特許拒絶査定不服審判
2024-006813
減圧プラズマ溶射法
- 審判番号
- 2024-006813
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-551316外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年04月22日
- 審決日
- 2025年09月08日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .55 -WY (C23C) / P18 .121-WY (C23C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-551316「減圧プラズマ溶射法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日国際公開、WO2021/065920、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)9月29日(優先権主張 令和1年9月30日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 4月 5日 :手続補正書の提出
令和 5年 2月21日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 6月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年 6月29日 :手続補足書の提出
令和 5年 9月13日付け:拒絶理由通知書
令和 5年11月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年11月17日 :手続補足書の提出
令和 6年 1月18日付け:拒絶査定
令和 6年 4月22日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年4月22日付けの手続補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
令和6年4月22日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、補正前の請求項1における「減圧容器内でプラズマ電源出力を2~10kWとし、作動ガスをプラズマ化してプラズマジェットを発生させ、前記プラズマジェットに平均粒径が1~10μmの原料粉末を供給し、溶射皮膜を形成する減圧プラズマ溶射法」との記載を、「減圧容器内でプラズマ電源出力を2~10kWとし、作動ガスとして、アルゴン、ヘリウム、又はこれらの混合ガスをプラズマ化してプラズマジェットを発生させ、前記プラズマジェットに平均粒径が1~10μmの原料粉末を供給し、溶射皮膜を形成する減圧プラズマ溶射法」とする補正事項を含むものである。
(2)本件補正の適否についての当合議体の判断
ア 上記(1)の補正事項は、補正前の請求項1における「減圧プラズマ溶射法」の「プラズマジェットを発生させ」る工程において用いる「作動ガス」について、「アルゴン、ヘリウム、又はこれらの混合ガス」であることを特定するものであり、補正後の請求項1の係る「減圧プラズマ溶射法」には、「作動ガス」の種類(ガス種)としてアルゴンとヘリウムの混合ガスをプラズマ化してプラズマジェットを発生させる態様が含まれる。
イ ここで、本願の国際出願日における国際特許出願の明細書、図面、又は請求の範囲(以下「明細書等」という。)には、「作動ガス」のガス種について、以下の記載がある(なお、「…」は摘記の省略を示す。)。
「[0038] 本実施形態で使用可能なプラズマの作動ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素等が挙げられる。この中ではアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが、原料粉末の変質を抑える観点から好ましい。水素を使用すると、還元反応の促進や、金属基材の水素脆化が生じてしまうことがある。窒素を使用すると、窒化反応を起こすことがある。」
「[0054](実施例1)…
<溶射条件>…
プラズマガス種:Ar」
「[0055](比較例1)…
<溶射条件>…
プラズマガス種:Ar、H2」
ウ 上記イの記載によれば、明細書等には、「作動ガス」として、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素等が挙げられること、中でもアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが好ましいこと、アルゴンをプラズマガス種とした実施例、及びアルゴンと水素をプラズマガス種とした比較例が記載されている。
しかし、「作動ガス」のガス種に関してはこれ以外の記載は認められず、複数種のガス種を用いる点についても比較例1のアルゴンと水素の組み合わせ以外は記載されていない。
したがって、「作動ガス」としてアルゴンとヘリウムの混合ガスを用いることは、明細書等には記載も示唆もされていない。
エ 以上ア~ウによれば、上記(1)の補正事項を含む本件補正は、当業者によって、明細書のすべての記載を総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明と本願についての当合議体の判断
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、令和5年11月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されたものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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