2023-015085
三点留め具
- 審判番号
- 2023-015085
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-077532外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年09月07日
- 審決日
- 2024年01月10日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マクリーン-フォグ カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (F16B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成30年 4月13日(パリ条約による優先権主張 2017年 4月14日 (US)アメリカ合衆国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 2月25日付け 拒絶理由通知
同年 9月 1日 意見書、手続補正書の提出
同年 9月22日付け 拒絶理由通知
令和 5年 3月27日 意見書、手続補正書の提出
同年 4月27日付け 拒絶査定(以下、「原査定」という。)
同年 9月 7日 審判請求正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和5年3月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
[本願発明]
「ねじ部と、支持部とを備える留め具であって、前記支持部は、工具からのトルクを受けて、トルクを前記ねじ部に伝達するように設計された3つのみの支持面であって、各支持面が、その間に端部を有している2つの隣接する側面を含み、前記2つの隣接する側面が、その間に約120度の角度を成している支持面と、3つの非支持面とを備えており、前記3つの非支持面の各々は、凸曲面を有しており、前記非支持面の各々は、前記3つのみの支持面の各2つの間に設けられており、前記3つのみの支持面の各々のために、前記2つの隣接する側面の各側面は、実質的に平面であり、前記2つの隣接する側面の間に設けられた関連付けられた端部から前記凸曲面のうちの1つまでいかなる角を成すことなく真っ直ぐに延びている留め具。」
第3 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶理由における理由1の概要は、次のとおりのものである。
●理由1(特許法第29条第2項)について
本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1~12,16:引用文献1
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1.引用文献1に記載された事項及び引用発明
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線部は当審が付したものである(以下同様。)。
(1)
「【0002】(発明の分野)本発明は、ネジ式締結具に関し、より具体的には、締結具の製造において必要とされる材料が相対的により少量であり、かつ取扱がより容易である締結具頭部の形状を有する、低質量の締結具頭部に関する。【背景技術】続きを表示(全24行)【0003】締結具業界において現在、最も一般的な種類の締結具頭部の様式は、「フランジ付き六角頭部」および「六角頭部」である。図1(a)および1(b)を参照すると、「フランジ付き六角頭部」および「六角頭部」は、概して、それぞれ、番号100aおよび100bにより表される。これらの頭部様式はどちらも、駆動トルクの印加のために六角形状の頭部102を利用する。フランジ付き六角頭部は、六角形状の頭部102の基部に一体化型フランジ104を利用して、ネジ106と加工対象物(表示せず)の内部ネジとの係合によって生じる締結具100のクランプ加重の印加および配分を向上させる。【0004】一般的な六角頭部では、トルクの印加のために、六角形の各ファセットの非常に小さい部分だけが利用される場合がある。これは、六角頭部を駆動するために利用されるツールもまた六角形状であるという事実による(一部は12面または他の変形である)。ツールの内部六角形は、寸法的に、締結具の六角形よりもわずかに大きい場合があるため(その上を自由に滑り落ちるため)、初期の駆動の間、ツールは、締結具の六角形に接触する前に、わずかに回転する(図2(a)および2(b)を参照)。【0005】このような接触が行われる時、図2に示されるように締結具の軸を見下ろすと、締結具の六角形102の角210とツールの内部ファセットとの間には、「点」接触208が初期に限って存在することができる。トルクの印加が続くと、締結具の六角形の角210の局部変形によって、この接触は、図3に示されるように、ツールの内部ファセットと締結具の六角形102の変形されたファセット314との間で、むしろ四角形状の接触点に拡張することができる。ファセット316の四角形状領域312は、締結具の治金学的特性、締結具100のテーパ量、およびツール220と六角頭部102のファセット316との間の初期間隔に応じて、大きさおよび形状が変わる。この接触領域は、各ファセット316の表面領域の10パーセント未満であってもよく、(ファセット316が接合する)六角頭部102のいずれかの角から約10パーセントを超えて延在しなくてもよい。【0006】同様な接触は、締結具100を緩める間、例えば、締め付け方向とは反対の回転方向の間に行われてもよいが、この接触は、各六角ファセット312の反対側の領域314で発生することができる点が異なる。したがって、締結具100を緩めるための接触領域314は、締め付け領域312の鏡像であるが、(ファセット316が交差する)各角に隣接した各ファセット316の反対側の端部に配置される。設置および除去の間、ツール220は、ファセット316の中心、および中心周囲の領域に接触しなくてもよい。したがって、六角頭部ファセット316の表面領域のほとんどは決して利用されなくてもよく、締結具100を締め付けるため、または緩めるためのどちらにも必要とされなくてもよい。【0007】六角形状の締結具頭部にトルクを印加する目的は、締結具100を軸方向に回すことであり、これによって、嵌合部品のネジらせんを係合させる。最終的に、このように印加された荷重は、締結具100を介してその軸受面に伝達され、固定接合部にばね荷重を作成する。小さい部分だけ、例えば、締結具六角頭部102のファセット部分312および314だけが、必要とされるため、現行技術の締結具六角頭部102は、この目的のために必要とされるよりもはるかに多い材料を含有し、その材料は理想的とは言えない場所に配置されている。例えば、締結具使用の多くで、締結具100は、片手の指に握ることによって、その嵌合内部のネジ式部(表示せず)に運ばれる。通常、これは、親指、人差し指、および中指の指先の間で掴むことによって達成される。この目的には、六角形の面は、理想的ではない。【0008】さらに、締結具頭部の形状は、頭部が作業員による取扱を容易にするために重要となる可能性がある。ここで図4を参照すると、手の指の表示によって握られている六角頭部締結具の模式的な平面図が示される。六角頭部402は、片手(表示せず)の親指404、人差し指406、および中指408によって握られる(例えば、掴まれている)場合がある。指404、406および408で任意の小物体を掴む間、六角頭部402に向けられた指404、406および408の表面は、本質的に、様々なサイズの凸曲面である。これらの表面は、通常、約120度の間隔で、六角頭部402の周囲に本質的に均等に配分されるような様式で、六角頭部402を掴むように示される。六角頭部402が掴まれると、指404、406および408の凸曲面は、掴まれている表面の輪郭に一致するように変形することができるので、相対的により「指が扱いやすい」可能性がある。【0009】これらの問題によって、特に、より重く、必要以上により高いコストがかかる、手およびツールの組立に不適当な、締結具となる。一部の他の先行技術は、特殊なツールおよび駆動面を作成することによって、非効率な荷重印加の現象に対応してきたが、他の技術は、多様な手段を介して、六角頭部102の中心を空洞化することによって、材料の削減に対応してきた一方で、さらに他の技術は、特殊な駆動ツールを備える三角の頭部を作成してきたが、これらの技術のどれも、六角頭部の製造部品の実際の現在の形状、ならびに業界内のツールとのその相互作用を検討しながら、総合的に六角頭部102に対応していない。現在の技術の六角頭部は、その意図される目的に必要とされ得るよりはるかに多くの材料を含有し、配置された材料は取扱、ならびに費用および重量の削減に理想的であるとは言いがたい。【発明の概要】【課題を解決するための手段】【0010】本開示の教示に従い、締結具頭部は、印加されるトルクに障害なく抵抗し、このトルクを伝達して軸荷重に抵抗することが可能であるように、適切な位置に配置された、十分な材料だけを必要とすることができる。【0011】本開示の一態様に従い、現在の組立工具において六角タイプの頭部で見られる性能を維持しながら、手の挿入のために片手の親指、人差し指および中指で掴むことがより容易である頭部の構成が提供される。このような設計は、現行の締結具頭部技術の費用を削減することができる(材料は、締結具費用のおよそ50~60パーセントである)。本開示の教示に従い、トルクの印加および伝達に必要でない可能性があり、軸荷重に抵抗するために必要でない可能性があり、現在の駆動工具内で締結具頭部を軸方向に安定させるために必要でない可能性があり、六角頭部のこれらの部分を除去する一方で、トルクの人間の手と接触するようにより扱いやすい可能性がある表面が作成され得る。」
(2)
「【0017】ここで図5を参照すると、本開示の特定の例示的実施形態に従い、締結具頭部の模式的平面図が示される。締結具は、概して番号500によって示されるが、締結具500の手作業の組立の間、各指404~408によって接触するために成形された表面を備える頭部を有する。締結具500の頭部には、3つの面502、504および506が提供されてもよく、各々は、人間の指の形状の本質的な鏡像である、凹曲面を有する。好ましくは、凹曲面の各々は、大きい指が曲線の極限で超過荷重を感じないために、最大の人間の親指に快適に嵌合するように十分大きい。この曲線は、本質的に凹面である任意の輪郭を有してもよく、または締結具頭部の角(点)の間に本質的に凹曲面を形成する、曲面および/または平坦の任意の組み合わせから構成されてもよいことが検討され、本開示の範囲内である。2本の指および親指は、直径方向に対向するパターンで配設され、締結具の手作業の組立の間に掴むため、および駆動するために利用されてもよく、例えば、3つの表面502、504および506は、締結具500の軸周囲で約120度の間隔で配置されるが、これに限定されない。」
(3)
「【0021】上記のように、先行技術の六角形状の締結具100(図1~4)の締結および分解中、外部ツール220と締結具六角頭部102との間の接触は、六角形の角に直接隣接した領域内(例えば、四角形領域312および314)で、ファセットの領域の約10パーセントだけを占める場合がある。このように、本技術の六角頭部の締結具の利点および機能を維持するためには、本来のファセット領域のこの部分だけが必要とされる場合がある。このため、六角形の既存の角に角の各々に隣接した小さい追加の領域を加えただけが(材料および寸法的変形を補償することを目的として)、ツール接触のために必要とされる場合がある。これらの領域は、現在の技術の六角頭部締結具では図3に示され、組立(締結)のためには番号312によって、および除去(分解)のためには番号314によって表される。【0022】ここで図8(a)および8(b)を参照すると、同様に、領域812および814は、番号840、842および844によって示された角の片側に存在する。このような領域は、標準工具のための好適な接触領域を効果的に提供する任意の形状を取ることができ、および/またはこれより相当大きくてもよいことが検討され、本開示の範囲内である。締結具の設計および製造分野の技術および本開示の利点を有する当業者は、既存の駆動工具との適合性を維持しながらも、締結具の製造において必要な材料の量を削減する場合に採用されてもよい、無制限の多様な形状のファセット面の利点を理解するであろう。【0023】先行の六角締結具技術において説明された6つの平面上のツール接触は、現在の組立ツールで設置中に相当に振動させないように、締結具を安定させる。ツールに対する締結具の安定性は、これらの平面とツールとの相互作用によって影響される場合がある。平面の角度が極端に、例えば、5度以上変更される場合、または点接触だけが可能であるように削減される場合に発生する可能性がある。このように、本開示の教示に従い、このような安定性は、特に、締結具頭部の外周に等しい空間を残す場合、接触平面の数を6から3に削減することによって顕著に低下することはない。例えば、図8(a)および8(b)に示される実施形態において、角840、842、および844は、相互に約120度に位置している。このように、従来の六角頭部締結具に見られた駆動平面のうちの3つが排除される。【0024】従来の六角頭部締結具から接触平面を除去しても、残りの面がさらに顕著に変形することなく必要なトルクを伝達することが可能であるので、残りの3つの平面のうちのいずれかに追加される追加の接触領域を必ずしも必要としなくてもよい。このように、本開示の教示に従い、本明細書に説明された3つの角840、842および844(各角は領域812および814を有する)との組み合わせで、3つの正反対の指接触面502、504および506(指5および6)の使用は、ツール組立性能を低下させないままで、手作業の組立を向上するために十分な可能性がある。手作業の組立における快適性を目的とするさらなる改善では、湾曲エッジ710、712および714が追加されてもよい。これらの頭部構成はまた、従来の六角頭部に比較して少ない材料で製造されてもよい。」
(4)
「【0037】ここで図16を参照すると、3点または3つの突起部を備える実施形態の平面図が示される。この実施形態は、3つの点または角840、842および844を備える、図8(a)および8(b)に関して説明された実施形態に類似するが、この実施形態は、頭部の角(領域812および814の交差)を通る円周にほぼ等しい直径を有する台1180を備え、角の間のファセット(502、504、506)が実質的に平面である点が異なる。しかしながら、代替の実施形態において、これらの表面は平坦または凸面、または任意の組み合わせの表面であってよい。実施形態は、頭部の中心部分に材料を有してもよく、有さなくてもよい。」
(5)
「【図8(a)】[図:0001411139000001.jpg]」
(6)
「【図8(b)】[図:0001411139000002.jpg]」
(7)
「【図16】[図:0001411139000003.jpg]」
(8)
図8(a)から、締結具は、ねじ部と、頭部とを備えることが看取される。
(9)
段落【0023】の「接触平面の数を6から3に削減する」という記載、及び、段落【0024】の「従来の六角頭部締結具から接触平面を除去しても、残りの面がさらに顕著に変形することなく必要なトルクを伝達することが可能である」という記載から、3つの接触平面は、トルクが伝達される部位であることが理解される。
そして、段落【0022】の「領域812および814は、番号840、842および844によって示された角の片側に存在する。このような領域は、標準工具のための好適な接触領域を効果的に提供する任意の形状を取ることができ」という記載に鑑みれば、上記3つの接触平面は、標準工具からトルクが伝達される部位であるといえる。
また、締結具における技術常識に鑑みれば、3つの接触平面は、標準工具から伝達されたトルクをねじ部に伝達する部位であることは、明らかである。
加えて、図8(b)及び図16から、各接触平面は、その間に角840、842、844を有している2つの隣接する領域812、814を含むことが看取される。
(10)
図16から、ファセット502、504、506の各々は、3つの角840、842、844の各2つの間に形成されていることが看取される。
そうすると、ファセット502、504、506の各々は、3つの角840、842、844を含む上記3つの接触平面の各2つの間に形成されているといえる。
(11)
図16から、領域812及び領域814の各々は、実質的に平面状をなし、2つの隣接する領域812、814の間に設けられた関連付けられた角840、842、844からファセット502、504、506のうちの1つまで真っ直ぐに延びていることが看取される。
以上の事項から、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。
[引用発明]
「ねじ部と、頭部とを備える締結具であって、前記頭部は、標準工具からトルクが伝達され、トルクを前記ねじ部に伝達する部位である3つの接触平面であって、各接触平面が、その間に角840、842、844を有している2つの隣接する領域812、814を含む、接触平面と、ファセット502、504、506とを備えており、前記ファセット502、504、506の各々は、凸面であって、前記ファセット502、504、506の各々は、前記3つの接触平面の各2つの間に形成されており、前記領域812、領域814の各々は、実質的に平面状をなし、前記2つの隣接する領域812、814の間に設けられた関連付けられた前記角840、842、844からファセット502、504、506のうちの1つまで真っ直ぐに延びている締結具。」
第5 当審の判断
1.本願発明と引用発明との対比・判断
(1)本願発明と引用発明とのの対比
ア
引用発明の「ねじ部」は、本願発明の「ねじ部」に相当し、引用発明の「頭部」は、本願発明の「支持部」に相当し、引用発明の「締結具」は、本願発明の「留め具」に相当する。
イ
引用発明の「標準工具からトルクが伝達され、トルクを前記ねじ部に伝達する」という事項は、本願発明の「工具からのトルクを受けて、トルクを前記ねじ部に伝達するように設計された」という事項に相当する。引用発明の「3つ」と本願発明の「3つのみ」は、実質的に違いがなく、かつ、引用発明の「接触平面」は、標準工具からのトルクを受け止めてトルクを支持する面であることから、引用発明の「3つの接触平面」は、本願発明の「3つのみの支持面」に相当する。そうすると、引用発明の「標準工具からトルクが伝達され、トルクを前記ねじ部に伝達する部位である3つの接触平面」は、本願発明の「工具からのトルクを受けて、トルクを前記ねじ部に伝達するように設計された3つのみの支持面」に相当する。
引用発明の「角840、842、844」は、接触平面の端部を形成していることから、本願発明の「端部」に相当する。引用発明の「領域812、814」は、標準工具が接触する側面であることから、本願発明の「側面」に相当する。
引用発明の「ファセット502、504、506」は、頭部において3つ設けられたものであり、締結具の手作業の組立の間に、指で掴むあるいは駆動するために利用される面であって、標準工具からトルクを伝達するために利用されるものではないから、本願発明の「3つの非支持面」に相当する。
ウ
引用発明の「前記ファセット502、504、506の各々は、凸面であ」るという事項は、本願発明の「前記3つの非支持面の各々は、凸曲面を有して」いるという事項に対して、「前記3つの非支持面の各々は、凸状の面を有して」いるという限りにおいて一致する。
エ
引用発明の「前記ファセット502、504、506の各々は、前記3つの接触平面の各2つの間に形成されて」いるという事項は、本願発明の「前記非支持面の各々は、前記3つのみの支持面の各2つの間に設けられて」いるという事項に相当する。
オ
引用発明において、領域812、領域814の各々は、前記3つの接触平面の各々において、実質的に平面であるから、引用発明の「前記領域812、領域814の各々は、実質的に平面状をなし」ているという事項は、本願発明の「前記3つのみの支持面の各々のために、前記2つの隣接する側面の各側面は、実質的に平面であ」るという事項に相当する。
引用発明において、領域812、814は、前記3つの接触平面の各々において、角840(または842、844)からファセット502、504、506の面のうちの1つまでいかなる角を成すことなく真っ直ぐに延びており、ファセット502、504、506の面は凸面であることから、引用発明の(前記領域812、及び領域814の各々は、)「前記2つの隣接する領域812、814の間に設けられた関連付けられた前記角840、842、844からファセット502、504、506のうちの1つまで真っ直ぐに延びている」という事項は、本願発明の(前記3つのみの支持面の各々のために、前記2つの隣接する側面の各側面は、)「前記2つの隣接する側面の間に設けられた関連付けられた端部から前記凸曲面のうちの1つまでいかなる角を成すことなく真っ直ぐに延びている」という事項に対して、「前記2つの隣接する側面の間に設けられた関連付けられた端部から凸状の面のうちの1つまでいかなる角を成すことなく真っ直ぐに延びている」という限りにおいて一致する。
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~2で相違する。
[一致点]
「ねじ部と、支持部とを備える留め具であって、前記支持部は、工具からのトルクを受けて、トルクを前記ねじ部に伝達するように設計された3つのみの支持面であって、各支持面が、その間に端部を有している2つの隣接する側面を含む、支持面と、3つの非支持面とを備えており、前記3つの非支持面の各々は、凸状の面を有しており、前記非支持面の各々は、前記3つのみの支持面の各2つの間に設けられており、前記3つのみの支持面の各々のために、前記2つの隣接する側面の各側面は、実質的に平面であり、前記2つの隣接する側面の間に設けられた関連付けられた端部から前記凸状の面のうちの1つまでいかなる角を成すことなく真っ直ぐに延びている留め具。」
(相違点1)
本願発明では、「前記2つの隣接する側面が、その間に約120度の角度を成している」と特定されているのに対して、引用発明では、前記領域812と前記領域814との間に成している角度が明らかでない点。
(相違点2)
3つの非支持面が有する「凸状の面」に関して、本願発明では、凸「曲」面と特定されているのに対して、引用発明では、前記ファセット502、504、506が曲面であるか明らかでない点。
(2)判断
上記相違点1~2について検討する。
ア 相違点1について
引用文献1の段落【0022】の「領域812および814は、番号840、842および844によって示された角の片側に存在する。このような領域は、標準工具のための好適な接触領域を効果的に提供する任意の形状を取ることができ」という記載から、前記領域812及び前記領域814は、標準工具からトルクを伝達するために好適な接触を図ることができる形状とすることが示唆されているといえる。
また、引用文献1において、段落【0004】、段落【0021】には、締結具にトルクを印加するツールは六角形状であることが示唆されていることから、引用発明における前記領域812及び前記領域814と接触させる標準工具は、六角形状であることが想定される。
そして、引用文献1の図2からも看取されるように、六角形状の標準工具は各頂点の内側が120度の角度を成すものであることは技術常識であるから、引用発明において、前記領域812及び前記領域814を、標準工具からトルクを伝達するために好適な接触を図ることができる形状とするために、六角形状の標準工具の各頂点の形状に合わせて、前記領域812と前記領域814との間に約120度の角度を成すものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
さらに、段落【0023】の「接触平面の数を6から3に削減する」という記載から、引用発明の締結具は、従来の六角頭部を有する締結具の接触平面の数を6から3に削除したものであるといえ、六角頭部を有する締結具において、頭部の角の角度は約120度の角度を成すものであることは技術常識であることからも、引用発明の前記領域812及び前記領域814を約120度の角度を成すものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用文献1の段落【0017】には、引用発明のファセット502、504、506は、締結具の手作業の組立の間に、指で掴むあるいは駆動するために利用される面であることが示唆されていることから、当該ファセット502、504、506は、指で掴むのに適した形状とすることが想定される。
そして、凸状の面と指を接触させるにあたって、尖った角を有する凸状の面よりも曲面から成る凸状の面の方が指との接触性が良好であることは技術常識であるから、引用発明において、前記ファセット502、504、506を、指で掴むのに適した形状とするために、凸曲面とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 本願発明が奏する効果について
引用文献1の段落【0023】~【0024】には、従来の六角頭部締結具に見られた駆動平面のうちの3つが排除されることにより、引用発明における締結具の頭部が、従来の六角頭部に比較して少ない材料で製造されることが示唆されている。また、引用文献1の段落【0023】には、引用発明における締結具において、ツールに対する締結具の安定性は、接触平面の数を6から3に削減することによって顕著に低下することはないことが示唆されている。
してみると、本願発明が奏する「耐久性及び機能に関する最も高い工業規格値を維持しつつ、重量を減らすために、留め具の設計を改良する」という効果は、引用発明に基いて、当業者が予測できる範囲を超えるものではない。
上記ア~ウの検討によれば、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2.請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「引用文献1は、依然として、2つの隣接する側面の間に120度の角度を有する支持面を開示していない。・・・引用文献1の実施形態はすべて、より大きな角度を有する異なるサイズの支持面を開示している。・・・このように、引用文献1の記載された発明は、本願発明の留め具とはその構成も奏される効果も大きく相違している。」(第4ページ第18行~第5ページ第2行)との旨を主張している。
しかしながら、上記「1.(2)ア」で検討したとおり、引用発明において、前記領域812及び前記領域814を、標準工具からトルクを伝達するために好適な接触を図ることができる形状とするために、六角形状の標準工具の各頂点の形状に合わせて、前記領域812と前記領域814との間に約120度の角度を成すものとすることは、技術常識を踏まえて、当業者が容易になし得たことである。
そして、上記「1.(2)ウ」で検討したとおり、本願発明が奏する「耐久性及び機能に関する最も高い工業規格値を維持しつつ、重量を減らすために、留め具の設計を改良する」という効果は、引用発明に基いて、当業者が予測できる範囲を超えるものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
3.まとめ
上記「1~2.」の検討によれば、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-015085