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特許拒絶査定不服審判

2024-005308

電池

審判番号
2024-005308
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-520104
請求日
2024年03月29日
審決日
2024年11月27日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】寧徳新能源科技有限公司
  • 【請求人代理人】関口 正夫
審判長/審判官
  • 審判長 土居 仁士
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 衣鳩 文彦
分類
P18 .121-Z (H01M) / P18 .561-Z (H01M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-520104「電池」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月 6日国際公開、WO2022/205193、令和 5年 6月 2日国内公表、特表2023-523113〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)3月31日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 5年 6月 7日付け 拒絶理由通知書 9月12日 意見書・手続補正書 11月27日付け 拒絶査定 令和 6年 3月29日 審判請求書・手続補正書 7月18日 前置報告書 9月26日 上申書 以下では、令和5年11月27日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和6年3月29日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、以下の(1)に示す本件補正前の請求項1、3及び5の記載を、以下の(2)に示す本件補正後の請求項1、3の記載に補正することを含む。 (1)本件補正前の請求項1、3及び5の記載 本件補正前の請求項1、3及び5の記載は、次のとおりである。 【請求項1】 第1電極と、第2電極と、第1層と、ケースとを含む電池であって、 前記第1電極は、第1面と第2面とを有する第1導電体と、前記第1導電体の第1面に接続する第1金属板とを含み、 前記第2電極は、第3面と第4面とを有する第2導電体と、前記第2導電体の第3面に接続する第2金属板とを含み、 前記第1層は絶縁材を含み、前記第1金属板の第1表面及び前記第2金属板の第3表面に接続し、 前記ケースは第1部と第2部とを含み、前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆い、前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続し、 前記第1層は、前記第1部に接続する第1区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースから離れる第2区域とを含み、 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、 ことを特徴とする電池。 【請求項3】 前記第1層は、前記第1区域に接続し且つ前記ケースによって覆われる第3区域をさらに含む、 ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池。 【請求項5】 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第3区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、 ことを特徴とする、請求項3に記載の電池。 (2)本件補正後の請求項1及び3の記載 本件補正後の請求項1及び3の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 【請求項1】 第1電極と、第2電極と、第1層と、ケースとを含む電池であって、 前記第1電極は、第1面と第2面とを有する第1導電体と、前記第1導電体の第1面に接続する第1金属板とを含み、 前記第2電極は、第3面と第4面とを有する第2導電体と、前記第2導電体の第3面に接続する第2金属板とを含み、 前記第1層は絶縁材を含み、前記第1金属板の第1表面及び前記第2金属板の第3表面に接続し、 前記ケースは第1部と第2部とを含み、前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆い、前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続し、 前記第1層は、前記第1部に接続する第1区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースから離れる第2区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースによって覆われる第3区域とを含み、 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより大きく、前記第1区域の長さは前記第3区域の長さより大きい、 ことを特徴とする電池。 【請求項3】 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第3区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、 ことを特徴とする、請求項1に記載の電池。 2 新規事項追加の有無 本件補正前の請求項5は本件補正後の請求項3に対応するものであり、本件補正前において請求項5が請求項3を引用していたのを、本件補正後では請求項3が請求項1を引用するようになる。 そして、本件補正前の請求項3の内容(第1層が第3区域を含むこと)は、本件補正後の請求項1に含まれている。 また、本件補正の前後で変わらず、請求項1では、第1方向(実施形態の「X方向」に対応すると認める。)において、第1層の「第1区域の長さ」(実施形態のX方向における「第1区域31」の長さに対応すると認め、以下「L31」で表す。)が「第2区域の長さ」(実施形態のX方向における「第2区域32」の長さに対応すると認め、以下「L32」で表す。)よりも大きいこと、すなわち、L31>L32を特定している。 他方、本件補正により、請求項1には、「前記第1区域の長さは前記第3区域の長さより大きい」という特定事項を新たに追加している。すなわち、「第3区域の長さ」(実施形態のX方向における「第3区域33」の長さに対応すると認める。)を「L33」で表すと、本件補正によりL31>L33が新たに特定される。 そうすると、本件補正前の請求項5と、それに対応する本件補正後の請求項3とについて、以下のことがいえる。 本件補正前の請求項5は、第1層がL31>L32かつL33>L32満たすことを特定していたところ、本件補正後の請求項3は、第1層がL31>L32かつL31>L33かつL33>L32を満たすことを特定するように補正される。 そこで、以下では、第1層においてL31>L32かつL31>L33かつL33>L32を満たすこと(以下「補正後X方向寸法」という。)が、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内であるか否かを判断する。 (1)翻訳文等の特許請求の範囲の記載 翻訳文等の特許請求の範囲には、第1方向における「第1区域の長さ」、「第2区域の長さ」及び「第3区域の長さ」に関しては、請求項5~8の記載(以下を参照)のみが存在する。 「【請求項5】 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより小さい、 ことを特徴とする、請求項2に記載の電池。 【請求項6】 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、 ことを特徴とする、請求項2に記載の電池。 【請求項7】 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第3区域の長さは前記第2区域の長さより小さい、 ことを特徴とする、請求項4に記載の電池。 【請求項8】 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第3区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、 ことを特徴とする、請求項4に記載の電池。」 すなわち、 翻訳文等の請求項5にはL31<L32が記載され、 翻訳文等の請求項6にはL31>L32が記載され、 翻訳文等の請求項7にはL33<L32が記載され、 翻訳文等の請求項8にはL33>L32が記載されているが、 第1区域の長さL31と第3区画の長さL33との大小関係を記載した請求項は、翻訳文等の特許請求の範囲には存在しない。よって、補正後X方向寸法のうちL31>L33を満たすことについての直接の記載は、翻訳文等の特許請求の範囲にはない。 仮に、翻訳文等の請求項6のL31>L32と、翻訳文等の請求項7のL33<L32すなわちL32>L33とを合わせ読むことができれば、L31>L32>L33となるから、L31>L32かつL31>L33を満たすといえるものの、この場合、L32>L33が補正後X方向寸法のL33>L32と反することになるため、翻訳文等の請求項6と請求項7とを合わせ読んでも補正後X方向寸法を導くことはできない。そもそも、翻訳文等の請求項7は請求項6を引用するものではないし、請求項6と請求項7との双方を引用する請求項も存在しないことから、翻訳文等の特許請求の範囲においては、請求項6と請求項7を合わせ読むことは想定されていない。 よって、翻訳文等の特許請求の範囲には、補正後X方向寸法すなわちL31>L32かつL31>L33かつL33>L32を満たすことは記載されていない。 (2)翻訳文等の明細書及び図面の記載内容 翻訳文等の明細書及び図面には、第1方向すなわちX方向における「第1区域の長さ」、「第2区域の長さ」及び「第3区域の長さ」に関して、以下の記載内容が認められる。 ア 翻訳文等の明細書及び図面の記載 翻訳文等の明細書及び図面には、【発明の概要】に以下の(ア)の記載があり、【発明を実施するための形態】に以下の(イ)の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した(以下同様)。 (ア)【発明の概要】における記載 翻訳文等の明細書の【発明の概要】及び図面には、L31、L32及びL33の寸法に関して次の記載がある。 「【0008】 本願発明のいくつかの実施例によれば、第1層では、第1区域から第2区域へ延びる第1方向において、第1区域の長さは第2区域の長さより小さい。 【0009】 本願発明のいくつかの実施例によれば、第1層では、第1区域から第2区域へ延びる第1方向において、第1区域の長さは第2区域の長さより大きい。第2区域の長さが小さいほど、後続の封止に対する影響は小さくなる。 【0010】 本願発明のいくつかの実施例によれば、第1層では、第1区域から第2区域へ延びる第1方向において、第3区域の長さは第2区域の長さより小さい。第3区域の長さが小さいほど、電極アセンブリが占めているケースの内部空間は少なくなり、エネルギー密度を向上することができる。 【0011】 本願発明のいくつかの実施例によれば、第1層では、第1区域から第2区域へ延びる第1方向において、第3区域の長さは第2区域の長さより大きい。」 (イ)【発明を実施するための形態】における記載 翻訳文等の明細書の【発明を実施するための形態】には、L31、L32及びL33の寸法に関して次の記載がある。 a 「【0050】 図4、図5及び図7を参照すると、第1層30は、第1領域11aに位置する第1部11に接続する第1区域31と、第1区域31に接続し且つケース10の外に位置する第2区域32と、第1区域31に接続し且つ収容キャビティ14の中に位置する第3区域33とを含む。具体的に、第1区域31は、第1層30における、Z方向に沿う正投影が第1部11の第1領域11aと重ね合わせ、且つ、Z方向で、第1部11の第1領域11aと第2部12の第3領域12aとの間に介設される区域である。第2区域32は、第1層30における、第1区域31に接続し、且つ、Z方向から観察すると、第1部11のX方向での端点11aaよりもケース10から離れる区域である。第3区域33は、第1層30における、第1区域31に接続し、且つ、Z方向から観察すると、第1部11のX方向での端点11aaよりもケース10の内部に近い区域である。いくつかの実施形態において、第1層30では、X方向において、第1区域31の長さは第2区域32の長さより大きく、第3区域33の長さは第1区域31の長さより大きい。第2区域32の長さが小さいほど、後続の封止に対する影響が小さくなる。Y方向において、第1層30の長さはケース10の長さより小さい。いくつかの実施形態において、Y方向において、第1層30の長さは第2領域11bの長さより小さい。」 b 「【0054】 図10と図11を参照すると、いくつかの実施例において、第1層30では、X方向において、第1区域31の長さは第2区域32の長さより小さい。 【0055】 図12と図13を参照すると、いくつかの実施例において、第1層30では、X方向において、第1区域31の長さは第3区域33の長さより大きい。第3区域33の長さが小さいほど、電極アセンブリ20が占めているケース10の内部空間は少なくなり、エネルギー密度を向上することができる。」 c 図4 [図:0001422157000001.jpg] d 図5 [図:0001422157000002.jpg] e 図6 [図:0001422157000003.jpg] f 図7 [図:0001422157000004.jpg] g 図10 [図:0001422157000005.jpg] h 図11 [図:0001422157000006.jpg] i 図12 [図:0001422157000007.jpg] j 図13 [図:0001422157000008.jpg] イ 翻訳文等の明細書及び図面の記載から理解される内容 L31、L32及びL33について、翻訳文等の明細書及び図面から理解される内容は、以下の(ア)~(エ)のとおりである。 そして、L31、L32及びL33について、翻訳文等の明細書及び図面の全ての記載から理解される事項は、以下の(オ)のとおりである。 (ア)【発明の概要】の記載内容 前記ア(ア)に示した【発明の概要】の記載は、前記(1)に示した特許請求の範囲の記載と同等であり、【0008】にはL31<L32が記載され、【0009】にはL31>L32が記載され、【0010】にはL33<L32が記載され、【0011】にはL33>L32が記載されている。 これらの【発明の概要】の記載は、いずれも「本願発明のいくつかの実施例によれば、」との書き出しで始まるが、【0008】の内容と【0009】の内容は相反するものであり、【0010】の内容と【0011】の内容は相反するものであるから、【0008】~【0011】に現れる「本願発明のいくつかの実施例」は、全て同じ実施例を指しているとは解釈できず、段落毎に相異なる実施例を指していると解釈すべきである。 よって、【0009】と【0010】とが同じ実施例を指していると解釈する理由はなく、また、前記(1)と同様に【0009】の内容と【0010】の内容とを合わせ読んでも補正後X方向寸法を導くことはできない。 (イ)【0050】並びに図4、図5及び図7の記載内容 【0050】段落には、L33>L31>L32が記載されている(下線部分)。また、【0050】で参照される図4、図5及び図7を見ると、L33>L31>L32であることが見て取れる。 しかしながら、【0050】並びに図4、図5及び図7の記載内容は、補正後X方向寸法のL31>L33を満たすことに反するため、これらの記載からは、他の記載を参照したとしても、補正後X方向寸法を導くことはできない。 (ウ)【0054】並びに図10及び図11の記載内容 【0054】には、L31<L32すなわちL32>L31が記載されている。このことは、【0054】で参照される図10及び図11からも見て取れる。 しかしながら、【0054】並びに図10及び図11に記載のL32>L31は、補正後X方向寸法のL31>L32を満たすことに反するため、これらの記載からは、他の記載を参照したとしても、補正後X方向寸法を導くことはできない。 (エ)【0055】並びに図12及び図13の記載内容 【0055】には、L31>L33が記載されており、このことは【0055】で参照される図12及び図13からも見て取れる。 他方、【0055】にはL31とL32との大小関係及びL33とL32との大小関係については記載がない。 そこで、図12及び図13を参照すると、L31>L32であることは見て取れるが、L33>L32であることは読み取れない。図12ではL33とL32はほぼ同じ大きさに描かれており、それらの大小関係は不明である。また、図13においては、L32>L33であるように見え、L33>L32であるようには見えない。 (オ)翻訳文等の明細書及び図面の全ての記載から理解される内容 翻訳文等の明細書及び図面には、L31、L32及びL33の大小に関する直接の記載は、前記(ア)~(エ)以外に存在しない。 そして、前記(ア)に示したとおり、【0009】と【0010】とを合わせ読むことはできない。 また、翻訳文等の明細書及び図面に開示される複数の実施形態ないし実施例を組み合わせることについて、翻訳文等に記載がない。加えて、前記(イ)~(エ)の内容は、L31、L32及びL33の大小関係がそれぞれで異なっているため、それぞれが異なる実施形態ないし実施例を説明しているとしか解釈できない。加えて、前記(イ)及び前記(ウ)は、他の記載を参照しても補正後X方向寸法を導くものではなく、さらに、前記(エ)は補正後X方向寸法のうちL33>L32を開示するものではない。 以上によれば、翻訳文等の明細書及び図面の全ての記載を参照しても、補正後X方向寸法(L31>L32かつL31>L33かつL33>L32)を導くことはできない。 (3)小括 前記(1)及び(2)によれば、翻訳文等の全ての記載を総合しても、補正後X方向寸法を導くことはできない。 また、本件補正後X方向寸法(L31>L32かつL31>L33かつL33>L32)が本願の出願日前に周知であった等、本件補正後X方向寸法が翻訳文等に記載されているに等しい事項であると認めるべき事情も存在しない。 よって、本件補正は、翻訳文等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項である本件補正後X方向寸法(L31>L32かつL31>L33かつL33>L32)を導入するものであるから、本件補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてするものとは認められない。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反する。 3 本件補正についてのむすび 前記2によれば、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は上述のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に示した請求項1の記載とおりに特定されるものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、本願発明を以下のように分説し、分説したそれぞれを「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A 第1電極と、第2電極と、第1層と、ケースとを含む電池であって、 B 前記第1電極は、第1面と第2面とを有する第1導電体と、前記第1導電体の第1面に接続する第1金属板とを含み、 C 前記第2電極は、第3面と第4面とを有する第2導電体と、前記第2導電体の第3面に接続する第2金属板とを含み、 D 前記第1層は絶縁材を含み、前記第1金属板の第1表面及び前記第2金属板の第3表面に接続し、 E 前記ケースは第1部と第2部とを含み、前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆い、前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続し、 F 前記第1層は、前記第1部に接続する第1区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースから離れる第2区域とを含み、 G 前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、 H ことを特徴とする電池。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1、2、6~15及び18~21に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項3~5、16及び17に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明及び文献2~文献4に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 文献1.特開2016-173950号公報 文献2.国際公開第2014/199513号(周知技術を示す文献) 文献3.特開2016-96096号公報(周知技術を示す文献) 文献4.特開2016-72175号公報(周知技術を示す文献) 第5 引用文献の記載内容 原査定の拒絶の理由で引用された特開2016-173950号公報(以下「引用文献」という。)の記載は、以下の1に示すとおりであり、該記載から引用文献には以下の2に示す発明が記載されていると認められる。 1 引用文献の記載 引用文献には、以下の記載がある。 「【0033】 (ラミネート電池の概略構成) ラミネート電池10(電気化学セル)は、正極部材15および負極部材16を有する電極体の周囲を封止するシール部材11と、正極部材15に接続し、シール部材11の封止領域から外部に延出する正極タブ13(正極端子)と、負極部材16に接続し、封止領域から外部に延出する負極タブ14(負極端子)と、フィルム部材12とを備える。 【0034】 正極部材15としては、アルミニウムによって形成されるシート状の集電体の表面に、正極活物質としてコバルト酸リチウムを塗布したものを使用している。一方、負極部材16としては、銅で形成されるシート状の集電体の表面に、負極活物質としてグラファイトを塗布したものを使用している。そしてこれらの正極部材15、負極部材16を、セパレータを介して積層し、さらに捲回したものを電極体としている。 【0035】 さらに、正極タブ13、負極タブ14には、フィルム部材12が熱溶着されている。本実施形態では、単一のフィルム部材12によって、正極タブ13、負極タブ14の一部が一体化されている。より具体的には、正極タブ13、負極タブ14の電極体から露出している領域の長さの25%以下が、このフィルム部材12によって一体化されている。これによれば、正極タブ、負極タブに対して別個にフィルム部材が取り付けられている従来の構成と比較すると、ラミネート電池10の製造過程において正極タブ13、負極タブ14の位置ずれや傾きが生じる虞がない。 【0036】 さらに、単一のフィルム部材12によって一体化することで、従来の構成と比較すると、正極タブ13、負極タブ14のフィルム部材12の封止領域から液漏れする可能性を大幅に低減できる。ラミネート電池では、フィルム部材の厚みによって生じる段差部分において、封止領域から液漏れが生じる虞があるが、従来では、複数のフィルム部材を用いるために、多くの段差部分が形成されるのに対し、本実施形態では、単一のフィルム部材12であるので段差部分の形成箇所を減らすことができる。よって、液漏れがしにくいラミネート電池10を提供できる。なお、本実施形態では、フィルム部材12として無色透明のポリプロピレンフィルムが用いられている。また、正極タブ13、負極タブ14の幅寸法は3mmであるが、1mm以上3mm以下の幅寸法であれば、正極タブ13、負極タブ14の剛性、電気的導通性を確保しつつ、ラミネート電池10の小型化を達成することができる。 【0037】 また、本実施形態では、正極タブ13、負極タブ14が電極体から露出している領域の長さの25%の領域にフィルム部材12が溶着されているが、封止性の観点からは、封止領域におけるフィルム部材12の寸法も重要である。ラミネート電気10を確実に封止するためには、封止領域のほぼ全域にフィルム部材12が介在していると好適である。 【0038】 なお、フィルム部材12が熱溶着される領域は、正極タブ13、負極タブ14が露出している領域のうち、正極部材15、負極部材16寄りの領域であり、本実施形態では、正極部材15、負極部材16から間隙を挟んでフィルム部材12を熱溶着している。正極タブ13、負極タブ14の先端側は、外部の電子機器に対して電気的に接続させる必要があるので、フィルム部材12を熱溶着することなく、露出させている。 【0039】 また、フィルム部材12によって正極タブ13、負極タブ14が一体化された電極体は、シール部材11によって密封されている。本実施形態では、樹脂層、金属層、熱溶着層の3層構造によって形成されるシール部材11が用いられている。1枚のシール部材11を折り返すことによって、電極体が内包された状態で、正極タブ13、負極タブ14が延出している側を含む3辺を熱溶着している。なお、これに限らず、例えば2枚のシール部材11を積層し、4辺を熱溶着する形態であってもよい。 【0040】 そして、シール部材11の封止領域と外部との境界から、正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて連続的にフィルム部材12が設けられている。なお、ここでいう正極タブ13、負極タブ14の延出領域とは、シール部材11によって封止した状態において、シール部材11の封止領域から外部に正極タブ13、負極タブ14が延出している領域のことを指す。 【0041】 これによれば、シール部材11の封止領域において、正極タブ13、負極タブ14とシール部材11との間にフィルム部材12が介在することになるので、ラミネート電池11を確実に封止することが可能になる。さらに、シール部材11の封止領域から外部に連続的にフィルム部材12が延出することで、シール部材11を熱溶着する際に、フィルム部材12の位置を確認しやすくなる(封止領域内にシール部材11が内包される場合は、シール部材11を封止する際に、フィルム部材12の位置を視認しづらく、封止領域内にフィルム部材12を配置するのが困難である)。なお、小型化に対応するためには、電極体をシール部材11によって封止した状態で、正極タブ13又は負極タブ14端子が延出する側の辺の長さ寸法が15mm以下であると好適である。」 図1 [図:0001422157000009.jpg] 図2 [図:0001422157000010.jpg] 図3 [図:0001422157000011.jpg] 図1~図3を参照すると、正極タブ13及び負極タブ14は、板状であると解される。 2 引用発明の認定 前記1の記載によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、後の参照の便宜のため、引用発明を以下のa~kに分説し、「構成a」のようにして参照する。 a ラミネート電池10であって、(【0033】) b1 正極部材15および負極部材16を有する電極体の周囲を封止するシール部材11と、(【0033】) b2 正極部材15に接続し、シール部材11の封止領域から外部に延出する正極タブ13(正極端子)と、(【0033】) b3 負極部材16に接続し、封止領域から外部に延出する負極タブ14(負極端子)と、 b4 フィルム部材12と(【0033】) b を備え、(【0033】) c 正極タブ13及び負極タブ14は、板状であり、(図1~3) d1 正極部材15としては、シート状の集電体の表面に正極活物質を塗布したものを使用し、(【0034】) d2 負極部材16としては、シート状の集電体の表面に負極活物質を塗布したものを使用し、(【0034】) d3 正極部材15、負極部材16を、セパレータを介して積層し、さらに捲回したものを電極体とし、(【0034】) e 単一のフィルム部材12によって、正極タブ13、負極タブ14の一部が一体化され、(【0035】) f フィルム部材12として無色透明のポリプロピレンフィルムを用い、(【0036】) g 封止領域のほぼ全域にフィルム部材12が介在しており、(【0037】) h 正極タブ13、負極タブ14の先端側は、外部の電子機器に対して電気的に接続させる必要があり、(【0038】) i 2枚のシール部材11を積層し、4辺を熱溶着する形態であり、(【0039】) j シール部材11の封止領域と外部との境界から、正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて連続的にフィルム部材12が設けられている、(【0040】) k ラミネート電池10。 第6 周知文献の記載と周知技術の認定 以下では、周知技術を認定するための記載と、認定された周知技術とを示す。 1 周知文献1の記載 原査定で引用された国際公開第2014/199513号(以下「周知文献1」という。)には、以下の記載がある。 (1)「[0001] この発明は、ラミネートフィルムを外装体とした偏平な二次電池に関し、特に、内部の発電要素に接続された端子周辺の構造に関する。」 (2)「[0026] 樹脂層33は、耐腐食層32の表面のうち少なくとも挟持部分33cを被覆し挟持部分33cから外装体5内側に延在した内側延在部33aを有するものであって、負極端子3と外装体5との間で挟持されて負極端子3(ニッケル面31に被覆形成された耐腐食層32)や外装体5に熱融着し、挟持部分33cにて封着可能なものであれば良い。したがって樹脂層33は、例えば、挟持部分33cから外装体5外側に延在した延在部(以下、外側延在部)33bが形成されたものであっても良い。」 (3)図3 [図:0001422157000012.jpg] 図3によれば、樹脂層33のうち、ラミネートフィルム(外装体5)が熱融着される挟持部分33cの長さは、外装体5外側に延在した外側延在部33bの長さよりも大きいことが見て取れる。 2 周知文献2の記載 原査定で引用された特開2016-96096号公報(以下「周知文献2」という。)には、以下の記載がある。 (1)「【0017】 図1(A)に示すように、非水電解質電池1は、金属箔を含む多層フィルムからなる封入体2(包材の一例)を備えている。封入体2は、図示省略するが、正極板と負極板とをセパレータを介して積層した積層電極群(発電素子の一例)と電解液を収納している。正極板にはリード部材3が接続され、負極板にはリード部材3’が接続されている。リード部材3およびリード部材3’は、絶縁樹脂フィルム5を介して封入体2のシール部6から密封封止した状態で取り出される。」 (2)図1(B) [図:0001422157000013.jpg] 図1(B)によれば、絶縁樹脂フィルム5のうち、封入体2のシール部6に挟持される部分の長さは、封入体2の外側に延在した部分の長さよりも大きいことが見て取れる。 3 周知文献3の記載 原査定で引用された特開2016-72175号公報(以下「周知文献3」という。)には、以下の記載がある。 (1)「【0018】 図1Cは、フープ状部材10´をカット位置Kでカットした個別のタブリード3を示す。タブリード3は、箔状導体11の長手方向の両端部を除く中間部に、樹脂製の絶縁フィルム13が両面から貼り付けられ、その絶縁フィルム13によって分割された箔状導体11の長手方向両側の領域のうち、片側の領域にはんだ部12が設けられ、他方の領域では、アルミニウムまたはアルミニウム合金表面の複合皮膜層が露出している形態とされる。 タブリード3の絶縁フィルム13は、非水電解質電池の封着部とされ、非水電解質電池において外部に露出する側に、はんだ部12が設けられた形態となる。タブリード3の長手方向の長さは、例えば20~60mmとされる。」 (2)「【0026】 非水電解質電池1は、セパレータを介して積層された正極板と負極板ならびに電解液を、金属箔を含む多層フィルムからなる外装体2に収納する。そして図2Aに示すように、正極側のタブリード3と負極側のタブリード4とを、絶縁フィルム13を介して外装体2のシール部2dで密封封止することにより、各電極となるタブリード3,4を外装体2から取り出す。」 (3)図2B [図:0001422157000014.jpg] 図2Bによれば、絶縁フィルム13のうち、外装体2のシール部2dで密封封止される部分の長さは、外装体2の外側に延在した部分の長さよりも大きいことが見て取れる。 4 周知文献4の記載 当審で新たに引用する特許第3141021号公報(平成13年3月5日発行、以下「周知文献4」という。)には、以下の記載がある。 (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、中間に金属箔をバリア材として介在された外装フィルムで発電要素を封止した構造を有する電池に関する。」 (2)「【0040】前記外装フィルム11のシーラントフィルムは、シーラントフィルム同士や、シーラントフィルムと外部リード端子間、シーラントフィルムと後述する接着性絶縁フィルムとを熱圧着することにより発電要素を封止するものである。このシーラントフィルムは、電解液に溶解したり、膨潤したりしない無延伸のフイルムが好ましい。例えば、延伸していないポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体、アイオノマー(IO)、ポリアミド(PA)、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・ビニルアルコール(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMMA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、ポリメチルペンテン(PMP)等からなる樹脂フィルムを用いることができる。特に、金属との接着性を増すために、これら樹脂をベースポリマーにして、例えば無水マレイン酸等酸無水物をグラフト重合させたものが好ましい。」 (3)「【0044】本発明に係る電池において、図3に示すように前記正負極の外部リード端子9,10と前記外装フィルム11のシーラントフィルム13との間に接着性絶縁フィルム17を介在させることを許容する。」 (4)「【0047】なお、前記接着性絶縁フィルムは外装フィルムのシール部の端部から0.1~5mm外側にはみ出すように前記正負極の外部リード端子と前記外装フィルムとの間に介在させることが好ましい。このような状態で接着性絶縁フィルムを介在することによって、外装フィルムの中間に配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔と外部リード端子との距離(絶縁距離)を長くできるため、前記箔を通して正極と負極とが短絡するのを防止できる。また、前記接着性絶縁フィルムにより外部リード端子の曲げ応力を緩和できるため、外装フィルム端部での外部リード端子の曲げの繰り返しによる破断を抑制できる効果も発揮できる。前記接着性絶縁フィルムのはみ出し長さを0.1mm未満にすると、絶縁距離の延長効果を十分に発揮することが困難になる。一方、前記接着性絶縁フィルムのはみ出し長さが5mmを超えると電池をパック化する際に邪魔になる恐れがある。」 (5)図3 [図:0001422157000015.jpg] 図3によれば、接着性絶縁フィルム17のうち、外装フィルム11で封止される部分の長さは、外装フィルム11の外側にはみ出す部分の長さよりも大きいことが見て取れる。 5 周知技術の認定 以下では、前記1~4に示した記載から、周知技術を認定する。 (1)周知文献1に記載された技術 前記1の記載によれば、周知文献1には次の技術が記載されていると認められる。 「ラミネートフィルムを外装体とした二次電池であって、([0001]) 樹脂層33は、負極端子3や外装体5に熱融着にて封着する挟持部分33cを有し、挟持部分33cから外装体5外側に延在した外側延在部33bが形成され、([0026]) 樹脂層33のうち、ラミネートフィルム(外装体5)が熱融着される挟持部分33cの長さは、外装体5外側に延在した外側延在部33bの長さよりも大きい、(図3) 二次電池。」 (2)周知文献2に記載された技術 前記2の記載によれば、周知文献2には次の技術が記載されていると認められる。 「非水電解質電池1であって、(【0017】) 封入体2を備え、リード部材3およびリード部材3’は、絶縁フィルム5を介して封入体2のシール部6から密封封止した状態で取り出され、(【0017】) 絶縁樹脂フィルム5のうち、封入体2のシール部6に挟持される部分の長さは、封入体2の外側に延在した部分の長さよりも大きい、(図1(B)) 非水電解質電池1。」 (3)周知文献3に記載された技術 前記3の記載によれば、周知文献3には次の技術が記載されていると認められる。 「タブリード3の絶縁フィルム13を封着部とした非水電解質電池であって、(【0018】) 正極側のタブリード3と負極側のタブリード4とを、絶縁フィルム13を介して外装体2のシール部2dで密封封止し、(【0026】) 絶縁フィルム13のうち、外装体2のシール部2dで密封封止される部分の長さは、外装体2の外側に延在した部分の長さよりも大きい、(図2B) 非水電解質電池。」 (4)周知文献4に記載された技術 前記4の記載によれば、周知文献4には次の技術が記載されていると認められる。 「外装フィルムで発電要素を封止した電池であって、(【0001】) 前記外装フィルム11のシーラントフィルムは、シーラントフィルムと接着性絶縁フィルムとを熱圧着することにより発電要素を封止し、(【0040】) 外部リード端子9,10と前記外装フィルム11のシーラントフィルム13との間に接着性絶縁フィルム17を介在させ、(【0044】) 接着性絶縁フィルム17のうち、外装フィルム11で封止される部分の長さは、外装フィルム11の外側にはみ出す部分の長さよりも大きい、(図3) 電池。」 (5)周知技術 周知文献1における「二次電池」、周知文献2における「非水電解質電池1」、周知文献3における「非水電解質電池」及び周知文献4における「電池」は、いずれも、電池である。 周知文献1の「外装体5」、周知文献2の「封入体2」、周知文献3の「外装体2」及び周知文献4の「外装フィルム」は、いずれも電池の内容物を封止するものであるから、これらは封止材であるといえる。 周知文献1における「負極端子3」、周知文献2における「リード部材3およびリード部材3’」、周知文献3における「正極側のタブリード3と負極側のタブリード4」及び周知文献4における「外部リード端子9,10」は、いずれも、電池の外部に電池の電極から電気を供給する端子であると解されるから、電極端子であるといえる。 周知文献1における「樹脂層33」、周知文献2における「絶縁樹脂フィルム5」、周知文献3における「絶縁フィルム13」及び周知文献4における「接着性絶縁フィルム17」は、いずれも、封止材と電極端子との間に介在する絶縁材であるから、介在絶縁材であるといえる。 周知文献1における「挟持部分33c」、周知文献2における「封入体2のシール部6に挟持される部分」、周知文献3における「外装体2のシール部2dで密封封止される部分」及び周知文献4における「外装フィルム11で封止される部分」は、いずれも、封止部分といえる。 周知文献1における「外側延在部33b」、周知文献2における「封入体2の外側に延在した部分」、周知文献3における「外装体2の外側に延在した部分」及び周知文献4における「外装フィルム11の外側にはみ出す部分」は、いずれも、延在部分といえる。 以上を踏まえて用語を統一すると、前記(1)~(4)に示した技術は、いずれも、次に示すものとなる。 「介在絶縁材と封止材とを含む電池であって、 電極端子は、介在絶縁材を介して封止材に融着され、 介在絶縁材のうち封止材に融着された封止部分の長さは、介在絶縁材のうち封止材の外側に延在する延在部分の長さよりも大きい、電池。」 上記技術は、周知文献1~4の4つの文献によりそれぞれ独立に開示されたものであるから、電池の技術分野における周知技術であると認められ、該技術を以下では単に「周知技術」という。 第7 本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 1 発明特定事項A及びHについて 発明特定事項Aは、「第1電極と、第2電極と、第1層と、ケースとを含む電池であって、」というものである。 発明特定事項Hは、「ことを特徴とする電池。」というものである。 (1)引用発明の「フィルム部材12」、「シール部材11」及び「ラミネート電池10」は、それぞれ本願発明の「第1層」、「ケース」及び「電池」に相当する。 (2)引用発明の「正極タブ13」及び「正極部材15」は、ラミネート電池10の正極を形成するものと解されるので、引用発明の「正極タブ13」及び「正極部材15」からなる正極は、本願発明の「第1電極」に相当する。 (3)引用発明の「負極タブ14」及び「負極部材16」は、ラミネート電池10の負極を形成するものと解されるので、引用発明の「負極タブ14」及び「負極部材16」からなる負極は、本願発明の「第2電極」に相当する。 (4)引用発明の「ラミネート電池10」は、「シール部材11」「を備え」ており(構成b1、b)、「シール部材11」は「正極部材15および負極部材16を有する電極体の周囲を封止」している(構成b1)から、引用発明の「ラミネート電池10」は、「正極部材15」、「負極部材16」及び「シール部材11」を含んでいる。 さらに、引用発明の「ラミネート電池10」は、「正極タブ13」、「負極タブ14」及び「フィルム部材12」を含んでいる(構成b2~b)。 (5)前記(1)~(4)を総合すれば、本願発明と引用発明とは、「第1電極と、第2電極と、第1層と、ケースとを含む電池であ」る点で一致する。 2 発明特定事項Bについて 発明特定事項Bは、「前記第1電極は、第1面と第2面とを有する第1導電体と、前記第1導電体の第1面に接続する第1金属板とを含み、」というものである。 (1)引用発明の「正極部材15」は、「シート状の集電体の表面に正極活物質を塗布したもの」である(構成d1)。 引用発明の「正極部材15」の「集電体」は明らかに導電体であるから、本願発明の「第1導電体」に相当する。 また、該「集電体」は、「シート状」であるから、2つの面を有することが明らかであり、それら2つの面をそれぞれ「第1面」及び「第2面」と呼ぶことは任意である。 (2)引用発明の「正極タブ13」は、「正極部材15に接続し」ている(構成b2)。 ここで、引用発明の「正極タブ13」は、先端側を「外部の電子機器に対して電気的に接続させる必要があ」る(構成h)とされているから、外部の電子機器に対して「ラミネート電池10」が発生する電力を供給するものであると解される。 よって、引用発明の「正極タブ13」は、ラミネート電池10において正の電位を与える「正極部材15」のうち、その電気を集める「集電体」の2つの面のどちらかに接続されていると解され、前記2つの面のうち「正極部材15」と接続する面を「第1面」と呼ぶことは任意である。 よって、引用発明の「正極タブ13」は、「正極部材15」の「集電体」の第1面に接続すると解される。 (3)引用発明の「正極タブ13」は、先端側に「外部の電子機器に対して電気的に接続させる必要があ」って(構成h)、「正極端子」(構成b2)であるから、電気的な端子であると解される。電気的な端子は一般に金属で形成されるものである。そして、「正極タブ13」は、板状である(構成c)。 以上によれば、引用発明の「正極タブ13」は、本願発明の「第1金属板」に相当する。 (4)前記(1)~(3)によれば、引用発明の「正極タブ13」及び「正極部材15」からなる正極は、第1面と第2面とを有する「正極部材15」の「集電体」と、前記「集電体」の第1面に接続する「正極タブ13」とを含む。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記第1電極は、第1面と第2面とを有する第1導電体と、前記第1導電体の第1面に接続する第1金属板とを含」む点で一致する。 3 発明特定事項Cについて 発明特定事項Cは、「前記第2電極は、第3面と第4面とを有する第2導電体と、前記第2導電体の第3面に接続する第2金属板とを含み、」というものである。 引用発明の「負極タブ14」、「負極部材16」及び「集電体」(構成d2、b3、c、h)についても、正極が負極に変わる以外は前記2(2)及び2(3)と同様である。すなわち、引用発明の「負極部材16」の「集電体」の2つの表面をそれぞれ「第3面」及び「第4面」と呼び、そのうち「負極タブ14」と接続する面を「第3面」と呼ぶことは任意であり、引用発明の「負極タブ14」は、本願発明の「第2金属板」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記第2電極は、第3面と第4面とを有する第2導電体と、前記第2導電体の第3面に接続する第2金属板とを含」む点で一致する。 4 発明特定事項Dについて 発明特定事項Dは、「前記第1層は絶縁材を含み、前記第1金属板の第1表面及び前記第2金属板の第3表面に接続し、」というものである。 (1)引用発明の「フィルム部材12」は、「ポリプロピレンフィルム」を用いており(構成f)、ポリプロピレンは絶縁性の材料であるから、本願発明の「第1層」と、引用発明の「フィルム部材12」とは、「絶縁材を含」む点で一致する。 (2)引用発明の「正極タブ13」及び「負極タブ14」は、「板状であ」る(構成c)から、表面を有する。ここで、「正極タブ13」の表面を「第1表面」と呼び、「負極タブ14」の表面を「第3表面」と呼ぶことは任意である。 (3)引用発明では、「単一のフィルム部材12によって、正極タブ13、負極タブ14の一部が一体化され」ている(構成e)から、「フィルム部材12」は、「正極タブ13」の第1表面及び「負極タブ14」の第3表面に接続していることが明らかである。 (4)以上によれば、本願発明と引用発明とは、「前記第1層は絶縁材を含み、前記第1金属板の第1表面及び前記第2金属板の第3表面に接続」する点で一致する。 5 発明特定事項Eについて 発明特定事項Eは、「前記ケースは第1部と第2部とを含み、前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆い、前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続し、」というものである。 (1)引用発明では「2枚のシール部材11を積層し、4辺を熱溶着する」(構成i)ところ、「2枚のシール部材11」のうち一方を「第1部」と呼び、他方を「第2部」と呼ぶことは任意である。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記ケースは第1部と第2部とを含」む点で一致する。 (2)引用発明の「シール部材11」(「2枚のシール部材11」)は、「正極部材15および負極部材16を有する電極体の周囲を封止」している(構成b1)のだから、「シール部材11」によって「正極部材15」及び「負極部材16」が覆われている。 引用発明の「正極タブ13」は、「正極部材15に接続し、シール部材11の封止領域から外部に延出」している(構成b2)から、「シール部材11」によって「正極タブ13」の少なくとも一部が覆われている。 引用発明の「負極タブ14」も、「正極タブ13」と同様であり、「シール部材11」によって「負極タブ14」の一部が覆われている。 引用発明では「封止領域のほぼ全域にフィルム部材12が介在しており」(構成g)、「シール部材11の封止領域」(構成b2)のことと解されるから、「シール部材11」によって「フィルム部材12」の少なくとも一部が覆われている。 以上によれば、引用発明では、「シール部材11」によって「正極タブ13」及び「正極部材15」と、「負極タブ14」及び「負極部材16」と、「フィルム部材12」の少なくとも一部が覆われている。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆」う点で一致する。 (3)引用発明では「封止領域のほぼ全域にフィルム部材12が介在して」いる(構成g)から、「シール部材11」の一方の少なくとも一部は、「フィルム部材12」に接続していると解される。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続」する点で一致する。 (4)前記(1)~(3)を総合すると、本願発明と引用発明とは、「前記ケースは第1部と第2部とを含み、前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆い、前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続」する点で一致する。 6 発明特定事項Fについて 発明特定事項Fは、「前記第1層は、前記第1部に接続する第1区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースから離れる第2区域とを含み、」というものである。 引用発明では「封止領域のほぼ全域にフィルム部材12が介在しており」(構成g)、「封止領域」に介在した「フィルム部材12」の区域を「第1区域」と呼ぶことは任意である。 また、引用発明では「シール部材11の封止領域と外部との境界から、正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて連続的にフィルム部材12が設けられて」おり(構成j)、「フィルム部材12」の「封止領域と外部との境界から、正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて」の区域を「第2区域」と呼ぶことは任意である。 このとき、「第1区域」と「第2区域」が接続していることは、「第2区域」が「封止領域と外部との境界から」始まっていることにより、明らかである。 また、「第2区域」が「シール部材11」から離れることは、「第2区域」が「正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて」連続していることにより、明らかである。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記第1層は、前記第1部に接続する第1区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースから離れる第2区域とを含」む点で一致する。 7 発明特定事項Gについて 発明特定事項Gは、「前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより大きい、」というものである。 引用発明において、「封止領域のほぼ全域」に「介在」する「フィルム部材12」(構成g)の長さ(本願発明の「第1区域の長さ」に対応する。)と、「封止領域と外部との境界から、正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて連続的に」「設けられ」た「フィルム部材12」(構成j)の長さ(本願発明の「第2区域の長さ」に対応する。)は、不明である。 8 一致点及び相違点 前記1~7によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「第1電極と、第2電極と、第1層と、ケースとを含む電池であって、 前記第1電極は、第1面と第2面とを有する第1導電体と、前記第1導電体の第1面に接続する第1金属板とを含み、 前記第2電極は、第3面と第4面とを有する第2導電体と、前記第2導電体の第3面に接続する第2金属板とを含み、 前記第1層は絶縁材を含み、前記第1金属板の第1表面及び前記第2金属板の第3表面に接続し、 前記ケースは第1部と第2部とを含み、前記第1部と前記第2部によって前記第1電極と、前記第2電極と、前記第1層の少なくとも一部とを覆い、前記第1部の少なくとも一部は前記第1層に接続し、 前記第1層は、前記第1部に接続する第1区域と、前記第1区域に接続し且つ前記ケースから離れる第2区域とを含む、 ことを特徴とする電池。」 〈相違点〉 本願発明では、「前記第1層では、前記第1区域から前記第2区域へ延びる第1方向において、前記第1区域の長さは前記第2区域の長さより大きい」のに対し、引用発明では、「フィルム部材12」について、「封止領域のほぼ全域」に「介在」する「フィルム部材12」の長さと、「封止領域と外部との境界から、正極タブ13、負極タブ14の延出領域にかけて連続的に」「設けられ」た「フィルム部材12」の長さが不明である点。 第8 判断 上記相違点についての判断、効果についての判断及び請求人の主張についての判断を、以下に示す。 1 相違点についての判断 上記相違点について判断する。 引用発明の「フィルム部材12」について、封止領域に介在する部分の長さ及びシール部材11の外部に延出する部分の長さをどのようなものにするかは、必要とされる封止強度や、外観等に基づいて、適宜設計すべき事項に過ぎず、この点に格別の困難性は存在しない。 更にいえば、周知技術として示したように、介在絶縁材(引用発明の「フィルム部材12」に対応する。)と封止材(引用発明の「シール部材11」に対応する。)とを含む電池において、封止部分(引用発明の「封止領域」に対応する。)の長さを延在部分(引用発明の「延出領域」に対応する。)の長さよりも大きくすることは、周知であるから、相違点に係る構成は、引用発明及び周知技術から容易になし得たことと認められる。 仮に、周知文献1~4に描かれる図面において、各部位の寸法の比率が、実物の寸法の比率と異なっていたとしても、周知文献1~4の図面のように、封止部分の長さが延在部分の長さよりも大きく描かれた図面は、電池の技術分野において周知であったと認められる。電池の技術分野の当業者が引用発明を具現化する際には、当該技術分野において周知の図面のように寸法を定めることは、特段の事情がない限り、自然なことであると認められる。 加えて、周知文献4には、「前記接着性絶縁フィルムのはみ出し長さが5mmを超えると電池をパック化する際に邪魔になる恐れがある。」(【0047】)との記載があるように、延出部分の長さを大きくすることには不利益が存在するから、引用発明の延出領域の長さを小さくすることは容易になし得たことであり、その結果、封止領域の長さが延出領域の長さよりも大きくなるよう構成することも容易になし得たことと認められる。 以上によれば、相違点に係る構成は、当業者が引用発明から容易になし得たものと認められる。 2 効果についての判断 本願発明の効果は、引用発明の効果に比して、格別とは認められない。 3 請求人の主張についての判断 請求人の主張についての判断は、以下のとおりである。 (1)請求人は、概略、次のように主張する。 引用文献及び周知文献1~3は、フィルム部材のケース外側へ延出した長さと、フィルム部材がケースに接続した部分の長さとの大小関係についても開示していない。 また、引用発明において正極タブ13又は負極タブ14端子が延出する側の辺の長さ寸法を15mm以下にすることは、「小型化に対応するため」であり、これは、本願発明の効果とは全く異なる。また、引用発明においてシール部材をケース外側へ延出させる理由は、シール部材11を熱溶着する際に、フィルム部材12の位置を確認しやすくするために過ぎない。また、引用文献においては、シール部材のケース外側へ延出した長さと、後続の封止工程への影響との関係は何ら開示がされていない。(以上、令和5年9月12日の意見書2~3頁) (2)しかしながら、請求人の主張は以下のとおり、採用できない。 前記第6、5(5)に示したように、周知文献1~4によれば、封止部分の長さを延出部分の長さよりも大きくすることは周知技術であったと認められる。仮に、周知文献1~4の図面の寸法が正確でなかったとしても、図面として封止部分の長さが延出部分の長さよりも大きくなったものが周知である以上、そのような寸法で具現化を試みることに格別の困難性は認められない。 また、請求人が主張する本願発明の「後続の封止工程への影響」を小さくすることについて、本願明細書には、「第2区域の長さが小さいほど、後続の封止に対する影響は小さくなる。」(【0009】)との記載及び「第2区域32の長さが小さいほど、後続の封止に対する影響が小さくなる。」(【0050】)との記載があるのみで、具体的に封止に対するどのような影響が小さくなるのかは明らかではない。加えて、【0009】及び【0050】は、第2区域の長さが小さいと良いと説明しているに過ぎず、第1区域の長さが第2区域の長さよりも大きいという、相対的な大きさについて説明したものではない。 以上によれば、請求人の主張は採用できない。 なお、審判請求書及び上申書における請求人の主張は、本件補正後の特許請求の範囲の記載を前提としたものであり、採用できない。 第9 むすび 前記第8によれば、本願発明は、引用発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-005308

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