特許拒絶査定不服審判
2023-009060
温調ユニット
- 審判番号
- 2023-009060
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-520748
- 請求日
- 2023年06月02日
- 審決日
- 2024年08月05日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社巴川コーポレーション
- 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-520748「温調ユニット」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月26日国際公開、WO2020/235449、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)5月14日(優先権主張 令和元年5月21日)を国際出願日とする出願であって、手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 7月 7日付け:拒絶理由通知
令和4年11月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月15日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和5年 6月 2日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和6年 5月 7日付け:拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)
令和6年 7月 5日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年3月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の請求項2、5、6に係る発明は、下記の引用文献AないしDに記載された発明に基いて、この出願の請求項7に係る発明は、下記の引用文献AないしEに記載された発明に基いて、この出願の請求項8に係る発明は、下記の引用文献AないしD、FおよびGに記載された発明に基いて、この出願の請求項3、5、6に係る発明は、下記の引用文献AないしCおよびEに記載された発明に基いて、この出願の請求項4ないし6に係る発明は、下記の引用文献AおよびDに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献A:特開2017-44461号公報
引用文献B:特開2001-77257号公報(周知技術を示す文献)
引用文献C:特開2015-112866号公報(周知技術を示す文献)
引用文献D:特開2010-272870号公報
引用文献E:特開2003-314990号公報
引用文献F:特開平5-322464号公報
引用文献G:特開2003-287379号公報
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年5月7日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
1.(進歩性)この出願の請求項1および5に係る発明は、下記の引用文献1および2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項6の記載において、「前記金属繊維シート」という記載以前に「金属繊維シート」という記載がみあたらず、当該記載は、技術的に不明瞭となっているから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
<引用文献等一覧>
1.特開2017-044461号公報(原査定の引用文献A)
2.特開2005-123496号公報
第4 本願発明
本願請求項1に係る発明ないし請求項7に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和6年7月5日提出の手続補正書によって補正(以下、「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
外部から熱媒体を導入する熱媒体導入口と、
前記熱媒体導入口からの前記熱媒体が通過する温調機構と、
前記温調機構から外部に前記熱媒体を排出する熱媒体排出口と、を有し、
前記温調機構は、金属多孔質体と、前記金属多孔質体を収容する収容体と、少なくとも1つの主面が前記温調機構の外側に露出され、該主面の内側が前記金属多孔質体に接することで前記金属多孔質体と外部との間で熱交換を行う熱交換板と、を備え、
前記収容体は、前記熱媒体導入口と前記金属多孔質体との間に熱媒体拡散領域が設けられ、
前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、
前記金属繊維シートは、前記熱媒体導入口側に配置された第1の金属繊維シートと、前記熱媒体排出口側に配置された第2の金属繊維シートと、を備え、
前記第1の金属繊維シートと前記第2の金属繊維シートとの間には、隙間が形成されている、調温ユニット。
【請求項2】
外部から熱媒体を導入する熱媒体導入口と、
前記熱媒体導入口からの前記熱媒体が通過する温調機構と、
前記温調機構から外部に前記熱媒体を排出する熱媒体排出口と、を有し、
前記温調機構は、金属多孔質体と、前記金属多孔質体を収容する収容体と、少なくとも1つの主面が前記温調機構の外側に露出され、該主面の内側が前記金属多孔質体に接することで前記金属多孔質体と外部との間で熱交換を行う熱交換板と、を備え、
前記収容体は、前記熱媒体導入口と前記金属多孔質体との間に熱媒体拡散領域が設けられ、
前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、
前記金属繊維シートには、前記熱媒体導入口と前記熱媒体排出口とを結ぶ直線を通る横断面において、一部が除去されて蛇行した形状の流路が形成されている、温調ユニット。
【請求項3】
外部から熱媒体を導入する熱媒体導入口と、
前記熱媒体導入口からの前記熱媒体が通過する温調機構と、
前記温調機構から外部に前記熱媒体を排出する熱媒体排出口と、を有し、
前記温調機構は、金属多孔質体と、前記金属多孔質体を収容する収容体と、少なくとも1つの主面が前記温調機構の外側に露出され、該主面の内側が前記金属多孔質体に接することで前記金属多孔質体と外部との間で熱交換を行う熱交換板と、を備え、
前記収容体は、前記熱媒体導入口と前記金属多孔質体との間に熱媒体拡散領域が設けられ、かつ前記熱媒体の流路の一部を遮蔽する構造物によって蛇行した流路を形成している、調温ユニット。
【請求項4】
前記熱媒体拡散領域は、前記熱媒体導入口から前記金属多孔質体の熱媒体導入面の両端部分に向かって連続的に傾斜して広がっていく形状である、請求項1から3のいずれか1項記載の温調ユニット。
【請求項5】
前記金属多孔質体と前記熱媒体排出口との間には熱媒体バッファ領域が設けられ、
前記熱媒体バッファ領域は、前記金属多孔質体の熱媒体排出面の両端部分から前記熱媒体排出口に向かって連続的に傾斜して狭まっていく形状である、請求項1から4のいずれか1項記載の温調ユニット。
【請求項6】
前記金属繊維シートは、前記熱媒体の流速が大きくなる部分では前記熱媒体の経路が長くなる形状である、請求項1又は2記載の調温ユニット。
【請求項7】
前記金属繊維シートは、前記熱媒体の流速が大きくなる部分では金属繊維が密に配置されている、請求項1、2又は6記載の調温ユニット。」
第5 引用文献
1 引用文献1(引用文献A)
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献1(特開2017-044461号公報、原査定の引用文献A)には、図面とともに以下の記載がある(下線は、当審が付加した。以下同様。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器における熱交換の効率の改善は、熱交換器のコンパクト化や熱交換器を含むシステムの省エネルギー化につながる重要なファクターである。
【0003】
熱交換器における熱交換の効率を向上させる技術として、熱交換器のフィンに金属材料
を発泡させて製造される発泡金属を用いることにより、伝熱性能を向上させる技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、熱伝導率が高い銅やアルミニウム等からなる発泡金属を空気調和器用の熱交換器の伝熱フィンに採用することにより、熱交換の効率を向上させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2005-326136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、発泡金属の目を細かくしていくことによって、熱交換器の効率が向上するとされている。しかしながら、発泡金属の目を細かくしていった場合、熱交換器へ流体を流すための圧力抵抗が増大するため、従来の熱交換器と同一の圧力をかけて流体を流した際には、流体の流量が減少し、熱交換器の効率が低下する恐れがある。
【0006】
そこで、金属多孔体を用いた熱交換器において、圧力抵抗の増大を抑えつつ、熱交換の効率を向上させることが可能な熱交換器を提供することを目的の1つとする。」
イ 図1
[図:0001412963000001.jpg]
ウ 「【0020】
図1を参照して、実施の形態1の熱交換器であるヒートシンク100は、たとえば発熱源に接触する伝熱体の内部に、熱交換媒体である冷却水などの流体を流すことが可能な構造を有する。」
エ 図2
[図:0001412963000002.jpg]
オ 図3
[図:0001412963000003.jpg]
カ 「【0021】
図1~図3を参照して、本実施の形態における熱交換器であるヒートシンク100は、本体部10と、流体通過部20と、導入用配管22と、排出用配管28とを備える。
【0022】
図2および図3を参照して、本体部10は、冷却水1の進行方向1aに沿った方向において、中央に位置する伝熱部12と、伝熱部12から見て上流側に位置する導入部23と、伝熱部12から見て下流側に位置する排出部34とを含む。本体部10は、たとえば銅などの熱伝導率の高い金属からなる。また、本体部10の外形形状は、直方体状である。本体部10は、外壁において、図示しない発熱源に接触する。導入部23は、流体通過部20に導入される冷却水1の流路となる本体導入流路15を規定する。また、排出部34は、流体通過部20から排出される冷却水1の流路となる本体排出流路16を規定する。
【0023】
導入用配管22は、本体部10の導入部23に接続される。導入用配管22および導入部23は、導入流路部81を構成する。排出用配管28は、本体部10の排出部34に接続される。導入用配管22の内部には中空領域である導入用配管流路27が形成されている。
【0024】
本体部10には、貫通孔である中空領域19が形成されている。本体部10の中空領域19における冷却水1の進行方向1aに垂直な断面における断面積は、上流側である本体導入流路15および下流側領域である本体排出流路16に比べて中央部17において大きくなっている。冷却水1の進行方向1aに垂直な断面における断面積は、中央部17において一定である。中央部17は直方体形状を有している。本体導入流路15および本体排出流路16は、底面において中央部17に接続された四角錐台形状の領域が、当該領域から離れるに従って断面積が減少するように湾曲するなめらかな曲面に囲まれた領域によって円筒状の領域につながる形状を有している。本体導入流路15および導入用配管流路27は、導入流路82を構成する。
【0025】
中空領域19の中央部17内には、流体通過部20が配置される。流体通過部20は、本体部10の伝熱部12に接触するように配置される。より具体的には、伝熱部12の内壁面の全周にわたって流体通過部20が接触する。流体通過部20により中央部17が充填される。伝熱部12は、流体通過部20を取り囲むことにより冷却水1が流体通過部20を通過するための通過流路(中央部17)を規定している。
【0026】
流体通過部20は、たとえば伝熱部12の内壁面にロウ付けして固定される。これにより、流体通過部20と伝熱部12との間の熱の移動が容易となる。流体通過部20は、冷却水1が流入すべき面である流入面25を備える。流体通過部20は、熱伝導率が高い金属から構成される金属多孔体からなる。流体通過部20は、冷却水1が内部を通過可能な多孔体構造を有している。ここで金属多孔体は、金属を発泡させることにより製造された発泡金属であってもよいし、他の製造方法により多孔質な状態とされたものであってもよい。金属多孔体を構成する金属材料として、たとえば、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Fe(鉄)等を採用することができる。
【0027】
ヒートシンク100の使用状態において、本体部10は発熱源(図示しない)に接触する。そのため、発熱源から本体部10へと熱が伝達される。本体部10に流入した熱は、本体部10に接合された流体通過部20へと移動する。導入用配管22から導入された冷却水1は、流入面25から流体通過部20に流入し、流体通過部20を通過する際に流体通過部20から熱を奪う。そして、昇温した冷却水1は、排出用配管28から排出される。このようにして、ヒートシンク100は、発熱源の熱を放出する。
【0028】
ここで、ヒートシンク100は、伝熱部12と、金属多孔体からなり、伝熱部12に接触して配置され、内部を冷却水1が通過可能な流体通過部20と、流体通過部20へと冷却水1を導く導入流路82を規定する導入流路部81とを備えている。
【0029】
そして、図2および図3を参照して、流体通過部20の流入面25の面積は、冷却水1の進行方向1aに垂直な導入流路82の断面である導入流路断面72aを、冷却水1の進行方向1aに沿って流体通過部20に近づけた場合に流体通過部20に接触する位置である流入位置70の上流側に隣接する領域に位置する導入流路断面72bの面積よりも大きい。
【0030】
より具体的には、本実施の形態においては、流入位置70における導入流路断面の面積が流入位置70の上流側に隣接する領域に位置する導入流路断面72bの面積よりも大きいことにより、流入面25の面積が、流入位置70の上流側に隣接する領域に位置する導入流路断面72bの面積よりも大きくなっている。つまり、流入面25への流入前に、冷却水1の流路の断面積が大きくなっている。このような構造を有することにより、本実施の形態のヒートシンク100においては、冷却水1が流体通過部20へと流入する前に冷却水1の速度が低下する。圧力損失は流体(冷却水1)の速度の2乗に比例する。そのため、金属多孔体からなる流体通過部20に流入する冷却水1の速度を小さくすることで、圧力損失の低減を図ることが可能となる。その結果、熱交換の効率を向上させることができる。このように、本実施の形態におけるヒートシンク100によれば、金属多孔体を用いたヒートシンク100において、圧力損失を低減して熱交換の効率を向上させることが可能となる。」
キ 図6
[図:0001412963000004.jpg]
ク 図7
[図:0001412963000005.jpg]
ケ 「【0053】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図6および図7を参照して、実施の形態4におけるヒートシンク400は、実施の形態1の場合と基本的には同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態4におけるヒートシンク400は熱伝導率が高い金属からなる熱伝導補助部材5をさらに備えている点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0054】
図6および図7を参照して、実施の形態4におけるヒートシンク400では、伝熱部12から離れて位置する流体通過部20の領域と伝熱部12とを接続するように配置される熱伝導補助部材5をさらに備える。熱伝導補助部材5は、流体通過部20の中央部と伝熱部12とを接続するように配置されることが好ましい。本実施の形態においては、熱伝導補助部材5は、流体通過部20を貫通し、流体通過部20を挟んで互いに対向する伝熱部12の内壁面間を繋ぐように配置される。熱伝導補助部材5は、柱状、たとえば円柱状の形状を有している。熱伝導補助部材5を構成する材料としては、熱伝導率の高い金属、たとえばCu、Alなどを採用することができる。
【0055】
これにより流体通過部20において、伝熱部12の接触面から離れた領域と伝熱部12との間の熱の移動が容易となる。その結果、熱交換の効率をさらに向上させることが可能となる。
【0056】
なお、本実施の形態において、熱伝導補助部材5は円柱形状の場合を例示したが、他の形状、たとえば薄板状であってもよい。
【0057】
また、上記実施の形態1~4における熱交換器の構造は、本願の熱交換器の構造における具体例であって、本願の熱交換器の構造はこれらに限られるものではない。したがって、たとえば上記実施の形態1~4において説明した構造を適宜組み合わせた構造を採用してもよい。
【0058】
また、上記実施の形態1~4においては、本願の熱交換器の一例として水冷ヒートシンクについて説明したが、本願の熱交換器はこれに限定されず、空気調和装置等に用いられる空気熱交換ユニットなど、種々の熱交換器に適用することができる。」
(2)引用発明
上記(1)より、引用文献1の、特に、実施の形態4として、記載された構成に着目すると(なお、実施の形態4は、実施の形態1と基本的に同様の構造を有している(段落0053)ことから、上記では、実施の形態4と共通する実施の形態1の構成部分も摘記している。)、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「熱交換器であるヒートシンクは、たとえば発熱源に接触する伝熱体の内部に、熱交換媒体である冷却水などの流体を流すことが可能な構造を有しており、
ヒートシンクは、本体部10と、流体通過部20と、導入用配管22と、排出用配管28とを備えており、
本体部10は、冷却水1の進行方向1aに沿った方向において、中央に位置する伝熱部12と、伝熱部12から見て上流側に位置する導入部23と、伝熱部12から見て下流側に位置する排出部34とを含んでおり、
本体部10は、たとえば銅などの熱伝導率の高い金属からなり、
本体部10は、外壁において、発熱源に接触しており、
本体部10には、貫通孔である中空領域が形成されており、
本体部10の中空領域における冷却水1の進行方向1aに垂直な断面における断面積は、上流側である本体導入流路15および下流側領域である本体排出流路16に比べて中央部において大きくなっており、
本体導入流路15および本体排出流路16は、底面において中央部に接続された四角錐台形状の領域が、当該領域から離れるに従って断面積が減少するように湾曲するなめらかな曲面に囲まれた領域によって円筒状の領域につながる形状を有しており、
中空領域の中央部内には、流体通過部20が配置され、
流体通過部20は、本体部10の伝熱部12に接触するように配置されており、
伝熱部12の内壁面の全周にわたって流体通過部20が接触しており、
伝熱部12は、流体通過部20を取り囲むことにより冷却水1が流体通過部20を通過するための通過流路(中央部)を規定しており、
流体通過部20は、熱伝導率が高い金属から構成される金属多孔体からなり、
ヒートシンクの使用状態において、本体部10は発熱源に接触するため、発熱源から本体部10へと熱が伝達され、本体部10に流入した熱は、本体部10に接合された流体通過部20へと移動し、導入用配管22から導入された冷却水1は、流入面25から流体通過部20に流入し、流体通過部20を通過する際に流体通過部20から熱を奪って、昇温した冷却水1は、排出用配管28から排出されることにより、発熱源の熱を放出するヒートシンクであって、
ヒートシンクは、伝熱部12から離れて位置する流体通過部20の領域と伝熱部12とを接続するように配置される熱伝導補助部材5をさらに備え、
熱伝導補助部材5は、流体通過部20の中央部と伝熱部12とを接続するように配置され、
熱伝導補助部材5を構成する材料としては、熱伝導率の高い金属、たとえばCu、Alなどを採用することができる
ヒートシンク。」
2 引用文献2、B~G
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献2(特開2005-123496号公報)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器に関するものである。本発明の熱交換器は、発熱体、例えばCPU、IGBT等の電子素子から発する熱を放熱するために上記発熱体に設けられる伝熱壁もしくは伝熱容器、または高温流体と低温流体との間で熱交換するために、各流体間に設けられる伝熱壁もしくは伝熱容器を指すものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体からの熱を流体に伝え放熱する場合、あるいは流体間の熱交換を行う場合、熱交換器の表面に突起物を設け、伝熱面積及び流体攪拌力を増大させて、熱交換器から流体への伝熱促進を行うようになされていた。例えば、伝熱壁表面に複数の板を設けたストレートフィン付き熱交換器、伝熱壁表面に複数の円柱を設けたピンフィン付き熱交換器等がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、最近では、CPU、IGBT等の電子素子の発熱量が急増しており、より高性能の熱交換器が必要とされている。そこで、上記ストレートフィンの間隙、または上記ピンフィンのピン直径、及びピン間距離を小さし、伝熱壁表面の突起物をより集積させることにより、伝熱面積を増大させ、熱交換器の伝熱特性を向上させる試みがなされている。
【0003】
【特許文献1】 特開2003-47258号公報 (第2-3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の従来の熱交換器は、伝熱壁表面に設けらる突起物を微細加工により製造するため、高コストになり、引いてはそのような微細加工が困難な場合さえあるという問題があった。
また、上記のような突起物を設けた場合、冷却流体の通流に伴う圧力損失が増大するため、より高揚程のファンまたはポンプ等が必要となり、コストが高くなり、引いては必要とされる送風または通水能力を有するファンまたはポンプが存在しない場合さえあるという問題があった。
また、熱交換器内を通流する冷却流体は受熱により温度上昇するため、下流になるほど温度上昇し、結果として下流側の伝熱壁温度が上昇し、伝熱壁面内に大きな温度分布を生じるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、熱抵抗が小さく、また冷却流体の通流に伴う圧力損失が小さい熱交換器を低コストで提供することを目的とする。
さらに、伝熱壁面内の温度分布が生じ難い熱交換器を提供することを目的とする。」
イ 図1
[図:0001412963000006.jpg]
ウ 「【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による熱交換器を示す断面構成図であり、図1(a)は図1(b)のA-A線断面構成図、図1(b)は縦断面構成図である。図1において、容器1内には冷却流体2が収容され、容器壁には冷却流体入口4と冷却流体出口5とが設けられている。また、各冷却流体出入口4,5にはそれぞれ配管6が設けられている。放熱を必要とする発熱体7は、容器1の伝熱壁面の外壁に設けられる。容器1の内部には、図1に示すように、蛇行する一連の多孔質体3が収容されており、多孔質体3により容器内が2分割されている。」
(2)引用文献Bの記載
原査定で引用された引用文献B(特開2001-77257号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒の沸騰及び凝縮作用によって発熱体を冷却する沸騰冷却装置に関するもので、電子機器の冷却、特にCPUなどを含む発熱量の多い高密度実装基板の冷却に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、高発熱のCPUなどの冷却装置として好適な小型の沸騰冷却装置を出願した(特開平10-209355号公報、特開平10-209356号公報および特開平11-87583号公報参照)。
【0003】この沸騰冷却装置は、偏平な箱型を成す密閉型の沸騰冷却容器の対向する一方の壁面(受熱壁)に発熱体(例えばCPU)が固定され、他方の壁面(放熱壁)に放熱フィンがとりつけられ、沸騰冷却容器の内部に所定量の冷媒が封入されるものである。発熱体の熱は受熱壁を介して内部の冷媒に伝達されて冷媒を沸騰させ、沸騰した蒸気冷媒が放熱面にて冷却されて凝縮する際に凝縮潜熱として放出され、その凝縮潜熱が放熱壁より放熱フィンを介して大気に放出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の沸騰冷却装置において、密閉された沸騰冷却容器内の圧力が高い場合、その圧力によって沸騰冷却容器に歪みが生じると、沸騰冷却容器と発熱体との接触状況に不具合が生じるため、発熱体との接触部での熱伝導が悪くなり、冷却が充分に行なわれなくなる。
【0005】そこで沸騰冷却容器内に、対向配置した受熱壁と放熱壁との間に複数の連結部材を設け、両壁間を一定間隔に保持するように構成している。この連結部材は通常金属製であり、沸騰冷却容器の強度を向上させ変形を抑えると同時に、伝熱部材ともなり伝熱面積を拡大する効果が得られ、伝熱面の加熱度を下げることが従来より知られている。しかし、伝熱面の加熱度を更に下げるために、連結部材を多くしたりその高さを高くしても、必ずしも充分な伝熱面積の拡大効果が得られず、沸騰冷却容器の熱抵抗もそれほど下がらない。
【0006】本発明者等の研究によると、発熱体が設けられる受熱壁の内側表面に最も近い表面で沸騰による熱伝導が行なわれ、その内側表面から離れると大幅に冷媒への熱伝達が悪くなる(熱伝達の寄与率が低下する)ことが判明した。そこで、本発明の目的は、上記の点に着目し、簡単な構造で受熱壁より冷媒への熱伝達を高めることができる沸騰冷却装置を提供することである。」
イ 図2
[図:0001412963000007.jpg]
ウ 「【0014】本実施形態の沸騰冷却装置1は、図2に示すように、例えばプリント基板5に実装された高発熱のCPU等を含む高密度実装回路からなる発熱体6を冷却するもので、内部に液状の冷媒(例えば、水、アルコール、フロロカーボン、フロン等)を封入した沸騰冷却容器2を含む。この沸騰冷却容器2は受熱壁3を介して発熱体6の熱を受け、沸騰した冷媒蒸気を放熱器9に導入し、外部流体(例えば外気)との熱交換によって液化する。この沸騰冷却容器2と放熱器9は、ろう付けにより一体成型される。また放熱器9へ冷却風を導くため、放熱器9を取り囲むようにダクト10が配置されており、ダクト10の下方から上方へ送風するように設置されることが最も多い。
【0015】沸騰冷却容器2は、熱伝導性に優れる金属材料であるアルミニウムにより板状に設けられ、図1に示すように、略直立した状態で且つ液状の冷媒7に浸かって使用される。なお、発熱体6は、図示しない螺子等で前記受熱壁3の外面で平板状の発熱体取付面3aに接触するよう取り付け固定される。沸騰冷却容器2は、発熱体取付面3aのある受熱壁3と、それと対向配置して圧力容器を構成する放熱壁8とを有し、受熱壁3と放熱壁8との間には、両壁間を所定間隔に保持し、冷媒7が流れる空間を形成するための複数の連結部材3bを設けてある。
【0016】また図3に示すように、沸騰による受熱壁3の内側表面より冷媒7への熱伝達に最も寄与率の高いのは、前記発熱体6及びその近傍に対向する受熱壁3の内側表面の全表面または一部表面が望ましい。具体的には沸騰冷却容器2の発熱体取付面3aに最も近い受熱壁3の内側表面より厚みが2mm以下の範囲であることが解ったため、そこに多孔質層4を配置する。
【0017】多孔質層4は、熱伝導性に優れる金属材料であるアルミニウム合金を、微細な粒状形、粉末、ワイヤー、棒状、金網などをプレスによって圧縮成型した焼結金属、金属繊維、金属メッシュ、または発泡金属等であり、冷媒7との接触面積拡大と微細キャビティとして機能する。」
(3)引用文献Cの記載
原査定で引用された引用文献C(特開2015-112866号公報)には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、金属繊維による繊維構造体の交絡積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属の持つ強度、耐熱性、熱伝導性、導電性を活かし、更に多孔性をも持たせた金属多孔体として、金属粉を焼結した硬質な発泡金属や、金属繊維を不織布化した柔軟な金属不織布などがあり、これらは公知である。このような発泡金属や金属不織布などは、多孔性電極、放熱材、耐熱高強度フィルター、吸音材等に使用されている。」
(4)引用文献Dの記載
原査定で引用された引用文献D(特開2010-272870号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式クーラーに関し、特に、電気自動車などに使用される水冷式インバータの冷却性能を最大化するために、冷却水流路を簡単にすると共に冷却効果を高めた水冷式クーラー、及びこれを備えるインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用エンジンとして広く使用されているガソリン機関をはじめとする内燃機関は、燃料をシリンダ内で燃焼させることで発生する熱エネルギーを動力として利用する。このような内燃機関は、燃焼後に排出される排気ガス中に、燃焼による窒素酸化物と不完全燃焼による一酸化炭素や炭化水素などの有害な成分が含まれており、大気を汚染する。このような環境汚染問題や化石燃料の枯渇により、世界各国では太陽熱や電気などの代替エネルギーを利用した自動車用エンジンに関する研究が盛んに行われている。
【0003】
このような代替エネルギーを利用した自動車用エンジンのうち最も実用化可能性が高いのが、電気エネルギーを利用して車両を駆動する方式の電気自動車用エンジンである。電気自動車用エンジンは、ガソリン機関のガソリンの代わりに、蓄電池から供給される電気によりモータを回転させ、このときに発生するモータの回転力を減速器により減速し、差動装置を介して左右の駆動輪に伝達することにより車両の走行を可能にする構造を有する。
【0004】
電気自動車は、エネルギー源である蓄電池から供給される電気により駆動系を構成する駆動モータを駆動して車輪に動力を伝達する原理となっている。前記駆動系は、前記駆動モータとこれを制御するインバータとから構成され、構造特性及び作動特性により駆動過程で高熱を発するため、高熱を除去するための冷却システムを運用する。つまり、前記駆動系を冷却するための冷却システムにおいては、ラジエータ→冷却ポンプ→インバータ→駆動モータ→ラジエータの順に冷却水が循環する。
【0005】
前記駆動系を構成する駆動モータは、耐久性が強く、ある程度熱に耐えるように設計されている。しかしながら、多くの電子チップから構成されたインバータは、熱に非常に敏感であるため、冷却が十分でない場合、前記インバータの作動や制御に悪影響を及ぼすだけでなく、素子を接合している半田が溶融して回路の接続不良を招くという問題が生じる。そして、前記インバータの本体の内部に設置される回路ボードは、通常、パワーモジュール、制御ボード、電源ボード、及び駆動ボードから構成され、特に、複数の電力スイッチング素子からなるパワーモジュールでほとんどの発熱が起こる。
【0006】
そこで、従来は、インバータの本体を構成してその上面にパワーモジュールが結合されるクーラーの底面に冷却水流路を形成し、前記冷却水流路に冷却水を流して前記パワーモジュールを冷却する水冷式クーラーが用いられてきた。前記水冷式クーラーの冷却水流路は、冷却水ができるだけ長時間、広く接触するように、ジグザグ状に形成されている。また、前記冷却水流路の形状は、前記インバータの本体内に設置されるパワーモジュールの位置によって異なり、前記パワーモジュールを構成する電力スイッチング素子の数や位置によっても異なる。さらに、前記冷却水流路には、冷却水との接触面積を広くするために、冷却フィンが形成される。前記冷却フィンは、前記パワーモジュールの発熱量によって、発熱量の多い部分ではフィンのピッチが狭く、発熱量の少ない部分ではフィンのピッチが広く形成されている。
【0007】
図7は従来の水冷式クーラーの冷却水流路を示す平面図である。
【0008】
同図に示すように、従来の水冷式クーラー1の冷却水流路は、単一直線流路を形成する第1流路部11と、第1流路部11に連結されて単一曲線流路を形成する第2流路部12と、第2流路部12に連結されて直線流路を形成し、複数の冷却フィン15により複数の流路(チャネル)を形成する第3流路部13とからなる。
【0009】
第1流路部11は1つ形成され、第2流路部12と第3流路部13とは交互に複数形成されている。また、第1流路部11は水冷式クーラー1の入口2に連結され、最後の第3流路部13は水冷式クーラー1の出口3に連結されている。
【0010】
このような従来の水冷式クーラー1においては、入口2から流入した冷却水が第1流路部11と第2流路部12を経て第3流路部13に進入する。第3流路部13に進入した冷却水は、第3流路部13が複数の冷却フィン15により複数の流路に分けられることによって、分配されて第3流路部13を通過する。この過程で前記冷却水は、冷却フィン15と接触し、パワーモジュールのように発熱量の多い部品を迅速に冷却する。そして、前記冷却水は、次の第2流路部12と第3流路部13とを交互に通過して出口3から排出される一連の過程を繰り返す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の水冷式クーラーは、第2流路部12、すなわち曲線流路の曲面部位で遠心力により冷却水が外側に集中することによって、冷却水の分布が均一にならないだけでなく、第2流路部12で外側の流速が相対的に速いため、渦流が発生して冷却水の流動を阻害するという問題があった。これに鑑みて第2流路部12にも複数の冷却フィンを形成してもよいが、この場合は、水冷式クーラー1の製造コストが上昇するだけでなく、重量が増加して水冷式クーラー1を備えるインバータが適用される電気自動車の重量も増加し、車両の性能が低下するという問題が生じる。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、インバータの内部に設置される水冷式クーラーの冷却水流路を改善することにより、冷却水が均一に分布して渦流の発生が防止されるようにして冷却効率が向上し、安価で軽量な水冷式クーラーを提供することを目的とする。」
イ 「【0027】
通常、冷却水流路121は、水冷式クーラー120と冷却水の接触面積を広くし、接触時間を長くするために、ジグザグ状に形成される。しかしながら、冷却水流路121は、インバータ本体110内に設置されるパワーモジュール131の位置によって異なり、パワーモジュール131を構成する電力スイッチング素子の数や位置によっても異なる。」
ウ 図2
[図:0001412963000008.jpg]
エ 図3
[図:0001412963000009.jpg]
オ 「【0028】
図2及び図3に示すように、冷却水流路121は、入口122に直線状に連結される第1流路部121aと、第1流路部121aに折り曲げられて連結され、後述する案内フィン123により複数の流路に区画される第2流路部121bと、第2流路部121bに直線状に連結され、その内部に少なくとも1つの冷却フィン124が形成されて複数の流路に区画され、出口125に連結される第3流路部121cとからなる。」
カ 「【0036】
まず、インバータにおいて、制御ボード(符号なし)が前記インバータの外部から信号を受信して電源ボード(符号なし)に制御命令信号を伝達する。そして、前記制御ボードから前記電源ボードに伝達された信号は、駆動ボード(符号なし)に伝達され、パワーモジュール131のスイッチング作用を実現することにより、前記インバータを駆動する。このとき、パワーモジュール131からは熱が発生し、この熱は水冷式クーラー120を流れる冷却水と熱交換されて冷却される。」
(5)引用文献Eの記載
原査定で引用された引用文献E(特開2003-314990号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気循環路を流動して発熱源に供給される空気を熱交換部で空気冷却する冷却装置、特に、熱交換部が空気分配室と空気集合室を介し空気循環路に接続されている冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】発熱源、例えば、内燃機関に供給される吸気は吸気密度が大きいほど出力向上を図れることより、熱交換部を成すインタークーラを通過する吸気を走行風で空気冷却することが行われている。通常、インタークーラは走行風を受け易い場所に配備する必要があり、同位置の前部にはラジエータグリル等が配備され、その後方にはラジエータやエンジンが配備され、これら対向物体によりインタークーラに達する走行風は流動規制を受けることが多い。更に、熱交換部を成すインタークーラはラジエータの配置位置と重なり易く、例えば、図10(a)に示すように配設される。
【0003】ここで、ラジエータ160と抱き合わせ状態で配設されたインタークーラ100は熱交換部であるコア110の左右側端に空気分配室120と空気集合室130を配し、空気分配室120や空気集合室130を成す各主壁部材はコア110の幅方向Yと直交する前後方向Xに向けて分配ガイド170と集合ガイド180とを延出形成している。分配ガイド170と集合ガイド180はそれぞれの連結端部に入口ダクト140や出口ダクト150を連結し、図示しないエンジン本体の吸気系に連結されている。ここで分配ガイド170は、図10(b)に示すように、流入端170aが円筒状をなし、同部より延出部eが除々に偏平化されて延び、その先端の結合部gが偏平縦筒化され、空気分配室120のタンク壁と一体結合されている。なお、集合ガイド180も分配ガイド170と左右対称に形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図10(b)に示すような分配ガイド170はその吸気断面の中心線L0に沿って吸気を空気分配室120に流入させる。ここで、空気分配室120と対向するコア110に配備された各冷却パイプにおける流速分布は、図10(c)に矢印で示すようになる。ここで、分配ガイド170の流路中心線L0に近い領域の冷却パイプ内での吸気速度が速まり、流路中心線L0に遠い領域の冷却パイプ内での吸気速度が低くなり、コア内部での流速不均一が発生し、熱交換部全体としての冷却効率を低下させている。
【0005】更に、インタークーラに達する走行風がラジエータグリル等により流動規制を受け、インタークーラの一部領域に多量の走行風が当たり、他の領域には少量の走行風しか当たらないといった不均一な走行風の分布が生じたような場合も熱交換部全体としての冷却効率を低下させており、改善が望まれている。本発明は、以上のような課題に基づき、熱交換器の冷却風当たり面における風量にばらつきがあったとしても熱交換器の冷却効率を向上できる冷却装置を提供することを目的とする。」
イ 図5
[図:0001412963000010.jpg]
ウ 図6
[図:0001412963000011.jpg]
エ 「【0019】ここで熱交換器9は、図5に示すように、入口領域E1に位置すると共に横断面幅Bの各冷却パイプ19内に冷却効率を高める高効率重視型フィンf1を装着する。高効率重視型フィンf1は図6(a)に示すように、横断面幅Bに近い幅B1のベルト状金属板自体が予め凹凸を一様に成形され、その上で繰返して屈曲変形されて成形されており、放熱面積がより増大したものであり、これを冷却パイプ19内に装着することで、放熱面積を十分に増大させ、同冷却パイプ19の冷却効率を向上させることができる。
【0020】熱交換器9の側端領域E2に位置する各冷却パイプ19内に低圧損重視型フィンf2を装着する。低圧損重視型フィンf2は図6(b)に示すように、冷却パイプ19の横断面幅Bに近い幅B1のベルト状金属板を繰返して屈曲変形して形成されており、高効率重視型フィンf1と比較して、放熱面積が少なく、冷却パイプ内を通過する吸気の圧力損失が少なく、且つ冷却効率も低い。このように、熱交換器9は、図3(a)、図4に示すように、入口領域E1を冷却効率の高い高効率コア部とし、側端領域E2を低圧損重視型フィンf2が内蔵される冷却効率の低い低効率コア部として形成された。
【0021】このようにインタークーラ6の熱交換器9に達し、冷却パイプ19内を通過しようとする吸気流速に、図10(c)に示したように、ばらつきがあっても、最も吸気流速が速くなる入口領域E1を冷却効率の高い高効率コア部とすることで、吸気の冷却機能を有効に働かせ、図3(b)に示すように熱交換器9全体としての冷却効率を向上させることができる。
【0022】しかも、この場合、入口領域E1の冷却パイプ19内の高効率重視型フィンf1により冷却パイプ19の流動抵抗が高くなることより、流動抵抗が低い側端領域E2側に吸気流動割合を増大させ、熱交換器9全体の冷却効率を高められる。この場合、特に、上下方向の中央の高効率コア部である入口領域E1よりその上下側に分離して低効率コア部である側端領域E2側に吸気が回り込むことができ、側端領域E2側に吸気が比較的多量に流れ込むこととなり、全体の流速を均一化でき(図3(b)参照)、全体としての冷却効率を向上させることができる。」
(6)引用文献Fの記載
原査定で引用された引用文献F(特開平5-322464号公報)には、図面とともに以下の記載がある。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スターリング機関用蓄熱器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スターリング機関用蓄熱器の従来技術としては、例えば特開昭62-233688号公報に開示されたものがある。この従来技術を、図4に基づいて説明すると、複数の縦長孔71が形成された複数のデイスク72は、ハウジング73内に各縦長孔71の方向が適宜調整された上で積層され、スターリング機関用蓄熱器70が構成されている。このように、複数のデイスク72の縦長孔71の方向が適宜調整されることで、ハウジング73内に存在するデイスク72の表面積が大きくなり、ハウジング73内の空間容積が小さくなる上に作動ガスの流動抵抗も小さくすることが可能となる。
【0003】ここで、ハウジング73の両端にはそれぞれ図示しないスターリング機関の圧縮空間と膨張空間が接続され、スターリング機関用蓄熱器70内を作動ガスが往復流する。そして、膨張空間から圧縮空間へと作動ガスが流れる際に作動ガスから複数のデイスク72へと伝熱してスターリング機関用蓄熱器70に熱が蓄えられ、圧縮空間から膨張空間へと作動ガスが流れる際に複数のデイスク72から作動ガスへと伝熱して作動ガスを高温化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、スターリング機関の機関回転数が高い場合、作動ガスの流速が増加するため、作動ガスはスターリング機関用蓄熱器70内の主に中心部を流れるようになる。この結果、デイスク72の外周部は蓄熱作用を発生できず、スターリング機関用蓄熱器70の蓄熱効率が低下するといつた不具合を有している。
【0005】そこで、本発明では、スターリング機関用蓄熱器の蓄熱効率向上を、その技術的課題とする。」
イ 図1
[図:0001412963000012.jpg]
ウ 「【0010】図1乃至図3に示す本発明実施例のスターリング機関用蓄熱器10において、円筒状ハウジング11の内部には密度の異なるメツシユ(例えば金属製)12,13がそれぞれ多数積層されている。相対的に低密度のリング状メツシユ12は円筒状ハウジング11の内径と同一外径を有し、相対的に高密度のデイスク状メツシユ13はリング状メツシユ12の内径と同一外径を有している。」
(7)引用文献Gの記載
原査定で引用された引用文献G(特開2003-287379号公報)には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、隔壁及び隔壁に囲まれた貫通孔からなるハニカム構造体複数個を配設してなるハニカム状蓄熱体及びそれを用いた蓄熱バーナー、さらには蓄熱バーナーを使用した各種加熱炉及びその加熱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】物質を加熱する際に用いられるバーナーにおいて、近年では二酸化炭素削減、燃焼効率の向上という観点から、蓄熱式バーナーの検討が行われている。蓄熱式バーナーは一般的にバーナーに蓄熱体を具備し、これにより被加熱ガスを予熱することで、燃焼効率の改善を行うものである。蓄熱体としては、従来からサドル、セラミックボール等が使用されてきた。近年では、より燃焼効率を改善するために、熱交換効率の向上を目的として、体積当たりの表面積が大きいハニカム構造体を蓄熱体として使用する検討が行われている。
【0003】ハニカム構造体を蓄熱体として使用するハニカム状蓄熱体では、小さなハニカム構造体をX、Y、Z方向に複数個並べて使用することが一般的である。これは、大きなハニカム構造体を使用すると熱交換の際に熱衝撃によってハニカム構造体が破損することがあり、このようなハニカム構造体の破損を防止するためである。特に、出力が大きなバーナーでは出力に見合う蓄熱体を具備する必要があり、非常に多くのハニカム構造体を使用する場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなハニカム状蓄熱体では、中心部分と外周部分で流れるガスの流速が異なる現象が発生し、一般的には中心部の流速が早く、外周部の流速が遅い結果となる。しかしながら、熱交換効率を高めるためには流速が一定であることが好ましい。更に、加熱物質が鋼材等の場合、加熱によってスケール等が発生するが、これが蓄熱体と反応し、蓄熱体を劣化させる現象がある。この場合、流量が多い個所ではこの傾向が強くなることから、蓄熱体の寿命を延長するためにも流速が一定であることが好ましい。
【0005】本発明の目的は上述した課題を解消して、蓄熱体の各部の流量を一定にでき、熱交換効率を高めることができるとともに、蓄熱体の寿命を延長することができるハニカム状蓄熱体及びそれを用いた蓄熱バーナーを提供しようとするものである。」
イ 「【0009】すなわち、本発明では、外周部の開口率を高くすることで、外周部に流れる加熱ガスあるいは被加熱ガス量が増加する。これにより流速が一定となる。また、外周部のハニカム構造体における流通孔の水力直径を大きくすることによっても同じ効果が期待でき、望ましくは双方を行う。」
第6 対比・判断
1 本願発明1
(1)対比
本願発明1と、引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ヒートシンクは、本体部10と、流体通過部20と、導入用配管22と、排出用配管28とを備えており、」「本体部10には、貫通孔である中空領域が形成されており、「中空領域の中央部内には、流体通過部20が配置され、流体通過部20は、本体部10の伝熱部12に接触するように配置されており、」「伝熱部12は、流体通過部20を取り囲むことにより冷却水1が流体通過部20を通過するための通過流路(中央部)を規定しており、」「ヒートシンクの使用状態において、本体部10は発熱源に接触するため、発熱源から本体部10へと熱が伝達され、本体部10に流入した熱は、本体部10に接合された流体通過部20へと移動し、導入用配管22から導入された冷却水1は、流入面25から流体通過部20に流入し、流体通過部20を通過する際に流体通過部20から熱を奪って、昇温した冷却水1は、排出用配管28から排出されることにより、発熱源の熱を放出する」とされる。
ここで、引用発明の「導入用配管22」、「排出用配管28」、「冷却水1」は、それぞれ、本願発明1の「熱媒体導入口」、「熱媒体排出口」、「熱媒体」に相当する。
また、引用発明は、「本体部10」に「貫通孔」として「形成された」「中空領域」に「流体通過部20が配置され、」「冷却水1」が「流体通過部20を通過」し、「本体部10は発熱源に接触するため、発熱源から本体部10へと熱が伝達され、本体部10に流入した熱は、本体部10に接合された流体通過部20へと移動」するものであることからすれば、「本体部10」は発熱源の温度を調整する機構の一部であるといえるから、引用発明の「本体部10」は、本願発明1の「温調機構」に対応するといえる。
さらに、引用発明において、「ヒートシンク」は、「発熱源の熱を放出」している点で、発熱源の温度を調整しているといえるから、引用発明の「ヒートシンク」は、本願発明1の「温調ユニット」に対応するといえる。
したがって、本願発明1と、引用発明とは、「外部から熱媒体を導入する熱媒体導入口と、前記熱媒体導入口からの前記熱媒体が通過する温調機構と、前記温調機構から外部に前記熱媒体を排出する熱媒体排出口と、を有し」ている「温調ユニット」である点で共通しているといえる。
イ 引用発明において、「本体部10の中空領域に」「配置され」た「流体通過部20は、熱伝導率が高い金属から構成される金属多孔体からな」るとされている。
ここで、引用発明の「金属多孔体」は、本願発明1の「金属多孔質体」に相当する。
また、引用発明の「本体部10の中空領域」の「中央部内」には、「金属多孔体からな」る「流体通過部20」が「配置され」ており、引用発明も、本願発明1と同様に、「本体部10」が「金属多孔質体を収容」しているといえるから、引用発明の「本体部10の中空領域」は、本願発明1の「収容体」に相当するといえる。
したがって、本願発明1と、引用発明とは、「前記温調機構は、金属多孔質体と、前記金属多孔質体を収容する収容体」「を備え」る点で共通しているといえる。
ウ 引用発明において、「本体部10の中空領域における冷却水1の進行方向1aに垂直な断面における断面積は、上流側である本体導入流路15および下流側領域である本体排出流路16に比べて中央部において大きくなっており、本体導入流路15および本体排出流路16は、底面において中央部に接続された四角錐台形状の領域が、当該領域から離れるに従って断面積が減少するように湾曲するなめらかな曲面に囲まれた領域によって円筒状の領域につながる形状を有しており、」「ヒートシンクは、伝熱部12から離れて位置する流体通過部20の領域と伝熱部12とを接続するように配置される熱伝導補助部材5をさらに備え、熱伝導補助部材5は、流体通過部20の中央部と伝熱部12とを接続するように配置され、熱伝導補助部材5を構成する材料としては、熱伝導率の高い金属、たとえばCu、Alなどを採用することができる」とされている。
ここで、引用発明の「本体部10の中空領域における冷却水1の進行方向1aに垂直な断面における断面積は、上流側である本体導入流路15・・・に比べて中央部において大きくなって」おり、「本体導入流路15・・・は、底面において中央部に接続された四角錐台形状の領域が、当該領域から離れるに従って断面積が減少するように湾曲するなめらかな曲面に囲まれた領域によって円筒状の領域につながる形状を有して」いることからすれば、引用発明の「本体導入流路15」において、「熱媒体」として機能する「冷却水1」が拡散しているといえるから、引用発明の「本体導入流路15」は、本願発明1の「熱媒体拡散領域」に相当するといえる。
また、引用発明の「本体導入流路15」の「断面積」が「中央部において大きくな」る際に、「熱媒体」として機能する「冷却水1」が拡散することにより、「冷却水1」の流速が小さくなっていくことは、流路が狭い(広い)部分から流路が広い(狭い)部分に流体が流れ込むと流速が小さく(大きく)なるとの流体力学の技術常識に照らして、当業者にとって明らかである。
さらに、引用発明の「熱伝導補助部材5」は、「熱伝導率の高い金属、たとえばCu、Alなどを採用」しており、「金属多孔体からな」る「流体通過部20」内の「通過流路」を狭くしており、流路が狭くなることで、「熱伝導補助部材5」が配置された流路部分の「冷却水1」(熱媒体)の流速が大きくなることは、上記技術常識に照らして、当業者にとって明らかである。
したがって、本願発明1と、引用発明とは、「前記収容体は、前記熱媒体導入口と前記金属多孔質体との間に熱媒体拡散領域が設けられている点で共通しているといえる。
(2)一致点
本願発明1と、引用発明とは、以下の点で一致する。
「外部から熱媒体を導入する熱媒体導入口と、
前記熱媒体導入口からの前記熱媒体が通過する温調機構と、
前記温調機構から外部に前記熱媒体を排出する熱媒体排出口と、を有し、
前記温調機構は、金属多孔質体と、前記金属多孔質体を収容する収容体と、を備え、
前記収容体は、前記熱媒体導入口と前記金属多孔質体との間に熱媒体拡散領域が設けられている、温調ユニット。」
(3)相違点
本願発明1と、引用発明とは、以下の点で相違する。
ア <相違点1>
本願発明1は、「少なくとも1つの主面が前記温調機構の外側に露出され、該主面の内側が前記金属多孔質体に接することで前記金属多孔質体と外部との間で熱交換を行う熱交換板」を備えているのに対して、引用発明は、「本体部10」が「外壁において、発熱源に接触しており」、「本体部10は発熱源に接触するため、発熱源から本体部10へと熱が伝達され」る点。
イ <相違点2>
本願発明1では、「前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、前記金属繊維シートは、前記熱媒体導入口側に配置された第1の金属繊維シートと、前記熱媒体排出口側に配置された第2の金属繊維シートと、を備え、前記第1の金属繊維シートと前記第2の金属繊維シートとの間には、隙間が形成されている」のに対して、引用発明では、金属多孔質体が金属繊維で構成された金属繊維シートでなく、複数の金属繊維シートの間に隙間も形成されていない点。
(4)相違点について
事案に鑑みて、先ず、<相違点2>について検討する。
本願発明1の<相違点2>に係る「前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、前記金属繊維シートは、前記熱媒体導入口側に配置された第1の金属繊維シートと、前記熱媒体排出口側に配置された第2の金属繊維シートと、を備え、前記第1の金属繊維シートと前記第2の金属繊維シートとの間には、隙間が形成されている」構成は、引用文献1、2、BないしGのいずれにも、記載も示唆もなく、また、当該構成が本願の優先日前に周知であったともいえない。
したがって、引用発明において、本願発明1の<相違点2>に係る「前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、前記金属繊維シートは、前記熱媒体導入口側に配置された第1の金属繊維シートと、前記熱媒体排出口側に配置された第2の金属繊維シートと、を備え、前記第1の金属繊維シートと前記第2の金属繊維シートとの間には、隙間が形成されている」構成とすることは、引用発明、引用文献2、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
(5)小括
以上から、その他の<相違点1>について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用文献2、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
2 本願発明2
本願発明2と引用発明を対比すると、上述した<相違点1>の他に、下記<相違点3>で相違している。
<相違点3>
本願発明2では、「前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、前記金属繊維シートには、前記熱媒体導入口と前記熱媒体排出口とを結ぶ直線を通る横断面において、一部が除去されて蛇行した形状の流路が形成されている」のに対して、引用発明では、金属多孔質体が金属繊維で構成された金属繊維シートでなく、そのような流路も形成されていない点。
本願発明2の<相違点3>に係る「前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、前記金属繊維シートには、前記熱媒体導入口と前記熱媒体排出口とを結ぶ直線を通る横断面において、一部が除去されて蛇行した形状の流路が形成されている」構成は、引用文献1、2、BないしGのいずれにも、記載も示唆もなく、また、当該構成が本願の優先日前に周知であったともいえない。
したがって、引用発明において、本願発明2の<相違点3>に係る「前記金属多孔質体が金属繊維を含んで構成された金属繊維シートであり、前記金属繊維シートには、前記熱媒体導入口と前記熱媒体排出口とを結ぶ直線を通る横断面において、一部が除去されて蛇行した形状の流路が形成されている」構成とすることは、引用発明、引用文献2、BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
よって、その他の<相違点1>について検討するまでもなく、本願発明2は、引用発明、引用文献2、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
3 本願発明3
本願発明3と引用発明を対比すると、上述した<相違点1>の他に、下記<相違点4>で相違している。
<相違点4>
本願発明3では、「前記熱媒体の流路の一部を遮蔽する構造物によって蛇行した流路を形成している」のに対して、引用発明では、そのような流路が形成されていない点。
本願発明2の<相違点4>に係る「前記熱媒体の流路の一部を遮蔽する構造物によって蛇行した流路を形成している」構成は、引用文献1、2、BないしGのいずれにも、記載も示唆もなく、また、当該構成が本願の優先日前に周知であったともいえない。
したがって、引用発明において、本願発明3の<相違点4>に係る「前記熱媒体の流路の一部を遮蔽する構造物によって蛇行した流路を形成している」構成とすることは、引用発明、引用文献2、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
よって、その他の<相違点1>について検討するまでもなく、本願発明3は、引用発明、引用文献2、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
4 本願発明4ないし7
本願発明4ないし7は、本願発明1、2、あるいは、3のいずれかを減縮したものであり、本願発明1、2、あるいは、3と同じ構成を備えているから、上記1で述べた本願発明1と同じ理由、または、上記2で述べた本願発明2と同じ理由、あるいは、上記3で述べた本願発明3と同じ理由により、引用発明、引用文献2、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
第7 原査定についての判断
上記第6で述べたように、本願発明1ないし7は、いずれも、引用文献A(引用文献1)、引用文献BないしG記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではないから、現査定の進歩性欠如の拒絶の理由は解消した。
第8 当審拒絶理由についての判断
1 (進歩性)について
上記第6で述べたように、本願発明1ないし7は、いずれも、引用文献1および2記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではないから、当審拒絶理由の進歩性欠如の拒絶の理由は解消した。
2 (明確性)について
本件補正後の請求項5では、本件補正前の請求項6の「前記金属繊維シート」という記載から、「前記金属多孔質体」という記載に補正され、「金属多孔質体」は請求項5が引用する請求項1ないし3のいずれにも記載されているから、当審拒絶理由の明確性要件違反の拒絶の理由は解消した。
3 小括
以上から、当審拒絶理由における拒絶の理由は全て解消している。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-009060