特許拒絶査定不服審判
2024-003685
コンピュータシステムおよび大会の管理方法
- 審判番号
- 2024-003685
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-000637
- 請求日
- 2024年03月01日
- 審決日
- 2024年11月12日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社カプコン
- 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 俊久
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 渋谷 知子
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第44条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 637「コンピュータシステムおよび大会の管理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月23日出願公開、特開2022- 46745〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年1月5日に提出された特許法44条1項の規定による特許出願であって、令和2年3月23日に出願された特願2020-50826号の分割出願であるところ、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 1月 5日付け:上申書の提出
令和5年 3月28日付け:拒絶理由通知(最初)
同年 5月31日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月28日付け:拒絶理由通知(最後)
同年10月31日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月16日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定
(同月23日 :原査定の謄本の送達)
同年 3月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 7月18日 :上申書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年3月1日に提出された手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
なお、後記第5の対比の議論のために、請求項1の記載を便宜上次のように構成A~構成Dに分説する。
「【請求項1】
(構成A)コンピュータを介してゲームが行われる大会において、前記大会を管理するコンピュータシステムであって、
(構成B)前記ゲームは、プレイヤの前記コンピュータへの入力を示す入力情報に基づいて進行し、
(構成C)前記入力情報または前記入力情報に関連する情報における不正有無の判定結果、を示した不正情報に基づいて行われた、ユーザによる不正有無の判定結果に応じて、前記ゲームにおける不正有無を確定する判定確定部を備え、
(構成D)前記ユーザは、前記大会に参加者として当該コンピュータシステムに登録された者である
ことを特徴とするコンピュータシステム。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対応する本件補正前の請求項1に係る発明に対する理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如) 本件補正前の請求項1に係る発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2019-154467号公報(主たる引用例)
引用文献4.30人以上の審判勢に衝撃!「第2回全国高校eスポーツ選手権」の裏側を覗く,GAME Watch [online],2019年12月04日,https://game.watch.impress.co.jp/docs/kikaku/1220716.html,[2021年10月28日検索](周知技術を示す文献)
引用文献5.シングルスLIVE MATCH予選,DARTSLIVE [online],2019年05月23日,https://www.dartslive.com/jp/event/u_22/livematch/,[2023年8月28日検索](周知技術を示す文献)
第4 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
1 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、前記引用文献1(特開2019-154467号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は、当審において付したものであり、以下同様である。
ア 【0008】~【0013】、【図1】、【図2】
「【発明を実施するための形態】
【0008】
[A:実施形態]
[1.ゲームシステムの概略]
図1は、本発明の実施形態に係るゲームシステムの構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、ゲームシステム1は、M個のゲーム装置10-1~10-M(Mは3以上の自然数)と、ネットワークNWと、マッチングサーバ20と、管理サーバ30とを備える。M個のゲーム装置10-1~10-Mには同一のゲームプログラムがインストールされている。」
「【図1】
[図:0001419111000001.jpg]
」
「【0009】
以下の説明では、M個のゲーム装置10-1~10-Mを区別する必要が無い場合、単にゲーム装置10と称する。本実施形態では、ゲーム装置10としてスマートフォン又はタブレット端末、携帯型ゲーム機等の可搬型の情報端末を想定する。但し、ゲーム装置10としては、任意の情報処理装置を採用することができる。例えば、ゲーム装置10は、図2に示されるように本体Aと情報処理装置Bとから構成されてもよい。この場合、本体Aは情報処理装置Bを介してネットワークNWと接続される。ゲーム装置10は、例えば、家庭用のゲーム機器、店舗や遊戯施設等に設置された業務用のゲーム機器であってもよいし、パーソナルコンピュータ等の端末型の情報機器であってもよい。」
「【図2】
[図:0001419111000002.jpg]
」
「【0010】
ゲーム装置10において実行されるゲームは、例えば、ゲーム装置10のユーザが、ゲーム装置10を操作して、ゲーム装置10のユーザの操作対象であるキャラクタを、ゲームにおける仮想的なフィールドF(「仮想空間」の一例)内で動作させる。また、このゲームには、他のユーザの操作対象であるキャラクタが参戦することができる。
以下の説明では、「ゲームに参戦する」とは、ゲームにおいて操作可能なキャラクタが存在することを意味し、単にゲームを観る観戦と区別される。参戦には、他のユーザと協力してミッションをクリアする共同戦と、他のユーザと競い合う対戦とが含まれる。また、観戦者はゲームの観戦中に応援メッセージを送信することができる。観戦者は間接的にゲームに参加できるが、観戦者はゲームに参戦できない。
【0011】
本実施形態では、M個のゲーム装置10-1~10-Mのうち、複数のゲーム装置10がゲームに参戦し、一又は複数のゲーム装置10がゲームを観戦する場合を想定する。マッチングサーバ20は、ゲームに参戦するゲーム装置10のマッチングを実行すると共に、ゲームを観戦するゲーム装置10のマッチングを実行する。ゲームに参戦を希望するゲーム装置10は、参戦要求をマッチングサーバ20に送信する。また、観戦を希望するゲーム装置10は、観戦要求をマッチングサーバ20に送信する。参戦のマッチングは、参戦を希望するゲーム装置10の中から、あるゲームに参戦するゲーム装置10を決定することである。観戦のマッチングは、観戦を希望するゲーム装置10の中から、あるゲームを観戦するゲーム装置10を決定することである。
【0012】
管理サーバ30は、ゲームに参戦したゲーム装置10からゲームの結果に関する結果データDxを受信すると共に、ゲームを観戦したゲーム装置10から照合データDyを受信し、結果データDxと照合データDyとに基づいて、受信した結果データDxがゲームの結果を改竄したものであるかを判定する。
【0013】
結果データDxは、一又は複数の項目を含む。複数の項目は、例えば、ゲームの勝敗、ゲームで獲得したアイテム、ゲームで獲得したアイテム若しくはキャラクタのパラメータ又はゲームで獲得したポイントであってもよい。更に、結果データDxは、ゲームの進行に基づいてゲームの勝敗又はゲームで獲得したアイテムを確定させるためのデータであってもよい。アイテムとは、仮想空間においてキャラクタが有利にゲームを進めるためのゲーム要素である。例えば、爆弾及び防火スーツがアイテムに該当する。パラメータとは、能力の高さを示す数値である。例えば、キャラクタの防御力を示す数値、アイテムとしての爆弾の攻撃力を示す数値等が該当する。
照合データDyの項目は、結果データDxの項目と一致する。」
イ 【0014】、【図3】
「【0014】
本実施形態におけるゲームシステム1の最小構成は、2個のゲーム装置10が参戦するゲームを1個のゲーム装置10が観戦する場合である。図3は、ゲームシステム1の最小構成を示すブロック図である。この図において、第1ゲーム装置10A、第2ゲーム装置10B、及び第3ゲーム装置10Cは、図1に示すゲーム装置10-1~10-Mに含まれる。点線で囲まれた第1ゲーム装置10A及び第3ゲーム装置10Cはゲームに参戦するゲーム装置10であり、第2ゲーム装置10Bはゲームを観戦するゲーム装置10である。」
「【図3】
[図:0001419111000003.jpg]
」
ウ 【0018】~【0021】
「【0018】
第1ゲーム装置10A及び第3ゲーム装置10Cは、ゲームの進行に関する進行データDpを生成する。進行データDpは、ゲームの進行に伴って生成されるデータであり、ゲームの再現に必要なデータが含まれる。ゲームの再現に必要なデータには、ユーザのゲーム装置10に対する操作を示すデータ、又は操作に応じたゲーム要素の変更を示すデータが含まれる。
操作を示すデータは、例えば、ユーザによってキャラクタを右方向に移動させる操作がなされた場合、当該操作に応じたデータである。このデータに基づいてキャラクタを右方向に移動させる処理が実行される。移動させる処理の結果、キャラクタが右方向に移動する。一方、操作に応じたゲーム要素の変更を示すデータは、上述した例では、例えば、右方向に移動後のキャラクタの座標を示す。このデータに基づいて、現在のキャラクタの位置から移動後のキャラクタの位置へ、キャラクタを移動させる処理が実行される。この結果、キャラクタはデータの示す座標に移動する。操作に応じたゲーム要素の変更を示すデータには、上述したキャラクタの位置のほかに、アイテムの設置状況が含まれる。アイテムの設置状況は、例えば、キャラクタの所持するアイテム(例えば、爆弾)を設置した位置が該当する。
【0019】
第1ゲーム装置10Aは、当該第1ゲーム装置10Aで生成した進行データDpを第3ゲーム装置10CへP2P通信を用いて送信する。逆に、第3ゲーム装置10Cは、当該第3ゲーム装置10Cで生成した進行データDpを第1ゲーム装置10AへP2P通信を用いて送信する。従って、第1ゲーム装置10Aと第3ゲーム装置10Cとの間で進行データDpの共有が図られる。このため、第1ゲーム装置10Aと第3ゲーム装置10Cとは、同じゲームを実行することができる。
【0020】
また、ホスト装置として機能する第1ゲーム装置10Aは、ゲームの結果を示す結果データDxを管理サーバ30に送信する。また、第1ゲーム装置10Aは、当該第1ゲーム装置10Aが生成した進行データDpと第3ゲーム装置10Cで生成した進行データDpとを統合した進行データDppを生成して、統合した進行データDpを第2ゲーム装置10BにP2P通信を用いて送信する。この場合、管理サーバ30を介することなく通信するので、管理サーバ30の通信トラフィックを削減できる。
【0021】
第2ゲーム装置10Bは、第1ゲーム装置10Aにて生成された進行データDppを受信するので、ゲームを再現することができる。第2ゲーム装置10Bは、進行データDppに基づいて、ゲームを再現して照合データDyを生成し、生成した照合データDyを管理サーバ30に送信する。照合データDyは結果データDxがゲーム結果を改竄したものであるかの判定に用いられる。」
エ 【0034】~【0035】、【図6】
「【0034】
図6にゲーム画面の一例を示す。この例では、フィールドにおいて、ユーザU1のキャラクタC1とユーザU2のキャラクタC2とが対戦し、ユーザU3とユーザU4がゲームを観戦する場合を想定する。ゲーム画面はユーザU3のゲーム装置10に表示されるものとする。ゲーム画面の左下に示されるアバターA3はユーザU3であり、アバターA4はユーザU4である。また、この例では、アバターA3の上部にユーザU3のニックネームである「ケーン」が表示され、アバターA4の上部にユーザU4の名前である「アキオ」が表示されている。」
「【図6】
[図:0001419111000004.jpg]
」
「【0035】
また、画面右下には通報ボタンB1と認定ボタンB2とが表示される。ユーザU3はゲームの観戦中に不正行為を見つけた場合、通報ボタンB1を押下する。この場合、ユーザU3のゲーム装置10は、不正通知を管理サーバ30に送信する。通報ボタンB1によってキャラクタの能力値の不正など、対戦結果以外の部分の不正があった場合であっても観戦者の目で確認することで他の不正を見抜く可能性を高めることができる。
また、観戦者が正常なゲームであると認定した場合には認定ボタンB2を押下する。この場合、不正が無かった旨の通知がゲーム装置10から管理サーバ30に送信される。」
オ 【0047】~【0054】、【図11】~【図13】
「【0047】
[4.管理サーバ]
次に、管理サーバ30について説明する。図11は 管理サーバ30の構成例を示すブロック図である。管理サーバ30は、制御装置31、記憶装置32、及び通信装置33を備える。制御装置31はCPU等のプロセッサである。制御装置31は管理サーバ30の各要素を統括的に制御する。」
「【図11】
[図:0001419111000005.jpg]
」
「【0048】
記憶装置32は、制御装置31が実行する制御プログラムPRc、管理テーブルTBLc、及び各種のデータを記憶する。例えば、磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、又は、複数種の記録媒体の組合せにより、記憶装置32が構成される。通信装置33は、インターネット等のネットワークNWを介して外部装置と通信する。なお、記憶装置32は、管理サーバ30に設けられる必要は必ずしもなく、ネットワークNWを介して通信可能な外部に存在してもよい。
【0049】
図12に管理テーブルTBLcの記憶内容の一例を示す。管理テーブルTBLcには、ユーザIDと対応付けてゲームに関する管理データDcが記憶されている。管理データDcには、戦績、順位、得点、アイテム、又はポイントが含まれ得る。「戦績」は、例えば、何勝何敗又は勝率で示される。「順位」とは同じゲームをプレイするユーザの強弱を示す順番である。」
「【図12】
[図:0001419111000006.jpg]
」
「【0050】
図13は、管理サーバ30の機能を例示する機能ブロック図である。制御装置31は、記憶装置32に記憶されている制御プログラムPRcを実行することにより、判定部311、管理部312、報酬付与部313として機能する。」
「【図13】
[図:0001419111000007.jpg]
」
「【0051】
図3に示されるように第1ゲーム装置10Aはゲームに参戦して進行データDpと結果データDxとを生成し、第2ゲーム装置10Bはゲームを観戦するため用いられる。判定部311は、第1ゲーム装置10Aから出力された結果データDxと、第2ゲーム装置10Bにおいて第1ゲーム装置10Aから出力された進行データDppに基づいて生成された照合データDyとに基づいて、結果データDxがゲームの結果を改竄したデータであるかを判定する。より具体的には、結果データDxの項目と照合データDyの項目が不一致の場合にゲームの結果が改竄されたと判定する。
【0052】
ゲームを観戦する第2ゲーム装置10Bにおいて進行データDppに基づいて照合データDyが生成されるので、第2ゲーム装置10Bをゲームの観戦と不正の監視に兼用しつつ、判定部311は第1ゲーム装置10Aによって生成された結果データDxが改竄されているかを判定できる。
【0053】
管理部312は、管理データDcをユーザIDと対応付けて管理する。具体的には、判定部311によって結果データDxがゲームの結果を表すデータであると判定された場合、管理部312は結果データDxを管理データDcに反映させ、判定部311によって結果データDxがゲームの結果を表すデータであると判定されなかった場合、管理部312は結果データDxを管理データDcに反映させない。なお、ゲームの結果を表すデータは、ゲームの結果を改竄したデータでないことの一例である。
【0054】
ここで、管理データDcに反映させるとは、管理部312が結果データDxに基づいて、管理データDcを更新することを意味する。また、結果データDxを管理データDcに反映させないとは、管理テーブルTBLcの記憶内容を変更しないことを意味する。なお、結果データDxは当該ゲームの結果に関するものであるので、例えば、結果データDxに含まれるポイントは、当該ゲームで獲得したポイントである。これに対して管理データDcの示すポイントは、現在、ユーザが保有しているポイントである。従って、管理部312は、管理テーブルTBLcに格納されているポイントに、結果データDxの示すポイントを加算して新たな結果データDxのポイントを生成する。
管理部312によれば、不正によって結果データDxが改竄された場合、第1ゲーム装置10Aで生成された結果データDxは管理データDcに反映されないので、結果データDxが改竄されると当該ゲームを無効にできるため、ユーザ間において公平を保つことができる。」
カ 【0061】~【0064】
「【0061】
[変形例2]
上述した実施形態では、管理サーバ30の判定部311は、結果データDxに含まれる勝敗、獲得したポイント等の項目と照合データDyに含まれる項目とが不一致の場合にゲーム結果が改竄されと判定したが、本発明はこれに限定されない。
管理サーバ30は、第2ゲーム装置10Bを含む一又は複数のゲームを観戦するゲーム装置10の各々から、照合データDyを取得し、判定部311は、結果データDxと、ゲームの利用態様に応じた数の照合データDyとに基づいて、結果データDxがゲームの結果を改竄していないデータであるかを判定してもよい。この変形例によれば、結果データとゲームの利用態様に応じた数の照合データとに基づいて、ゲームの結果の改竄を判定するので、ゲームの重要度に応じて、不正行為を検知するために必要とされる観戦用のゲーム装置の数を設定することができる。また、不正が大きな問題とならないゲームにおいて、観戦者が集まらないためにゲームが進行できないような過剰な不正防止を軽減することができる。
【0062】
「ゲームの利用態様」は、例えば、ゲームを利用する「ゲームの対戦相手」であってもよい。例えば、友人同士で対戦する場合は、見知らぬ他人と対戦する場合と比較して、観戦用のゲーム装置の数を減らしてもよい。
また、「ゲームの利用態様」は、例えば、「そのゲームに設定された報酬内容」であってもよい。報酬内容は、例えば、現金報酬があるか、報酬ポイントが一定値以上か、などが含まれ得る。報酬内容に応じて観戦用のゲーム装置の数を設定することにより、報酬が多い場合は、報酬が少ない場合と比較して観戦用のゲーム装置の数を増やし、ゲームの結果の改竄がないことを、より厳格に判定することができる。
【0063】
また、「ゲームの利用態様」は、例えば、「そのゲームが他ユーザとの序列に関する影響」であってもよい。序列には、例えば、ユーザのランキング順位又はユーザの格付けが含まれ得る。序列に関する影響に応じて観戦用のゲーム装置の数を設定することにより、序列に関する影響が大きい場合は、序列に関する影響が小さい場合と比較して観戦用のゲーム装置の数を増やし、ゲームの結果の改竄がないことを、より厳格に判定することができる。
【0064】
また、「ゲームの利用態様」は、例えば、「主催者(運営者)が指定するゲームか否か」であってもよい。オンラインゲームでは、ゲームの主催者が公式戦を開催することがある。例えば、eスポーツがそのような公式戦に該当する。主催者が指定するゲームか否かに応じて観戦用のゲーム装置の数を設定することにより、例えば、公式戦は非公式戦と比較して観戦用のゲーム装置の数を増やし、ゲームの結果の改竄がないことを、より厳格に判定することができる。なお、公式戦の優勝決定戦は、1回戦と比較して観戦用のゲーム装置の数を増やしてもよい。」
(2) 引用発明の認定
ア(ア) 前記(1)ア~オには、「ゲームシステム1」の発明が記載されていると認められる。
(イ) 前記(1)カには、上記「ゲームシステム1」の[変形例2]として、「ゲームシステム1」の利用態様の一つに、eスポーツのような公式戦が含まれることが記載されている。
イ 前記アを踏まえると、引用文献1には、eスポーツのような公式戦に用いられる「ゲームシステム1」に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「M個のゲーム装置10-1~10-M(Mは3以上の自然数)と、ネットワークNWと、マッチングサーバ20と、管理サーバ30とを備えるゲームシステム1であって、(【0008】)
M個のゲーム装置10-1~10-Mには同一のゲームプログラムがインストールされており、(【0008】)
ゲームシステム1は、eスポーツのような公式戦に用いられるものであり、(【0064】)
第1ゲーム装置10A及び第3ゲーム装置10Cはゲームに参戦するゲーム装置10であり、第2ゲーム装置10Bはゲームを観戦するゲーム装置10であり、(【0014】)
第1ゲーム装置10A及び第3ゲーム装置10Cは、ゲームの進行に関する進行データDpを生成し、進行データDpは、ゲームの進行に伴って生成されるデータであり、ゲームの再現に必要なデータが含まれ、ゲームの再現に必要なデータには、ユーザのゲーム装置10に対する操作を示すデータ、又は操作に応じたゲーム要素の変更を示すデータが含まれ、(【0018】)
前記操作を示すデータは、例えば、ユーザによってキャラクタを右方向に移動させる操作がなされた場合、当該操作に応じたデータであり、このデータに基づいてキャラクタを右方向に移動させる処理が実行され、(【0018】)
ホスト装置として機能する第1ゲーム装置10Aは、ゲームの結果を示す結果データDxを管理サーバ30に送信し、第1ゲーム装置10Aは、当該第1ゲーム装置10Aが生成した進行データDpと第3ゲーム装置10Cで生成した進行データDpとを統合した進行データDppを生成して、統合した進行データDpを第2ゲーム装置10BにP2P通信を用いて送信し、(【0020】)
第2ゲーム装置10Bは、第1ゲーム装置10Aにて生成された進行データDppを受信するので、ゲームを再現することができ、第2ゲーム装置10Bは、進行データDppに基づいて、ゲームを再現して照合データDyを生成し、生成した照合データDyを管理サーバ30に送信し、照合データDyは結果データDxがゲーム結果を改竄したものであるかの判定に用いられ、(【0021】)
結果データDxは、一又は複数の項目を含み、複数の項目は、例えば、ゲームの勝敗、ゲームで獲得したアイテム、ゲームで獲得したアイテム若しくはキャラクタのパラメータ又はゲームで獲得したポイントであってもよく、照合データDyの項目は、結果データDxの項目と一致し、(【0013】)
管理サーバ30は、制御装置31、記憶装置32、及び通信装置33を備え、(【0047】)
制御装置31は、記憶装置32に記憶されている制御プログラムPRcを実行することにより、判定部311、管理部312、報酬付与部313として機能し、(【0050】)
判定部311は、第1ゲーム装置10Aから出力された結果データDxと、第2ゲーム装置10Bにおいて第1ゲーム装置10Aから出力された進行データDppに基づいて生成された照合データDyとに基づいて、結果データDxがゲームの結果を改竄したデータであるかを判定し、より具体的には、結果データDxの項目と照合データDyの項目が不一致の場合にゲームの結果が改竄されたと判定し、(【0051】)
管理部312によれば、不正によって結果データDxが改竄された場合、第1ゲーム装置10Aで生成された結果データDxは管理データDcに反映されないので、結果データDxが改竄されると当該ゲームを無効にできるため、ユーザ間において公平を保つことができる、(【0054】)
ゲームシステム1。」
2 引用文献4に記載された事項と周知事項Aの認定
(1) 引用文献4に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された、前記引用文献4(30人以上の審判勢に衝撃!「第2回全国高校eスポーツ選手権」の裏側を覗く,GAME Watch [online],2019年12月04日,https://game.watch.impress.co.jp/docs/kikaku/1220716.html,[2021年10月28日検索])には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001419111000008.jpg]
」
イ 引用文献4を示す上記画像の右側中段には、「2019年12月4日」と表示されていることが見て取れる。
ウ また、上記画像から、次の記載があることが読み取れる。
「高校生がMOBA「リーグ・オブ・レジェンド」で頂点を競う「第2回全国高校eスポーツ選手権」の「LoL部門」。その予選大会(オンライン)が11月23日と24日にかけて開催されたが、会場となったルフス池袋を取材して驚いたことがある。それは、初日に配置された“審判”の数だ。
会場に入った時点から、やたらとモニター前に座っているスタッフがいるなと思ってはいたのだが、その全員が審判を務めるスタッフだと後でわかった。その数30人以上。予選初日の初戦は同時に52試合が行なわれたが、各試合すべてで2試合に1人、あるいは1試合に1人の割合でしっかりと審判を付けるためである。」
(2) 周知事項Aの認定
前記引用文献4に例示されているように、次の事項は周知であると認められる(以下「周知事項A」という)。
<周知事項A>
「eスポーツの公式戦において審判を配置すること。」
3 引用文献5及び6に記載された事項と周知技術Bの認定
(1) 引用文献5に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された、前記引用文献5(シングルスLIVE MATCH予選,DARTSLIVE [online],2019年05月23日,https://www.dartslive.com/jp/event/u_22/livematch/,[2023年8月28日検索])には、次の(ア)及び(イ)に示す事項が記載されている。
(ア) 「
[図:0001419111000009.jpg]
」
(イ) 「
[図:0001419111000010.jpg]
」
イ 前記ア(ア)の画像の左側下段に、「2019.05.23 シングルスLIVE MATCH 予選詳細発表!」というリンクが示されているところ、当該リンクをクリックすることにより、前記ア(ア)及び(イ)の画像に係るサイトが表示されたことから、引用文献5が、2019年5月23日に、電気通信回線を通じて公開されたものであると認められる。
ウ 前記ア(イ)の画像から、次の記載が読み取れる。
「モラルを逸脱した行為は専用のシステムで検出されます。システムの判定を参考に主催者が不正行為と判断した場合、予選期間終了後であっても該当プレイヤーの勝数をすべて剥奪いたします。」
(2) 引用文献6に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2006-81609号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 【0028】、【0029】、【図1】
「【0028】
図1は、本願発明に係るゲームシステムの一例を示す構成図である。このゲームシステムは、例えばインターネット回線を介して複数のゲーム装置がサーバに接続されたものであり、各ゲーム装置を操作する複数のユーザが同一のゲーム空間を共有する、いわゆるオンラインゲーム(ネットワークゲーム)を構築するものである。例えば、この実施形態におけるオンラインゲームは、複数のユーザが各ゲーム装置を操作することによりゲーム画面上で動作するキャラクタ同士が、互いに協力してゲーム(仮想空間)上の敵キャラクタ(例えば恐竜)を倒すといった、いわゆるハンティングアクションゲームである。
【0029】
このゲームシステムは、オンラインゲームにおいてユーザが不正なデータを用いてゲームに参加するのを防止することを目的としている。具体的には、図1に示すように、このゲームシステムは、サーバ1、ネットワーク回線2、及び複数のゲーム装置3によって概略構成されている。」
「【図1】
[図:0001419111000011.jpg]
」
イ 【0067】~【0070】
「【0067】
サーバ1は、装備アイテムが不正に取得されたものであると判別したとき(S8:NO)、ハードディスク装置14に、その内容、その時点の時刻及び当該ゲーム装置3を使用するユーザのID等を不正情報として記録する(S9)。このように、不正情報としてハードディスク装置14に記憶するのは、後にこのゲーム管理者等が不正者を人為的に確認するためである。
・・・(中略)・・・
【0070】
そして、検知された不正データの内容等は、ハードディスク装置14に記憶され、例えばゲーム管理者がその内容を確認した上で、不正なデータを所有しているユーザに対して事実確認及び警告を行う。これにより、不正データを所有しているユーザがそのデータを破棄等して正規の状態に戻せば、改ざんされた不正データをこのオンラインゲームに持ち込まれることが防止される。なお、不正データを所有しているユーザがそのデータを破棄等せずに、再び、オンラインゲームに参加しようとしたときには、その時点で回線を接続しないようにして参加を拒否するようにしてもよい。」
(3) 周知技術Bの認定
前記引用文献5及び6に例示されているように、次の事項は周知技術であると認められる(以下「周知技術B」という)。
<周知技術B>
「ゲームにおいて不正が行われたかどうかについて、システムの判定を参考に人間が最終的な判断を行うこと。」
第5 対比
1 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
(1) 構成Aについて
ア 引用発明の「ゲームシステム1」は、「同一のゲームプログラムがインストールされて[いる]」「M個のゲーム装置10-1~10-M(Mは3以上の自然数)と、ネットワークNWと、マッチングサーバ20と、管理サーバ30とを備える」ものであるから、本願発明の「コンピュータシステム」に相当する。
イ 引用発明の「ゲームシステム1」は、「eスポーツのような公式戦に用いられるものであり」、「マッチングサーバ20」や「管理サーバ30」を備えているものであることを踏まえると、本願発明の「コンピュータを介してゲームが行われる大会において、前記大会を管理するコンピュータシステム」に相当する。
ウ したがって、本願発明と引用発明は、「コンピュータを介してゲームが行われる大会において、前記大会を管理するコンピュータシステム」の発明である点において一致する。
(2) 構成Bについて
ア 引用発明の「ゲームの進行に関する進行データDp」に含まれる、「ユーザのゲーム装置10に対する操作を示すデータ」は、本願発明の「プレイヤの前記コンピュータへの入力を示す入力情報」に相当する。
イ(ア) 引用発明においては、「操作を示すデータ」は、「例えば、ユーザによってキャラクタを右方向に移動させる操作がなされた場合、当該操作に応じたデータであり、このデータに基づいてキャラクタを右方向に移動させる処理が実行され[る]」ものである。
(イ) 前記(ア)を踏まえると、引用発明の「ゲームの進行に関する進行データDp」に含まれる「ユーザのゲーム装置10に対する操作を示すデータ」に基づいて「処理が実行され」ることは、本願発明の「前記ゲームは、プレイヤの前記コンピュータへの入力を示す入力情報に基づいて進行[する]」ことに相当する。
ウ したがって、本願発明と引用発明は、「前記ゲームは、プレイヤの前記コンピュータへの入力を示す入力情報に基づいて進行[する]」点において一致する。
(3) 構成Cについて
ア(ア) 本願発明の「前記入力情報」及び「前記入力情報に関連する情報」について、本願明細書には次の記載がある。
「【0137】
具体的に、対戦が終了した場合に、入力履歴情報生成部563は、入力履歴情報を生成する。入力履歴情報とは、対戦中にコントローラ63に対して行われた、操作入力の履歴を示す情報である。また、結果情報生成部564は、対戦結果を示す結果情報を生成する。通信部561は、生成された入力履歴情報および結果情報を、サーバ装置2に送信する。リプレイデータ生成部235は、受信した入力履歴情報に基づいて、対戦を再現したリプレイデータを生成する。
【0138】
不正推定部236は、受信した結果情報と、リプレイデータによる結果情報とを比較して、両結果情報に差異がない場合に、対戦において不正なしと推定する。この場合に、判定確定部237は、対戦において不正なしと判定を確定する。」
「【0175】
以上をまとめると、本実施形態は、ゲーム装置5(コンピュータ)を介してゲームが行われる大会において、大会を管理するゲームシステム1(コンピュータシステム)であって、ゲームは、操作部53からにゲーム装置5に入力される操作信号(入力情報)に基づいて進行し、前記操作信号またはリプレイデータ(入力情報に関連する情報)における不正有無の判定結果、を示した不正情報に基づいて、ゲームにおける不正有無を確定する判定確定部237を備えているものである。」
(イ) 前記(ア)の記載を踏まえると、本願発明において、「入力情報」とは区別して特定される「前記入力情報に関連する情報」は、「受信した入力履歴情報に基づいて、対戦を再現したリプレイデータ」を意味するものと解釈されることから、引用発明の「進行データDppに基づいて」「ゲームを再現して」「生成した」「照合データDy」は、本願発明の「前記入力情報に関連する情報」に相当する。
イ 前記アの検討を踏まえると、引用発明の「第1ゲーム装置10Aから出力された結果データDxと、第2ゲーム装置10Bにおいて第1ゲーム装置10Aから出力された進行データDppに基づいて生成された照合データDyとに基づいて、結果データDxがゲームの結果を改竄したデータであるかを判定」する「判定部311」と、本願発明の「前記入力情報または前記入力情報に関連する情報における不正有無の判定結果、を示した不正情報に基づいて行われた、ユーザによる不正有無の判定結果に応じて、前記ゲームにおける不正有無を確定する判定確定部」は、「前記入力情報または前記入力情報に関連する情報における不正有無を判定する判定部」である点において共通する。
ウ したがって、本願発明と引用発明は、「前記入力情報または前記入力情報に関連する情報における不正有無を判定する判定部を備える」点において共通する。
2 一致点及び相違点
上記1を総合すると、本願発明と引用発明は、以下の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。
(1) 一致点
(構成A)コンピュータを介してゲームが行われる大会において、前記大会を管理するコンピュータシステムであって、
(構成B)前記ゲームは、プレイヤの前記コンピュータへの入力を示す入力情報に基づいて進行し、
(構成C’)前記入力情報または前記入力情報に関連する情報における不正有無を判定する判定部を備える、
コンピュータシステム、である点。
(2) 相違点
本願発明においては、
「(構成C)前記入力情報または前記入力情報に関連する情報における不正有無の判定結果、を示した不正情報に基づいて行われた、ユーザによる不正有無の判定結果に応じて、前記ゲームにおける不正有無を確定する判定確定部を備え、
(構成D)前記ユーザは、前記大会に参加者として当該コンピュータシステムに登録された者である」のに対して、
引用発明においては、
管理サーバ30の判定部311が、結果データDxと照合データDyとに基づいて、結果データDxがゲームの結果を改竄したデータであるかを判定しているものの、当該判定の結果を示した不正情報に基づいて行われた、ユーザによる不正有無の判定結果に応じて、不正有無を確定するのではなく、前記判定部311の判定の結果のみで、不正有無を確定している点。
第6 当審の判断
1 相違点についての判断
(1)ア 前記第4の2(2)において周知事項Aとして示したとおり、以下の事項は、本願出願前に周知である。
「eスポーツの公式戦において審判を配置すること。」
イ また、前記第4の3(3)において周知技術Bとして示したとおり、以下の技術事項も、本願出願前に周知である。
「ゲームにおいて不正が行われたかどうかについて、システムの判定を参考に人間が最終的な判断を行うこと。」
(2) 引用発明の「ゲームシステム1」は、eスポーツのような公式戦に用いられるものであり、データを改竄するという不正を検出する課題を有するものであるから、引用発明において、前記周知事項A及び前記周知技術Bを適用して、審判を配置し、管理サーバ30の判定部311が、結果データDxがゲームの結果を改竄したデータであると判定した場合に、その判定の内容について、人間である前記審判が確認して前記判定を確定して、その確定した結果を前記審判が管理サーバ30に登録することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)ア その場合、引用発明に前記周知事項A及び前記周知技術Bを適用したものにおける「審判」が、eスポーツに参加者としてゲームシステム1に登録されていることは明らかであるから、本願発明の構成Dの「前記大会に参加者として当該コンピュータシステムに登録された者である」「ユーザ」に相当することになる。
イ 同様に、引用発明に前記周知事項A及び前記周知技術Bを適用したものにおける、「判定の内容について、人間である前記審判が確認して前記判定を確定して、その確定した結果を前記審判が管理サーバ30に登録する」ための構成が、本願発明の構成Cの「ユーザによる不正有無の判定結果に応じて、前記ゲームにおける不正有無を確定する判定確定部」に相当することになる。
(4) したがって、引用発明において、前記周知事項A及び周知技術Bを適用して、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の奏する作用効果についてみても、当業者にとって予測・発見困難であるとはいえず、かつ、格別顕著なものであるとも認めることができない。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明並びに周知事項A及び周知技術Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 請求人の主張について
請求人は、令和6年7月18日付け上申書において、「2.本件発明が特許されるべき理由」として、概略次の(1)~(3)を主張しているので、以下、検討する。
(1) 主張1について
ア 請求人の主張1の内容
<主張1>
引用文献1には、結果データDxの各項目が改竄されたか否かを判定するに際し、進行データDp(照合データDy)に含まれる操作を示すデータをどのように考慮するかについて記載や示唆がない。したがって、引用文献1には、ゲーム結果の改竄の判定が、入力情報又は入力情報に関連する情報における不正有無に基づいて行われることが開示されていない。
イ 請求人の主張1についての検討
(ア) 引用文献1の段落【0051】には、「結果データDxの項目と照合データDyの項目が不一致の場合にゲームの結果が改竄されたと判定する」ことが記載されており、段落【0021】には、「照合データDy」が「進行データDppに基づいて、ゲームを再現し[た]」ものであることが記載されており、段落【0013】には、「照合データDyの項目は、結果データDxの項目と一致する」こと、当該項目に「ゲームの勝敗」が含まれていることが記載されている。
(イ) 前記(ア)を踏まえると、引用文献1には、少なくとも、結果データDxの項目であるゲームの勝敗と、ゲームを再現して作成した照合データDyの項目であるゲームの勝敗が不一致のときに、ゲームの結果が改竄されたと判断することが記載されているものと認められる。
(ウ) したがって、請求人の主張1は採用できない。
(2) 主張2について
ア 請求人の主張2の内容
<主張2>
本願発明は、入力情報等に基づいて不正有無の結果を判定された後に、ユーザによって不正の有無が判定されるもの(不正有無が二重にチェックされるもの)であり、この構成により、ゲームの不正有無の判定回数を減少させることができるため、大会の運営が行いやすくなる。この点について、引用文献1には言及がない。
イ 請求人の主張2についての検討
請求人の上記主張2は、要するに、引用発明は、前記相違点に係る本願発明の構成を有していないというものであるが、前記1において検討したとおり、引用発明において前記相違点(第5の2(2))に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張2は採用できない。
(3) 主張3について
ア 請求人の主張3の内容
<主張3>
引用文献5に記載された事項は、ダーツゲームに関するものであるから、ダーツボートに対してダーツが刺さった位置や、得点経過などの入力データが、本願発明の入力情報等に相当すると考えられる。この点について、引用文献5に記載された事項では、入力データにより不正行為例(例えば、年齢詐称や指押し、故意に負ける、プレイヤー交代など)に挙げられた事項は検出できないと考えられる。すなわち、引用文献5に記載された事項において、不正行為例に挙げられた事項を検出するためには、入力データ以外の要素が必要であると考えられる。したがって、引用文献5に記載された事項に基づき、本願発明を想到できないと思料する。
イ 請求人の主張3についての検討
引用文献5及び引用文献6は、前記第4の3(3)において示したとおり、「ゲームにおいて不正が行われたかどうかについて、システムの判定を参考に人間が最終的な判断を行うこと」が、ダーツゲーム等の特定のゲームに限らず、広く周知技術であることを例示したものである。そして、前記1において検討したとおり、本願発明は、引用文献5に記載された事項に基づくのではなく、引用発明並びに周知事項A及び周知技術Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求人の主張3は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知事項A及び周知技術Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-003685