特許拒絶査定不服審判
2024-006078
電極カテーテル
- 審判番号
- 2024-006078
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-570948
- 請求日
- 2024年04月10日
- 審決日
- 2025年07月29日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本ライフライン株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人つばさ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 土田 嘉一
- 審判官 三森 雄介
- 分類
- P18 .121-Z (A61M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-570948「電極カテーテル」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月30日国際公開、WO2022/137505〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)12月25日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 5年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 1月 9日提出:意見書
同年 3月 5日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 4月10日提出:審判請求書
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「軸方向に沿って複数の金属電極が配置された先端可撓部分と、前記軸方向に沿って延在する複数のルーメンと、を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの基端側に装着され、前記先端可撓部分を双方向に偏向させる偏向動作の際に操作される操作部を有するハンドルと
を備え、
前記複数の金属電極が、
前記先端可撓部分における最先端付近に配置されていると共に、前記軸方向に沿って長尺状器具が貫通する貫通孔を有する先端電極と、
前記先端電極の基端側に配置された、1または複数のリング状電極と
を含んでおり、
前記複数のルーメンが、
前記長尺状器具が内部を挿通するメインルーメンと、
単一の操作用ワイヤが内部を挿通する、第1および第2のサブルーメンと
を含んでおり、
前記単一の操作用ワイヤが、
前記操作部上に固定された前記単一の操作用ワイヤの第1端から前記第1のサブルーメン内を介して、前記先端電極内へと延伸している、第1の延伸部分と、
前記先端電極内から前記第2のサブルーメン内を介して、前記操作部上に固定された前記単一の操作用ワイヤの第2端へと延伸している、第2の延伸部分と、
前記第1および第2の延伸部分同士の間に位置すると共に、少なくとも一部の領域が前記先端電極内で固定されている、折り返し部分と
を含んでいる電極カテーテル。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略次の理由を含むものである。
本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2018-143603号公報
引用文献2:特開2015-173681号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、次の記載がある。(なお、「・・・」は省略を表し、下線は当審で付した。以下同様。)
ア 「【0036】
<第1実施形態>
図1~図5(図5Aおよび図5B)に示す本実施形態の電極カテーテル100は、不整脈の診断または治療に用いる電極カテーテルである。
・・・
【0037】
本実施形態の電極カテーテル100は、チューブ部材10と、ハンドル20と、20個の電極31と、20本のリード線41と、電極コネクタ50と、操作用ワイヤ71,72とを備えてなる。」
イ 「【0043】
チューブ部材10の先端には、先端チップ35が装着されている。
この先端チップ35にはリード線を接続しておらず、先端チップ35を電極として使用していないが、電極(先端電極)として使用してもよい。
先端チップ35の構成材料としては、各種の樹脂、金属を挙げることができる。」
ウ 「【0061】
<第2実施形態>
図6~図11に示す本実施形態の電極カテーテル200は、不整脈の診断または治療に用いるガイドワイヤルーメン付きの電極カテーテルである。
この電極カテーテル200は、先端に可撓部分を有し、ガイドワイヤルーメンとなる中央ルーメン150と、その周囲に等角度間隔に配列された8個のサブルーメン151~158が形成されてなる絶縁性のチューブ部材15と、このチューブ部材15の基端部17に装着され、ハンドル本体21とワイヤ留め具231,232を備えた回転操作部23とを有するハンドル20と、チューブ部材15の先端部分の外周に装着された20個のリング状の電極31(図6において一部の図示を省略)と、チューブ部材15の先端に装着された先端チップ37と、20個の電極31に各々の先端が接続され、チューブ部材15の内部に軸方向に沿って延在する20本のリード線41と、ハンドル20の基端側に配置され、リード線41の各々の基端が接続される図示しない端子を有する電極コネクタ50と、ハンドル20の基端側に配置され、基端にガイドワイヤポート61を有するガイドワイヤコネクタ60と、チューブ部材15の先端部に各々の先端が固定され、チューブ部材15の内部を軸方向に沿って延在し、その基端が引張操作可能な操作用ワイヤ71,72とを備えてなり、・・・」
エ 「【0064】
チューブ部材15の先端領域は可撓部分となっており、後述する回転操作部23を回転操作することによってこの可撓部分を撓ませることができる。
【0065】
図7に示すように、電極カテーテル200を構成するチューブ部材15には、ガイドワイヤルーメンとなる中央ルーメン150と、中央ルーメン150の周囲に沿って等角度間隔(45°間隔)に配列された8個のルーメン151~158が形成されている。同図において、56は、低硬度のナイロンエラストマーからなるインナー(コア)部、58は、高硬度のナイロンエラストマーからなるアウター(シェル)部である。
ルーメン151~158は、それぞれ、フッ素樹脂などからなるルーメンチューブによって区画形成されている。
【0066】
チューブ部材15の先端には、先端チップ37が装着されている。
この先端チップ37は、チューブ部材15の中央ルーメン150と連通または共通するルーメンを有し、その先端は開口している。
なお、先端チップ37にはリード線は接続されておらず、本実施形態では先端チップ37を電極として使用していない。先端チップ37の構成材料としては、各種の樹脂、金属を挙げることができる。」
オ 「【0069】
操作用ワイヤ71,72の先端は、それぞれ、チューブ部材15の先端部における互いに対向する位置(チューブ部材15の円周方向位置)に固定されている。
【0070】
操作用ワイヤ71,72は、チューブ部材15の内部を軸方向に沿って延在する。
図7に示すように、操作用ワイヤ71はチューブ部材15のルーメン151に延在しており、操作用ワイヤ72はルーメン155に延在している。」
カ 「【0072】
図6に示すように、ハンドル20の外部に延出したチューブ部材15(基端部17)の基端にはガイドワイヤコネクタ60が接続され、これにより、チューブ部材15の中央ルーメン150と、ガイドワイヤコネクタ60のガイドワイヤポート61とが連通している。このような構成によって、ガイドワイヤコネクタ60のガイドワイヤポート61からチューブ部材15の中央ルーメン150(ガイドワイヤルーメン)の先端開口に至るガイドワイヤの挿通路が確保されている。」
キ 「【0074】
チューブ部材15のサブルーメン151に延在している操作用ワイヤ71の基端部は、第1側孔161を通ってチューブ部材15の外部(ハンドル20の内部)に延出しており、操作用ワイヤ71の基端は、ハンドル20の回転操作部23のワイヤ留め具231に固定されている。
また、チューブ部材15のサブルーメン155に延在している操作用ワイヤ72の基端部は、第1側孔165を通ってチューブ部材15の外部(ハンドル20の内部)に延出しており、操作用ワイヤ72の基端は、ハンドル20の回転操作部23のワイヤ留め具232に固定されている。
回転操作部23を操作することによって、操作用ワイヤ71または操作用ワイヤ72が引っ張られ、これにより、チューブ部材15の先端が一方向または他方向に偏向する。」
ク 「【図6】
[図:0001427532000001.jpg]
」
ケ 「【図7】
[図:0001427532000002.jpg]
」
コ 「【図8】
[図:0001427532000003.jpg]
」
2 引用発明
上記1の記載を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「先端部分の外周に20個のリング状の電極31が装着され、先端に先端チップ37が装着され、先端に可撓部分を有し、ガイドワイヤルーメンとなる中央ルーメン150と、中央ルーメン150の周囲に沿って配列された8個のサブルーメン151~158が形成されてなるチューブ部材15と、
チューブ部材15の基端部17に装着され、チューブ部材15の先端が一方向又は他方向に偏向するように操作する回転操作部23を有するハンドル20を備え、
先端チップ37は、チューブ部材15の中央ルーメン150と連通または共通するルーメンを有し、その先端は開口しており、
中央ルーメン150は、チューブ部材15の基端に接続されたガイドワイヤコネクタ60のガイドワイヤポート61と連通し、この構成によってガイドワイヤの挿通路が確保され、
チューブ部材15のサブルーメン151、155の内部には、それぞれ、操作用ワイヤ71、72が延在し、
サブルーメン151に延在している操作用ワイヤ71の基端部は、回転操作部23のワイヤ留め具231に固定され、
サブルーメン155に延在している操作用ワイヤ72の基端部は、回転操作部23のワイヤ留め具232に固定され、
操作用ワイヤ71、72の先端は、それぞれ、チューブ部材15の先端部における互いに対向する位置(チューブ部材15の円周方向位置)に固定されている、
電極カテーテル200。」
3 引用文献2の記載
引用文献2には、次の記載がある。
ア 「【0025】
この実施形態の電極カテーテル100は、先端可撓部分10Aを有するカテーテルシャフト10と、操作ハンドル20と、操作用ワイヤ30と、温度測定用の先端電極41と、先端電極41に接続されている温度センサ61およびそのリード線71と、先端電極41の内部に装着されたアンカー部材45と、温度測定用電極52~55と、温度測定用電極52~55の各々に接続されている温度センサ62~65およびそれらのリード線72~75とを備えている。」
イ 「【0030】
図3Bおよび図5に示すように、先端可撓部分10Aを構成する絶縁性円筒体125の基端側にはシングルルーメンチューブ13が接続されている。・・・」
ウ 「【0032】
シングルルーメンチューブ13のルーメンには、抗圧縮性部材として、断面平角の線材をコイル状に巻回して構成されたコイルチューブ15が配置されている。・・・」
エ 「【0037】
コイルチューブ15のルーメンには、マルチルーメンチューブ16が配置されている。図5に示すように、コイルチューブ15のルーメンに配置されたマルチルーメンチューブ16には、操作用ワイヤ30を挿通するためのルーメン171および172と、リード線71~75を挿通するための中央ルーメン173が形成されている。」
オ 「【0041】
操作用ワイヤ30は、その基端側を引張操作することによってカテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを撓ませることができる。
操作用ワイヤ30は、その一端および他端が基端(近位端)となっており、カテーテルシャフト10の内部を、一端から先端方向に延びて、先端電極41の内部に進入し、先端電極41の内部に装着されたアンカー部材45の貫通孔451および452を通って折り返され(従って、折り返し部分が、操作用ワイヤ30の遠位端となる)、カテーテルシャフト10の内部を基端方向に延びて他端に至る1本のワイヤからなる。
操作用ワイヤ30の基端(近位端)である一端および他端は、操作ハンドル20の摘み25に接続されている。」
カ 「【0045】
カテーテルシャフト10の先端(遠位端)には先端電極41が固定されている。
先端電極41の固定方法としては特に限定されるものではなく、例えば接着などの方法を挙げることができる。
先端電極41の構成材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス、金、白金など、熱伝導性の良好な金属を例示することができる。なお、X線に対する良好な造影性を持たせるためには、白金などで構成されることが好ましい。
先端電極41の外径は、カテーテルシャフト10の外径と同程度であることが好ましい。
【0046】
先端電極41の内部(内側凹部)には、アンカー部材45が装着されている。
図7に示すように、このアンカー部材45には、先端電極の中心軸に沿って貫通孔453が形成されているとともに、これと平行に貫通孔451および452が形成されている。
アンカー部材45の貫通孔451および452には、これらの先端側において折り返される操作用ワイヤ30が挿通されている。
また、先端電極41の中心軸上に形成された貫通孔453には、温度センサ61およびそのリード線71の先端部分が挿入されている。
アンカー部材45の貫通孔451および452に挿通された操作用ワイヤ30の遠位端(折り返し部分)と、貫通孔453に挿入された温度センサ61およびそのリード線71の先端部分は、先端電極41の内部に充填されたハンダ80により、先端電極41に対して接続固定されている。」
キ 「【図1】
[図:0001427532000004.jpg]
」
ク 「【図5】
[図:0001427532000005.jpg]
」
ケ 「【図7】
[図:0001427532000006.jpg]
」
4 引用文献2記載事項
上記3の記載を総合すると、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
「先端可撓部分10Aを有するカテーテルシャフト10と、操作用ワイヤ30と、温度測定用の先端電極41を有する電極カテーテル100であって、先端可撓部分10Aにはマルチルーメンチューブ16が配置され、マルチルーメンチューブ16には、操作用ワイヤ30を挿通するためのルーメン171及び172とが形成され、
操作用ワイヤ30は、引張操作することによって先端可撓部分10Aを撓ませ、その一端及び他端が基端(近位端)となっており、カテーテルシャフト10の内部を、一端から先端方向に延びて、先端電極41の内部に進入し、先端電極41の内部に装着されたアンカー部材45の貫通孔451及び452を通って折り返され、カテーテルシャフト10の内部を基端方向に延びて他端に至る1本のワイヤであり、操作用ワイヤ30の遠位端は、先端電極41の内部に充填されたハンダ80により、先端電極41に対して接続固定されている、電極カテーテル100。」
第5 対比、判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明の「外周に20個のリング状の電極31が装着され、先端に先端チップ37が装着され」た「先端部分」は、「可撓部分」であるから、本願発明の「軸方向に沿って複数の金属電極が配置された先端可撓部分」に相当し、引用発明の「中央ルーメン150」及び「サブルーメン151~158」は、本願発明の「前記軸方向に沿って延在する複数のルーメン」に相当し、引用発明の「チューブ部材15」は、本願発明の「軸方向に沿って複数の金属電極が配置された先端可撓部分と、前記軸方向に沿って延在する複数のルーメンと、を有するカテーテルシャフト」に相当する。
(2)引用発明の「チューブ部材15の基端部17に装着され、チューブ部材15の先端が一方向又は他方向に偏向するように操作する回転操作部23を有するハンドル20」は、本願発明の「前記カテーテルシャフトの基端側に装着され、前記先端可撓部分を双方向に偏向させる偏向動作の際に操作される操作部を有するハンドル」に相当する。
(3)引用発明の「20個のリング状の電極31」は、本願発明の「複数の金属電極が」「含んで」いる「複数のリング状電極」に相当する。
(4)引用発明の「チューブ部材15の基端部17に装着され、」「チューブ部材15の基端に接続されたガイドワイヤコネクタ60のガイドワイヤポート61と連通し、この構成によってガイドワイヤの挿通路が確保され」る「中央ルーメン150」は、ガイドワイヤの挿通路を確保するから、本願発明の「長尺状器具が内部を挿通するメインルーメン」に相当する。
(5)本願発明の「単一の操作用ワイヤが内部を挿通する、第1および第2のサブルーメン」と、引用発明の「サブルーメン151、155」は、どちらも操作用ワイヤが延在するルーメンであるから、「操作用ワイヤが内部を挿通する、第1及び第2のサブルーメン」の限り一致する。
(6)引用発明の「電極カテーテル200」は、本願発明の「電極カテーテル」に相当する。
以上より、両者は、
「軸方向に沿って複数の金属電極が配置された先端可撓部分と、前記軸方向に沿って延在する複数のルーメンと、を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの基端側に装着され、前記先端可撓部分を双方向に偏向させる偏向動作の際に操作される操作部を有するハンドルと
を備え、
前記複数の金属電極が、
複数のリング状電極を含んでおり、
前記複数のルーメンが、
前記長尺状器具が内部を挿通するメインルーメンと、
操作用ワイヤが内部を挿通する、第1及び第2のサブルーメンと
を含んでいる電極カテーテル。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明は、「先端可撓部分における最先端付近に配置されていると共に、前記軸方向に沿って長尺状器具が貫通する貫通孔を有する先端電極」を含み、「前記先端電極の基端側に」リング状電極が「配置され」ているのに対し、引用発明は先端部分の外周に20個のリング状の電極31が装着されている点。
<相違点2>
本願発明は、操作用ワイヤが「単一の操作用ワイヤ」であって、「前記単一の操作用ワイヤが、前記操作部上に固定された前記単一の操作用ワイヤの第1端から前記第1のサブルーメン内を介して、前記先端電極内へと延伸している、第1の延伸部分と、前記先端電極内から前記第2のサブルーメン内を介して、前記操作部上に固定された前記単一の操作用ワイヤの第2端へと延伸している、第2の延伸部分と、前記第1および第2の延伸部分同士の間に位置すると共に、少なくとも一部の領域が前記先端電極内で固定されている、折り返し部分」を含むのに対し、
引用発明は、操作用ワイヤ71、72が、それぞれ、チューブ部材15のサブルーメン151、155に延在され、操作用ワイヤ71、72の基端部は、それぞれ、回転操作部23のワイヤ留め具231、232に固定され、操作用ワイヤ71、72の先端は、それぞれ、チューブ部材15の先端部における互いに対向する位置に固定されている点。
2 判断
上記相違点1及び相違点2について検討する。
上記第4の1のア、イの、電極カテーテル100のチューブ部材10の先端に装着された先端チップ35を電極(先端電極)として使用することの記載から、引用文献1には、引用発明の先端チップ37を電極として使用することが示唆されている。
また、電極カテーテルにおいてカテーテルの先端を電極とすることは、例えば引用文献2の段落【0045】等に記載されているように周知の事項である。
したがって、引用発明を実施するに際し、引用文献1の示唆のとおり又は周知の事項を適用し、先端チップ37を電極として使用する程度のことは、当業者であれば容易になし得ることである。
また、電極カテーテルの先端可撓部分を操作するため内部を挿通する操作用ワイヤとして単一のワイヤを用いることは一般的であり、引用発明においてコストや製造の簡略化等を目的として操作用ワイヤ71、72を単一のワイヤとするに際し、引用文献2に記載の操作用ワイヤ30及び操作用ワイヤ30を先端電極41の内部のハンダ80により接続固定した折り返し部分を適用することは、当業者であれば容易になし得ることである。
したがって、引用発明において相違点1及び2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易になし得ることである。
3 効果
本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測し得た範囲内のものであり、各別顕著なものでない。
第6 審判請求人の主張について
1 審判請求人の主張の概要
審判請求人は、令和 6年 4月10日に提出された審判請求書において、概略以下のとおり主張している。
「仮に、引用文献1の「先端チップ37」内で、引用文献2のように「操作用ワイヤ30の遠位端(折り返し部分)」を、「先端電極41の内部に充填されたハンダ80により、先端電極41に対して接続固定」しようとしても、引用文献1の「先端チップ37」の「チューブ部材15の中央ルーメン150と連通または共通するルーメン」を、はんだで埋めてしまうことになるため、阻害要因になると思料する。」
2 審判請求人の主張に対して
しかし、引用発明の先端チップ37は中央ルーメン150と連通又は共通するルーメン及び開口を有し、これによりガイドワイヤの挿通路を確保するものであるから、操作用ワイヤを先端チップ37に対してハンダにより接続固定するとしても、操作用ワイヤやハンダが先端チップ37のルーメン及び開口を塞ぐことのない態様とすることで、ガイドワイヤの挿通路を確保するようにすることは、当業者が適宜設定し得る設計事項にすぎない。
以上のとおりであるから、上記審判請求人の主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-006078