特許拒絶査定不服審判
2024-007037
遊技機
- 審判番号
- 2024-007037
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-012401外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年04月25日
- 審決日
- 2024年09月10日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .113-WY (A63F) / P18 .121-WY (A63F) / P18 .537-WY (A63F) / P18 .55 -WY (A63F) / P18 .03 -WY (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第44条第1項、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2023- 12401「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月24日出願公開、特開2023- 41789、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年1月30日に出願した特願2017-13753号(以下「原出願1」という。)の一部を令和3年6月15日に新たな特許出願(特願2021-99088号。以下「原出願2」という。)とし、さらにその一部を令和5年1月31日に新たな特許出願(特願2023-12401号)とした特許法第44条第1項の規定に基づく分割出願であって、本願出願後の手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和5年 8月 4日 :手続補正書、上申書の提出
9月12日付け:拒絶理由通知書
令和6年 3月12日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同月19日 :原査定の謄本の送達
4月25日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年8月4日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
開閉可能に設けられた遊技機前面体と、
所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、所定の処理を実行する処理実行手段と、
を備える遊技機において、
前記遊技価値付与手段は、
前記遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される情報である参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
前記遊技機前面体が開放されて所定状態が発生した場合に所定状態信号を前記処理実行手段に対して送信する第3送信手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号、及び前記第2参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に基づいて、前記所定の処理を実行する実行手段と、
前記実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
前記第3送信手段から送信された前記所定状態信号を受信した場合にそれに対応する情報を記憶する手段と、
を備え、
前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報に対応する情報が前記処理実行手段の外部に出力された後に、前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報が消去される構成であり、
前記遊技価値付与手段は、遊技の進行を制御する主制御手段であり、
前記処理実行手段は、演出の実行を制御する演出制御手段であり、
遊技の進行制御が停止される所定の事象が発生した場合には前記第2送信手段による前記所定情報信号を送信するための所定の制御が実行されない構成であることを特徴とする遊技機。」
第3 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
●分割の適法性について
本願発明は、その発明を特定するために必要な事項として、「所定検知手段」、「参照用情報」、「第1参照用情報記憶手段」、「参照用情報信号」、「第1送信手段」、「所定情報信号」、「第2送信手段」、「所定状態」、「第3送信手段」、「所定状態信号」、「第2参照用情報記憶手段」、「処理結果情報記憶手段」及び「所定の事象」との事項を含むが、原出願1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)におけるどのような技術事項が、具体的にこれら「所定検知手段」、「参照用情報」、「第1参照用情報記憶手段」、「参照用情報信号」、「第1送信手段」、「所定情報信号」、「第2送信手段」、「所定状態」、「第3送信手段」、「所定状態信号」、「第2参照用情報記憶手段」、「処理結果情報記憶手段」及び「所定の事象」に対応するものであるのか、当業者といえども理解できない。
したがって、本願発明と原出願1の当初明細書等に記載された用語が不統一であり、その結果、両者の対応関係が不明瞭となっているものであるから、本願発明は、原出願1の当初明細書等に記載された範囲内になく、かつ、その記載から自明に把握できたものであるとも認められない。
よって、本願発明は、原出願1の当初明細書等に記載された事項の範囲内のものではないから、本願は分割が適法になされたものとは認められない。
すなわち、本願の出願日は遡及せず、分割の日である令和5年1月31日に出願されたものと認める。
理由1.(新規事項)本願発明と本願の当初明細書等に記載された用語が不統一であり、その結果、両者の対応関係が不明瞭となっているものであるから、令和5年8月4日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
理由2.(サポート要件)本願発明と本願の当初明細書等に記載された用語が不統一であり、その結果、両者の対応関係が不明瞭となっているものであるから、本願発明は発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3.(新規性)本願発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由4.(進歩性)本願発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2018-121678号公報(原出願1の公開公報)
第4 分割の適否について
1 特許出願の分割の要件
特許法第44条第1項は、出願人が二以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな特許出願とすること(以下「特許出願の分割」という。)ができる旨を規定しており、特許出願の分割の要件(以下「分割要件」という。)を満たし、特許出願の分割が適法になされた場合、同条第2項の規定により、新たな特許出願(以下「分割出願」という。)は、もとの特許出願(以下「原出願」という。)の時にしたものとみなされる。そして、特許法第44条第1項の規定、及び、分割出願が原出願の時にしたものとみなされるという特許出願の分割の効果を考慮すれば、特許出願の分割が適法であるためには、以下の(1)~(4)の要件を満たす必要がある(東京高裁平成15年(行ケ)第65号判決を参照)。
(1) 原出願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に二以上の発明が包含されていたこと。
(2) 分割出願に係る発明が、原出願の明細書等に記載された発明の一部であること。
(3) 分割出願に係る発明が、分割直前の原出願の明細書等に記載されていること。
(4) 分割出願に係る発明が、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であること。
また、第1の原出願(以下「親出願」という。)から第1の分割出願(以下「子出願」という。)をし、さらに子出願を第2の原出願として第2の分割出願(以下「孫出願」という。)をした場合に、孫出願が親出願の時にしたものとみなされるためには、子出願が親出願に対し分割要件を満たし、孫出願が子出願に対し分割要件を満たし、かつ、孫出願に係る発明が親出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であることを要する(上記東京高裁判決を参照)。
これを本件に当てはめると、本願が原出願1の時にしたものとみなされるためには、以下の(a)~(c)の要件を満たす必要がある。
(a) 原出願2が、原出願1に対し分割要件を満たすこと。
(b) 本願が、原出願2に対し分割要件を満たすこと。
(c) 本願発明が、原出願1の当初明細書等に記載された事項の範囲内であること。
2 原出願1から原出願2への分割の適否(上記(a)について)
原出願2の明細書等の記載は、原出願1の当初明細書等の記載及び分割直前の明細書等の記載と実質的に同一であるから、原出願1から原出願2への分割は、特許法第44条第1項に規定する分割要件を満たすものであると認められる。
3 原出願2から本願への分割の適否(上記(b)について)
(1) 本願発明のうち、「所定検知手段」、「参照用情報」、「第1参照用情報記憶手段」、「参照用情報信号」、「第1送信手段」、「所定情報信号」、「第2送信手段」、「所定状態」、「第3送信手段」、「所定状態信号」、「第2参照用情報記憶手段」、「処理結果情報記憶手段」及び「所定の事象」との事項についてまず検討する。
ア 「所定検知手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0039】に記載された「各種検知センサ42a~48a」が、「所定検知手段」に対応する。
イ 「参照用情報」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0128】~【0137】には、主側CPU63の処理として「入球検知処理」が記載されており、当該入球検知処理についてのプログラムが、「参照用情報」に対応する。
ウ 「第1参照用情報記憶手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0051】には、「各種の制御プログラム」を「記憶」する「主側ROM64」が記載されており、当該「主側ROM64」は、上記(2)の「入球検知処理についてのプログラム」も記憶していると認められるから、「主側ROM64」は「第1参照用情報記憶手段」に対応する。
エ 「参照用情報信号」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0187】に記載された「種類識別コマンド」が、「参照用情報信号」に対応する。
オ 「第1送信手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0207】~【0213】に記載された、「認識用処理」を実行する「主側CPU63」が、「第1送信手段」に対応する。
カ 「所定情報信号」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0175】~【0181】に記載された「第1信号」~「第7信号」が、「所定情報信号」に対応する。
キ 「第2送信手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0228】~【0229】に記載された、「管理用出力処理」の「ステップS705」において、「第1~第7信号のうち管理対象カウンタの値に対応する信号の出力状態をHIレベルに設定する」「主側CPU63」が、「第2送信手段」に対応する。
ク 「所定状態」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0230】に記載された「前扉枠14が開放状態」が、「所定状態」に対応する。
ケ 「第3送信手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0230】に記載された、「管理用出力処理」の「ステップS707」において、「前扉枠14が開放状態」となったと判定した場合に、「ステップS708」において、「管理対象カウンタの値に対応する信号の出力状態をHIレベルに設定する」「主側CPU63」が、「第3送信手段」に対応する。
コ 「所定状態信号」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0184】に記載された「第10信号」が、「所定状態信号」に対応する。
サ 「第2参照用情報記憶手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0188】~【0196】に記載された「対応関係用メモリ116」が、「第2参照用情報記憶手段」に対応する。
シ 「処理結果情報記憶手段」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0198】~【0199】に記載された「履歴情報格納エリア125」又は【0329】に記載された「演算結果用メモリ131」が、「処理結果情報記憶手段」に対応する。
ス 「所定の事象」について、原出願2の出願当初の明細書及び分割直前の明細書の【0112】に記載された「不正用の監視対象として設定されている所定の事象」が、「所定の事象」に対応する。
(2) 上記(1)によれば、本願発明の「所定検知手段」、「参照用情報」、「第1参照用情報記憶手段」、「参照用情報信号」、「第1送信手段」、「所定情報信号」、「第2送信手段」、「所定状態」、「第3送信手段」、「所定状態信号」、「第2参照用情報記憶手段」、「処理結果情報記憶手段」及び「所定の事象」との事項は、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等に記載された事項であり、また、本願発明のうち、前記事項以外の事項については、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等に記載されていることが明らかであり、これを踏まえると、本願発明は、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等に記載されたものである。
さらに、原出願2の明細書等に二以上の発明が包含されており、本願発明が、原出願2の明細書等に記載された発明の全部ではなく一部であることは明らかである。
よって、原出願2から本願への分割は、適法なものである。
4 本願発明が、原出願1の当初明細書等に記載された事項の範囲内であるか否かについて(上記(c)について)
上記3のとおり、本願発明は、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等に記載されたものであるところ、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等の記載は、実質的に原出願1の当初明細書等の記載と同一であるから、本願発明は、原出願1の当初明細書等に記載された事項の範囲内のものであるといえる。
5 分割の適否についてのまとめ
上記2~4にて説示したとおり、上記1にて説示した(a)~(c)の要件は全て満たされているから、本願は、原出願1が出願された平成29年1月30日に出願したものとみなされる。
第5 原査定についての判断
1 原査定の拒絶の理由1(新規事項)について
上記第4のとおり、本願発明は、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等に記載されたものであるところ、本願の当初明細書等の記載は、原出願2の当初明細書等及び分割直前の明細書等の記載と実質的に同一であるから、令和5年8月4日付け手続補正書でした補正は、本願の当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものといえる。
したがって、原査定における拒絶の理由1(特許法第17条の2第3項)を維持することはできない。
2 原査定の拒絶の理由2(サポート要件)
上記1のとおり、本願発明は、本願の当初明細書等に記載されたものである。
したがって、原査定における拒絶の理由2(特許法第36条第6項第1号)を維持することはできない。
3 原査定の理由3(新規性)及び理由4(進歩性)について
上記第4のとおり、本願は適法に分割されたものであるから、原出願1の公開公報である引用文献1に記載された発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とはいえない。
したがって、原査定における拒絶の理由3(特許法第29条第1項第3号)及び理由4(同条第2項)を維持することはできない。
第6 まとめ
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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