特許拒絶査定不服審判
2023-008944
弁及びこれを備える包装体
- 審判番号
- 2023-008944
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-194191
- 請求日
- 2023年05月31日
- 審決日
- 2025年03月11日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大日本印刷株式会社
- 【請求人代理人】立花 顕治
- 審判長/審判官
- 審判長 田口 傑
- 審判官 岩谷 一臣
- 審判官 秋山 誠
- 分類
- P18 .121-Z (B65D) / P18 .572-Z (B65D) / P18 .575-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第50条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-194191「弁及びこれを備える包装体」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020- 63058〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年10月15日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 4年 5月16日付け :拒絶理由通知(特許法第50条の2の通知を伴うもの)
7月22日 :意見書、手続補正書の提出
8月15日付け :拒絶理由通知(最後)
10月24日 :意見書、手続補正書の提出
5年 2月20日付け :補正の却下の決定、拒絶査定
5月31日 :審判請求書、手続補正書の提出
6年12月27日 :上申書の提出
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年5月31日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲は、以下のとおり補正された。なお、下線は補正個所を示す。
「 【請求項1】
樹脂成形品又はフィルムにより形成される包装容器の内外を連通させる通路を形成する弁であって、
前記通路を閉塞するように配置され、前記包装容器の内部において発生したガスに起因して前記包装容器の内圧が上昇した場合に裂開する破壊弁と、
前記通路内において前記破壊弁の外部に向かう側である二次側に配置され、前記破壊弁が裂開した後、前記包装容器の内圧に応じて前記包装容器の内部から外部へと前記ガスを放出する逆止弁と、
前記通路を少なくとも部分的に画定し、前記包装容器を構成する前記樹脂成形品又は前記フィルムに挟まれた状態で前記包装容器に固定される取付部と
を備え、
前記破壊弁と前記逆止弁との間には、前記破壊弁の裂開後、前記包装容器の内圧を降下させるように前記包装容器内の前記ガスが逃れることのできる空間が確保されている、弁。
【請求項2】
前記通路の内周面には、フランジ部が形成されており、
前記破壊弁は、前記フランジ部の上面又は下面と接合され、
前記破壊弁の開弁圧力は、前記包装容器の耐内圧の2/3以下である、
請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記包装容器の外部に配置され、前記取付部に連続し、前記通路を部分的に画定する筒状部位をさらに備え、
前記逆止弁は、前記筒状部位内に配置される、
請求項1又は2に記載の弁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の弁と、
前記包装容器と
を備える、包装体。
【請求項5】
前記包装容器は、パウチである、
請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記包装容器の耐内圧は、1MPa以下である、
請求項4又は5に記載の包装体。
【請求項7】
前記包装容器内には、前記破壊弁の裂開前において実質的に真空が形成されている、
請求項4から6のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項8】
前記包装容器は、電池素子を収容する、
請求項4から7のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項9】
前記包装容器は、ラミネート容器である、
請求項4から8のいずれか1項に記載の包装体。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~9の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
樹脂成形品又はフィルムにより形成される包装容器の内外を連通させる通路を形成する弁であって、
前記通路を閉塞するように配置され、前記包装容器の内部において発生したガスに起因して前記包装容器の内圧が上昇した場合に裂開する破壊弁と、
前記通路内において前記破壊弁の外部に向かう側である二次側に配置され、前記破壊弁が裂開した後、前記包装容器の内圧に応じて前記包装容器の内部から外部へと前記ガスを放出する逆止弁と、
前記通路を少なくとも部分的に画定し、前記包装容器を構成する前記樹脂成形品又は前記フィルムに挟まれた状態で前記包装容器に固定される取付部と
を備え、
前記破壊弁と前記逆止弁との間には、前記破壊弁の裂開後、前記包装容器の内圧を降下させるように前記包装容器内の前記ガスが逃れることのできる空間が確保されている、弁。
【請求項2】
前記破壊弁の開弁圧力は、前記包装容器の耐内圧の2/3以下である、
請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記包装容器の外部に配置され、前記取付部に連続し、前記通路を部分的に画定する筒状部位をさらに備え、
前記逆止弁は、前記筒状部位内に配置される、
請求項1又は2に記載の弁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の弁と、
前記包装容器と
を備える、包装体。
【請求項5】
前記包装容器は、パウチである、
請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記包装容器の耐内圧は、1MPa以下である、
請求項4又は5に記載の包装体。
【請求項7】
前記包装容器内には、前記破壊弁の裂開前において実質的に真空が形成されている、
請求項4から6のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項8】
前記包装容器は、電池素子を収容する、
請求項4から7のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項9】
前記包装容器は、ラミネート容器である、
請求項4から8のいずれか1項に記載の包装体。」
2 補正の適否
本件補正は、請求項2に関し、「包装容器の内外を連通させる通路」の構造として「前記通路の内周面には、フランジ部が形成されて」いることを限定するとともに、「破壊弁」の配置構造として「前記フランジ部の上面又は下面と接合され」ることを限定するものである。そして、この補正によって、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題に変更がないことは明らかであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、事案に鑑み、本件補正後の請求項2に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)の【請求項1】を引用する【請求項2】に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項と引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された文献は次のとおりである。
<引用文献>
1.実願昭58-060668号(実開昭59-166363号)のマイクロフィルム
2.特開2016-031934号公報
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
引用文献1には、次の記載がある(下線は当審にて付与した。また、「・・・」は省略を示す。)
・「3.考案の詳細な説明
本考案は軽金属、例えばリチウムを負極活物質とした有機電解質電池に関し、安全性を向上させることを目的としたものである。」(第1ページ第9~第12行)
・「以下、実施例により詳細に説明すれば、第1図は本考案によるガス排出機構の断面図である。1はガス排出装置、2はガス排気口、3はスプリング、4は安全弁、5はガス導出口を設けた有機電解質電池、6は本考案による破裂板であり、厚さ0.01~0.2mmのステンレス又は鉄、Ni、Cr等の金属片を用いている。動作について説明すれば、製造時に電池5内へ水分が混入し、リチウムと反応して徐々に内圧が上昇した場合、設定内圧(例えば0.5~1.0気圧)に到達することにより、破裂板6が破壊され、ガスは安全弁4を押し上げガス排気口2より排出される。又、ガス排出とともに可燃性である有機溶媒も破裂板6より排出されても、安全弁4により外部に漏出するのを極小に抑えられ、安全である。」(第3ページ第4行~第19行)
・「
[図:0001421789000001.jpg]
」(第6ページ)
(イ)引用文献1の図1から看取される事項
・「有機電解質電池5」を形成する容器にガス導出口が設けられ、「ガス排気口2」を通じて「有機電解質電池5」の内外を連通する弁が形成されていること。
・「破裂板6」がガス導出口の拡径部上に配置され、当該ガス導出口を閉塞するように配置されていること。
・ガス導出口内において、「安全弁4」が「破裂板6」の外側に向かう側に配置されていること。
・「有機電解質電池5」を形成する容器がガス導出口を少なくとも部分的に画定していること。
・「破裂板6」と「安全弁4」との間には空間が確保されていること。
(ウ)引用文献1に記載の発明
上記(ア)、(イ)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「有機電解質電池5を形成する容器にガス導出口が設けられ、ガス排気口2を通じて有機電解質電池5の内外を連通する弁が形成されており、
破裂板6がガス導出口の拡径部上に配置され、当該ガス導出口を閉塞するように配置され、有機電解質電池5の内圧が上昇した場合、設定内圧(例えば0.5~1気圧)に到達することにより、破裂板6が破壊され、
ガス導出口内において、安全弁4が破裂板6の外側に向かう側に配置され、破裂板6が破壊されたのちガスは安全弁4を押し上げガス排気口2より排出され、
有機電解質電池5を形成する容器がガス導出口を少なくとも部分的に画定しており、
破裂板6と安全弁4との間に空間が確保されている、
弁。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載
引用文献2には、次の記載がある。
・「【0001】
本発明は、パウチ型リチウム二次電池のベンティングシステムに関し、より詳細には、パウチのセル内部圧力の変化に応じてガスを能動的に排出することができるパウチ型リチウム二次電池のベンティングシステムに関する。」
・「【0035】
図2は本発明の一実施例によるパウチ型リチウム二次電池のベンティングシステムを簡単に図示した斜視図である。」
・「【0040】
前記パウチ10は、薄膜の金属フィルムとその両面に絶縁性フィルムが付着されて構成されることができる。・・・
【0041】
このような構成を有するパウチ型リチウム二次電池100のシール部位に設けられるベンティング装置200は、図2に図示されたように、本体部210及びガス排出調節部220の構成を含むことができる。
・・・
【0044】
ガス排出調節部220は、前記本体部210の中空部と連通した通路上に設置され、前記パウチの内部圧力の変化に応じて前記通路を開閉して、ガスを能動的に排出する機能を提供する。」
・「【図2】
[図:0001421789000002.jpg]
【図3】
[図:0001421789000003.jpg]
」
(イ)引用文献2の【図2】、【図3】から看取される事項
・「ガス排出調節部220」を含むベンティングシステムが「本体部210」によりパウチに挟まれた状態で固定されていること。
(ウ)引用文献2に記載の事項
上記(ア)、(イ)から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2事項」という。)が記載されていると認められる。
「薄膜の金属フィルムとその両面に絶縁性フィルムが付着されて構成されるパウチ型リチウム二次電池のベンティングシステムであって、ガス排出調節部220を本体部210の中空部と連通した通路上に設置し、その内部圧力の変化に応じて通路を開閉して、ガスを能動的に排出するようにし、当該ベンティングシステムの通路を本体部210によりパウチに挟まれた状態で固定したパウチ型リチウム二次電池のベンティングシステム。」
(3)引用発明との対比、判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「有機電解質電池5を形成する容器」は、本件補正発明の「包装容器」に相当する。
(イ)引用発明の「容器」に設けられた「ガス導出口」及び「ガス排気口2」は、まとめて「有機電解質電池5の内外を連通」するものであるから、本件補正発明の「包装容器の内外を連通させる通路」に相当する。また、引用発明において当該通路を有する「弁」は、本件補正発明における「弁」に相当する。
(ウ)引用発明の「破裂板6」は、「ガス導出口を閉塞するように配置され、有機電解質電池5の内圧が上昇した場合、設定内圧(例えば0.5~1気圧)に到達することにより」「破壊され」るものであるから、その構造ないし機能からみて、本件補正発明の「前記通路を閉塞するように配置され、前記包装容器の内部において発生したガスに起因して前記包装容器の内圧が上昇した場合に裂開する破壊弁」に相当する。
(エ)引用発明の「安全弁4」は、「ガス導出口内において」「破裂板6の外側に向かう側に配置され」るものであり、また、「破裂板6が破壊されたのちガスは安全弁4を押し上げガス排気口2より排出され」るものであるから、その構造ないし機能からみて、本件補正発明の「前記通路内において前記破壊弁の外部に向かう側である二次側に配置され、前記破壊弁が裂開した後、前記包装容器の内圧に応じて前記包装容器の内部から外部へと前記ガスを放出する逆止弁」に相当する。
(オ)引用発明では、「破裂板6と安全弁4との間に空間が確保」されているところ、これは、本件補正発明の「前記破壊弁と前記逆止弁との間には、前記破壊弁の裂開後、前記包装容器の内圧を降下させるように前記包装容器内の前記ガスが逃れることのできる空間が確保されている」との関係において、「前記破壊弁と前記逆止弁との間には、空間が確保されている」点に限り一致する。
そうすると、本件補正発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「包装容器の内外を連通させる通路を形成する弁であって、
前記通路を閉塞するように配置され、前記包装容器の内部において発生したガスに起因して前記包装容器の内圧が上昇した場合に裂開する破壊弁と、
前記通路内において前記破壊弁の外部に向かう側である二次側に配置され、前記破壊弁が裂開した後、前記包装容器の内圧に応じて前記包装容器の内部から外部へと前記ガスを放出する逆止弁と、
を備え、
前記破壊弁と前記逆止弁との間には、空間が確保されている、弁。」
<相違点1>
本件補正発明では、「包装容器」が「樹脂成形品又はフィルムにより形成される」ものであるのに対して、引用発明の「有機電解質電池5を形成する容器」は、材質等が不明である点。
<相違点2>
本件補正発明の「弁」は、「前記通路を少なくとも部分的に画定し、前記包装容器を構成する前記樹脂成形品又は前記フィルムに挟まれた状態で前記包装容器に固定される取付部とを備え」るものであるのに対して、引用発明の「弁」は、「有機電解質電池5を形成する容器がガス導出口を少なくとも部分的に画定」するものである点。
<相違点3>
「破壊弁」と「逆止弁」との間に確保された「空間」に関し、本件補正発明では「前記破壊弁の裂開後、前記包装容器の内圧を降下させるように前記包装容器内の前記ガスが逃れることのできる」ものとされているのに対して、引用発明の「空間」は、そのようなものであるか明確に特定されていない点。
<相違点4>
「破壊弁」の配置に関し、本件補正発明では、「前記通路の内周面には、フランジ部が形成されており、前記破壊弁は、前記フランジ部の上面又は下面と接合され」ているのに対し、引用発明の「破裂板6」は、「ガス導出口の拡径部上に配置され」ている点。
<相違点5>
「破壊弁」の「開弁圧力」に関し、本件補正発明では、「前記包装容器の耐内圧の2/3以下である」のに対して、引用発明の「破裂板6」は、「設定内圧(例えば0.5~1.0気圧)に到達することにより」破壊されるものであって、包装容器の耐内圧との関係が不明である点。
イ 相違点に対する判断
以下、相違点1~5について検討する。
(ア)相違点1、2について
相違点1、2については、関連した事項を含むため、まとめて判断する。
上述(2)イ(ウ)に示したとおり、引用文献2には、薄膜の金属フィルムからなるパウチ型リチウム二次電池のベンティングシステムとして、その弁を金属フィルムに挟まれた状態で固定することが引用文献2事項として記載されている。そして、引用発明と引用文献2事項は、電池として技術分野が共通するだけでなく、内圧が上昇した際、それを放出する必要があるという課題は、電池固有のものであって、パウチ型であるか否かに係わらず共通するものである。してみれば、引用発明の「有機電解質電池5」において、引用発明2事項を適用し、金属フィルムを用いたパウチ型の電池とし、通路を少なくとも部分的に画定する部位を取り付け部として、パウチに挟まれた状態で固定する構造を得ることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ)相違点3について
本件補正発明では、「破壊弁」と「逆止弁」との間に確保された「空間」によって、「前記破壊弁の裂開後、前記包装容器の内圧を降下させるように前記包装容器内の前記ガスが逃れることのできる」ものとしたものであるところ、これは、当該「空間」によって得られる作用にほかならない。そして、引用発明においても、「破裂板6」と「安全弁4」との間に設けられている空間によって、必然的に同様の作用が得られることは明らかである。
そうすると、当該相違点は、実質的なものではない。
(ウ)相違点4について
引用発明において、「破裂板6」をガス導出口の通路上に配置するためには、その構造上、「破裂板6」を配置するための台となる部分が必要であることは当業者にとって明らかである。そして、その台となる部分の構造をフランジ部とすることは、単なる設計的事項である。
(エ)相違点5について
引用発明において当該弁を設けている技術的理由に鑑みれば、包装容器が内圧上昇によって破裂する前に弁を開弁しなければならないことは明らかである。そして、その開弁圧力をどの程度とするかは、安全率等を考慮して当業者が適宜設定すべき事項であり、当該相違点5に係る圧力を設定することは、単なる設計的事項である。
(オ)小括
以上のとおりであり、また、本件補正発明が奏する効果を検討しても、格別なものは見いだせないから、本件補正発明は引用発明及び引用文献2事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書及び上申書において、引用発明の破裂板6が安全弁4の通路外に配置されているため、製造工程等が複雑になる旨主張している。しかし、当該主張は、弁の通路が一体のハウジング内に配置され、さらに破壊弁と逆止弁もその中に配置されていることを前提としたものであると理解されるところ、本件補正発明においては、それらが一体のハウジングに配置されることまでは特定されていない。むしろ、本件補正発明では、「通路を少なくとも部分的に画定」する部位を「取付部」としてフィルムに挟まれた状態で固定することを特定しており、弁全体が一体のハウジングではない態様を明確に含むものとなっている。
そのため、請求人の主張を受け入れることはできない。
3 補正の却下の決定のまとめ
本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~9に係る発明は、令和4年7月22日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)のとおりである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、上記第2[理由]2(2)で記載した引用文献に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないというものを含むものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、本件補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である破壊弁の配置構造をさらに特定する補正事項を削除したものである。そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が前記第2[理由]2のとおり引用発明及び引用文献2事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-008944