特許拒絶査定不服審判
2023-007376
転がり軸受用保持器の製造方法
- 審判番号
- 2023-007376
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-152054
- 請求日
- 2023年05月08日
- 審決日
- 2023年10月18日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日本精工株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人栄光事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 中屋 裕一郎
- 審判官 吉田 昌弘
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P18 .121-WY (F16C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-152054「転がり軸受用保持器の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月20日出願公開、特開2020- 26856、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年8月10日の出願であって、令和4年7月12日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年9月26日に意見書が提出されたが、令和5年2月3日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対して令和5年5月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和5年2月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~3に係る発明は、以下の引用文献1に基いて、請求項6~7に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、また、請求項4~5に係る発明は、以下の引用文献1~4に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2017-48873号公報
2.特開2018-59575号公報
3.特開2013-29164号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2012-236363号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明7」という。)は、令和4年3月28日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
成形金型内に形成されたキャビティの周面に複数の樹脂射出ゲートを接続し、前記樹脂射出ゲートから溶融樹脂を前記キャビティ内に射出して形成する転がり軸受用保持器の製造方法であって、
前記転がり軸受用保持器は、軸方向に離間して配置された一対の円環部と、前記一対の円環部の円周方向にわたってそれぞれ等間隔に配置された、前記円環部同士を連結する複数かつ奇数個の柱部と、隣り合う一対の前記柱部と前記一対の円環部とにより画成された、前記柱部と同数のポケットと、を有し、
前記複数の樹脂射出ゲートのそれぞれは、前記キャビティの別々の前記柱部を形成する領域に接続し、
前記キャビティにおける前記樹脂射出ゲートのそれぞれと径方向に対向する各周方向位置には、ゲート対向側ポケットを形成する領域を配置し、
前記ゲート対向側ポケットを画成する一対の前記柱部の一方を形成する前記キャビティの周方向位置には、前記キャビティ内の前記溶融樹脂が流入する樹脂溜まり部を設け、
前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部の前記キャビティの周面における開口面積を、前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積よりも大きくして、前記溶融樹脂が前記樹脂溜まり部の開口部を通過するときの圧力損失を、前記樹脂射出ゲートを通過するときの圧力損失よりも小さくする、
転がり軸受用保持器の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂射出ゲートから前記キャビティ内に溶融樹脂を射出したとき、
前記ゲート対向側ポケットを画成する前記一対の柱部の形成位置において、前記柱部の軸方向の一端側と他端側とからそれぞれ軸方向中央に向けて流動する溶融樹脂が合流して形成された柱部ウエルドの樹脂会合面が、前記樹脂溜まり部への前記キャビティ内の溶融樹脂の流入により、前記柱部ウエルドの保持器周面におけるウエルドラインの位置から軸方向にずれて、凹凸形状に変形させる、
請求項1に記載の転がり軸受用保持器の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂射出ゲートから前記キャビティ内に溶融樹脂を射出したとき、
前記ゲート対向側ポケットを画成する前記一対の円環部の各周方向位置において、周方向を互いに異なる方向に流動する溶融樹脂が合流して形成された二つの円環部ウエルドの樹脂会合面が、前記樹脂溜まり部への前記キャビティ内の溶融樹脂の流入により、前記円環部ウエルドの保持器周面におけるウエルドラインの位置から円周方向にずれて、凹凸形状に変形させる、
請求項1又は2に記載の転がり軸受用保持器の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂溜まり部は、前記キャビティの前記ゲート対向側ポケットを画成する前記一対の柱部の一方と他方にそれぞれ設けられ、
一方の前記樹脂溜まり部に接続される前記連通部の前記キャビティの周面における開口面積は、他方の前記樹脂溜まり部に接続される前記連通部の前記キャビティの周面における開口面積より大きい、
請求項3に記載の転がり軸受用保持器の製造方法。
【請求項5】
前記円環部ウエルドの前記樹脂会合面を、一対の前記樹脂溜まり部の前記開口面積が小さい側に向けてずらす請求項4に記載の転がり軸受用保持器の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂溜まり部は、前記キャビティの前記ゲート対向側ポケットを画成する前記一対の柱部の一方と他方にそれぞれ設けられ、
一方の前記樹脂溜まり部における溶融樹脂の最大貯留量は、他方の前記樹脂溜まり部における溶融樹脂の最大貯留量より大きい、
請求項3に記載の転がり軸受用保持器の製造方法。
【請求項7】
前記円環部ウエルドの前記樹脂会合面を、最大貯留量の大きい側の前記樹脂溜まり部に向けてずらす請求項6に記載の転がり軸受用保持器の製造方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。)
「【0005】
このように、射出成形により製造された軸受用樹脂製保持器は、強度が弱いウェルドから破損することが多い。特に、ウェルドが、最も応力集中し易い部位(例えば、ポケット部において最も軸方向の肉厚が薄いポケット底や、円環部と柱部とが交差する隅R部)に形成されると、当該部位に損傷が発生し易くなり、保持器の耐久性が損なわれてしまう。そこで、従来より、以下に示すような対策がなされてきた。
【0006】
特許文献1の合成樹脂製保持器の製造方法では、成型金型のキャビティの円周方向複数個所にそれぞれゲートが設けられる。また、これらゲート間の複数の領域のうち、一部の領域の円周方向距離が他の領域の円周方向距離より長く設定され、円周方向距離が長い領域内における注入樹脂材料の合流個所にのみ樹脂溜めが設けられる。これにより、合流した注入樹脂材料を、キャビティから樹脂溜めに流れ込ませ、ウェルド強度の低下を防止することを図っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の製造方法では、注入樹脂材料の合流箇所、すなわちウェルド形成位置と一致する位置に樹脂溜めを設けている。したがって、キャビティと連通する樹脂溜めの連通部(開口部)近傍で、補強繊維材が樹脂材料の流動方向に対して垂直に配向し易く、ウェルド補強効果が十分に得られないという問題がある。
【0008】
特許文献2の樹脂製保持器では、ポケット部の総数が奇数とされると共に、ゲート間ごとに配置されるポケット部の数が最も均等になる数とされている。湯溜まりは、ポケット部が奇数となるゲート間の周方向中央に位置するポケット部の両端部に形成される柱部のいずれか一方に位置づけられる。これにより、ポケット部が奇数となるゲート間の領域に形成されるウェルドを、ポケット部の底部から周方向に外れた位置に形成し、保持器の剛性を向上することを図っている。
【0009】
特許文献2記載の樹脂製保持器は、1個の円環部に複数の柱部が設けられた所謂冠型保持器についての発明である。したがって、仮に当該発明を、一対の円環部と、これら一対の円環部を連結する複数の柱部と、を有する保持器に適用した場合であっても、ゲート及び湯溜りの位置関係によっては、補強繊維材の配向制御が十分に行われないウェルド部が残存し、保持器強度が低下する可能性がある。また、湯溜りが設けられていない、ポケット部が偶数となるゲート間の領域では、柱部に溶解樹脂が溶着一体化しただけであるウェルドが形成されてしまうため、使用条件によってはウェルド強度が不十分になる可能性がある。」
「【0011】
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、強度低下を抑制可能な軸受用保持器の製造方法を提供することにある。」
「【0016】
(第1実施形態)
図1及び図2には、本実施形態の軸受用保持器1(以後、単に保持器と呼ぶことがある。)が示されている。保持器1は、いわゆるアンギュラ玉軸受用保持器であり、軸方向に離間した一対の円環部3と、一対の円環部3を連結するように円周方向に所定間隔で配置された奇数個(本実施形態では21個)の柱部5と、一対の円環部3の互いに軸方向に対向する面と隣り合う柱部5の互いに円周方向に対向する面とによって形成され、柱部5と同数(本実施形態では21個)のポケット部7と、を有している。ポケット部7は、軸受の転動体(不図示の玉)を保持する。
【0017】
このような保持器1は、成形金型内に形成した環状のキャビティ(不図示)の周縁部に設けた樹脂射出ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ。)51から、補強繊維材を添加した溶解樹脂をキャビティ内に射出し、冷却固化することによって成形される。樹脂材料としては、例えば、46ナイロンや66ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)等の樹脂に、10~50wt%の補強繊維材(例えば、ガラス繊維や炭素繊維。)を添加した樹脂組成物が用いられる。なお、図1中、キャビティは不図示であるが、その内部構造は保持器1の構造と略同一とされている。
【0018】
ゲート51の個数は特に限定されないが、保持器1の真円度を向上させるためには、複数設けられることが好ましい。本実施形態では、3個のゲート51が設けられる。
【0019】
各ゲート51には、それぞれ径方向に延びる略円筒状のランナー53を介して、略円筒状のスプルー55から溶解樹脂が供給される。スプルー55は、保持器1(キャビティ)の略中心において軸方向に延びており、ランナー53と接続される。したがって、スプルー55から供給された溶解樹脂は、各ランナー53を介して各ゲート51に到達し、各ゲート51から同時にキャビティ内に流入する。
【0020】
3個のゲート51は、周方向等間隔にそれぞれ柱部5に設けられる。ここで、隣り合うゲート51の間の第1~第3領域S1~S3におけるポケット部7の数は、互いに等しく且つそれぞれ奇数個(本実施形態では7個)である。また、ゲート51は、柱部5の軸方向中央且つ周方向中央に設けられる。
【0021】
各領域S1~S3の周方向中央に位置するポケット部7(4番目のポケット部7)に隣り合う一対の柱部5のうち、一方の柱部5には、樹脂溜り40が設けられる。なお、本実施形態では、3つの樹脂溜り40は、各領域S1~S3の周方向中央に位置するポケット部7に隣り合う一対の柱部5のうち、周方向同一方向側(図1中、反時計回り側)に位置する柱部5に設けられている。これにより、溶解樹脂の流動方向や、樹脂溜り40の跡、ゲート51の跡について、周方向でバランスが良くなり、製造された保持器1も高品質となる。さらに、樹脂溜り40は、柱部5の軸方向中央から軸方向一方側(図中、上側)にずれた位置に連通する。すなわち、ゲート51が柱部5の軸方向中央に設けられるのに対し、樹脂溜り40は柱部5の軸方向中央からずれた位置に設けられており、ゲート51と樹脂溜り40とは互いに軸方向にずれている。」
「【0027】
ここで、柱部5と連通し、キャビティへの開口部である樹脂溜り40の連通部42の断面積は、ゲート51の断面積の1/4以下に設定される。これによれば、溶解樹脂が合流してウェルドWが形成された後で樹脂溜り40への溶解樹脂の流入が始まるので、ウェルドWにおける強制的な樹脂の流動によって補強繊維材の配向を制御する効果をより確実に発現することができる。」
「【0059】
【表1】
[図:0001403580000001.jpg]
」
「【図1】
[図:0001403580000002.jpg]
」
【図1】より、複数の樹脂射出ゲート51のそれぞれは、キャビティの別々の柱部5を形成する領域に設けられることが看取される。
したがって、上記引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
【引用発明1】
「成形金型内に形成したキャビティの周縁部に複数の樹脂射出ゲート51を設け、前記樹脂射出ゲート51から溶解樹脂を前記キャビティ内に射出し、成形されるアンギュラ玉軸受用保持器1の製造方法であって、
前記アンギュラ玉軸受用保持器1は、軸方向に離間した一対の円環部3と、前記一対の円環部3を連結するように円周方向に所定間隔で配置された、複数かつ奇数個の柱部5と、前記一対の円環部3の互いに軸方向に対向する面と隣り合う前記柱部5の互いに円周方向に対向する面とによって形成された、前記柱部5と同数のポケット部7と、を有し、
前記複数の樹脂射出ゲート51のそれぞれは、前記キャビティの別々の前記柱部5を形成する領域に設けられ、
隣り合う前記樹脂射出ゲート51の間の領域S1~S3の周方向中央に位置するポケット部7に隣り合う一対の前記柱部5のうち、一方の前記柱部5に樹脂溜り40を設け、
前記キャビティへの開口部である前記樹脂溜り40の連通部42の断面積は、前記樹脂射出ゲート51の断面積の1/4以下に設定される、
アンギュラ玉軸受用保持器1の製造方法。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。)
「【0026】
さらに、金型には、キャビティに開口する2つの凹部7a、7bが、周方向に間隔をあけて設けられている。これら2つの凹部7a、7bは、キャビティに開口する開口部の面積が等しく形成されている。2つの凹部7a、7bの容量は同一でもよいが、本実施形態のように異なっていてもよい(図5を参照)。2つの凹部7a、7bの設置位置は、図5に示すように、対角ポケット5を挟んで隣り合う2つの柱部3、3の周方向中央部にそれぞれ対応する周方向位置である。円環部1、1のうち対角ポケット5に隣接する周方向領域の周方向中央部にウエルドラインW1a、W1bが形成されるので、2つの凹部7a、7bの設置位置は、円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bを挟んで隣り合う2つの柱部3、3の周方向中央部にそれぞれ対応する周方向位置であるとも言える。
【0027】
2つの凹部7a、7bの周方向の設置位置は上記の通りであるが、軸方向の設置位置は、図5に示すように、いずれも軸方向一端部とすることができる(2つの凹部7a、7bが軸方向の同じ側の端部に設けられている)。すなわち、一方の円環部1のうち対角ポケット5を挟む柱部3、3に対応する周方向領域の周方向中央部に、2つの凹部7a、7bを設置することが好ましい。
【0028】
溶融した樹脂材料を金型のキャビティ内に射出した際には、溶融した樹脂材料が凹部7a、7bに流入可能となっている。溶融した樹脂材料が凹部7a、7b内に流入することにより、キャビティ内における溶融した樹脂材料の流れに乱れが生じ、それによりウエルドラインW1a、W1b、W3a、W3bの形状に変化が生じることとなる。以下に、凹部7a、7bの有無や個数によるウエルドラインW1a、W1b、W3a、W3bの形状の差異について、詳細に説明する。
なお、凹部7a、7b内に流入した樹脂材料は固化し、円環部1から突出する突起部(図1、2を参照)となるので、成形物を金型から取り出した後に突起部を切除して転がり軸受用樹脂材料製保持器を得る。また、前述した凹部7a、7bの開口部の面積は、突起部の基端(転がり軸受用樹脂材料製保持器との接続部分)の端面の面積とも言える(図2を参照)。
【0029】
溶融した樹脂材料が、1個のゲートGからキャビティ内に注入される。ゲートGの設置位置は、図3に示すように、柱部3の周方向中央部且つ軸方向中央部に対応する位置とされているので、ゲートGから注入された樹脂材料は周方向に2つに分かれてキャビティ内を周方向にそれぞれ進み、ゲートGの対角位置において合流してウエルド部となり、ウエルドラインが形成される。」
「【0033】
一方、本実施形態のように、2つの凹部7a、7bの開口部の面積が等しく、且つ、2つの凹部7a、7bの容量が異なる場合は、容量が小さい方の凹部7bへの樹脂材料の充填が完了するまで、対角ポケット5を挟む2つの柱部3、3のウエルドラインW3a、W3bの変形が同様に進行し、容量が小さい方の凹部7bへの樹脂材料の充填が完了した段階で、容量が小さい方の凹部7bと周方向位置が同一である柱部3(図4、5では左側の柱部3)のウエルドラインW3bの変形が終了する。この段階では、対角ポケット5を挟む2つの柱部3、3のウエルドラインW3a、W3bの形状は同一形状となる。また、2つの円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bには変形は生じず、直線状のままである。よって、対角ポケット5を挟む2つの柱部3、3のウエルドラインW3a、W3bと2つの円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bの形状は、図4に示すような形状となる。
【0034】
2つの凹部7a、7bの開口部の面積が等しく、且つ、2つの凹部7a、7bの容量が異なる場合は、容量が小さい方の凹部7bへの樹脂材料の充填が完了した後も、容量が大きい方の凹部7aへの樹脂材料の流入が進行し、容量が大きい方の凹部7aと周方向位置が同一である柱部3(図4、5では右側の柱部3)のウエルドラインW3aの変形が引き続き進行する。容量が小さい方の凹部7bと周方向位置が同一である柱部3のウエルドラインW3bは、容量が大きい方の凹部7aへの樹脂材料の流入によっては変形しない。よって、容量が小さい方の凹部7bと周方向位置が同一である柱部3のウエルドラインW3bよりも、容量が大きい方の凹部7aと周方向位置が同一である柱部3のウエルドラインW3aの方が、変形の度合いが大きくなる。
【0035】
すなわち、対角ポケット5を挟む2つの柱部3、3のウエルドラインW3a、W3bはいずれも、周方向中央部が周方向両端部よりも軸方向一方向に突出して湾曲した凸形状となっているが、図5から分かるように、容量が大きい方の凹部7aと周方向位置が同一である柱部3のウエルドラインW3aの方が、周方向中央部の軸方向一方向への突出の度合いが大きくなっている。
【0036】
また、2つの凹部7a、7bの開口部の面積が等しく、且つ、2つの凹部7a、7bの容量が異なる場合は、容量が小さい方の凹部7bへの樹脂材料の充填が完了した後の、容量が大きい方の凹部7aへの樹脂材料の流入によって、2つの円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bも変形する。詳述すると、容量が大きい方の凹部7aへの樹脂材料の流入に伴って、柱部3のウエルド部近傍の樹脂材料とともに、2つの円環部1、1のウエルド部近傍の樹脂材料が、凹部7aに向かって(図5では右方に向かって)周方向に流動する。その結果、2つの円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bは変形し、図5に示すように、ウエルドラインW1a、W1bの軸方向中央部が軸方向両端部よりも周方向一方向(図5では右方)に突出して湾曲した凸形状となる。
【0037】
そして、2つの円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bのうち、凹部7aから遠いウエルドラインW1bよりも、凹部7aに近いウエルドラインW1aの方が、変形の度合いが大きくなる。すなわち、2つの円環部1、1のウエルドラインW1a、W1bはいずれも、軸方向中央部が軸方向両端部よりも周方向一方向に突出して湾曲した凸形状となっているが、図5から分かるように、凹部7aに近いウエルドラインW1aの方が、軸方向中央部の周方向一方向への突出の度合いが大きくなっている。」
「【図4】
[図:0001403580000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001403580000004.jpg]
」
したがって、上記引用文献2には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「2つの凹部7a、7bが、キャビティの対角ポケット5を挟んで隣り合う2つの柱部3、3に配置され、2つの凹部7a、7bの容量が異なる、転がり軸受用樹脂材料製保持器の製造方法。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。)
「【0024】
本発明の実施形態に係る軸受用樹脂製保持器の製造方法では、1点ゲート方式の射出成形を採用している。具体的には、図1に示すように、本発明に係る軸受用樹脂製保持器は、成形金型30内に形成した環状のキャビティ40の外周側周縁部42に設けた樹脂射出ゲート(以下、単にゲートと呼ぶ。)50から、強化繊維を添加した溶融樹脂をキャビティ40内に射出し、冷却固化することによって成形される。」
「【0026】
キャビティ40の内周側周縁部44には、キャビティ40内のウェルド部Wが形成される位置と周方向にオーバーラップする位置に配置され、ウェルド部Wが形成された後に溶融樹脂が流入する第3樹脂溜まり80と、第3樹脂溜まり60から周方向にオフセットした位置に配置され、当該第3樹脂溜まり80に溶融樹脂が充填された後に溶融樹脂が流入する第1樹脂溜まり60と、第3及び第1樹脂溜まり80、60から周方向にオフセットして、第1樹脂溜まり60及びゲート50の周方向における間となる位置に配置され、第1樹脂溜まり60に溶融樹脂が充填された後に溶融樹脂が流入する第2樹脂溜まり70と、が設けられている。
なお、第1、第2、第3樹脂溜まり60、70、80の周方向における位置の順番は特に限定されるものではないが、図1に示したように、第3、第1、第2樹脂溜まり80、60、70の順に配置されていることが好ましく、その際のそれぞれの樹脂溜まり80、60、70間の周方向距離は、成形される保持器のポケットの最大幅の2倍以内に接近していることが望ましい。
【0027】
これら第1、第2、第3樹脂溜まり60、70、80と、キャビティ40の内周側周縁部44と、はそれぞれ第1、第2、第3連通部62、72、82によって連通されている。
【0028】
第1、第2、第3連通部62、72、82の断面積D1a、D2a、D3aは、ゲート50から注入された溶融樹脂が、キャビティ40、第3、第1、第2樹脂溜まり80、60、70の順で充填されるように設定されている。」
したがって、上記引用文献3には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「キャビティ40の内周側周縁部44に、第1、第2、第3樹脂溜まり60、70、80が配置され、第1、第2、第3樹脂溜まり60、70、80と、キャビティ40の内周側周縁部44と、はそれぞれ第1、第2、第3連通部62、72、82によって連通され、第1、第2、第3連通部62、72、82の断面積D1a、D2a、D3aは、ゲート50から注入された溶融樹脂が、キャビティ40、第3、第1、第2樹脂溜まり80、60、70の順で充填されるように設定されている、転がり軸受用樹脂材料製保持器の製造方法。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。)
「【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る軸受用樹脂製保持器の製造方法では、三点ゲート方式の射出成形を採用している。」
「【0019】
また、キャビティ40の外周側周縁部42及び内周側周縁部44には、溶解樹脂が流入可能な複数(本実施形態では3つ)の第1,第2の樹脂溜まり部60,70が設けられている。ここで、第1の樹脂溜まり部60の体積は、第2の樹脂溜まり部70の体積よりも大きくなるように設定される。」
「【0022】
また、それぞれの第1樹脂溜まり部60とキャビティ40の外周側周縁部42又は内周側周縁部44とは、第1連通部62によって連通されており、それぞれの第2樹脂溜まり部70とキャビティ40の外周側周縁部42又は内周側周縁部44とは、第2連通部72によって連通されている。」
「【0025】
しかしながら、本実施形態では、周方向に隣り合うゲート50間において、周方向中間部W´と周方向にラップしない位置で、第1樹脂溜まり部60が設けられている。また、第1連通部62の断面積は、ウェルド部Wが形成される前に、第1樹脂溜まり部60に溶解樹脂Gが流入可能であるように設定されており、第2連通部72の断面積は、ウェルド部Wが形成された後に、第2樹脂溜まり部60に溶解樹脂Gが流入可能であるように設定されている。したがって、ウェルド部Wが形成される前に、すなわち、それぞれのゲート50から注入され流動した溶解樹脂Gが互いに合流する前に、第1連通部62を介して第1樹脂溜まり部60に流入する。一方で、第2樹脂溜まり部70には、溶解樹脂Gが流入しない。」
したがって、上記引用文献4には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「キャビティ40の外周側周縁部42及び内周側周縁部44には、溶解樹脂が流入可能な第1,第2の樹脂溜まり部60,70が設けられ、第1の樹脂溜まり部60の体積は、第2の樹脂溜まり部70の体積よりも大きくなるように設定され、第1連通部62の断面積は、ウェルド部Wが形成される前に、第1樹脂溜まり部60に溶解樹脂Gが流入可能であるように設定されており、第2連通部72の断面積は、ウェルド部Wが形成された後に、第2樹脂溜まり部60に溶解樹脂Gが流入可能であるように設定されている、転がり軸受用樹脂材料製保持器の製造方法。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明1との対比
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1における「成形金型内に形成したキャビティ」は、本願発明1における「成形金型内に形成されたキャビティ」に相当し、引用発明1における「キャビティの周縁部」は、本願発明1における「キャビティの周面」に相当し、引用発明1における「樹脂射出ゲート51」は、本願発明1における「樹脂射出ゲート」に相当する。
引用発明1における「樹脂射出ゲート51」は、当該樹脂射出ゲート51を介してキャビティ内とランナー53との間の溶解樹脂の流れを接続するものであるから、引用発明1における「成形金型内に形成したキャビティの周縁部に複数の樹脂射出ゲート51を設け」ることは、本願発明1における「成形金型内に形成されたキャビティの周面に複数の樹脂射出ゲートを接続」することに相当する。
引用発明1における「溶解樹脂」は、本願発明1における「溶融樹脂」に相当し、引用発明1における「アンギュラ玉軸受用保持器1」は、アンギュラ玉軸受は転がり軸受のうちの一種であるから、本願発明1における「転がり軸受用保持器」に相当し、引用発明1における「溶解樹脂を前記キャビティ内に射出し、成形されるアンギュラ玉軸受用保持器1の製造方法」は、アンギュラ玉軸受は転がり軸受のうちの一種であるから、本願発明1における「溶融樹脂を前記キャビティ内に射出して形成する転がり軸受用保持器の製造方法」に相当する。
(イ)引用発明1における「一対の円環部3」は、本願発明1における「一対の円環部」に相当し、引用発明1における一対の円環部3が「軸方向に離間した」という事項は、本願発明1における一対の円環部が「軸方向に離間して配置された」という事項に相当する。
引用発明1における「柱部5」は、本願発明1における「柱部」に相当し、引用発明1における柱部5が「前記一対の円環部3を連結するように円周方向に所定間隔で配置された」という事項は、本願発明1における柱部が「前記一対の円環部の円周方向にわたってそれぞれ等間隔に配置された」という事項に相当する。
引用発明1における「ポケット部7」は、本願発明1における「ポケット」に相当し、引用発明1におけるポケット部7が「前記一対の円環部3の互いに軸方向に対向する面と隣り合う前記柱部5の互いに円周方向に対向する面とによって形成された」という事項は、本願発明1におけるポケットが「隣り合う一対の前記柱部と前記一対の円環部とにより画成された」という事項に相当する。
(ウ)引用発明1における「前記複数の樹脂射出ゲート51のそれぞれは、前記キャビティの別々の前記柱部5を形成する領域に設けられ」るという事項は、本願発明1における「前記複数の樹脂射出ゲートのそれぞれは、前記キャビティの別々の前記柱部を形成する領域に接続」するという事項に相当する。
(エ)引用発明1における「樹脂溜り40」は、本願発明1における「樹脂溜まり部」に相当し、引用発明1における「隣り合う前記樹脂射出ゲート51の間の領域S1~S3の周方向中央に位置するポケット部7」は、引用文献1に開示されるように樹脂射出ゲート51が奇数個設けられる場合において、ポケット部7が樹脂射出ゲート51のそれぞれと径方向に対向する各周方向位置に配置されることになるため、本願発明1における「前記樹脂射出ゲートのそれぞれと径方向に対向する各周方向位置に」配置される「ゲート対向側ポケット」に相当する。そうすると、引用発明1における「隣り合う前記樹脂射出ゲート51の間の領域S1~S3の周方向中央に位置するポケット部7に隣り合う一対の前記柱部5のうち、一方の前記柱部5に樹脂溜り40を設け」るという事項は、引用文献1の樹脂溜り40がキャビティに設けられることが自明であることを踏まえると、本願発明1における「前記キャビティにおける前記樹脂射出ゲートのそれぞれと径方向に対向する各周方向位置には、ゲート対向側ポケットを形成する領域を配置し、前記ゲート対向側ポケットを画成する一対の前記柱部の一方を形成する前記キャビティの周方向位置には、前記キャビティ内の前記溶融樹脂が流入する樹脂溜まり部を設け」るという事項に相当する。
(オ)引用発明1における「前記キャビティへの開口部である前記樹脂溜り40の連通部42」は、本願発明1における「前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部」に相当し、引用発明1における「連通部42の断面積」は、本願発明1における「連通部の前記キャビティの周面における開口面積」に相当し、引用発明1における「前記樹脂射出ゲート51の断面積」は、本願発明1における「前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積」に相当する。
そうすると、引用発明1における「前記キャビティへの開口部である前記樹脂溜り40の連通部42の断面積は、前記樹脂射出ゲート51の断面積の1/4以下に設定される」という事項と、本願発明1における「前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部の前記キャビティの周面における開口面積を、前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積よりも大きく」するという事項とは、「前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部の前記キャビティの周面における開口面積と、前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積とが、所定の関係を有する」という限りにおいて一致する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
【一致点1】
「成形金型内に形成されたキャビティの周面に複数の樹脂射出ゲートを接続し、前記樹脂射出ゲートから溶融樹脂を前記キャビティ内に射出して形成する転がり軸受用保持器の製造方法であって、
前記転がり軸受用保持器は、軸方向に離間して配置された一対の円環部と、前記一対の円環部の円周方向にわたってそれぞれ等間隔に配置された、前記円環部同士を連結する複数かつ奇数個の柱部と、隣り合う一対の前記柱部と前記一対の円環部とにより画成された、前記柱部と同数のポケットと、を有し、
前記複数の樹脂射出ゲートのそれぞれは、前記キャビティの別々の前記柱部を形成する領域に接続し、
前記キャビティにおける前記樹脂射出ゲートのそれぞれと径方向に対向する各周方向位置には、ゲート対向側ポケットを形成する領域を配置し、
前記ゲート対向側ポケットを画成する一対の前記柱部の一方を形成する前記キャビティの周方向位置には、前記キャビティ内の前記溶融樹脂が流入する樹脂溜まり部を設け、
前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部の前記キャビティの周面における開口面積と、前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積とが、所定の関係を有する、
転がり軸受用保持器の製造方法。」
【相違点1】
樹脂溜まり部とキャビティとを接続する連通部のキャビティの周面における開口面積と、樹脂射出ゲートがキャビティに接続する部位のキャビティの周面における開口面積との所定の関係について、本願発明1は、前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部の前記キャビティの周面における開口面積を、前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積よりも「大きくし」ており、「前記溶融樹脂が前記樹脂溜まり部の開口部を通過するときの圧力損失を、前記樹脂射出ゲートを通過するときの圧力損失よりも小さくする」ものであるのに対し、引用発明1は、樹脂溜り40の連通部42の断面積は、樹脂射出ゲート51の断面積の1/4以下に設定し、すなわち樹脂溜り40の連通部42の断面積は、樹脂射出ゲート51の断面積よりも小さくしており、溶解樹脂が樹脂溜り40の連通部42を通過するときの圧力損失が、樹脂射出ゲート51を通過するときの圧力損失よりも小さくするものであるかについては明らかでない点。
イ 相違点についての判断
上記【相違点1】について検討する。
引用文献1の「柱部5と連通し、キャビティへの開口部である樹脂溜り40の連通部42の断面積は、ゲート51の断面積の1/4以下に設定される。これによれば、溶解樹脂が合流してウェルドWが形成された後で樹脂溜り40への溶解樹脂の流入が始まるので、ウェルドWにおける強制的な樹脂の流動によって補強繊維材の配向を制御する効果をより確実に発現することができる。」(段落【0027】)、「樹脂射出ゲート51の断面積に対する連通部42の断面積の比率が0.25のときは、溶解樹脂Gが合流する前には、樹脂溜り40に溶解樹脂Gが流入しない。このため、溶解樹脂Gが合流してウェルドWが形成された後で、ウェルドWに強制的な樹脂の流動を起こす効果が大きく、ウェルドWにおける補強繊維材の配向を制御する効果を発現する。」(段落【0061】)との記載から、引用発明1においては、溶解樹脂が合流してウェルドが形成された後で、樹脂溜りへ溶解樹脂を流入させ、ウェルドに強制的な樹脂の流動を起こし、ウェルドにおける補強繊維材の配向を制御する効果を発現することを目的として、樹脂溜り40の連通部42の断面積は、樹脂射出ゲート51の断面積の1/4以下に設定し、すなわち樹脂溜り40の連通部42の断面積は、樹脂射出ゲート51の断面積よりも小さくする構成を採用するものと理解される。
そして、引用文献1の「樹脂射出ゲート51の断面積に対する連通部42の断面積の比率が0.44~1.00のときは、溶解樹脂G同士が合流する前に樹脂溜り40への溶解樹脂Gの流入が始まる。これらの場合、溶解樹脂Gが合流した後でウェルドWに強制的な樹脂の流動を起こす効果が小さく、ウェルドWにおける補強繊維材の配向を制御する効果が発現しにくい。」(段落【0060】)との記載から、樹脂溜り40の連通部42の断面積を、樹脂射出ゲート51の断面積に対して大きいものとした場合には、溶解樹脂が合流してウェルドが形成される前に、樹脂溜りへ溶解樹脂を流入させることとなり、ウェルドでの樹脂の十分な流動が起こらず、ウェルドにおける補強繊維材の配向を制御するとの効果を発現させないことが想定されることから、引用発明1において、樹脂溜り40の連通部42の断面積を、樹脂射出ゲート51の断面積よりも大きくする構成を採用することには阻害要因が存在すると認められる。
してみると、相違点1に係る本願発明1の構成については、引用発明1に基いて容易想到であるとはいえない。また、他の引用文献にも、相違点1に係る本願発明1の構成について記載されているとはいえない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2~4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.本願発明2~7について
本願発明2~7も、本願発明1の「前記樹脂溜まり部と前記キャビティとを接続する連通部の前記キャビティの周面における開口面積を、前記樹脂射出ゲートが前記キャビティに接続する部位の前記キャビティの周面における開口面積よりも大きくして、前記溶融樹脂が前記樹脂溜まり部の開口部を通過するときの圧力損失を、前記樹脂射出ゲートを通過するときの圧力損失よりも小さくする」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、及び拒絶査定において引用された引用文献2~4に記載された事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし7は、当業者が引用発明1及び引用文献2~4に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-007376