特許拒絶査定不服審判
2024-004520
変換された片予測候補の利用
- 審判番号
- 2024-004520
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-549770
- 請求日
- 2024年03月14日
- 審決日
- 2025年11月11日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】北京字節跳動網絡技術有限公司
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 【請求人】バイトダンス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】宮崎 修
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 伊藤 隆夫
- 審判官 坂東 大五郎
- 分類
- P18 .121-WZ (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-549770「変換された片予測候補の利用」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日国際公開、WO2020/177755、令和 4年 4月 8日国内公表、特表2022-521554〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)3月6日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2019年3月6日(CN)中華人民共和国、2019年3月20日(CN)中華人民共和国、2019年3月24日(CN)中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年 8月25日 :手続補正書の提出
令和4年 8月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月 9日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和5年 8月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年11月 9日付け:拒絶査定
令和6年 3月14日 :審判請求書の提出
令和7年 1月20日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和7年 4月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 5月20日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和7年 8月27日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~14に係る発明は、令和7年8月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。なお、記号A~Eは、分説するために当審で付したものであり、記号A~Eに対応する発明特定事項を、以下、構成A~構成Eという。
(本願発明)
A ビデオデータを処理する方法であって、
B ビデオの現在のブロックについて第1動きベクトルセットを決定するステップと、
C 前記現在のブロックが条件を満足することに応答して、前記第1動きベクトルセットを第2動きベクトルセットに変更するステップであり、前記条件は、前記現在のブロックのルーマ成分のサイズが予め定義されたサイズと同じであることを有する、前記変更するステップと、
D 前記第2動きベクトルセットに基づいて前記現在のブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の変換を実行するステップと
を有し、
E 前記第2動きベクトルセットは、動きベクトル予測履歴テーブルを更新するために使用され、
C1 前記予め定義されたサイズは、8×4又は4×8、のうちの少なくとも1つであり、
C 前記第1動きベクトルセットを変更することは、
C2 前記現在のブロックが、双方向動き情報に関連すると決定され、前記第1動きベクトルセットが、第1予測方向のための第1参照ピクチャリスト内の第1参照ピクチャを参照する第1動きベクトルと、第2予測方向のための第2参照ピクチャリスト内の第2参照ピクチャを参照する第2動きベクトルとを有する場合に、前記第1動きベクトルセット内の動きベクトルを一方向動きベクトルに変換することを有し、
C3 前記第1予測方向又は前記第2予測方向のうちの一方の動き情報は、捨てられる、
A 方法。
第3 当審の拒絶の理由
令和7年5月20日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、概略、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の請求項1~14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:Benjamin Bross et al., "Versatile Video Coding (Draft 4)", Joint Video Experts Team (JVET), 2019-02-27, [JVET-M1001-v5] (version 5), pp.98,132-136,170-172
引用文献2:"Recommendation ITU-T H.265 (04/2013)", pp.116-118
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
(1)「8 Decoding process
8.1 General decoding process
8.1.1 General
Input to this process is a bitstream. Output of this process is a list of decoded pictures.」(第98頁)
(当審による仮訳:
8 復号プロセス
8.1 一般復号プロセス
8.1.1 一般
このプロセスへの入力はビットストリームである。このプロセスの出力は、復号されたピクチャのリストである。)
(2)「8.5.2 Derivation process for motion vector components and reference indices
8.5.2.1 General
Inputs to this process are:
- a luma location ( xCb, yCb ) of the top-left sample of the current luma coding block relative to the top-left luma sample of the current picture,
- a variable cbWidth specifying the width of the current coding block inluma samples,
- a variable cbHeight specifying the height of the current coding block in luma samples.
Outputs of this process are:
- the luma motion vectors in 1/16 fractional-sample accuracy mvL0[ 0 ][ 0 ] and mvL1[ 0 ][ 0 ],
- the reference indices refIdxL0 and refIdxL1,
- the prediction list utilization flags predFlagL0[ 0 ][ 0 ] and predFlagL1[ 0 ][ 0 ],
- the bi-prediction weight index gbiIdx.」(第132~133頁)
(当審による仮訳:
8.5.2 動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス
8.5.2.1 一般
このプロセスへの入力は以下のとおりである:
- 現在ピクチャの左上ルーマサンプルに対する現在ルーマコーディングブロックの左上サンプルのルーマ位置(xCb,yCb)
- ルーマサンプルにおける現在のコーディングブロックの幅を指定する変数cbWidth
- ルーマサンプルにおける現在のコーディングブロックの高さを指定する変数cbHeight
このプロセスの出力は以下のとおりである:
- 1/16分数サンプル精度のルーマ動きベクトルmvL0[0][0]およびmvL1[0][0]
- 参照インデックスrefIdxL0およびrefIdxL1
- 予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]
- 双予測重みインデックスgbiIdx)
(3)「- If merge_flag[ xCb ][ yCb ] is equal to 1, the derivation process for luma motion vectors for merge mode as specified in clause 8.5.2.2 is invoked with the luma location ( xCb, yCb ), the variables cbWidth and cbHeight inputs, and the output being the luma motion vectors mvL0[ 0 ][ 0 ], mvL1[ 0 ][ 0 ], the reference indices refIdxL0, refIdxL1, the prediction list utilization flags predFlagL0[ 0 ][ 0 ] and predFlagL1[ 0][ 0 ], and the bi-prediction weight index gbiIdx.」(第133頁)
(当審による仮訳:
- merge_flag[xCb][yCb]が1に等しい場合、節8.5.2.2において指定されるマージモードのためのルーマ動きベクトルのための導出プロセスは、ルーマ位置(xCb,yCb)と、変数cbWidthおよびcbHeightを入力として用いて呼び出され、出力は、ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]、mvL1[0][0]、参照インデックスrefIdxL0、refIdxL1と、予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]と、双予測重みインデックスgbiIdxである。)
(4)「When all of the following conditions are true, refIdxL1 is set equal to -1, predFlagL1 is set equal to 0, and gbiIdx is set equal to 0:
- predFlagL0[ 0 ][ 0 ] is equal to 1.
- predFlagL1[ 0 ][ 0 ] is equal to 1.
- cbWidth is equal to 4.
- cbHeight is equal to 4.」(第134頁)
(当審による仮訳:
以下の条件のすべてが真である場合、refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定され、gbiIdxは0に等しく設定される:
- predFlagL0[0][0]は1に等しい
- predFlagL1[0][0]は1に等しい
- cbWidthは4に等しい
- cbHeightは4に等しい)
(5)「The updating process for the history-based motion vector predictor list as specified in clause 8.5.2.16 is invoked with luma motion vectors mvL0[ 0 ][ 0 ] and mvL1[ 0 ][ 0 ], reference indices refIdxL0 and refIdxL1, prediction list utilization flags predFlagL0[ 0 ][ 0 ] and predFlagL1[ 0 ][ 0 ], and bi-prediction weight index gbiIdx.」(第134頁)
(当審による仮訳:
節8.5.2.16において指定される履歴ベースの動きベクトル予測子リストのための更新プロセスは、ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]およびmvL1[0][0]、参照インデックスrefIdxL0およびrefIdxL1、予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]、ならびに双予測重みインデックスgbiIdxを用いて呼び出される。)
(6)ここで、上記(2)~(5)は、いずれも、「8.5.2 動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス」の内の「8.5.2.1 一般」内の記載であるから、上記(2)~(5)の事項は、「動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス」内における一連の処理として行われるものである。
また、上記(1)の「8.1 一般復号プロセス」、及び、(2)~(5)の「8.5.2 動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス」は、いずれも、上記(1)の「8 復号プロセス」の下位にあるものであり、また、動画像符号化復号化の技術分野において、「一般復号プロセス」の中で、「動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス」が行われることは当業者にとって明らかであるから、上記(2)~(5)の「動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス」内の処理は、上記(1)の「一般復号プロセス」における一連の処理として行われるものといえる。
よって、上記(1)~(5)の摘記事項を総合して、上記(2)~(5)の「動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセス」内の一連の処理を行う、上記(1)の「一般復号プロセス」を、引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)として認定すると、以下のとおりとなる。なお、a~eは説明のために当審で付したものであり、以下、構成a~構成eという。
(引用発明)
a 一般復号プロセスであって、
a1 このプロセスへの入力はビットストリームであり、
a2 このプロセスの出力は、復号されたピクチャのリストであり、
b 動きベクトル成分および参照インデックスの導出プロセスにおいて、
b1 このプロセスへの入力は以下のとおりであり、
b11 現在ピクチャの左上ルーマサンプルに対する現在ルーマコーディングブロックの左上サンプルのルーマ位置(xCb,yCb)、
b12 ルーマサンプルにおける現在のコーディングブロックの幅を指定する変数cbWidth、
b13 ルーマサンプルにおける現在のコーディングブロックの高さを指定する変数cbHeight、
b2 このプロセスの出力は以下のとおりであり、
b21 1/16分数サンプル精度のルーマ動きベクトルmvL0[0][0]およびmvL1[0][0]、
b22 参照インデックスrefIdxL0およびrefIdxL1、
b23 予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]、
b24 双予測重みインデックスgbiIdx、
c merge_flag[xCb][yCb]が1に等しい場合、マージモードのためのルーマ動きベクトルのための導出プロセスは、ルーマ位置(xCb,yCb)と、変数cbWidthおよびcbHeightを入力として用いて呼び出され、出力は、ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]、mvL1[0][0]、参照インデックスrefIdxL0、refIdxL1と、予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]と、双予測重みインデックスgbiIdxであり、
d 以下の条件のすべてが真である場合、refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定され、gbiIdxは0に等しく設定され、
d1 predFlagL0[0][0]は1に等しい、
d2 predFlagL1[0][0]は1に等しい、
d3 cbWidthは4に等しい、
d4 cbHeightは4に等しい、
e 履歴ベースの動きベクトル予測子リストのための更新プロセスは、ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]およびmvL1[0][0]、参照インデックスrefIdxL0およびrefIdxL1、予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]、ならびに双予測重みインデックスgbiIdxを用いて呼び出される、
a プロセス。
2 引用文献2
引用文献2には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
(1)「8.5.3.2.1 Derivation process for luma motion vectors for merge mode
…
Inputs to this process are:
…
- two variables nPbW and nPbH specifying the width and the height of the luma prediction block,
…
nOrigPbW = nPbW (8-80)
nOrigPbH = nPbH (8-81)」(第116頁)
(当審による仮訳:
8.5.3.2.1 マージモードのためのルーマ動きベクトルの導出プロセス
…
このプロセスへの入力は次のとおりである:
…
- ルーマ予測ブロックの幅および高さを指定する2つの変数nPbWおよびnPbH
…
nOrigPbW=nPbW (8-80)
nOrigPbH=nPbH (8-81))
(2)「10. When predFlagL0 is equal to 1 and predFlagL1 is equal to 1, and ( nOrigPbW + nOrigPbH ) is equal to 12, the following applies:
refIdxL1 = -1 (8-96)
predFlagL1 = 0 (8-97)」(第118頁)
(当審による仮訳:
10. predFlagL0が1に等しく、predFlagL1が1に等しく、( nOrigPbW + nOrigPbH )が12に等しいとき、以下が適用される:
refIdxL1=-1 (8-96)
predFlagL1=0 (8-97))
(3)上記(1)、(2)の摘記事項を総合すると、引用文献2には以下の技術事項(以下、「文献2技術事項」という。)が記載されているといえる。
(文献2技術事項)
「マージモードのためのルーマ動きベクトルの導出プロセスにおいて、
このプロセスへの入力は次のとおりであり、
ルーマ予測ブロックの幅および高さを指定する2つの変数nPbWおよびnPbH、
nOrigPbW=nPbW、
nOrigPbH=nPbHであり、
predFlagL0が1に等しく、predFlagL1が1に等しく、( nOrigPbW + nOrigPbH )が12に等しいとき、以下が適用される、
refIdxL1=-1、
predFlagL1=0、
技術事項。」
3 引用文献3
H.265/HEVCについての技術常識を示す文献として引用する引用文献3(大久保榮,「H.265/HEVC教科書」,初版,株式会社インプレスジャパン,2013年10月21日,p.108-112,138)には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
(1)「5.1 H.265/HEVCの符号化単位(CTU、CU、PU、TU)
1 H.265/HEVCの符号化単位の特徴
H.265/HEVCは、H.264/AVCよりも符号化処理の自由度を高めるために、次の4つの処理単位をブロック分割に導入しています。
(1) ピクチャを分割するCTU (Coding Tree Unit、符号化ツリーユニット)
(2) CTUを再帰的(注1)に分割するCU (Coding Unit、符号化ユニット)
(3) CUを予測処理用に分割するPU (Prediction Unit、予測ユニット)
(4) CUを変換処理用に分割するTU (Transform Unit、変換ユニット)」(第108頁)
(2)「
[図:0001433508000001.jpg]
」(第108頁)
(3)「2 ピクチャのCTU(符号化ツリーユニット)分割
図5-1のように、ピクチャは、左上から右下に向かってラスタ・スキャン(画面内で左上から右下へと並んだ順序)で処理される、固定ブロックサイズのCTUに分割されます。CTUのサイズは、次に示すシーケンス・パラメータセットのシンタックス要素に基づいて、16の倍数である16、32(=16×2)、あるいは64(=16×4)のいずれかに設定できます。」(第109頁)
(4)「3 CU(符号化ユニット)分割
各CTUは、再帰的な四分木ブロック分割(四分木:各ノードが4つの枝に分岐されたツリー構造)に基づいて可変サイズのCUに分割されます。 CTUを分割しない場合、CTUがそのままCUとなるため、CTUのサイズがCUの最大サイズmaxCUSizeとなります。なお、最大サイズのCUと最小サイズのCUは、それぞれ、LCU (Largest Coding Unit、最大符号化ユニット)とSCU (Smallest Coding Unit、最小符号化ユニット)と呼ばれます。
図5-2(1)は、LCUとSCUのブロックサイズがそれぞれ64×64画素と8×8画素であるときの、CTUのCU分割例を示しています。図5-2において、(2)はCU分割例のCU分割構造に対応する階層ブロック構造を示し、(3)は階層ブロック構造に対応する四分木構造を示しています。CUの各階層に四分木のノードを対応づけることによって、CTUのCU分割構造を四分木で表現できることがわかります。」(第109~110頁)
(5)「
[図:0001433508000002.jpg]
」(第110頁)
(6)「4 PU(予測ユニット)の分割形状
イントラ符号化/インター符号化の基本単位であるCU(符号化ユニット)は、さらに予測処理のためにPUに分割されます。 H.265/HEVCでは、図5-3に示すように、イントラCU (5.2節の画面内予測に基づいて符号化されたCU)に対しては2つのPU分割形状が定義され、インターCU (5.3節の画面間予測に基づいて符号化されたCU)に対しては8つのPU分割形状が定義されています。
…
インターCUでは、2N×2N、2N×N、N×2N、2N×nU、2N×nD、nL×2N、nR×2N、もしくはN×NのPU分割形状を利用できます。このうち、インターCUを異なる大きさの2つのPUに分割する2N×nU、2N×nD、nL×2N、およびnR×2NのPU分割形状は、AMP (Asymmetric Motion Partitioning、非対称動き分割)が有効化されている場合、SCU以外のインターCUで利用できます。ただし、これらのPU分割形状名のnU、nD、nL、およびnRは、小さいほうのPUが同CU内で上、下、左、右にそれぞれ位置することを示しています。また、N×NのPU分割形状は、最小CUサイズが16以上の場合にのみ、SCUのインターCUで利用できます。なお、インターCUに対するN×NのPU分割形状の制約からわかるように、H.265/HEVCではH.264/AVCと異なり、インター符号化の4×4PUは存在しません。動き補償のメモリ帯域の最悪値を最小化するためです。同様の理由で、4×8と8×4の双方向予測PUも存在しません。」(第110~112頁)
(7)「
[図:0001433508000003.jpg]
」(第111頁)
(8)「[5] 小ブロック双方向予測制限
動き補償時のメモリバンド幅削減のために、H.265/HEVCでは小ブロック(8×4/4×8PU)の双方向予測を禁止しています。適応動きベクトル予測符号化では、双方向予測の指定を禁止することで小ブロックの双方向予測を制限します。また、後述するマージ符号化においては、導出したマージ候補が双方向予測モードの場合には、参照画像リストL1の動き情報を無視することによって、L0片方向予測への動き情報変換が行われます。」(第138頁)
第5 対比
以下、本願発明と引用発明を対比する。
1 構成Aについて
引用発明の構成a~a2によれば、構成aの「一般復号プロセス」は、構成a1の「ビットストリーム」に対して復号のプロセスを行うことにより、構成a2の「復号されたピクチャのリスト」を出力するといえる。
そして、構成a2の「復号されたピクチャのリスト」はビデオといえるから、構成a1の「ビットストリーム」は、ビデオのデータであるといえ、これらの「復号されたピクチャのリスト」及び「ビットストリーム」は、構成Aの「ビデオデータ」に相当する。
よって、引用発明の構成a~a2の「一般復号プロセス」は、構成Aの「ビデオデータを処理する方法」に相当する。
2 構成Bについて
引用発明の構成b11の「現在ルーマコーディングブロック」は、構成Bの「ビデオの現在のブロック」に相当する。
また、引用発明の構成cの「ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]、mvL1[0][0]」は、2つの動きベクトルからなるセットといえるから、構成Bの「第1動きベクトルセット」に相当する。
また、引用発明の構成cの「merge_flag[xCb][yCb]が1に等しい場合、マージモードのためのルーマ動きベクトルのための導出プロセスは、ルーマ位置(xCb,yCb)と、変数cbWidthおよびcbHeightを入力として用いて呼び出され、出力は、ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]、mvL1[0][0]、参照インデックスrefIdxL0、refIdxL1と、予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]と、双予測重みインデックスgbiIdxである」、ということは、「現在ルーマコーディングブロック」について、「ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]、mvL1[0][0]」を決定することといえる。
よって、引用発明の構成cは、構成Bの「ビデオの現在のブロックについて第1動きベクトルセットを決定するステップ」に相当する。
3 構成C~C3について
構成d~d4によれば、引用発明では、「predFlagL0[0][0]は1に等しい」(構成d1)、「predFlagL1[0][0]は1に等しい」(構成d2)、「cbWidthは4に等しい」(構成d3)、「cbHeightは4に等しい」(構成d4)という条件がすべて真である場合に、refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定されている(構成d)。
そして、引用発明において、構成d1~d4の条件がすべて真であることは、構成Cの「前記現在のブロックが条件を満足すること」に相当する。
また、引用発明において、構成d1~d4の条件が、「cbWidthは4に等しい」(構成d3)、「cbHeightは4に等しい」(構成d4)という条件を有していることは、構成Cの「前記条件は、前記現在のブロックのルーマ成分のサイズが予め定義されたサイズと同じであることを有する」ということに相当する。
ただし、「cbWidthは4に等しい」(構成d3)、「cbHeightは4に等しい」(構成d4)という条件が真であることは、予め定義されたサイズが、4×4であることといえ、予め定義されたサイズが、8×4又は4×8、のうちの少なくとも1つであるとはいえない。
また、引用発明において、「predFlagL0[0][0]は1に等しい」(構成d1)、「predFlagL1[0][0]は1に等しい」(構成d2)という条件が真であることは、参照ピクチャリストL0及び参照ピクチャリストL1が使用されることといえる。
ここで、動画像符号化の分野における技術常識を考慮すると、参照ピクチャリストL0及び参照ピクチャリストL1が使用される場合には、参照ピクチャリストL0内の、refIdxL0で指定される参照ピクチャを参照する動きベクトルであるmvL0[0][0]、および、参照ピクチャリストL1内の、refIdxL1で指定される参照ピクチャを参照する動きベクトルであるmvL1[0][0]が使用されるといえ、これらのmvL0[0][0]及びmvL1[0][0]は、双方向の動き情報といえる。
そして、当該mvL0[0][0]は、構成C2の「第1予測方向のための第1参照ピクチャリスト内の第1参照ピクチャを参照する第1動きベクトル」に相当し、当該mvL1[0][0]は、構成C2の「第2予測方向のための第2参照ピクチャリスト内の第2参照ピクチャを参照する第2動きベクトル」に相当する。
よって、引用発明において、「predFlagL0[0][0]は1に等しい」(構成d1)、「predFlagL1[0][0]は1に等しい」(構成d2)という条件が真であることは、構成C2の「前記現在のブロックが、双方向動き情報に関連すると決定され、前記第1動きベクトルセットが、第1予測方向のための第1参照ピクチャリスト内の第1参照ピクチャを参照する第1動きベクトルと、第2予測方向のための第2参照ピクチャリスト内の第2参照ピクチャを参照する第2動きベクトルとを有する場合」に相当する。
また、引用発明において、「refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定される」(構成d)ということは、参照ピクチャリストL1を使用しないようにすることといえる。
また、動画像符号化の分野における技術常識を考慮すると、参照ピクチャリストL1を使用しないようにすることは、mvL1[0][0]を使用しないようにすることといえ、これにより、mvL0[0][0]とmvL1[0][0]からなる動きベクトルのセットは、mvL0[0][0]のみからなる動きベクトルのセットに変更されるといえる。
また、mvL0[0][0]とmvL1[0][0]からなる動きベクトルのセットが、mvL0[0][0]のみからなる動きベクトルのセットに変更されることは、mvL0[0][0]とmvL1[0][0]のうちの一方であるmvL1[0][0]が捨てられることといえる。
そして、当該mvL0[0][0]は、一の方向のみを指し示す動きベクトルであるから、構成C2の「一方向動きベクトル」に相当し、当該mvL0[0][0]のみからなる動きベクトルのセットは、構成Cの「第2動きベクトルセット」に相当する。
よって、引用発明において、「refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定される」(構成d)ということは、構成Cの「前記第1動きベクトルセットを第2動きベクトルセットに変更するステップ」、及び、構成C2の「前記第1動きベクトルセット内の動きベクトルを一方向動きベクトルに変換すること」、及び、構成C3の「前記第1予測方向又は前記第2予測方向のうちの一方の動き情報は、捨てられる」ことに相当する。
以上によれば、本願発明と引用発明は、構成C、C2、C3を備える点で一致する。
しかしながら、「前記予め定義されたサイズ」が、本願発明では「8×4又は4×8、のうちの少なくとも1つ」である(構成C1)のに対し、引用発明では「4×4」である点で、両発明は相違する。
4 構成D、Eについて
引用発明の構成a~a2によれば、構成aの「一般復号プロセス」は、構成a1の「ビットストリーム」に対して復号のプロセスを行うことにより、構成a2の「復号されたピクチャのリスト」を出力するといえ、また、構成b11によれば、「現在ピクチャ」は、「現在ルーマコーディングブロック」を含むといえるから、引用発明は、「ビットストリーム」に対して、「一般復号プロセス」を行うことにより、「現在コーディングブロック」を出力するといえる。
また、引用発明は、構成dにより「refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定され」という事項を行った後に、構成eの「履歴ベースの動きベクトル予測子リストのための更新プロセスは、ルーマ動きベクトルmvL0[0][0]およびmvL1[0][0]、参照インデックスrefIdxL0およびrefIdxL1、予測リスト利用フラグpredFlagL0[0][0]およびpredFlagL1[0][0]、ならびに双予測重みインデックスgbiIdxを用いて呼び出される」という事項を行うものである。
そして、上記3で述べたとおり、引用発明において、「refIdxL1は-1に等しく設定され、predFlagL1は0に等しく設定され」た後の、mvL0[0][0]のみからなる動きベクトルのセットは、「第2動きベクトルセット」に相当するから、引用発明の構成eは、構成Eの「前記第2動きベクトルセットは、動きベクトル予測履歴テーブルを更新するために使用され」ることに相当する。
また、上述のとおり、引用発明は、構成eを含む「一般復号プロセス」(構成a)であるから、第2動きベクトルセットに基づいた復号プロセスを実行するものといえ、引用発明は、構成Dの「前記第2動きベクトルセットに基づいて前記現在のブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の変換を実行するステップ」を有するといえる。
5 まとめ
以上によれば、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A ビデオデータを処理する方法であって、
B ビデオの現在のブロックについて第1動きベクトルセットを決定するステップと、
C 前記現在のブロックが条件を満足することに応答して、前記第1動きベクトルセットを第2動きベクトルセットに変更するステップであり、前記条件は、前記現在のブロックのルーマ成分のサイズが予め定義されたサイズと同じであることを有する、前記変更するステップと、
D 前記第2動きベクトルセットに基づいて前記現在のブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の変換を実行するステップと
を有し、
E 前記第2動きベクトルセットは、動きベクトル予測履歴テーブルを更新するために使用され、
C 前記第1動きベクトルセットを変更することは、
C2 前記現在のブロックが、双方向動き情報に関連すると決定され、前記第1動きベクトルセットが、第1予測方向のための第1参照ピクチャリスト内の第1参照ピクチャを参照する第1動きベクトルと、第2予測方向のための第2参照ピクチャリスト内の第2参照ピクチャを参照する第2動きベクトルとを有する場合に、前記第1動きベクトルセット内の動きベクトルを一方向動きベクトルに変換することを有し、
C3 前記第1予測方向又は前記第2予測方向のうちの一方の動き情報は、捨てられる、
A 方法。
(相違点)
「前記予め定義されたサイズ」が、本願発明では「8×4又は4×8、のうちの少なくとも1つ」である(構成C1)のに対し、引用発明では「4×4」である点。
第6 判断
以下、上記相違点について検討する。
引用文献2には、上記第4の2(3)で述べたとおりの文献2技術事項が記載されている。
そして、文献2技術事項では、predFlagL0が1に等しく、predFlagL1が1に等しく、( nOrigPbW + nOrigPbH )が12に等しいとき、「refIdxL1=-1」、「predFlagL1=0」とされている。
また、文献2技術事項では、nOrigPbWはルーマ予測ブロックの幅であり、nOrigPbHはルーマ予測ブロックの高さである。
ここで、引用文献2はH.265/HEVCの規格書であるから、以下、H.265/HEVCについての技術常識を示す文献である引用文献3を参照して、H.265/HEVCにおけるPU(予測ユニット)の幅及び高さが取り得る値について検討する。
上記第4の3(1)の記載によれば、H.265/HEVCは、CTU(符号化ツリーユニット)、CU(符号化ユニット)、PU(予測ユニット)、TU(変換ユニット)という4つの処理単位をブロック分割に導入しているといえる。
また、上記第4の3(3)の記載によれば、CTUのサイズは、16の倍数である16、32、あるいは64のいずれかに設定できる。
また、上記第4の3(4)、(5)、(2)の記載によれば、各CTUは、再帰的な四分木ブロック分割に基づいて可変サイズのCUに分割され、各CUは正方形であり、符号化ユニット(CU)は最大64×64、最小8×8であるといえる。
また、上記第4の(6)、(7)の記載によれば、インターCUでは、2N×2N、2N×N、N×2N、2N×nU、2N×nD、nL×2N、nR×2N、もしくはN×NのPU分割形状を利用でき、このうち、インターCUを異なる大きさの2つのPUに分割する2N×nU、2N×nD、nL×2N、およびnR×2NのPU分割形状は、AMPが有効化されている場合、SCU以外のインターCUで利用できるといえる。
また、上記第4の3(2)の記載によれば、予測ユニット(PU)は最大64×64、最小4×4であるといえる。
以上によれば、H.265/HEVCにおいて、CUが取り得るサイズは、64×64、32×32、16×16、8×8のいずれかであるといえる。
そして、AMPが有効化されていない場合には、インターCUでは、2N×2N、2N×N、N×2N、もしくはN×NのPU分割形状を利用できるといえ、この場合、PUの幅及び高さは、CUの幅及び高さと等しいか、または、その半分になるといえる。そして、PUは最大64×64、最小4×4であるから、PUの幅及び高さが取り得る値は、64、32、16、8、4のいずれかであるといえる。
また、AMPが有効化されている場合、2N×nU、2N×nD、nL×2N、およびnR×2NのPU分割形状は、SCU以外のインターCUで利用できる。ここで、H.265/HEVCにおいて規格上許されるCUの最小サイズは8×8なのであるから、SCUが取り得る最小のサイズも8×8である。よって、2N×nU、2N×nD、nL×2N、およびnR×2NのPU分割形状は、16×16以上のインターCUで利用できるといえる。そうすると、これらのPU分割形状を用いた場合のPUの幅又は高さの少なくともいずれか一方は16以上になるといえるから、AMPが有効化されている場合には、PUの幅と高さの和は必ず16よりも大きくなり、12にはなり得ない。
以上によれば、H.265/HEVCにおいて、PUの幅と高さの和が12に等しくなるのは、PUのサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つである場合のみといえるから、文献2技術事項の「( nOrigPbW + nOrigPbH )が12に等しい」という条件は、ブロックのサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つであることを意味しているといえる。
また、このことは、上記第4の3(8)の、「動き補償時のメモリバンド幅削減のために、H.265/HEVCでは小ブロック(8×4/4×8PU)の双方向予測を禁止しています。」、「また、後述するマージ符号化においては、導出したマージ候補が双方向予測モードの場合には、参照画像リストL1の動き情報を無視することによって、L0片方向予測への動き情報変換が行われます。」という記載とも整合するものである。
よって、文献2技術事項は、ブロックのサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つである場合に、「refIdxL1=-1」、「predFlagL1=0」とするものといえる。
そして、引用発明は、H.265/HEVCの後継の規格であるVVCに関するものであるから、その規格の検討に当たって、H.265/HEVCに関するものである文献2技術事項を参照することは、当業者が通常行うことであり、かつ、引用発明と文献2技術事項は、いずれも、マージモードにより動きベクトルセットを導出する際に、「refIdxL1=-1」、「predFlagL1=0」とする(すなわち、第1動きベクトルセット内の動きベクトルを一方向動きベクトルに変換する)ための条件を定めるものであるという点で共通するから、引用発明において、文献2技術事項を採用し、「前記予め定義されたサイズ」を「8×4又は4×8、のうちの少なくとも1つ」とすることにより、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、本願発明は、引用発明及び文献2技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 請求人の主張について
請求人は、令和7年8月27日提出の意見書において、以下の主張を行っている。
「引用文献2の第118頁を参照しますと、(nOrigPbW+nOrigPbH)が12に等しいことが単に述べられているだけであり、nOrigPbW及びnOrigPbHの夫々の具体的な値は開示されていません。従って、nOrigPbW及びnOrigPbHの夫々がとり得る値は、(nOrigPbW+nOrigPbH)が12に等しい限りにおいて、複数存在します。例えば、nOrigPbWが2であり、nOrigPbHが10である可能性があり、これも、(nOrigPbW+nOrigPbH)が12に等しいという条件を満たします。別の例では、nOrigPbWが6であり、nOrigPbHが6である可能性があり、これも、(nOrigPbW+nOrigPbH)が12に等しいという条件を満たします。nOrigPbW及びnOrigPbHは別の値をとる可能性もありますが、ここでは1つ1つ列挙しません。
従って、引用文献2に記載されている「(nOrigPbW+nOrigPbH)が12に等しい」という条件は、請求項1に記載される、現在ブロックのルーマブロックの予め定義されたサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つであるという条件と同等ではありません。当業者は、引用文献2の条件に基づいて、現在ブロックのルーマブロックの予め定義されたサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つであるという条件を得ることはできません。
以上のことから、引用文献2には、請求項1に記載されている、「前記現在のブロックが条件を満足することに応答して、前記第1動きベクトルセットを第2動きベクトルセットに変更するステップであり、前記条件は、前記現在のブロックのルーマ成分のサイズが予め定義されたサイズと同じであることを有する、前記変更するステップ」を有し、「前記予め定義されたサイズは、8×4又は4×8、のうちの少なくとも1つであ」るという特徴事項が開示も示唆もされていません。
請求項1に記載されている上記の特徴によれば、請求項1に係る発明は、ビデオコーディングのコーディング効率を向上させる一方で、計算複雑性を低減することができるという有利な効果を達成することができます。
然るに、請求項1に係る発明によって実際に解決される技術的課題は、符号化及び復号化の効率をいかにして向上させるか、及び計算複雑性をいかにして低減させるかです。これらの技術的課題は引用文献1、2にも存在していますが、引用文献1、2は、技術的課題を解決するための技術的解決策を開示も教示もしていません。引用文献1、2に開示されている内容に基づいて、上記の技術的課題を発見し、上記の技術的課題を解決するための技術的解決策を探索するには、いずれも当業者の創造的な作業が必要になります。
従って、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではありません。」
しかしながら、上記第6で述べたとおり、H.265/HEVCにおいて、PUの幅と高さの和が12に等しくなるのは、PUのサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つである場合のみといえるから、文献2技術事項の「( nOrigPbW + nOrigPbH )が12に等しい」という条件は、ブロックのサイズが8×4又は4×8のうちの少なくとも1つであることを意味しているといえ、相違点の構成は引用文献2に開示されているといえる。
また、「ビデオコーディングのコーディング効率を向上させる一方で、計算複雑性を低減することができる」という効果は、文献2技術事項の採用により当然に得られる効果であって、当業者が予測し得る範囲内のものであるから、格別有利な効果とはいえない。
よって、請求人の主張は採用することができない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-004520