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特許無効審判

2023-800078

電子タバコ用充填物およびそれを用いた電子タバコカートリッジ

審判番号
2023-800078
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2018-095815
登録番号
6865469
請求日
2023年12月11日
審決日
2024年12月10日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】深▲せん▼佳聚電子技術有限公司
  • 【請求人代理人】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
  • 【被請求人】Future Technology 株式会社
  • 【被請求人代理人】高橋 雄一郎
  • 【被請求人代理人】望月 尚子
  • 【被請求人代理人】金森 毅
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 竹下 和志
  • 審判官 鈴木 充
分類
P1113.121-YAA(A24B) / P1113.537-YAA(A24B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第1項、特許法第44条第1項、特許法第134条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第123条第1項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第123条第1項第4号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6865469号発明「電子タバコ用充填物およびそれを用いた電子タバコカートリッジ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6865469号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第6865469号の請求項1-5に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 第2 手続の経緯 1 分割出願の経緯の概略 本件無効審判の請求に係る特許第6865469号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成30年5月18日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成30年2月26日(優先権主張 平成30年2月23日)に出願した特願2018-32617号の一部を新たな特許出願としたものである。 2 本件特許の手続の経緯の概略 本件特許の請求項1-5に係る発明についての、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 平成30年 5月18日 :出願(特願2018-95815号) 令和 2年 8月19日 :手続補正書の提出 同年 9月 7日付け:拒絶理由通知書 同年11月12日 :意見書及び手続補正書の提出 同年12月15日付け:拒絶理由通知書 令和 3年 2月16日 :意見書及び手続補正書の提出 同年 3月 1日付け:特許査定 同年 4月 8日 :設定登録 3 本件無効審判の手続の経緯 本件無効審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和 5年12月11日 :審判請求書の提出 令和 6年 1月 4日 :手続補正指令 同年 1月29日 :手続補正書の提出 同年 4月10日 :答弁書及び訂正請求書の提出 同年 6月20日 :弁駁書の提出 同年 7月 8日付け:書面審理通知 同年 7月30日付け:被請求人に対する審尋 同年 8月19日 :回答書の提出 第3 本件訂正 1 訂正の趣旨 令和6年4月10日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第6865469号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-5について訂正することを求める、というものである。 2 訂正の内容 (1)本件訂正前後の特許請求の範囲の記載 ア 本件訂正前の特許請求の範囲 「 【請求項1】 電子タバコカートリッジであって、 非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物とマウスピースとを備え、 前記充填物の形状が、短冊状、棒状、繊維状、多孔質状、ブロック状、片状、平板状、粉体状、顆粒状、ペレット状又はシート状であり、 前記微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下であることを特徴とする、電子タバコカートリッジ。 【請求項2】 前記微結晶セルロースの平均粒子径が、30μm以上150μm以下であり、 前記微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下である、請求項1に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項3】 前記平均粒子径が、70μm以上120μm以下であり、 前記質量平均分子量が、20,000以上60,000以下である、請求項2に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項4】 前記充填物が、さらにデンプンを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項5】 前記充填物が、さらにゴム、セルロース結合剤、有機酸又は多糖類を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子タバコカートリッジ。」 イ 本件訂正後の特許請求の範囲(下線は、訂正箇所を示し、当審において付した。) 「 【請求項1】 電子タバコカートリッジであって、 上流側から下流側に向かって、蓋と、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、支持要素と、マウスピースとを、この順で配置したものが、包装部材で包装された巻きロッドに形成され、 前記充填物の形状が、しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成されたシート状であり、前記充填物は、前記非タバコ植物が加熱されることによって非タバコ植物が有する芳香成分を含むエアロゾルを放出し、 前記微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下であることを特徴とする、電子タバコカートリッジ。 【請求項2】 前記微結晶セルロースの平均粒子径が、30μm以上150μm以下であり、 前記微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下である、請求項1に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項3】 前記平均粒子径が、70μm以上120μm以下であり、 前記質量平均分子量が、20,000以上60,000以下である、請求項2に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項4】 前記充填物が、さらにデンプンを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項5】 前記充填物が、さらにゴム、セルロース結合剤、有機酸又は多糖類を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子タバコカートリッジ。」 (2)本件訂正の内容 本件訂正は、一群の請求項〔1-5〕に対しての訂正事項1及び2からなる。 訂正事項1及び2は、訂正前の請求項1についてされたものであるところ、請求項2-5は、当該請求項1を引用するものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1-5に対応する訂正後の請求項1-5は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。 なお、下線部は、訂正箇所である。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物とマウスピースとを備え、」と記載されているのを、「上流側から下流側に向かって、蓋と、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、支持要素と、マウスピースとを、この順で配置したものが、包装部材で包装された巻きロッドに形成され、」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2-5も同様に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記充填物の形状が、短冊状、棒状、繊維状、多孔質状、ブロック状、片状、平板状、粉体状、顆粒状、ペレット状又はシート状であり、」と記載されているのを、「前記充填物の形状が、しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成されたシート状であり、前記充填物は、前記非タバコ植物が加熱されることによって非タバコ植物が有する芳香成分を含むエアロゾルを放出し、」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2-5も同様に訂正する。 3 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「電子タバコカートリッジ」に対して、「蓋」と「支持要素」を備えることを限定するとともに、「上流側から下流側に向かって」、「蓋」、「非タバコ植物」を含有する「充填物」、「支持要素」、「マウスピース」の順に配置されることを限定し、さらに、これらが「包装部材で包装された巻きロッドに形成され」ていることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「電子タバコカートリッジ」の構成要素に「蓋」及び「支持要素」を追加し、「蓋」、「非タバコ植物」を含有する「充填物」、「支持要素」、「マウスピース」の配置の順序を限定すると共に、これらが「包装部材で包装された巻きロッドに形成され」ていることを限定するものであって、発明の対象を変更するものでもなく、発明のカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であること 訂正事項1において「電子タバコカートリッジ」が構成要素として「蓋」及び「支持要素」を持つとともに、「上流側から下流側に向かって」、「蓋」、「充填物」、「支持要素」、「マウスピース」の順に配置されることは、願書に添付した明細書の段落【0130】、【0132】、【図5】(3)に基づくものである。 また、「充填物」が「非タバコ植物」を含有することは、願書に添付した明細書の段落【0131】に基づくものである。 また、「蓋」、「非タバコ植物」を含有する「充填物」、「支持要素」、「マウスピース」が「包装部材で包装された巻きロッドに形成され」ていることは、願書に添付した明細書の段落【0113】に基づくものである。 よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。 エ 小括 以上によれば、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項1の「充填物」の形状について、「短冊状、棒状、繊維状、多孔質状、ブロック状、片状、平板状、粉体状、顆粒状、ペレット状又はシート状」であったものを、「シート状」に限定すると共に、さらに「しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成された」ものであることを限定するものである。また、「充填物」の機能について、「非タバコ植物が加熱されることによって非タバコ植物が有する芳香成分を含むエアロゾルを放出」することを限定するものである。 よって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項1の「充填物」の形状及び機能を限定するものであって、発明の対象を変更するものでもなく、発明のカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であること 訂正事項2における「充填物」の形状については、願書に添付した明細書の段落【0119】に基づき、「充填物」の機能については、願書に添付した明細書の段落【0117】に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものである。 エ 小括 以上によれば、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 4 訂正請求についてのむすび 以上のとおり、本件訂正は、訂正の要件を全て満たすものであるから、これを認める。 第4 本件発明 上記第3のとおり本件訂正の請求による請求項1-5についての訂正は認められるから、本件特許の請求項1-5に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。また、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ訂正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 電子タバコカートリッジであって、 上流側から下流側に向かって、蓋と、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、支持要素と、マウスピースとを、この順で配置したものが、包装部材で包装された巻きロッドに形成され、 前記充填物の形状が、しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成されたシート状であり、前記充填物は、前記非タバコ植物が加熱されることによって非タバコ植物が有する芳香成分を含むエアロゾルを放出し、 前記微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下であることを特徴とする、電子タバコカートリッジ。 【請求項2】 前記微結晶セルロースの平均粒子径が、30μm以上150μm以下であり、 前記微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下である、請求項1に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項3】 前記平均粒子径が、70μm以上120μm以下であり、 前記質量平均分子量が、20,000以上60,000以下である、請求項2に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項4】 前記充填物が、さらにデンプンを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子タバコカートリッジ。 【請求項5】 前記充填物が、さらにゴム、セルロース結合剤、有機酸又は多糖類を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子タバコカートリッジ。」 第5 請求人の主張及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 (1)無効理由1(甲1発明に基づく進歩性の欠如) 本件発明1-5は、甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)に基いて、または甲1発明及び甲第2号証に記載された周知技術に基いて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (2)無効理由2(サポート要件違反) 本件発明1-5は、発明の詳細な説明に記載された発明でないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 2 証拠方法 甲第1号証:特表2008-531008号公報 甲第2号証:特許6280387号公報 甲第3号証:特開2017-36315号公報 甲第4号証:特開2008-156791号公報 第6 被請求人の主張の概要 訂正後の本件発明1-5は、甲1発明に甲第2号証に記載されている事項を適用しても、容易に想到することはできないから無効理由1を有さない。 訂正後の本件発明1-5は、発明の詳細な説明に記載された発明であるから無効理由2を有さない。 第7 当審の判断 1 甲号証の記載事項 (1) 甲第1号証(以下、「甲1」という。) ア 甲1の記載事項 甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審にて付与した。以下、同様。)。 (ア)「【請求項1】 タバコロッドと、 フィルタに沿って吸着剤と通気部とを含む多要素フィルタと、 を含み、 前記吸着剤及び通気部は、主流煙が前記フィルタとタバコ粒子を含むタバコビーズとを通して吸引される時に主流タバコ煙から少なくとも1つの煙成分を実質的に除去するように構成されて配置されている、 ことを特徴とする喫煙物品。 【請求項2】 (a)前記タバコビーズは、結合剤を更に含み、 (b)前記タバコビーズは、結合剤を更に含み、該結合剤は、微結晶性セルロース、ペクチン酸、ラクトース、モノステアリン酸グリセリン、又は粉末状セルロースであり、 (c)前記タバコビーズは、結合剤を更に含み、該結合剤は、粉末状乾燥結合剤であり、かつ水膨潤性ポリマー又はポリマー結合剤であり、 (d)前記タバコビーズは、結合剤を更に含み、該結合剤は、微結晶性セルロース、ペクチン酸、ラクトース、モノステアリン酸グリセリン、又は粉末状セルロースであり、該微結晶性セルロースは、「AVICEL(登録商標)PH101」、「AVICEL(登録商標)PH102」、「AVICEL(登録商標)PH105」、「AVICEL(登録商標)PH112」、「AVICEL(登録商標)PH113」、「AVICEL(登録商標)PH200」、「AVICEL(登録商標)PH301」、「AVICEL(登録商標)PH302」、「AVICEL(登録商標)RC591」、「Prosolv SMCC50」、又は「Ceolus KG 801」であり、 (e)前記タバコビーズの量は、約20mgから約300mgであり、 (f)前記タバコビーズは、制御放出コーティングを更に含み、 (g)前記タバコビーズは、前記フィルタを通して吸引される主流煙の方向に前記吸着剤の下流に位置し、 (h)前記タバコビーズは、前記吸着剤の上流で前記タバコロッドに位置し、 (i)前記タバコビーズは、前記タバコロッドの下流かつセルロースアセテートフィルタの上流の空洞に位置し、 (j)前記タバコビーズは、タバコ粉末、セルロース材料、水、香味料、希釈剤、及びエーロゾル形成剤、又はその組合せから形成され、 (k)前記タバコビーズは、タバコ粉末、セルロース材料、水、香味料、希釈剤、エーロゾル形成剤、又はその組合せから形成され、該エーロゾル形成剤は、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、又はプロピレンカーボネートであり、 (l)前記タバコビーズは、粉末セルロース及び微結晶性セルロースから成る群から選択されたセルロース成分を更に含み、 (m)前記タバコビーズは、微結晶性セルロースを更に含み、 (n)前記タバコビーズは、喫煙物品の貯蔵中の揮発性香味料成分の移動を最小にするのに有効なコーティングを含み、 (o)前記タバコビーズは、前記フィルタの構成要素を形成するフィルタ材料に収容され、 (p)前記タバコビーズは、約0.2から約1.0mmの粒径を有し、 (q)前記タバコ粒子は、前記タバコビーズの固形分の約10重量%から約90重量%、又は約90から100重量%を含み、 (r)前記タバコ粒子は、前記タバコビーズの約30重量%から約60重量%、又は約60重量%から約90重量%を含み、及び/又は (s)前記タバコ粒子は、タバコの配合物である、 ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。 (イ)「【0004】 一実施形態によれば、シガレットのような喫煙物品は、タバコロッドと吸着剤及び次にタバコビーズを含む多要素フィルタとを含む。タバコビーズは、タバコ粒子状物質を含み、好ましくは、タバコ粒子、水、及び任意的に1つ又はそれよりも多くの香味料から基本的に成るが、付加的結合剤成分は含まない。タバコビーズは、更に、乾燥結合剤、液体結合剤、香味料、制御放出コーティング、及びその組合せを含むことができる。タバコビーズは、好ましくは、吸着剤の下流に位置するが、同様に吸着剤の上流とすることもできる。タバコビーズ(丸形、長球形、又は球形形状のタバコ粒子であり、以後、総称してビーズと呼ぶ)は、フィルタセグメントに位置する香味放出構成要素である。しかし、ビーズはまた、タバコロッドに位置することもできる。」 (ウ)「【0009】 タバコビーズは、フィルタ内の空洞又はフィルタトウに位置することができる(ビーズ・イン・トウ)。タバコビーズは、フィルタを通過する主流煙中に望ましい香味料添加剤を放出することができる。フィルタは、上流の吸着剤材料の有無に関わらずシガレットに、及び電気加熱式シガレット喫煙システムで喫煙されるシガレット又はタバコを揮発させる可燃性燃料要素からの熱を使用する喫煙物品のような従来的又は非従来的シガレットに使用することができる。 【0010】 別の態様は、タバコビーズをタバコロッド中で使用することを考えている。更に別の態様は、吸着剤の上流及び下流の両方にあるビーズを考えている。代替的に、これらのビーズを含む喫煙物品中に吸着剤が存在しない場合もある。 図面は、単なる例示的なものであり、本明細書で説明する様々な実施形態を制限するものと解釈されるべきではない。例えば、同心セグメントフィルタのような他のフィルタ設計もまた考えられる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本明細書では、「上流」と「下流」は、フィルタセグメントの間での相対的な位置であり、他の特徴は、吸煙中にタバコロッドから多要素フィルタを通じて主流煙が吸引される時の方向に関して説明される。 フィルタは、第1の上流の吸着剤含有セグメントと唇側端部(マウスピース)構成要素とを含む。この実施形態では、吸着剤含有セグメントは、中央フィルタ構成要素を含むプラグ-空間-プラグフィルタサブアセンブリと、間に空洞を形成するように中央フィルタ構成要素に対して離間した関係のタバコ端部構成要素と、空洞に配置した表面積が大きな活性炭材料の層とを有する。タバコ端部構成要素は、タバコロッドと隣接して位置し、好ましくは、吸引抵抗が低い(RTD)セルロースアセテートトウのプラグを含む。好ましくは、タバコ端部構成要素は、高速機械加工性の限界内でできるだけ短く作られ、好ましくは、多要素フィルタを有するフィルタ構成要素の中で最も低い粒子RTDを有する。」 (エ)「【0034】 図7において、別の好ましい実施形態が示されている。シガレット200Bは、例えば、先端紙を使用してフィルタ領域204Bに取り付けたタバコロッド202Bを用いて形成され、この場合、タバコビーズ206は、タバコロッド202Bの中にある。タバコビーズ206は、エーロゾル形成剤のような揮発性液体及び/又は香味を含有することができる。タバコビーズ206は、次に、シガレット200Bのタバコロッド202Bのタバコ充填材に組み込まれる。例えば、揮発性液体は、タバコビーズのマトリックス内に貯留され、シガレット200Bの保存時のそれらの蒸発と移動が最小にされる。移動の可能性を低減するために及び/又はビーズ成分の制御された放出を提供するために、タバコビーズにコーティングを使用することができる。フィルタは、更に、被覆した及び被覆しないタバコビーズの両方を含むことができる。喫煙中に、揮発性化合物が熱によって放出され、煙の風味と煙中のタールの組成が改善される。煙は、次に、例えば、2つから3つまでのCAフィルタ214とCAフィルタの間に位置する吸着剤領域208Bとを通して吸引される。」 (オ)「【0039】 付加された結合剤成分を含有するタバコビーズの場合、混ぜる段階は、タバコ粒子に乾燥及び/又は液体結合剤を混ぜる段階を含むことになる。例えば、タバコ粒子は、次に、本明細書に開示したもの、又は押出成形及び丸み付け支援組成物及び試薬、水膨潤性ポリマー、ポリマー結合剤、又はこれら試薬の混合物のような適切な乾燥結合剤と混ぜることができる。混ざった結合剤タバコ粒子組成物は、次に、更に液体結合剤と混ぜて均一な湿った塊を形成することができる。代替的に、組成物を含む混ざった結合剤タバコ粒子は、更に香味料及び/又は香味前駆物質、又は液体及び乾燥結合剤、香味料、香味前駆物質、及び充填物のあらゆる組合せと混ぜることができる。 【0040】 押出及び丸み付け支援試薬の材料は、むしろスポンジのように液体を保持することができるようなものである。これらの試薬はまた、押出及び丸み付け処理中に起きる可能性がある固体から液体の分離を更に制限する。押出及び丸み付け支援試薬は、以下に限定されるものではないが、微結晶性セルロース(MCC)、ペクチン酸、ラクトース、及びモノステアリン酸グリセリン、及びその組合せを含む。水膨潤性ポリマーは、以下に限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とすることができる。ポリマー結合剤は、以下に限定されるものではないが、ポリビニールピロリドン(PVP)、EUDRAGIT(登録商標)、及びセルロースエーテルとすることができる。 【0041】 タバコビーズは、グリセリン、プロピレン、グリコール、トリアセチン、プロピレンカーボネート、及びその組合せのようなエーロゾル形成剤を任意的に含むことができる。 タバコ粒子は、タバコ草の一部(葉、茎等)を採取して乾燥した部分を微粉又は粉塵に粉砕して形成することができる。タバコ粒子を作るために使用されるタバコの部分は、遺伝子的に変更したか、化学的に変更したか、又は機械的に変更したタバコ草及びその組合せばかりでなく、以下に限定されるものではないが、Burley、Bright、Oriental、又はそれらの配合物のような喫煙物品を調製するのに使用されるあらゆる異なる種類のタバコからのものとすることができる。」 (カ)「【0050】 タバコビーズの任意的な香味添加物は、例えば、溶媒混合液を使用して組み込むことができる。好ましい溶媒混合液は、フィルタを通過する主流煙に対して不要な後味を付与しない。溶媒混合液を使用すると、タバコビーズを含有するセルロース結合剤の中に百万分の数部の程度の微量の任意的な香味成分を組み込むことが可能になる。 付加的な結合剤成分を含む実施形態では、微結晶性セルロースが好ましいセルロース結合剤材料である。しかし、使用することができる他の材料は、結晶体の組合せ及び修飾セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)及びアモルファスセルロースばかりでなく、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びよりアモルファスな形態のセルロース(例えば、粉末状セルロース)を含む。他の天然多糖類及びそれらの誘導体もまたタバコビーズに使用することが考えられる。」 (キ)「【0054】 タバコ製品は、一般的に、喫煙の香味を改善するための添加剤として1つ又はそれよりも多くの香味を含有する。タバコ製品に付加される香味は、通常はケーシング源のための主要な香味群と上部香味のための副次的な香味群という2つの群に分類される。これらの香味は、シガー又はシガレットの製造工程中に行われる直接的スプレイ技術によって細断したタバコに付加されることが多い。一実施形態によれば、端部着火のような従来的なシガレット又は電気式喫煙システム(本明細書においてその全開示内容が引用により組み込まれている米国特許第6,026,820号を参照)で使用されるシガレットのような非従来的なシガレットは、タバコロッドに標準又は共通のタバコ混合物を含み、シガレットのフィルタ内の適切に香味付けされたタバコビーズは、シガレットの望ましい風味属性を達成するのに使用することができる。別の実施形態では、タバコビーズは、タバコを揮発させるために可燃性燃料要素からの熱を使用する喫煙物品のフィルタに組み込まれる(例えば、本明細書においてその全開示内容が引用により組み込まれている米国特許第4,966,171号を参照)。 更に別の実施形態では、タバコビーズは、フィルタにタバコビーズを含有するシガレットの保存の間に揮発性化合物成分の移動を最小にするのに適するフィルムで保護被覆することができる。そのような保護コーティングは、天然多糖類又はその誘導体を含むことができる。」 (ク)「【0056】 吸着剤のフィルタの下流で使用される場合のタバコビーズの1つの利点は、タバコロッドに対する特別な香味付け添加剤の付加を省略することができることである。代替的に、望ましい香味付けをタバコビーズに提供することができる。活性炭のような上流の吸着剤を有するシガレットフィルタを通過する主流煙の風味を修正するのにタバコビーズが有効である限りは、タバコビーズはまた、フィルタに吸着剤材料を含まないシガレット中の香味の主流煙に対して使用される。それによって標準的なタバコ混合物は、標準的な端部着火シガレットのタバコロッド中で使用することができるようになり、主流煙の望ましい風味を達成するのに有効な香味料を含有するタバコビーズにより、異なるシガレット製品(例えば、正規のマイルドな完全な香味など)の望ましい風味属性が提供される。同様に、タバコビーズは、シガレットが標準的なタバコプラグ及び/又はタバコマット構成物を含む電気加熱式シガレット喫煙システムで使用されるもののような非従来的なシガレットのフィルタで使用することができ、主流煙中に望ましい風味をもたらすタバコビーズを有するシガレットフィルタを充填することによって望ましい香味属性を達成することができる。」 (ケ)「【0064】 67%のグリセリンと33%の脱イオン水を含有する液体混合物が調製された。得られるグリセリン/水の混合物130部に「AVICEL(登録商標)PH-101」を50部とBurley粉塵(120メッシュ)50部とを混合して湿った塊を形成した。湿った塊は、単一スクリュー押出成形機(LCI Multi-Granulator MG-55)を使用してドーム形状の0.6-mm開口金型を通じて30RPMの押出速度で押出成形された。得られる押出成形物は、「LCI QJ-230T Marumerizer」を使用して回転速度900RPRで10分間丸み付けされた。均一なサイズ分布の湿った長球体が得られた。湿った長球体は、引き続き、対流式オーブン中で100℃の温度で-3インチHGの真空圧の下で3時間乾燥させ、水分が除去された。得られる結合剤添加剤を含有するタバコビーズは、約44%のグリセリンを含有し、易流動性であった。タバコビーズは、例えば、図7に示すタバコロッドに組み込むことができる。」 (コ)「【図7】 [図:0001424175000001.jpg] 」 イ 上記アから認められる事項 (ア)記載事項(ウ)、(キ)及び(ク)から、タバコビーズを備えた喫煙物品は、電気加熱式シガレット喫煙システムで使用されるものと認められる。 (イ)記載事項(ウ)の段落【0011】の記載から、吸煙中にタバコロッドから多要素フィルタを通じて主流煙が吸引される時の方向に基づいて上流及び下流が定まるものといえる。 そうすると、図7の図示事項を併せてみれば、喫煙物品は、図7の右側から左側を上流から下流として、上流側から下流側に向かって、タバコロッドとフィルタとをこの順に配置するものである。 (ウ)記載事項(ア)-(ウ)から、フィルタ又はタバコロッドに配置するタバコビーズには、タバコ粒子と、結合剤である微結晶セルロースと、エーロゾル形成材とを含むものといえる。 (エ)記載事項(エ)から、喫煙物品であるシガレット200Bが、フィルタ領域204Bとタバコロッド202Bとを取り付けるために、シガレット包装紙である先端紙を用いて包装されるものと認められる。 (オ)記載事項(ウ)から、タバコビーズは、フィルタを通過する主流煙中に望ましい香味料添加剤を放出することができるものといえる。 (カ)記載事項(ア)から、タバコビーズに含まれる微結晶セルロースは、「AVICEL(登録商標)PH101」であるといえる。 ウ 甲1に記載された発明 上記ア及びイから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている物と認められる。 〔甲1発明〕 「電気加熱式シガレット喫煙システムで使用される喫煙物品であって、 上流側から下流側に向かって、タバコロッドとフィルタとを、この順で配置し、フィルタ又はタバコロッドに配置するタバコビーズには、タバコ粒子と、結合剤である微結晶セルロースと、エーロゾル形成材とを含み、喫煙部材が、シガレット包装紙を用いて包装され、 タバコビーズは、丸形、長球形、又は球形形状のタバコ粒子であり、 タバコビーズは、フィルタを通過する主流煙中に望ましい香味料添加剤を放出し、 前記微結晶セルロースは、「AVICEL(登録商標)PH101」である喫煙物品。」 (2)甲第2号証(以下、「甲2」という。) ア 甲2の記載事項 甲2には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は、タバコ植物または非タバコ植物を用いた電子タバコカートリッジおよびその支持部材に関する。」 (イ)「【0015】 <エアロゾル形成基材110> エアロゾル形成基材110は、固体化合物および液体化合物の少なくともいずれかを含みうる。エアロゾル形成基材110は、タバコを含むエアロゾル形成材料を含みうる。また、エアロゾル形成基材110は、グリセリンおよびプロピレングリコールを含むエアロゾルフォーマをさらに含みうる。エアロゾル形成基材110は、固体である場合、たとえば、棒状、短冊状、粉体状、顆粒状、ペレット状、小片状、シート状、繊維状、多孔質状またはブロック状の形態をとりうる。エアロゾル形成基材110は、上記のいずれかの形態で所定量または所定数がまとめられ、電子タバコカートリッジ100の一端部に充填される。図3に示すように、たとえば、エアロゾル形成基材110は、棒状の形態の充填物111が所定数束ねられた状態で電子タバコカートリッジ100の一端部に配置される。 【0016】 充填物111の材料としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコおよび均質化タバコのうち少なくともいずれかを含みうる。また、充填物111の材料としては、非タバコ植物、すなわちタバコ以外の植物を含みうる。植物の使用部位としては、たとえば、根(鱗根(鱗茎)、塊根(イモ類)、球根などを含む)、茎、皮(茎皮、樹皮などを含む)、葉、花(花弁、雌蕊、雄蕊などを含む)、樹木の幹や枝など様々な部位を含む。」 (ウ)「【0023】 図3に示すように、エアロゾル形成基材110として製造された充填物111は、その形状が、たとえば、棒状や短冊状などの場合、充填の際に充填物111の形状の長手方向をX方向に沿わせるようにして詰められる。これにより、気流が安定し、ユーザーがエアロゾル形成基材110からの芳香成分を吸い込みやすくなる。 【0024】 なお、図3は電子タバコカートリッジ100のエアロゾル形成基材110がある側の端から見た図であって、電子タバコカートリッジ100内部の充填物111が見えるように一部透視図とした。もちろん、これ以外にも、平板状の充填物であれば巻いて詰めたり、小片状の充填物であればランダムに詰めたりしてもよい。」 (3)甲第3号証(以下、「甲3」という。) ア 甲3の記載事項 甲3には、以下の事項が記載されている。 「【0032】 本発明のある実施形態は、1つ以上の医薬的に許容される充填剤/希釈剤を含む。1つの実施形態では、Avicel PH(微結晶セルロース)が、製剤に用いられる充填剤である。Avicel PHは、20から約200μmの範囲、好ましくは約100μmの平均粒子サイズを有し得る。密度は、1.512~1.668g/cm3の範囲である。Avicel PHは、約36000の分子量を有するはずである。Avicel PHの有効性は、固形分ベースで、製剤の約10から65重量パーセントの量で存在する場合に最適である。典型的な充填剤は、乾燥重量ベースで、全組成物の10から65重量パーセントで存在してよい。その他の成分としては、糖および/またはポリオールが挙げられ得る。約20から約400ミクロンの粒子サイズ、および約0.3から約0.9g/mLの密度を有するラクトースも挙げられ得る。」 (4)甲第4号証(以下、「甲4」という。) ア 甲4の記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 この発明は、香料などの揮散性薬剤を担持するセルロース粒子に関し、特に、タバコのフィルター内に保持させることにより、香り成分を放出させることが出来る薬剤担持用セルロース粒子に関する。」 (イ)「【0040】 この発明にかかる薬剤担持用セルロース粒子について、実施例を挙げてより具体的な内容を示す。 まず、用いるセルロース繊維材料について列挙する。 ・漂白クラフトパルプ……((日本製紙(株)製:LBKP)を機械的に粉砕し、平均繊維長0.6mm、平均重合度1400としたもの(以下、「粉砕LBKP1」と表記する。) ・漂白クラフトパルプ……((日本製紙(株)製:LBKP)を機械的に粉砕し、平均繊維長0.4mm、平均重合度1300としたもの(以下、「粉砕LBKP2」と表記する。) ・漂白クラフトパルプ……((日本製紙(株)製:LBKP)を機械的に粉砕し、平均繊維長0.27mm、平均重合度1100としたもの(以下、「粉砕LBKP3」と表記する。) ・酸加水分解した粉末セルロース……(日本製紙ケミカル(株)製:KCフロック W-50S、平均繊維長0.30mm、平均重合度830)(以下、「KC W-50S」と表記する) ・酸加水分解した粉末セルロース……(日本製紙ケミカル(株)製:KCフロック W-50、平均繊維長0.27mm、平均重合度810)(以下、「KC W-50」と表記する) ・酸加水分解した粉末セルロース……(日本製紙ケミカル(株)製:KCフロック W-100、平均繊維長0.21mm、平均重合度690)(以下、「KC W-100」と表記する) ・酸加水分解した粉末セルロース……(日本製紙ケミカル(株)製:KCフロック W-200、平均繊維長0.17mm、平均重合度540)(以下、「KC W-200」と表記する) ・酸加水分解した粉末セルロース……(日本製紙ケミカル(株)製:KCフロック W-400、平均繊維長0.15mm、平均重合度370)(以下、「KC W-400」と表記する) ・微結晶セルロース……(メルク(株):Avicel、平均繊維長0.17mm、平均重合度200)(以下、「微結晶セルロース」と表記する)」 3 無効理由1(甲1発明に基づく進歩性の欠如)について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明における「喫煙物品」は、「電気加熱式シガレット喫煙システムで使用される」ものであるから、本件発明1の「電子タバコカートリッジ」に相当する。 また、甲1発明の「フィルタ」、「タバコビーズ」、「結合剤である微結晶セルロース」及び「エーロゾル形成材」は、それぞれ、本件発明1の「マウスピース」、「充填物」、「微結晶セルロース」及び「エアロゾルフォーマ」に相当する。 そうすると、甲1発明の「タバコビーズ」が「結合剤である微結晶セルロースと、エーロゾル形成材とを含」むことは、本件発明1の「充填物」が「エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する」ことに相当する。 また、甲1発明の「シガレット包装紙」は、本件発明1の「包装部材」に相当する。 そうすると、甲1発明の「喫煙部材が、シガレット包装紙を用いて包装され」ることは、喫煙部材が、シガレット包装紙に巻かれることで包装された巻きロッドとなるものといえるから、本件発明1の「包装部材で包装された巻きロッドに形成され」ることに相当する。 よって、甲1発明の「上流側から下流側に向かって、タバコロッドとフィルタとを、この順で配置し、フィルタ又はタバコロッドに配置するタバコビーズには、タバコ粒子と、結合剤である微結晶セルロースと、エーロゾル形成材とを含み、喫煙部材が、シガレット包装紙を用いて包装され」ることは、本件発明1の「上流側から下流側に向かって、蓋と、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、支持要素と、マウスピースとを、この順で配置したものが、包装部材で包装された巻きロッドに形成され」ることと、「上流側から下流側に向かって、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、マウスピースとを、包装部材で包装された巻きロッドに形成され」ることの限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は、次の点で一致し、次の点で相違する。 <一致点> 「電子タバコカートリッジであって、 上流側から下流側に向かって、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、マウスピースとを、包装部材で包装された巻きロッドに形成した 電子タバコカートリッジ。」 <相違点1> 「上流側から下流側に向かって、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物と、マウスピースとを、包装部材で包装された巻きロッドに形成」することについて、本件発明1では、「電子タバコカートリッジ」が、「蓋」と、「充填物」と、「支持要素」と、「マウスピース」とを有し、「この順で配置したもの」であり、「充填物」が「非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する」のに対して、甲1発明では、「喫煙物品」が「タバコロッド」、「フィルタ」とを、「この順で配置」したものであり、「フィルタ又はタバコロッドに配置するタバコビーズ」が「タバコ粒子と、結合剤である微結晶セルロースと、エーロゾル形成材とを含」む点。 <相違点2> 本件発明1では、「充填物の形状」が「しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成されたシート状」であるのに対し、甲1発明では、「タバコビーズ」が「タバコビーズは、丸形、長球形、又は球形形状のタバコ粒子」である点。 <相違点3> 本件発明1では、「充填物」が「非タバコ植物が加熱されることによって非タバコ植物が有する芳香成分を含むエアロゾルを放出」するのに対し、甲1発明では、「タバコビーズ」が「フィルタを通過する主流煙中に望ましい香味料添加剤を放出」する点。 <相違点4> 本件発明1では、「微結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下である」のに対し、甲1発明では、「微結晶セルロース」として用いられる「AVICEL(登録商標)PH101」の質量平均分子量が不明である点。 イ 判断 (ア)相違点1について 甲2には、記載事項(ア)及び(イ)から、電子タバコカートリッジ100のエアロゾル形成基材110について、非タバコ植物とエアロゾルフォーマとを含有することが開示されている。 そして、甲1発明の「タバコビーズ」が含む「タバコ粒子」と、甲2に記載された「エアロゾル形成基材110」が含有する「非タバコ植物」とは、いずれも、エアロゾルに対して香味を付加する機能において共通しているから、甲1発明に甲2に記載された事項を適用する動機付けが存在する。 そうすると、甲1発明の「タバコ粒子」に代えて、甲2に記載された「非タバコ植物」を適用することは、当業者が容易になし得た事項ということができる。 しかしながら、甲2-4のいずれにも、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項である「電子タバコカートリッジ」が「上流側から下流側に向かって、蓋と」、「充填物と、支持要素と、マウスピースとを」、「この順で配置したもの」について、記載ないし示唆されていない。 よって、甲1発明と、甲2-4に記載された事項とに基いて、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって容易想到であったということはできない。 (イ)相違点2について 甲2には、記載事項(イ)から、エアロゾル形成基材110をシート状とすることが記載されているものの「しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成」することについては記載されていない。また、甲3-4のいずれにも、「充填物の形状」が「しわ付け、ひだ付け、ギャザー付け或いは折りたたむことにより形成されたシート状」であることについて開示されていない。 よって、甲1発明と、甲2-4に記載された事項とに基いて、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることが、当業者にとって容易想到であったということはできない。 (ウ)相違点3について 上記(ア)において検討したとおり、甲1発明の「タバコ粒子」に代えて、甲2に記載された「非タバコ植物」を適用することは、当業者が容易になし得た事項ということができるから、それにより、「タバコビーズ」に含有させた「非タバコ植物」により、「非タバコ植物が加熱されることによって非タバコ植物が有する芳香成分を含むエアロゾルを放出」することも、上記(ア)の検討と同様の理由により、当業者が容易になし得た事項といえる。 してみると、甲1発明と、甲2に記載された事項とに基いて、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者にとって容易である。 (エ)相違点4について 甲1発明では、「微結晶セルロース」として「AVICEL(登録商標)PH101」を用いるものである。 甲3の記載事項によれば、AVICEL PHの平均粒子径は、20から約200μmの範囲であり、分子量は、約36000である。 また、甲4の記載事項によれば、微結晶セルロースとして採用される「メルク(株):Avicel」の平均重合度が200であることが開示されている。微結晶セルロースの分子式をC6H10O5とした場合に、「Avicel」の重合度が200であることから、分子量は32400であることが算出される。 そうすると、甲1発明の「AVICEL(登録商標)PH101」についても、甲3及び甲4の記載事項から、分子量は、約32000~36000程度であると理解できる。 してみると、相違点4は、実質的な相違点ではない。 また、仮に質量平均分子量が、10,000以上100,000以下であることを、実質的な相違点とした場合であっても、この範囲の質量平均分子量の微結晶セルロースを用いることは、当業者にとって実験的に適宜選択し得た程度の設計的事項に過ぎない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、甲1発明に基いて、または甲1発明と、甲2-4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 よって、本件発明1についての特許は、請求人が主張する無効理由1によって無効とすることはできない。 (2)本件発明2-5について 本件発明2-5は、いずれも、本件発明1を直接又は間接的に引用するものである。 そうすると、甲1発明との対比において、本件発明1において説示した相違点1-5を含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明、甲2-4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 よって、本件発明2-5についての特許は、請求人が主張する無効理由1によって無効とすることはできない。 4 無効理由2(サポート要件違反)について (1)本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載事項 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 ・「【0004】 電子タバコカートリッジを電子タバコ本体に挿入する際や、喫煙を終了して電子タバコ本体から電子タバコカートリッジを取り出すときなどのユーザーのハンドリング時に、充填物が電子タバコカートリッジから脱落したり、充填物の一部が落下したりすることがある。これによって、電子タバコ本体の内部を汚したり、ひいては電子タバコ本体の不具合となることがある。 【0005】 そこで、本発明の目的は、電子タバコ用充填物が、ユーザーのハンドリングの際に、使用前および使用後の電子タバコカートリッジから、前記充填物が脱落したり、落下したりすることを防止する効果のある電子タバコ用充填物を提供することにある。」 ・「【0033】 様々な検討の末、非タバコ植物とエアロゾルフォーマと微結晶性セルロースを含有する電子タバコ用充填物について、以下のことがわかった。電子タバコ用充填物を乾燥条件下におくと、非タバコ植物とエアロゾルフォーマからなる充填物が失水した場合にあっても、セルロースの微結晶が充填物の構造を維持し、体積収縮などの構造変化を抑制する。この様な作用は、微結晶セルロースを用いたことにより得られるものである。 【0034】 本発明において、一つの例として、微結晶セルロースは、準備工程(B)で秤量され、混合工程(M)へと投入される。微結晶セルロースは、粉体のままでもよいし、水などの溶媒に分散させて懸濁液として投入してもよい。この場合、溶媒への分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。 【0035】 微結晶セルロースの添加量は、電子タバコ用充填物中の含有量が1%以上15%以下が目安となる。好ましくは3%以上12%以下であり、更に好ましくは5%以上10%以下である。 【0036】 微結晶セルロースの添加により、成形性の向上、ロールミルによる混練などの際の作業性の改善、特に、電子タバコ用充填物の収縮抑制および体積変化の抑制に有効であり、電子タバコカートリッジの品質管理および使用感の均質化において有効である。 【0037】 本発明に用いられる微結晶セルロースの平均粒子径は、好ましくは30μm以上~200μm以下であり、より好ましくは50μm以上~150μm以下であり、より好ましくは70μm以上~120μm以下である。 【0038】 微結晶セルロースの平均粒子径は、30μm以上であると電子タバコ用充填物の収縮を抑制する効果に優れ、150μm以下であると、前記収縮を抑制する効果に加えて成形性を良好とすることができる。 【0039】 微結晶セルロースの平均粒子径は、篩分け法によって求められる。上記平均粒子径は、JIS K 0069:1992に記載の方法により得ることができる。 尚、平均粒子径は、複数の篩による試験結果について、例えば、目開きの大きいほうからの質量の積算を行いその質量50%に相当する径をいう。 更に、好ましくは目開き250μmの篩上残留物が8質量%以下であって、目開き75μmの篩上残留物が45質量%以上である。 【0040】 目開き250μmの篩上残留物が8質量%以下の場合は、篩分けされた微結晶セルロースが電子タバコ用充填物の収縮を抑制する効果を有する。目開き75μmの篩上残留物が45質量%以上の場合は、電子タバコ用充填物の成形性を良好とすることができる。 【0041】 微結晶セルロースの質量平均分子量(Mw)は、10,000以上200,000以下であることが好ましい。10,000以上であると、電子タバコ用充填物の収縮を抑制する効果に優れ、100,000以下であると、前記収縮を抑制する効果に加えて成形性を良好とすることができる。特に好ましくは、20,000以上60,000以下である。 セルロースの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。例えば、特開平6-109715号公報にあるような測定方法が採用され、標準資料としては、ポリエチレングリコール等を適宜用いる。」 ・「【0136】 以下、本発明を製造例および実施例をもって説明する。 【0137】 (製造例1) 紅茶の葉を70℃で乾燥させ、粉砕し、80メッシュの篩を通過したものを用いた。水分量は、2質量%であった。 【0138】 紅茶葉の乾燥粉砕物 100質量部 グリセリン 30質量部 プロピレングリコール 30質量部 メントール 5質量部 微結晶セルロース 15質量部 ポリビニルポリピロリドン 10質量部 カルボキシメチルセルロースナトリウム 4質量部 キシリトール 1.5質量部 グルコマンナン 1質量部 を混合機に投入し、15分間混合を行い非タバコ植物組成物を得た。 【0139】 なお、製造例1の微結晶セルロースは、平均粒子径が90μm、質量平均分子量(Mw)が36,000のものを使用した。なお、目開き75μmの篩上残留物が52質量%であり、目開き250μmにおける篩上残留物1質量%である。 【0140】 得られた非タバコ植物組成物を充填物成形工程(F)に投入した。非タバコ植物組成物を3本ロールミルにて、混錬分散を兼ねながら所望の厚さのシートとする。本実施例では、非タバコ植物組成物を3本ロールミルに投入し、シートの状態を見ながら純水を20質量部を加え、ドクターブレードをロールに押し当てシート状物を採取とする工程を8回繰り返し非タバコ植物組成物シートを得た。 【0141】 このようにして得られた非タバコ植物組成物シートは、厚さが0.3mmであった。前記非タバコ組成物シートを縦150mm横240mmの長方形に切断をした。 非タバコ植物組成物シートを、更に、幅15mmで、長さ50mm、厚さ0.3mmの形状に加工した。加工した組成物シートの質量は約0.30gである。 【0142】 (製造例2) 製造例1と同様にして、非タバコ植物組成物シートを得た。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.1mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0143】 (製造例3) 製造例1と同様にして、非タバコ植物組成物シートを得た。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.3mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0144】 (製造例4) 製造例1と同様にして、非タバコ植物組成物シートを得た。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.5mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0145】 (製造例5) 製造例1における非タバコ植物組成物について、微結晶セルロースを用いないで、製造例1と同様にタバコ植物組成物シートを作成した。 【0146】 (製造例6) 製造例5と同様にして、非タバコ植物組成物シートを得た。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.1mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0147】 (製造例7) 製造例5と同様にして、非タバコ植物組成物シートを得た。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.3mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0148】 (製造例8) 製造例5と同様にして、非タバコ植物組成物シートを得た。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.5mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0149】 (製造例9) 製造例1における非タバコ植物組成物について、微結晶セルロースの代わりにメチルセルロースを使用して製造例1と同様にタバコ植物組成物シートを作成した。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.3mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0150】 (製造例10) 製造例1における非タバコ植物組成物について、微結晶セルロースを4質量部とし、その他の点では製造例1と同様にして、非タバコ植物組成物シートを作成した。 その後、ロータリーカッターに供給し、幅1.5mmで、長さ240mm、厚さ0.3mmの形状に加工した充填物とした。前記充填物50本を、束ねて長手方向に揃えたうえで、坪量34g/m2の紙で包み込み、のり付けし円柱状のものとした。円柱の内径は6.9mmとした。前記加工物を円柱状にしたものを長さ12.0mmに切断し、エアロゾル形成基材(110)とした。前記エアロゾル形成基材の質量は0.29gであり、エアロゾル形成基材の容積に対して、充填物の体積充填率は、0.60である。 【0151】 (実施例1) 製造例2で作成したエアロゾル形成基材と、円筒状の中空管である支持要素(300)と、マウスピースとなるフィルタ(140)を準備した。支持要素(300)として、底面および上面の直径すなわち外径を6.9mmとし、中空部分について、4mmの貫通穴とした。マウスピースとなるフィルタ(140)については、長さ23mmのものを用いた。また、包装部材として、坪量38g/m2の紙を用い、内径6.9mmとなるように2周半の巻きを行い、のり付けをしたものを用いた。このように、坪量が、32g/m2以上45g/m2の紙を2周半巻いて紙製筒を作成し、包装部材とすると、加熱要素を差し込んで使用する電子タバコ本体に使用される電子タバコカートリッジとして好適なものとなる。 【0152】 前記紙製筒内部に接着剤を塗布し、他端側(20)から、フィルターを挿入してマウスピース(140)とし、一端側(10)から、支持要素(300)を挿入し、次いでエアロゾル形成基材を挿入した。更に、マウスピースの部分に、坪量40g/m2の紙を、マウスピース(140)とほぼ重なるように巻いた。 このようにして、電子タバコカートリッジを作成した。 【0153】 (実施例2) 実施例1において、製造例2のエアロゾル形成基材の代わりに製造例3で作成したエアロゾル形成基材を用いて、実施例1と同様に電子タバコカートリッジを作成した。 【0154】 (実施例3) 実施例1において、製造例2のエアロゾル形成基材の代わりに製造例4で作成したエアロゾル形成基材を用いて、実施例1と同様に電子タバコカートリッジを作成した。 【0155】 (実施例4) 実施例1において、製造例2のエアロゾル形成基材の代わりに製造例10で作成したエアロゾル形成基材を用いて、実施例1と同様に電子タバコカートリッジを作成した。 【0156】 (比較例1) 実施例1において製造例2で作成したエアロゾル形成基材の代わりに、製造例6で作成したエアロゾル形成基材を用いて、実施例1と同様に電子タバコカートリッジを作成した。 【0157】 (比較例2) 比較例1において、製造例6のエアロゾル形成基材の代わりに製造例7で作成したエアロゾル形成基材を用いて、比較例2と同様に電子タバコカートリッジを作成した。 【0158】 (比較例3) 比較例1において、製造例6のエアロゾル形成基材の代わりに製造例8で作成したエアロゾル形成基材を用いて、比較例2と同様に電子タバコカートリッジを作成した。」 ・「【0160】 (評価1) 製造例1、製造例5、製造例9および製造例10において作成した非タバコ植物組成物を用いて作成したシートについて、それぞれハロゲンランプ照射による乾燥の前後の、シートの長さ、幅、厚さおよび体積を測定し、その変化量を定量的に測定した。」 ・「【0167】 本発明においては、乾燥前における非タバコ植物組成物のシートの体積をV0、 乾燥時間10分経過後における非タバコ植物組成物のシートの体積をV10、と定義した場合に、 前記非タバコ植物組成物のシートの体積変化率Va(%)は、以下に定義される。 Va(%)=(V0-V10)/V0×100 また、乾燥時間15分経過後における非タバコ植物組成物のシートの体積をV15とした場合に、前記非タバコ植物組成物のシートの乾燥時間15分経過後の体積変化率Vb(%)は、以下に定義される。 Vb(%)=(V0-V15)/V0×100」 ・「【表2】 [図:0001424175000002.jpg] 」 ・「【0175】 (評価2) 電子タバコカートリッジについて以下の評価を行った。 使用する電子タバコ本体の概略を説明する。使用した電子タバコ本体は、フィリップモーリス社製加熱式電子タバコであるアイコス(登録商標)を用いた。前記電子タバコの概略は以下である。加熱要素(211)は、幅4.5mm、先端までの長さ12mm、厚さは0.4mmである。 差し込み部(210)の内径は、7mmであり、電子タバコカートリッジの外形にほぼ等しい。前記加熱要素(211)は、電子タバコ本体(200)内に設けられているバッテリー(不図示)から供給される電力よって発熱し、およそ370℃となる。そして、内蔵の制御システムにより、14回の吸引によって1本の電子タバコカートリッジの消費が終了する。なお、本実施例の電子タバコカートリッジを差し込んだ際に、電子タバコ本体の下流側から外側に現れる電子タバコカートリッジ部分はおよそ20mmである。 【0176】 本実施例および比較例にて製造した電子タバコカートリッジを前記電子タバコ本体にて喫煙後、充填物の落下試験を行った。 喫煙後の充填物落下試験は、以下のようにして評価した。喫煙後の電子タバコカートリッジの一端側(10)を鉛直下方に向け、上下に振って充填物の飛び出しおよび落下の有無を見た。 尚、評価基準は以下のとおりである。 ランクA:飛び出しまたは落下見られず ランクB:飛び出しまたは落下あり 以下、(評価2)の方法により得られた試験結果を表1に示す。 【0177】 (評価3) 所定期間の室温保存後の充填物落下は、以下のようにして評価した。 作成した電子タバコカートリッジを長辺70mm短辺14mm高さ45mmである紙製の箱に、エアロゾル形成基材が底に向くように充填した。このように、用意された電子タバコカートリッジ入り箱を、45℃の環境下で2週間放置した。 その後に、以下の評価を行う。 紙製箱から電子タバコカートリッジを取り出し、電子タバコカートリッジの一端側(10)を鉛直下方に向け、充填物の飛び出しおよび落下の有無を見た。 尚、評価基準は、以下のとおりである。 ランクA:飛び出しまたは落下見られず ランクB:飛び出しまたは落下あり 以下、(評価3)の方法により得られた試験結果を表1に示す。 【表1】 [図:0001424175000003.jpg] 」 (2)判断 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲で特定された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 上記(1)の記載事項によれば、段落【0004】-【0005】の記載から、発明の詳細な説明から把握される本件発明の課題は、電子タバコ用充填物が、ユーザーのハンドリングの際に、使用前および使用後の電子タバコカートリッジから、前記充填物が脱落したり、落下したりすることを防止することであると認められる。 そして、段落【0033】及び【0036】の記載から、非タバコ植物とエアロゾルフォーマと微結晶性セルロースを含有する電子タバコ用充填物について、電子タバコ用充填物を乾燥条件下におくと、非タバコ植物とエアロゾルフォーマからなる充填物が失水した場合にあっても、セルロースの微結晶が充填物の構造を維持し、体積収縮などの構造変化を抑制することが把握できる。また、微結晶セルロースの添加により、電子タバコ用充填物の収縮抑制および体積変化の抑制に有効であることが把握できる。 そして、段落【0041】の記載から、セルロースの微結晶の質量平均分子量の数値範囲として、10,000以上であれば電子タバコ用充填物の収縮を抑制する効果に優れ、100,000以下であると収縮を抑制する効果に加えて成形性を良好とすることができるという効果が記載されていることから、これらの上限と下限との間の範囲において、上記微結晶セルロースの添加により、電子タバコ用充填物の収縮抑制および体積変化の抑制に有効であるという効果を当業者であれば認識し得るものといえる。 よって、非タバコ植物とエアロゾルフォーマを含有する電子タバコ用充填物について、所定数値範囲の質量平均分子量である微結晶性セルロースをさらに含有することが、上記本件発明の課題を解決する手段であると認められる。 さらに、上記(1)の記載事項から、製造例1-10のエアロゾル形成基材を用いた実施例1-4及び比較例1-3に対する評価に基づき検討を進める。 段落【0138】及び【0139】の記載から、製造例1に用いる微結晶セルロースは、平均粒子径が90μm、質量平均分子量(Mw)が36,000のものを15質量部含むものといえる。また、製造例10に用いる微結晶セルロースは、製造例1に用いる微結晶セルロースと同じもので、4質量部含むものといえる。これに対し、製造例5には、微結晶セルロースを用いない。 段落【0167】の記載及び【表2】の評価結果から、非タバコ植物組成物のシートの体積変化率Va(%)及び非タバコ植物組成物のシートの乾燥時間15分経過後の体積変化率Vb(%)は、微結晶セルロースを含まない製造例5のものよりも、微結晶セルロースを含む製造例1及び10のものが高い値を示しており、微結晶セルロースを含む充填物には、体積収縮などの構造変化を抑制する効果が認められる。 また、【表1】の評価結果から、微結晶セルロースを含む製造例2-4及び10では、評価2及び評価3のいずれにおいても「ランクA:飛び出しまたは落下見られず」という評価であるのに対して、微結晶セルロースを含まない製造例6では、評価2において「ランクB:飛び出しまたは落下あり」という評価となり、微結晶セルロースを含まない製造例7及び8では、評価2及び3のいずれにおいても「ランクB:飛び出しまたは落下あり」という評価となっているから、微結晶セルロースを含む充填物には、体積収縮などの構造変化を抑制する効果が認められる。 したがって、「電子タバコカートリッジ」に「非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物」が配置され、「結晶セルロースの質量平均分子量が、10,000以上100,000以下であること」を特定している本件発明1-5は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が上記本件発明の課題を解決し得るものできると認識できる範囲のものであるということができる。 (3)請求人の主張について 請求人は、令和6年1月29日に提出された手続補正書により補正された審判請求書において、以下のように主張する。 「本件特許発明1において、微結晶セルロースの質量平均分子量の範囲が規定されている。また、本件特許発明2及び3において、微結晶セルロースの質量平均分子量及び平均粒子径の範囲がそれぞれ規定されている。 一方、本件明細書の実施例で評価されている微結晶セルロースは、【0139】に示される微結晶セルロース1種類のみであり、本件特許発明1~3で規定される質量平均分子量及び/又は平均粒子径の範囲まで拡張、一般化できるとはいえない。したがって、本件特許発明1~5は当業者が発明の詳細な説明の課題を解決できると認識できない範囲も含まれており、発明の詳細な説明に記載されていない発明である。 また、本件明細書の実施例からいえることは、粒径90μm及びMw36000である微結晶セルロースを含むタバコ用充填物の収縮を制御できることである。上述のとおり、実施例の微結晶セルロースは1種類のみの評価であり、微結晶セルロースの質量平均分子量又は平均粒子径がタバコ用充填物の収縮の抑制に寄与しているかは不明である。したがって、微結晶セルロースの質量平均分子量及び平均粒子径の範囲が特定されていない本件特許発明1、4及び5は発明の小詳細な説明に記載された範囲を超した発明である。」(第25ページ第20行-第26ページ第14行) しかしながら、上記(2)で説示したとおり、充填物が、所定数値範囲の質量平均分子量である微結晶セルロースを含んでいれば、微結晶セルロースを含まないものよりも、体積収縮などの構造変化を抑制する効果を有するといえるから、微結晶セルロースの粒子径の値を問わず、「電子タバコカートリッジ」に「非タバコ植物、エアロゾルフォーマ及び微結晶セルロースを含有する充填物」が配置されることのみで、課題が解決できることが認識できるというべきである。 してみると、審判請求書で主張されているように、微結晶セルロースの平均粒子径の範囲が特定されていなかったとしても、当業者が発明の詳細な説明の課題を解決できると認識し得たといえる。 したがって、請求人の上記主張は、採用できない。 (4)小括 したがって、本件発明1-5は、発明の詳細な説明において発明の課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものということはできない。 よって、本件発明1-5についての特許は、請求人が主張する無効理由2によって無効とすることはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本件発明1-5についての特許は、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-800078

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