特許拒絶査定不服審判
2023-018978
荷物掛フック
- 審判番号
- 2023-018978
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-104987
- 請求日
- 2023年11月08日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ビー・インターナショナルグループ
- 【請求人代理人】松浦 正明
- 【請求人代理人】生塩 智邦
- 審判長/審判官
- 審判長 山本 信平
- 審判官 倉橋 紀夫
- 審判官 河端 賢
- 分類
- P18 .113-WY (A47G) / P18 .121-WY (A47G) / P18 .537-WY (A47G) / P18 .55 -WY (A47G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-104987「荷物掛フック」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-163183、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)7月3日(優先権主張 平成30年7月3日)を国際出願日とする特願2019-563648号の一部を令和2年6月18日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和4年 5月16日 :手続補正書の提出
令和5年 4月14日付け:拒絶理由通知書(発送日:同年4月25日)
同年 6月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月28日付け:拒絶査定(発送日:同年8月8日)
同年11月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
理由1(新規事項の追加)令和5年6月26日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
理由2(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲に記載された請求項1-6に係る発明が発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由4(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由5(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
●理由4、5
・請求項 1-6
・引用文献等 1
・請求項 1-2
・引用文献等 2
●理由5
・請求項 3-6
・引用文献等 2
引用文献1:国際公開第2020/009154号
引用文献2:特開2007-268083号公報
第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年11月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
被取付部に着脱自在に取り付けられる荷物掛フックであって、
前記被取付部に着脱自在に巻き付けられるベルト(10)が取り付けられているベース(20)と、
基端部が前記ベース(20)に取り付けられて下方向に延出された円柱状の主ネック部(61)とこの主ネック部(61)の下端に取り付けられて上方向に開放する略C字状の形状を有する主フック本体(64)とを有する主フック部材(60)と、
前記主ネック部(61)に取り付けられた副ネック部(72)と、この副ネック部に取り付けられ上方向に開放する副フック本体(73)とを有する副フック部材(70)と
を具備し、
前記主フック本体(64)と前記副フック本体(73)は、
前記ベース(20)に対してどちらか一方若しくは両方が相対的に回転するように構成されており、かつ
前記主フック本体(64)と前記副フック本体(73)の上下方向の位置が部分的に重なるように設けられるが、前記副フック本体(73)の基端部が前記主フック本体(64)の基端部の外側に広がる方向に延出され、前記ベース(20)に対してどちらか一方若しくは両方を相対的に回転させた場合にでも、前記主フック本体(64)と前記副フック本体(73)が互いに干渉しないように構成され、かつ
回転方向の位置を互いに一致させた場合、前記副フック本体(73)が前記主フック本体(64)の開放部(65)を狭塞するように構成されている、
ことを特徴とする荷物掛フック。」
第4 理由1(新規事項の追加)及び理由2(サポート要件)について
本願発明は、令和5年11月8日付けの手続補正により「前記被取付部に着脱自在に巻き付けられるベルト(10)が取り付けられているベース(20)」のうち下線を付した事項及び「回転方向の位置を互いに一致させた場合、前記副フック本体(73)が前記主フック本体(64)の開放部(65)を狭塞するように構成されている」なる事項が追加されたことにより、同手続補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、同手続補正により補正された本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。
第5 理由4(新規性)及び理由5(進歩性)について
1 新規性及び進歩性の判断基準時について
上記第4と同様に、本願発明に係る令和5年11月8日付けの手続補正は、原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、本願発明は、原出願において優先権を主張する特願2018-127084号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項であることから、本願発明の新規性及び進歩性の判断基準時は、原出願において優先権を主張する特願2018-127084号の出願日である平成30年7月3日(以下、「優先日」という。)である。
よって、引用文献1は本願発明の新規性及び進歩性の判断基準時前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものではない。
2 引用文献、引用発明等
(1)引用文献2
ア 引用文献2の記載事項(下線は当審が付与。以下同様。)
この出願の原出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であり原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、鉤状の端部に物品を吊り下げるフックを有する吊り下げ具に関する。」
(イ)「【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る吊り下げ具1を示す斜視図である。
【0023】
合成樹脂製の吊り下げ具1は、一物品を吊り下げる第1フック2と、他物品を吊り下げる第2フック3と、第1フック2を回転可能に軸支する軸支部4と、軸支部4を挟持する挟持部5と、挟持部5のベルト通し部52に通されたベルト6とを備える。
【0024】
図2は、第1フック2を示す側面図である。
第1フック2の第1鉤状部21は、J字型の鉤状をなし、第1鉤状部21の起立部には、連結板23を介し嵌合軸部24が設けられている。嵌合軸部24の上端部には、係止部25が設けられている。第1鉤状部21の内側には、幅方向に突出しつつ、内側の曲線に沿って延びる突出部22が設けられている。
【0025】
係止部25は、内周側にピン挿通孔25aを有する筒状体であり、周方向に4分割され、上部には外周側に突出した突起部26,26,26,26が設けられている。嵌合軸部24の上端部には、ピン挿通孔25aに連通するピン挿通孔24aが設けられている。
【0026】
図3は、第2フック3を示す側面図である。
第2フック3の第2鉤状部31は、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるようにJ字型の鉤状をなし、第2鉤状部31の上端部の側方には、円筒状であり、嵌合軸部24に回転可能に嵌合される嵌合筒部33が連設されている。
第2鉤状部31の上端部の嵌合筒部33が設けられている側と反対側には、側面視が半円状である把手部34が設けられている。
第2鉤状部31の外側曲線部には、外側に突出した突起部32が設けられている。
【0027】
図4は、第1フック2、第2フック3及び軸支部4が連結された状態を示す断面図である。
第2フック3の嵌合筒部33は、連結板23により滑り落ちが防止された状態で、嵌合軸部24に回転可能に嵌合されている。
軸支部4は円筒状であり、内周側下部に、内径が上部の内径より小さい段部41を有する。軸支部4の上部の大径部42には、後述するピン53を横向きに貫通させるためのピン挿通孔42a,42aが設けられている。
【0028】
嵌合軸部24に嵌合筒部33が嵌合された状態で、軸支部4が嵌合筒部33に載置される。そして、係止部25の突起部26が段部41の上面に引っ掛けられ、ピン27が縦方向にピン挿通孔25a及び24aに挿通され、係止部25がピン27により外周側に押し広げられた状態で、段部41の上面に係止される。これにより、係止部25が軸支部4に容易に係止されるとともに、突起部26を介し第1フック2が段部41に対しスムースに回転することが出来る。
【0029】
図5は、挟持部5を示す側面図である。
挟持部5は、側面視が略逆三角形状である挟持板51,51と、該挟持板51,51を橋絡し、ベルト通し孔52aが設けられたベルト通し部52とを備える。挟持板51,51にはピン53を横向きに貫通させるためのピン挿通孔51a,51aが設けられている。ベルト通し部52の上面には、吊り下げ具1をベビーカーの手押し部等の外部部材に吊り下げたときに、吊り下げ具1が外部部材に当たってガタついたり、音がしないように、発泡剤からなる緩衝板54が設けられている。
【0030】
挟持板51,51のピン挿通孔51a,51aを、第1フック2を軸支した軸支部4のピン挿通孔42a,42a(図4参照)に外側から合わせ、ピン53を挿通することで、軸支部4は挟持部5に回転可能に挟持される。
【0031】
ベルト6のベルト本体61の一面には全長に亘って面ファスナ62が設けられている(図1参照)。ベルト本体61の一端部はバックル63に取り付けられている。ベルト本体61の他端部を挟持部5のベルト通し部52のベルト通し孔52aに通した上で、ベビーカーの手押し部等の外部部材に巻き付け、バックル63の一端部が取り付けられている側と反対側から抜き出し、この側で折り曲げて面ファスナ62が設けられている面同士を合わせることで、吊り下げ具1は、外部部材に容易に留められる。本実施の形態においては、ベルト本体61の全面に亘って面ファスナ62が設けられているので、外部部材の径に対応させて、容易にベルト6の長さを変えることが出来、外部部材に固定することが出来る。
【0032】
本実施の形態においては、第1フック2と第2フック3との2つのフックを有するので、2つの物品を同時に吊り下げることが出来る。
また、第2フック3は第1フック2に対して回転することが出来、第1フック2は軸支部4に対して回転することが出来るので、第1フック2及び第2フック3に吊り下げた物品の向きを自由に変えることが出来、同時に吊り下げた2つの物品がぶつからないようにすることが出来る。第2フック3は把手部34を備えるので、この把手部34を持って容易に第2フック3を回転させることが出来る。
また、ベビーカーの手押し部等に吊り下げ具1を吊り下げて、この吊り下げ具1に荷物をぶら下げ、乳幼児が腰掛けた場合に、荷物が後方に押されても、これに対応して軸支部4が後方に回転して傾き得るので、荷物が乳幼児を押圧することがない。
【0033】
なお、本発明の吊り下げ具の構成は前記実施の形態において説明した構成に限定されず、本発明の吊り下げ具は、種々の設計変更が可能である。」
(ウ)「
[図:0001421025000001.jpg]
」(【図1】)
(エ)「
[図:0001421025000002.jpg]
」(【図2】)
(オ)「
[図:0001421025000003.jpg]
」(【図3】)
(カ)「
[図:0001421025000004.jpg]
」(【図4】)
(キ)「
[図:0001421025000005.jpg]
」(【図5】)
(ク)上記(イ)の段落【0024】の「嵌合軸部24の上端部には、係止部25が設けられている。」なる記載、段落【0025】の「係止部25は、内周面にピン挿通孔25aを有する筒状体であり」なる記載、段落【0026】の「第2鉤状部31の上端部の側方には、円筒状であり、嵌合軸部24に回転可能に嵌合される嵌合筒部33が連設されている。」なる記載及び段落【0027】の「第2フック3の嵌合筒部33は、連結板23により滑り落ちが防止された状態で、嵌合軸部24に回転可能に嵌合されている。軸支部4は円筒状であり、内周側下部に、内径が上部の内径より小さい段部41を有する。」なる記載並びに上記(ウ)の【図1】、上記(エ)の【図2】及び上記(カ)の【図4】の図示内容からみて、嵌合軸部24は円柱状であると認められる。
(ケ)上記(ウ)の【図1】、上記(エ)の【図2】、上記(オ)の【図3】及び上記(カ)の【図4】の図示内容からみて、第2鉤状部31の上端部が第1鉤状部21及び連結板23の係止部25の方向に延出されていることが記載されていると認められる。
イ 引用発明
上記アの記載事項からみて、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 ベビーカーの手押し部等の外部部材に巻き付けて留められる吊り下げ具1であって、
ベビーカーの手押し部等の外部部材に巻き付けて留められるベルト6の他端部をベルト通し孔52aに通す軸支部4及び挟持部5と、
係止部25が軸支部4及び挟持部5に係止されて上端部に係止部25が設けられた円柱状の嵌合軸部24とこの嵌合軸部24に連結板23を介して設けられているJ字型の鉤状をなす第1鉤状部21及び連結板23が設けられている第1フック2と、
嵌合軸部24に回転可能に嵌合される嵌合筒部33と、この嵌合筒部33に連設されJ字型の鉤状をなす第2鉤状部31が設けられている第2フック3と
を具備し、
第1鉤状部21及び連結板23と第2鉤状部31は、
軸支部4が第1フック2を回転可能に軸支し、第2フック3の嵌合筒部33が第1フック2の嵌合軸部24に回転可能に嵌合されており、かつ
第2フック3の第2鉤状部31は、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるように構成され、第2鉤状部31の上端部が第1鉤状部21及び連結板23の係止部25の方向に延出され、かつ
第2フック3の第2鉤状部31が、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるように構成されている、
吊り下げ具1。」
3 対比・判断
(1) 対比
ア 本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「ベビーカーの手押し部等の外部部材」は前者の「被取付部」に相当し、また、後者の「巻き付けて留められる」ことは段落【0031】の取り付け方の記載や【図1】の図示内容からみて前者の「着脱自在に取り付けられる」ことに相当する。
イ 後者の「巻き付けて留められる」ことは段落【0031】の取り付け方の記載や【図1】の図示内容からみて前者の「着脱自在に巻き付けられる」ことに相当することから、後者の「ベビーカーの手押し部等の外部部材に巻き付けて留められるベルト6」は前者の「被取付部に着脱自在に巻き付けられるベルト(10)」に相当し、後者の「ベルト6の他端部をベルト通し孔52aに通す」ことは前者の「ベルト(10)が取り付けられている」ことに相当する。
そうすると、後者の「軸支部4及び挟持部5」は前者の「ベース(20)」に相当する。
ウ 後者の「係止部25」は前者の「基端部」に相当し、同様に、「係止されて」いることは「取り付けられて」いることに、「上端部に係止部25が設けられた」ことは「下方向に延出された」ことに、それぞれ相当することから、後者の「係止部25が軸支部4及び挟持部5に係止されて上端部に係止部25が設けられた円柱状の嵌合軸部24」は前者の「基端部がベース(20)に取り付けられて下方向に延出された円柱状の主ネック部(61)」に相当する。また、後者の「嵌合軸部24に連結板23を介して設けられている」ことは上記ア(エ)の【図2】の図示内容からみて連結板23が嵌合軸部24の下端に設けられていることが看取されることから前者の「主ネック部(61)の下端に取り付けられて」いることに相当し、同様に、「J字型の鉤状をなす」ことは「上方向に開放する略C字状の形状を有する」ことに相当することから、後者の「嵌合軸部24に連結板23を介して設けられているJ字型の鉤状をなす第1鉤状部21及び連結板23」は前者の「主ネック部(61)の下端に取り付けられて上方向に開放する略C字状の形状を有する主フック本体(64)」に相当する。さらに、後者の「設けられている」ことは前者の「有する」ことに相当する。
そうすると、後者の「第1フック2」は前者の「主フック部材(60)」に相当する。
エ 後者の「回転可能に嵌合される」ことは前者の「取り付けられた」ことに相当することから、後者の「嵌合軸部24に回転可能に嵌合される嵌合筒部33」は前者の「主ネック部(61)に取り付けられた副ネック部(72)」に相当する。また、後者の「連設され」ることは前者の「取り付けられ」ることに相当し、同様に、「J字型の鉤状をなす」ことは「上方向に開放する」ことに相当することから、後者の「嵌合筒部33に連設されJ字型の鉤状をなす第2鉤状部31」は前者の「副ネック部に取り付けられ上方向に開放する副フック本体(73)」に相当する。さらに、後者の「設けられている」ことは前者の「有する」ことに相当する。
そうすると、後者の「第2フック3」は前者の「副フック部材(70)」に相当する。
オ 後者の「軸支部4が第1フック2を回転可能に軸支し、第2フック3の嵌合筒部33が第1フック2の嵌合軸部24に回転可能に嵌合されて」いることは前者の「ベース(20)に対してどちらか一方若しくは両方が相対的に回転するように構成されて」いることに相当する。
また、後者の「第2フック3の第2鉤状部31は、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるように構成され」ていることは前者の「主フック本体(64)と副フック本体(73)の上下方向の位置が部分的に重なるように設けられるが」、「ベース(20)に対してどちらか一方若しくは両方を相対的に回転させた場合にでも、主フック本体(64)と副フック本体(73)が互いに干渉しないように構成され」ていることに相当する。また、後者の「第2鉤状部31の上端部」は前者の「副フック本体(73)の基端部」に相当し、同様に、「第1鉤状部21及び連結板23の係止部25」は「主フック本体(64)の基端部」に相当する。そして、後者の「第2鉤状部31の上端部が第1鉤状部21及び連結板23の係止部25の方向に延出され」ていることは前者の「副フック本体(73)の基端部が主フック本体(64)の基端部の外側に広がる方向に延出され」ていることと「副フック本体(73)の基端部が主フック本体(64)の基端部に対して延出され」ていることの限りにおいて一致する。
さらに、後者の「第2フック3の第2鉤状部31が、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるように構成されている」ことは前者の「回転方向の位置を互いに一致させた場合、副フック本体(73)が主フック本体(64)の開放部(65)を狭塞するように構成されている」ことと「回転方向の位置を互いに一致させるように構成されている」ことの限りにおいて一致する。
カ 後者の「吊り下げ具1」は、上記アないしオの限りにおいて前者の「荷物掛フック」に一致する。
キ そうすると、両者は、
「 被取付部に着脱自在に取り付けられる荷物掛フックであって、
被取付部に着脱自在に巻き付けられるベルトが取り付けられているベースと、
基端部がベースに取り付けられて下方向に延出された円柱状の主ネック部とこの主ネック部の下端に取り付けられて上方向に開放する略C字状の形状を有する主フック本体とを有する主フック部材と、
主ネック部に取り付けられた副ネック部と、この副ネック部に取り付けられ上方向に開放する副フック本体とを有する副フック部材と
を具備し、
主フック本体と副フック本体は、
ベースに対してどちらか一方若しくは両方が相対的に回転するように構成されており、かつ
主フック本体と副フック本体の上下方向の位置が部分的に重なるように設けられるが、副フック本体の基端部が主フック本体の基端部に対して延出され、ベースに対してどちらか一方若しくは両方を相対的に回転させた場合にでも、主フック本体と副フック本体が互いに干渉しないように構成され、かつ
回転方向の位置を互いに一致させるように構成されている、
荷物掛フック。」
において一致し、以下の点で相違すると認められる。
<相違点>
本願発明は、副フック本体(73)の基端部が主フック本体(64)の基端部「の外側に広がる方向」に延出され、回転方向の位置を互いに一致させた場合、「副フック本体(73)が主フック本体(64)の開放部(65)を狭塞する」ように構成されているものであるのに対して、引用発明は、第2鉤状部31(副フック本体(73))の上端部(基端部)が第1鉤状部21及び連結板23(主フック本体(64))の係止部25(基端部)「の方向」に延出され、第2フック3の第2鉤状部31が、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められる(回転方向の位置を互いに一致させる)ものではあるものの、その場合、本願発明のように、第2鉤状部31(副フック本体(73))が第1鉤状部21及び連結板23(主フック本体(64)の開放部(65))を「狭塞する」ように構成されているものであるか不明である点。
(2) 判断
相違点について検討する。
引用発明は、第2フック3の第2鉤状部31が、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるように構成されているものである以上、【図1】の図示内容等からみて、これを、相違点に係る本願発明の発明特定事項のように、第2鉤状部31(副フック本体(73))の上端部(基端部)が第1鉤状部21及び連結板23(主フック本体(64))の係止部25(基端部)「の外側に広がる方向」に延出されるように構成するのには阻害要因があると認められ、また、引用発明において、第2フック3の第2鉤状部31を、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収める(回転方向の位置を互いに一致させる)ようにした場合、本願明細書の段落【0040】に「主フック本体64の開放部65を副フック本体73が狭塞するため、荷物Wが開放部65から脱落することを抑制することができる。」と記載されているように、荷物Wを第1鉤状部21(主フック本体(64))に引っ掛けた状態で、同荷物Wが開放部から脱落することを抑制できるような技術的意義をもつような態様で、相違点に係る本願発明の発明特定事項のように、第2鉤状部31(副フック本体(73))が第1鉤状部21及び連結板23(主フック本体(64)の開放部(65))を「狭塞する」ように構成することまでは、引用文献2の段落【0026】の「第2フック3の第2鉤状部31は、第1フック2の第1鉤状部21の内側に収められるようにJ字型の鉤状をなし」なる記載及び【図1】ないし【図4】の図示内容からみて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
よって、本願発明は、引用発明ではなく、また、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
上記第4のとおり、令和5年11月8日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。
また、上記第5のとおり、本願発明は、引用文献2に記載された発明とはいえず、また、引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-018978