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特許拒絶査定不服審判

2023-021807

カテーテル挿入システム及びカテーテル

審判番号
2023-021807
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-564944
請求日
2023年12月22日
審決日
2025年04月22日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】桑垣 衛
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 安井 寿儀
  • 審判官 小河 了一
分類
P18 .121-Z (A61M) / P18 .113-Z (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-564944「カテーテル挿入システム及びカテーテル」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年11月28日国際公開、WO2019/226697、令和 3年 9月13日国内公表、特表2021-524323〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和 元年) 5月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年 5月22日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 5年 5月 9日付け:拒絶理由通知書 令和 5年 7月19日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年 8月22日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和 5年12月22日 :審判請求、同時に手続補正書の提出 第2 令和 5年12月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年12月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項11の記載は、以下のとおり補正された(下線は補正箇所を示す。)。 「【請求項11】 近位端(214)及び遠位端(216)を有するカテーテル本体(212)と、 前記遠位端(216)に隣接して配置されたバルーン(232)と、 遠位端から近位端まで延在するドレナージ管腔(240)と、 前記バルーン(232)から近位端まで延在する膨張管腔(230)と、 遠位端に隣接して配置され、近位端に隣接して配置されたインジケータ(130、140、150、160、170、180、190)に無線通信によって通信可能に接続されたカテーテルセンサ(220)と、を備え、 前記インジケータ(130、140、150、160、170、180、190)は、属性を検出及び測定するように構成され、前記属性に関連する情報を記録及び表示するように構成された電子医療記録システムに前記属性に関連する情報を送信する、カテーテル。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 5年 7月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項12の記載は、以下のとおりである。 「【請求項12】 近位端(214)及び遠位端(216)を有するカテーテル本体(212)と、 前記遠位端(216)に隣接して配置されたバルーン(232)と、 遠位端から近位端まで延在するドレナージ管腔(240)と、 前記バルーン(232)から近位端まで延在する膨張管腔(230)と、 遠位端に隣接して配置され、近位端に隣接して配置されたインジケータ(130、140、150、160、170、180、190)に通信可能に接続されたセンサ(220)と、を備え、 前記インジケータ(130、140、150、160、170、180、190)は、属性を検出及び測定するように構成され、前記属性に関連する情報を記録及び表示するように構成された電子医療記録システムに前記属性に関連する情報を送信する、カテーテル。」 2 補正の適否について 本件補正は、本件補正前の請求項12に記載された発明を特定するために必要な事項である「通信可能に接続されたセンサ(220)」について、「無線通信によって」通信可能でであること、及びセンサ(220)が「カテーテルセンサ」であることを限定する補正(請求項5の削除に伴い、請求項11に項ずれした。)を含むものであって、本件補正前の請求項12に記載された発明と本件補正後の請求項11に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項11に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2017-536857号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。また、図面は、パテントファミリーである米国特許出願公開第2018/0177458号明細書から援用した。 (ア) 「【0015】 開示された技術はまた、患者の膀胱および/または尿路から生理学的データを感知するためのフォーリー型カテーテルに関する。該生理学的データは、とりわけ、高忠実度の圧力感知、および処理するのに適した信号への変換によって集められたものを含む。いくつかの実施形態では、圧力感知するフォーリー型カテーテルは、臨床的に重要である温度および検体を感知することをさらに可能にしてよい。感知フォーリーカテーテルシステムが測定することができる生理学的パラメータの例(時間別測定値、および経時的な値の傾向)は、尿排出量、呼吸速度、心拍、心拍変動、1回拍出量、1回拍出量変動、腹腔内圧(IAP)、組織酸素化、組織ガス含有量、脈遷移時間、肺血液量変動、温度、血液含有量、および他の患者パラメータを含む。」 (イ) 「【0017】 体液を分析するためのシステムの一実施形態は、一般に、細長いカテーテルであって、該カテーテルの近くにまたは遠位端に位置付けられる拡張可能バルーンを有し、さらに、該バルーンに近接した1つまたは複数の開口部を画定する細長いカテーテルと、カテーテルの近位端に結合される通気機構であって、陰圧が通気機構に加えられる時に空気を通すように構成される通気機構と、通気機構に結合され、かつ1つまたは複数の開口部と流体連通する第1のルーメンと、バルーンと流体連通する第2のルーメンと、第1のルーメンの近位端に結合され、かつ1つまたは複数の開口部と流体連通する貯蔵部と、該貯蔵部に接続するように構成され、かつ、第1のルーメン内の圧力を制御するようにプログラムされる制御装置と、を備えることができ、該制御装置は、患者から貯蔵部に受けられる尿排出量を監視し、かつ、バルーン内の圧力の変化にある程度基づいて患者の腹腔内圧を判断するようにさらにプログラムされ、該制御装置は患者データを記憶するようにさらに構成される。」 (ウ) 「【0028】 図1は、感知フォーリーカテーテルおよびその特徴のいくつかの実施形態を示す。カテーテルでは、被験者の外部にある近位部、中央または尿道滞留部、および遠位または膀胱滞留部といった、該被験者にカテーテルが挿入されている時のその配置によってさまざまなセクションを有することが理解できる。 【0029】 膀胱停留バルーン104および停留バルーンポート118と連通する空気または流体ルーメンなどのさまざまな内部ルーメンは、カテーテルの長さにわたって横断する。尿ドレナージルーメンは、カテーテルの膀胱部にある遠位開口部(複数可)106を有し、カテーテルの近位端114に開口部を有する。尿ドレナージルーメンは、尿を採取容器まで運搬する尿ドレナージチューブに接続されてよい。尿ドレナージチューブは、感知フォーリーカテーテルとは別個であってよい、または一体化されてよい。いくつかの実施形態では、膀胱におけるドレナージルーメンおよび遠位開口部は、薬剤が注入可能である、または、加熱または冷却流体が注入可能である注入コンジットとしての役割を果たすこともできる。(図示されない)検体センサ(複数可)または(図示されない)温度センサ(複数可)は、カテーテルの尿道部または膀胱滞留部のいずれかにおいて、カテーテル上に配設されてよい。導線または光ファイバー導線は、遠位に配設されるセンサとカテーテルの近位部との間の感知信号の通信、さらには、データ処理装置または制御装置への通信を可能にするルーメンに配設されてよい。」 (エ) 「【0032】 いくつかの実施形態において、温度センサはカテーテルの遠位端にまたは遠位端近くに存在してよい。温度ポート110は、温度センサをディスプレイ、コネクタ、および/または制御装置に接続する温度通信線112を含むことができる。」 (オ) 「【0046】 停留バルーンが圧力バルーンとして使用される感知フォーリーカテーテルの実施形態では、停留バルーン内で測定される圧力は、停留バルーンとしての役割を果たさせるのに十分大きくバルーンを膨らませるだけのために必要とされる圧力で相殺される。この結果、膨張圧、場合によっては膀胱の内面と接触している停留バルーンから生じる圧力は、圧力示度から差し引かれる必要がある。このように、より小さい圧力の変化は、別個の圧力バルーンによって測定されるものと同様に追跡可能である。膨張圧の相殺は、最初に患者に挿入される時に停留バルーン内の圧力を測定することによって、または、患者の外側の停留バルーンの膨張圧を測定することによって、またはその他の手段によって判断されてよい。停留バルーンは、流体、空気、または任意の他の適切なガスが充填されてよい。」 (カ) 「【0057】 感知フォーリーカテーテル1000は、図1に示される感知フォーリーカテーテルと同様である。膀胱1014において使用される感知フォーリーカテーテルが示される。図1に示されるカテーテルの近位端におけるポートのいくつかが図10Aに示される実施形態において組み合わせられることは留意されたい。尿ドレナージチューブ1001もここに示される。尿ドレナージチューブは、感知フォーリーカテーテルと組み合わせられてよい、または、別個の構成要素であってよい。尿ドレナージチューブ1001および/または感知フォーリーカテーテルは、通気口付きバーブ継手1016も含むことができる、または、通気口付きバーブ継手は別個の構成要素であってよい。エアロック除去機構ならびに流体採取および分析システム1002もここに示され、感知フォーリーカテーテル1000と流体連通する尿ドレナージチューブ1001と流体連通する。エアロック除去機構ならびに流体採取および分析システムは、基部/制御装置1018、流体採取バッグ1020、および貯蔵部またはカセット1022を含む。感知フォーリーカテーテル1000、尿ドレナージチューブ1001、およびエアロック除去機構ならびに流体採取および分析システム1002の組み合わせは、本明細書において、感知フォーリーカテーテルシステムとも呼ばれる。感知フォーリーカテーテル、尿ドレナージ管路、および貯蔵部/カセットは、使い捨てであってよく、ユニットとして売られている場合がある。感知フォーリーカテーテル1000、(通気口付きバーブ継手を含む)尿ドレナージチューブ1001、および貯蔵部/カセット1022を含むこの使い捨て組立品は、図10Cに示される。」 (キ) 「【0063】 スクリーン1110は、現在の尿/流体量状態、システム状態などを含む情報を表示するためのものである。スクリーン1110はまた、タッチスクリーンであってよく、設定、スクリーン表示変更、メニュー変更などを含む入力を受信することができる。圧力ポート1026は、使用される場合、感知フォーリーカテーテルを使用して膀胱圧を測定する、膀胱圧管路1010に接続する。代替的には、圧力ポートは、カセット1022下のカセット設置台内に、または、制御装置/基部のどこかに位置することができる。温度入力ポート1024は、ルーメン1008を介して感知フォーリーカテーテルによって、または他の手段によって、体温を測定するサーミスタ/温度センサに接続する。温度出力ポート1122は、いずれの温度測定値も外部デバイスおよび/またはモニタに伝達するためのものである。アダプタポート1124は、RFIDアダプタの場合など、他のデバイスに制御装置を適応させるためのものであり、これは、IAPの測定値、呼吸速度、心拍、心拍出量、または、感知フォーリーカテーテルによって測定可能である任意の他のパラメータなどの任意の追加の/拡張機能をアクティブにするために使用可能である。これによって、さらなるパラメータをアクティブにして、その情報が所望される時のみに病院側で支払われることを可能にする。拡張機能のアクティブ化はまた、例えば、種々の使い捨て部品を使用することによって制御可能である。代替的には、拡張機能は、使い捨て品の一部として、または別個に、購入されるソフトウェアアップグレードによってアクティブにしてよい。ソフトウェアアップグレードは、USBドングルによって、マイクロSDカードによって、EPROMカードによって、または、他の適した技術によって無線で供給されてよい。それぞれの患者および/または集計された患者についてのデータはまた、制御装置によって保存されてよい。患者データは、メモリ、USB、マイクロSDカード、EPROMカード、ハードドライブに、またはその他の手段で保存されてよい。患者データは、無線で、または、インターネットまたはイントラネット上のサーバといった、別の記憶デバイスへの有線接続によって転送されてよい。患者データは匿名にされてよい。」 (ク) 「【0071】 図10Bは、エアロック除去機構ならびに流体採取および分析システム1002の詳細図である。スクリーン1110は、患者パラメータおよびタッチスクリーン、または他の制御機能を含むユーザインターフェースを表示する。心拍エリア1152は、感知フォーリーカテーテルによって感知される膀胱内圧測定値に基づいて制御装置によって判断される患者の心拍を示す。呼吸速度エリア1154は、感知フォーリーカテーテルによって感知される膀胱内圧測定値に基づいて制御装置によって判断される患者の呼吸速度を示す。中核体温エリア1156は、感知フォーリーカテーテルにおける温度センサまたはその他によって感知されるような患者の中核体温を示す。尿排出量エリア1158は、圧力インターフェース1150および/または超音波変換器インターフェース1130に接続される圧力測定デバイスによって測定されるような尿量測定値に基づいて制御装置によって判断される患者の現在のおよび/または平均尿排出量を示す。敗血症指数エリア1160は、採取および/または計算された1つまたは複数の患者パラメータに基づいて制御装置によって判断される患者の敗血症の可能性を示す。例えば、敗血症リスクを判断する際に、温度、心拍異常、呼吸速度異常、および/もしくは尿排出量、または他の要因が考慮されてよい。これらのパラメータの傾向は、リスク評価を行う際に使用されてもよい。例えば、尿排出量の低減、心拍の増加、中核体温の増加または減少は、敗血症の指標とすることができる。」 (ケ) 「【0224】 感知フォーリーカテーテルシステムによって採取されたデータは、電子カルテ(EHR)もしくは電子医療記録(EMR)、および/または他のシステムと統合されてよい。感知フォーリーカテーテルシステムの制御装置によって採取されたデータは、EMR/EHRシステムと直接的にまたは間接的に結び付けることができる。EMR/EHRからの患者人口統計データまたは病歴データなどのデータは、感知フォーリーカテーテルシステムと統合することもできる。」 (コ) 「図1 [図:0001427353000001.jpg] 」 (サ) 「図10A [図:0001427353000002.jpg] 」 (シ) 「図10B [図:0001427353000003.jpg] 」 (ス) 上記(ア)、(ウ)、(カ)~(ク)から、感知フォーリーカテーテル1000は、患者の膀胱1014から、患者の体温を含む生理学的データを感知するものである。 (セ) 上記(ウ)の「尿ドレナージチューブは、感知フォーリーカテーテルとは」「一体化されてよい」との記載、及び上記(カ)から、感知フォーリーカテーテルシステムは、感知フォーリーカテーテル1000、尿ドレナージチューブ1001、及びエアロック除去機構並びに流体採取及び分析システム1002を組み合わせたものであり、感知フォーリーカテーテル1000及び尿ドレナージチューブ1001からなるカテーテルを備えている。 (ソ) 上記(ウ)の「膀胱停留バルーン104および停留バルーンポート118と連通する空気または流体ルーメンなどのさまざまな内部ルーメンは、カテーテルの長さにわたって横断する」との記載について、上記(サ)、(シ)も併せてみれば、内部ルーメンが尿ドレナージチューブ及び感知フォーリーカテーテルが一体化されているカテーテルの長さにわたって設けられていることは明らかである。 してみると、上記(イ)~(オ)から、カテーテルは、カテーテルの遠位端に位置付けられる膀胱停留バルーン104と、尿ドレナージチューブ及び感知フォーリーカテーテルが一体化されているカテーテルの長さにわたって横断する内部ルーメンと、カテーテルの遠位端に存在する温度センサと、を含み、前記内部ルーメンは、前記膀胱停留バルーン104及び停留バルーンポート118と連通する空気又は流体ルーメンを有している。 (タ) 上記(ウ)、(サ)、(ソ)から、尿ドレナージルーメンは、尿ドレナージチューブ及び感知フォーリーカテーテルが一体化されている前記カテーテルの長さにわたって設けられていることは明らかであるので、内部ルーメンは、前記カテーテルの遠位開口部106を有する尿ドレナージルーメンを有している。 (チ) 上記(カ)から「エアロック除去機構ならびに流体採取および分析システムは、基部/制御装置1018」「を含む」ので、上記(ウ)の「遠位に配設されるセンサとカテーテルの近位部との間の感知信号の通信、さらには、データ処理装置または制御装置への通信を可能にするルーメンに配設されて」いる「導線または光ファイバー導線」、及び上記(エ)の「温度センサをディスプレイ、コネクタ、および/または制御装置に接続する温度通信線112」は、エアロック除去機構並びに流体採取及び分析システム1002に接続している。 してみると、上記(ウ)、(エ)、(カ)を総合すると、導線又は光ファイバー導線である温度通信線112は、前記温度センサと前記分析システム1002との間の感知信号の通信を可能にする。 (ツ) 上記(キ)の「スクリーン1110は、現在の尿/流体量状態、システム状態などを含む情報を表示するためのもの」という記載、上記(ク)の「スクリーン1110は、患者パラメータおよびタッチスクリーン、または他の制御機能を含むユーザインターフェースを表示する・・・(中略)・・・中核体温エリア1156は、感知フォーリーカテーテルにおける温度センサまたはその他によって感知されるような患者の中核体温を示す」という記載、上記(ア)、(シ)、(ス)の記載からみて、患者の体温を含む感知された生理学的データが、スクリーン1110に表示されることは明らかである。そして、上記(ケ)も併せてみれば、感知された前記生理学的データは、前記分析システム1002のスクリーン1110に表示されるとともに、電子カルテ(EHR)もしくは電子医療記録(EMR)と統合されるものである。 上記(ア)~(ツ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「 感知フォーリーカテーテル1000、尿ドレナージチューブ1001、及びエアロック除去機構並びに流体採取及び分析システム1002の組み合わせた感知フォーリーカテーテルシステムにおける、感知フォーリーカテーテル1000及び尿ドレナージチューブ1001からなるカテーテルであって、 前記カテーテルは、患者の膀胱1014から、患者の体温を含む生理学的データを感知するものであり、 前記カテーテルの遠位端に位置付けられる膀胱停留バルーン104と、尿ドレナージチューブ及び感知フォーリーカテーテルが一体化されているカテーテルの長さにわたって横断する内部ルーメンと、前記カテーテルの遠位端に存在する温度センサと、を含み、 前記内部ルーメンは、 前記膀胱停留バルーン104及び停留バルーンポート118と連通する空気又は流体ルーメンと、 前記カテーテルの遠位開口部106を有する尿ドレナージルーメンと、を含み、 導線又は光ファイバー導線である温度通信線112は、前記温度センサと分析システム1002との間の感知信号の通信を可能にするものであり、 感知された前記生理学的データは、前記分析システム1002のスクリーン1110に表示されるとともに、電子カルテ(EHR)もしくは電子医療記録(EMR)と統合される、 カテーテル。」 イ 引用文献2 本願の優先日前に頒布された文献である、国際公開第2015/191125号(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(括弧内は当審が作成した訳文である。)。 (ア) 「[0092] In an aspect, these sensors 1712 can send sensed information to a central processing circuit 1714 of the tapered catheter at which the sensed information is processed and/or communicated to a remote device 1708. In accordance with this aspect, the one or more sensors 1712 can be electrically coupled (e.g., via one or more wires and/or wirelessly) to the central processing circuit to facilitate sensing functions of the one or more sensors 1712, analyzing information sensed by the one or more sensors 1712, and wirelessly communicating information associated with information sensed by the one or more sensors to the remote device 1708. Central processing circuit 1714 is described in greater detail with reference to FIG. 18.」 (一態様では、これらのセンサ1712は感知された情報をテーパ付きカテーテルの中央処理回路1714に送ることができ、この中央処理回路で感知された情報が処理され、及び/又は遠隔装置1708に伝達される。この態様に従って、1つ又は複数のセンサ1712は、1つ又は複数のセンサ1712の感知機能、1つ又は複数のセンサ1712によって感知された情報の分析、及び1つ又は複数のセンサによって感知された情報に関連する情報の遠隔装置1708への無線通信を容易にするために、中央処理回路に(例えば、1つ又は複数のワイヤを介して、及び/又は無線で)電気的に結合され得る。中央処理回路1714は、図18を参照してより詳細に説明される。) (イ) 「FIG.17 [図:0001427353000004.jpg] 」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「感知フォーリーカテーテル1000、尿ドレナージチューブ1001、及びエアロック除去機構並びに流体採取及び分析システム1002を組み合わせた感知フォーリーカテーテルシステムにおける、感知フォーリーカテーテル1000及び尿ドレナージチューブ1001からなるカテーテル」は、その機能・構造からみて、当然に近位端と遠位端を有するから、本件補正発明の「近位端(214)及び遠位端(216)を有するカテーテル本体(212)」に相当する。 イ 引用発明の「前記カテーテルの遠位端に位置付けられる膀胱停留バルーン104」は、上記(2)ア(コ)図1に記載の膀胱停留バルーン104の配置も参照すれば、本件補正発明の「前記遠位端(216)に隣接して配置されたバルーン(232)」に相当する。 ウ 引用発明の「前記カテーテルの遠位開口部106を有する尿ドレナージルーメン」は、その機能・構造からみて、尿を排出するために遠位端から近位端まで延在することは明らかなので、本件補正発明の「遠位端から近位端まで延在するドレナージ管腔(240)」に相当する。 エ 引用発明の「前記膀胱停留バルーン104及び停留バルーンポート118と連通する空気又は流体ルーメン」は、その機能・構造とともに、空気又は流体が送られており、尿ドレナージチューブ及び感知フォーリーカテーテルが一体化されているカテーテルの長さにわたって横断する内部ルーメンに設けられていることを併せてみれば、前記カテーテルの近位端まで延在することは明らかであるので、本件補正発明の「前記バルーン(232)から近位端まで延在する膨張管腔(230)」に相当する。 オ 上記(2)ア(サ)から、引用発明の「前記分析システム1002のスクリーン1110」は、感知フォーリーカテーテル1000及び尿ドレナージチューブ1001からなるカテーテルの近位に設けられることが看取されるので、本件補正発明の「近位端に隣接して配置されたインジケータ(130、140、150、160、170、180、190)」に相当する。 してみると、引用発明の「前記カテーテルは、患者の膀胱1014から、患者の体温を含む生理学的データを感知するものであり、」「導線又は光ファイバー導線である温度通信線112は、前記温度センサと分析システム1002の制御装置との間の感知信号の通信を可能にするものであり、感知された前記生理学的データは、前記分析システム1002のスクリーン1110に表示され」「カテーテルの遠位端に存在する温度センサ」を有することと、本件補正発明の「遠位端に隣接して配置され、近位端に隣接して配置されたインジケータ(130、140、150、160、170、180、190)に無線通信によって通信可能に接続されたカテーテルセンサ(220)」を有することは、遠位端に隣接して配置され、近位端に隣接して配置されたインジケータに通信可能に接続されたカテーテルセンサを有することの限りにおいて一致する。 カ 引用発明の「感知された前記生理学的データは、」「電子カルテ(EHR)もしくは電子医療記録(EMR)と統合される」ことから、感知された前記生理学的データを電子カルテ(EHR)又は電子医療記録(EMR)に送信していることは明らかであり、また、引用発明の「電子カルテ(EHR)」、「電子医療記録(EMR)」は、その機能を考えれば、感知された生理学的データを記録及び表示するように構成されていることは明らかであるので、引用発明の「電子カルテ(EHR)もしくは電子医療記録(EMR)」は、本件補正発明の「前記属性に関連する情報を記録及び表示するように構成された電子医療記録システム」に相当する。 してみると、「前記カテーテルは、患者の膀胱1014から、患者の体温を含む生理学的データを感知するもの」であり、「感知された前記生理学的データは、前記分析システム1002のスクリーン1110に表示されるとともに、電子カルテ(EHR)もしくは電子医療記録(EMR)と統合される」ことは、本件補正発明の「前記インジケータ(130、140、150、160、170、180、190)は、属性を検出及び測定するように構成され、前記属性に関連する情報を記録及び表示するように構成された電子医療記録システムに前記属性に関連する情報を送信する」ことに相当する。 したがって、両者は、 「 近位端及び遠位端を有するカテーテル本体と、 前記遠位端に隣接して配置されたバルーンと、 遠位端から近位端まで延在するドレナージ管腔と、 前記バルーンから近位端まで延在する膨張管腔と、 遠位端に隣接して配置され、近位端に隣接して配置されたインジケータに通信可能に接続されたカテーテルセンサと、を備え、 前記インジケータは、属性を検出及び測定するように構成され、前記属性に関連する情報を記録及び表示するように構成された電子医療記録システムに前記属性に関連する情報を送信する、カテーテル。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> 本件補正発明は、「無線通信によって」通信可能であるのに対して、引用発明は、導線または光ファイバー導線である温度通信線112によって通信を可能にする点。 上記相違点について検討する。 引用発明は導線または光ファイバー導線(有線)によって通信を行っているが、例えば、引用文献2(上記(2)イ参照)に記載されるように、カテーテルの遠位端ないしその近傍に配置されたセンサを有するカテーテルにおいて、当該センサを無線通信によって通信可能に接続することは、本願の優先日前の周知技術である。 そして、引用文献1の上記(2)ア(キ)には、医療データを無線又は有線接続によって転送する技術事項が記載されており、医療機器でのデータの伝送において有線での通信、無線での通信のいずれを選択するかは装置を設計する際に当業者が適宜選択し得ることであり、引用発明において周知である無線通信を採用し、上記相違点に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た範囲内のものであり、格別顕著なものでない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 むすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~18に係る発明は、令和 5年 7月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項12に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 理由2:本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3:本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献1の記載事項は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「センサ(220)」について、通信が「無線通信」であること、センサが「カテーテルセンサ」であることの発明特定事項を削除したものに相当する。 そうすると、前記第2の[理由]2(3)対比のとおりであるから、本願発明と引用発明とは相違点がなく、本願発明は引用発明であり、また、仮に両発明の間に相違点があるとしても、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は第29条第2項に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-021807

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