特許拒絶査定不服審判
2024-008030
二重X線によるLIBアノードコーティング測定
- 審判番号
- 2024-008030
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-163616
- 請求日
- 2024年05月15日
- 審決日
- 2025年08月25日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 【請求人代理人】大房 直樹
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 伊藤 幸仙
- 審判官 三崎 仁
- 分類
- P18 .121-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-163616「二重X線によるLIBアノードコーティング測定」拒絶査定不服審判事件〔令和5年4月25日出願公開、特開2023-58462〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」と記す。)は、令和4年10月12日(パリ条約による優先権主張 2021年10月13日 米国)の出願であって、令和5年8月22日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年11月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月14日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたところ、令和6年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後当審より、令和7年4月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年7月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明について
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下「本願発明1ないし3」という。)は、令和7年7月15日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載により特定される発明である。本願発明1を特定する請求項1の記載は以下のとおりである。(以下の記載の下線は、令和7年7月15日提出の手続補正書の請求項1に記載されたとおりの下線であり、補正箇所を示す。)
「【請求項1】
システムであって、
コーティングされた基材(180)の上に構成された上部スキャナヘッド(160a)と、
前記コーティングされた基材(180)を走査するように構成されたX線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)であって、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの一方が、前記コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギーに調整され、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの他方が、前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整され、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記コーティングされた基材(180)上の同じシート位置を走査し、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記上部スキャナヘッド(160a)内に含まれ、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の信号は、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合に対する、前記X線センサ(110)及び前記第2の線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号の比率として記録される、X線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)と、
前記コーティングされた基材(180)の下に構成されて、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出のための位置を提供する、下部スキャナヘッド(160b)と、を備える、システム。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
令和7年4月15日付けで通知した拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
●理由1:(明確性要件)本願は、特許請求の範囲の請求項1の「前記コーティングされた基材(180)内にシート材料が存在する場合の信号」という記載における「シート材料」が何を指しているのかが不明確であることから、請求項1-3に係る発明は明確であるとはいえず、そのため特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
●理由2:(実施可能要件)本願は、「シート材料」に関し、本願の発明の詳細な説明においては、段落【0044】【0053】【0059】【0064】【0068】【0069】に記載があるものの、それらの記載からは「シート部材」が「コーティングされた基材」とどのような関係にあるのかを明確に把握することができず、さらに、「シート材料」がどのような材料から構成されているのかに関しても、本願の発明の詳細な説明には何ら記載されておらず、「シート材料」の技術的相互の関係が不明瞭なものとなっていることから、本願の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
●<付言>
上述のとおり、本願の請求項1-3に係る発明は不明確であり、発明の技術的意義を明確に把握することができないことから、新規性及び進歩性の判断を留保する。
なお、請求項1の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)が前記コーティングされた基材(180)上に構成されていない場合に対する、前記コーティングされた基材(180)内にシート材料が存在する場合の信号の比率」が、X線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)の下にコーティングされた基材(180)が存在しない場合に対する、コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号の比率を表すのであれば、コーティングされた基材(180)が存在しない場合の信号は、コーティングされた基材(180)を透過しない場合のX線強度、すなわち、照射X線強度そのものであると解される。その場合、照射X線強度と透過X線強度の比率を算出する点に関しては、原査定で引用された引用文献1(特開2006-64580号公報)の段落【0020】-【0030】等に開示されており、引用文献1に対する相違点になり得ないことにも留意されたい。
第4 原査定の概要
原査定(令和5年12月14日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
●理由2(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
●理由3(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 1-3
・引用文献等 1
<引用文献等一覧>
1.特開2006-64580号公報
第5 引用文献1の記載及び引用発明について
1.引用文献1の記載について
原査定の拒絶の理由2及び3において引用文献1として引用された、本願の優先日前である平成18年(2006年)3月9日に頒布された「特開2006-64580号公報」(以下「引用例」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギーのX線を発生する第1のX線源およびそれに対向する第1のX線検出器と、低エネルギーのX線を発生する第2のX線源およびそれに対向する第2のX線検出器と、走行状態または停止状態の二層膜シートの実質的に同一部分に前記第1のX線源から高エネルギーのX線および前記第2のX線源から低エネルギーのX線をそれぞれ透過させた際の第1のX線検出器および第2のX線検出器の各出力をデータ処理し、所定の計算式に基づいて前記二層膜シートの各層の単位面積当たり重量および/または厚みを測定する演算部とを具備することを特徴とするX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置。
・・・
【請求項5】
前記演算部は、二層膜シートの上層の位面積当たり重量WC および下層の位面積当たり重量WB を、以下の計算式に基づいて算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置。
WC =-{(μ/ρ)BL×Ln(IH /IHo)-(μ/ρ)BH×Ln(IL /ILo)}
/{(μ/ρ)CH×(μ/ρ)BL-(μ/ρ)CL×(μ/ρ)BH}
WB ={(μ/ρ)CL×Ln(IH /IHo)-(μ/ρ)CH×Ln(IL /ILo)}
/{(μ/ρ)CH×(μ/ρ)BL-(μ/ρ)CL×(μ/ρ)BH}
但し IH ;高エネルギー側における透過X線強度
IHo;高エネルギー側における照射X線強度
IL ;低エネルギー側における透過X線強度
ILo;低エネルギー側における照射X線強度
(μ/ρ)CH;高エネルギー側における二層膜シートの上層の質量吸収係数
(μ/ρ)BH;高エネルギー側における二層膜シートの下層の質量吸収係数
(μ/ρ)CL;低エネルギー側における二層膜シートの上層の質量吸収係数
(μ/ρ)BL;低エネルギー側における二層膜シートの下層の質量吸収係数
【請求項6】
前記第1のX線源、第1のX線検出器、第2のX線源および第2のX線検出器の相対位置を維持して前記走行パスの幅方向に往復走査を繰り返す走査手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置。」
(2)「【0001】
本発明は、X線透過法を用いた二層膜シートの測定装置および測定方法に係り、特に二層膜シートの各層の単位面積当たりの重量および/または厚みを測定する装置および方法に関するもので、例えば高分子膜上、金属膜上などに塗工膜が形成された塗工シート、2枚のシートがラミネートされたラミネートシートの走行状態においてほぼ連続的に測定する際に使用されるものである。」
(3)「【0004】
本発明は前記した従来の問題点を解決すべくなされたもので、二層膜シートの各層について単位面積当たり重量および/または厚みを精度良く簡単に測定し得るX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置および測定方法を提供することを目的とする。」
(4)「【0009】
本発明のX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置および測定方法によれば、高分子膜、金属膜などの基材シート上に塗工膜を有する塗工シートを連続的に製造する設備とか、二枚のシートがラミネートされたラミネートシートを連続的に製造する設備などに適用して、インラインで二層膜シートの各層の厚みを分離して正確に測定することができる。この際、二層膜シートの下層(例えば基材)の厚みむらが存在したとしても、上層(例えば塗工膜)の厚みを正確に測定することが可能となり、上層の厚み制御および品質管理を正確かつ容易に行うことができる。」
(5)「【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二層膜シートの測定装置の基本構成を示す側面図である。
【0012】
本実施形態の測定装置は、二層膜シート10の走行パスの第1の位置に向けて第1のエネルギーを有する第1のX線ビームを照射する第1のX線源11と、走行パスの第1の位置を挟んで第1のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第1のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第1のX線検出器21とを有する。また、第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーを有する第2のX線ビームを走行パスの第1の位置に向けて第1のX線ビームとは異なる方向から照射する第2のX線源12と、走行パスの第1の位置を挟んで第2のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第2のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第2のX線検出器22とを有する。なお、2つのX線源11,12は、一方の照射エリアが他方の照射エリアに干渉しないようにコリメータ13で制限を行うことが好ましい。
【0013】
さらに、第1のX線検出器21および第2のX線検出器22の各検出出力(透過X線量)を適宜増幅する増幅器(図示せず)と、この増幅器の出力を電流値データに変換するアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)23と、このADC23から入力される電流値データをデータ処理し、所定の計算式から二層膜シート10の上下各層10a,10bの単位面積当たり重量および/または厚みを算出する演算部30を有する。
【0014】
演算部30は、例えばパーソナルコンピュータが用いられており、その一例は、装置全体を統括するとともに各種演算処理を実行するCPU(中央処理装置)31と、プログラム記憶用のROM32と、データメモリ用のRAM33と、パラメータ記憶部34などを有し、パラメータ設定部35、ディスプレイ等で構成された表示部36などが接続されている。前記パラメータ設定部35は、後述する計算式に関連するパラメータを演算部30に入力する機能を有する。前記パラメータ記憶部34は、パラメータ設定部35から入力されたパラメータ、あるいは、予め本例の測定装置を用いて実測されたパラメータを、例えばデータテーブル形式で記憶している。
【0015】
上記演算部30において、CPU31は、ADC23から入力される電流値データを測定位置データとセットにしてRAM33に格納し、ROM32に格納されているプログラムに基づいてデータ処理を行い、二層膜シート10の各層10a,10bの単位面積当たり重量および/または厚みを算出し、演算結果をRAM33に格納するとともに表示装置36で表示させる。
【0016】
さらに、前記2つのX線源11,12および2つのX線検出器21,22を互いに同期して走行パスの幅方向(塗工シート10の走行方向と直角方向)に定速度で往復駆動させるために、モータ等を含む駆動機構を用いた走査手段24が設けられている。この走査手段24は、X線源11,12から照射されるX線が走行パスの幅方向外側に少しずれた位置まで突出するように走査領域の一端を設定している。ここで、二層膜シートの走行方向と、測定器の走査方向と、測定位置の軌跡の一例との関係を図2に示す。
【0017】
上記したように本例の測定装置においては、互いに異なるエネルギーを用いる2つのX線測定器を、走行状態の二層膜シート10の実質的に同一部分に対して2つの透過X線がクロスするように配置し、走行状態の二層膜シート10の同一部分を同時に測定することを可能としている。即ち、高エネルギーの第1のX線源11およびそれに対向する第1のX線検出器21と、低エネルギーの第2のX線源12およびそれに対向する第2のX線検出器22とを用い、走行状態の二層膜シート10の同一部分に高エネルギーのX線および低エネルギーのX線を透過させる(X線の一部は二層膜シート10で吸収されるが、他の一部は直進する)。そして、高エネルギー側の透過X線および低エネルギー側のX線透過を2つのX線検出器21,22で検出する。
【0018】
上記二層膜シート10の各層の元素構成が異なる場合、例えば基材上に塗工膜が塗工された塗工シートである場合、塗工シートの実質的に同一部分に2つのX線源11,12から異なる2つのX線エネルギー(塗工膜または基材に含まれる元素の吸収端波長両側のX線エネルギー)を照射して透過させることで、後述するような測定原理により、塗工シートの各層の単位面積当たり重量および/または厚みを正確に測定することが可能となる。
【0019】
なお、吸収端波長両側(前後)のエネルギーは元素に依存し、K核吸収端の概算のエネルギーは、Ti;5.0keV、Cr;6.0keV、Fe;7.1keV、Co;7.7keV、Cu;9.0keVである。」
(6)「【0025】
ところで、本実施形態では、エネルギーが異なる2つのX線源を用いて塗工シートを上層(塗工膜)と下層(基材)に分離して取り扱う。この際、高エネルギー側のX線透過法による基本式は以下に示される。
【0026】
IH =IHoEXP [-{(μ/ρ)CH×ρC ×tC +(μ/ρ)BH×ρB ×tB }]
…(7)
=IHoEXP [-{(μ/ρ)CH×WC +(μ/ρ)BH×WB }] …(8)
=IHoEXP [-(μCH×tC+μBH×tB )] …(9)
但し IH ;高エネルギー側における透過X線強度
IHo;高エネルギー側における照射X線強度
μCH;高エネルギー側における塗工シートの塗工材の吸収係数
μBH;高エネルギー側における塗工シートの基材の吸収係数
(μ/ρ)CH;高エネルギー側における塗工シートの塗工材の質量吸収係数
(μ/ρ)BH;高エネルギー側における塗工シートの基材の質量吸収係数
である。これに対して、低エネルギー側のX線透過法による基本式は以下に示される。
【0027】
IL =ILoEXP [-{(μ/ρ)CL×ρC ×tC +(μ/ρ)BL×ρB ×tB }]
…(10)
=ILoEXP [-{(μ/ρ)CL×WC +(μ/ρ)BL×WB }] …(11)
=ILoEXP [-(μCL×tC +μBL×tB )] …(12)
但し IL ;低エネルギー側における透過X線強度
ILo;低エネルギー側における照射X線強度
μCL;低エネルギー側における塗工シートの塗工材の吸収係数
μBL;低エネルギー側における塗工シートの基材の吸収係数
(μ/ρ)CL;低エネルギー側における塗工シートの塗工材の質量吸収係数
(μ/ρ)BL;低エネルギー側における塗工シートの基材の質量吸収係数
である。次に、前式(9)、(12)から塗工シートの上層(塗工材)の厚みtC および下層(基材)の厚みtB を求める。
【0028】
IH /IHo=EXP [-(μCH×tC+μBH×tB )] …(13)
IL /ILo=EXP [-(μCL×tC +μBL×tB )] …(14)
Ln(IH /IHo)=-(μCH×tC +μBH×tB ) …(15)
Ln(IL /ILo)=-(μCL×tC +μBL×tB ) …(16)
上式(15)、(16)から tC =-{μBL×Ln(IH /IHo)-μBH×Ln(IL /ILo)}
/(μCH×μBL-μCL×μBH) …(17)tB ={μCL×Ln(IH /IHo)-μCH×Ln(IL /ILo)}
/(μCH×μBL-μCL×μBH) …(18)
但し IH ;高エネルギー側における透過X線強度
IHo;高エネルギー側における照射X線強度
IL ;低エネルギー側における透過X線強度
ILo;低エネルギー側における照射X線強度
μCH;高エネルギー側における塗工シートの塗工材の吸収係数
μBH;高エネルギー側における塗工シートの基材の吸収係数
μCL;低エネルギー側における塗工シートの塗工材の吸収係数
μBL;低エネルギー側における塗工シートの基材の吸収係数
である。また、前式(8)、(11)から塗工シートの上層(塗工材)の単位面積当たり重量WC および下層(基材)の単位面積当たり重量WB を求める。
【0029】
IH /IHo=EXP [-{(μ/ρ)CH×WC +(μ/ρ)BH×WB }] …(19)
IL /ILo=EXP [-{(μ/ρ)CL×WC +(μ/ρ)BL×WB }] …(20)
Ln(IH /IHo)=-{(μ/ρ)CH×WC +(μ/ρ)BH×WB )} …(21)
Ln(IL /ILo)=-{(μ/ρ)CL×WC +(μ/ρ)BL×WB )} …(22)
上式(21)、(22)から WC =-{(μ/ρ)BL×Ln(IH /IHo)-(μ/ρ)BH×Ln(IL /ILo)}
/{(μ/ρ)CH×(μ/ρ)BL-(μ/ρ)CL×(μ/ρ)BH} …(23)
WB ={(μ/ρ)CL×Ln(IH /IHo)-(μ/ρ)CH×Ln(IL /ILo)}
/{(μ/ρ)CH×(μ/ρ)BL-(μ/ρ)CL×(μ/ρ)BH} …(24)
但しIH ;高エネルギー側における透過X線強度
IHo;高エネルギー側における照射X線強度
IL ;低エネルギー側における透過X線強度
ILo;低エネルギー側における照射X線強度
(μ/ρ)CH;高エネルギー側における塗工シートの塗工材の質量吸収係数
(μ/ρ)BH;高エネルギー側における塗工シートの基材の質量吸収係数
(μ/ρ)CL;低エネルギー側における塗工シートの塗工材の質量吸収係数
(μ/ρ)BL;低エネルギー側における塗工シートの基材の質量吸収係数
である。
【0030】
前式(17)、(18)、(23)、(24)において、IHo、ILoは、X線源とX線検出器との間に塗工シートが走行していない(存在しない)状態、本例では、X線源から照射されるX線が走行パスの外側にずれた位置に走査されている状態で、X線源から対向するX線検出器にX線が直接に照射された照射X線の値を測定し、その結果に基づいて補正された照射X線の値が使用される。IH 、IL は、X線源とX線検出器との間に塗工シートが走行している(存在する)状態の時に測定された値である。その他のμCH、μBH、μCL、μBL、(μ/ρ)CH、(μ/ρ)BH、(μ/ρ)CL、(μ/ρ)BLは、材質、X線エネルギーに応じて定まる規定値であり、この値は図1中のパラメータ記憶部34から供給される。
【0031】
上記したような本例の測定原理を利用し、走行状態の連続した塗工シートに対して横方向に2つの測定器を走行させながら塗工シートの幅方向の測定を行う場合には、実質的に同一部分を測定する必要がある。その理由は、測定点の移動に伴う基材の測定位置の厚みむらの変化を予測できないので、実質的に同一部分を異なったX線エネルギーで測定したデータでなければ正確に測定したことにならないからである。」
(7)「【0032】
次に、上記したような測定原理を用いる本実施形態の測定方法の一例について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、高エネルギーのX線を発生する第1のX線源11およびそれに対向する第1のX線検出器21と、低エネルギーのX線を発生し、第1のX線源11とほぼ同一部分を照射する第2のX線源21およびそれに対向する第2のX線検出器22と、これらのX線源およびX線検出器の相対位置を維持して二層膜シートの走行パスの幅方向に往復走査させる走査手段とを有する測定装置を用いる。第1のステップS1では、二層膜シートの各層について、高エネルギーのX線が照射された場合のX線吸収係数μCH,μBHおよび/または質量吸収係数(μ/ρ)CH,(μ/ρ)BH、ならびに、低エネルギーのX線が照射された場合のX線吸収係数μCL,μBLおよび/または質量吸収係数(μ/ρ)CL,(μ/ρ)BLをパラメータとして設定し、パラメータ記憶部に記憶させる。
【0033】
第2のステップS2では、X線源から照射されるX線が走行パスの外側にずれた位置になった状態の時に、高エネルギーのX線および低エネルギーのX線を各X線検出器で検出した出力に基づいて、高エネルギー側の照射X線強度および低エネルギー側の照射X線強度IHo,ILoを測定し、補正されたIHo,ILoを求める。
【0034】
第3のステップS3では、走行状態の二層膜シートの実質的に同一部分に高エネルギーのX線およ低エネルギーのX線を透過させた時の各X線検出器の出力に基づいて、高エネルギー側の透過X線強度IH および低エネルギー側の透過X線強度IL を自動的に測定させる。
【0035】
第4のステップS4では、各ステップS1~S3で得られた規定値および実測値を用いて所定の計算式に基づいて二層膜シートの各層の単位面積当たり重量および/または厚みを自動的に算出させ、結果の記録、表示を行わせる。この際、塗工シートの上層(塗工材)の厚みtC および下層(基材)の厚みtB を求める場合には前式(17)、(18)を使用し、塗工シートの上層(塗工材)の単位面積当たり重量WC および下層(基材)の単位面積当たり重量WB を求める場合には前式(23)、(24)を使用する。そして、測定を継続する期間中は、第3のステップS3および第4のステップS4のループ処理を繰り返す。
【0036】
以上述べたような本実施形態の測定装置および測定方法を、基材上に塗工材を塗工する製造ライン中の塗工シートの搬送ラインの一部にインライン方式で適用することにより、基材の厚みと塗工膜の厚みを分離して正確に測定することができる。この際、基材の厚みむらが存在したとしても塗工膜の厚みを正確に測定することが可能となり、塗工膜の厚み制御および品質管理を正確かつ容易に行うことが可能になる。また、従来例のように製造ラインに2台の厚さ計を組み込む必要がある場合に比べて、約60%程度にコストダウンが可能になる。
【0037】
なお、上記したような本例の測定原理は、停止状態の二層膜シートの各層の単位面積当たり重量および/または厚みを測定する場合にも適用可能であることはいうまでもない。 図4は、図1の測定装置の一具体例を概略的に示す斜視図である。
【0038】
図4において、例えばO型フレーム中の左右一対のフレーム41、41の間に、上下一対のレール42,43が隙間をあけて水平に取付けられている。上下一対のレール42,43間は、帯状の細長い二層膜シート10が図示矢印方向に走行する走行パスの一部となっている。
【0039】
一方のレール(本例では上側のレール42)には、図1中に示したような第1のX線源11および第2のX線源12がレール長手方向に摺動可能に取付けられており、各X線源11,12は、相対位置を維持したままレール長手方向に往復移動が可能である。ここで、各X線源11,12は、例えばX線管カバーの内部に、X線管のX線照射口を下向きにして内蔵しており、X線管カバーの下部にはX線が通り抜ける通光孔が形成されている。上記X線源11,12は、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成する。このX線としては、X線透過法による測定に適したエネルギーのX線を用いており、X線のエネルギー分布は連続X線であっても特定X線であってもよい。
【0040】
他方のレール(本例では下側のレール43)には、図1中に示したような第1のX線検出器21および第2のX線検出器22がレール長手方向に摺動可能に取付けられており、各X線検出器21,22は、相対位置を維持したままレール長手方向に往復移動が可能である。ここで、各X線検出器21,22は、入射したX線を例えばイオンチャンバーで受けて入射したX線信号に比例した電流信号に変換するか、または、シンチレータで受けて光に変換し、例えばフォトマルチプライアやフォトダイオードによって入射したX線信号に比例した電流信号に変換する(シンチレーション検出器)。
【0041】
さらに、図1中に示したように2つのX線源11,12および2つのX線検出器21,22を互いに同期して走行パスの幅方向(レール長手方向)に定速度で往復駆動させるために、モータ等を含む駆動機構を用いた走査手段(図示せず)が測定装置に内蔵されている。この走査手段は、走査領域の一端が、X線源11,12から照射されるX線が走行パスの幅方向外側に少しずれた位置になるように走査駆動する。また、例えばフレーム41の前面には、装置の操作部44が設けられている。
【0042】
上記構成により、2つのX線源11,12および2つのX線検出器21,22がレール長手方向のどの位置に移動しても、第1のX線源11から照射されたX線は第1のX線検出器21で検出され、第2のX線源12から照射されたX線は第2のX線検出器22で検出される。各X線検出器21,22で検出されたX線量は電流値に変換され、図1を参照して前述したようにA/Dコンバータ23により電流値データに変換された後に演算部30に入力される。」
(8)「【0048】
本実施形態のX線透過法を用いた測定装置は、ポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルム、紙、非鉄金属箔等のベースに、セラミック材、磁気を帯びた磁性体やフィラー、チタン、鉛等の粉体が塗布された帯状の各種の塗工シートを測定することが可能であり、以下、具体例を説明する。
・・・
【0056】
[実施例3] リチュームイオン電池の陽極用の塗工シートとして、例えばアルミ基板にコバルト酸リチュームが塗工されており、リチュームイオン電池の負極用の塗工シートとして、例えば銅基板にカーボンが塗工されている。これらの塗工シートの各層を測定する場合には、Wターゲットを用いたX線源を用い、高エネルギー側のX線管は例えば15KV、低エネルギー側のX線管は例えば7.5KVを印加することで、高エネルギーのX線、低エネルギーのX線を照射させて測定することが可能である。」
(9)「【図1】
[図:0001431684000001.jpg]
【図2】
[図:0001431684000002.jpg]
【図3】
[図:0001431684000003.jpg]
【図4】
[図:0001431684000004.jpg]
」
2.引用発明
前記「1.(1)ないし(9)」に示した前記引用例の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
当該引用発明については、後記する本願発明1との対比・判断で用いるために、以下のように各構成単位に分けることを行う。ここで、各構成単位冒頭の「a,b,・・」などは当審にて付した分説記号であり、以下当該構成単位について「構成a,b,・・」などという。また、括弧内の符号は、各構成単位を認定した参照箇所を示す。
「a 高分子膜上、金属膜上などに塗工膜が形成された塗工シートなどの二層膜シートの各層の単位面積当たりの重量を測定するX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置において、(【0001】)
b 前記二層膜シートの測定装置は、(【0011】)
c 二層膜シート10の走行パスの第1の位置に向けて第1のエネルギーを有する第1のX線ビームを照射する第1のX線源11と、走行パスの第1の位置を挟んで第1のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第1のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第1のX線検出器21とを有し、(【0012】)
d また、第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーを有する第2のX線ビームを走行パスの第1の位置に向けて第1のX線ビームとは異なる方向から照射する第2のX線源12と、走行パスの第1の位置を挟んで第2のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第2のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第2のX線検出器22とを有し、(【0012】)
e さらに、第1のX線検出器21および第2のX線検出器22の各検出出力(透過X線量)を適宜増幅する増幅器と、この増幅器の出力を電流値データに変換するアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)23と、このADC23から入力される電流値データをデータ処理し、所定の計算式から二層膜シート10の上下各層10a,10bの単位面積当たり重量および/または厚みを算出する演算部30を有し、(【0013】)
e-1 演算部30は、パーソナルコンピュータが用いられており、装置全体を統括するとともに各種演算処理を実行するCPU(中央処理装置)31と、プログラム記憶用のROM32と、データメモリ用のRAM33と、パラメータ記憶部34などを有し、パラメータ設定部35、ディスプレイ等で構成された表示部36などが接続され、前記パラメータ設定部35は、後述する計算式に関連するパラメータを演算部30に入力する機能を有し、前記パラメータ記憶部34は、パラメータ設定部35から入力されたパラメータ、あるいは、予め本例の測定装置を用いて実測されたパラメータを、例えばデータテーブル形式で記憶しており、(【0014】)
e-2 上記演算部30において、CPU31は、ADC23から入力される電流値データを測定位置データとセットにしてRAM33に格納し、ROM32に格納されているプログラムに基づいてデータ処理を行い、二層膜シート10の各層10a,10bの単位面積当たり重量および/または厚みを算出し、演算結果をRAM33に格納するとともに表示装置36で表示させ、(【0015】)
f さらに、前記2つのX線源11,12および2つのX線検出器21,22を互いに同期して走行パスの幅方向(塗工シート10の走行方向と直角方向)に定速度で往復駆動させるために、モータ等を含む駆動機構を用いた走査手段24が設けられており、この走査手段24は、X線源11,12から照射されるX線が走行パスの幅方向外側に少しずれた位置まで突出するように走査領域の一端を設定しており、(【0016】【0041】)
g O型フレーム中の左右一対のフレーム41、41の間に、上下一対のレール42,43が隙間をあけて水平に取付けられており、上下一対のレール42,43間は、帯状の細長い二層膜シート10が走行する前記走行パスの一部となっており、上側のレール42には、第1のX線源11および第2のX線源12がレール長手方向に摺動可能に取付けられており、各X線源11,12は、相対位置を維持したままレール長手方向に往復移動が可能であり、各X線源11,12は、X線管カバーの内部に、X線管のX線照射口を下向きにして内蔵しており、X線管カバーの下部にはX線が通り抜ける通光孔が形成されており、下側のレール43には、第1のX線検出器21および第2のX線検出器22がレール長手方向に摺動可能に取付けられており、各X線検出器21,22は、相対位置を維持したままレール長手方向に往復移動が可能であり、(【0038】【0039】【0040】)
h 前記測定装置においては、互いに異なるエネルギーを用いる2つのX線測定器を、走行状態の二層膜シート10の実質的に同一部分に対して2つの透過X線がクロスするように配置し、走行状態の二層膜シート10の同一部分を同時に測定することを可能としており、(【0017】)
i 前記二層膜シートが、リチュームイオン電池の負極用の塗工シートとして、銅基板にカーボンが塗工されているものである場合に、Wターゲットを用いたX線源を用い、塗工シートの実質的に同一部分に2つのX線源11,12から異なる2つのX線エネルギー(基材に含まれる元素Cuの吸収端<CuのK核吸収端の概算のエネルギーはCu;9.0keVである>波長両側のX線エネルギー)すなわち高エネルギー側のX線管は15KV、低エネルギー側のX線管は7.5KVを印加することで、高エネルギーのX線、低エネルギーのX線を照射させて測定することが可能であり、(【0018】【0019】【0056】)
j 前記演算部は、二層膜シートの上層の単位面積当たり重量WC および下層の単位面積当たり重量WB を、以下の計算式に基づいて算出し、
WC =-{(μ/ρ)BL×Ln(IH /IHo)-(μ/ρ)BH×Ln(IL /ILo)}
/{(μ/ρ)CH×(μ/ρ)BL-(μ/ρ)CL×(μ/ρ)BH}
WB ={(μ/ρ)CL×Ln(IH /IHo)-(μ/ρ)CH×Ln(IL /ILo)}
/{(μ/ρ)CH×(μ/ρ)BL-(μ/ρ)CL×(μ/ρ)BH}
但し IH ;高エネルギー側における透過X線強度
IHo;高エネルギー側における照射X線強度
IL ;低エネルギー側における透過X線強度
ILo;低エネルギー側における照射X線強度
(μ/ρ)CH;高エネルギー側における二層膜シートの上層の質量吸収係数
(μ/ρ)BH;高エネルギー側における二層膜シートの下層の質量吸収係数
(μ/ρ)CL;低エネルギー側における二層膜シートの上層の質量吸収係数
(μ/ρ)BL;低エネルギー側における二層膜シートの下層の質量吸収係数
ここで、IHo、ILoは、X線源とX線検出器との間に塗工シートが走行していない(存在しない)状態、本例では、X線源から照射されるX線が走行パスの外側にずれた位置に走査されている状態で、X線源から対向するX線検出器にX線が直接に照射された照射X線の値を測定し、その結果に基づいて補正された照射X線の値が使用され、IH 、IL は、X線源とX線検出器との間に塗工シートが走行している(存在する)状態の時に測定された値である、(【0029】【0030】)
a 二層膜シートの測定装置。」
第6 当審拒絶理由通知の拒絶の理由についての判断
当審拒絶理由通知で指摘されていた「シート材料」という記載は、令和7年7月15日提出の手続補正書による補正により、本願発明1を特定する請求項1の記載には含まれなくなった。そのため、当審拒絶理由通知の理由1及び理由2は解消した。
第7 原査定の拒絶の理由についての判断
当審拒絶理由通知の<付言>(前記「第3」参照。)で説示したとおり、新規性及び進歩性に対しての判断は、留保されていたが、本願発明1は令和7年7月15日提出の手続補正書による補正により、明確になったことから、本願発明1に対する進歩性について検討する。
1.本願発明1及びその項目分け
本願発明1は、前記「第2」に示したとおりであるが、以下の進歩性についての対比及び判断で用いるために、当該本願1について、以下のように各構成単位に分けることを行う。ここで、各構成単位冒頭の「1A」などは当審にて付した分説記号であり、以下当該構成単位について「構成1A」などという。
「A システムであって、
B コーティングされた基材(180)の上に構成された上部スキャナヘッド(160a)と、
C 前記コーティングされた基材(180)を走査するように構成されたX線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)であって、
C-1 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの一方が、前記コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギーに調整され、
C-2 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの他方が、前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整され、
C-3 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記コーティングされた基材(180)上の同じシート位置を走査し、
C-4 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記上部スキャナヘッド(160a)内に含まれ、
C-5 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の信号は、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合に対する、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号の比率として記録される、
C X線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)と、
D 前記コーティングされた基材(180)の下に構成されて、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出のための位置を提供する、下部スキャナヘッド(160b)と、
A を備える、システム。」
2.本願発明1の進歩性について
(1)対比
本願発明1を引用発明と対比する。
ア 本願発明1の構成Aについて
(ア)引用発明の構成aの「高分子膜上、金属膜上などに塗工膜が形成された塗工シートなどの二層膜シートの各層の単位面積当たりの重量を測定するX線透過法を用いた二層膜シートの測定装置」は、本願発明1の「システム」に相当する。
(イ)よって、引用発明は本願発明1の構成Aを備えているといえる。
イ 本願発明1の構成Bについて
(ア)引用発明の構成iの「リチュームイオン電池の負極用の塗工シートとして、銅基板にカーボンが塗工されている」「二層膜シート」は、本願発明1の構成Bの「コーティングされた基材(180)」に相当する。
(イ)引用発明は、構成gより、第1のX線源11及び第2のX線源12が、二層膜シート10が走行する前記走行パスの一部の上側のレール42にレール長手方向に摺動可能に取付けられており、各X線源11,12は、X線管カバーの内部に、X線管のX線照射口を下向きにして内蔵しており、X線管カバーの下部にはX線が通り抜ける通光孔が形成されていることから、引用発明の「第1のX線源11及び第2のX線源12を内蔵」する「X線管カバー」は、本願発明1の構成Bの「コーティングされた基材(180)の上に構成された上部スキャナヘッド(160a)」に相当する。
(ウ)前記「(ア)及び(イ)」より、引用発明は本願発明1の構成Bを備えているといえる。
ウ 本願発明1の構成Cについて
(ア)本願発明1の「X線センサ(110)」及び「第2のX線センサ(120)」は、本願発明1において「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの一方が、前記コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギーに調整され、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの他方が、前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整され、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記コーティングされた基材(180)上の同じシート位置を走査」すると記載され、エネルギーが調整されるものであり、基材上の位置を走査するものとして特定されていることから、いわゆるX線源といえるものである。
そして、引用発明は、構成fより、2つのX線源11,12および2つのX線検出器21,22を互いに同期して走行パスの幅方向(塗工シート10の走行方向と直角方向)に定速度で往復駆動することから、引用発明の「第1のX線源11」及び「第2のX線源12」は、それぞれ本願発明1の構成Cの「コーティングされた基材(180)を走査するように構成されたX線センサ(110)」及び「第2のX線センサ(120)」に相当する。
(イ)よって、引用発明は本願発明1の構成Cを備えているといえる。
エ 本願発明1の構成C-1及びC-2について
(ア)引用発明は、構成iより、銅基板にカーボンが塗工されている二層膜シートを測定する際には、基材に含まれる元素Cuの吸収端<CuのK核吸収端の概算のエネルギーはCu;9.0keVである>波長両側のX線エネルギー)すなわち高エネルギー側のX線管は15KV、低エネルギー側のX線管は7.5KVを印加することで、高エネルギーのX線、低エネルギーのX線を照射させて測定するものであり、第1のX線源11と第2のX線源はそれぞれ、高エネルギー側のX線管は15KV、低エネルギー側のX線管は7.5KVを印加するものである。
(イ)ここで、引用発明の「銅基板」は、本願発明1の構成C-1「コーティングされた基材の基材材料」及び構成C-2の「前記基材材料」に相当し、引用発明の「基材に含まれる元素Cuの吸収端<CuのK核吸収端の概算のエネルギーはCu;9.0keVである>波長両側のX線エネルギー」は、本願発明1の構成C-1の「コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギー」及び構成C-2の「前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベル」に相当する。
(ウ)また、引用発明の「高エネルギー側のX線管は15KV、低エネルギー側のX線管は7.5KVを印加すること」は、本願発明1の構成C-1の「コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギーに調整され」ること、及び構成C-2の「前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整され」ることと等価である。
(エ)したがって、引用発明は、本願発明1の構成C-1及び構成C-2を備えているといえる。
オ 本願発明1の構成C-3について
(ア)引用発明の構成c及び構成dより、第1のX線源11と第2のX線源12は共に二層膜シート10の走行パスの第1の位置に向けてX線ビームを照射するものであり、構成hより、走行状態の二層膜シート10の実質的に同一部分に対して2つの透過X線がクロスするように配置し、走行状態の二層膜シート10の同一部分を同時に測定することを可能としていることから、第1のX線源11と第2のX線源は共に走行状態の二層膜シート10の同一部分にX線ビームを照射し測定している。
(イ)また、前記「ウ」で説示したとおり、第1のX線源11と第2のX線源12は共に二層膜シート10の走行パスの幅方向(塗工シート10の走行方向と直角方向)に定速度で往復駆動することから、二層膜シート10を走査するものである。
(ウ)前記「(ア)及び(イ)」より、引用発明と本願発明1とは、「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記コーティングされた基材(180)上の同じシート位置を走査」する点で共通する。
(エ)したがって、引用発明は本願発明1の構成C-3を備えているといえる。
カ 本願発明1の構成C-4について
(ア)前記「イ(イ)」で説示したとおり、引用発明の「第1のX線源11及び第2のX線源12を内蔵」する「X線管カバー」は、本願発明1の構成Bの「コーティングされた基材(180)の上に構成された上部スキャナヘッド(160a)」に相当することから、引用発明と本願発明1とは「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記上部スキャナヘッド(160a)内に含まれ」る点で共通する。
(イ)よって、引用発明は本願発明1の構成C-4を備えているといえる。
キ 本願発明1の構成C-5について
(ア)引用発明の構成jの「IHo;高エネルギー側における照射X線強度」及び「ILo;低エネルギー側における照射X線強度」は、「X線源とX線検出器との間に塗工シートが走行していない(存在しない)状態、本例では、X線源から照射されるX線が走行パスの外側にずれた位置に走査されている状態で、X線源から対向するX線検出器にX線が直接に照射された照射X線の値を測定し、その結果に基づいて補正された照射X線の値が使用される」ことから、本願発明1の構成C-5の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の」「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合」の「信号」に相当する。
(イ)引用発明の構成jの「IH ;高エネルギー側における透過X線強度」及び「IL ;低エネルギー側における透過X線強度」は、「X線源とX線検出器との間に塗工シートが走行している(存在する)状態の時に測定された値である」ことから、本願発明1の構成C-5の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の」「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号」に相当する。
(ウ)引用発明の構成jの下層の単位面積当たり重量WB の計算式内にある「(IH /IHo)」及び「(IL /ILo)」は、前記「(ア)及び(イ)」より、本願発明1の構成C-5の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の」「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合に対する、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号の比率」に相当する。
(エ)引用発明の構成j及び構成e-1より、構成jのWB の計算式内にある「IH」、「IHo」、「IL」及び「ILo」は、計算式に関連するパラメータであり、本例の測定装置を用いて実測されたパラメータであることから、演算部30が有するパラメータ記憶部34に記憶される。
(オ)したがって、 引用発明と本願発明1とは、引用発明が上記「(ウ)」のとおり信号の比率を計算するものの、記録まではしていないことから、構成C-5のうち、「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の信号は、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合」及び「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号」「として記録される」点で共通する。
ク 本願発明1の構成Dについて
(ア)引用発明の構成c、構成d及び構成gより、引用発明の「走行パスの第1の位置を挟んで第1のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第1のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第1のX線検出器21」及び「走行パスの第1の位置を挟んで第2のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第2のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第2のX線検出器22」は、「上下一対のレール42,43間は、帯状の細長い二層膜シート10が走行する前記走行パスの一部となって」いる「下側のレール43に」「レール長手方向に摺動可能に取付けられており、各X線検出器21,22は、相対位置を維持したままレール長手方向に往復移動が可能であ」る。
(イ)したがって、引用発明と本願発明1とは、構成Dのうち「前記コーティングされた基材(180)の下に構成されて、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出」をする「下部スキャナ」の点で共通する。
ケ 本願発明1と引用発明との一致点及び相違点について
前記「アないしク」より、本願発明1と、引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「A システムであって、
B コーティングされた基材(180)の上に構成された上部スキャナヘッド(160a)と、
C 前記コーティングされた基材(180)を走査するように構成されたX線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)であって、
C-1 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの一方が、前記コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギーに調整され、
C-2 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの他方が、前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整され、
C-3 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記コーティングされた基材(180)上の同じシート位置を走査し、
C-4 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)は、前記上部スキャナヘッド(160a)内に含まれ、
C-5’ 前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の信号は、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合及び、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号として記録される、
C X線センサ(110)及び第2のX線センサ(120)と、
D’ 前記コーティングされた基材(180)の下に構成されて、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出をする下部スキャナと、
A を備える、システム。」
(当審注:構成C-5’及び構成D’は、それぞれ構成C-5及び構成Dと一部相違する点がある。)
一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点1>
構成C-5において、「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の信号」が、本願発明1では、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在しない場合に対する、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)の下に前記コーティングされた基材(180)が存在する場合の信号「の比率として記録される」のに対し、引用発明は、「IHo;高エネルギー側における照射X線強度」、「ILo;低エネルギー側における照射X線強度」、「IH ;高エネルギー側における透過X線強度」及び「IL ;低エネルギー側における透過X線強度」それぞれをパラメータ記憶部34に記憶する点。
<相違点2>
構成Dにおいて、コーティングされた基材(180)の下のスキャナが、本願発明1は「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出のための位置を提供する、下部スキャナヘッド(160b)」であるのに対し、引用発明は、「走行パスの第1の位置を挟んで第1のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第1のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第1のX線検出器21」及び「走行パスの第1の位置を挟んで第2のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第2のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第2のX線検出器22」である点。
(2)当審の判断
ア 相違点1について
引用発明において、演算部30における下層の単位面積当たり重量WB の計算式に関係するパラメータとして、「IH」、「IHo」、「IL」及び「ILo」は、パラメータ記憶部34に記憶することが行われている。そして、計算に必要なパラメータを記憶することは計算装置における常套手段であるところ、WB の計算式では、上記4つのパラメータは、「(IH /IHo)」及び「(IL /ILo)」というパラメータとして用いられることから、パラメータ記憶部34に記憶するパラメータを「IH」、「IHo」、「IL」及び「ILo」に代えて、又は加えて、「(IH /IHo)」及び「(IL /ILo)」という比率として記憶するようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎず、当業者が容易になし得たことである。
したがって、引用発明に前記相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者ならば容易になし得たことである。
イ 相違点2について
(ア)引用発明の、「走行パスの第1の位置を挟んで第1のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第1のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第1のX線検出器21」及び「走行パスの第1の位置を挟んで第2のX線ビームに対向し、走行パスの第1の位置における二層膜シート10を第2のX線ビームが透過した透過X線の強さを検出する第2のX線検出器22」は、第1の位置からのX線の検出のための位置にそれぞれ配置されるものであるから、本願発明1の構成C-5の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出のための位置を提供する、下部スキャナヘッド(160b)」に相当する。よって、前記相違点2は、本願発明1と引用発明との間の相違点ではない。
(イ)仮に、本願発明1の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のX線の検出のための位置を提供する、下部スキャナヘッド(160b)」が、本願の【図1B】に記載されているように、X線センサ110からの透過X線を受ける受信機110b及び第2のセンサ120からの透過X線を受ける受信機120bを収納して使用するための箱状のものであると特定されている場合について検討すると、その場合は、確かに引用発明は第1のX線検出器21及び第2のX線検出器22を収納するケース状のものを備えているとは明示されていない。しかしながら、計測機器を、当該計測機器が配置された雰囲気内の大気、温度、湿度、外部からの光照射などの外部環境影響から守るために、箱内に配置して使用することは、当業者において、引例を挙げるまでもなく周知慣用の技術にすぎないことから、引用発明に前記周知慣用の技術を適用して第1のX線検出器21及び第2のX線検出器22を収納して使用するための箱状のものを備えるようにすることは、当業者ならば容易になし得たことである。
ウ 本願発明1の効果について
本願発明1の効果は、引用発明及び周知慣用の技術から、当業者が予測しうる程度のものにすぎない。
エ 審判請求人の主張について
(ア)令和7年7月15日提出の意見書における主張について
a 審判請求人は、令和7年7月15日提出の意見書の「(4)本願発明の進歩性」において、本願発明が引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない理由として、以下の2点について主張する。している。
(a)主張1:本願発明の「前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの一方が、前記コーティングされた基材の基材材料の吸収ピークを下回るエネルギーに調整され、前記X線センサ(110)及び前記第2のX線センサ(120)のうちの他方が、前記基材材料の前記吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整され、」との特徴は、引用文献1に開示も示唆もされていない。
(b)主張2:本願発明は、本願の明細書の段落0002-0005に記載されているような、リチウムイオン電池の銅が関与するアノードフィルムのコーティングと箔の厚さの変動をより効果的に区別するという課題に対し、同明細書の段落0043,0047記載の「X線センサのうちの一方は、10キロ電子ボルト(KeV)の銅吸収ピークを下回るエネルギーレベルに調整される。他方のX線センサは、10KeVの銅吸収ピークを上回るエネルギーレベルに調整される。」という構成を採用し、同段落0068及び0069記載の「銅及び炭素/シリコンの坪量を計算する」効果を奏するものである。
b 前記主張1については、本願発明1の構成C-1及び構成C-2についての主張であり、前記「(1)エ」で説示したとおり、引用発明が備える構成である。よって、審判請求人の前記主張1は採用することができない。
c 前記主張2については、引用発明においても、構成iで示したとおり、前記二層膜シートが、リチュームイオン電池の負極用の塗工シートとして、銅基板にカーボンが塗工されているものである場合に、塗工シートの実質的に同一部分に2つのX線源11,12から異なる2つのX線エネルギー(基材に含まれる元素Cuの吸収端<CuのK核吸収端の概算のエネルギーはCu;9.0keVである>波長両側のX線エネルギー)すなわち高エネルギー側のX線管は15KV、低エネルギー側のX線管は7.5KVを印加することで、高エネルギーのX線、低エネルギーのX線を照射させて測定し、構成jで示したとおり、二層膜シートの上層の単位面積当たり重量WC および下層の単位面積当たり重量WB を、計算式に基づいて算出することから、引用発明は、前記主張2で主張される本願発明が備える構成及び奏する効果を、同様に備え奏するものである。よって、審判請求人の前記主張2は採用することができない。
(イ)令和6年5月15日提出の審判請求書における主張について
a 審判請求人は、令和6年5月15日提出の審判請求書の請求の理由を変更する令和6年6月18日提出の手続補正書の「3.本願発明が特許されるべき理由(b)本願発明と引用発明との対比」において、令和7年7月15日提出の意見書の「(4)本願発明の進歩性」と同様の主張をしている。
b したがって、前記「(ア)」で説示したとおり、審判請求人の審判請求書における主張は採用することができない。
(3)進歩性についてのまとめ
したがって、本願発明1は、引用発明及び周知慣用の技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.原査定の拒絶の理由についての判断のまとめ
以上のことから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明(引用発明)及び周知慣用の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第8 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の理由及びその余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-008030