特許拒絶査定不服審判
2024-000855
血管内光音響断層撮影装置
- 審判番号
- 2024-000855
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-514941
- 請求日
- 2024年01月18日
- 審決日
- 2024年11月06日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パデュー リサーチ ファウンデイション
- 【請求人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
- 【請求人】チェン、チ - シン
- 【請求人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
- 【請求人】カオ、インチュン
- 【請求人代理人】弁理士法人浅村特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P18 .121-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-514941「血管内光音響断層撮影装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月21日国際公開、WO2019/222505、令和 3年 9月 9日国内公表、特表2021-523814〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、2019年(令和元年)5月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年5月16日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和5年2月20日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月13日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対して令和6年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 本願発明について
本願の請求項1~17に係る発明は、令和5年8月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下に特定されるとおりである。なお、各構成単位冒頭の「A」などは当審にて付した分説記号であり、構成単位について分説記号を用い「構成A」などということがある(以下、引用発明についても同様。)。
「 【請求項1】
A 血管内光音響断層撮影装置であって、
前記装置は、
B 所望の波長で光ビームを放出するよう構成される光源と、
C 超音波パルスを送受信するよう構成されるパルサ受信機と、
D 前記超音波パルスを遅延させてトリガするよう構成される遅延生成器と、
E 前記パルサ受信機、光源、及び遅延生成器を制御するよう構成される処理手段と、
F 第1の端部及び第2の端部を具備するコネクタと、
G 前記光源を前記コネクタの前記第1の端部に通信可能に結合するよう構成される結合手段と、
H 第1の端部及び第2の端部を具備するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記コネクタの前記第2の端部に結合され、前記カテーテルは、画像化探触子部分を具備し、前記画像化探触子部分は、ミラー、トランスデューサ、及び光ファイバを具備するカテーテルと、
I 前記コネクタの前記第1の端部に結合されたステージであって、前記ステージは、少なくとも第1の軸に沿って移動するよう構成されるステージと
を備え、
J 前記カテーテルは、外側シースを備え、
K 前記外側シースは、ポリウレタンから構成される、
L 血管内光音響断層撮影装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1,3,5-6
・請求項 2-9
・引用文献等 1-3,5-6
・請求項 10
・引用文献等 1-3,5-6
・請求項 11-17
・引用文献等 1-6
要すれば、本願発明(請求項1に係る発明)について、引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された技術的事項、引用文献5、6等に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると説示している。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2017/139728号
2.特表2015-532179号公報
3.米国特許出願公開第2014/0275986号明細書
4.米国特許出願公開第2017/0156793号明細書
5.特開2000-70270号公報
6.特表2018-509227号公報
第4 引用文献の記載等
1 引用文献1に記載された事項
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由において主引用例として引用された文献であって、本願の優先権主張の日前に公知となった引用文献1には、以下の記載がある。各摘記部分について後続当審訳を付記した。また下線は当審にて付した。以下同様。
ア 明細書の記載
「[0031] FIG. 6A shows a cross-sectional photoacoustic image, with shapes and positions of lipid and periadventitial fat deposits highlighted, from a catheter probe according to exemplary embodiments of the present disclosure.」
「[0031】図6Aは、本開示の例示的な実施形態によるカテーテルプローブからの、脂質沈着物及び胸膜周囲脂肪沈着物の形状及び位置が強調された断面光音響画像を示す。」、
「[0032] FIG. 6B shows a cross-sectional ultrasonic image from a catheter probe according to exemplary embodiments of the present disclosure.」
「[0032]図6Bは、本開示の例示的な実施形態によるカテーテルプローブからの断面超音波画像を示す。」、
「[0033] FIG. 6C shows a cross-sectional image of a photoacoustic image merged with an ultrasonic image with an outer boundary and lumen of an artery highlighted, from a catheter probe according to exemplary embodiments of the present disclosure.」
「[0033]図6Cは、本開示の例示的な実施形態によるカテーテルプローブからの、動脈の外側の境界及び管腔が強調された超音波画像と合成された光音響画像の断面画像を示す。」、
「[0036] The present disclosure includes a photoacoustic catheter probe that uses collinear alignment of optical and acoustic waves to overcome the drawbacks in aforementioned conventional IVPA catheters. In at least one embodiment, an optical beam delivered through a 365-μm -core multimode fiber (MMF) with a low numerical aperture of 0.22 enables quasi-uniform illumination along the imaging depth. An outer diameter of 1.6 mm was obtained for the catheter tip through novel arrangement of the optical and acoustic elements. The disclosed collinear catheter probe ensures an efficient overlap between optical and photoacoustic waves over a 6 mm imaging depth. The capability of the collinear catheter probe was evaluated through ex vivo high-speed IVPA imaging of a diseased porcine carotid artery and a human coronary artery, with optical excitation via a lab-built optical parametric oscillator outputting optical pulses at 1.7 μm wavelength and 500 Hz repetition rate.」
「[0036]本開示は、前述の従来のIVPAカテーテルにおける欠点を克服するために光波と音響波の共線整列を使用する光音響カテーテルプローブを含む。少なくとも1つの実施形態では、0.22の低開口数を有する365μmコアマルチモードファイバ(MMF)を介して供給される光ビームにより、撮像深さに沿った準一様な照明が可能になる。光学素子と音響素子の新しい配置により、カテーテル先端の外径は1.6mmとなった。開示された共線カテーテルプローブは、6mmの撮像深度にわたって光波と光音響波の効率的なオーバーラップを保証する。共線カテーテルプローブの能力は、波長1.7μm、繰り返し周波数500Hzの光パルスを出力する実験室製作の光パラメトリック発振器による光励起で、病気のブタ頸動脈とヒト冠動脈の生体外高速IVPA撮像によって評価された。」、
「[0037] A catheter probe 10, also referred to as a photoacoustic catheter, according to at least one embodiment of the present disclosure is shown in FIGS. 1A- ID. The catheter probe 10 includes a housing 12. The housing 12 includes a lumen 24 formed therethrough, a signal chamber 22 formed therein, and a transducer chamber 26 formed in or near an exterior wall of the housing 12. The housing 12 may further include a wire passage 28. The housing 12 may be fabricated by molding, casting or additive manufacturing techniques, such as a micro-resolution stereolithography process (e.g., such as practiced by Proto Labs, Inc.).」
「[0037]本開示の少なくとも一実施形態による光音響カテーテルとも呼ばれるカテーテルプローブ10を図1A~1Dに示す。カテーテルプローブ10はハウジング12を含む。ハウジング12は、その中に形成された内腔24と、その中に形成された信号チャンバ22と、ハウジング12の外壁又はその近傍に形成されたトランスデューサチャンバ26とを含む。ハウジング12は、ワイヤ通路28をさらに含むことができる。ハウジング12は、微細解像度のステレオリソグラフィープロセス(例えば、Proto Labs,Inc.によって実施されているような)などの成形、鋳造又は付加製造技術によって作製することができる。」、
「[0038] The catheter probe 10 includes a multimode fiber 14 capable of transmitting and emitting an optical wave 70 of electromagnetic energy (i.e., a light beam). The multimode fiber 14 is at least partially disposed within the lumen 24 of the housing 12. In at least one embodiment, the multimode fiber 14 may include a core/cladding diameter of 365/400 μm, NA of 0.22 (e.g., multimode fiber FG365LEC, Thorlabs, Inc.). The multimode fiber 14 includes a fiber axis 40 defined along the length of the multimode fiber 14 and a distal end 42. The distal end 42 terminates at a reflection face 44 configured at approximately a 45° angle to the fiber axis 40. The multimode fiber 14 includes a proximal end (not shown) that may terminate at an inlet face (not shown) configured at substantially a 90° angle to the fiber axis 40. The reflection face 44 and the inlet face may be polished with a fiber polisher (e.g., NANOpol, ULTRA TEC Manufacturing, Inc.). The distal end 42 of the multimode fiber 14 may be disposed within the lumen 24 of the housing 12 such that the reflection face 44 enters the signal chamber 22, as shown in FIG.1B.」
「[0038]カテーテルプローブ10は、電磁エネルギの光波70(すなわち、光ビーム)を送受信可能なマルチモードファイバ14を含む。マルチモードファイバ14は、ハウジング12の内腔24内に少なくとも部分的に配置されている。少なくとも1つの実施形態では、マルチモードファイバ14は、365/400μmのコア/クラッド直径、0.22のNAを含み得る(例えば、マルチモードファイバFG365LEC、Thorlabs社)。マルチモードファイバ14は、マルチモードファイバ14の長さに沿って規定されたファイバ軸40と、遠位端42とを含む。遠位端42は、ファイバ軸40に対してほぼ45°の角度で構成された反射面44で終端している。マルチモードファイバ14は、ファイバ軸40に対して実質的に90°の角度で構成された入口面(図示せず)で終端し得る近位端(図示せず)を含む。反射面44及び入口面は、ファイバ研磨機(例えば、NANOpol、ULTRA TEC Manufacturing社)で研磨することができる。マルチモードファイバ14の遠位端42は、図1Bに示すように、反射面44が信号チャンバ22に入るようにハウジング12の内腔24内に配置することができる。」、
「[0039] The catheter probe 10 further includes a transducer 16, also referred to as an ultrasonic transducer, disposed at least partially within the transducer chamber 26 of the housing 12 and capable of sensing acoustic waves 72 directed toward a sensing area 68 of the transducer 16. A wire 18 electrically connected to the transducer 16 may be disposed in the wire passage 28. The wire 18 enables signals from the transducer 16 to be communicated to and from an imaging system as described further herein. The transducer 16 may be any suitable ultrasonic transducer. In certain embodiments, the transducer 16 may be a single-element ultrasonic transducer having a relatively small form factor. In at least one embodiment, the transducer 16 may be a single-element ultrasonic transducer with dimensions of 0.5x0.6x0.2 mm , center frequency of 42 MHz and bandwidth of 60% (e.g., as sold by Blatek, Inc.).」
「[0039]カテーテルプローブ10は、ハウジング12のトランスデューサチャンバ26内に少なくとも部分的に配置され、トランスデューサ16の感知領域68に向けられた音響波72を感知することができる、超音波トランスデューサとも呼ばれるトランスデューサ16をさらに含む。トランスデューサ16に電気的に接続されたワイヤ18が、ワイヤ通路28内に配置されてもよい。ワイヤ18は、本明細書でさらに説明するように、トランスデューサ16からの信号を撮像システムと通信することを可能にする。トランスデューサ16は、任意の適切な超音波トランスデューサであってよい。特定の実施形態では、トランスデューサ16は、比較的小さなフォームファクタを有する単一素子超音波トランスデューサであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、トランスデューサ16は、0.5x0.6x0.2mmの寸法、42MHzの中心周波数及び60%の帯域幅を有する単一素子超音波トランスデューサであってよい(例えば、Blatek,Inc.から販売されているもの)。」、
「[0040] The transducer 16 may be oriented within the transducer chamber 26 such that the sensing area 68 of the transducer 16 faces the reflection face 44 of the multimode fiber 14. The transducer 16 and the multimode fiber 14 may be positioned and oriented to ensure the collinearity between the optical wave 70 emitted from the multimode fiber 14 and the acoustic waves 72 transmitted through the catheter probe 10, as shown in FIGS. 1C and 1D. Accordingly, the refection face 44 may be positioned to lie in the acoustic reflection plane of the transducer 16. The housing 12 also includes a signal aperture 74 formed therethrough, as shown in FIG. 1D, to enable the optical wave 70 and acoustic waves 72 to be transmitted through the catheter probe 10.」
「[0040]トランスデューサ16は、トランスデューサ16の感知領域68がマルチモードファイバ14の反射面44に面するように、トランスデューサチャンバ26内で方向付けられることがある。トランスデューサ16及びマルチモードファイバ14は、図1C及び1Dに示されるように、マルチモードファイバ14から放出される光波70とカテーテルプローブ10を介して伝送される音響波72との間の平行性を確保するように位置決め及び配向されてもよい。したがって、反射面44はトランスデューサ16の音響反射面に位置するように配置されてもよい。ハウジング12はまた、図1Dに示すように、光波70及び音響波72がカテーテルプローブ10を通って伝達されることを可能にするために、それを貫通して形成された信号開口部74を含む。」、
「[0041] The catheter probe 10 further includes a mirror element 20 disposed in a mirror passage 30 formed in a distal end of the housing 12, as shown in FIGS. 1A and IB. As shown in FIG. 1A, the mirror element 20 includes a mirror face 66 capable of reflecting the optical wave 70 and acoustic waves 72. The mirror element 20 is positioned and oriented to ensure the optical wave 70 and acoustic waves 72 are emitted radially from the catheter probe 10, as shown in FIG. 1C. In at least one embodiment, the mirror element 20 may be a mirror rod in which the mirror face 66 is disposed at a mirror rod distal end 64. In such an embodiment, the mirror element 20 may be a mirror rod having a diameter of 1 mm (e.g., as sold by Edmund Optics, Inc.). The relative positions among each o f t h e components may be optimized by monitoring the photoacoustic signal in real time under an aqueous environment.」
「[0041]カテーテルプローブ10は、図1A及び1Bに示すように、ハウジング12の遠位端に形成されたミラー通路30内に配置されたミラー要素20をさらに含む。図1Aに示すように、ミラー素子20は、光波70及び音響波72を反射可能なミラー面66を含む。ミラー要素20は、図1Cに示すように、光波70及び音響波72がカテーテルプローブ10から放射状に放出されるように位置決めされ、配向される。少なくとも1つの実施形態では、ミラー要素20は、ミラー面66がミラーロッド遠位端64に配置されるミラーロッドであってもよい。このような実施形態では、ミラー要素20は、1mmの直径を有するミラーロッド(例えば、Edmund Optics社によって販売されている)であってもよい。各構成要素間の相対位置は、水性環境下で光音響信号をリアルタイムで監視することによって最適化することができる。」、
「[0042] The catheter probe 10 may further include a torque coil 62 attached to the housing 12, as shown in FIG.1D. The torque coil 62 may enclose the multimode fiber 14 and the wire 18 extending from the transducer 16. The catheter probe 10 may include various connectors and accessories as needed, for example, a fiber connector installed on a proximal end of the multimode fiber 14. The catheter probe 10 may further include a solution, such as an aqueous solution, disposed and contained within the signal chamber 22, where the solution is capable of transmitting the optical wave 70 and acoustic waves 72.」
「[0042]カテーテルプローブ10は、図1Dに示すように、ハウジング12に取り付けられたトルクコイル62をさらに含んでもよい。トルクコイル62は、マルチモードファイバ14及びトランスデューサ16から延びるワイヤ18を包囲してもよい。カテーテルプローブ10は、必要に応じて様々なコネクタ及び付属品、例えば、マルチモードファイバ14の近位端に取り付けられたファイバコネクタを含むことができる。カテーテルプローブ10は、信号チャンバ22内に配置され収容された水溶液などの溶液をさらに含むことができ、この溶液は光波70及び音響波72を伝達することができる。」、
「[0043] The multimode fiber 14 delivers the optical wave 70 to the catheter probe 10. The fiber distal end 42 of the multimode fiber 14 may be polished to 45° for reflecting the ultrasonic wave 72, while the optical wave 70 still propagates forward after the polished end when the multimode fiber 14 is submerged in an aqueous environment. The transducer 16 is disposed relative to the multimode fiber 14 such that the sensing area 68 of the transducer 1 6 faces the polished reflection face 44. Therefore, the optical and ultrasonic paths are collinear after encountering the reflection face 44, as shown in FIG. 1 C. The 45° mirror face 66 of the mirror element 20 disposed opposite the multimode fiber 14 redirects both the optical wave 70 and ultrasonic waves 72 perpendicularly for side-view illumination and imaging. It should be noted that the ultrasound trace after the mirror element 20 is designed to be perpendicular to its receiving plane within the housing 12 to prevent direct ultrasound wave venting from the transducer 16 as shown in FIG. 1 C, which may cause errant image reconstruction. The disclosed catheter probe 10 ensures that optical and acoustic waves 7 0 a n d 7 2 are collinear within a large tissue depth. The components involved are installed in the housing 12 having an outer diameter reasonably compatible in clinical settings, thus greatly simplifying the catheter assembly process. An embodiment of the catheter probe 10 is shown in FIG. I D, with its outer diameter measured to be 1.6 mm.」
「[0043]マルチモードファイバ14は、光波70をカテーテルプローブ10に供給する。マルチモードファイバ14のファイバ遠位端42は、超音波72を反射するために45°に研磨されてもよいが、マルチモードファイバ14が水性環境中に浸漬されたとき、光波70は研磨された端部の後でも前方に伝搬する。トランスデューサ16は、トランスデューサ16の検出領域68が研磨された反射面44に面するように、マルチモードファイバ14に対して配置される。したがって、図1Cに示すように、反射面44に遭遇した後、光路と超音波路は平行となる。マルチモードファイバ14に対向して配置されたミラー素子20の45°ミラー面66は、側視照明及び撮像のために、光波70と超音波72の両方を垂直に方向転換する。ミラー素子20の後の超音波トレースは、図1Cに示すように、誤った画像再構成を引き起こす可能性のあるトランスデューサ16からの直接的な超音波のベントを防止するために、ハウジング12内のその受信面に対して垂直になるように設計されていることに留意すべきである。開示されたカテーテルプローブ10は、光波70と音響波72が大きな組織深度内で平行であることを保証する。関係する構成要素は、臨床現場で合理的に適合する外径を有するハウジング12内に設置されるため、カテーテルの組立工程が大幅に簡略化される。カテーテルプローブ10の一実施形態が図1Dに示されており、その外径は1.6mmと測定されている。」、
「[0044] An imaging system 100 according to at least one embodiment of the present disclosure is shown in FIG. 2. The imaging system 100 includes the catheter probe 10 connected to an optical parametric oscillator (OPO) 102. In at least one embodiment, the OPO 102 may be a potassium titanyl phosphate (KTP)-based OPO emitting at 1.7 μm with a repetition rate of 500 Hz and pulse width of approximately 13 ns, which provides an optical excitation source for photoacoustic imaging using the imaging system 100. The pulse energy at the fiber distal end 42 of the multimode fiber 14 may be controlled to approximately 120 μJ, corresponding to an energy density of approximately 30 mJ/cm2 at the tissue surface, which is below the 1.0 J/cm2 ANSI safety standard for skin at 1.7 μm.」
「[0044]本開示の少なくとも一実施形態による撮像システム100を図2に示す。撮像システム100は、光パラメトリック発振器(OPO)102に接続されたカテーテルプローブ10を含む。少なくとも1つの実施形態では、OPO102は、500Hzの繰り返し周波数及び約13nsのパルス幅で1.7μmで発光するリン酸チタニルカリウム(KTP)ベースのOPOであってもよく、これは、撮像システム100を使用する光音響撮像のための光励起源を提供する。マルチモードファイバ14のファイバ遠位端42におけるパルスエネルギは、約120μJに制御することができ、これは組織表面における約30mJ/cm2のエネルギ密度に対応し、1.7μmにおける皮膚のANSI安全基準1.0J/cm2を下回る。」、
「[0045] Light generated by the OPO 102 may be coupled to the catheter probe 10 via the multimode fiber 14 via an optical rotary joint 104 and a slip ring 108. The optical rotary joint 104 together with the slip ring 108 may control the rotational scanning of the catheter probe 10. The optical rotary joint 104 may be mounted to a pullback stage 106 to enable 3-D imaging.」
「[0045]OPO102によって生成された光は、光学ロータリジョイント104及びスリップリング108を介して、マルチモードファイバ14を介してカテーテルプローブ10に結合される場合がある。光学ロータリジョイント104はスリップリング108と共にカテーテルプローブ10の回転走査を制御することができる。光学ロータリジョイント104は、3次元撮像を可能にするために、プルバックステージ106に取り付けられてもよい。」、
「[0046] Sequential photoacoustic and ultrasound signals may be generated and detected with a proper time delay. A trigger signal provided by a Q-switch of the OPO 102 synchronizes the data acquisition of the optical wave 70 and acoustic wave 72 signals. A time delay of approximately 10 μs may be applied to an ultrasound pulser/ receiver 112 via a delay generator 110. Both the optical wave 70 and acoustic wave 72 signals are sequentially detected by the transducer 16 and received by the pulser/receiver 112. A data acquisition card 114 may be used to digitize and transfer the generated signals to a computer 116, which may employ data acquisition software such as LabVieR software. The imaging system 100 may include the delay generator 110 (e.g., delay generator 37000- 424 from Datapulse, Inc.), the pulser/receiver 112 (e.g., pulser/receiver 5073PR from Olympus, Inc.), the data acquisition card 114 (e.g., data acquisition card ATS9462 PCI express digitizer from AlazerTech, Canada), and/or the computer 16. In certain embodiments, the pulser/receiver 112 may employ an amplification factor of 39 dB, and the data acquisition card 114 may employ 16-bit digitization and a 180 MS/s sampling rate. In at least one embodiment, the imaging system 100 may have an imaging speed of approximately 1 frame per second, which is around 50 times faster than conventional IVPA imaging systems based on 10-Hz Nd:YAG lasers.」
「[0046]連続する光音響及び超音波信号は、適切な時間遅延で生成及び検出され得る。OPO102のQスイッチによって供給されるトリガ信号が、光波70及び音響波72信号のデータ取得を同期させる。遅延発生器110を介して超音波パルサー/レシーバ112に約10μ≦の時間遅延を適用してもよい。光波70及び音響波72の両信号は、トランスデューサ16によって順次検出され、パルサー/レシーバ112によって受信される。データ取得カード114を使用して、生成された信号をデジタル化してコンピュータ116に転送することができ、このコンピュータ116は、LabViewR ソフトウェアなどのデータ取得ソフトウェアを採用することができる。撮像システム100は、遅延発生器110(例えば、Datapulse社製の遅延発生器37000-424)、パルサ-/レシーバ112(例えば、Olympus社製のパルサ/レシーバ5073PR)、データ取得カード114(例えば、カナダAlazerTech社製のデータ収集カードATS9462 PCI Expressデジタイザ)、及び/又はコンピュータ16を含んでもよい。特定の実施形態では、パルサー/レシーバ112は、39dBの増幅率を採用することができ、データ収集カード114は、16ビットのデジタル化及び180MS/sのサンプリング速度を採用することができる。少なくとも1つの実施形態において、撮像システム100は、約10HzのNd:YAGレーザに基づく従来のIVPA撮像システムよりも約50倍速い、約1フレーム/秒の撮像速度を有することができる。」、
「[0055] The artery segment was imaged in 3-D using the optical rotary joint 104 and a linear pullback stage 106. At a particular longitudinal position, a region of interest was identified with a strong photoacoustic signal in the arterial wall, which could possibly indicate lipid depositions 500 as shown in respective images 504, 506, and 508 of FIGS. 6A-6C. Furthermore, an intense photoacoustic signal peripheral from the vessel wall with an imaging depth of 4.3 mm was observed, suggesting that the imaging system 100 is able to penetrate through the entire arterial wall to reach surrounding perivascular fat 502 that was retained on the excised vessel.」
「[0055]光学ロータリジョイント104とリニアプルバックステージ106を使用して、動脈セグメントを3Dで撮像した。特定の長手方向位置において、図6A~6Cのそれぞれの画像504、506、508に示されるように、おそらく脂質沈着500を示す可能性のある、動脈壁における強い光音響信号を有する関心領域が同定された。さらに、撮像深度4.3mmで血管壁から末梢に強い光音響信号が観察され、これは、撮像システム100が動脈壁全体を貫通して、切除された血管上に保持された周囲の血管周囲脂肪502に到達できることを示唆している。」、
「 [0058] In at least one embodiment of the present disclosure, the imaging speed of the imaging system 100 is 1 frame per second, which is based on the 500 Hz repetition rate of the OPO 102 and one revolution per second rotation speed of the catheter probe 10. Considering the lateral resolution of approximately 425 μm at an axial distance of 5 mm, the number of A-lines for each cross-sectional image may be reduced to 75, which would enable a maximum imaging speed over 6 frames per second. I n certain embodiments, the OPO 102 includes a laser system having a higher repetition rate of 2 kHz, which further improves the imaging speed of the imaging system 100 to approach that of conventional commercial in vivo intravascular imaging systems.」
「[0058]本開示の少なくとも1つの実施形態では、撮像システム100の撮像速度は1秒間に1フレームであり、これはOPO102の500Hzの繰り返し速度とカテーテルプローブ10の1秒間に1回転の回転速度に基づいている。軸方向距離5mmで約425μmの横方向の解像度を考慮すると、各断面画像のAラインの数を75に減らすことができ、これによって1秒間に6フレーム以上の最大撮像速度が可能になる。特定の実施形態では、OPO102は、2kHzのより高い繰り返し周波数を有するレーザシステムを含み、これにより、撮像システム100の撮像速度がさらに改善され、従来の市販の生体内血管内撮像システムの撮像速度に近づく。」、
「[0059] The present disclosure includes a miniature IVPA catheter probe with collinear overlap between the optical and acoustic fields. The catheter probe enables high-quality IVPA imaging of the entire artery wall from lumen to perivascular fat. A lab-fabricated collinear photoacoustic catheter was evaluated for spatial resolution characterization with a 7-μm carbon fiber and chemical composition validation by using a lipid-mimicking phantom. The axial and lateral resolutions were found to be around 80 μm and 400 μm, respectively, over an imaging depth larger than 6 mm. With a co-registered IVPA/IVUS imaging system based on a lab-built 500 Hz OPO at 1.7 μm, the catheter probe was used to image a diseased carotid artery and a human coronary artery ex vivo, resulting in IVPA/IVUS images showing a lipid-rich plaque that corresponds with gross inspection.」
「[0059]本開示は、光学野と音響野との間に平行な重なりを有する小型IVPAカテーテルプローブを含む。このカテーテルプローブは、内腔から血管周囲脂肪までの動脈壁全体の高品質IVPA撮像を可能にする。ラボで作製した共線光音響カテーテルについて、7μmのカーボンファイバを用いた空間分解能の評価と、脂質を模倣したファントムを用いた化学組成の検証を行った。その結果、6mm以上の撮像深さにおいて、軸方向の分解能は約80μm、横方向の分解能は約400μmであった。1.7μmで500HzのOPOに基づくIVPA/IVUS撮像システムを用い、カテーテルプローブを用いて生体外の頸動脈とヒト冠動脈を撮影した結果、肉眼的検査と一致する脂質リッチなプラークを示すIVPA/IVUS画像が得られた。」
イ 特許請求の範囲の記載
「1. A photoacoustic catheter, including: an elongated catheter body having a lumen defined therethrough and a housing positioned at or near a distal end of the elongated catheter body, the housing defining an aperture therethrough;
a length of multimode fiber extending through at least part of the lumen of the elongated catheter body, the multimode fiber having an axis along its length, whereby a distal end of the multimode fiber is beveled at or about 45° to the axis and is located within the housing;
an electrical wire extending along the elongated catheter body;
an ultrasonic transducer electrically connected to the electrical wire, whereby at least a portion of the ultrasonic transducer is positioned within the housing; and
a mirror element positioned within the housing and including a mirror surface beveled at or about 45° to the axis of the multimode fiber;
whereby the photoacoustic catheter is operable to deliver an optical wave a n d an ultrasonic wave collinearly t h r o u g h t h e housing and out of the aperture to obtain optical data and ultrasonic data within a mammalian luminal organ.
・・・
16. An imaging system including a photoacoustic catheter, the photoacoustic catheter including an elongated catheter body and a housing positioned near a distal end of the elongated catheter body, a length of multimode fiber extending through the elongated catheter body and terminating in the housing, an ultrasonic transducer positioned at least partially within the housing, and a mirror element positioned at least partially within the housing and including a mirror surface, the imaging system including:
an optical excitation source operatively connected to the photoacoustic catheter via the multimode fiber to deliver an optical wave;
a pulser/receiver operatively connected to the photoacoustic catheter via the ultrasonic transducer to deliver an ultrasonic wave;
whereby the photoacoustic catheter is operable to deliver the optical wave and the ultrasonic wave collinearly through the housing and out of the aperture to obtain optical data and ultrasonic data within a mammalian luminal organ;
whereby the optical wave and the ultrasonic wave are detected by the ultrasonic transducer and received by the pulser/receiver; and
a data acquisition device operatively connected to the photoacoustic catheter via the pulser/receiver to digitize signals received at the pulser/receiver.
17. The imaging system of claim 16, further including a computer operatively connected to the data acquisition device to display optical data and ultrasonic data based on the optical wave and the ultrasonic wave .
18. The imaging system of claim 16, wherein the optical excitation source is a potassium titanyl phosphate based optical parametric oscillator.
19. The imaging system of claim 16, wherein the optical excitation source is coupled to the photoacoustic catheter via the multimode fiber via an optical rotary joint and a slip ring.
20. The imaging system of claim 16, further including a trigger signal of a Q-switch of the optical excitation source synchronizing data acquisition of the optical wave and the ultrasonic wave.」
「1.光音響カテーテルであって、内腔を有する細長いカテーテル本体と、細長いカテーテル本体の遠位端又はその近傍に配置されたハウジングであって、ハウジングはその内腔に開口を画定しているハウジングと、を含む光音響カテーテル;
細長いカテーテル本体の内腔の少なくとも一部を通って延びるマルチモードファイバの長さであって、該マルチモードファイバはその長さに沿って軸を有し、該マルチモードファイバの遠位端は該軸に対して約45°で面取りされ、該ハウジング内に位置する、マルチモードファイバの長さ;
細長いカテーテル本体に沿って延びる電気ワイヤ;
電気ワイヤに電気的に接続された超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサの少なくとも一部がハウジング内に配置されている、超音波トランスデューサ;及び
ハウジング内に配置され、マルチモードファイバの軸に対して約45°に面取りされたミラー面を含むミラー要素;
これにより、このカテーテルは、哺乳類の管腔臓器官内で光学データ及び超音波データを取得するために、光波及び超音波をハウジングから開口部に向かって平行に送出するように動作可能である。
・・・
16.光音響カテーテルを含む撮像システムであって、光音響カテーテルは、細長いカテーテル本体と、細長いカテーテル本体の遠位端近傍に配置されたハウジングと、細長いカテーテル本体を通って延び、ハウジング内で終端する長さのマルチモードファイバと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された超音波トランスデューサと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、ミラー面を含むミラー要素とを含み、撮像システムは以下を含む:
マルチモードファイバを介して光音響カテーテルに動作可能に接続され、光波を供給する光励起源;
超音波トランスデューサを介して光音響カテーテルに動作可能に接続され、超音波を送信するパルサー/レシーバ;
これにより、光音響カテーテルは、哺乳類の管腔臓器内で光学データ及び超音波データを取得するために、光波及び超音波をハウジングを通して開口部から平行に送出するように動作可能であり;
これにより、光波及び超音波は、超音波トランスデューサによって検出され、パルサー/レシーバによって受信され;及び
パルサー/レシーバを介して光音響カテーテルに作動的に接続され、パルサー/レシーバで受信された信号をデジタル化するデータ取得装置。
17.前記データ取得装置に作動的に接続され、光波及び超音波に基づいて光データ及び超音波データを表示するコンピュータをさらに含む、請求項16に記載の撮像システム。
18.前記光励起源は、リン酸チタニルカリウムベースの光パラメトリック発振器である、請求項16に記載の撮像システム。
19.前記光励起源は、光学ロータリジョイント及びスリップリングを介して前記マルチモードファイバを介して前記光音響カテーテルに結合される、請求項16に記載の撮像システム。
20.前記光励起源のQスイッチのトリガ信号が、前記光波と前記超音波のデータ取得を同期させることをさらに含む、請求項16に記載の撮像システム。」
ウ 図面の記載
Fig.1A(図1A)・Fig.1B(図1B)
「
[図:0001421122000001.jpg]
」、
Fig.1C(図1C)・Fig.1D(図1D)
「
[図:0001421122000002.jpg]
」、
Fig.2(図2)
「
[図:0001421122000003.jpg]
」、
Fig.6A(図6A)・Fig.6B(図6B)・Fig.6C(図6C)
「
[図:0001421122000004.jpg]
」
(2)引用文献1の記載の整理
ア 認定事項1
[0039]には「トランスデューサ16に電気的に接続されたワイヤ18」、
請求項1には「細長いカテーテル本体に沿って延びる電気ワイヤ;
電気ワイヤに電気的に接続された超音波トランスデューサ」と記載されていること。
また、図2から、スリップリング108と超音波パルサー/レシーバ112とが接続されていることが看て取れること。
そして、請求項1には「細長いカテーテル本体の内腔・・・を通って延びるマルチモードファイバ」、[0042]には「カテーテルプローブ10は、図1Dに示すように、ハウジング12に取り付けられたトルクコイル62をさらに含んでもよい。トルクコイル62は、マルチモードファイバ14及びトランスデューサ16から延びるワイヤ18を包囲してもよい。」と記載さていることから、「超音波トランスデューサ16に電気的に接続されたワイヤ18」が、「マルチモードファイバ」同様、「細長いカテーテル本体の内腔」「を通って」いることは明らかであること。
これらのことから、引用文献1には、
「超音波トランスデューサ16に電気的に接続されたワイヤ18は、細長いカテーテル本体の内腔を通ってスリップリング108を介して超音波パルサー/レシーバ112と接続される」ことが記載されていると認められる。
イ 認定事項2
[0045]には「光学ロータリジョイント104はスリップリング108と共にカテーテルプローブ10の回転走査を制御することができる。」と記載されていること。
また、図2から、光学ロータリジョイント104は、スリップリング108よりカテーテルプローブ10をその近位端側で支持していることが看て取れること。
これらのことから、引用文献1には、「光学ロータリジョイント104は、スリップリング108よりカテーテルプローブ10をその近位端側で支持し、スリップリング108は、そこを貫通するカテーテルプローブ10を回転可能に支持している」ことが記載されていると認められる。
ウ 認定事項3
[0046]には「連続する光音響及び超音波信号は、適切な時間遅延で生成及び検出され得る。OPO102のQスイッチによって供給されるトリガ信号が、光波70及び音響波72信号のデータ取得を同期させる。遅延発生器110を介して超音波パルサー/レシーバ112に約10μ≦の時間遅延を適用してもよい。光波70及び音響波72の両信号は、トランスデューサ16によって順次検出され、パルサー/レシーバ112によって受信される。データ取得カード114を使用して、生成された信号をデジタル化してコンピュータ116は、に転送することができ、このコンピュータ116は、・・・データ取得ソフトウェアを採用することができる。」、
請求項16には「超音波トランスデューサを介して光音響カテーテルに動作可能に接続され、超音波を送信するパルサー/レシーバ;
これにより、光音響カテーテルは、哺乳類の管腔臓器内で光学データ及び超音波データを取得するために、光波及び超音波をハウジングを通して開口部から平行に送出するように動作可能であり;
これにより、光波及び超音波は、超音波トランスデューサによって検出され、パルサー/レシーバによって受信され;及び
パルサー/レシーバを介して光音響カテーテルに作動的に接続され、パルサー/レシーバで受信された信号をデジタル化するデータ取得装置」、
請求項17には「前記データ取得装置に作動的に接続され、光波及び超音波に基づいて光データ及び超音波データを表示するコンピュータをさらに含む」、
請求項20には「前記光励起源のQスイッチのトリガ信号が、前記光波と前記超音波のデータ取得を同期させることをさらに含む」と記載されていること。
また、図2から、超音波パルサー/レシーバ112とスリップリング108との間を流れる信号は、双方向ともパルス信号であることが看て取れること。
これらのことから、引用文献1には、
「遅延発生器110は、光パラメトリック発振器102のQスイッチが供給するトリガ信号によって、超音波パルサー/レシーバ112に約10μ≦の時間遅延を適用し、
超音波パルサー/レシーバ112は、光波70のパルス信号に対し時間遅延させた音響波72のパルス信号を超音波トランスデューサ16に送信し、
超音波トランスデューサ16は、哺乳類の管腔臓器内で光学データ及び超音波データを取得するために、光波70及び音響波72を信号開口部74を介して送出し、管腔臓器からの音響波72を信号開口部74を介して順次検出し、
超音波パルサー/レシーバ112は、超音波トランスデューサ16によって順次検出された音響波72のパルス信号を受信し、
データ取得カード114は、受信された音響波72の信号をデジタル化し、
コンピュータ116は、デジタル化された音響波72に基づき光学データ及び超音波データを表示する」ことが記載されていると認められる。
(3)引用文献1に記載された発明
前記(1)の記載事項及び図面、並びに前記(2)の認定事項を総合勘案すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠とした記載箇所を示す。なお、意味合いが同じ用語については記載を統一した。
「a 光音響カテーテルとも呼ばれるカテーテルプローブ10を含むIVPA/IVUS撮像システム100であって、([0037]、[0059]、請求項16)
b IVPA/IVUS撮像システム100は、遅延発生器110、超音波パルサー/レシーバ112、データ取得カード114、及びコンピュータ16を含み、([0046])
c カテーテルプローブ10は、細長いカテーテル本体と、細長いカテーテル本体の遠位端近傍に配置されたハウジング12と、細長いカテーテル本体の内腔を通って延び、ハウジング12内で終端する長さのマルチモードファイバ14と、ハウジング12内に配置された超音波トランスデューサ16と、ハウジング内12に配置されたミラー要素20とを含み、ハウジング12は、それを貫通して形成された信号開口部74を含み、(請求項1、請求項16、[0040])
d カテーテルプローブ10は、必要に応じて様々なコネクタ及び付属品、例えば、マルチモードファイバ14の近位端に取り付けられたファイバコネクタを含むことができ、カテーテルプローブ10は、ハウジング12の中に形成された形成された信号チャンバ22内に収容された水溶液などの溶液をさらに含むことができ、この溶液は光波70及び音響波72を伝達することができ、([0037]、[0042])
e IVPA/IVUS撮像システム100は、マルチモードファイバ14を介して、カテーテルプローブ10に動作可能に接続され、光波70(すなわち、光ビーム)を供給する光励起源を含み、光励起源は、波長1.7μm、繰り返し周波数500Hzの光パルスを出力する光パラメトリック発振器102であり、(請求項16、[0036]、[0038]、[0044])
f 光パラメトリック発振器102は、光学ロータリジョイント104及びスリップリング108を介してマルチモードファイバ14を介してカテーテルプローブ10に結合され、光学ロータリジョイント104は、スリップリング108よりカテーテルプローブ10をその近位端側で支持し、スリップリング108は、そこを貫通するカテーテルプローブ10を回転可能に支持し、光学ロータリジョイント104は、スリップリング108と共にカテーテルプローブ10の回転走査を制御し、光学ロータリジョイント104は、3次元撮像を可能にするために、プルバックステージ106に取り付けられ、(請求項19、[0045]、認定事項2)
g 超音波トランスデューサ16に電気的に接続されたワイヤ18は、細長いカテーテル本体の内腔を通ってスリップリング108を介して超音波パルサー/レシーバ112と接続され、(認定事項1)
h 遅延発生器110は、光パラメトリック発振器102のQスイッチが供給するトリガ信号によって、超音波パルサー/レシーバ112に約10μ≦の時間遅延を適用し、(認定事項3)
i 超音波パルサー/レシーバ112は、光波70のパルス信号に対し時間遅延させた音響波72のパルス信号を超音波トランスデューサ16に送信し、(認定事項3)
j 超音波トランスデューサ16は、哺乳類の管腔臓器内で光学データ及び超音波データを取得するために、光波70及び音響波72を信号開口部74を介して送出し、管腔臓器からの音響波72を信号開口部74を介して順次検出し、(認定事項3)
k 超音波パルサー/レシーバ112は、超音波トランスデューサ16によって順次検出された音響波72のパルス信号を受信し、(認定事項3)
l データ取得カード114は、受信された音響波72の信号をデジタル化し、(認定事項2)
m コンピュータ116は、デジタル化された音響波72に基づき光学データ及び超音波データを表示し、(認定事項3)
n 動脈の外側の境界及び管腔が強調された超音波画像と合成された光音響画像の断面画像が得られた、([0033])
o IVPA/IVUS撮像システム100。」
2 引用文献3に記載された事項
(1)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由において引用された文献であって、本願の優先権主張の日前に公知となった引用文献3には、以下の記載がある。
「[0047]A general diagram of the high-resolution imaging probe 50 of the imaging apparatus 150 of FIG. 1 is shown in FIG. 2A to include an axially elongated, flexible body having substantially small insertion width, a distal end 51 (to be inserted in a lumen), and a proximal end 52 (cooperated with the imaging console 100). Generally, the probe 50 has a flexible core or shaft 53 enclosed in an outer sheath 54. The sheath 54 includes a single- or multi-lumen preferably sealingly closed with a smooth rounded tip at the distal end 51. However, in some embodiments of the probe 50, as discussed below, at least one lumen of the sheath 54 is open to the ambient at the distal end 51 to act as a working channel. Such single-lumen or multi-lumen catheter can be fabricated, for example, by extrusion process from variety of suitable polymers (such as PTFE, FEP, nylon) with suitable dimensions (for example, inner diameters and wall thicknesses as small as 50 m). As coordinated by the DU 101 of FIG. 2B, the shaft 53 of the probe 50 is freely rotatable and/or translatable relative to the sheath 54 at least in some embodiments. During the operation, the probe 50, driven by the module 120 of FIG. 2B, projects a non-ionizing interrogating energy 55 (such as ultrasound energy and/or optical energy) toward the ambient medium that may include lumen tissue 56. The probe 50 also receives the return energy originated at the tissue in response to the interrogating energy and encoded by the tissue response.」
「[0047]図1の撮像装置150の高解像度撮像プローブ50の一般的な図が図2Aに示されており、実質的に小さな挿入幅を有する軸方向に細長い可撓性本体と、(管腔内に挿入される)遠位端51と、(撮像コンソール100と協働する)近位端52とを含む。一般に、プローブ50は、外側シース54に包まれた可撓性コア又はシャフト53を有する。シース54は、遠位端51において滑らかな丸みを帯びた先端で好ましくは密封的に閉じられた単一又は複数のルーメンを含む。しかしながら、プローブ50のいくつかの実施形態では、後述するように、シース54の少なくとも1つの内腔は、遠位端51において周囲に開口しており、作業チャネルとして機能する。このような単一管腔又は多管腔のカテーテルは、例えば、適切な寸法(例えば、内径及び壁厚が50mと小さい)を有する様々な適切なポリマー(PTFE、FEP、ナイロンなど)から押出成形プロセスによって作製することができる。図2BのDU101によって調整されるように、プローブ50のシャフト53は、少なくともいくつかの実施形態では、シース54に対して自由に回転可能及び/又は並進可能である。動作中、図2Bのモジュール120によって駆動されるプローブ50は、管腔組織56を含み得る周囲媒体に向けて非イオン化質問エネルギ55(超音波エネルギ及び/又は光エネルギなど)を投射する。プローブ50はまた、質問エネルギに応答して組織で発生し、組織応答によって符号化された戻りエネルギを受信する。」、
「[0149]In some embodiment of the photoacoustic imaging with the distal end arrangement shown in FIG. 20A, an optical energy 55P from the excitation source 121C is delivered to the tissue through the probe 50 consisting of a shaft 53P and a sheath 54P. In this embodiment the shaft 53P is similar to the shaft 53 of FIG. 7 but has an additional optical fiber 57P. The optical fiber 57P can be any optical fiber described before. The shaft 53P also has an optical directing element 59P for example a mirror attached to the shaft body with the mounting tube 67. The directing element 59P projects the optical energy 55P to tissue regions substantially overlapped with a region 56P where the ultrasound transducer 65 can effectively collect ultrasound transients. The sheath 54P is similar to the sheath 54 of FIG. 7 but is made of material at least partially substantially transparent for both acoustic and optical energies. Pebax is one example of such material. For this embodiment, the rotary join 107 is a combined optical and electrical rotary joint commercially available for example from Princetel, N.J.」
「[0149]図20Aに示す遠位端配置を有する光音響撮像のいくつかの実施形態では、励起源121Cからの光エネルギ55Pが、シャフト53Pとシース54Pとからなるプローブ50を介して組織に送達される。この実施形態では、シャフト53Pは、図7のシャフト53と同様であるが、追加の光ファイバ57Pを有する。光ファイバ57Pは、先に説明した任意の光ファイバとすることができる。シャフト53Pはまた、取付管67でシャフト本体に取り付けられた例えばミラーのような光指向素子59Pを有する。指向素子59Pは、超音波トランスデューサ65が超音波トランジェントを効果的に収集できる領域56Pと実質的に重なる組織領域に光エネルギ55Pを投射する。シース54Pは、図7のシース54と同様であるが、音響エネルギ及び光エネルギの両方に対して少なくとも部分的に実質的に透明な材料で作られている。Pebaxはそのような材料の一例である。この実施形態では、回転接合部107は、例えばPrincetel,N.J.から市販されている光学的及び電気的回転接合部を組み合わせたものである。」、
FIG.2A(図2A)・FIG.2B(図2B)
「
[図:0001421122000005.jpg]
」、
FIG.20A(図20A)
「
[図:0001421122000006.jpg]
」
(2)引用文献3に記載された技術的事項
前記(1)の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献3には、以下の技術的事項(以下「引用文献3技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「遠位端配置を有する光音響撮像装置であって、
励起源121Cからの光エネルギ55Pが、シャフト53Pとシース54Pとからなるプローブ50を介して組織に送達され、シャフト53Pは、光ファイバ57Pを有し、シャフト53Pはまた、取付管67でシャフト本体に取り付けられた例えばミラーのような光指向素子59Pを有し、指向素子59Pは、超音波トランスデューサ65が超音波トランジェントを効果的に収集できる領域56Pと実質的に重なる組織領域に光エネルギ55Pを投射し、シース54Pは、音響エネルギ及び光エネルギの両方に対して透明な材料で作られている、
光音響撮像装置。」
3 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において周知技術として引用された文献5であって、本願の優先権主張の日前に公知となった引用文献5には、以下の記載がある。
「【0076】IV シース
上述のように、脈管内撮像システム20の作動中、駆動ケーブル28及びセンサーアセンブリ24は、トランスジューサセンサ42が励起され監視されている間一定の角速度で回転する。この回転を人体内に収容するために、駆動ケーブル28及びセンサーアセンブリ24は可とう性の細長い部材26の中に置かれる。この細長い部材26は、駆動ケーブル28とセンサーアセンブリ24の両方を閉じ込めるばかりでなくトランスジューサセンサ42を冠状脈管構造内の望ましい場所に位置づけするのにも役立つ非回転式で生体適合性のあるシースで構成されている。図6を参照すると、好ましい実施態様においては、細長い部材26は、患者の体外に延びる近位部分84と冠状動脈内に位置づけることのできる遠位部分82を有する管状シース80を含んでいる。このシース80の近位部分84は、定置(回転しない)コンポーネント、特定的に言うとそれ自体結合解除用部材30のハウジング(以下に説明され図14に描かれているような)に連結されているカテーテルマニホルド85に固定されている。図1、2及び4に示されているように、センサーアセンブリ24は、細長い部材26の内腔特定的に言うとその遠位部分内のシース80の内腔86の中に置かれている。
【0077】シース80の内側にあるトランスジューサセンサ42から患者の体内への超音波信号の伝送を可能にし(又それを再び反射し戻す)ために、シース80又は少なくともその遠位部分は、超音波信号に対する透過性をもつ材料で作られている。当該実施態様においては、シース80又はその遠位部分はTPX材料特定的に言うと、メチルペンテン共重合体プラスチックで作られている。TPX材料は水に近い音響インピーダンス、低い摩擦係数及び優れた機械特性を有する。TPX材料の音響インピーダンスは水に近いことから、シースと血液との界面ではきわめてわずかな信号反射しか作り出されない。この特性のため、TPX材料はトランスジューサに対し透明に見えることができる。
【0078】最も好ましい実施態様においては、シース80は、ポリウレタン材料で形成されている。シースを超音波の通路に対し透過性あるものにするため、トランスジューサセンサ43は、例えば10度といったやや前方向の傾動角度でハウジング40の中にとりつけられている。こうして、反射無しに超音波がシース80の中を通過できることになる。冠状脈管構造内での位置づけに適した低い断面形状をもつシース80が形成される。好ましい一実施態様においては、このシース80は、0.040インチの外径をもつ。TPX材料は押出し成形プロセスに向いており、容易に非常に壁寸法まで引き抜きできる。この実施態様においては、シースの壁直径は0.0025であり、内側内腔の直径は0.035である。
・・・
【0082】シース80の遠位端部には、誘導用先端部(チップ)88がある。誘導用先端部88は、内側内腔シール87から遠位で、シース80の内腔86内に位置づけられてよい。誘導用先端部88は薄い白金線のコイルといった放射線不透過性の材料で構成されていてよい。白金は、固有の放射線不透過性をもちコイル形状に巻きとられた状態で、柔かく可とう性ある放射線不透過性の破砕耐性ある先端部を作り出す。シース80の内腔86内部にコイルをとりつけることにより、シース80の平滑な外部表面を保持することが可能となり、かくして誘導用カテーテルを通しての又場合によっては冠状動脈内へのシース80の操作が容易になる。」
4 引用文献6に記載された事項
原査定の拒絶の理由において周知技術として引用された文献6であって、本願の優先権主張の日前に公知となった引用文献6には、以下の記載がある。
「【0025】
カテーテル242は、任意の断面形状及び/又は形態を有することができ、下側尿路に受入れられる任意の望ましい寸法とすることができる。外側シース(図示せず)は、カテーテル242を取り囲むことができる。外側シースは、ポリイミド、ポリウレタン、又は任意の他の適切な材料等の絶縁ポリマー材料から構成することができる。遠位部分等の外側シースの少なくとも一部分は、反らし可能及び/又はステアリング可能である。カテーテル242はまた、カテーテル242の近位端部238からカテーテル242の遠位端部230まで延びる1又は2以上の内腔を含む。内腔は、任意のサイズ、断面積、形状、及び/又は形態を有することができる。」
第5 当審の判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)構成A、L
「IVPA」は、血管内光音響(intravascular photoacoustic)の略語であるから、引用発明(構成a、n、o)の「動脈の外側の境界及び管腔」「の断面画像が得られた」「IVPA/IVUS撮像システム100」は、本願発明(構成A、L)の「血管内光音響断層撮影装置」に相当する。
(2)構成B
引用発明(構成e)の「光波70(すなわち、光ビーム)を供給する光励起源」である「波長1.7μm、繰り返し周波数500Hzの光パルスを出力する光パラメトリック発振器102」は、本願発明(構成B)の「所望の波長で光ビームを放出するよう構成される光源」に相当する。
(3)構成C
引用発明(構成i、k)の「音響波72のパルス信号を超音波トランスデューサ16に送信し、」「超音波トランスデューサ16によって順次検出された音響波72のパルス信号を受信」する「超音波パルサー/レシーバ112」は、本願発明(構成C)の「超音波パルスを送受信するよう構成されるパルサ受信機」に相当する。
(4)構成D
引用発明(構成h、i)の「供給するトリガ信号によって、」「超音波パルサー/レシーバ112」が「送信」する「音響波72のパルス信号を」、「光波70のパルス信号に対し時間遅延させ」る「遅延発生器110」は、本願発明(構成D)の「前記超音波パルスを遅延させてトリガするよう構成される遅延生成器」に相当する。
(5)構成E
引用発明が、「IVPA/IVUS撮像」を行うために、上記(2)~(4)で説示した「超音波パルサー/レシーバ112」、「光パラメトリック発振器102」、及び「遅延発生器110」を制御する手段を備えていることは、技術的に明らかである。
よって、引用発明は、本願発明(構成E)の「前記パルサ受信機、光源、及び遅延生成器を制御するよう構成される処理手段」に相当する構成を備えているといえる。
(7)構成F
本願発明(構成F)の「コネクタ」について、本願明細書の【0026】には、「コネクタは、ルアー・スリップ式コネクタであり得るが、どんな好適なコネクタも使用できる。」と記載されている。
引用発明(構成f、g)では、「スリップリング108は、そこを貫通するカテーテルプローブ10を回転可能に支持し」、「超音波トランスデューサ16に電気的に接続されたワイヤ18は、細長いカテーテル本体の内腔を通ってスリップリング108を介して超音波パルサー/レシーバ112と接続され」ている。そして、スリップリングは、回転体に対して電力や信号を伝達することができる回転コネクタのことであるから、引用発明の「スリップリング108」は、回転体である「カテーテルプローブ10」の「細長いカテーテル本体の内腔を通るワイヤ18」と、「超音波パルサー/レシーバ112」との間で信号を伝達する回転コネクタであるといえる。すると、引用発明の「スリップリング108」は、本願発明(構成F)の「コネクタ」に相当する。
また、引用発明(構成f)の「スリップリング108」の「カテーテルプローブ10」が「貫通する」近位端側は、本願発明(構成F)の「第1の端部」に相当し、また、引用発明(構成f)の「スリップリング108」の「カテーテルプローブ10」が「貫通する」遠位端側は、本願発明(構成F)の「第2の端部」に相当する。
すると、引用発明の「カテーテルプローブ10」を「貫通」させる「スリップリング108」は、本願発明(構成F)の「第1の端部及び第2の端部を具備するコネクタ」に相当する。
(8)構成G
本願発明(構成G)の「結合」について、【0022】に「用語「結合された」は、2つの部材が互いに直接的又は間接的に結合することを意味する。・・・かかる結合は、互いにただ1つの単体として一体的に形成されている、2つの部材若しくは2つの部材及び任意の追加の中間部材か、又は互いに取り付けられている、2つの部材若しくは2つの部材及び任意の追加の中間部材によって、実現し得る。」と定義され、【0029】には、「結合手段119と同様に、第2の結合手段を使用して、光源を画像化探触子部分123に送達できる。・・・この第2の結合手段は、光源119から延出する第1の結合手段119の一部であり得るか、又は第1の結合手段119とは別々であり得る。」との2つの態様が記載されている。
この「結合」に関する本願明細書の定義乃至は態様を踏まえると、本願発明の「結合」には、引用発明の「マルチモードファイバ14」が、「光パラメトリック発振器102」から「ハウジング12」まで、同一部材である態様を含むと解せることから、上記(7)で説示したとおり、引用発明において、「カテーテルプローブ10」が「スリップリング108」を「貫通する」ことは、「カテーテルプローブ10」の「マルチモードファイバ14」によって、「光パラメトリック発振器102」を、「スリップリング108」の前記近位端側に通信可能に「結合」するとも解し得る。
すると、引用発明(構成f、g)の「光パラメトリック発振器102」を、「スリップリング108」の前記近位端側に通信可能に「結合」する「マルチモードファイバ14」における、「光パラメトリック発振器102」から「スリップリング108」の近位端までの部分は、本願発明(構成G)の「前記光源を前記コネクタの前記第1の端部に通信可能に結合するよう構成される結合手段」に相当する。
(9)構成H
引用発明の「カテーテルプローブ10」は、近位端と遠位端を備えることは明らかであるから、本願発明の(構成H)の「第1の端部及び第2の端部を具備するカテーテル」に相当する。
また、上記(7)で説示したとおり、引用発明において、「カテーテルプローブ10」が「スリップリング108」を「貫通する」ことは、「結合」に関する上記(8)での理解を踏まえると、「カテーテルプローブ10」が、「スリップリング108」の前記遠位端側に「結合」されるとも解し得るから、引用発明(構成f、g)の「カテーテルプローブ10」が、「スリップリング108」の遠位端側に「結合」されることは、本願発明の(構成H)の「前記カテーテルは、前記コネクタの前記第2の端部に結合され」ることに相当する。
そして、上記(8)で示した本願明細書の【0029】には、「結合手段119と同様に、第2の結合手段を使用して、光源を画像化探触子部分123に送達できる。・・・この第2の結合手段は、光源119から延出する第1の結合手段119の一部であり得る」と記載されており、光源を画像化探触子部分123に送達する第2の結合手段は、第1の結合手段119の一部であり得るから、引用発明の「マルチモードファイバ14」の一部が、本願発明の「光ファイバ」に相当する。すると、引用発明の「ミラー要素20」、「超音波トランスデューサ16」、及び「マルチモードファイバ14」の一部を「含」む「ハウジング12」は、本願発明の(構成H)の「ミラー、トランスデューサ、及び光ファイバを具備する」「画像化探触子部分」に相当する。
まとめると、引用発明の、近位端と遠位端を備える「カテーテルプローブ10」であって、「カテーテルプローブ10」は、「スリップリング108」の前記遠位端側に「結合」され、「カテーテルプローブ10」は、「ミラー要素20」、「超音波トランスデューサ16」、及び「マルチモードファイバ14」の一部を「含」む「ハウジング12」を備える、「カテーテルプローブ10」は、本願発明(構成H)の「第1の端部及び第2の端部を具備するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記コネクタの前記第2の端部に結合され、前記カテーテルは、画像化探触子部分を具備し、前記画像化探触子部分は、ミラー、トランスデューサ、及び光ファイバを具備するカテーテル」に相当する。
(10)構成I
引用発明(構成f)の「光学ロータリジョイント104」を「取り付」けた「プルバックステージ106」は、「3次元撮像を可能にするために、」「カテーテルプローブ10」を「光学ロータリジョイント104」によって「回転」させ、「プルバックステージ106」によって軸方向に移動させるものと解せるから、ここでの「軸方向に移動させる」ことが本願発明(構成I)の「第1の軸に沿って移動するよう構成される」ことに相当する。よって、引用発明(構成f)の「光学ロータリジョイント104」を「取り付」けた「プルバックステージ106」は、本願発明(構成I)の「少なくとも第1の軸に沿って移動するよう構成されるステージ」に相当する。
また、「結合」について、【0022】に「用語「結合された」は、2つの部材が互いに直接的又は間接的に結合することを意味する。」と記載されていることを踏まえると、引用発明の「光学ロータリジョイント104」は、「スリップリング108」の前記近位端側に間接的に(「カテーテルプローブ10」を介して)「結合」しているといえる。
まとめると、引用発明の「スリップリング108」の前記近位端側に「結合」された「光学ロータリジョイント104」を「取り付」けた「プルバックステージ106」は、本願発明(構成I)の「前記コネクタの前記第1の端部に結合されたステージであって、前記ステージは、少なくとも第1の軸に沿って移動するよう構成されるステージ」に相当する。
2 一致点・相違点
上記1での対比によれば、本願発明と引用発明とは、以下の(1)の点で一致し、以下の(2)の点で相違する。
(1)一致点
「A 血管内光音響断層撮影装置であって、
前記装置は、
B 所望の波長で光ビームを放出するよう構成される光源と、
C 超音波パルスを送受信するよう構成されるパルサ受信機と、
D 前記超音波パルスを遅延させてトリガするよう構成される遅延生成器と、
E 前記パルサ受信機、光源、及び遅延生成器を制御するよう構成される処理手段と、
F 第1の端部及び第2の端部を具備するコネクタと、
G 前記光源を前記コネクタの前記第1の端部に通信可能に結合するよう構成される結合手段と、
H 第1の端部及び第2の端部を具備するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記コネクタの前記第2の端部に結合され、前記カテーテルは、画像化探触子部分を具備し、前記画像化探触子部分は、ミラー、トランスデューサ、及び光ファイバを具備するカテーテルと、
I 前記コネクタの前記第1の端部に結合されたステージであって、前記ステージは、少なくとも第1の軸に沿って移動するよう構成されるステージと
を備える、
L 血管内光音響断層撮影装置。」
(2)相違点(構成J、K)
本願発明では、「前記カテーテルは、外側シースを備え、前記外側シースは、ポリウレタンから構成される」のに対し、引用発明では、「外側シース」を備えているか不明であり、そのため、「外側シース」の材質も不明である点。
3 判断
上記相違点について検討する。
(1)カテーテルプローブが、カテーテル本体・カテーテル本体に接続されたハウジングを囲む外側シースを備えることは、常套手段(例えば、第4の2(1)で提示した引用文献3の[0047]、図2A・図2Bを参照。外側シースを備えないとカテーテル本体がむき出しになり、管腔を傷つけることにもなる。)であるところ、カテーテルプローブのシース材料としてポリウレタンを用いることは、周知技術(例えば、第4の3で提示した引用文献5、第4の4で提示した引用文献6を参照)である。
一方、引用文献1には、外側シースを備える旨明記されてはいないが、引用発明(構成j)は、ハウジング12の信号開口部74から、光波70及び音響波72を送出・送入している。しかし、引用発明(構成d)では、光波70及び音響波72を伝達するために、ハウジング12の中に水溶液などの溶液を収容することから、溶液がハウジング12の信号開口部74から管腔臓器側に流れ、溶液ロスや管腔臓器への悪影響が考えられることからも、引用発明において、上記常套手段を採用し、カテーテルプローブ10に、カテーテル本体・カテーテル本体に接続されたハウジング12を囲む外側シースを備えることは、十分に動機のあることであり、その際、上記周知技術に鑑み、ポリウレタンからなる外側シースを用いて、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(2)ここで、「光音響撮像装置」において、「シース54Pは、音響エネルギ及び光エネルギの両方に対して透明な材料で作られている」ことが、引用文献3技術的事項(第4の2(2)参照)に示されており、一般に、光と音響波とを透過させる透明部材としてポリウレタンを用いることは、例えば特開2016-73509号公報(【0024】、【0025】)に記載されているように慣用手段にすぎない。
してみると、光音響撮像装置である引用発明において、上記(1)のとおり、カテーテルプローブ10に、カテーテル本体・カテーテル本体に接続されたハウジング12を囲む、ポリウレタンからなる外側シースを用いることに何ら阻害要因も存在しない。
(3)そして、本願発明により奏される効果は、当業者が、上記提示された文献、上記周知技術等から予測し得た範囲内のものであって、格別顕著なものではない。
4 請求人の主張について
(1)審判請求書における請求人の主張
審判請求書において、次のように主張している。
「(ハ)本発明では、光音響(PA:photoacoustic)信号および超音波(US:ultrasound)信号の両方に対して適切な材料を使用する必要がある。PAにもUSにも適切な材料としてポリウレタンを特定することは、容易に想到できるものではない。
(ニ)PAにもUSにも適切な材料を適用し、高感度及び十分な深度を有する血管内光音響断層撮影装置を提供するという技術的思想は、引用文献にはない。引用文献5および引用文献6にはポリウレタンが開示されていると審査官はご認定されているが、引用文献5および引用文献6を組み合わせることは後知恵でしかない。」
(2)請求人の主張について
上記(1)の主張は、上記3で説示したとおりであるから、請求人の前記(1)の主張は採用できない。
5 小括
よって、本願発明は、引用発明、引用文献3に記載された技術的事項、引用文献5、6等に記載された周知技術等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-000855