の審査官殿は、拒絶査定において「…ブロックで充填するか、場所打ちの軽量盛土材で充填するかは、施工現場の広さ(例えば、プラント置き場を確保できるか否か。)、施工期間、コスト、施工数量、等々から選定される設計事項に過ぎない。引用文献1、2にブロック等で施工することが記載されていたとしても、場所打ち等に変更することは、現場条件等に応じた設計事項である」と指摘されています。
しかしながら、引用発明1及び2は、前述したように高架下をすべて気泡混合軽量土で埋める方法に起因する課題を解決するものであるから、合成樹脂発泡体ブロックを有さずに軽量盛土材だけにしたり、又は、軽量盛土材を有さずに合成樹脂発泡体ブロックだけにしたりすることは、引用発明1及び2の課題を解決できないことになります。また、引用発明1及び2から軽量盛土材を有さずに合成樹脂発泡体ブロックだけにすると、「現場発泡ポリウレタンフォーム」で「盛土」を構成している本願請求項1に係る発明との相違点2を埋めることができません。
そして、拒絶査定において指摘された現場条件を加味したところで、引用発明1及び2は合成樹脂発泡体ブロックを有さずに軽量盛土材だけにしたり、又は、軽量盛土材を有さずに合成樹脂発泡体ブロックだけにしたりすることを否定して発明が成立している以上、引用発明1及び2の合成樹脂発泡体ブロックを軽量盛土材に置き換える動機づけがなく、置き換えることはできません。また、高架下をすべて気泡混合軽量土で埋めることを問題視している引用発明1及び2において、合成樹脂発泡体ブロックを都合良く気泡混合軽量土に置き換えて高架下のすべてを気泡混合軽量土にすることは所謂後知恵であり、許容されるものではありません。
(イ-3)小括
以上の通りであるので、引用発明1及び2から相違点2を埋めることは困難です。」
そこで、審判請求人の上記主張についてそれぞれ検討する。
ア 「(ア-1)引用文献1及び引用文献2には、本願発明の課題が記載されていない点」について
審判請求人の主張は、相違点1を前提とした主張であり、相違点1が課題解決に起因するものと主張する以上、同様の構成を有する引用発明1、2は当然課題を認識し、解決する手段を有するものであるといえるため、上記主張は上記の判断を左右するものではなく採用することができない。
イ 「(ア-2)引用文献1及び2に相違点1が記載されていないこと」について
審判請求人は「引用文献1及び引用文献2の前記記載は、古い上部工を除去して新たな上部工を形成すると考えるのが自然であり、古い上部工に代えて道路を形成している訳ではありません。すなわち、引用文献1及び2には、床版に代えて道路を形成するという技術的思想が開示されていないことは明らかです。」と主張しているが、上記(8)ア(カ)及び(8)イ(カ)で検討したとおり、引用発明1及び2の「新たな上部工」は本件補正発明1の「道路」に相当するといえ、さらに、明細書の【0013】には、「図1に示すように、道路22は、盛土20を路床としている。道路22は、盛土20の上に設けられた路盤24と、路盤24の上に設けられて路面を構成する舗装26とを備えている。・・・」と「道路」の例が記載されているものの、この記載によって、必ずしも一般的な道路の定義に含まれるものを排除するものではなく、引用文献1には「道路橋」であることが記載(【0012】)され、引用文献2には、車両が走行する図が記載(図1~4等)されていることから、上記主張は上記の判断を左右するものではなく採用することができない。
ウ 「(ア-3)相違点1を埋めることは引用発明1及び2の技術的意義を没却する点」について
審判請求人は「引用発明1及び2において、仮に相違点1を埋めようとすると床版に代えて道路を形成することになりますが、引用発明1及び2が前提とする橋梁を補強することが失われてしまいます。
すなわち、引用発明1及び2から出発して相違点1を埋めることは、引用文献1及び2の目的及び課題解決手段を損なうことになるから、当業者であればそのようなことを到底考えません。」と主張しているが、上記イのとおり、引用発明1及び2の「新たな上部工」は本件補正発明1の「道路」に相当するといえるから、上記主張は上記の判断を左右するものではなく採用することができない。
エ 「(イ-2)相違点2を埋めることは引用発明1及び2の技術的意義を没却する点」について
審判請求人は「引用発明1及び2において、仮に相違点2を埋めた場合、充填物が合成樹脂発泡体ブロック及び軽量盛土材であることを前提とする引用発明1及び2の作用効果([0009])が得られなくなります。
すなわち、引用発明1及び2から出発して相違点2を埋めることは、引用文献1及び2の課題解決手段及び作用効果を損なうことになるから、当業者であればそのようなことを到底考えません。」と主張しているが、上記(9)アで説示したとおり、軽量盛土工法として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する工法を含め複数種類あることは技術常識であり、そのいずれの工法を採用するかは、当業者が現場の状況等を勘案して適宜決定し得る程度の事項に過ぎないことである。
さらに、上記(7)のとおり、「盛土材として発泡ポリスチレンブロックを積み重ねる工法や現場で硬質ポリウレタンフォームを発泡する軽量盛土工法が提案され、施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにして成る軽量盛土構造が採用されること。」は、軽量盛土構造として周知技術である。
そうすると、当業者であれば、引用発明1において、盛土として「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック3」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材4」を用いることに代えて、引用発明2において、盛土として「ポリウレタン」「を発泡させたブロック」である「積み重ねられた合成樹脂発泡体ブロック4,4A」及び「発泡ポリウレタン樹脂」「を用い」た「軽量盛土材5」を用いることに代えて、上記周知技術のように施工現場でポリウレタン等の発泡合成樹脂原料の吐出・発泡硬化を行って盛土を形成するようにすることは容易になし得たことである。
よって、上記主張は上記の判断を左右するものではなく採用することができない。
オ まとめ
上記ア~エより、審判請求人のいずれの主張によっても上記(8)ア(カ)及び(8)イ(カ)の判断を左右するものではない。
(11)まとめ
上記(1)~(10)より、本件補正発明1は、当業者が、引用発明1及び周知技術、又は、引用発明2及び周知技術から容易に発明できたものである。
したがって、本件補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和6年2月7日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
橋梁において路面が設けられた床版を除去し、
ポリウレタンフォームまたはエアモルタルで構成し、地盤上に直接配置した盛土の上に、道路を形成する
ことを特徴とする道路構造物の製造方法。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
「
3.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
4.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由3(新規性)、理由4(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1又は2
<引用文献等一覧>
1.登録実用新案第3213990号公報
2.特開2019-73937号公報 」
3 引用文献1及び2の記載事項、引用発明1及び2
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された登録実用新案第3213990号公報(上記第2〔理由〕2 2-2(2)の引用文献1)の記載事項及び引用発明1の認定については、上記「第2〔理由〕2 2-2(2)引用文献1の記載事項、引用発明」に、引用文献2として引用された特開2019-73937号公報(上記第2〔理由〕2 2-2(3)の引用文献2)の記載事項及び引用発明2の認定については、上記「第2〔理由〕2 2-2(3)引用文献2の記載事項に記載したとおりである。
4 対比・当審の判断
本願発明1(上記「第2 1(補正前)」)は、本件補正発明1(上記「第2 1(補正後)」)から上記「第2 2 2-1」において検討したとおり、「盛土」を構成する「現場発泡ポリウレタンフォーム」が「現場発泡」であることを省くとともに、「エアモルタル」で構成されることを択一的な選択肢として追加したものである。
そうすると、本願補正発明1が、「現場発泡」である「ポリウレタンフォーム」であることにより、相違点1及び相違点2を生じているから、この事項を特定しない本願発明1は、引用発明1及び引用発明2との間で一致点1及び一致点2で一致し、それぞれ相違する点はない。
よって、本願発明1は引用発明1、又は、引用発明2であるか、少なくとも引用発明1、又は、引用発明2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-011734