審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-021357

スパークプラグ

審判番号
2023-021357
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-150961
請求日
2023年12月15日
審決日
2024年04月17日
公報発行日
2024年05月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】日本特殊陶業株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人暁合同特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 平城 俊雅
  • 審判官 尾崎 和寛
  • 審判官 吉田 昌弘
分類
P18 .121-WY (H01T)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-150961「スパークプラグ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月22日出願公開、特開2022- 45383、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年9月9日の出願であって、令和5年7月4日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年9月5日に手続補正書及び意見書の提出がされ、令和5年10月2日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和5年12月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願の請求項1~3に係る発明は、以下の引用文献1~4に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 引用文献1:米国特許出願公開第2018/0054043号明細書 引用文献2:国際公開第2012/105255号 引用文献3:特開2017-98162号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開平11-339925号公報(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 本願の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明3」という。)は、令和5年9月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりの発明である。 「【請求項1】 軸線方向に延びる軸孔が形成された絶縁体と、 前記軸孔の前記軸線方向の先端側に配置された中心電極と、を備え、 前記軸孔は、前記軸線方向の先端側から順に、第1内径部と、前記軸線方向の後端側に向かうにつれて内径が大きくなる段部と、前記第1内径部より内径の大きい第2内径部と、を有し、 前記中心電極は、先端側が前記段部に支持され、後端側が1段である鍔部と、前記鍔部の後端側から前記軸線方向の後端側に延びて前記第2内径部に配置される頭部と、前記鍔部の先端側から前記軸線方向の先端側に延びて前記第1内径部に配置される軸部と、を有し、 前記軸孔の内部において前記鍔部と前記頭部との周囲に充填される導電性シール部材を備えるスパークプラグであって、 前記頭部は、前記鍔部に連なり、外径が一定な円柱状をなす円柱部と、前記円柱部に連なり、前記鍔部から離れるほど外径が大きくなる拡径部と、を備え、 前記中心電極は、前記鍔部の表面と前記円柱部の表面とが滑らかに接続される、スパークプラグ。 【請求項2】 前記第2内径部の内径が3.1mm以下である、請求項1に記載のスパークプラグ。 【請求項3】 前記円柱部の前記軸線方向における長さが1.9mm以下である、請求項1または請求項2に記載のスパークプラグ。」 第3 引用文献及び引用文献の記載事項等 1 引用文献1の記載及び発明 引用文献1には、次の事項が記載されている(なお、図中において、「」内は、当審で付与したものである。)。 「The present invention is generally related to spark plugs, and more particularly, to spark plugs designed for internal combustion engines.」(段落[0001]) (当審訳:本発明は、一般的にはスパークプラグに関し、特に、内燃機関用のスパークプラグに関連する。) 「Partially shown in FIG. 1 is a spark plug 1 that contains a metal body 2. The body 2 has a front end 3 and a back end 4, as well as a longitudinal direction 5 and a passage 6 extending in the longitudinal direction 5. Welded to the face of the body 2 at the front end 3 is a ground electrode 7. Located in the passage 6 is an insulator 8 which contains a center electrode 9, an igniter 10 and a fused glass element 11. The center electrode 9 projects out of the insulator 8 in the region of the front end 3 and, together with the ground electrode 7, forms a spark gap 13. The insulator 8 has a passage 12, in which the center electrode 9, igniter 10 and fused glass element 11 are located. At its front end 3, the body 2 has an external thread 14 for screwing the spark plug 1 into an internal combustion engine, which thread is adjacent to an external shoulder 15, facing the front end 3, that a seal ring 16 rests against.」(段落[0032]) (当審訳:図1には、金属本体2を含むスパークプラグ1が部分的に示されている。本体2は、前端3および後端4、ならびに軸線方向5および軸線方向5に延びる通路6を有する。 本体2の前端3は接地電極7である。通路6内には、中心電極9、点火器10および溶融ガラス要素11を含む絶縁体8が配置されている。中心電極9は絶縁体8から突き出ている。 絶縁体8は軸孔12を有し、その中に中心電極9、点火器10および溶融ガラス要素11が配置される。 本体2は、その前端3に、点火プラグ1を内燃機関にねじ込むための雄ねじ14を有し、このねじは、シールリング16が当接する前端3に面した外側肩部15に隣接している。) 「図1 [図:0001410149000001.jpg] 」 引用文献1の上記記載より、引用文献1には次の事項が記載されていると認められる。 スパークプラグ1は、軸線方向5に延びる軸孔12が形成された絶縁体8と、前記軸孔12の前記軸線方向5の先端側に配置された中心電極9とを備えている。 絶縁体8に形成された軸孔12は、軸線方向5の先端側から順に、第1内径部と、前記軸線方向5の後端側に向かうにつれて内径が大きくなる段部と、前記第1内径部より内径の大きい第2内径部とを有している。 中心電極9は、鍔部と、前記鍔部から前記軸線方向5の後端側に延びる頭部と、前記鍔部から前記軸線方向の先端側に延びる軸部とを有し、中心電極9は、前記鍔部の先端が段部に支持され、前記頭部が前記第2内径部に配置され、前記軸部が前記第1内径部に配置されるように、軸孔12に配置される。 中心電極9の頭部は、鍔部に連なり、外径が一定な円柱状をなす円柱部と、前記円柱部に連なり、前記鍔部から離れるほど外径が大きくなる拡径部とを備える。 絶縁体8に形成された軸孔12の内部において中心電極9の鍔部と頭部との周囲には、充填剤が充填され、当業者における技術常識に鑑みれば、当該充填剤は導電性シール部材であるといえる。 上記認定事項より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 [引用発明] 「軸線方向5に延びる軸孔12が形成された絶縁体8と、 前記軸孔12の前記軸線方向5の先端側に配置された中心電極9と、を備え、 前記軸孔12は、前記軸線方向5の先端側から順に、第1内径部と、前記軸線方向の後端側に向かうにつれて内径が大きくなる段部と、前記第1内径部より内径の大きい第2内径部と、を有し、 前記中心電極9は、先端が前記段部に支持される鍔部と、前記鍔部から前記軸線方向5の後端側に延びて前記第2内径部に配置される頭部と、前記鍔部から前記軸線方向5の先端側に延びて前記第1内径部に配置される軸部と、を有し、 前記軸孔12の内部において前記鍔部と前記頭部との周囲に充填される導電性シール部材を備えるスパークプラグ1であって、 前記頭部は、前記鍔部に連なり、外径が一定な円柱状をなす円柱部と、前記円柱部に連なり、前記鍔部から離れるほど外径が大きくなる拡径部とを備える、 スパークプラグ1。」 2 引用文献2の記載 引用文献2には、次の事項が記載されている。 「[0001] この発明は、内燃機関の点火に用いられるスパークプラグに関し、特に中心電極の絶縁体の軸孔内への固定が良好なスパークプラグに関する。」 「[0016] 前記主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を収容して保持するように形成されている。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部9が形成されており、このネジ部9を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。このネジ部9は小径化を図るためにM12以下とされるのが好ましい。」 「[0019] 前記絶縁体3は、主体金具7の内周部に滑石(タルク)12又はパッキン13等を介して保持されている。絶縁体3は、前記軸孔2の先端側に延在する第1内周面14、前記軸孔2の後端側に延在し、前記第1内周面14より大きい内径を有する第2内周面15、前記第1内周面14と前記第2内周面15とを連結する棚部16を有する。絶縁体3は、その先端方向の端部が主体金具7の先端面から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気的強度等を有する材料であることが望ましく、このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。 [0020] 前記中心電極4は、前記棚部16に支持されて前記第2内周面15により囲まれる空間に延在する頭部17と前記頭部17の先端から連設されて前記第1内周面14により囲まれる空間に延在する円柱状の脚部18と脚部18の先端から連設されて脚部の外径より縮径して延在する先端部29とを有し、先端が絶縁体3の先端面から突出した状態で主体金具7に対して絶縁保持されている。前記頭部17は、径方向に突出する大径部19と前記大径部19の後端から後端側に突出する突出部20とを有する。前記先端部29は、絶縁体3の先端面から露出しており、円錐台形を有している。・・・以下省略」 「[0021] 前記シール材6は、前記棚部16と前記第2内周面15と前記頭部17とにより囲まれる空間に充填されることにより前記中心電極4を前記軸孔2内に保持する。シール材6は、ホウケイ酸ソーダガラス等のガラス粉末、Cu、Fe等の金属粉末を含むシール粉末を焼結して形成されることができる。シール材6の抵抗値は、通常数100mΩ以下である。」 「[0025] スパークプラグが燃焼室内で温度の上昇と低下とが繰り返されると、中心電極4と接地電極との間に発生する火花放電による熱及び燃焼室内の熱等が中心電極4の先端から後端側に配置されている頭部17に伝導し、中心電極4の頭部17の温度が上がり、その後放冷されて温度が下がるというサイクルが繰り返される。このような冷熱サイクルが繰り返されると、中心電極4を形成する材料とシール材6を形成する材料との熱膨張係数の違いにより、頭部17とシール材6との界面近傍におけるシール材6に気孔が形成される。スパークプラグが、冷熱サイクルが繰り返され、またその温度差が大きいほど、頭部17の熱膨張が大きくなり、気孔が形成され易くなる。また、気孔と気孔との間にひび割れが発生し易くなる。さらに、内燃機関を稼動させると振動が発生するので、形成された気孔と気孔との間にひび割れが生じ易くなり、さらに空隙が大きくなり易くなる。 [0026] しかし、前記軸線方向距離Aが前記範囲内であると、頭部17の熱膨張が低減されることによりシール材6に気孔が形成されるのが抑制され、また気孔と気孔との間にひび割れが発生するのが抑制されるので、中心電極4とシール材6との密着性が良好なスパークプラグを提供することができる。このようなスパークプラグは、温度の上昇と低下とが繰り返され、さらにその温度差の厳しい燃焼室内に設けられても、中心電極4が絶縁体3の軸孔2内で緩み、がたつくことが防止される。 [0027] 頭部17の温度は、前記軸線方向距離Eが異なる場合には、中心電極4の先端部の温度が同じであっても、先端部から頭部17に伝導される熱量の違いにより、異なる。軸線方向距離Eが短いとき、すなわち15mm未満である場合には、頭部17の温度を一定温度以下に抑えられないので、軸線方向距離Aを長くしても前記効果を得ることができない。一方、軸線方向距離Eが長いとき、すなわち15mm以上である場合には、軸線方向距離Aを3.8mm以上、好ましくは4mm以上、より好ましくは4.5mm以上とすることで、前記効果が得られる。」 「[0034] この実施態様においては、前記突出部20は円柱状に形成され、前記突出部20における大径部19とは反対側の端部には円錐状の凹部26が形成されている。凹部26が形成されていると、シール材6と頭部17とが接触する面積が増大するので、シール材6と頭部17とが密着し易くなる。 [0035] 前記頭部17の形状は、中心電極4が棚部16に支持されて、軸孔2内に固定される限り特に限定されず、例えば、図3に示されるように、様々な形状を採用することができる。例えば、図3(a)に示されるように、中心電極4aを軸線Oに沿って切断した切断面における頭部17aの形状を、頭部17aの輪郭線について中心電極4aの先端側から順に説明すると、拡径部23aは、軸線Oに平行な線分をなす脚部18aの後端から連続して上に凸の曲線をなし、最大径部24aはこの曲線の後端から連続して軸線Oに平行な線分をなし、縮径部25aはこの線分の後端から連続して下に凸の曲線をなし、突出部20aはこの曲線の後端から連続して軸線Oに平行な線分をなしている。図3(b)に示される頭部17bの輪郭線については、大径部19bは、軸線Oに平行な線分をなす脚部18bの後端から連続して軸線Oに直交する方向に凸の曲線をなし、突出部20bはこの曲線の後端から連続して、図3(a)と同様に軸線Oに平行な線分をなしている。図3(c)に示される頭部17cの輪郭線については、拡径部23cは軸線Oに平行な線分をなす脚部18cの後端からこの線分に直交する線分をなし、最大径部24cはこの線分に直交して軸線O方向に平行な線分をなし、縮径部25cはこの線分の後端から連続して軸線Oに対して傾きを有する線分をなし、突出部20cはこの線分の後端から連続して軸線Oに略平行で波線を描く線分をなしている。突出部20cの輪郭線が波線を描いているのは、突出部20cの表面にネジ切り加工等の加工が施されていることによる。図3(c)の突出部20cにおける加工が施された表面と同様に、最大径部24a~24c、縮径部25a~25c、突出部20a~20cの表面には、ネジ切り加工及びローレット加工等が施されることにより凹凸が形成されていてもよい。 [0036] 前記突出部20を包囲可能な最小径を有する円筒S1を想定したとき、前記円筒S1の内径Bは、前記大径部19の外径より小さく、2mm以上3.3mm以下であるのが好ましい。突出部20が太いほど熱膨張する体積が増加する一方で、突出部20が太いほど熱が放出され易くなる。したがって、前記円筒S1の内径Bが前記範囲内にあるのが突出部20の熱膨張を低減するのに好適である。よって、前記円筒S1の内径Bが前記範囲内であると、中心電極4とシール材6との密着性がより一層良好なスパークプラグ1を提供することができる。」 「[図2] [図:0001410149000002.jpg] 」 「[図3] [図:0001410149000003.jpg] 」 3 引用文献3の記載 引用文献3には、次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、自動車用エンジン等の内燃機関に用いられるスパークプラグに関する。」 「【0013】 (実施形態1) 内燃機関用のスパークプラグに係る実施形態1について、図面を参照しながら説明する。図1、図2に示すように、スパークプラグPは、筒状の取付金具2と、その内側に保持された筒状の絶縁碍子3と、絶縁碍子3の内側に保持された端子金具1及び中心電極4と、取付金具2に固定された接地電極5と、を有する。絶縁碍子3の内側には、端子金具1と中心電極4の間に介在するように、導電性シール層である第1、第2シール層61、62及び抵抗体7が設けられる。内燃機関は、例えば自動車用エンジンであり、スパークプラグPは、図示しないエンジン燃焼室に臨むシリンダヘッドの取付孔に取り付けられる。」 4 引用文献4の記載 引用文献4には、次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関に使用されるスパークプラグに関し、特に電波ノイズ発生防止用の抵抗体を組み込んだスパークプラグに関する。」 「【0028】 【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を用いて説明する。図1に示す本発明の一例たる抵抗体入りスパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部が突出するようにその主体金具1内に嵌め込まれた絶縁体2、先端部を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が結合され、他端側が中心電極3の先端と対向するように配置された接地電極4等を備えている。そして、接地電極4と中心電極3との間には火花放電ギャップgが形成されている。以下、中心電極3の軸線方向において火花放電ギャップgの形成される側を前方側、これと反対側を後方側とする。」 「【0030】上記スパークプラグ100において、絶縁体2の軸方向には貫通孔6が形成されており、その一方の端部側に端子金具13が挿入・固定され、同じく他方の端部側に中心電極3が挿入・固定されている。また、該貫通孔6内において端子金具13と中心電極3との間に抵抗体15が配置されている。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16,17を介して中心電極3と端子金具13とにそれぞれ電気的に接続されている。これら導電性ガラスシール層16,17及び抵抗体15は、導電性結合層を形成するものである。なお、抵抗体15を省略し、端子金具13と中心電極3とを単一の導電性ガラスシール層で接合するようにしてもよい。また、抵抗体15を設ける場合、これと中心電極3との間の導電性ガラスシール層16を省略してもよい。 【0031】絶縁体2の貫通孔6は、中心電極3を挿通させる略円筒状の第一部分6aと、その第一部分6aの後方側(図面上方側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第二部分6bとを有する。端子金具13と抵抗体15とは第二部分6b内に収容され、中心電極3は第一部分6a内に挿通される。中心電極3の後端部には、その外周面から外向きに突出して電極固定用凸部3aが鍔状に形成されている。そして、上記貫通孔6の第一部分6aと第二部分6bとの間には、中心電極3の電極固定用凸部3aを受けるための凸部受け面20がテーパ面あるいはアール面状に形成されている。」 第4 当審の判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「スパークプラグ1」は、本願発明1の「スパークプラグ」に相当する。以下同様に、引用発明の「軸線方向5」、「軸孔12」、「絶縁体8」、及び、「中心電極9」は、それぞれ、本願発明1の「軸線方向」、「軸孔」、「絶縁体」、及び、「中心電極」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。 [一致点] 「軸線方向に延びる軸孔が形成された絶縁体と、 前記軸孔の前記軸線方向の先端側に配置された中心電極と、を備え、 前記軸孔は、前記軸線方向の先端側から順に、第1内径部と、前記軸線方向の後端側に向かうにつれて内径が大きくなる段部と、前記第1内径部より内径の大きい第2内径部と、を有し、 前記中心電極は、先端側が前記段部に支持される鍔部と、前記鍔部の後端側から前記軸線方向の後端側に延びて前記第2内径部に配置される頭部と、前記鍔部の先端側から前記軸線方向の先端側に延びて前記第1内径部に配置される軸部と、を有し、 前記軸孔の内部において前記鍔部と前記頭部との周囲に充填される導電性シール部材を備えるスパークプラグであって、 前記頭部は、前記鍔部に連なり、外径が一定な円柱状をなす円柱部と、前記円柱部に連なり、前記鍔部から離れるほど外径が大きくなる拡径部と、を備える、スパークプラグ。」 [相違点1] 中心電極の鍔部に関し、本願発明1は、「後端側が1段である」とされているのに対し、引用発明はこのような特定がされていない(引用文献1の図1に記載されたスパークプラグ1の中心電極9の鍔部は、後端側が2段であると看取できる)点。 [相違点2] 中心電極に関し、本願発明1は、「前記中心電極は、前記鍔部の表面と前記円柱部の表面とが滑らかに接続される」とされているのに対し、引用発明はこのような特定がされていない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 相違点2に係る本願発明1の「前記中心電極は、前記鍔部の表面と前記円柱部の表面とが滑らかに接続される」構成、すなわち、中心電極の鍔部の表面と円柱部の表面とがなめらかに接続される構成は、スパークプラグの製造工程において中心電極の鍔部と頭部との周囲にシール部材を充分に行き渡らせることを可能とするとともに、中心電極の頭部の円柱部における熱膨張による力を円柱部の周囲に均等に分散させ、拡径部の後端部への応力集中を緩和するための構成である(本願明細書の段落【0005】、【0036】及び【0037】)。 一方、引用文献1には、そのような中心電極9の鍔部と頭部との周囲に充填される導電性シール部材を充分に行き渡らせるとともに、中心電極の頭部の円柱部における熱膨張による力を円柱部の周囲に均等に分散させ、拡径部の後端部への応力集中を緩和するための構成についての記載はないし、示唆もされていない。 ここで、引用文献2には、スパークプラグ1の中心電極4の脚部18aと拡径部23aとが連続した曲線をなし、突出部20aと縮径部25aとが連続した曲線をなしている(頭部17aの表面と突出部20aの表面とが滑らかに接続されている)構成が記載されているといえる(段落[0035]及び[図3](a))。 しかしながら、かかる引用文献2に記載の構成は、中心電極4が棚部16(本願発明1の「段部」に相当する。)に支持されて軸孔2に固定される限り、頭部17が様々な形状を採用することができることの一例として、[図3](b)及び(c)の例と共に示されたものであり、スパークプラグの製造工程において中心電極の鍔部と頭部との周囲にシール部材を充分に行き渡らせることを可能とするとともに、中心電極の頭部の円柱部における熱膨張による力を円柱部の周囲に均等に分散させ、拡径部の後端部への応力集中を緩和するための構成ではない。 そうだとすれば、引用文献2のスパークプラグ1の中心電極が棚部16に支持される構成として例示された複数の構成から、ことさら引用文献2の[図3](a)に記載された、頭部17aの表面と突出部20aの表面とが滑らかに接続されている構成を選択した上で、引用発明にかかる構成を適用し、もって、相違点2にかかる本願発明1の「前記中心電極は、前記鍔部の表面と前記円柱部の表面とが滑らかに接続される」構成とする動機付けはないというべきである。 さらに、引用文献3及び4を見ても、中心電極の鍔部と頭部との周囲に充填される導電性シール部材を充分に行き渡らせるとともに、中心電極の頭部の円柱部における熱膨張による力を円柱部の周囲に均等に分散させ、拡径部の後端部への応力集中を緩和するために、中心電極の、鍔部の表面と円柱部の表面とをなめらかに接続する構成が当業者における周知・慣用の構成であるとはいえない。 そして、本願発明1は、中心電極の鍔部の表面と円柱部の表面とがなめらかに接続される構成を採用することにより、スパークプラグの製造工程において中心電極の鍔部と頭部との周囲にシール部材を充分に行き渡らせることを可能とするとともに、中心電極の頭部の円柱部における熱膨張による力を円柱部の周囲に均等に分散させ、拡径部の後端部への応力集中を緩和することができるという格別な作用効果を奏するものといえる。 したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項から、相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。 よって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3も、本願発明1の「前記中心電極は、前記鍔部の表面と前記円柱部の表面とが滑らかに接続される」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1~3は、当業者が引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-021357

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決114件(日本特殊陶業株式会社)
  • 2025-015038拒絶査定不服審判 / 2026-08-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)圧電アクチュエータ
    同じ当事者: 日本特殊陶業株式会社
  • 2024-020816拒絶査定不服審判 / 2026-07-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)セラミックスヒータおよび保持部材
    同じ当事者: 日本特殊陶業株式会社
  • 2025-008868拒絶査定不服審判 / 2026-07-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)保持装置
    同じ当事者: 日本特殊陶業株式会社
  • 2024-016193拒絶査定不服審判 / 2026-03-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)複合部材、接合体、および、保持装置
    同じ当事者: 日本特殊陶業株式会社
  • 2024-013499拒絶査定不服審判 / 2026-03-02 / 原査定取消(特許/登録すべき)スパークプラグ
    同じ当事者: 日本特殊陶業株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)33件(121・H01T)
  • 2024-013499拒絶査定不服審判 / 2026-03-02 / 原査定取消(特許/登録すべき)スパークプラグ
    共通の審決分類: 121・H01T
  • 2023-021649拒絶査定不服審判 / 2025-02-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)イオン発生装置および電気機器
    共通の審決分類: 121・H01T
  • 2024-001676拒絶査定不服審判 / 2024-08-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)スパークプラグ
    共通の審決分類: 121・H01T
  • 2024-001677拒絶査定不服審判 / 2024-05-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)スパークプラグ
    共通の審決分類: 121・H01T
  • 2023-007532拒絶査定不服審判 / 2024-04-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)スパークプラグ
    共通の審決分類: 121・H01T

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存