特許拒絶査定不服審判
2024-006663
落雷情報提供方法及び落雷情報提供サーバ
- 審判番号
- 2024-006663
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-028525
- 請求日
- 2024年04月18日
- 審決日
- 2025年02月27日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社東光高岳
- 【請求人代理人】河野 英仁
- 【請求人代理人】河野 登夫
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 小池 堂夫
- 審判官 梶尾 誠哉
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q) / P18 .537-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 28525「落雷情報提供方法及び落雷情報提供サーバ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月13日出願公開、特開2021-135520、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年2月21日の出願であって、令和5年10月20日付けの拒絶理由通知に対し、同年11月8日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、令和6年2月2日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年4月18日に審判請求がされ、同年7月31日付けの当審における拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」といい、通知に係る拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)に対し、同年9月17日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1~11に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献A~Hに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A 特開2002-286861号公報
引用文献B 特開2006-204081号公報
引用文献C 特開2006-275845号公報
引用文献D 特表2017-504786号公報
引用文献E 特開2013- 11200号公報
引用文献F 特開2001- 67498号公報
引用文献G 特開2007-133653号公報
引用文献H 特開2008-153010号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 理由1
(進歩性)この出願の請求項1~5、10及び11に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2008-153010号公報(上記引用文献H)
引用文献2 特開2002-286861号公報(上記引用文献A)
2 理由2
(明確性要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願の請求項1~10に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明10」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
落雷情報提供サーバにおいて、
異なる発電事業者が運用する風力発電設備それぞれの風車に設けられた落雷センサが検出した、風車直撃雷の落雷電流を含む検出データ、前記風車への落雷発生時の時間情報及び前記風車の位置情報を含む落雷関連データを取得し、
取得した落雷関連データをデータベースに記憶し、
記憶した落雷関連データに基づく落雷情報を端末装置へ提供し、
前記位置情報に基づいて、前記風力発電設備から所定範囲内の登録者へ落雷発生を通知する、
落雷情報提供方法。
【請求項2】
落雷の発生場所、発生日時、落雷電流の波高値及び電荷量を含む前記落雷情報をリアルタイムで前記端末装置へ提供する請求項1に記載の落雷情報提供方法。
【請求項3】
前記落雷情報に関する統計情報を前記端末装置へ提供する請求項1又は請求項2に記載の落雷情報提供方法。
【請求項4】
前記落雷情報は、
落雷発生個所、落雷発生回数、落雷電流の波高値及び落雷の電荷量の少なくとも1つが地図上で特定された落雷マップを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の落雷情報提供方法。
【請求項5】
前記落雷情報は、
前記風力発電設備の破損又は故障に関する情報を含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の落雷情報提供方法。
【請求項6】
前記落雷センサの設置数、前記落雷センサによるデータ収集期間、及び前記落雷情報の提供先事業者数の少なくとも1つに基づいて各発電事業者に付与する対価を決定する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の落雷情報提供方法。
【請求項7】
前記落雷センサの設置数及び前記落雷センサによるデータ収集期間の少なくとも1つに基づいて前記落雷情報の提供先事業者への利用料を決定する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の落雷情報提供方法。
【請求項8】
前記落雷情報の提供形態がリアルタイム情報か統計情報かに応じて前記落雷情報の提供先事業者への利用料を決定する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の落雷情報提供方法。
【請求項9】
所定の事業者の端末装置からの要求に応じて前記落雷情報に関する統計情報を前記端末装置へ提供する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の落雷情報提供方法。
【請求項10】
異なる発電事業者が運用する風力発電設備それぞれの風車に設けられた落雷センサが検出した、風車直撃雷の落雷電流を含む検出データ、前記風車への落雷発生時の時間情報及び前記風車の位置情報を含む落雷関連データを取得する取得部と、
取得した落雷関連データを記憶するデータベースと、
記憶した落雷関連データに基づく落雷情報を端末装置へ提供する提供部と、
前記位置情報に基づいて、前記風力発電設備から所定範囲内の登録者へ落雷発生を通知する通知部と
を備える落雷情報提供サーバ。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1(引用文献H)の記載、引用発明
(1) 引用文献1(引用文献H)の記載
引用文献1(原査定で引用された引用文献H)には、以下の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。
引用文献1には、以下の記載がある。
「【請求項1】
風車を構成する複数のブレードと、複数のブレードを保持するロータヘッドと、ロータヘッドを軸支するロータ軸と、ロータ軸を回動自在に支持し、ロータ軸に直結される増速器およびこの増速器により回転して発電を行う発電機を収容する頂部収容箱と、頂部収容箱を先端で支持する塔体と、発電を制御する制御システムと、を備える風力発電設備におけるブレード雷撃について監視するブレード雷撃監視装置であって、
ブレードを接地するためにブレード毎に形成される雷撃電流導電路別に貫通するように装着される円環状電流センサと、
円環状電流センサに接続され、ある円環状電流センサから出力される誘起電流を取り込み、演算処理により生成した検出データと、ブレードを特定する特定データと、を関連づけて生成した落雷データを生成して無線送信する検出装置と、
検出装置から無線送信された無線信号から落雷データを生成して出力する監視装置と、
を備えることを特徴とするブレード雷撃監視装置。」
「【0064】
続いて雷撃監視システムの改良形態について、図を参照しつつ説明する。
図9は、風力発電設備の設置例の説明図である。これは、多数の風力発電設備を設置した場合、場所によって落雷頻度に高低があることがある。例えば、図9で示すように、標高が高い箇所にある風力発電設備では、雷雲に近いため、落雷頻度が高い。また、風力発電設備が密集している中側では、落雷の確率が分散するため、落雷頻度が高くないが、逆に両端にある風力発電設備は、風力発電設備が密集していないため、落雷頻度が高くなる。このような落雷頻度が高い箇所では、より正確で詳しい落雷情報を必要としている。そこで、落雷頻度が高い箇所ではさらに雷撃電流監視装置を設置することで落雷電流に関するより詳しい情報を得るようにした。
【0065】
図10は雷撃電流監視装置を追加した雷撃監視システムのシステム構成図である。図11は雷撃電流監視装置とブレード雷撃監視装置とが設置された風力発電設備の説明図であり、図11(a)は設置状態の説明図、図11(b)はブロック説明図である。
この雷撃監視システム1000’は、図10で示すように、複数のブレード雷撃監視装置1,2、複数の雷撃電流監視装置4、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、メディアコンバータ220、通信用サーバ装置230、インターネット回線240、遠隔監視用コンピュータ250を備えている。この雷撃監視システム1000は、図9に示す複数の風力発電設備500に対して、中央および両側ではブレード雷撃監視および雷撃電流監視を行い、他はブレード雷撃監視のみを行うというものである。
【0066】
ここに先に図9を用いて説明した雷撃監視システム1000と比較すると、図10の雷撃監視システム1000’では、複数の雷撃電流監視装置4が追加されている点が相違するが、他の構成については同じであり、複数のブレード雷撃監視装置1,2、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、メディアコンバータ220、通信用サーバ装置230、インターネット回線240、遠隔監視用コンピュータ250については重複する説明を省略する。
【0067】
雷撃電流監視装置4は、図11(a),(b)で示すように、計測装置40、ロゴウスキーコイル41、GPS(Global Positioning System)アンテナ42、記憶媒体43、コンピュータ44を備えている。
計測装置40は、ロゴウスキーコイル41、GPSアンテナ42が接続されている。さらに、この計測装置40は、記憶媒体43が着脱可能な読み書き部(図示せず)を備えており、計測装置40が計測により算出した計測データを記憶媒体43に登録させる。そして、記憶媒体43を取り外してコンピュータ44の読み書き部に載置することで、コンピュータ50は計測データを読み込んで雷撃について各種解析することができる。
【0068】
ロゴウスキーコイル41は、円環状電流センサの具体例であり、例えば波高値計測用ロゴウスキーコイルであったり、または、波形計測用ロゴウスキーコイルである。さらには、波高値計測用ロゴウスキーコイルおよび波形計測用ロゴウスキーコイルを絶縁体を介して上下に重ねた二重のコイルであっても良い。ロゴウスキーコイル41は図示しないが外周部に絶縁被覆部が形成されており、短絡等が起きないように配慮されている。このようなロゴウスキーコイル41は、図11(a)で示すように、風力発電設備500の塔体510の根元部に配置される。このような構成により、塔体510の外周面と内接しながら、巻始めから巻終わりまで1コイルで閉ループを形成して、極めて容易に装着できる。ロゴウスキーコイル41が、巻始めから巻終わりまで1コイルで閉ループを形成して長尺化しても、塔体510の根元部の外周面との内接により、ロゴウスキーコイル41のインダクタンスと浮遊容量を低減して高周波特性を確保し、雷撃電流の正確な計測を可能にしている。ロゴウスキーコイル41は、風力発電設備500への雷撃の際に塔体510に流れる雷撃電流を精度良く取り込むことができる。
【0069】
GPSアンテナ42は、GPS衛星からの衛生信号を受信する。この衛星信号に含まれる情報のうち、1秒ごとのパルス信号を利用する。このパルス信号を用いて計測装置40の内蔵時計を1秒ごとに修正するため、計測装置40は精度の高い時刻データを得ることができる。
【0070】
計測装置40は、ロゴウスキーコイル32(当審注;「41」の誤記である。)からの誘起電流を取り込んで波高値、波形、または、電荷量という雷撃データを生成する。計測装置40は、トリガ機能を有しており、所定値(例えば正負1kA)を超える電流が入力された場合に波形計測を開始するように制御する。
また、計測装置40は、GPSアンテナ42を介して入力されるGPS信号に基づいてGPS時計機能による時刻データを出力するGPS時計部を備え、トリガ発生時の時刻データを生成する。さらに、計測装置40が設置されている風力発電設備500を特定するアドレスデータを読み出す。そして、これら雷撃データ、時刻データおよびアドレスデータを関連づけて計測データを生成する。この計測データは、記憶媒体43に書き込まれる。保守員は、記憶媒体43を読み書き部から取り出して持ち帰り、例えば監視所にあるコンピュータ44の読み書き部に記憶媒体43を装填して読み出すことができる。また、遠隔監視用コンピュータ250が制御コマンドを計測装置40へ送信して計測データを読み出すことができる。これら計測データの取得は何れか一方(記憶媒体43経由か光ケーブル210経由か)を選択することができる。
【0071】
計測装置40が落雷データを取得した場合に、さらにどの風力発電設備であるかを表す設備特定データを付加した落雷データとし、この出力装置から落雷データを送信すると、メディアコンバータ220、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、通信用サーバ装置230、インターネット回線240を通じて遠隔監視用コンピュータ250へ送信される。これにより、遠隔地にある遠隔監視用コンピュータ250にて、どの風力発電設備500に落雷があったか、および精度の高い落雷電流の値を検知することができる。これにより、ブレード雷撃監視装置1,2は、ブレード落雷についての簡易なデータを取得し、中央や両側のように雷撃電流監視装置4がある場合には、計測装置40が精密なデータを取得することができる。
【0072】
なお、先に図8を用いて説明した駆動制御装置3を追加するような構成として、例えば、ブレード落雷を検出した後に直ちに風力発電設備500を停止するような風力発電設備としても良い。
【0073】
以上説明したこのような雷撃監視システム1000’は、ブレード雷撃監視装置1,2と、遠隔監視用コンピュータ250と、は先に説明したように幹線用光ケーブル200を介して通信を行うことができる。さらに、雷撃電流監視装置4と遠隔監視用コンピュータ250とも幹線用光ケーブル200を介して通信を行うことができる。また、記憶媒体43を用いても良い。
【0074】
続いて風力発電設備1に設置される改良型の雷撃電流監視装置4’について図を参照しつつ説明する。図12は他の雷撃電流監視装置とブレード雷撃監視装置とが設置された風力発電設備の説明図であり、図12(a)は設置状態の説明図、図12(b)はブロック説明図である。図13は、Webページの説明図である。
雷撃電流監視装置4’は、図12(a)で示すように、計測装置40、ロゴウスキーコイル41、GPSアンテナ42、記憶媒体43、コンピュータ44、収集装置45を備えている。
【0075】
この形態では先に説明した形態と比較すると、雷撃電流監視装置4’に収集装置45を追加設置した点が相違する。以下、相違点を重点的に説明するものとし、先の形態と同じ構成については同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0076】
収集装置45は、計測装置40が計測した計測データを読み出して収集する。この収集は定期的(例えば1時間毎)に行うようにしても良い。また、計測データが生成したときに計測装置40が収集装置45へ送信するようにしても良い。収集装置45はこのような計測装置40からの計測データを収集してデータ処理する処理手段として機能する。データ処理は例えば帳票形式にまとめた計測データとする。さらに、収集装置45はデータ処理された計測データを表示するWebページデータを生成する生成手段として機能する。Webページデータとすることで、外部の遠隔監視用コンピュータ250から容易に読み出しができるようになる。
【0077】
メディアコンバータ220は、収集装置45に接続されており、電気通信信号と光通信信号との変換を行う機能を有している。 メディアコンバータ22は中継用の光ケーブル210に接続されており、光信号により通信される。
【0078】
続いて雷撃監視システム1000’の動作について説明する。先に説明した遠隔監視用コンピュータ250による風力発電設備500の駆動制御等は先の形態と同様に行うものであり、重複する説明を省略し、収集装置45による動作について説明する。
【0079】
光ケーブル210に接続される遠隔地の遠隔監視用コンピュータ250のブラウザが所望の風力発電設備500の収集装置45のアドレスを指定してリクエストする。すると、インターネット回線240、通信用サーバ装置230、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、雷撃電流監視装置4’側のメディアコンバータ220を介して収集装置45へリクエストされる。
【0080】
収集装置45は、リクエストを受けてWebページデータを通信データに変換した上で送信する。通信データは、収集装置45、雷撃電流監視装置4’側のメディアコンバータ220、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、通信用サーバ装置230、インターネット回線240、を介して遠隔監視用コンピュータ250へ送信される。遠隔監視用コンピュータ250ではWebページを表示させる。このWebページは、図13で示すように表形式で表示する。アドレスが同じデータであるのは、同じ風力発電設備500に多数の落雷があったことを示している。また、日付・時刻別に各種のデータが表示される。これにより、遠隔地から計測データを確認することができる。
なお、出力装置172,232が落雷データを収集装置45へ幹線用光ケーブル200を介して送信しておき、収集装置45を介してWebデータとして一括して遠隔監視用コンピュータ250から読み出すようにしても良い。
【0081】
本形態によれば、収集装置45によりWebコンテンツとして閲覧が可能になっており、システム構成も既存の技術を流用することが可能となり、落雷データの収集が容易になるという利点がある。」
ア 上記【0065】によれば、雷撃監視システム1000’は、複数のブレード雷撃監視装置1,2、複数の雷撃電流監視装置4、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、メディアコンバータ220、通信用サーバ装置230、インターネット回線240及び遠隔監視用コンピュータ250を備えるものであって、複数の風力発電設備500に対して、中央および両側ではブレード雷撃監視および雷撃電流監視を行い、他はブレード雷撃監視のみを行うものである。
また、上記【0074】によれば、上述の雷撃監視システム1000’は、雷撃電流監視装置4に代えて、改良型の雷撃電流監視装置4’を備えるものである。
イ 上記【0074】及び【0075】によれば、雷撃電流監視装置4’は、計測装置40、ロゴウスキーコイル41、GPSアンテナ42、記憶媒体43、コンピュータ44及び収集装置45を備えている。
ウ 上記【0070】によれば、計測装置40は、トリガ機能を有しており、所定値(例えば正負1kA)を超える電流が入力された場合に波形計測を開始するように制御するものであって、ロゴウスキーコイル41からの誘起電流を取り込んで波高値、波形、または、電荷量という雷撃データを生成する。
また、上記【0070】によれば、計測装置40は、GPSアンテナ42を介して入力されるGPS信号に基づいてGPS時計機能による時刻データを出力するGPS時計部を備え、トリガ発生時の時刻データを生成し、さらに、計測装置40が設置されている風力発電設備500を特定するアドレスデータを読み出し、これら雷撃データ、時刻データおよびアドレスデータを関連づけて計測データを生成する。
エ 上記【0076】によれば、収集装置45は、計測装置40が計測した計測データを読み出して収集するものであって、計測装置40が計測データを生成したときに収集装置45へ送信するものである。
また、上記【0076】によれば、収集装置45は、計測装置40からの計測データを収集してデータ処理する処理手段として機能するものであって、データ処理は例えば帳票形式にまとめた計測データとするものであり、さらに、データ処理された計測データを表示するWebページデータを生成する生成手段としても機能するものであって、Webページデータとすることで、外部の遠隔監視用コンピュータ250から容易に読み出しができるようになるものである。
オ 上記【0079】及び【0080】によれば、光ケーブル210に接続される遠隔地の遠隔監視用コンピュータ250のブラウザが、所望の風力発電設備500の収集装置45のアドレスを指定してリクエストすると、インターネット回線240、通信用サーバ装置230、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210及び雷撃電流監視装置4’側のメディアコンバータ220を介して収集装置45へリクエストされ、収集装置45が、リクエストを受けてWebページデータを通信データに変換し、雷撃電流監視装置4’側のメディアコンバータ220、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、通信用サーバ装置230及びインターネット回線240を介して遠隔監視用コンピュータ250へ送信することにより、遠隔監視用コンピュータ250ではWebページを表示させるものである。
カ 上記ア~オによれば、雷撃監視システム1000’において、計測装置40で生成した計測データを、収集装置45を介して遠隔監視用コンピュータ250に送信する手順が具体的に記載されているから、引用文献1には、雷撃監視システム1000’における計測データの送信方法の発明が記載されているといえる。
(2) 引用発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
複数のブレード雷撃監視装置1,2、複数の雷撃電流監視装置4’、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、メディアコンバータ220、通信用サーバ装置230、インターネット回線240及び遠隔監視用コンピュータ250を備えるものであって、複数の風力発電設備500に対して、中央および両側ではブレード雷撃監視および雷撃電流監視を行い、他はブレード雷撃監視のみを行うものである雷撃監視システム1000’において、
雷撃電流監視装置4’は、計測装置40、ロゴウスキーコイル41、GPSアンテナ42、記憶媒体43、コンピュータ44及び収集装置45を備えており、
計測装置40は、トリガ機能を有しており、所定値(例えば正負1kA)を超える電流が入力された場合に波形計測を開始するように制御するものであって、ロゴウスキーコイル41からの誘起電流を取り込んで波高値、波形、または、電荷量という雷撃データを生成し、
さらに、計測装置40は、GPSアンテナ42を介して入力されるGPS信号に基づいてGPS時計機能による時刻データを出力するGPS時計部を備え、トリガ発生時の時刻データを生成し、さらに、計測装置40が設置されている風力発電設備500を特定するアドレスデータを読み出し、これら雷撃データ、時刻データおよびアドレスデータを関連づけて計測データを生成し、
収集装置45は、計測装置40が計測した計測データを読み出して収集するものであって、計測装置40が計測データを生成したときに収集装置45へ送信し、
さらに、収集装置45は、計測装置40からの計測データを収集してデータ処理する処理手段として機能するものであって、データ処理は例えば帳票形式にまとめた計測データとするものであり、さらに、データ処理された計測データを表示するWebページデータを生成する生成手段としても機能するものであって、Webページデータとすることで、外部の遠隔監視用コンピュータ250から容易に読み出しができるようになり、
光ケーブル210に接続される遠隔地の遠隔監視用コンピュータ250のブラウザが、所望の風力発電設備500の収集装置45のアドレスを指定してリクエストすると、インターネット回線240、通信用サーバ装置230、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210及び雷撃電流監視装置4’側のメディアコンバータ220を介して収集装置45へリクエストされ、収集装置45が、リクエストを受けてWebページデータを通信データに変換し、雷撃電流監視装置4’側のメディアコンバータ220、光ケーブル210、幹線用光ケーブル200、光ケーブル210、通信用サーバ装置230及びインターネット回線240を介して遠隔監視用コンピュータ250へ送信することにより、遠隔監視用コンピュータ250ではWebページを表示させる、
雷撃監視システム1000’における計測データの送信方法。
2 引用文献2(引用文献A)の記載、引用文献2記載事項
(1) 引用文献2(引用文献A)の記載
引用文献2(原査定で引用された引用文献A)には、以下の記載がある。
「【0010】上記気象レーダサービス事業者10は、上記気象レーダ13、14等から得た気象情報についてユーザの要望に応じて種々の解析・加工処理を行ない、全国的な気象観測及び局地気象観測を実施し、官公庁22や例えば電力会社、一般企業等のユーザ23a、23b、23c、…に対して必要とする気象情報、例えば雨、雷、雪、風速、風向等の気象情報を専用回線、インターネット等の通信回線21a、21b、21c、…を介して提供する。気象情報の提供を受けた官公庁22及びユーザ23a、23b、23c、…は、情報配信料や運用・保守料を通信事業者20a、20b、20c、…を介して気象レーダサービス事業者10に支払う。また、気象レーダサービス事業者10は、企業24や個人25等の新規ユーザ26に対しても気象情報を提供する。気象情報の提供を受けた新規ユーザ26は、情報配信料を気象レーダサービス事業者10に支払う。」
「【0014】図3は、ユーザ23a~23dとして電力会社を対象とした場合の構成例を示したもので、ユーザであるA~D電力会社が管理している通信事業者20a~20dが例えばaaNet~ddNetの通信事業を運営しているものとする。
【0015】気象レーダサービス事業者10は、通信事業者20a~20dが運営している通信回線を通じて図1に示した各気象レーダ13から気象情報を取得し、その回線使用料を通信事業者20a~20dに支払う。
【0016】また、気象レーダサービス事業者10は、上記取得した気象情報をユーザの要望に応じて解析・加工処理し、ユーザ23a~23dが必要とする雷情報等の気象情報を提供する。気象情報の提供を受けたユーザ23a~23dは、情報配信料を気象レーダサービス事業者10に支払う。この場合、気象レーダサービス事業者10が受け取る情報配信料は、情報の内容に関係なく均一料金に設定することも、あるいは情報の内容に応じて異なる料金を設定することも可能である。例えば雨の情報は希望するユーザか多いので安く設定し、雷の情報は希望するユーザが少ないので高く設定するなど、情報内容に応じて料金体系を設定することが可能である。」
(2) 引用文献2記載事項
上記(1)によれば、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
[引用文献2記載事項]
ユーザであるA~D電力会社が管理している通信事業者20a~20dが、aaNet~ddNetの通信事業を運営しているとき、気象レーダサービス事業者10は、通信事業者20a~20dが運営している通信回線を通じて各気象レーダ13から気象情報を取得して、その回線使用料を通信事業者20a~20dに支払うとともに、気象レーダサービス事業者10は、上記取得した気象情報をユーザの要望に応じて解析・加工処理して、ユーザ23a~23dが必要とする雷情報等の気象情報を提供することにより、気象情報の提供を受けたユーザ23a~23dは、情報配信料を気象レーダサービス事業者10に支払うこと、すなわち、ある事業者が、複数の異なる会社(事業者)から情報を取得する際には、その対価を会社(事業者)に支払い、ある事業者が、取得した情報を加工して、会社(事業者)に提供する際には、会社(事業者)がある事業者に情報配信料を支払うこと。
3 原査定で引用された引用文献
(1) 引用文献B
原査定で引用された引用文献Bには、以下の記載がある。
「【0024】
図1は本発明の一実施例を示し、分散型電源による需給調整システムの構成図である。契約者Aの需要家構内6には、負荷装置63があり開閉装置60を経て、送配電系統1に接続されている。該当する需要家が受電した電力は、電力計測装置61で計測され、その情報は需要家端末62から通信網2を経て、需給調整センタ3にある監視制御装置31に送られる。」
「【0032】
図3は、表示装置234で表示される監視制御画面の例である。表示装置234は発電装置稼動状況や需要予測,機器異常表示などを行う。」
[図:0001420144000001.jpg]
[図:0001420144000002.jpg]
(2) 引用文献C
原査定で引用された引用文献Cには、以下の記載がある。
「【0014】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、この実施形態の全体的な構成図である。図1において、100は風力発電設備であり、その鉄塔根元部101には本実施形態に係る雷撃電流計測装置が設置される。
この雷撃電流計測装置は、鉄塔根元部101を包囲するように装着されたロゴウスキーコイル等の電流センサ201と、この電流センサ201に接続された計測装置本体200Aとを備えていると共に、計測装置本体200Aに接続されたGPSアンテナ202を備えている。なお、203は計測装置本体200Aによって得た落雷データを記憶するSRAM等からなるメモリカード、300はこのメモリカード203を介して落雷データを収集するノートPCである。
・・・
【0016】
演算処理部Aは、雷撃電流の波高値が所定のトリガレベルを超えた時にトリガ発生(すなわち落雷の発生)を判定して雷撃電流の波高値及び電荷量を演算するCPU等を備えており、雷撃電流計測部B、データ記憶部C、時刻計測部D、通信処理部E、表示部F、温度制御部G等の動作全体を統括制御する機能を有する。」
(3) 引用文献D
原査定で引用された引用文献Dには、以下の記載がある。
「【0054】
本例においては、ウインドパークの個々の風力発電装置/設置場所のための電場に関する場の強さの分布状況が示されており、この際、電場の強さに関する値は、個々の風力発電装置の各々のセンサ装置を用いて検知され、サーバへ転送されたものである。引き続き、サーバにおいて、検知された環境パラメータ、ここでは電場の強さから、設置場所と一緒に組み合わせて地図51が作成され、該地図51には、検知された値がマッピングされ、即ちグラフィック表示されている。検知されて表示された電場の強さの分布状況は、ピクセル6.7において最大値63を有する。従って設置場所6.7の風力発電装置における電場が最も強い。つまりこの場所において落雷のかたちの大気放電に関する確率が最も高い。」
(4) 引用文献E
原査定で引用された引用文献Eには、以下の記載がある。
「【0022】
計測センサー11は、風力発電装置1台につき1、2個装着されている。なお、計測センサー11は、風力発電装置の周辺環境の状況を計測できれば良く、実際には、風力発電装置の近傍に設置されていても良い。計測センサー11は、風力発電装置10(10-i、i=1~n)の各々の周辺環境の状況を計測し、計測結果を、風力発電装置10(10-i、i=1~n)の各々の周辺環境に関するデータとして出力する。周辺環境の状況の例として、風況(風向、風速等)や外気温度等が考えられる。但し、実際には、これらの例に限定されない。また、計測センサー11は、故障等の異常が発生した場合、異常発生を通知するためのデータ(異常通知)を出力する。」
(5) 引用文献F
原査定で引用された引用文献Fには、以下の記載がある。
「【0014】この発明の駅務無線システムの情報通知方法は、自動改札機、自動券売機、自動精算機等の駅務機器を制御する制御装置と、駅員がそれぞれ所持する携帯端末との間で無線交換機を介して無線により各種の情報通信を行う駅務無線システムの情報通知方法であって、上記制御装置が、上記駅員の移動による携帯端末毎の位置情報をリアルタイムで更新記憶し、駅務機器の故障あるいは事故等の通知情報が発生した際、上記記憶された位置情報に基づいて上記発生場所近くの携帯端末に通知情報を送信するようにしたことを特徴とする。」
(6) 引用文献G
原査定で引用された引用文献Gには、以下の記載がある。
「【0062】
このため、本システムを会員制にして有料情報提供サイトとして運営し、会員の情報提供回数に応じて基本料金(例えば、月額会費100円)を減額していく方法をとる。会費は例えば携帯電話会社のサービスを通じて徴収する。」
第6 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1について
(1) 対比
ア 引用発明の「ロゴウスキーコイル41」は、本願発明1の「落雷センサ」に相当する。
また、引用発明の「ロゴウスキーコイル41」を備えた「雷撃電流監視装置4’」は、「風力発電設備500」に設けられるものであるところ、引用発明の「風力発電設備500」は、上記第5の1(1)の【請求項1】の記載によれば、「風車を構成する複数のブレード」を備えるものであるから、引用発明の「ロゴウスキーコイル41」は、「風力発電設備500」それぞれの風車に設けられたものであるといえる。
そして、引用発明の「計測装置40」は、「雷撃データ、時刻データおよびアドレスデータを関連づけて計測データを生成」しているところ、「雷撃データ」は「ロゴウスキーコイル41からの誘起電流を取り込んで波高値、波形、または、電荷量」、「時刻データ」は「所定値(例えば正負1kA)を超える電流が入力された場合に波形計測を開始するように制御する」「トリガ機能」における「トリガ発生時」のデータ、「アドレスデータ」は「計測装置40が設置されている風力発電設備500を特定する」データである。
そうすると、引用発明の「雷撃データ」、「時刻データ」及び「アドレスデータ」は、それぞれ、本願発明1の「風車直撃雷の落雷電流を含む検出データ」、「風車への落雷発生時の時間情報」及び「風車の位置情報」に相当し、引用発明の「計測データ」は、本願発明1の「落雷関連データ」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の「異なる発電事業者が運用する風力発電設備それぞれの風車に設けられた落雷センサが検出した、風車直撃雷の落雷電流を含む検出データ、前記風車への落雷発生時の時間情報及び前記風車の位置情報を含む落雷関連データを取得」するステップと、「風力発電設備それぞれの風車に設けられた落雷センサが検出した、風車直撃雷の落雷電流を含む検出データ、前記風車への落雷発生時の時間情報及び前記風車の位置情報を含む落雷関連データを取得」するステップを有する点で共通する。
イ 引用発明の「収集装置45」は、「計測装置40からの計測データを収集してデータ処理する処理手段として機能するものであって、データ処理は例えば帳票形式にまとめた計測データとするものであり、さらに、データ処理された計測データを表示するWebページデータを生成する生成手段としても機能するもの」であるから、「計測データ」(落雷関連データ)を「データ処理する」前提として、データベースに記憶しているということができる。
そうすると、引用発明は、本願発明1と、「取得した落雷関連データをデータベースに記憶」するステップを有する点で一致する。
ウ 引用発明の「収集装置45」は、「データ処理された計測データを表示するWebページデータを生成」し、「遠隔監視用コンピュータ250」において、「Webページを表示させる」ものであるところ、「Webページデータ」は「計測データ」(落雷関連データ)に基づくものであって、落雷情報といえ、「遠隔監視用コンピュータ250」である端末装置へ提供されているといえる。
そうすると、引用発明は、本願発明1と、「記憶した落雷関連データに基づく落雷情報を端末装置へ提供する」ステップを有する点で一致する。
エ 上記ウのとおり、引用発明は、「記憶した落雷関連データに基づく落雷情報を端末装置へ提供する」ステップを有するといえるから、引用発明の「雷撃監視システム1000’における計測データの送信方法」は、本願発明1と同様、「落雷情報提供方法」であるといえる。
以上によれば、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
風力発電設備それぞれの風車に設けられた落雷センサが検出した、風車直撃雷の落雷電流を含む検出データ、前記風車への落雷発生時の時間情報及び前記風車の位置情報を含む落雷関連データを取得し、
取得した落雷関連データをデータベースに記憶し、
記憶した落雷関連データに基づく落雷情報を端末装置へ提供する、
落雷情報提供方法。
[相違点]
[相違点1]
「落雷関連データ」が、本願発明1は、「異なる発電事業者が運用する風力発電設備」のものであるのに対し、引用発明は、「風力発電設備」のものではあるが、「異なる発電事業者が運用する」ものではない点。
[相違点2]
本願発明1は、「前記位置情報に基づいて、前記風力発電設備から所定範囲内の登録者へ落雷発生を通知する」のに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
[相違点3]
「落雷情報提供方法」について、本願発明1は、「落雷情報提供サーバ」におけるものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
(2) 判断
事案に鑑み、上記相違点1及び相違点2について検討する。
ア [相違点1]について
上記第5の2(2)の[引用文献2記載事項]で説示した、「ある事業者が、複数の異なる会社(事業者)から情報を取得する際には、その対価を会社(事業者)に支払い、ある事業者が、取得した情報を加工して、会社(事業者)に提供する際には、会社(事業者)がある事業者に情報配信料を支払うこと」は、情報を異なる会社(事業者)で共有したり、共有した情報を加工して、複数の会社(事業者)に提供したりする際の一般的な手法にすぎず、技術分野を問わず、周知な事項(周知技術)である。
そうすると、本願発明1や引用発明が属する、風力発電設備において落雷情報を提供する技術分野であっても、上述の手法は周知技術であるから、引用発明において、落雷に関する情報である「落雷関連データ」を、異なる複数の会社(事業者)で共有したり提供したりするために、「異なる発電事業者が運用する風力発電設備」のデータとすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
イ [相違点2]について
「前記位置情報に基づいて、前記風力発電設備から所定範囲内の登録者へ落雷発生を通知する」構成は、引用文献1や引用文献2には記載も示唆もされておらず、原査定で引用された引用文献B~Gにも記載も示唆もされていない。
そして、本願発明1は、当該構成を有することにより、「落雷情報提供方法は、位置情報に基づいて、風力発電設備から所定範囲内の登録者へ落雷発生を通知することができる。登録者は、例えば、風力発電設備の関係者でもよく、保守や点検を行う作業員でもよい。通知は、登録者が携帯する携帯装置や登録者が使用する端末装置へ行うことができる。これにより、速やかに落雷発生を通知することができる。」(本願明細書【0068】)という顕著な効果を奏するものである。
したがって、引用発明において、相違点2に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 小括
以上によれば、相違点3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~9について
上記第4のとおり、本願発明2~9は、本願発明1に構成を付加し限定したものであるから、引用発明と対比すると、上記1(1)で説示した[相違点]を有するものである。
そうすると、本願発明2~9も、上記1(2)と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明10について
上記第4のとおり、本願発明10(落雷情報提供サーバ)は、本願発明1(落雷情報提供方法)と発明のカテゴリーが異なるのみであって、実質的に相違するものではない。
そうすると、上記1(2)のとおり、本願発明1が、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明10も、引用文献1からサーバの発明として認定される発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 当審拒絶理由についてのまとめ
上記1~3のとおり、本願発明1~10は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない(理由1関係)。
また、本件補正により、本願発明1~9は、「落雷情報提供サーバにおいて」との事項が特定され、「落雷情報提供方法」における各ステップの主体が明確になったから、特許請求の範囲の記載の不備は解消された(理由2関係)。
したがって、当審拒絶理由は解消した。
第7 原査定についての判断
原査定は、上記第2のとおり、本件補正前の請求項1~11に係る発明は、引用文献A~Hに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、本件補正により補正された請求項1~9に係る発明は、上記第6の1及び2のとおり、「前記位置情報に基づいて、前記風力発電設備から所定範囲内の登録者へ落雷発生を通知する」構成を備え、本件補正により補正された請求項10に係る発明も、それと対応する構成を備えているところ、これらの構成は、引用文献A~Hには記載されておらず、当業者にとって自明なものでもない。
そうすると、本件補正により補正された請求項1~10に係る発明は、引用文献A~Hに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-006663