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特許拒絶査定不服審判

2024-004363

区画貫通処理構造、区画貫通処理部材及び区画貫通処理方法

審判番号
2024-004363
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-048377
請求日
2024年03月12日
審決日
2024年06月18日
公報発行日
2024年07月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】積水化学工業株式会社
  • 【請求人代理人】田口 昌浩
審判長/審判官
  • 審判長 河端 賢
  • 審判官 八木 誠
  • 審判官 倉橋 紀夫
分類
P18 .113-WY (A62C) / P18 .121-WY (A62C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
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特願2020-48377号「区画貫通処理構造、区画貫通処理部材及び区画貫通処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年9月27日出願公開、特開2021-145868号、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年3月18日の出願であって、令和5年8月8日付け(発送日:同年8月15日)で拒絶理由通知がされ、同年10月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年12月19日付け(発送日:同年12月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和6年3月12日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、同年4月23日に前置報告がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は以下のとおりである。 (理由1)この出願の下記請求項に係る発明は、この出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (理由2)本願の下記請求項に係る発明は、この出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・理由1、2について ・請求項 7 ・引用文献 1 ・理由2について ・請求項 7 ・引用文献 2、3 引用文献1:特開2016-171964号公報 引用文献2:特開2007-312599号公報 引用文献3:特開2018-53986号公報 第3 本願発明 本願の請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明8」といい、まとめて「本願発明」ともいう。)は、令和6年3月12日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造であって、 前記区画貫通部にスリーブ状で挿入され、前記区画貫通部の開口と接する挿通部材と、 前記挿通部材の少なくとも一端部側、及び前記仕切り部に接し、前記挿通部材の位置を固定する係止部材と、 前記挿通部材の少なくとも一端部側に設けられ、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間隙を覆うシート状の包覆部とを備え、 前記挿通部材はシート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることでスリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能なものであり、 前記係止部材が、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆っている、区画貫通処理構造。 【請求項2】 前記包覆部が、前記挿通体の軸方向の動きに対する裕度を持って固定される、請求項1に記載の区画貫通処理構造。 【請求項3】 前記包覆部が、外側から巻き付けられた紐状部材又は粘着テープ、及び、内側に配置された粘着層又は耐火材の少なくともいずれかによって前記挿通体に固定される、請求項1又は2に記載の区画貫通処理構造。 【請求項4】 前記係止部材が、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙に入っている、請求項1~3のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。 【請求項5】 前記係止部材が、前記仕切り部及び前記挿通部材の両端部側に接している、請求項1~4のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。 【請求項6】 前記係止部材が、耐火材、発泡体、パテ材及びコーキング材からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の区画貫通処理構造。 【請求項7】 建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材であって、 シート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることでスリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能な挿通部材と、 前記仕切り部における前記挿通部材の位置を固定するとともに、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆うための係止部材と、 前記仕切り部に設けられる貫通孔と前記挿通体との間隙を覆うためのシート状の包覆部とを備える、区画貫通処理部材。 【請求項8】 建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理方法であって、 請求項1~6いずれか1項に記載の区画貫通処理構造及び請求項7に記載の区画貫通処理部材の少なくともいずれかを前記区画貫通部に設ける工程を含む区画貫通処理方法。」 第4 引用文献の記載事項等 1 引用文献1について (1)記載事項 引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されていると認められる(下線は当審が付与。以下同様。)。 「【0018】 次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る冷媒配管系の防火区画貫通部に設置される耐火キャップの脱落防止装置(以下「脱落防止装置」という)について説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る脱落防止装置が防火区画貫通部に設置されている状態を示した断面図、図2は図1の脱落防止装置を天井隠蔽側から見た斜視図である。 【0019】 図1において耐火壁の右側が機械室などの露出側、左側が天井隠蔽側(天井は図示せず)である。耐火壁には貫通穴が設けられており、冷媒配管系(冷媒管、ドレン管、渡り配線)が貫通穴を貫通している。冷媒管はフロン冷媒が流通する配管でガス管と液管とからなり、室外機と室内機とを連結して冷凍サイクルを形成する。ドレン管は、室内機の蒸発器表面から凝縮水として生じるドレンを雑排水などに導く管である。渡り配線は、室外機と室内機との間の制御信号をやり取りする弱電配線である。冷媒管及びドレン管内を流れる流体が低温である場合があり、配管表面での結露を防止するため保温が必要である。通常冷媒配管は空調用冷媒管用被覆銅管を用いることが多く、本実施例でもこれを用いて安価で簡便な施工としている。以降、耐火性躯体を壁として論じていくが、床であってもよい。床の場合には、下の階側を天井隠蔽側と読みかえればよい。 【0020】 冷媒配管系の各管は、タッピングビス14によって貫通穴の端面である入口と出口にそれぞれ固定されるドーナツ状の底板を有する底板支持金具12により、貫通穴との隙間を概略閉鎖できるように、かつ貫通穴と冷媒配管系の側面との間隔を概略均等に保持できるように位置規制されている。その貫通穴と冷媒配管系の側面との間隔の一部、底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間には、熱膨張性耐熱シール材16が充填され、底板支持金具12と底板アダプター12′で貫通穴内部にはみ出さないように支持されている。さらに、冷媒配管系の太さが細い場合には、充填された熱膨張性耐熱シール材16が脱落しないように、底板支持金具12の内径を小さくするため底板アダプター12′が底板支持金具12に取り付けられており、貫通穴の入口と出口は、耐火キャップ18によって被覆されている。貫通穴のこのような構造は、上述の耐火キャップ式認定工法によって施工されたものである。 【0021】 図1において全体として参照符号20で示される本発明の好ましい実施の形態に係る脱落防止装置は、耐火壁の天井隠蔽側の貫通穴に取り付けられた耐火キャップ18を被覆するように配置されたラス網22を備えている。ラス網22は、市販のラス網を円形又は矩形に切り取り、中央に冷媒配管系の貫通する開口22aを設けたものが使用される。ラス網22は、防錆を考慮して、ビニル被覆されたものを用いるのが好ましい。」 「【図1】 [図:0001412250000001.jpg] 」 (2)認定事項 ア 【0018】及び【0019】の記載並びに図1の図示内容によれば、防火区画貫通部は、耐火壁に形成され、内部に冷媒配管系が貫通される貫通穴が設けられたものであると認められ、【0020】も参照すると、防火区画貫通部に用いられる部材は、底板支持金具12と底板アダプター12′と熱膨張性耐熱シール材16と耐火キャップ18とを備えることが認められる。 イ 【0020】の記載及び図1の図示内容によれば、耐火キャップ18はシート状であることが認められ、熱膨張性耐熱シール材16は、底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されることで、スリーブ状に形成されることが認められ、底板支持金具12と底板アダプター12′は、貫通穴と熱膨張性耐熱シール材16の隙間を覆うことが認められる。 (3)引用発明1-1 上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。 「耐火壁に形成され、内部に冷媒配管系が貫通される貫通穴が設けられた防火区画貫通部に用いる部材であって、 貫通穴の端面である入口と出口にそれぞれ固定される底板支持金具12と、 底板支持金具12に取り付けられた底板アダプター12′と、 底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されることで、スリーブ状に形成される熱膨張性耐熱シール材16と、 貫通穴の入り口と出口を被覆するシート状の耐火キャップ18とを備え、 底板支持金具12と底板アダプター12′は熱膨張性耐熱シール材16を支持し、貫通穴と熱膨張性耐熱シール材16の隙間を覆う、防火区画貫通部に用いられる部材。」 2 引用文献2について (1)記載事項 引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【実施例1】 【0031】 [第1試験] 【0032】 図1は防火区画体貫通部構造を示す。図1において、10は防火区画体であるコンクリート壁であり、このコンクリート壁10にケーブル用貫通孔11が設けられている。このケーブル用貫通孔11には電線管であるスリーブ12が貫装されている。スリーブ12の両端部には後述するケーブル14を保護するブッシング13,13が施されている。 【0033】 ブッシング13,13は、樹脂製や金属製のものであり、ケーブル14が動いた際にスリーブ12の端部でケーブル14を傷つけないようにするためのものである。 【0034】 スリーブ12は金属製で耐火性を有しており、スリーブ12内には複数のケーブル14,14,・・・が挿通されている。そして、スリーブ12の一端(図1において右端)のブッシング13の外周面がケーブル14,14,・・・とともに熱膨張性シート20で巻回されており、スリーブ12の一端とケーブル14,14との間の隙間が熱膨張性シート20により覆われている。すなわち、スリーブ12の一端が熱膨張性シート20でケーブル14,14,・・・とともに巻回されている。 【0035】 熱膨張性シート20は、押さえ部材としての針金16によってケーブル14,14,・・・に固定されている。この固定は、熱膨張性シート20がケーブル14,14,・・・に接触する部分を固定すれば十分である。」 「【図1】 [図:0001412250000002.jpg] 」 (2)認定事項 ア 【0032】及び【0034】の記載並びに図1の図示内容によれば、防火区画体貫通部構造は、コンクリート壁10に形成され、内部に複数のケーブル14が挿通されるケーブル用貫通孔11が設けられたものであると認められ、防火区画体貫通部構造に用いられる部材は、スリーブ12とブッシング13と熱膨張性シート20とを備えることが認められる。 イ 【0034】及び【0035】の記載によれば、熱膨張シート20は、スリーブ12の一端を複数のケーブル14とともに巻回し、針金16によって複数のケーブルに固定されることで、スリーブ12の一端と複数のケーブル14との間の隙間を覆うことが認められる。 (3)引用発明2-1 上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2-1」という。)が記載されていると認められる。 「コンクリート壁10に形成され、内部に複数のケーブル14が挿通されるケーブル用貫通孔11が設けられた防火区画体貫通部構造に用いる部材であって、 スリーブ12と、 スリーブ12の両端部に施されたブッシング13と、 スリーブ12の一端を複数のケーブル14とともに巻回し、針金16によって複数のケーブルに固定されることで、スリーブ12の一端と複数のケーブル14との間の隙間を覆う熱膨張シート20とを備える、防火区画体貫通部構造に用いられる部材。」 3 引用文献3について (1)記載事項 引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0018】 (概略構成) はじめに、図1を参照して、本実施の形態に係る耐火用スリーブ1の概略構成について説明する。 【0019】 耐火用スリーブ1は、建物の防火区画となる壁9の貫通孔90に挿通される。壁9は、たとえば集合住宅の界壁であり、第1空間91と第2空間92とを仕切る区画体である。貫通孔90の直径はたとえば100mm程度である。 【0020】 耐火用スリーブ1は、貫通孔90に嵌め入れられる筒状部2と、筒状部2の両端縁に接続される一対のフランジ部31,32とで構成される。筒状部2の形状は略円筒状であり、フランジ部31,32の形状は略円環状である。 【0021】 筒状部2には、第1空間91から第2空間92に延びるケーブル部材81が収容される。また、筒状部2には、ケーブル部材81の周囲を取り囲むように熱膨張性耐熱パック(以下「耐熱パック」と略す)82が充填される。なお、「ケーブル部材」には、電気ケーブルだけでなく、配管部材も含まれる。 【0022】 フランジ部31は、第1空間91に面して配置され、筒状部2の一端に接続される。フランジ部32は、第2空間92に面して配置され、筒状部2の他端に接続される。図1には、筒状部2の一端側が矢印A1で示されている。フランジ部31,32はいずれも、筒状部2とは別体である。 【0023】 フランジ部31が筒状部2の一端に接続されることで、筒状部2の一端側の外周面と貫通孔90の内壁面との間に生じ得る微小な隙間が被覆される。同様に、フランジ部32が筒状部2の他端に接続されることで、筒状部2の他端側の外周面と貫通孔90の内壁面との間に生じ得る微小な隙間が被覆される。 【0024】 図2は、組立状態の耐火用スリーブ1を模式的に示す側面図であり、図3は、耐火用スリーブ1を分解して示す分解側面図である。 【0025】 本実施の形態において、筒状部2は、一端側のフランジ部31と接続する(第1の)筒体21と、他端側のフランジ部32と接続する(第2の)筒体22とで構成される。これらの筒体21,22は、伸縮可能に嵌め合わされる。つまり、筒体21,22の重ね度合を調整することで、筒状部2全体の軸方向長さLを調整することができる。これにより、筒状部2の軸方向長さLを、壁9の壁厚Lw(図1)に簡単に合わせることができる。」 「【図1】 [図:0001412250000003.jpg] 」 「【図2】 [図:0001412250000004.jpg] 」 (2)引用文献3技術 上記(1)を総合すると、引用文献3には、次の技術(以下「引用文献3技術」という。)が記載されていると認められる。 「建物の防火区画となる壁9の貫通孔90に挿通される耐火スリーブ1において、 貫通孔90に嵌め入れられる筒状部2と、筒状部2の両端縁に接続される一対のフランジ部31,32とで構成され、 一対のフランジ部31,32がそれぞれ筒状部2の端部に接続されることで、筒状部2の端部の外周面と貫通孔90の内壁面との間に生じ得る微小な隙間が被覆されること。」 4 その他の引用文献(引用文献4)について (1)記載事項 前置報告で引用された特開2009-197479号公報(以下「引用文献4」という)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、本発明を具体化した一実施形態を図1~図5にしたがって説明する。 図1に示すように、防火区画部としての防火中空壁Wは、複数本の軽量形鋼材10(図1では軽量形鋼材10を一本だけ図示)と、軽量形鋼材10を挟むようにして立設された区画部材としての複数対の間仕切り壁(石膏ボード)11とから構築されている。軽量形鋼材10を挟んで相対向する間仕切り壁11同士の間には空洞部12が形成されている。防火中空壁Wは、軽量形鋼材10の太さを変更し、防火中空壁Wの厚み方向に沿った空洞部12の幅を変更することにより、防火中空壁Wの厚さが変更されるようになっている。防火中空壁Wには、配線・配管材13を貫通させるための貫通孔14が、防火中空壁Wの厚み方向に貫通して形成されている。貫通孔14は、各間仕切り壁11に形成された円孔状の透孔11aと空洞部12とが、防火中空壁Wの厚み方向に繋がることで形成されている。」 「【0012】 図1及び図2に示すように、防火中空壁Wに形成される貫通部構造Tは、貫通孔14に配線・配管材13が挿通されるとともに、貫通孔14内における配線・配管材13の周囲に熱膨張性耐火材15が設けられ、さらに、熱膨張性耐火材15の外側に、スリーブとして機能するスリーブ形成シート20が配設されてなるものである。貫通部構造Tを形成する熱膨張性耐火材15は、直方体状に形成されている。そして、図1に示すように、熱膨張性耐火材15は、直方体状に形成されたブロック体15a全体が、四角箱状をなす熱膨張性耐熱材製の外装部材15b内に収容されて形成されている。すなわち、ブロック体15aは外装部材15bによって全体が包まれることにより、外装部材15bから脱落不能になっており、ブロック体15aと外装部材15bは分離不能に一体化されている。」 「【0015】 次に、スリーブ形成シート20について詳細に説明する。スリーブ形成シート20全体は、火災等の発生時、熱膨張性耐火材15が膨張するまでの間に焼失してしまうことがないよう不燃性を有する非金属材料によって形成されている。本実施形態では、スリーブ形成シート20全体は、無機材料を主成分とするガラスクロス(ガラス繊維製の布)によって形成されている。スリーブ形成シート20は、貫通孔14を形成する防火中空壁Wの周面としての間仕切り壁11の周壁面11bに沿って変形可能となるように可撓性を有している。また、スリーブ形成シート20は、貫通孔14内に配設された状態で多数の熱膨張性耐火材15を支持したとき、破れることがなく、熱膨張性耐火材15が膨張して押圧されても破れることがないように所要の強度を有している。 【0016】 図3に示すように、スリーブ形成シート20は、矩形シート状に形成されたシート本体21を備えるとともに、シート本体21の長辺方向に延びる両端縁に多数の位置決め片22を有する。・・・」 「【0022】 まず、厚さが100mmの防火中空壁Wに貫通部構造Tを形成する場合について説明する。 図4(a)及び図4(b)に示すように、スリーブ形成シート20におけるシート本体21を、間仕切り壁11の周壁面11bに沿うように円筒状に成形し、その成形したシート本体21を貫通孔14内に挿入し、配設する。このとき、シート本体21は可撓性を有するガラスクロスよりなるため、シート本体21を周壁面11bに沿うように成形する作業を容易に行うことができる。なお、シート本体21を成形する場合、位置決め片22の粘着面22a(剥離紙23)がスリーブ形成シート20の外周面に露出するように、シート本体21の成形向きを考慮する。また、スリーブ形成シート20(シート本体21)の長さL1を貫通孔14の周長に合わせ、スリーブ形成シート20における余長部を切断除去する。」 「【0024】 次いで、粘着面22aから剥離紙23を除去して粘着面22aを露出させるとともに、防火中空壁Wの両壁面11cから突出した位置決め片22を、各間仕切り壁11の壁面11cと、間仕切り壁11の周壁面11bとの境界から折り曲げる。このとき、位置決め片22は、その基端から折り曲げられることとなる。そして、折り曲げた位置決め片22の粘着面22aを間仕切り壁11の壁面11cに貼着(固着)する。すると、シート本体21が、周壁面11bに沿った状態で貫通孔14内に移動不能に位置決めされるとともに、シート本体21によって、貫通孔14に向けた空洞部12の開口全体が閉鎖される。」 「【0049】 ○ シート本体21の長辺方向に沿った一端縁のみに位置決め片22を形成してもよい。 ○ 位置決め片22の一面に粘着面22aを予め形成しておかず、シート本体21を位置決めする際、施工現場で位置決め片22に粘着剤を塗布して粘着面22aを形成してもよい。」 「【図1】 [図:0001412250000005.jpg] 」 「【図2】 [図:0001412250000006.jpg] 」 「【図4】 [図:0001412250000007.jpg] 」 (2)認定事項 ア 【0010】及び【0012】の記載によれば、貫通部構造Tは、間仕切り壁11を有する防火中空壁Wに形成され、内部に配線・配管材13が挿通される貫通孔14が形成されたものであると認められ、貫通部構造Tは、スリーブ形成シート20と熱膨張性耐火材15とを備えることが認められる。 イ 【0015】、【0016】及び【0022】の記載によれば、スリーブ形成シート20は、貫通孔14に円筒状で挿入され、貫通孔14を形成する周壁面11bに沿うシート本体21と、シート本体21の長辺方向に延びる両端縁に多数の位置決め片22を有することが認められる。 ウ 【0015】及び【0022】の記載によれば、シート本体21は、貫通孔14を形成する周壁面11bに沿うように円筒状に変形可能であることが認められる。 エ 【0024】の記載によれば、位置決め片22は、折り曲げて間仕切り壁11の壁面11cに固着し、シート本体21を貫通孔14内に移動不能に位置決めすることが認められる。 (3)引用発明4 上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 「間仕切り壁11を有する防火中空壁Wに形成され、内部に配線・配管材13が挿通される貫通孔14が形成された貫通部構造Tであって、 貫通孔14に円筒状で挿入され、貫通孔14を形成する周壁面11bに沿うシート本体21と、シート本体21の長辺方向に延びる両端縁に多数の位置決め片22を有するスリーブ形成シート20と、 貫通孔14内における配線・配管材13の周囲に設けられた熱膨張性耐火材15とを備え、 シート本体21は、貫通孔14を形成する周壁面11bに沿うように円筒状に変形可能であり、 位置決め片22は、折り曲げて間仕切り壁11の壁面11cに固着し、シート本体21を貫通孔14内に移動不能に位置決めする、貫通部構造T。」 第5 対比・判断 1 原査定(本願発明7)について (1)引用文献1を主引用文献にする場合 ア 対比 本願発明7と引用発明1-1とを対比すると、後者の「耐火壁」は、その構造や機能からみて、前者の「建築物の仕切り部」に相当し、以下同様に、「冷媒配管系」は「長尺の挿通体」に、「貫通される」ことは「挿通される」ことに、「貫通穴」は「貫通孔」に、「設けられた」ことは「形成された」ことに、「防火区画貫通部に用いられる部材」は「区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材」に、「底板支持金具12」及び「底板アダプター12′」は「係止部材」に、「熱膨張性耐熱シール材16」は「挿通部材」に、「シート状の耐火キャップ18」は「シート状の包覆部」に、それぞれ相当する。 後者の「耐火壁に形成され、内部に冷媒配管系が貫通される貫通穴が設けられた防火区画貫通部に用いる部材」は、前者の「建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材」に相当する。 後者の「熱膨張性耐熱シール材16」は、底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されることで、スリーブ状に形成されるために、貫通穴の大きさに合わせることが可能であるから、後者の「底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されることで、スリーブ状に形成される熱膨張性耐熱シール材16」は、前者の「シート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることでスリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能な挿通部材」と、「スリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能な挿通部材」という点で共通する。 後者の「耐火キャップ18」は、貫通穴の入り口と出口を被覆することで、貫通穴と冷媒配管系との隙間も覆うものであるから、後者の「貫通穴の入り口と出口を被覆するシート状の耐火キャップ18」は、前者の「前記仕切り部に設けられる貫通孔と前記挿通体との間隙を覆うためのシート状の包覆部」に相当する。 後者の「熱膨張性耐熱シール材16」は、底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されるものであることを勘案すると、後者の「熱膨張性耐熱シール材16を支持」することは、熱膨張性耐熱シール材16を耐火壁の貫通穴内の所定位置に支持することであるから、前者の「前記仕切り部における前記挿通部材の位置を固定する」ことに相当し、後者の「貫通穴と熱膨張性耐熱シール材16の隙間を覆う」ことは、前者の「前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆う」ことに相当する。よって、後者の「底板支持金具12と底板アダプター12′は熱膨張性耐熱シール材16を支持し、貫通穴と熱膨張性耐熱シール材16の隙間を覆う」ことは、前者の「前記仕切り部における前記挿通部材の位置を固定するとともに、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆うための係止部材」に相当する。 そうすると、本願発明7と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材であって、 スリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能な挿通部材と、 前記仕切り部における前記挿通部材の位置を固定するとともに、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆うための係止部材と、 前記仕切り部に設けられる貫通孔と前記挿通体との間隙を覆うためのシート状の包覆部とを備える、区画貫通処理部材。」 <相違点1-1> 挿通部材がスリーブ状に変形可能であることについて、本願発明7では、「シート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることで」なし得ているのに対し、引用発明1-1では、「底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されることで」なし得ている点。 イ 相違点についての判断 相違点1-1は実質的な相違点であるから、本願発明7は引用発明1-1ではない。 また、引用発明1-1において、熱膨張性耐熱シール材16は、底板支持金具12の貫通穴に沿った部位と各管側面との間に充填されることで、底板支持金具12と底板アダプター12′によって支持されるような形状になるものであり、これをシート状の部材に置き換えると、底板支持金具12と底板アダプター12′による支持がうまくいかなくなることは明らかであるから、熱膨張性耐熱シール材16をシート状の部材に置き換えることには、阻害要因があると認められる。 よって、引用発明1-1において、相違点1-1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 以上によれば、本願発明7は、引用発明1-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)引用文献2を主引用文献とする場合 ア 対比 本願発明7と引用発明2-1とを対比すると、後者の「コンクリート壁10」は、その構造や機能からみて、前者の「建築物の仕切り部」に相当し、以下同様に、「複数のケーブル14」は「長尺の挿通体」に、「ケーブル用貫通孔11」は「貫通孔」に、「防火区画体貫通部構造に用いる部材」は「区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材」に、「スリーブ12」は「挿通部材」に、「熱膨張シート20」は「シート状の包覆部」に、それぞれ相当する。 後者の「コンクリート壁10に形成され、内部に複数のケーブル14が挿通されるケーブル用貫通孔11が設けられた防火区画体貫通部構造に用いられる部材」は、前者の「建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材」に相当する。 後者の「熱膨張シート20」は、スリーブ12の一端と複数のケーブル14との間の隙間を覆うことで、ケーブル用貫通孔11と複数のケーブル14との間隙も覆うものであると認められるから、後者の「スリーブ12の一端を複数のケーブル14とともに巻回し、針金16によって複数のケーブルに固定されることで、スリーブ12の一端と複数のケーブル14との間の隙間を覆う熱膨張シート20」は、前者の「前記仕切り部に設けられる貫通孔と前記挿通体との間隙を覆うためのシート状の包覆部」に相当する。 そうすると、本願発明7と引用発明2-1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とするために用いる区画貫通処理部材であって、 挿通部材と、 前記仕切り部に設けられる貫通孔と前記挿通体との間隙を覆うためのシート状の包覆部とを備える、区画貫通処理部材。」 <相違点2-1> 挿通部材について、本願発明7では、「シート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることでスリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能」であるのに対し、引用発明2-1では、そのような特定はない点。 <相違点2-2> 本願発明7では、「前記仕切り部における前記挿通部材の位置を固定するとともに、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆うための係止部材」を備えるのに対し、引用発明2-1では、そのような構成は有しない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、まず相違点2-2について検討する。 相違点2-2に係る本願発明7の発明特定事項に関連して、引用文献3には、引用文献3技術(上記「第4 3(2)」)が記載されている。 本願発明7と引用文献3技術を対比すると、後者の「建物の防火区画となる壁9」は、前者の「建築物の仕切り部」に相当し、以下同様に、「貫通孔90」は「貫通孔」に、「耐火スリーブ1」は「区画貫通処理部材」に、「筒状部2」は「挿通部材」に、「フランジ部31,32」は「係止部材」に、「筒状部2の端部の外周面と貫通孔90の内壁面との間に生じ得る微小な隙間が被覆される」ことは「前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆う」ことに、それぞれ相当する。 よって、引用文献3技術を本願発明7の語句で表現すると、以下のとおりとなる。 「建築物の仕切り部の貫通孔に挿通される区画貫通処理部材において、 貫通孔に嵌め入れられる挿通部材と、挿通部材の両端縁に接続される一対の係止部材とで構成され、 一対の係止部材がそれぞれ挿通部材の端部に接続されることで前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆うこと。」 引用発明2-1のスリーブ12の両端縁は、防火区画体10のケーブル用貫通孔11から大きく突出しているから、仮に、引用文献3技術のフランジ部31,32を引用発明2-1のスリーブ12の両端縁に接続したところで、「前記仕切り部における前記挿通部材の位置を固定するとともに、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆う」という構成にはなり得ず、引用発明2-1に引用文献3技術を採用しても相違点2-2に係る本願発明7の発明特定事項にはならない。 以上によれば、相違点2-1を検討するまでもなく、本願発明7は、引用発明2-1及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 その他の本願発明について (1)引用文献1を主引用文献とする場合 ア 本願発明1について 引用文献1には、引用発明1-1を含む防火区画貫通部の構造(以下「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。 上記1(1)アを参照すると、本願発明1と引用発明1-2とには、少なくとも相違点1-1と実質的に同じ相違点があると認められるから、本願発明1は、上記1(1)イで説示したのと同様の理由により、引用発明1-2ではなく、また、引用発明1-2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 イ 本願発明2~6、8について 本願発明2~6は、本願発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記1(1)イ及び上記アで説示したのと同様の理由により、引用発明1-2ではなく、また、引用発明1-2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 また、本願発明8は、本願発明1又は7の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記1(1)イ及び上記アで説示したのと同様の理由により、引用発明1-2又は1-1ではなく、また、引用発明1-2又は1-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 (2)引用文献2を主引用文献とする場合 ア 本願発明1について 引用文献2には、引用発明2-1を含む防火区画体貫通部構造(以下「引用発明2-2」という。)が記載されていると認められる。 上記1(2)アを参照すると、本願発明1と引用発明2-2とには、少なくとも相違点2-2と実質的に同じ相違点があると認められるから、本願発明1は、上記1(2)イで説示したのと同様の理由により、引用発明2-2及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本願発明2-6、8について 本願発明2~6は、本願発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記1(2)イ及び上記アで説示したのと同様の理由により、引用発明2-2及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本願発明8は、本願発明1又は7の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記1(2)イ及び上記アで説示したのと同様の理由により、引用発明2-2又は2-1及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 前置報告について 1 前置報告の概要 前置報告の概要は以下のとおりである。 本願の下記請求項に係る発明は、この出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1 ・引用文献 4、2 引用文献4:特開2009-197479号公報 2 対比・判断 (1)対比 本願発明1と引用発明4(上記「第4 4(3)」参照。)とを対比すると、後者の「防火中空壁W」は、その構造や機能からみて。前者の「建築物の仕切り部」に相当し、以下同様に、「配線・配管材13」は「長尺の挿通体」に、「貫通孔14」は「貫通孔」及び「区画貫通部」に、「貫通部構造T」は「区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造」に、「円筒状」は「スリーブ状」に、「貫通孔14を形成する周壁面11b」は「区画貫通部の開口」に、「シート本体21」は「挿通部材」に、「位置決め片22」は「係止部材」に、「移動不能に位置決めする」ことは「位置を固定する」ことに、それぞれ相当する。 後者の「防火中空壁Wに形成され、内部に配線・配管材13が挿通される貫通孔14が形成された貫通部構造T」は、前者の「建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造」に相当し、後者の「貫通孔14に円筒状で挿入され、貫通孔14を形成する周壁面11bに沿うシート本体21」は、前者の「前記区画貫通部にスリーブ状で挿入され、前記区画貫通部の開口と接する挿通部材」に相当する。 後者の「シート本体21の長辺方向に延びる両端縁に多数の位置決め片22」は、位置決め片22がシート本体21の該両縁部に接続していることを表し、後者の「間仕切り壁11」は、防火中空壁Wの一部であって、後者の「間仕切り壁11の壁面11cに固着」することは、前者の「前記仕切り部に接」することに相当するから、後者の「シート本体21の長辺方向に延びる両端縁に多数の位置決め片22」及び「位置決め片22は、折り曲げて間仕切り壁11の壁面11cに固着し、シート本体21を貫通孔14内に移動不能に位置決めする」ことは、前者の「前記挿通部材の少なくとも一端部側、及び前記仕切り部に接し、前記挿通部材の位置を固定する係止部材」に相当する。 後者の「シート本体21は、貫通孔14を形成する周壁面11bに沿うように円筒状に変形可能であ」ることは、前者の「前記挿通部材はシート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることでスリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能なものであ」ることに相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明4との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される貫通孔が形成された区画貫通部を防火構造とする区画貫通処理構造であって、 前記区画貫通部にスリーブ状で挿入され、前記区画貫通部の開口と接する挿通部材と、 前記挿通部材の少なくとも一端部側、及び前記仕切り部に接し、前記挿通部材の位置を固定する係止部材と、 前記挿通部材の少なくとも一端部側に設けられ、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間隙を覆うシート状の包覆部とを備え、 前記挿通部材はシート状であり、その端部と端部とを向かい合わせることでスリーブ状に変形可能であるとともに、前記貫通孔の大きさに合わせて調整可能なものであり、 前記係止部材が、前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆っている、区画貫通処理構造。」 <相違点3-1> 本願発明1では、「前記挿通部材の少なくとも一端部側に設けられ、前記仕切り部に設けられる前記区画貫通部の開口と前記挿通体との間隙を覆うシート状の包覆部」を備えるのに対し、引用発明4では、「貫通孔14内における配線・配管材13の周囲に設けられた熱膨張性耐火材15」を備える点。 <相違点3-2> 係止部材について、本願発明1では、「前記仕切り部と前記挿通部材との間隙を覆っている」のに対し、引用発明4では、そのような構成があるのか不明である点。 (2)相違点についての判断 まず、相違点3-1について検討する。 本願発明1の「包覆部」は、挿通体の周りの隙間を覆って、火事の際の延焼を防ぐものであり、引用発明4では、「熱膨張性耐火材15」が同様の機能を持つものである。 そして、引用発明4に引用発明2を適用して、相違点3-1に係る本願発明1の発明特定事項とするためには、引用発明4の円筒状のシート本体21の一端に、引用発明2の「熱膨張シート20」を設ける必要があるが、引用発明4の円筒状のシート本体21の端部には位置決め片22があり、引用発明2の「熱膨張シート20」を設けることができず、引用文献4の【0049】に示唆されているように、引用発明4の円筒状のシート本体21の一端の位置決め片22を削除しても、引用文献4の図4に示されるように、その一端は防火中空壁Wから十分に突出した部分を形成するとは認められないから、引用発明4の円筒状のシート本体21の一端に、引用発明2の「熱膨張シート20」を設けることはできない。 よって、引用発明4に引用発明2を適用して、相違点3-1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 以上によれば、相違点3-2を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明4及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明7は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明、又は、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をできたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004363

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