特許拒絶査定不服審判
2023-020440
タバコ用濾過部品
- 審判番号
- 2023-020440
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-517846外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年12月01日
- 審決日
- 2026年03月16日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】索図電子(恵州)有限公司
- 【請求人代理人】有馬 百子
- 分類
- P18 .56 -WZ (A24D) / P18 .57 -WZ (A24D) / P18 .65 -WZ (A24D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第37条、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-517846「タバコ用濾過部品」拒絶査定不服審判事件〔令和3年3月25日国際公開、WO2021/052172、令和4年11月22日国内公表、特表2022-548948〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、2020年(令和2年)9月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年9月18日、(CN)中国)を国際出願日とする出願であって、令和5年4月5日付けで拒絶理由通知がされ、令和5年7月11日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、令和5年7月28日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、令和5年12月1日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正がされ、令和7年3月13日付けで同手続補正につき補正却下がされるとともに、拒絶理由通知がされ、令和7年6月19日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和7年9月17日付けで拒絶理由通知(最後)(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和7年12月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
第2 令和7年12月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、以下の(2)に示す令和7年6月19日の手続補正により補正された本件補正前の請求項1を、以下の(1)に示す本件補正後の請求項1に補正することを含む。そして、この補正により、本件補正前の請求項1の(前記濾過芯材は)「表面に濾過吸収材が散布されたスパンレース綿で、スパンレース綿は緩くロール状に巻かれて、フィルター本体の中空構造内に設置されている」という発明特定事項が削除された。
なお、下線は、当審において付した。以下同様。
(1)本件補正後の請求項1の記載
「【請求項1】
フィルター本体、濾過芯材および濾過閉鎖層を含んで、前記フィルター本体が中空円筒で、前記濾過芯材がフィルター本体に内蔵されて、前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖されて、前記濾過芯材が粒状濾過材、フィラメント状濾過材、コイル状濾過材または比表面積が大きい形状構造を備える類似濾過材で、前記粒状フィルタ材料の粒径が250-3000μmで、前記粒状フィルタ材料の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占めて,前記粒状濾過材は、吸着材上に敷設され又は吹きつけられ、前記吸着材は、前記フィルター本体内に緩いロール状に巻きつけて設けられていることを特徴とする喫煙用濾過部材。」(ここで示す下線は、補正箇所を示す。)
(2)本件補正前の請求項1の記載
「【請求項1】
フィルター本体、濾過芯材及び濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空筒体で、前記濾過芯材はフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖され、
前記濾過芯材は表面に濾過吸収材が散布されたスパンレース綿で、スパンレース綿は緩くロール状に巻かれて、フィルター本体の中空構造内に設置されていることを特徴とするタバコ用濾過部材。」(ここで示す下線は、本件補正によって削除された発明特定事項を示す。)
2 補正の適否について
本件補正は、請求項1において(前記濾過芯材は)「表面に濾過吸収材が散布されたスパンレース綿で、スパンレース綿は緩くロール状に巻かれて、フィルター本体の中空構造内に設置されている」という発明特定事項を削除することを含むから、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明、請求項の削除のいずれを目的としたものにも当たらないことは明らかである。
以上によれば、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものにも該当しない。
3 補正の却下についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的としたものにも該当しない補正であり、同項の規定に違反するものである。
したがって、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
令和7年12月24日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~7に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本願発明1」などという。)は、本件補正前の、令和7年6月19日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
フィルター本体、濾過芯材及び濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空筒体で、前記濾過芯材はフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖され、
前記濾過芯材は表面に濾過吸収材が散布されたスパンレース綿で、スパンレース綿は緩くロール状に巻かれて、フィルター本体の中空構造内に設置されていることを特徴とするタバコ用濾過部材。
【請求項2】
前記濾過吸収材は、セラミック粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載タバコ用濾過部材。
【請求項3】
前記セラミック粒子の粒径が800μmであることを特徴とする請求項2に記載のタバコ用濾過部材。
【請求項4】
前記濾過閉鎖層が26000CUの通気性を有する純木材パルプ紙であることを特徴とする請求項1-3のいずれに記載のタバコ用濾過部材。
【請求項5】
フィルター本体、濾過芯材及び濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空筒体で、前記濾過芯材はフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖され、
前記濾過芯材は表面に濾過吸収材を吹き付けて形成した麻紙を緩いロール状に巻きつけて、フィルター本体の中空構造に設けられたものであることを特徴とするタバコ用濾過部材。
【請求項6】
前記濾過吸収材は、ポリプロピレン樹脂スラを含むことを特徴とする請求項5に記載のタバコ用濾過部材。
【請求項7】
前記濾過閉鎖層が透湿度が24000CUの麻紙を用いたものであることを特徴とする請求項5又は6に記載のタバコ用濾過部材。」
第4 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。
(発明の特別な技術的特徴を変更する補正)令和7年6月19日付け手続補正書でした補正は、本願発明1~7が、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものではないから、同法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。
第5 当審の判断
以下、特許・実用新案審査基準第IV部第3章「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の判断手順に沿って判断する。また、「第5」において、審理について同基準の表記に従って「審査」という用語を用いる場合がある。
なお、同基準における「拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された全ての発明」及び「補正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される全ての発明」は、それぞれ、「補正前審査発明」及び「補正後発明」と略記する。
1 補正前審査発明
(1)令和5年7月11日提出の手続補正書で補正された請求項1~14に係る発明
令和7年6月19日提出の手続補正書で補正される前の、令和5年7月11日提出の手続補正書で補正された請求項1~14に係る発明(以下、各請求項の番号に従って「補正前発明1」などという。)は、当該手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
フィルター本体、濾過芯材および濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空円筒状で、前記濾過芯材がフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層により閉鎖され、
前記濾過芯材は粒状濾過材、フィラメント状濾過材、またはコイル状濾過材であり、
前記粒状濾過材の粒径が250-3000μmであり、
前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占めていることを特徴とする喫煙用濾過部材。
【請求項2】
前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5を占めていることを特徴とする請求項1に記載の濾過部材。
【請求項3】
前記濾過芯材は、ポリプロピレン樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過部材。
【請求項4】
前記ポリプロピレン樹脂粒子の粒径が750-1500μmであることを特徴とする請求項3に記載の濾過部材。
【請求項5】
フィルター本体、濾過芯材及び濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空筒体で、前記濾過芯材はフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖され、
前記濾過芯材は表面にセラミック粒子が散布されたスパンレース綿で、スパンレース綿はロール状に巻かれて、フィルター本体に設置されていることを特徴とするタバコ用濾過部材。
【請求項6】
スパンレース綿は50g/m2で、セラミック粒子の粒径は800μmであることを特徴とする請求項5に記載の濾過部材。
【請求項7】
フィルター本体、濾過芯材及び濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空筒体で、前記濾過芯材はフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖され、
前記濾過芯材は表面にポリプロピレン樹脂スラリーを吹き付けて形成した濾過紙をロール状に巻きつけて、フィルター本体に設けられたものであることを特徴とするタバコ用濾過部材。
【請求項8】
前記濾過紙は、透湿度が24000CUの麻紙を用いたものであることを特徴とする請求項7に記載の濾過部材。
【請求項9】
前記フィルター本体の内部軸方向に沿って複数の室が設けられて、前記複数の室の内部に前記濾過芯材が設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の濾過部材。
【請求項10】
前記濾過芯材が複数の独立な筒状であって、
前記濾過芯材は前記フィルター本体の軸方向に沿って、互いに隣接して設けられ、
前記濾過芯材の隙間及び筒状濾過芯材の内部に気流濾過通路が形成された、ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の濾過部材。
【請求項11】
前記フィルター本体がデンプンから成形されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の濾過部材。
【請求項12】
前記濾過閉鎖層が12000CU以上の通気性を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の濾過部材。
【請求項13】
前記濾過閉鎖層が26000CU以上の通気性を有する純木材パルプ紙であることを特徴とする請求項12に記載の濾過部材。
【請求項14】
前記フィルター本体の貫通孔の総断面積は、5mm2以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の濾過部材。」
(2)令和7年3月13日付け拒絶理由通知の内容
令和7年6月19日提出の手続補正書により補正される前に通知した令和7年3月13日付け拒絶理由通知は、概略、次の拒絶理由を含むものである。
ア (発明の単一性)本願は、以下のウの点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。
イ (新規性)補正前発明1、2は、以下のエの点で、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された特表2005-511073号公報(以下「引用文献」という。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
ウ 理由ア(発明の単一性)について
(ア)特別な技術的特徴に基づく審査対象の決定
補正前発明1、2は、以下のエの点で、引用文献により新規性が欠如しており、特別な技術的特徴を有しない。次に、補正前発明3に係る発明に特別な技術的特徴が発見された。
一方、補正前発明5~8は、特別な技術的特徴が発見された補正前発明3と、「フィルター本体、濾過芯材及び濾過閉鎖層を含み、前記フィルター本体は中空筒体で、前記濾過芯材はフィルター本体に内蔵され、前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層によって閉鎖され」た「濾過部材」という共通の技術的特徴を有している。
しかしながら、当該技術的特徴は、以下のエで示す引用文献の開示内容に照らして、先行技術に対する貢献をもたらすものではないから、特別な技術的特徴であるとはいえない。また、補正前発明3と、補正前発明5~8との間に、他に同一の又は対応する特別な技術的特徴は存在しない。
(イ)審査の効率性に基づく審査対象の決定
補正前発明3を引用する補正前発明4、9~14は、特別な技術的特徴に基づいて審査対象となった発明と、まとめて審査を行うことが効率的である発明であり、審査対象に加える。
したがって、補正前発明5~8は、特許法第37条以外の要件についての審査対象としない。
(ウ)小括
上記(ア)及び(イ)によれば、補正前発明1~14のうち、補正前発明5~8は、特許法第37条以外の要件についての審査対象とならない発明であるから、本願は、特許法第37条の要件を満たさない。
エ 理由イ(新規性)について
(ア)引用文献の記載事項
引用文献には、次の記載事項及び図示事項がある。
a 「【0001】
本発明は、第一末端フィルター要素、第二末端フィルター要素、第一末端フィルター要素と第二の末端フィルター要素の間に配置されて粒状フィルター材料を含有する中央フィルター要素、及びケーシングを含むタバコ製品用フィルター;このフィルターで製造されたタバコ製品、特にシガレット;このフィルターを2個以上含むフィルターストランド;並びにこのフィルター及びタバコ製品の製造方法及び製造装置に関する。」
b 「【0018】
中央フィルター要素の粒状材料は、ほぼ調和幾何学的形態でかつ粒径分布が200~100μm、好ましくは400~600μmの固体フィルター材料で製造できる。粒状材料は粒径分布が400~600μmの活性炭が好ましい。粒状フィルター材料の別の例は、粒形分布が好ましくは300~700μmのシリカゲル(活性又は非活性の)又は粒形分布が好ましくは400~600μmの海泡石である。上記材料の混合物も勿論使用できる(粒状材料には、米国特許第4,649,944号に関連する上記風味生成剤すなわち1種又は2種以上の風味剤及び/又は香料を含むカプセル剤を含有させるべきではない)。
【0019】
末端フィルター要素は、タバコ製品用の通常のフィルター材料例えばアセテート、紙特にクレープペーパー、セルロース又は脱脂綿から製造できる。一般に上記二つの末端フィルター要素(中央フィルター要素ではない)は、その端面ではなくてその周囲が、一般に空気透過性でかつ任意に穴を開けた分離ラッピングで包まれ、その結果この分離ラッピングは完成フィルター内で末端フィルター要素と外側ケーシングの間に位置するようになる。
【0020】
一般に末端フィルター要素と中央フィルター要素は直径が同じであり、例えばシガレットの場合、約5mm~9mmであり、特に8mmである。末端フィルター要素の長さは約3~15mmであり、好ましくは6~10mmであり、特に約7.5mmである。中央フィルター要素の長さは6~14mmであり、好ましくは8~12mmであり、特に約10mmである。上記二つの末端フィルター要素は長さが同じの方が好ましい。中央フィルター要素は、完全に又はほとんど完全に充填されているとき、一般にフィルターの全長の20~60%を占め、好ましくは30~50%を占め、特に約40%を占め、末端フィルター要素は20~50%を占め、好ましくは25~35%を占め、特に約30%を占めている。末端フィルター要素の移動によってできる凹部は長さが通常0.1~6mmであり、好ましくは約2mmであるが、この凹部の長さは移動によって短くなった中央フィルター要素の長さに等しい。フィルターの全長は20~40mmであり、特に約32mmである。」
c 「【0041】
図1はフィルター10付きシガレット35を示す。ほぼその縦軸線にそって中央で二つの部分に切断され、それら部分の一方が中央フィルター要素16の方に移動しているフィルター要素12がフィルター10の唇側末端にみられる。さらにフィルター要素12のこれら二つの部分は、突出末端において僅かなふくらみを形成して最初の位置に戻るのを防ぐことが見られる。中央フィルター要素16には活性炭17が完全に充填されている。第二フィルター要素14が中央フィルター要素に接続して配置されている。フィルター要素12と14は、約10000コレスタ単位の多孔質ケーシングペーパー製のラッピング22で包まれている。フィルター10全体がケーシング20で囲まれていてそのケーシングは同様に約10000コレスタ単位の多孔質ケーシングペーパー製である。このフィルター10はタバコカラム32と連結され、このタバコカラム32に第二末端フィルター要素14が接触している。フィルター10はライニングシート34を介してタバコカラム32に接続されている。代わりに、同様のシガレットは、タバコカラム32を下記図2に示すフィルター10と連結することによって得ることができる。」
d 「【図1】
[図:0001437650000001.jpg]
」
(イ)上記(ア)から認められる事項
a 記載事項c及び図1の図示事項から、引用文献に記載されているフィルター10は、シガレット35とともに用いる喫煙用のフィルター部材であり、このフィルター10には、ラッピング22、フィルター要素12及び14並びに中央フィルター要素16を含んでいるものといえる。
b 喫煙物品は、一般に円筒形状をしていることが技術常識である。そして、記載事項c及び図1の図示事項から、ラッピング22は、内部にフィルター要素12及び14並びに中央フィルター要素16を包むものであるから、中空状であるといえる。
そうすると、ラッピング22は、中空円筒状で、中央フィルター要素16がラッピング22に包まれるものといえる。
c 図1の図示事項から、ラッピング22の端部は、それぞれ、フィルター要素12及び14により閉鎖されていることが看取できる。
d 記載事項cから、中央フィルター要素16は、活性炭17で完全に充填されているものであり、記載事項b及び図1の図示事項から、この活性炭17は粒状であるといえる。
e 記載事項bから、中央フィルター要素16に含まれる活性炭17の粒径分布は、400~600μmが好ましい範囲として開示されている。
f 記載事項bから、末端フィルター要素であるフィルター要素12及び14と、中央フィルター要素16とは直径が同じであり、中央フィルター要素16は、ラッピング22により包まれたフィルターの全長の20~60%を占めるものである。
そして、記載事項cから、中央フィルター16は、活性炭17が完全に充填されているものであり、中央フィルター16の占める容積の全てに活性炭17が充填されているといえるから、中央フィルター要素16の占める容積の全てに充填されている活性炭17が、ラッピング22の容積の20~60%を占めているといえる。
(ウ)引用文献に記載された発明
上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
〔引用発明〕
「ラッピング22、フィルター要素12及び14並びに中央フィルター要素16を含み、
ラッピング22は、中空円筒状で、中央フィルター要素16がラッピング22に包まれ、
ラッピング22の端部は、それぞれ、フィルター要素12及び14により閉鎖され、
中央フィルター要素16が、粒状の活性炭17で完全に充填されており、
中央フィルター要素16に含まれる活性炭17の粒径分布は、400~600μmであり、
中央フィルター要素16の占める容積の全てに充填されている活性炭17が、
ラッピング22の容積の20~60%を占めている喫煙用のフィルター部材。」
(エ)補正前発明1に対して
補正前発明1と、引用発明とを対比すると、引用発明の「ラッピング22」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、補正前発明1の「フィルター本体」に相当する。以下同様に、「中央フィルター要素16」及び「フィルター要素12及び14」は「濾過芯材」及び「濾過閉鎖層」に相当する。
また、引用発明の「ラッピング22は、中空円筒状で、中央フィルター要素16がラッピング22に包まれ」ることは、「ラッピング22」の内部に「中央フィルター要素16」が包まれることで、「中央フィルター要素16」が内蔵されるものといえるから、補正前発明1の「前記フィルター本体は中空円筒状で、前記濾過芯材がフィルター本体に内蔵され」ることに相当する。
また、引用発明の「ラッピング22の端部は、それぞれ、フィルター要素12及び14により閉鎖され」ることは、補正前発明1の「前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層により閉鎖され」ることに相当する。
また、引用発明の「中央フィルター要素16が、粒状の活性炭17で完全に充填されて」いることは、中央フィルター要素16が粒状の活性炭17であるといえる。
そして、「前記濾過芯材は粒状濾過材、フィラメント状濾過材、またはコイル状濾過材であり、前記粒状濾過材の粒径が250-3000μmであり、前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占めている」という発明特定事項について、「濾過芯材」の性状について、「フィラメント状濾過材」、「コイル状濾過材」を含まずに、「粒状濾過材」であるものを対象として判断すると、引用発明の「中央フィルター要素16が、粒状の活性炭17で完全に充填されて」いることは、補正前発明1の「前記濾過芯材は粒状濾過材、フィラメント状濾過材、またはコイル状濾過材であ」ることに相当する。
また、引用発明の「中央フィルター要素16に含まれる活性炭17の粒径分布は、400~600μmであ」ることは、「粒径が250-3000μm」の範囲に包含されるのであるから、補正前発明1の「前記粒状濾過材の粒径が250-3000μmであ」ることに相当する。
また、引用発明の「中央フィルター要素16の占める容積の全てに充填されている活性炭17が、ラッピング22の容積の20~60%を占めている」ことは、活性炭17の添加量が、中央フィルター要素16の占める容積の全てに充填されており、「フィルター本体の容積の1/5-4/5」の範囲に包含されるのであるから、補正前発明1の「前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占めている」ことに相当する。
また、引用発明の「喫煙用のフィルター部材」は、補正前発明1の「喫煙用濾過部材」に相当する。
よって、補正前発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点はない。
〔一致点〕
「 フィルター本体、濾過芯材および濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空円筒状で、前記濾過芯材がフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層により閉鎖され、
前記濾過芯材は粒状濾過材、フィラメント状濾過材、またはコイル状濾過材であり、
前記粒状濾過材の粒径が250-3000μmであり、
前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占めている喫煙用濾過部材」
よって、補正前発明1は、引用発明である。
(オ)補正前発明2に対して
引用発明は、中央フィルター要素16の占める容積の全てに充填されている活性炭17が、ラッピング22の容積の20~60%を占めているものであり、活性炭の添加量がラッピング22の容積の20%を含む、すなわち、ラッピング22の容積の1/5を占めているものに該当する。
(3)本願の補正前審査発明
上記(2)ウで説示した理由により、本願の補正前審査発明は、補正前発明1~4、9~14である。
2 補正後発明
本願の補正後発明は、第3で示したとおりである。
3 補正後発明が「発明の単一性」の要件以外の要件についての審査対象となるか否か
(1)特別な技術的特徴に基づく審査対象の決定
ア 引用文献の記載事項
補正前審査発明との関係において、引用発明は、上記1(2)エ(ウ)に記載のとおりである。
イ 特別な技術的特徴
補正前審査発明との関係において、特別な技術的特徴は、上記1(2)ウ(ア)と同じであり、具体的には、以下のとおりである。
「フィルター本体、濾過芯材および濾過閉鎖層を含み、
前記フィルター本体は中空円筒状で、前記濾過芯材がフィルター本体に内蔵され、
前記フィルター本体の少なくとも一端が前記濾過閉鎖層により閉鎖され、
前記濾過芯材は粒状濾過材であり、
前記粒状濾過材の粒径が250-3000μmであり、
前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占め、
前記濾過芯材は、ポリプロピレン樹脂粒子を含むことを特徴とする喫煙用濾過部材。」
なお、補正前発明1は、「前記濾過芯材は粒状濾過材、フィラメント状濾過材、またはコイル状濾過材であり、前記粒状濾過材の粒径が250-3000μmであり、前記粒状濾過材の添加量が前記フィルター本体の容積の1/5-4/5を占めている」という発明特定事項を含んでいるが、令和7年3月13日付け拒絶理由通知で説示したとおり、「濾過芯材」が「フィラメント状濾過材」又は「コイル状濾過材」であると、その後に特定されている「粒状濾過材の粒径」や「粒状濾過材の添加量」との関係が明確ではなくなるため、「濾過芯材」の性状について、「フィラメント状濾過材」、「コイル状濾過材」を含まずに、「粒状濾過材」であるものを対象として判断した。
ウ 補正後発明と特別な技術的特徴との関係
補正前審査発明と補正後発明との関係においても、特別な技術的特徴は、上記イのとおりである。
そうすると、補正後発明たる本願発明1~7は、いずれも、「濾過芯材」が、「ポリプロピレン樹脂粒子を含む」ことが特定されていないから、上記イで示した特別な技術的特徴と同一の特別な技術的特徴を有する発明ではない。
また、上記イで示した特別な技術的特徴が有する技術上の意義は、明細書の段落【0022】の「複数回の試験により、濾過閉塞層3が50g/m2のスパンレース綿からなり、濾過芯材2が粒径の1000pmのポリプロピレン樹脂粒子からなり、ポリプロピレン樹脂粒子がフィルター本体1の容積の1/5を占めていることが好ましいことを証明したのである。以上のパラメータにより、本発明の実施例1におけるフィルター本体1、濾過芯材2、濾過閉塞層3が理想的な組み合わせになり、濾過部材の濾過性、通気性、柔軟性、及び喫煙感覚が最高の性能を発揮することができる。」という記載にあると認められる。
一方、本願発明1~7には、いずれも、この記載における「濾過閉塞層3が50g/m2のスパンレース綿からなり、濾過芯材2が粒径の1000pmのポリプロピレン樹脂粒子からなり、ポリプロピレン樹脂粒子がフィルター本体1の容積の1/5を占めている」というパラメータに関する限定がされていないことから、技術上の意義が共通しているものということができない。
さらに、本願発明1~7と特別な技術的特徴とが、相補的に関連しているものという事情も認められない。
したがって、補正後発明たる本願発明1~7には、特別な技術的特徴に基づいて、審査対象となるものはない。
(2)審査の効率性に基づく審査対象の決定
補正後発明たる本願発明1~7は、審査対象とした補正前審査発明(補正前発明1~4、9~14)において特定されていない「前記濾過芯材は表面に濾過吸収材が散布されたスパンレース綿で、スパンレース綿は緩くロール状に巻かれて、フィルター本体の中空構造内に設置されている」という発明特定事項等を含むから、審査対象とした発明とまとめて審査をすることが効率的である発明であるということもできない。
また、補正後発明たる本願発明1~7は、補正前発明3の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明ではない。そして、補正後発明たる本願発明1~7は、補正前に審査対象とされた発明を審理した結果、実質的に追加的な先行技術調査や判断を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明ではなく、当該発明とまとめて審査を行うことが効率的であるといえる他の事情もない。
したがって、補正後発明たる本願発明1~7には、審査の効率性に基づいて、審査対象となるものはない。
(3)本願の補正前審査発明との関係において審査対象とならない発明があるか
上記(2)で説示したとおり、本願の補正後発明には、本願の補正前審査発明との関係において、審査対象とならない発明がある。
(4)請求人の主張について
令和7年12月24日提出の意見書における請求人の主張は、本件補正後の請求項1~14の記載に基づくものであるところ、本件補正は、上記第2で説示したとおり却下されている。
よって、当該主張を採用することはできない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願の補正後発明には、審査対象とならない発明があるから、令和7年6月19日の手続補正は、発明の特別な技術的特徴を変更する補正である。
第6 むすび
以上のとおり、令和7年6月19日提出の手続補正書でした補正は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-020440