特許拒絶査定不服審判
2023-007091
導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法
- 審判番号
- 2023-007091
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-127587
- 請求日
- 2023年04月28日
- 審決日
- 2024年04月23日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】積水化学工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人大阪フロント特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .113-WY (H01B) / P18 .121-WY (H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-127587「導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月31日出願公開、特開2019- 16595、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年7月4日(優先権主張 平成29年7月6日)の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 3月22日付け 拒絶理由通知
令和4年 7月22日 意見書・手続補正書 提出
令和4年10月21日付け 拒絶理由通知(最後)
令和5年 1月 4日 意見書・手続補正書 提出
令和5年 2月 3日付け 令和5年1月4日付け手続補正書でした
補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)
令和5年 4月28日 審判請求書・手続補正書 提出
令和5年12月25日付け 拒絶理由通知(最後)(当審拒絶理由)
令和6年 2月19日 手続補正書 提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年2月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1ないし5,8ないし10,12に係る発明は、下記引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1ないし5,8ないし10,12に係る発明は、下記の引用文献Aに記載された発明に基いて、この出願の請求項6および7に係る発明は、下記の引用文献AないしCに記載された発明に基いて、この出願の請求項11および13に係る発明は、下記の引用文献AおよびDに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献A:特開2012-092296号公報
引用文献B:特開2015-047614号公報(周知技術を示す文献)
引用文献C:特開2013-256584号公報(周知技術を示す文献)
引用文献D:特開2017-091951号公報(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
令和5年12月25日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。
1.(新規性)この出願の請求項1および2に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1ないし5、8ないし13に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、この出願の請求項6および7に係る発明は、下記の引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2012-092296号公報(現査定の引用文献A)
2.特開2015-047614号公報(現査定の引用文献B)
3.特開2013-256584号公報(現査定の引用文献C)
第4 本願発明
本願請求項1に係る発明ないし請求項12に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明12」という。)は、令和6年2月19日提出の手続補正書によって補正(以下、「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含み、
前記はんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)が、30%以下であり、
前記第1のフラックスが、有機リン化合物であり、
前記第1のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点未満であり、
前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点以上かつ前記はんだ粒子の融点+50℃以下である、導電材料(但し、導電材料100重量%中にはんだ粒子を70重量%以上で含む導電材料を除く)。
【請求項2】
前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点+5℃以上かつ前記はんだ粒子の融点+30℃以下である、請求項1に記載の導電材料。
【請求項3】
前記バインダー100重量部に対して、前記第1のフラックスの含有量が、0.1重量部以上5重量部以下である、請求項1又は2に記載の導電材料。
【請求項4】
前記バインダー100重量部に対して、前記第2のフラックスの含有量が、2重量部以上20重量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項5】
前記第1のフラックスの含有量の、前記第2のフラックスの含有量に対する比が、重量基準で、0.01以上5以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項6】
前記第2のフラックスが、酸化合物と塩基化合物との塩であるか、又は、有機リン化合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項7】
前記第1のフラックスの融点が、130℃以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項8】
導電ペーストである、請求項1~7のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項9】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1~8のいずれか1項に記載の導電材料であり、
前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体。
【請求項10】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている、
請求項9に記載の接続構造体。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
前記はんだ粒子の融点以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法。
【請求項12】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る、請求項11に記載の接続構造体の製造方法。」
第5 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由の引用文献1(現査定の引用文献A:特開2012-092296号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審が付加した。以下同様。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子回路基板に電子部品などをはんだ付けする際に用いられる導電性接着剤、及びそれを用いた回路基板、電子部品モジュールに関するものである。」
イ 「【0034】
本発明の実施の形態における導電性接着剤は、有機酸を含有する接着剤とSnBi系はんだ粉末から構成されている。
【0035】
尚、本実施の形態の「有機酸を含有する接着剤」は、フラックス作用(ここで、フラックス作用とは、導電性接着剤が塗布される金属表面に生じた酸化皮膜を除去する作用、及び、溶融はんだの表面張力を低下させて、はんだの接合金属表面への濡れ性を促進する作用を意味する)を有する。
【0036】
SnBi系はんだ粒子は、粒子径L1が20~30μmのはんだ粒子と、粒子径L2が8~12μmのはんだ粒子の2種類の粒子径を混合していることを特徴としている。
【0037】
また、有機酸を含有する接着剤は、少なくともエポキシ樹脂、硬化剤、有機酸、増粘剤から構成されており、有機酸は、具体的には、アジピン酸とグルタル酸の両方が混合されていることを特徴としている。
【0038】
後述する実施例、比較例及び参考例に用いた材料は、下記の方法で作成したもの、あるいは入手したものである。
(1)導電性接着剤の材料調整
a)はんだ粒子:下記のはんだ粒子No.1とNo.2を混合して使用した。
【0039】
このはんだ粒子No.1とNo.2の粒子径は、レーザー回折・散乱法で測定し、積算粒子量が50%になる粒子径であるメディアン径(D50)を用いている。
【0040】
a-1)SnBi系はんだ粒子No.1(粒子径20~30μm)
商品名:Sn/Bi58 (20-30)(三井金属鉱業株式会社製)
a-2)SnBi系はんだ粒子No.2(粒子径8~12μm)
商品名:Sn/Bi58(DS10)(三井金属鉱業株式会社製)
なお、ここでの粒子径は、1つの粒子が真球の場合では直径を示すが、その他の形状の場合では、その形状の外接直方体の最大の長さを示すこととする。
b)エポキシ樹脂:
b-1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
商品名:エピコートYL980(ジャパンエポキシレジン株式会社製)
b-2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂
商品名:エピコート806(ジャパンエポキシレジン株式会社製)
c)硬化剤:
イミダゾール系硬化剤(10μm以下の粉体)
商品名:2P4MHZ(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール:四国化成工業株式会社製)
d)有機酸:
d-1)アジピン酸(関東化学株式会社製)
d-2)グルタル酸(関東化学株式会社製)
e)増粘剤:ジベンジリデンソルビトール
商品名:ゲルオールD(新日本理化株式会社製)
以上の材料を用いて、有機酸を含有する接着剤とSnBi系はんだ粉末から構成される導電性接着剤に関して、以下の処方にて作成した。」
ウ 「【0103】
次に、表3に示す様に、有機酸を含有する接着剤90wt%に対し、残部の10wt%がはんだ粒子とし、SnBi系はんだ粒子No.1と、SnBi系はんだ粒子No.2の割合を変化させながら所望の導電性接着剤を作成し、印刷性能を評価した。」
エ 表3
[図:0001409953000001.jpg]
オ 上記エの表3の比較例10に着目すると、比較例10では、有機酸を含有する接着剤とはんだ粒子の割合は、有機酸を含有する接着剤が90wt%であり、はんだ粒子が10wt%であり、はんだ粒子の割合は、はんだ粒子No.2(8~12μm)が100wt%であることが認められる。
カ 「【0119】
(実施の形態2:有機酸の割合)
実施の形態2では、有機酸を含有する接着剤を構成する有機酸について検討する。有機酸としては、アジピン酸(融点:152℃)とグルタル酸(97℃)で検討した。」
キ 表8
[図:0001409953000002.jpg]
ク 上記キの表8の実施例3に着目すると、はんだ組成Sn42/Bi58の固相線(融点)は、139℃であると認められる。
(2)引用発明
上記(1)より、特に、下線部の記載、表3の比較例10に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「電子回路基板に電子部品などをはんだ付けする際に用いられる導電性接着剤に関し、
導電性接着剤は、有機酸を含有する接着剤とSnBi系はんだ粉末から構成されており、
有機酸を含有する接着剤は、フラックス作用を有しており、
有機酸を含有する接着剤は、エポキシ樹脂、硬化剤、有機酸、増粘剤から構成されており、有機酸は、具体的には、アジピン酸とグルタル酸の両方が混合されており、
有機酸を含有する接着剤とはんだ粒子の割合は、有機酸を含有する接着剤が90wt%であり、はんだ粒子が10wt%であり、はんだ粒子の割合は、はんだ粒子No.2(8~12μm)が100wt%である
導電性接着剤。」
2 引用文献2,3,D
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由の引用文献2(現査定の引用文献B:特開2015-047614号公報)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットディスペンサーなどによりはんだ組成物を微細パターンに塗布するためのはんだ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型軽量化が進むと同時に、配線基板の高密度実装化が進んでいる。そして、実装する電子部品も小型化が進むにつれ、接続端子ピッチも小さくなっている。その結果、接続端子自身も小さくする必要があるため、電子部品と配線基板との接続強度が弱くなってしまう。その強化策の一つとして、電子部品と配線基板との間にアンダーフィル剤を入れて硬化させる方法も実用化されている。しかし、実装工程が長くなる、或いは電子部品または接合不良が発見されたときにリペアーができないという欠点がある。
【0003】
そこで、電子部品と配線基板との接続強度をはんだペーストにより向上することが求められており、例えば、熱硬化性樹脂、有機酸、溶剤および硬化剤を含有するフラックスと、はんだ粉末とを含有するはんだペーストが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、このようなはんだペーストでは、様々な塗布形式で塗布することが求められている。そのうちの一つとして、近年、ジェットディスペンサーによりはんだペーストを微細パターンに塗布することが求められている。また、この場合、微細パターンのサイズに応じて、はんだ粉末の粒子径を小さくする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2001-219294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のはんだペーストでは、熱硬化性があるために、電子部品と配線基板との接続強度を補強できる(このようなはんだペーストを、熱硬化性のはんだ組成物ともいう)。しかしながら、特許文献1に記載のはんだペーストを用いてジェットディスペンサーによりはんだペーストを微細パターンに塗布する(このような塗布形式を、微細パターン塗布ともいう)場合には以下の(i)および(ii)のような問題がある。
(i)微細パターン塗布での塗布性の観点から、はんだ粉末の粒子径を小さくする必要がある。しかし、この場合、はんだ粉末の表面積が増加し、表面の酸化膜が増えるために、はんだ溶融性が低下してしまう。一方で、はんだ溶融性を高めるために、有機酸などの活性剤の酸価を高めることや配合量を多くすることなどが考えられる。しかし、このようにすると、ポットライフが著しく低下するという問題がある。
(ii)微細パターン塗布での塗布性の観点から、はんだ粉末の粒子径を小さくすると、はんだペーストの粘度が高くなってしまう。そこで、はんだペーストの粘度を低くする必要があるために、組成物中の溶剤比率を高めなければならない。しかし、この場合、樹脂中に残存する溶剤が多くなるために、樹脂硬化性が低下してしまう。
以上のように、はんだペーストを用いて微細パターン塗布をする場合には、塗布性、樹脂硬化性、ポットライフおよびはんだ溶融性の全てを満たすことは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、微細パターン塗布をする場合に、塗布性、樹脂硬化性、ポットライフおよびはんだ溶融性が優れた微細パターン塗布用はんだ組成物を提供することを目的とする。」
イ 「【0026】
[(D)活性剤]
本発明に用いる(D)活性剤は、(D1)炭素数4~7のジカルボン酸と、(D2)アミンと有機酸との塩である有機酸アミン塩とを含有することが好ましい。なお、前記(D1)成分および前記(D2)成分以外の公知の活性剤をさらに含有していてもよい。
前記(D1)成分は、炭素数4~7のジカルボン酸であることが好ましい。炭素数が4未満であると、はんだ組成物におけるポットライフが不十分となる傾向にある。他方、炭素数が7を超えると、はんだ組成物におけるはんだぬれ性が不十分となる傾向にある。
前記(D1)成分としては、アジピン酸、2,4-ジエチルグルタル酸、2,2-ジエチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、グルタル酸、コハク酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの(C1)成分の中でも、ポットライフとはんだぬれ性とのバランスの観点から、アジピン酸、グルタル酸などが好ましい。
【0027】
前記(D1)成分の含有量としては、熱硬化性樹脂組成物100質量%に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。(D1)成分の含有量が前記下限未満では、はんだぬれ性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポットライフが低下する傾向にある。
【0028】
前記(D2)成分は、アミンと有機酸との塩である有機酸アミン塩であることが好ましい。
前記(D2)成分は、熱重量示差熱分析(TG/DTA)にて測定した軟化点(溶融・分解開始温度ともいう)が、90℃以上210℃以下であることが好ましく、110℃以上150℃以下であることがより好ましい。軟化点が前記下限未満では、ポットライフが低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、はんだぬれ性が低下する傾向にある。
ここで、軟化点は、以下のようなに方法より測定できる。
有機酸アミン塩を試料として10mg±3mg秤量し、30℃~250℃まで加熱しつつ、下記条件にて、TG/DTA測定を行う。なお、リファレンスとしては、不活性なアルミナ粉末を10mg±3mg秤量し使用する。
測定装置:セイコーインスツルメンツ社製の「TG/DTA6200」
雰囲気:大気
昇温レート:10℃/min
【0029】
前記アミンとしては、適宜公知のアミンを用いることができる。このようなアミンは、芳香族アミンであってもよく、脂肪族アミンであってもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このようなアミンとしては、有機酸アミン塩の安定性などの観点から、炭素数3~13のアミンを用いることが好ましく、炭素数4~7の1級アミンを用いることがより好ましい。
前記芳香族アミンとしては、ベンジルアミン、アニリン、1,3-ジフェニルグアニジンなどが挙げられる。
前記脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0030】
前記有機酸としては、適宜公知の有機酸を用いることができる。このような有機酸は、モノカルボン酸であってもよく、ジカルボン酸であってもよく、これら以外のカルボン酸であってもよい。また、このような有機酸は、脂肪族カルボン酸であってもよく、芳香族カルボン酸であってもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このような有機酸としては、有機酸アミン塩の安定性などの観点から、炭素数3~7のジカルボン酸であることが好ましく、炭素数5~6のジカルボン酸であることがより好ましい。
前記ジカルボン酸としては、アジピン酸、2,4-ジエチルグルタル酸、2,2-ジエチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸が挙げられる。
前記モノカルボン酸としては、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸などが挙げられる。
前記トリカルボン酸としては、トリメリット酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、クエン酸などが挙げられる。
【0031】
前記(D2)成分の含有量としては、熱硬化性樹脂組成物100質量%に対して、0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。(D2)成分の含有量が前記下限未満では、はんだぬれ性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポットライフが低下する傾向にある。」
(2)引用文献3の記載
当審拒絶理由の引用文献3(現査定の引用文献C:特開2013-256584号公報)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、回路基板への半導体部品の実装などに使用される熱硬化性樹脂組成物、およびフラックス組成物、ならびにこれらを用いて半導体部品を実装した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体パッケージなどの半導体装置の高密度化・多ピン化に伴い、従来のQFP(Quad Flat Package)のようにリードを用いてはんだ付けにより回路基板に実装する方法に代替する方法が急増してきている。このような方法の代表的なものとしては、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)のようにはんだボール(はんだバンプ)を用いて回路基板に実装する方法がある。
【0003】
従来、回路基板などに半導体部品を実装する際には、クリームはんだと呼ばれる材料が使用されている。
【0004】
クリームはんだは、はんだ粒子、フラックス成分、および溶剤を含む組成物である。このクリームはんだを使用した部品実装では、クリームはんだがリフロー炉中ではんだ粒子の融点以上の温度に加熱されることで、はんだ粒子が溶融する。それと共に、高温でフラックス成分によりはんだ粒子表面の酸化層が除去されて、はんだ粒子が一体化し、これにより回路基板などの導体配線と半導体部品との間の導通が確保される。このようなクリームはんだを使用した部品実装プロセス(はんだリフロープロセス)では多くの部品を一括して接続でき、生産性を高めることができる。
【0005】
添加されるフラックス成分としては、アビエチン酸に代表されるロジン成分材料や各種アミンおよびその塩、さらにはセバシン酸、アジピン酸などの高融点有機酸などが知られている。
【0006】
近年では、携帯電話、スマートフォンに代表される様々なモバイル機器が実用化されているが、携帯して持ち歩くという性質上、機器が落下した際の衝撃に対して部品接続部にトラブルが起こらないように、部品接続強度の向上が望まれている。
【0007】
部品接続部に接着剤を塗布して強度補強する、いわゆるアンダーフィルも有効であるが、組立プロセスの増加やスループットが長くなるという点の改善が望まれている。
【0008】
そこで、リフローはんだ付けと同時に電気接続部を熱硬化性樹脂で補強する方法が提案され、実用化が進められている。具体的には、フラックス成分として特定のカルボン酸を熱硬化性樹脂バインダー、はんだ粒子とともに含有させる組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】 特許第4535050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、カルボン酸を熱硬化性バインダー中でフラックスとして作用させるには、バインダー樹脂に対して通常10~50PHRの配合が必要である。
【0011】
これよりも配合量が少ないと、見かけ上はんだ粒子の一体化は起こるが、ボール残りと呼ばれるはんだ粒子が樹脂中に残存し、電気絶縁性や信頼性を低下させる要因になっていた。
【0012】
有効なカルボン酸を多量に配合すればこのような問題は生じないものの、リフロー工程を通じて硬化した樹脂中に、多量のカルボン酸が未反応で残存してしまい、可塑剤として残ることになる。そのため、樹脂硬化物が脆くなり落下衝撃への補強性能が十分に得られない。
【0013】
さらに、樹脂硬化物が吸湿しやすくなって吸湿による絶縁抵抗劣化を起こしてしまったり、樹脂による接着補強が吸湿によってほとんど得られなくなる場合もあった。
【0014】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、一括リフロー工程でのはんだ凝集性に優れ、落下衝撃や吸湿に対する信頼性にも優れた部品実装が可能な熱硬化性樹脂組成物とそれを用いた半導体装置を提供することを課題としている。
【0015】
また本発明は、はんだボールまたははんだバンプの導電接続による半導体部品の実装において、フラックスとして作用し良好な実装性が得られ、かつ補強樹脂として作用し、その実装強度を大幅に高めることができるフラックス組成物とそれを用いた半導体装置を提供することを課題としている。」
イ 「【0046】
フラックス成分としては、(1)ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸とジエタノールアミン類もしくはトリエタノールアミン類との塩、または(2)カルボン酸無水物とジエタノールアミン類もしくはトリエタノールアミン類との付加反応物が用いられる。
【0047】
(1)のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸とジエタノールアミン類もしくはトリエタノールアミン類との塩は、酸-塩基反応により形成される。ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸を液体であるジエタノールアミン類もしくはトリエタノールアミン類と混合すると、室温でも発熱し、酸-塩基反応により、塩コンプレックスを形成する。」
(3)引用文献Dの記載
現査定の引用文献D(特開2017-091951号公報)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだを有する導電性粒子を含む導電材料に関する。また、本発明は、上記導電材料を用いた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
【0004】
上記異方性導電材料により、例えば、フレキシブルプリント基板の電極とガラスエポキシ基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラスエポキシ基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、フレキシブルプリント基板を積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して、接続構造体を得る。
【0005】
上記異方性導電材料の一例として、下記の特許文献1には、導電性粒子と、該導電性粒子の融点で硬化が完了しない樹脂成分とを含む異方性導電材料が記載されている。上記導電性粒子としては、具体的には、錫(Sn)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ガリウム(Ga)、及びタリウム(Tl)等の金属や、これらの金属からなる合金が挙げられている。
【0006】
特許文献1では、上記導電性粒子の融点よりも高く、かつ上記樹脂成分の硬化が完了しない温度に、異方性導電樹脂を加熱する樹脂加熱ステップと、上記樹脂成分を硬化させる樹脂成分硬化ステップとを経て、電極間を電気的に接続することが記載されている。また、特許文献1には、特許文献1の図8に示された温度プロファイルで実装を行うことが記載されている。特許文献1では、異方性導電樹脂が加熱される温度にて硬化が完了しない樹脂成分内で、導電性粒子が溶融する。
【0007】
下記の特許文献2には、熱硬化性樹脂を含む樹脂層と、はんだ粉と、硬化剤とを含み、上記はんだ粉と上記硬化剤とが上記樹脂層中に存在する接着テープが開示されている。この接着テープは、フィルム状であり、ペースト状ではない。
【0008】
また、特許文献2では、上記接着テープを用いた接着方法が開示されている。具体的には、第一基板、接着テープ、第二基板、接着テープ、及び第三基板を下からこの順に積層して、積層体を得る。このとき、第一基板の表面に設けられた第一電極と、第二基板の表面に設けられた第二電極とを対向させる。また、第二基板の表面に設けられた第二電極と第三基板の表面に設けられた第三電極とを対向させる。そして、積層体を所定の温度で加熱して接着する。これにより、接続構造体を得る。
【0009】
また、下記の特許文献3には、複数の電極端子を有する配線基板と対向させて、複数の接続端子を有する半導体チップを配設し、上記配線基板の上記電極端子と、上記半導体チップの上記接続端子とを電気的に接続するフリップチップ実装方法が開示されている。このフリップチップ実装方法は、(1)上記配線基板の上記電極端子を有する表面上に、はんだ粉及び対流添加剤を含有する樹脂を供給する工程と、(2)上記樹脂表面に、上記半導体チップを当接させる工程と、(3)上記配線基板を、上記はんだ粉が溶融する温度に加熱する工程と、(4)上記加熱工程後、上記樹脂を硬化させる工程とを含む。上記配線基板の加熱工程(3)において、上記電極端子と上記接続端子とを電気的に接続する接続体を形成し、また、上記樹脂の硬化工程(4)において、上記半導体チップを上記配線基板に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】 特開2004-260131号公報
【特許文献2】WO2008/023452A1
【特許文献3】 特開2006-114865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のはんだ粉や、はんだ層を表面に有する導電性粒子を含む異方性導電ペーストでは、はんだ粉又は導電性粒子が電極(ライン)上に効率的に配置されないことがある。従来のはんだ粉又は導電性粒子では、はんだ粉又は導電性粒子の電極上への移動速度が遅いことがある。
【0012】
また、特許文献1に記載の異方性導電材料を用いて、特許文献1に記載の方法で電極間を電気的に接続すると、はんだを含む導電性粒子が電極(ライン)上に効率的に配置されないことがある。また、特許文献1の実施例では、はんだの融点以上の温度で、はんだを十分に移動させるために、一定温度に保持しており、接続構造体の製造効率が低くなる。特許文献1の図8に示された温度プロファイルで実装を行うと、接続構造体の製造効率が低くなる。
【0013】
特許文献2では、異方性導電材料に用いる導電性粒子については、具体的な記載がない。特許文献3の実施例では、樹脂粒子の表面上に銅層が形成されており、該銅層の表面にはんだ層が形成されている導電性粒子が用いられている。この導電性粒子の中心部分は、樹脂粒子により構成されている。また、特許文献2,3に記載の異方性導電材料を用いると、導電性粒子が電極(ライン)上に効率的に配置されにくく、接続されるべき上下の電極間の位置ずれが生じたりすることがある。
【0014】
本発明の目的は、導電性粒子におけるはんだを電極上に効率的に配置することができ電極間の導通信頼性を高めることができる導電材料を提供することである。また、本発明の目的は、上記導電材料を用いた接続構造体を提供することである。」
イ 「【0138】
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、好ましくは100%以下である。」
第6 対比・判断
1 本願発明1
(1)対比
本願発明1と、引用発明とを対比する。
ア 引用発明において、「導電性接着剤は、有機酸を含有する接着剤とSnBi系はんだ粉末から構成されており、有機酸を含有する接着剤は、フラックス作用を有しており、有機酸を含有する接着剤は、エポキシ樹脂、硬化剤、有機酸、増粘剤から構成されており、有機酸は、具体的には、アジピン酸とグルタル酸の両方が混合されて」いるとされている。
ここで、引用発明の「エポキシ樹脂」が「硬化剤」の作用により、硬化するものであり、本願明細書の段落0161および0162を参照すると、エポキシ化合物などの「熱硬化性化合物」と、「熱硬化剤」とを総称して「バインダー」と称していることから、引用発明の「エポキシ樹脂」および「硬化剤」は、本願発明1の「バインダー」に相当するといえる。
また、引用発明の「有機酸を含有する接着剤は、フラックス作用を有しており、」「有機酸は、具体的には、アジピン酸とグルタル酸の両方が混合されて」おり、上記第5の1(1)カの下線部を参照すると、アジピン酸の融点は152℃であり、グルタル酸の融点は97℃であり、上記第5の1(1)イの段落0040から、引用発明の「はんだ粒子No.2(8~12μm)」は、はんだ組成が「Sn/Bi58」のはんだ粒子であり、上記第5の1(1)クから、はんだ組成Sn42/Bi58のはんだ粒子の融点は139℃であるから、引用発明の「グルタル酸」および「アジピン酸」は、それぞれ、本願発明1の「第1のフラックス」および「第2のフラックス」に相当し、本願発明1と同様に、「前記第1のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点未満であり、前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点以上かつ前記はんだ粒子の融点+50℃以下である」点で共通するといえる。
さらに、引用発明の「導電性接着剤」も、本願発明1と同様に、「導電材料」であるといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含み、」「前記第1のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点未満であり、前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点以上かつ前記はんだ粒子の融点+50℃以下である、導電材料」である点で共通しているといえる。
しかし、本願発明1では、はんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)が、30%以下であるのに対して、引用発明のはんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)が明らかでない点で一応相違する。
イ 引用発明において、「有機酸を含有する接着剤とはんだ粒子の割合は、有機酸を含有する接着剤が90wt%であり、はんだ粒子が10wt%であ」るとされている。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「導電材料100重量%中にはんだ粒子を70重量%以上で含む導電材料を除」くものである点で共通するといえる。
(2)一致点
本願発明1と、引用発明とは、以下の点で一致する。
「バインダーと、はんだ粒子と、第1のフラックスと、第2のフラックスとを含み、
前記第1のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点未満であり、
前記第2のフラックスの融点が、前記はんだ粒子の融点以上かつ前記はんだ粒子の融点+50℃以下である、導電材料(但し、導電材料100重量%中にはんだ粒子を70重量%以上で含む導電材料を除く)。」
(3)相違点
本願発明1と、引用発明とは、以下の点で相違する。
ア <相違点1>
本願発明1では、はんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)が、30%以下であるのに対して、引用発明のはんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)が明らかでない点。
イ <相違点2>
本願発明1では、第1のフラックスが、有機リン化合物であるのに対し、引用発明では、第1のフラックスが、有機リン化合物でない点。
(4)相違点について
事案に鑑みて、先ず、<相違点2>について検討する。
本願発明1の<相違点2>に係る、「第1のフラックスが、有機リン化合物であ」る構成は、引用文献1ないし3、および、引用文献Dには、いずれも、記載も示唆もなく、当該構成が本願の優先日前に周知の技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1の<相違点2>に係る、「第1のフラックスが、有機リン化合物であ」る構成は、引用発明、引用文献2、3、およびD記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
(5)小括
以上から、その他の<相違点1>について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用文献2、3、およびD記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
2 本願発明2ないし8
本願発明2ないし8は、いずれも、本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同じ構成を備えているから、上記1で述べたとおりの、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2、3、およびD記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
3 本願発明9および10
本願発明9および10は、いずれも、本願発明1の導電材料を用いた接続構造体の発明であり、本願発明1と同じ構成を備えているから、上記1で述べたとおりの、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2、3、およびD記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
4 本願発明11および12
本願発明11および12は、いずれも、本願発明1の導電材料を用いた接続構造体の製造方法の発明であり、本願発明1と同じ構成を備えているから、上記1で述べたとおりの、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2、3、およびD記載の技術事項に基づいて、当業者が想到し得たものではない。
第7 原査定についての判断
1 (新規性)
本件補正後の請求項1は、「前記第1のフラックスが、有機リン化合物であ」るとの技術的限定が付加されており、上記第6で述べたように、当該技術的限定は、引用文献Aに記載されていないから、新規性欠如の拒絶の理由は解消した。
2 (進歩性)
本件補正後の請求項1は、「前記第1のフラックスが、有機リン化合物であ」るとの技術的限定が付加されており、上記第6で述べたように、当該技術的限定は、引用文献Aないし引用文献Dには、記載も示唆もされておらず、本願の優先日前に周知の技術であったとも認められないから、進歩性欠如の拒絶の理由は解消した。
3 小括
以上から、原査定を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由についての判断
1 (新規性)
本件補正後の請求項1は、「前記第1のフラックスが、有機リン化合物であ」るとの技術的限定が付加されており、上記第6で述べたように、当該技術的限定は、引用文献1に記載されていないから、当審拒絶理由通知における新規性欠如の拒絶の理由は解消した。
2 (進歩性)
本件補正後の請求項1は、「前記第1のフラックスが、有機リン化合物であ」るとの技術的限定が付加されており、上記第6で述べたように、本願発明1ないし12は、いずれも、引用発明、引用文献2および3記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではないから、当審拒絶理由通知における進歩性欠如の拒絶の理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-007091