特許無効審判
2022-800076
幼児用サークル
- 審判番号
- 2022-800076
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2017-151898
- 登録番号
- 6914521
- 請求日
- 2022年08月24日
- 審決日
- 2024年09月17日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 カトージ
- 【請求人代理人】松原 等
- 【被請求人】株式会社 日本育児
- 【被請求人代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 尾崎 和寛
- 審判官 平城 俊雅
- 分類
- P1113.841-ZAA(A47D) / P1113.851-ZAA(A47D) / P1113.854-ZAA(A47D) / P1113.855-ZAA(A47D) / P1113.121-ZAA(A47D) / P1113.113-ZAA(A47D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第123条第1項第2号、特許法第29条第2項、特許法第30条第2項、特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第30条、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第2号、特許法第30条第1項、特許法第29条第1項、特許法第134条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6914521号幼児用サークルの特許無効審判事件について、審理の併合のうえ、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6914521号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり〔1~4〕について訂正することを認める。
特許第6914521号の請求項1~3に係る発明についての特許を無効とする。
特許第6914521号の請求項4に係る発明についての本件審判の請求を却下する。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6914521号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、株式会社日本育児(以下「被請求人」という。)を出願人として、平成29年8月4日になされ、令和3年7月16日にその特許権が設定登録された。
その後、本件特許の請求項1~4に係る発明について、株式会社カトージ(以下「請求人」という。)により、令和4年8月24日に特許無効審判の請求(無効2022-800076号、以下「76号事件」という。)がなされるとともに、令和4年8月25日に特許無効審判の請求(無効2022-800077号、以下「77号事件」という。)がなされた。
当審は、令和4年11月8日付け併合通知で両当事者に通知したとおり、76号事件と77号事件の審理を併合した。以後の経緯は以下のとおりである。
令和4年11月18日 被請求人より審判事件答弁書(76号事件)、
審判事件答弁書(77号事件)、訂正請求書(
76、77号事件)提出
令和5年 1月24日 請求人より審判事件弁駁書(76号事件)、審
判事件弁駁書(77号事件)提出
同年 4月28日付け 審理事項通知書
同年 6月13日 請求人より口頭審理陳述要領書(76号事件)
、口頭審理陳述要領書(77号事件)提出被請
求人より口頭審理陳述要領書(76号事件)、
口頭審理陳述要領書(77号事件)提出
同年 6月27日 口頭審理
同年 7月 3日付け 補正許否の決定
同年 7月27日 被請求人より審判事件答弁書(76号事件)提
出
同年 9月 6日 請求人より上申書(76号事件)、上申書(7
7号事件)提出
令和6年 3月29日付け 審決の予告
なお、被請求人は、上記審決の予告後、訂正の請求をせず、特段の応答もしなかった。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
被請求人が求める訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求めるものであり、その訂正事項は以下のとおりである(なお、下線部は訂正箇所である。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における
「各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている」との記載を、
「各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている」
を追加する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(4)一群の請求項
訂正前の請求項1~4について、請求項2~4は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、特許法134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
2 本件訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1における「各縦枠の下端部分を非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限」するという記載事項について、各縦枠の下端部分の外側への移動の制限が、「各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定」し、かつ、「各縦枠に対して取外しできるように構成されている」「接続テープ」によることを限定するものである。したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
また、訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の「底面シート60の正六角形の頂点にあたる部分は、接続テープ61を介して各縦枠10の下端部分に固定されている。なお、接続テープ61は、縦枠10に対して取外しできるように構成されている。そのため、底面シート60は縦枠10に対して取り外しすることができる。」(段落【0033】)、「各縦枠10の下端部分が非伸縮性の底面シート60によって接続されているため、各縦枠10の下端部分の外側への移動が制限される。」(段落【0034】)との記載に基づくものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。したがって、訂正事項1による訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1における「側面シート」及び「底面シート」が、「一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている」ことを限定するものである。したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
また、訂正事項2による訂正は、本件特許明細書等の「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されていてもよい。」(段落【0012】)との記載に基づくものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。したがって、訂正事項2による訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。また、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~4について無効審判の請求がされているので、訂正前の請求項1~4に係る訂正事項1~訂正事項3に関して、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
(5)請求人の主張について
請求人は、訂正事項1による訂正の「各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し・・・接続テープ」の部分は、本件特許明細書等に非伸縮性の底面シートが各縦枠の下端部分の外側への移動を制限することについての記載があるものの、接続テープが各縦枠の下端部分の外側への移動を制限することについての記載はなく、また、接続テープの材料や特性(特に非伸縮性か否か)についても記載はなく、その材料や特性をもって接続テープが各縦枠の下端部分の外側への移動を制限すると推認することもできないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正ではない旨を主張する(76号事件の弁駁書第2ページ第12行~第23行、77号事件の弁駁書第2ページ第12行~第26行)。
しかし、本件特許明細書等の段落【0033】~【0034】には、非伸縮性の底面シートの頂点にあたる部分が接続テープを介して各縦枠の下端部分に固定されることによって、下枠を有しないにもかかわらず、縦枠の下端部分が外側に移動せず全体の形状を維持することができることが記載されている。その際、上述のように接続テープが縦枠の下端部分と底面シートとの間に介在しているのであるから、接続テープにおいても各縦枠の下端部分の外側への移動を制限することは明らかである。よって、上記請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、訂正事項1による訂正の「各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープ」の部分は、底面シート及び側面シートを縦枠から取外して洗うことができ、幼児用サークルを清潔に保つことができるという新たな効果を奏するようになるから、発明を実質上別個の発明に変更するものである旨を主張する(76号事件の弁駁書第2ページ第24行~第3ページ第4行、77号事件の弁駁書第2ページ第27行~第3ページ第7行)。
しかし、請求人が主張する新たな効果は副次的なものに過ぎず、発明を別個の発明に変更するものとはいえないから、上記請求人の主張は採用できない。
(6)小括
以上によれば、訂正事項1~3による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定することを目的とするものであり、同法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明4」といい、「本件発明1~4」を総称して「本件発明」ともいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、
隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、
底面に位置する非伸縮性の底面シートと、を備え、
前記底面シートは平面視において多角形の形状を有しており、
各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、
各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え、
前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている、幼児用サークル。
【請求項2】
円形であって各縦枠を受ける複数の接地部材を更に備え、
各縦枠は前記接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定されている、
請求項1に記載の幼児用サークル。
【請求項3】
隣り合う縦枠を連結する第1連結部材及び第2連結部材を更に備え、
前記第1連結部材は、隣り合う縦枠のうち一方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦枠のうち他方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されており、
前記第2連結部材は、前記他方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されている、請求項1又は2に記載の幼児用サークル。
【請求項4】(削除)」
第4 76号事件について
1 請求人の主張の概要及び証拠方法
請求人は、「特許第6914521号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、甲第1号証~甲第7号証を添付した令和4年8月24日付けの審判請求書、甲第8号証~甲第11号証を添付した令和5年1月24日付けの審判事件弁駁書、甲第12号証~甲第18号証を添付した令和5年6月13日付けの口頭審理陳述要領書、及び、令和5年9月6日付けの上申書を提出し、以下の無効理由により、本件発明1~4に係る特許は無効とすべきものであると主張する。
この無効理由は、本件訂正によって生じた新たな無効理由であって、請求人が上記口頭審理陳述要領書において主張し、口頭審理で確認されたものであり、令和5年7月3日付けの補正許否の決定のとおり、補正を許可したものである。そして、上記第2に示したとおり、本件訂正が認められるところ、本件訂正後の発明についての無効理由は、第1回口頭審理調書に記載された以下のとおりのものである。(以下、第4では甲第1号証~甲第18号証をそれぞれ「甲1」~「甲18」という。)
(1)無効理由
ア 甲1を主引用例とする無効理由
(ア)本件発明1に対して
本件発明1は、甲1発明と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲1発明と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(イ)本件発明2に対して
本件発明2は、甲1発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲1発明と甲3に記載された事項と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(ウ)本件発明3に対して
本件発明3は、甲1発明と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲1発明と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
イ 甲2を主引用例とする無効理由
(ア)本件発明1に対して
本件発明1は、甲2発明と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲2発明と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(イ)本件発明2に対して
本件発明2は、甲2発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲2発明と甲3に記載された事項と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(ウ)本件発明3に対して
本件発明3は、甲2発明と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲2発明と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
ウ 甲5を主引用例とする無効理由
(ア)本件発明1に対して
本件発明1は、甲5発明と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲5発明と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(イ)本件発明2に対して
本件発明2は、甲5発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲5発明と甲3に記載された事項と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(ウ)本件発明3に対して
本件発明3は、甲5発明と甲4に記載された事項とに基いて、又は、甲5発明と周知事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(2)証拠方法
請求人が提出した甲1~甲18は、以下のとおりである。
甲1 :カタログ「KATOJI NEW COLLECTION 2005」表紙、目次、p.64-6
5、裏表紙
甲2 :動画共有サイトの広告動画ページ「Comfortable Outdoor Play
with the #Graco #Pack'n Play #Playard Sport」 https://
www.youtube.com/watch?v=pDADS7FmjHw
甲3 :特開2016-19676号公報
甲4 :米国特許出願公開第2004/0237191号明細書
甲5 :米国特許出願公開第2004/0261174号明細書
甲6 :米国特許出願公開第2008/0271244号明細書
甲7 :甲1の費用等が記載された請求人の2005年販促費リスト
甲8 :米国GRACO(グレコ)社製プレイヤードの各部材についての分
析実験報告書
甲9 :甲8の分析対象品の入手経路についての請求人の従業員による
陳述書
甲10 :甲9の別紙4の日本語版取扱説明書についての報告書
甲11 :特表2012-530557号公報
甲12 :本件特許に係る特許出願の審査で通知された拒絶理由通知書
甲13の1:プレスリリースページ https://www.atpress.ne.jp/news/134
510 スクリーンショット画像
甲13の2:プレスリリースページ印刷用ページ
甲13の3:プレスリリースページダウンロード画像
甲14 :アットプレスの運営会社を説明するページ https://www.atpr
ess.ne.jp/company/ スクリーンショット画像
甲15 :アットプレスの特長を説明するページ https://www.atpress.
ne.jp/service/ スクリーンショット画像
甲16 :「洗えるソフトベビーサークル プレミアム」についての確認
実験報告書(1)
甲17 :「ベビーザらス限定 ベビーサークル ミッキーマウス&フレ
ンズ」についての確認実験報告書(2)
甲18 :「ベビービョルン プレイヤード」についての確認実験報告書
(3)
なお、上記弁駁書における甲第8号証に基づき特許法第29条第1項第2号により新規性を欠き、また進歩性を欠くとの主張による請求の理由の補正は、審判請求書における証拠とは別の証拠である甲第8号証に基づき、審判請求書における理由とは異なる特許法第29条第1項第2号に基づく無効理由を追加する補正であり、請求の理由の要旨の変更を求めるものであるから、令和5年7月3日付けの補正許否の決定のとおり、許可しない。
2 被請求人の主張の概要及び証拠方法
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、乙第1号証を添付した令和4年11月18日付けの審判事件答弁書、乙第2号証~乙第3号証を添付した令和5年6月13日付けの口頭審理陳述要領書、及び、乙第4号証を添付した令和5年7月27日付けの審判事件答弁書を提出し、請求人の主張する上記無効理由は、いずれも理由がない旨主張する。(以下、第4では乙第1号証~乙第4号証をそれぞれ「乙1」~「乙4」という。)
被請求人が提出した乙1~乙4は、以下のとおりである。
乙1:「SGマーク製品を探す 乳幼児用品」 https://www.sg-mark.org/
product-cat/baby-and-kids-goods/
乙2:実公昭54-40279号公報
乙3:「ベビー 赤ちゃん マットレス 高反発 洗える 洗濯機 体圧分
散 通気性 マット 高反発マットレス Air Impact」 https://it
em.rakuten.co.jp/c-eternal/r-0029/?variantId=169470
乙4:「お子さまの誤飲事故を防ぐための、安全な「おもちゃ」の選び方」
https://www.toys.or.jp/st_jigyou_erabikata.html
3 各甲号証の記載事項等
(1)甲1
甲1は、カタログ「KATOJI NEW COLLECTION 2005」表紙、目次、p.64-65、裏表紙である。
ア 記載事項
(ア)
第65ページには、以下の説明文が記載されている。
「プレイヤード」、「六角形のサークル」、「大きな窓つき 窓がついているので、子供が出入りできます。」、「パッと折りたたみ、専用バッグに収納すればアウトドアのときにも簡単に持ち運ぶことができます。」
(イ)
第65ページの上部の画像は次のとおりである。
画像1
「
[図:0001417959000001.jpg]
」
イ 看取事項
(ア)
画像1から、環状に配置される上下方向に伸びる複数の棒状の部材(審判請求書で部材Aとされる部材。以下「縦棒」という。)が看取できる。また、画像1の特に上部中央の画像(商品番号の上の画像)から、環状に配置される縦棒は下方側より上方側が相互に近接していることが看取できる。
(イ)
画像1から、隣り合う縦棒を渡すように張られメッシュ材料からなる窓(審判請求書で部材B1とされる部材。以下「メッシュ窓」という。)を有し、側面に位置するシート部材(審判請求書で部材Bとされる部材。以下「側面シート」という。)が看取できる。
(ウ)
画像1の特に上部右から2番目の画像(「六角形のサークル」という記載の上の画像)から、底面に位置するシート状のシート部材(審判請求書で部材Cとされる部材。以下「底面シート」という。)であって、平面視において六角形の形状を有し、平らに広がっているものが看取できる。
(エ)
画像1から、各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分に接続する部材(審判請求書で部材Dとされる部材。以下「接続部材」という。)を介して固定されることが看取できる。
(オ)
画像1の下部右側の「ラクラク簡単に組み立てできます。」という記載の下の組み立て過程を示す画像から、プレイヤードが組み立てられるとき、側面シート及び底面シートは、折り畳み状態から、一体的に展開されること、及び、底面シートの六角形の頂点にあたる部分が、接続部材を介して縦棒の下端部分とともに広がって、プレイヤードとして使用可能な組立状態となることが看取できる。
(カ)
画像1から、縦棒の下端部を受け、接地する複数の部材(審判請求書で部材Gとされる部材。以下「受け部材」という。)であって、縦棒は当該受け部材のうち中心から外側にずれた部分に固定されることが看取できる。
(キ)
画像1から、隣り合う縦棒に連結される2つの棒状部材(審判請求書で部材E、Fとされる部材。以下「第1棒」、「第2棒」という。)が看取できる。また、画像1の特に「ラクラク簡単に組み立てできます。」という記載の組み立て過程を示す画像から、縦棒が展開されて縦棒間の距離が大きくなるにつれて、第1棒及び第2棒の下方側の端部は、縦棒に沿って上方に移動することが看取できる。さらに、第1棒及び第2棒の下方側の端部は、展開の途中も縦棒のほぼ同じ高さに位置すること、縦棒に沿って上方に移動するにつれて、第1棒及び第2棒と縦棒とがなす角度が徐々に大きくなること、展開の途中も、隣り合う縦棒は平行状態を維持し、第1棒及び第2棒の上方側の延長線と縦棒の延長線は、プレイヤード上部の六角形の角部付近で交わることが看取できる。
ウ 認定事項
(ア)
画像1の上部中央の画像(商品番号の上の画像)は、プレイヤードを見下ろす方向から撮影した画像であることが理解できるところ、上記看取事項(ア)のとおり、撮影者から近い上方側が下方側より相互に近接するような画像となっていることから、縦棒はそれぞれが内側に傾斜すると認められる。
(イ)
上記看取事項(オ)のとおり、側面シート及び底面シートは一体的に展開され、さらに記載事項(ア)のとおり、ぱっと折りたたむことができるのであるから、側面シート及び底面シートは、別体ではなく、一体に形成されていると認められる。
また、上記看取事項(ウ)及び(オ)から、縦棒が展開されるとともに、底面シートが接続部材に引っ張られて平面的に広がると認められる。
(ウ)
上記看取事項(キ)から、第1棒及び第2棒は、隣り合う縦棒の間隔を広げるためのリンク機構を構成しているものと理解でき、縦棒との配置関係を踏まえると、第1棒の上方側の一端は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒の上端に回動可能に接続され、下方側の他端は隣り合う縦棒のうち他方の縦棒に沿って移動可能に接続され、第2棒の上方側の一端は隣り合う縦棒のうち他方の縦棒の上端に回動可能に接続され、下方側の他端は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒に沿って移動可能に接続されると理解できる。
エ 甲1発明
上記ア~ウより、甲1には次の甲1発明が記載されていると認められる。
〔甲1発明〕
「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6本の縦棒と、
隣り合う縦棒を渡すように張られメッシュ窓を有する側面シートと、
底面に位置する底面シートと、を備え、
前記底面シートは、シート状の部材であって、平面視において六角形の形状を有しており、
各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分に接続部材を介して固定されるとともに、底面シートが接続部材に引っ張られて平面的に広がり、プレイヤードとして使用可能な組立状態であり、
前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されており、
縦棒の下端部を受け、接地する6個の受け部材を更に備え、
各縦棒は前記受け部材のうち中心から外側にずれた部分に固定されており、
隣り合う縦棒を連結する第1棒及び第2棒を更に備え、
第1棒は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒の上端に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦棒のうち他方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されており、
第2棒は前記他方の縦棒の上端に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されている、
プレイヤード。」
なお、被請求人は、「縦枠」が「内側に傾斜する」ことについて、令和4年11月18日の審判事件答弁書の「6(2)ア」において、次のように主張する。
本件発明1の縦枠は内側に傾斜するのに対し、甲1発明の部材Aは内側に傾斜しているか否か明らかでなく、甲4にも脚が内側に傾斜することの記載はない。
甲1発明の部材Aは、撮影方向や使用するカメラのレンズ等によって、内側に傾斜しているようにも見え、外側に傾斜しているようにも見えるため、甲1の写真だけでは、部材Aが内側に傾斜しているか否かは判定不能である。
上記主張について検討すると、上記ウ(ア)に示したとおり、甲1の上部中央の画像(商品番号の上の画像)は、プレイヤードを斜め上方から撮影した画像であるところ、上記イ(ア)の看取事項のとおり、撮影者から近い上端側が下端側より相互に近接するような画像となっていることから、縦棒はそれぞれが内側に傾斜すると認められる。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
(2)甲2
甲2は、動画共有サイトの広告動画ページである。
ア キャプチャ画像
請求人が提出した広告動画ページをキャプチャしたキャプチャ画像は以下のとおりである。
画像1
「
[図:0001417959000002.jpg]
」
画像2
「
[図:0001417959000003.jpg]
」
画像3
「
[図:0001417959000004.jpg]
」
画像4
「
[図:0001417959000005.jpg]
」
イ 看取事項
(ア)
上記画像1から、動画タイトルは「Comfortable Outdoor Play with the #Graco #Pack 'n Play #Playard Sport」であることが看取できる。また、上記画像1~画像4から、動画の概要欄に「2015/04/15」との表示があることが看取できる。
(イ)
再生開始後49秒~50秒の間の動画(以下、「○:○○~○:○○動画」のように記載する。)及び画像3から、環状に配置される上下方向に伸びる複数の棒状の部材(審判請求書で部材aとされる部材。以下「縦棒」という。)が看取できる。
また、環状に配置される縦棒は内側に傾斜していることが看取できる。
(ウ)
0:10~0:16動画で、画面右側から、折り畳まれた状態(画像1)のプレイヤードを抱えた女性が現れて、前方に投げ出す動作をする。プレイヤードは、かかる動作と同時に、折り畳み状態から展開して、底面に位置するシート状のシート部材(審判請求書で部材cとされる部材。以下「底面シート」という。)が接続部材に引っ張られて平面的に広がり、プレイヤードとして使用可能な組立状態(画像2~4)となる。女性が、この状態のプレイヤードを床に置くと、「SETS UP IN SECONDS」(「数秒で組立て」)の文字が画面に現れる。
また、0:50~0:55動画からも、底面シートが接続部材に引っ張られて平面的に広がっていることが看取できる。
(エ)
0:12~0:15動画及び画像1、画像3から、隣り合う縦棒に連結される2つの棒状部材(審判請求書で部材e、fとされる部材。以下「第1棒」、「第2棒」という。)であって、プレイヤードが折り畳み状態から展開されると、第1棒及び第2棒の下方側の端部は、縦棒に沿って上方に移動することが看取できる。また、第1棒及び第2棒の下方側の端部の縦棒に沿った移動は同時に行われ、縦棒に沿って上方に移動するにつれて、第1棒及び第2棒と縦棒とがなす角度が徐々に大きくなること、その際、隣り合う縦棒は平行状態を維持し、第1棒及び第2棒の上方側の延長線と縦棒の延長線は、常にプレイヤード上部の六角形の角部付近で交わることが看取できる。また、底面シートであって、平面視において六角形の形状を有するものが看取できる。
(オ)
0:26~0:33動画及び画像2から、隣り合う縦棒を渡すように張られメッシュ材料からなる窓(審判請求書で部材b1とされる部材。以下「メッシュ窓」という。)を有し、側面に位置するシート部材(審判請求書で部材bとされる部材。以下「側面シート」という。)が看取できる。
(カ)
0:54~1:07動画及び画像4から、側面シート及び底面シートが一体となっていることが看取できる。
(キ)
上記(イ)~(カ)の動画及び画像1~画像4から、各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分に接続する部材(審判請求書で部材dとされる部材。以下「接続部材」という。)を介して固定されることが看取できる。
また、縦棒の下端部を受け、接地する複数の部材(審判請求書で部材gとされる部材。以下「受け部材」という。)であって、縦棒は当該受け部材のうち中心から外側にずれた部分に固定されることが看取できる。
ウ 認定事項
(ア)
上記看取事項(ア)の「2015/04/15」との記載は、2015年4月15日の意味であるから、甲2発明は、遅くとも本件特許の出願日である2017年8月4日より前に利用可能となったと認められる。
(イ)
上記看取事項(イ)の0:49~0:50動画及び画像3では、プレイヤードを見下ろす方向から撮影していることが理解できるところ、撮影者から近い上端側より、撮影者から相対的に遠いにもかかわらず、下端側は内へすぼむことなく、むしろ外へ広がるように写っていることから、縦棒はそれぞれが内側に傾斜すると認められる。
(ウ)
上記看取事項(エ)から、第1棒及び第2棒は、隣り合う縦棒の間隔を広げるためのリンク機構を構成しているものと理解でき、縦棒との配置関係を踏まえると、第1棒の上方側の一端は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒の上端に回動可能に接続され、下方側の他端は隣り合う縦棒のうち他方の縦棒に沿って移動可能に接続され、第2棒の上方側の一端は隣り合う縦棒のうち他方の縦棒の上端に回動可能に接続され、下方側の他端は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒に沿って移動可能に接続されると理解できる。
そうすると、第1棒及び第2棒は、隣り合う縦棒を連結し、第1棒は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒の上端に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦棒のうち他方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されており、第2棒は前記他方の縦棒の上端に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されていると認められる。
エ 甲2発明
上記ア~ウより、甲2から次の甲2発明が利用可能となったと認められる。
〔甲2発明〕
「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6本の縦棒と、
隣り合う縦棒を渡すように張られメッシュ窓を有する側面シートと、
底面に位置する底面シートと、を備え、
前記底面シートは、シート状の部材であって、平面視において六角形の形状を有しており、
各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分に接続部材を介して固定されるとともに、底面シートが接続部材に引っ張られて平面的に広がり、プレイヤードとして使用可能な組立状態であり、
前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されており、
縦棒の下端部を受け、接地する6個の受け部材を更に備え、
各縦棒は前記受け部材のうち中心から外側にずれた部分に固定されており、
隣り合う縦棒を連結する第1棒及び第2棒を更に備え、
第1棒は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒の上端に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦棒のうち他方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されており、
第2棒は前記他方の縦棒の上端に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されている、
プレイヤード。」
(3)甲3
ア 記載事項
甲3には、図面とともに以下の記載がある(以下、下線は当審が付した。)。
(ア)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児の行動範囲を制限するために利用される幼児用サークルに関する。また、本発明は、この幼児用サークルに用いられるジョイントに関する。」
「【0017】
図1には、幼児用サークル1の全体構成が示されている。図1に示す幼児用サークル1は、幼児の行動範囲を制限するために利用される。典型的には、幼児用サークル1は、幼児を収容して、幼児を安全に遊ばせるための遊戯空間S1を提供する。図1に示すように、幼児用サークル1は、複数のパイプ11、21、31と、隣り合うパイプ11、21、31を連結するジョイント12、32と、を組み立てることで構成される。この構成によれば、幼児用サークル1を軽量に構成することができ、且つ、分解してコンパクトに収納することができる。」
「【0028】
次に、隣り合う2つの下パイプ31を連結する下ジョイント32について図7を参照して説明する。図7は、下ジョイント32の一例を示す斜視図である。図7に示すように、下ジョイント32は、一の下パイプ31を保持する下第1筒状部32aと、別の下パイプ31を保持する下第2筒状部32bと、縦パイプ21を保持する下第3筒状部32cと、を有している。下ジョイント32の各筒状部32a~32cは、軸線Y1~Y3に沿って延びている。典型的には、各軸線Y1~Y3は、対応する筒状部32a~32cの中心軸と一致する。」
「【0033】
また、図7に示すように、下ジョイント32は、下枠30によって囲まれる領域A2外に位置する載置プレート32dを有している。載置プレート32dは、下枠30によって囲まれる領域A2の外方から、下第1筒状部32a及び下第2筒状部32bに接続されている。図7に示す例では、載置プレート32dは、L字状の形状を有した平板状の部材にて構成されている。
【0034】
とりわけ、図9に示すように、載置プレート32dは、下第1筒状部32aの軸線Y1と下第2筒状部32bの軸線Y2とにより規定される平面P2に沿った底面32eを含んでいる。載置プレート32dの底面32eは、幼児用サークル1の設置状態において、接地面に必要に応じて当接して、幼児用サークル1を支える機能を発揮し得る。一例として、図9に示す断面において、底面32eの長さL5は、下第3筒状部32cの内径D3の1倍~2倍程度に設定される。」
「【0044】
ところで、直線状に延びる下第1筒状部32aの軸線Y1と、直線状に延びる下第2筒状部32bの軸線Y2と、により、2つの領域a1、a2が区分けされるとみなすことができる。この2つの領域a1、a2を図14に示す。すなわち、図14に示すように、下第1筒状部32aの軸線Y1と下第2筒状部32bの軸線Y2とが交わる交点をOとすると、交点Oから半直線状に延びる2つの線によって、一方の領域a1が区分けされ、当該一方の領域a1以外の領域が他方の領域a2とみなされ得る。図14から理解されるように、一方の領域a1は、下枠30によって囲まれる領域A2に対応し、他方の領域a2は、下枠30によって囲まれる領域A2以外の領域に対応する。上述のように、下第3筒状部32cの軸線Y3は、前記平面P2に直交する方向d1から、領域A2内に向かって傾いており(図9参照)、載置プレート32dは、下枠30によって囲まれる領域A2外に位置している。したがって、下第3筒状部32cの軸線Y3は、前記平面P2に直交する方向d1から、前記2つの領域a1、a2のうちの一方の領域a1内に向かって傾いており、載置プレート32dは、前記2つの領域a1、a2のうちの他方の領域a2に位置している、とみなすことができる。このような幼児用サークル1用のジョイント32によれば、第3筒状部32cに保持されるパイプ21を載置プレート32dとは反対側に向けて傾けることができる。したがって、ジョイント32を組み付けた幼児用サークル1内で動き回る幼児が、載置プレート32d側に向かって縦パイプ21を押す力を加えても、載置プレート32dがこの押された力を支えるように機能する。この結果、幼児用サークル1が転倒するおそれを低減することができる。」
(イ)
図1
「
[図:0001417959000006.jpg]
」
図7
「
[図:0001417959000007.jpg]
」
図9
「
[図:0001417959000008.jpg]
」
図14
「
[図:0001417959000009.jpg]
」
イ 看取事項
図1から、縦パイプ21は環状に立てた状態で配置されることが看取できる。
また、図7から、下第3筒上部32cは、下ジョイント32の中心から幼児用サークルの内側へずれた部分に存在していることが看取できる。
ウ 甲3に記載された技術的事項
上記ア~イから、甲3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
幼児を収容して、幼児を安全に遊ばせるための幼児用サークル1において、下ジョイント32は下第3筒状部32cと接地面に当接する載置プレート32dを含み、立てられた状態で配置される縦パイプ21を、下ジョイント32の中心から幼児用サークルの内側にずれた部分に存在する下第3筒状部32cに保持し、縦パイプ21を載置プレート32dとは反対側に向けて傾けることによって、幼児用サークル1内で動き回る幼児が、載置プレート32d側に向かって縦パイプ21を押す力を加えても、載置プレート32dがこの押された力を支えるように機能する技術。
(4)甲4
ア 記載事項
甲4には、図面とともに以下の記載がある。なお、仮訳は甲4に添付された請求人による訳文を基に当審が作成した。
(ア)
「[0033]
FIG. 1 illustrates a playard 10 including a collapsible frame structure 12 according to an exemplary embodiment of the invention. The playard 10 also a soft goods or fabric enclosure 14 mounted to and supported by the collapsible frame structure 12 . The present playard may be unfolded to encompass a relatively large area, yet still provides sufficient protection and containment for a child within the playard, as well as being relatively light weight and collapsible for storage. Thus, the playard provides a large play space while having a very compact fold. Also, the present playard is simple in construction and has fewer parts that require manual locking/unlocking than many conventional playards. The presently described playard has been designed with these considerations in mind.
(仮訳:[0033]
図1は、本発明の例示的な実施形態による折り畳み可能なフレーム構造12を含むプレイヤード10を例示している。プレイヤード10はまた、折り畳み可能なフレーム構造体12に取り付けられ、それによって支持されるソフトグッズ又は布製の囲い14を有する。本発明のプレイヤードは、比較的大きな領域を包含するように展開することができ、しかも、プレイヤード内の子供に十分な保護及び封じ込めを提供するとともに、比較的軽量で収納のために折り畳み可能である。したがって、本発明のプレイヤードは、非常にコンパクトな折り畳みを有しながら、広いプレイスペースを提供する。また、本発明のプレイヤードは、構造が単純であり、従来の多くのプレイヤードよりも手動ロック/ロック解除を必要とする部品が少ない。現在説明されているプレイヤードは、これらの考慮事項を念頭に置いて設計されている。)」
「[0035]
The enclosure 14 may be removed from the collapsible frame structure 12 and washed and cleaned. The enclosure 14 may contain a door or opening (not shown) to allow a child ingress into and egress out of the playard 10 . The enclosure 14 may also include a number of windows 16 , which are transparent or semitransparent, so that a child can see outside of the enclosure 14 through the windows 16 . The windows 16 may comprise, for example, cloth that is thin and porous enough to be transparent or semitransparent, plastic, webbing, or mesh.
(仮訳:[0035]
囲い14は、折り畳み可能なフレーム構造12から取り外され、洗浄及び清掃されることができる。囲い14は、子供がプレイヤード10に出入りできるように、ドア又は開口部(図示せず)を含んでいてもよい。囲い14はまた、子供が窓16を通して囲い14の外を見ることができるように、透明又は半透明である多数の窓1を含んでもよい。窓16は、例えば、透明または半透明であるほど薄く多孔質な布、プラスチック、ウェビング、またはメッシュから構成されてもよい。)」
「[0040]
The collapsible frame structure 12 may also include a plurality of feet 20 , where each foot 20 is attached to and supports a respective one of the legs 18. The feet 20 may comprise metal, such as steel or aluminum, or plastic.
・・・中略・・・
[0042]
The plurality of cross members 22 may be arranged in pairs, where each pair of cross members 22 extends between respective adjacent legs 18 . Each pair of cross members 22 may be arranged in an X-shape. In addition, each pair of cross members may be pivotally connected at pivots P so that, when the frame structure 12 is collapsed to the folded arrangement, the cross members 22 can pivot relative to each other.
[0043]
The collapsible frame structure 12 includes a plurality of pivot joints. The pivot joints function to allow the cross members 22 to pivot relative to the legs 18 . In this regard, the pivot joints may simply comprise pins to attach the cross members 22 to the legs 18 . Another exemplary pivot joint 24 is illustrated in FIGS. 2-4 and 17 . FIG. 4 is a bottom plan view of the pivot joint of FIG. 3. The pivot joints 24 are arranged on each leg 18 , such as on an upper end of the leg 18 . In this regard, leg 18 fits into recess 23 of the pivot joint 24 . Each of the pivot joints 24 is pivotably attached to at least one adjacent cross member 22 . That is, an end of a cross member 22 can be positioned within a recess 27 defined by adjacent walls 26 . The end of the cross member can be pivotally secured in the respective recess 27 by a pin (not shown) that passes through holes 25 in walls 26 and through the end of the cross member 22 .
[0044]
The collapsible frame structure 12 also includes a plurality of slider joints. The slider joints function to allow an end of a respective cross member to slide up or down a respective leg to allow the frame to be opened or collapsed. Exemplary slider joints include, for example, slider joints 30 , 40 as illustrated in FIGS. 1, 2, 5 , 6 , and 7 . FIGS. 5 and 6 illustrate a slider joint 30 for those joints not attached to a latch mechanism 32 (described below). FIGS. 5 and 6 illustrate the slider joint 30 with the bottom of the joint 30 facing upward. That is, when the slider joint 30 is mounted to a leg 18 , surface 32 of the joint 30 faces the foot 20 mounted to the leg 18 , as shown in FIG. 2. FIG. 7 illustrates a slider joint 40 for use in conjunction with a latch mechanism 32 (described below). Each cross member 22 may be mounted to respective adjacent legs by a slider joint 30 or 40 on a first of the respective adjacent legs 18 and by the pivot joint 24 on a second of the respective adjacent legs 18 . In configurations where the cross members 22 are arranged in pairs, each of the pivot joints 24 may be pivotably attached to two adjacent cross members 22 , such as shown in FIG. 2.
・・・中略・・・
[0046]
As explained above, the slider joints 30 , 40 may slide along respective legs 18 so as to move the cross members 22 , and hence the collapsible frame structure 12 , between the folded arrangement and the fully open arrangement. In this respect, referring to FIG. 2, each slider joint 30 , 40 may be configured to slide between a first position P 1 on its respective leg 18 corresponding to a folded arrangement of the collapsible frame structure 12 , and a second position P 2 on its respective leg corresponding to a fully open arrangement of the collapsible frame structure 12 . As the slider joints 30 , 40 slide along respective legs 18 toward the first and second positions P 1 , P 2 , respectively, they cause the cross members 22 to scissor close and open. As the cross members 22 scissor open, they expand the collapsible frame structure 12 substantially.
(仮訳:[0040]
折りたたみ可能なフレーム構造12は、複数の足20も含んでもよく、各足20は、脚18のそれぞれの1つに取り付けられ、支持される。足20は、鋼またはアルミニウムなどの金属、またはプラスチックから構成されてもよい。
・・・中略・・・
[0042]
複数のクロス部材22は、対で配置されてもよく、クロス部材22の各対は、それぞれの隣接する脚18の間に延在している。各対のクロス部材22は、X字形に配置されてもよい。さらに、フレーム構造12が折り畳まれた配置に折り畳まれたとき、クロス部材22が互いに対して枢動できるように、クロス部材の各対がピボットPで枢動可能に接続されてもよい。
[0043]
折り畳み可能なフレーム構造体12は、複数のピボットジョイントを含む。ピボットジョイントは、クロス部材22が脚18に対して相対的に枢動することを可能にするように機能する。この点で、ピボットジョイントは、クロス部材22を脚18に取り付けるためのピンから単に構成されてもよい。別の例示的なピボットジョイント24は、図2~4および図17に示されている・・・中略・・・ピボットジョイント24は、各脚18、例えば脚18の上端部に配置されている。・・・中略・・・ピボットジョイント24の各々は、少なくとも1つの隣接するクロス部材22に回動可能に取り付けられている。・・・中略・・・ [0044]
折り畳み可能なフレーム構造12は、複数のスライダジョイントも含む。スライダジョイントは、それぞれのクロス部材の端部がそれぞれの脚を上下にスライドして、フレームを開いたり折り畳んだりできるようにする機能を有する。例示的なスライダジョイントは、例えば、図1、2、5、6及び7に例示されるようなスライダジョイント30、40を含む。・・・中略・・・各クロス部材22は、それぞれの隣接する脚18の第1の脚18上でスライダジョイント30または40によって、およびそれぞれの隣接する脚18の第2の脚18の上でピボットジョイント24によって、それぞれの隣接する脚に取り付けられてもよい。クロス部材22が対で配置される構成では、ピボットジョイント24の各々は、図2に示すように、2つの隣接するクロス部材22に枢動可能に取り付けられてもよい。
・・・中略・・・
[0046]
上記で説明したように、スライダジョイント30、40は、クロス部材22、ひいては折り畳み可能なフレーム構造12を折り畳み配置と完全に開いた配置との間で動かすように、それぞれの脚18に沿ってスライドすることができる。この点で、図2を参照すると、各スライダジョイント30、40は、折り畳み可能なフレーム構造12の折り畳まれた配置に対応するそのそれぞれの脚18上の第1の位置P1と、折り畳み可能なフレーム構造12の完全に開いた配置に対応するそのそれぞれの脚の第2の位置P2の間でスライドするように構成されてもよい。スライダジョイント30、40がそれぞれの脚18に沿って第1及び第2の位置P1、P2に向かってスライドすると、クロス部材22をはさみで閉じたり開いたりするようにさせる。クロス部材22がはさみ開くと、それらは、折り畳み可能なフレーム構造12を実質的に拡張させる。)」
(イ)
図1
「
[図:0001417959000010.jpg]
」
図2
「
[図:0001417959000011.jpg]
」
イ 認定事項
(ア)
段落[0033]の「プレイヤード内の子供に十分な保護及び封じ込めを提供する」という記載、段落[0035]の「囲い14は、子供がプレイヤード10に出入りできるように、ドア又は開口部(図示せず)を含んでいてもよい。」という記載及び図1から、ドア又は開口部以外は子供を封じ込められる構造となっていると認められる。
(イ)
段落[0042]~[0044]、[0046]の記載及び図1、図2から、隣接する脚18の間にX字形に配置されるクロス部材を備え、各クロス部材は、隣接する脚18の一方の脚18上にスライダジョイントによって、他方の脚18の上端部にピボットジョイントによって、それぞれ隣接する脚18に取り付けられ、スライダジョイントがそれぞれの脚18に沿ってスライドすると、はさみが閉じたり開いたりするようにクロス部材が開閉し、折り畳み可能なフレーム構造12を折り畳み配置と完全に開いた配置との間で動かすことができると認められる。
ウ 甲4に記載された技術的事項
上記ア~イから、甲4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
子供に十分な保護及び封じ込めを提供するプレイヤードにおいて、囲いをフレーム構造から取り外して洗浄及び清掃可能とする技術。
(5)甲5
ア 記載事項
甲5には、図面とともに以下の記載がある。なお、仮訳は甲5に添付された請求人による訳文を基に当審が作成した。
(ア)
「[0002]
This invention relates to a child containment structure. More specifically, this invention relates to a child containment structure with a ventilation panel to allow passage of air between an interior of the containment structure and an exterior of the containment structure along the child sleeping surface.
[0003]
Child containment structures, such as cribs, bassinets, and playards, provide a safe environment in which a child can rest and/or play. Adequate air circulation along the child sleeping surface is desirable to promote safe and comfortable sleeping. There is a need in the art for an improved child containment structure to promote the passage of air across the child sleeping surface.
(仮訳:[0002]本発明は、子供収容構造に関する。より具体的には、本発明は、子供の寝床面に沿って収容構造体の内部と収容構造体の外部との間の空気の通過を可能にするための換気パネルを備えた子供収容構造体に関するものである。
[0003]ベビーベッド、バシネット、及びプレイヤードなどの子供収容構造物は、子供が休息及び/又は遊ぶことができる安全な環境を提供する。安全で快適な睡眠を促進するために、子供の睡眠表面に沿った十分な空気循環が望まれる。当技術分野では、子供用睡眠面を横切る空気の通過を促進するための改良された子供用収容構造に対する必要性が存在する。)」
「[0030]
FIGS. 6-7 show a playard 400 that includes a frame 402 (a representative frame leg is labeled in FIG. 6), a floor 410 , and a sidewall 420 having side panels 422 and ventilation panels 424 . An exemplary frame 402 for playard 400 is described in co-pending application Ser. No. 10/446,132, filed May 28, 2003, which is incorporated by reference herein in its entirety. The sidewall 420 is connected to the floor 410 and defines a unitary structure with the floor 410 . Adjacent side panels 422 form corners 426 , and ventilation panels 424 are located at each corner 426 between the adjacent side panels 422 and the floor 410 . The ventilation panels 424 permit air flow between an interior of the playard 400 and an exterior of the playard along the sleeping (or playing) surface of the playard 400 . The sleeping surface can be provided by an upper surface of a mattress pad (not shown) placed on the floor 410 or by the floor 410 itself. If the playard 400 is used outdoors, the ventilation panels 424 also serve as a drainage site for any water that enters an interior of the playard 400 . In this regard, the floor 410 can be formed of a water-resistant material, and it can be slightly raised at its center so that any water captured in the interior of the playard 400 flows toward the corner ventilation panels 424 .
[0031]
The side panels 422 themselves can be formed of mesh, nylon, a combination of mesh and nylon, as seen in FIGS. 5-6, or any other suitable material. The presence of the ventilation panels 424 enables use of more versatile materials for the side panels 422 . For example, the side panels 422 can be formed of a heavier, sturdier, and/or air-restricting material to guard against rough surfaces, wind, water, and sun.
[0032]
The playard 400 also can include flaps 428 positioned on the exterior of the sidewall 420 to cover each corner ventilation panel 424. These flaps 428 can serve to keep sand or small debris from blowing into the interior of the playard 400 through the corner ventilation panels 424. Although FIG.6 illustrates one flap 428 rotated up relative to the floor of the playard 400, the flaps 428 extend downward from their connection points to the sidewall 420. In addition, the flaps 428 can be secured to the feet of the respective frame legs by straps, for example, straps of webbing as shown in FIG.6 (see rightmost and leftmost flaps), to maintain the flaps 428 slightly spaced from the corner ventilation panels 424, thereby promoting air flow through the panels 424.
(仮訳:[0030]
図6~7は、フレーム402(代表的なフレーム脚が図6にラベル付けされている)、床410、及びサイドパネル422と換気パネル424を有する側壁420を含むプレイヤード400を示す。プレイヤード400のための例示的なフレーム402は、2003年5月28日に出願された共同出願Ser.第10/446,132号(当審注:甲4)に記載されており、その全体が引用により本明細書に組み込まれるものとする。
側壁420は、床410に接続され、床410と一体構造を画定している。隣接するサイドパネル422は、コーナー426を形成し、換気パネル424は、隣接するサイドパネル422と床410との間の各コーナー426に配置される。換気パネル424は、プレイヤード400の眠ったり(又は遊んだり)する面に沿ってプレイヤード400の内部とプレイヤードの外部との間の空気流を可能にする。寝床面は、床410上に置かれたマットレスパッド(図示せず)の上面によって、又は床410自体によって提供され得る。プレイヤード400が屋外で使用される場合、換気パネル424は、プレイヤード400の内部に侵入するあらゆる水の排水部位としても機能する。この点で、床410は耐水性材料で形成することができ、プレイヤード400の内部に取り込まれた水が隅の換気パネル424に向かって流れるように、その中央部をわずかに隆起させることが可能である。
[0031]
サイドパネル422自体は、図5~6に見られるように、メッシュ、ナイロン、メッシュとナイロンの組合せ、又は他の任意の適切な材料で形成することができる。換気パネル424の存在により、サイドパネル422に対してより汎用性の高い材料を使用することができる。例えば、サイドパネル422は、粗い表面、風、水、及び太陽からガードするために、より重い、より頑丈な、及び/又は空気を制限する材料で形成することができる。
[0032]
プレイヤード400はまた、各コーナー換気パネル424を覆うためにサイドウォール420の外側に配置されたフラップ428を含むことができる。これらのフラップ428は、砂又は小さな破片がコーナー換気パネル424を通ってプレイヤード400の内部に吹き込むのを防ぐ役割を果たすことができる。図6は、プレイヤード400の床に対して回転した1つのフラップ428を図示しているが、フラップ428は、側壁420への接続点から下方に延在している。さらに、フラップ428は、フラップ428をコーナー換気パネル424からわずかに間隔を空けて維持し、それによってパネル424を通る空気の流れを促進するために、ストラップ、例えば、図6に示すようなウェビングのストラップによってそれぞれのフレーム脚部に固定できる(一番右と一番左のフラップを参照されたい)。」
(イ)
図6
「
[図:0001417959000012.jpg]
」
図7
「
[図:0001417959000013.jpg]
」
イ 看取事項
(ア)
図6から、フレーム402の複数のフレーム脚は環状に配置され、床410は平面視において六角形の形状を有することが看取できる。また、各フレーム脚の下端部分は、床410の六角形の頂点にあたる部分の近傍に存在することが看取できる。
(イ)
図6から、各フレーム脚の下端部分は、略円形状の足の上面中心近傍に接続することが看取できる。
(ウ)
図6から、隣接するフレーム脚の間にX字形に配置される対の棒状部材であって、その下端部はフレーム脚の中間部に固定され、上端部は下端部が固定されるフレーム脚と隣接するフレーム脚の上部に向けて斜め上方に延在する棒状部材が看取できる。
ウ 認定事項
段落[0031]の「サイドパネル422自体は、図5~6に見られるように、メッシュ、ナイロン、メッシュとナイロンの組合せ、又は他の任意の適切な材料で形成することができる。」という記載と、図6~図7とから、側壁420は、隣り合うフレーム脚を渡すように張られ、サイドパネル422はメッシュからなる部分とナイロンからなる部分との組合せで形成されるシート状部材であると認められる。
エ 甲5発明
上記ア~ウより、甲5には次の甲5発明が記載されていると認められる。
〔甲5発明〕
「フレーム脚、床410、及びサイドパネル422と換気パネル424を有する側壁420を含むプレイヤード400であって、
複数のフレーム脚は環状に配置され、
側壁420は隣り合うフレーム脚を渡すように張られ、サイドパネル422はメッシュからなる部分とナイロンからなる部分との組合せでシート状に形成され、
床410は平面視において六角形の形状を有しており、
各フレーム脚の下端部分は床410の六角形の頂点にあたる部分の近傍に存在し、
側壁420は、床410に接続され、床410と一体構造を画定しており、
各フレーム脚は略円形状の足の上面中心近傍に取り付けられ、
隣接するフレーム脚の間にX字形に配置される棒状部材を備える、プレイヤード400。」
(6)甲6
ア 記載事項
甲6には、図面とともに以下の記載がある。なお、仮訳は甲6に添付された請求人による訳文を基に当審が作成した。
(ア)
「[0001]
The invention relates to a child's bed of the kind that is seen in the preamble of the appended claim 1.
(仮訳:[0001]本発明は、添付の請求項1の前文に見られるような種類の子供用ベッドに関するものである。)」
「[0017]
The frame 10 carries a bed structure of a flexible material shaped in the form of a sack 20. The sack has a bottom 23, which rests on the floor/the ground, and side walls 21, which extend up to the frame 10 and are connected to the same. The walls 21 usually comprise a lower part 21A of opaque fabric and an upper part 21B of a transparent material, for instance a net material. The upper verge part of the sack 20 is folded over from the inside outwards, the folded-over verge part being connected to the upper part of the wall 21 by fastening members, for instance zippers 24 along the respective side of the frame 10. The folded-over portion of the sack also extends around the corners of the frame, while the fastening elements 24 do not extend around the frame corners.
(仮訳:[0017]フレーム10は、袋20の形に成形された可撓性材料のベッド構造を担持している。袋は、床/地面上に載る底部23と、フレーム10まで延びてこれに接続される側壁21とを有する。側壁21は、通常、不透明な布の下部21aと、透明な材料、例えばネット材料の上部21bとからなる。袋20の上縁部分は内側から外側に折り返されており、折り返された縁部分は、フレーム10のそれぞれの側面に沿って締結部材、例えばファスナー24によって側壁21の上部に接続される。また、袋の折り返し部分はフレームの角の周囲にも延びており、一方、締結部材24はフレームの角の周囲には延びていない。)」
「[0021]
From FIGS. 1 and 2, it can be understood that the free end part 131 of the leg 13 is connected to the respective adjacent bottom corner 27 of the sack by a connecting element 70, for instance in the form of a flexible band.
(仮訳:[0021]図1及び図2から、脚部13の自由端部131は、例えば可撓性バンドの形態の連結要素70によって袋のそれぞれの隣接する底部角部27に連結されていることが理解されよう。)」
(イ)
図1
「
[図:0001417959000014.jpg]
」
図2
「
[図:0001417959000015.jpg]
」
イ 甲6に記載された技術的事項
上記アから、甲6には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
床/地面上に載る底部23とフレーム10まで延びてこれに接続される側壁21とを有する袋20を備える子供用ベッドにおいて、脚部13の自由端部131は、可撓性バンドの形態の連結要素70によって、袋20のそれぞれの隣接する底部角部27に連結されている技術。
(7)甲8
甲8は、米国GRACO(グレコ)社製プレイヤードの各部材についての分析実験報告書である。
ア 対象製品について
(ア)
甲8の分析実験の対象となった製品の入手経緯について、甲9には以下の記載がある。
「本書末尾添付の別紙1に示しますように、私は、先月、いわゆるフリマアプリである「mercari(メルカリ)」のサイトで、上記本件公然実施品である「GRACOプレイヤード」が、岩手県の出品者「グリーン」さんから、税込・送料込み1万円で出品されているのを見つけ、落札いたしました。
別紙1の3/4頁の「コメント」欄に記載されている「シン」というのが、私です。
この別紙1の3/4頁には「商品の説明」も書かれていますが、ここに「商品をご覧いただきありがとうございます。GRACOプレイヤードになります。1枚の写真にあるのが全てになります。」と記載されているとおり、私が購入した上記商品の内容物は、2/4頁の拡大写真(1/4頁の8枚の写真のうちの一番左側の写真)に展示されているものが全てです。
すなわち、商品本体とその収納袋に加え、当時、弊社がこれらとセットで同封添付していた、米国GRACO(グレコ)社製の英文取扱説明書(本書末尾添付の別紙2)、同社製の「IMPORTANT!」と題する不具合連絡先案内文書(本書末尾添付の別紙3)、及び弊社が独自に作成した日本語版取扱説明書(本書末尾添付の別紙4)も全てそのまま保存された状態で購入できました。
上記別紙2の英文取扱説明書の1頁目右下には、「(c)(当審注:コピーライトマーク)2004 Graco ISPPO34C 05/04」の記載がありますので、米国において、当該商品が、2004年(平成16年)5月には上市されていた事実が分かります。
また、上記別紙4の日本語版取扱説明書の1頁目右上には、「04.10-01」の記載がありますので、弊社において、上記英文取扱説明書を基に、同じ年(2004年)の10月には、上記日本語版取扱説明書を作成し、当該商品の日本での取扱を開始した事実も分かります。(なお、「-01」というのは、(10月)1日作成ということではなく、バージョン1という意味です。)
以上から、今般弊社がメルカリで入手しました上記「米国GRACO(グレコ)社製プレイヤード」の現物が、2005年(平成17年)に配布した弊社カタログ「KATOJI NEW COLLECTION 2005」(甲第1号証)に掲載されている商品と同一で、上記被請求人特許が出願された2017年8月4日よりも前に、市場に流通していたことは明らかだと思います。」(甲9の第2ページ第1行~第3ページ第5行)
(イ)
甲9の別紙1の2枚目(2/4ページ)には、次の画像がある。
「
[図:0001417959000016.jpg]
」
甲9の別紙2の1枚目には、次の画像がある。
「
[図:0001417959000017.jpg]
」
甲9の別紙4の1枚目には、次の画像がある。
「
[図:0001417959000018.jpg]
」
(ウ)
別紙2及び別紙4は、それぞれ英文取扱説明書及び日本語版取扱説明書と認められる。そして、別紙1の上記画像の製品右下に写っているのは、その色彩やレイアウトが、別紙2の上記画像の右側部分、別紙4の上記画像の上側部分と一致しており、別紙2の英文取扱説明書及び別紙4の日本語版取扱説明書は、甲8の分析実験の対象となった製品とともに購入された内容物であると認められる。そして、別紙2の英文取扱説明書の1頁目右下には、「2004 Graco ISPPO34C 05/04」と記載されており、冒頭の「2004」は2004年の意味と認められる。別紙4の日本語版取扱説明書の1頁目右上には、「04.10-01」という文字が看取でき、冒頭の「04」は2004年の意味と解することもできる。
そうすると、甲8の分析実験の対象となった製品は、2004年中には上市され、遅くとも本件特許の出願日である2017年8月4日より前に製造され、販売されていたと認められる。
イ 甲8の記載事項
(ア)
「(1)全体について
写真1は、本件公然実施品の全体を撮影したものであり、部材に符号A-Gを付した。
写真2は、本件公然実施品の(部材B、部材C及び部材Dを部材Aから外して現れた)骨格を撮影したものであり、部材に符号A,E-Gを付した。」(第1ページ下から第8行~第5行)
写真1
「
[図:0001417959000019.jpg]
」
写真2
「
[図:0001417959000020.jpg]
」
(イ)
「(2)部材Aについて
6本の部材Aが、上記写真1、2のとおり環状に配置され、次の写真4のとおりそれぞれ真横から見て内側に傾斜している。
さらに、6本の部材Aについて、iPhoneアプリ「70Degree:スマートプロトラクター」を用いて、写真5~10のとおり、プレイヤード内側に向かって傾斜する鉛直方向角度を測定した。当該アプリでは直立の場合に「90°」と表示されるが、当該写真のとおり測定結果は、3本の部材Aが85°で、他の3本の部材Aが84°であった。」(第3ページ第1行~最終行)
写真4
「
[図:0001417959000021.jpg]
」
写真5~10
「
[図:0001417959000022.jpg]
[図:0001417959000023.jpg]
」
(ウ)
「(3)部材Bについて
部材Bは、写真1,4~10のとおり隣り合う部材Aを渡すように張られ、メッシュ状の部材B1を有している。」(第4ページ第2行~同ページ第3行)」
(エ)
「(5)部材Dについて
部材Dは、写真11,12のとおり各部材Aの下端部分を部材Cの六角形の頂点にあたる部分に固定しており(部材Dが各縦枠の下端部分の外側への移動を制限することについては後述する)、かつ、写真13のとおり各部材Aに対して(ネジを外して)取外しできるように構成されている。」(第4ページ下から第2行~第5ページ第1行)
写真11、12
「
[図:0001417959000024.jpg]
」
写真13
「
[図:0001417959000025.jpg]
」
(オ)
「(6)部材Cの非伸縮性について
部材Cの非伸縮性を確認するため、写真14~19のとおり部材Cの対角線上の一端を(部材D,Aを介して)机の脚に固定し、他端を(部材Aに対して取外した部材Dとクランプ及びプッシュプルゲージを介して)人力で引張り、部材Cの対角線上の二箇所に間隔302mmをおいて貼り付けた緑色シール(写真14,15)の当該間隔の変化を測定する、実験を行った。
プッシュプルゲージに各引張力が示された時の当該間隔は、次のとおりであった。
0N時:間隔302mm(写真14,15)
30N時:間隔304mm(写真16)
60N時:間隔304mm(写真17)
90N時:間隔305mm(写真18)
120N時:間隔305mm(写真19)
0N(無負荷)→30Nでの間隔の拡大分2mmは、0N時にあった部材Cのシワ(写真14,15)が30Nで引っ張られて平らになったことが主原因と考えられることと、30→120Nでの間隔の拡大分1mmは誤差程度の差異しかなく実質上拡大していないことから、部材C自体は実質的に伸びていないと考えられる。よって、部材Cは「非伸縮性」であるといえる。」(第7ページ第1行~同ページ第10行)
写真14
「
[図:0001417959000026.jpg]
」
(カ)
「(8)部材B及び部材Cの一体性と部材Aに対する取外し性について
部材B及び部材Cは、写真21,22のとおり一体に形成されている。
また、写真13のとおり部材Dを部材Aから取り外し、写真23,24のとおり部材Bを部材Aから取り外すことによって、部材B及び部材Cは、写真1,2間の変化のとおり各部材Aに対して取外し可能に構成されている。」(第8ページ第1行~第5行)
写真21、22
「
[図:0001417959000027.jpg]
」
写真23、24
「
[図:0001417959000028.jpg]
」
(キ)
「(9)部材Gについて
部材Gは、写真1,11,12,13のとおり変形した円形(縁の内側に小さい半円を連ねた形)であって部材Aを受けている。」(第8ページ下から第2行~第9ページ第2行)
ウ 認定事項
(ア)
写真1、2から、部材Aは上下方向に延びる棒状の部材(以下「縦棒」という。)であることが認められる。また、写真1、4~10、21、22から、メッシュ状の部材B1は窓状の部材であり、部材B1(以下「メッシュ窓」という。)を有する部材Bは、側面に位置するシート部材(以下「側面シート」という。)であることが認められる。
そして、記載事項(イ)~(ウ)及び写真1、4~10から、側面シート(部材B)が張られる縦棒(部材A)は、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜するものと認められる。
(イ)
写真1、14、21~22から、部材Cは底面に位置するシート状の部材(以下「底面シート」という。)であることが認められる。そして、記載事項(オ)から、シート状の底面シート(部材C)は、非伸縮性であると認められる。
(ウ)
写真11~12から、部材Dは片状の部材であり、縦棒(部材A)の下端部分は部材Dを介して底面シート(部材C)と接続するものであることが認められる。このことと、記載事項(エ)から、当該部材Dは、各縦棒(部材A)の下端部分と底面シート(部材C)の六角形の頂点にあたる部分に接続する部材(以下「接続部材」という。)であると認められる。
(エ)
写真11~13から、接続部材(部材D)は部材Gに対してねじ止めされ、部材Gは縦棒(部材A)の下端部分に固定されることが看取できる。また、記載事項(エ)及び写真11~13から、接続部材(部材D)は、受け部材(部材G)とのねじを外すことによって、縦棒(部材A)から取り外しできるものと認められる。
(オ)
記載事項(カ)及び写真21~23から、側面シート(部材B)及び底面シート(部材C)は一体に形成され、縦棒(部材A)に対して取り外し可能であると認められる。
エ 甲8に基づく技術的事項
上記アから、分析対象となった製品は、プレイヤードであり、本件特許の出願前に製造、販売されたものと認められる。そうすると、甲8から、次の技術的事項が本件特許の出願前に知られたものと認められる。
プレイヤードにおいて、
底面シート(部材C)は非伸縮性のシート状部材であり、
各縦棒(部材A)の下端部分を非伸縮性の底面シート(部材C)の六角形の頂点にあたる部分に接続して固定する接続部材(部材D)は、縦棒の下端部を受ける受け部材(部材G)とのねじを外すことによって、縦棒(部材A)から取り外しでき、
側面シート(部材B)及び底面シート(部材C)が一体に形成され、縦棒(部材A)に対して取外し可能とする技術。
(8)甲16
甲16は、有限会社花岡商店が販売した商品名「洗えるソフトベビーサークル プレミアム」の中古品についての確認実験報告書である。
ア 記載事項
(ア)
「花岡商店中古品は、上記写真及び取扱説明書のとおり、底面と側面とからなるネットを有し、底面の6箇所のパイプ通しにパイプを通し、パイプ端部をジョイントに差し込んで6角形の下枠を形成する構造であった。底面は1枚の織布で構成されており(以下「底面織布」)、その色柄は表面と裏面で異なっていた。
底面織布の非伸縮性を確認するため、次の実験方法の写真のとおり、底面織布の対角線上の(下枠にかかっていない)一端部を机の脚に固定し、(下枠にかかっていない)他端部をプッシュプルゲージを介して人力により30N~120Nの引張力で引張り、底面織布の対角線上の二箇所に間隔300mmをおいて貼り付けた緑色シールの当該間隔の変化を測定する実験を行った。」(第5ページ第10行~同ページ第17行)
(イ)
「プッシュプルゲージに各引張力が示された時の当該間隔は、次のとおりであった。
0N時:間隔300mm
30N時:間隔300mm
60N時:間隔302mm
90N時:間隔304mm
120N時:間隔304mm
この結果から、底面織布は非伸縮性であるといえる。」(第7ページ第1行~同ページ最終行)
(ウ)
「【全体】
[図:0001417959000029.jpg]
」
(第1ページ)
(エ)
「【底面の表面】
[図:0001417959000030.jpg]
」
(第2ページ)
(オ)
「【貼付されたラベル】
[図:0001417959000031.jpg]
」
(第2ページ)
(カ)
「【添付された取扱説明書の表面】
[図:0001417959000032.jpg]
」
(第3ページ)
(キ)
「【添付された取扱説明書の裏面】
[図:0001417959000033.jpg]
」
(第5ページ)
(ク)
「【実験方法】
[図:0001417959000034.jpg]
」
(第5ページ)
イ 認定事項
(ア)
上記記載事項(カ)示す取扱説明書の裏面には「2016.10」という記載が、上記記載事項(エ)に示す貼付されたラベルには「15102016」という記載が、それぞれ看取できる。
当該「2016.10」との記載は、2016年10月と解するのが自然であり、「15102016」は2016年10月15日と解することもできるから、甲16の確認実験の対象となった製品である「洗えるソフトベビーサークル プレミアム」は、遅くとも本件特許の出願日である2017年8月4日より前に製造され、販売されたと認められる。
(イ)
【全体】の画像から、確認実験の対象となった製品は、側面部及び底面部を備えるものであり、【底面の表面】の画像から、底面部と側面部は接続されて一体となっていることが看取できる。底面部と側面部が一体となっていることは、上記記載事項(オ)に示す取扱説明書の表面の左欄下部の「セット内容」に「ネット 1個」という記載があることからも裏付けられる。
そして、上記記載事項(カ)に示す取扱説明書の裏面には、左欄上部に「1.ネットの底面の6カ所のパイプ通し部分にパイプを通す。」、「3.ネットの上側の6カ所のパイプ通し部分にパイプを通す。」、右欄中部に「ネットの洗濯について」という記載が看取でき、底面部と側面部が一体となっているネットは、パイプから取り外して洗濯可能であると認められる。
(ウ)
確認実験の対象となった製品の底面部は、【全体の写真】、【実験方法】の画像から、シート状の部材であると認められ、上記記載事項(イ)から、非伸縮性であると認められる。
ウ 甲16に基づく技術的事項
確認実験の対象となった製品はベビーサークルであり、上記認定事項(ア)から、本件特許の出願前に製造、販売されたもの認められる。そうすると、甲16から、次の技術的事項が本件特許の出願前に知られたものと認められる。
ベビーサークルにおいて、底面部は非伸縮性のシート状部材であり、側面部及び底面部を有するネットは一体に形成され、パイプから取外して洗濯可能である技術。
(9)甲17
甲17は、日本トイザらス株式会社が販売した商品名「ベビーザらス限定 ベビーサークル ミッキーマウス&フレンズ」の中古品についての確認実験報告書である。
ア 記載事項
(ア)
「トイザらス中古品は、上記写真のとおり、底面と側面とからなるシートを有し、底面の6箇所のパイプ通しにパイプを通し、パイプ端部をジョイントに差し込んで6角形の下枠を形成する構造であった。底面は1枚の織布で構成されており(以下「底面織布」)、その色柄は表面と裏面で異なっていた。
底面織布の非伸縮性を確認するため、次の実験方法の写真のとおり、底面織布の対角線上の(下枠にかかっていない)一端部を机の脚に固定し、(下枠にかかっていない)他端部をプッシュプルゲージを介して人力により30N~120Nの引張力で引張り、底面織布の対角線上の二箇所に間隔300mmをおいて貼り付けた緑色シールの当該間隔の変化を測定する実験を行った。」(第3ページ第2行~同ページ第9行)
(イ)
「プッシュプルゲージに各引張力が示された時の当該間隔は、次のとおりであった。
0N時:間隔300mm
30N時:間隔301mm
60N時:間隔303mm
90N時:間隔304mm
120N時:間隔304mm
この結果から、底面織布は非伸縮性であるといえる。」(第4ページ第1行~同ページ最終行)
(ウ)
「【全体】
[図:0001417959000035.jpg]
」
(第1ページ)
(エ)
「【底面の表面】
[図:0001417959000036.jpg]
」
(第2ページ)
(オ)
「【貼付されたラベル】
[図:0001417959000037.jpg]
」
(第2ページ)
(カ)
「【実験方法】
[図:0001417959000038.jpg]
」
(第3ページ)
イ 認定事項
(ア)
上記記載事項(オ)に示す貼付されたラベルには「12042016」という記載が看取できる。
当該「12042016」という記載は、甲16の認定事項(ア)で説示したことに照らせば、2016年4月12日と解することができ、甲17の確認実験の対象となった製品である「ベビーザらス限定 ベビーサークル ミッキーマウス&フレンズ」の中古品は、遅くとも本件特許の出願日である2017年8月4日より前に製造され、販売されたと認められる。
(イ)
上記記載事項(ア)の記載及び【全体】の画像から、確認実験の対象となった製品は、底面部と側面部とからなるシート及びパイプを有するものであり、【底面の表面】の画像から、底面部と側面部のシートは接続されて一体となっていることが看取できる。
そして、上記記載事項(オ)に示す貼付されたラベルには、「・無蛍光の洗剤をご使用ください。・漂白剤を使用しないでください。・タンブラー乾燥を避け、形を整えてすぐに干してください。」という記載が看取でき、当該シートは洗濯可能であると認められる。また、「タンブラー乾燥を避け、形を整えてすぐに干してください。」との記載を踏まえると、洗濯の際、シートをパイプから取り外すものと認められる。
上記記載事項(ア)及び(イ)の記載及び上記看取事項(エ)から、確認実験の対象となった製品において、底面織布は非伸縮性のシート状部材であると認められる。
(ウ)
確認実験の対象となった製品の底面部は、【全体の写真】、【実験方法の写真】から、シート状の部材と認められ、上記記載事項(イ)から、非伸縮性であると認められる。
エ 甲17に基づく技術的事項
甲17の確認実験対象となった製品はベビーサークルであり、上記認定事項(ア)から、本件特許の出願前に製造、販売されたものと認められる。そうすると、甲17から、次の技術的事項が本件特許の出願前に知られたものと認められる。
ベビーサークルにおいて、底面部は非伸縮性のシート状部材であり、底面と側面とからなるシートは一体に形成され、パイプから取外して洗濯可能である技術。
(10)甲18
甲18は、ベビービョルン社が販売した「ベビービョルン プレイヤード」の中古品についての確認実験報告書である。
ア 記載事項
(ア)
「【全体】
但し、黒く見える底面織布の上に、付属品の白く見える専用マットレスを載せた状態
[図:0001417959000039.jpg]
」
(第1ページ)
(イ)
「【底面の表面】
付属品の専用マットレスを載せない状態
[図:0001417959000040.jpg]
」
(第2ページ)
「【底面の裏面】
[図:0001417959000041.jpg]
」
(第2ページ)
(ウ)
「
[図:0001417959000042.jpg]
」
(第3ページ)
(エ)
「4.底面シートの構成と非伸縮性について」
ベビービョルン中古品は、上記写真のとおり、下枠がない構造であり、底面は黒く見える一枚の織布で構成されていた(以下「底面織布」)。
底面織布の非伸縮性を確認するため、次の実験方法の写真のとおり、底面織布の対角線上の一端部を机の脚に固定し、他端部をプッシュプルゲージを介して人力により30N~120Nの引張力で引張り、底面織布の対辺上の二箇所に間隔300mmをおいて貼り付けた緑色シールの当該間隔の変化を測定する実験を行った。」(第4ページ第6行~同ページ最終行)
(オ)
「プッシュプルゲージに各引張力が示された時の当該間隔は、次のとおりであった。
0N時:間隔300mm
30N時:間隔303mm
60N時:間隔305mm
90N時:間隔305mm
120N時:間隔305mm
この結果から、底面シートは非伸縮性であるといえる。」(第6ページ第1行~同ページ第7行)
(カ)
「【実験方法】
[図:0001417959000043.jpg]
」
(第5ページ)
(キ)
「5.接続バンド、底面織布等の取外し性について
本書冒頭の全体写真のとおり、各フレームの下端部分を上記非伸縮性の底面織布の四角形の頂点にあたる部分に固定して各フレームの外側への移動を制限する接続バンドがあった。接続バンドは、手で強く引いても伸びない、非伸縮性のものであった。
接続バンドは、次の写真(当審注:下記(ク)の写真。)のとおり、各フレームに対して(キャップ状のものを抜くことで)取外しできるように構成されていた。
また、上記【底面の表面】、【底面の裏面】の写真のとおり、側面メッシュ及び底面織布は一体に形成されていた。
また、次の写真(当審注:下記(ケ)の写真。)のとおり、側面メッシュ及び底面織布は、フレームに対して(ジッパーを開いて)取外し可能に構成されていた。
底面織布には、「表地ポリエステル」、「液温は40℃を限度とし、洗濯機で弱い洗濯ができる」の記載を含むいわゆる洗濯ラベルが縫い付けられており、側面メッシュ及び底面織布を洗濯するために上記取り外しができるようになっているものと理解された。」(第6ページ第8行~第7ページ第7行)
(ク)
「【接続バンドの取外し前】
[図:0001417959000044.jpg]
」
(第6ページ)
「【接続バンドの取外し途中】
[図:0001417959000045.jpg]
」
(第6ページ)
「【接続バンドの取外し後】
[図:0001417959000046.jpg]
」
(第6ページ)
(ケ)
「【側面メッシュの取外し後】
[図:0001417959000047.jpg]
」
(第7ページ)
(コ)
「【洗濯ラベル】
[図:0001417959000048.jpg]
」
(第7ページ)
イ 認定事項
(ア)
上記記載事項(ウ)に示す画像の右下に「Amazon.co.jp での取り扱い開始日2014/11/13」という記載が看取でき、これは2014年11月13日に取り扱いを開始したということであるから、確認実験の対象となった「ベビービョルン プレイヤード」の中古品は、遅くとも本件特許の出願日である2017年8月4日より前に製造され、販売されたと認められる。
(イ)
【全体】の画像から、確認実験の対象となった製品は、4本の上下方向に延びる部材(以下、「縦棒」という。)と、側面メッシュを有し、側面メッシュが縦棒の間に張られていると認められる。
また、【全体】、【底面の表面】、【実験方法】の画像から、確認対象となった製品は、側面メッシュ及び底面部を有するものと認められる。また、【底面の表面】、【底面の裏面】の画像、上記記載事項(キ)から、側面メッシュと底面部は一体に形成されていると認められる。
(ウ)
底面部は、【底面の表面】、【底面の裏面】、【実験方法】の画像から、シート状の部材と認められ、上記記載事項(エ)、(オ)から、非伸縮性であると認められる。
(エ)
【全体】、【実験方法】の画像から、各縦棒の下端部分を底面部の四角形の頂点に当たる部分に接続して固定するバンド状の部材(以下「接続バンド」という。)が看取でき、上記記載事項(キ)及び【接続バンドの取外し後】、【側面メッシュの取外し後】の画像から、各縦棒の下端部分を底面部の四角形の頂点にあたる部分に接続して固定する接続バンドは各縦棒に対して取外し可能であり、側面メッシュ及び底面部はフレームに対して取外して洗濯できると認められる。
エ 甲18に基づく技術的事項
甲18の確認実験対象となった製品はベビーサークルであり、上記認定事項(ア)から、本件特許の出願前に製造、販売されたものと認められる。そうすると、上記ア~イから、甲18から、次の技術的事項が本件特許の出願前に知られたものと認められる。
ベビーサークルにおいて、
側面メッシュが張られる複数の縦棒を有し、
底面部は非伸縮性のシート状部材であり、
各縦棒の下端部分を非伸縮性の底面部の四角形の頂点にあたる部分に固定する接続バンドは各縦棒に対して取外しでき、
側面メッシュ及び底面部は一体に形成されるとともにフレームに対して取外して洗濯可能とする技術。
4 乙2の記載事項等
(1)記載事項
ア
「本考案は乳幼児がサークル内で就寝したり、飛び跳ねて遊べるようにしたベビーサークルに関し、以下その詳細を図面の実施例について説明する。」(第1ページ第1欄第24行~同欄第26行)
「3は上端3aが前記保持枠1に取付けられ上方が開放した伸縮及び折り畳み自在な籠状ネツトである。」(第1ページ第1欄第29行~同欄第30行)
「前記ネツト3は四方を囲んで支柱2、2間に吊設される前後及び左右の側網3b、3b、3c、3cとその底部の底網3dとで一体に連成され、籠状に形成される。」(第1ページ第2欄第1行~同欄第4行)
「9はネツト3内に取外し自在に載置されるマツトレスである。」(第1ページ第2欄第20行~同欄第22行)
イ
第1図
「
[図:0001417959000049.jpg]
」
(2)乙2に記載された技術的事項
上記(1)から、乙2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
ベビーサークルにおいて、支柱2、2間に吊設され、内部にマットレスを取外し自在に載置する側網及び底網が一体に形成された伸縮及び折りたたみ自在な籠状ネットの技術。
5 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 甲2を主引用例とする無効理由
(ア)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
a
後者の「縦棒」は、前者の「縦枠」に相当し、以下同様に、後者の「メッシュ窓」は前者の「メッシュ部」に、後者の「側面シート」は前者の「側面シート」に、それぞれ相当する。そうすると、後者の「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦棒」は前者の「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠」に相当し、後者の「隣り合う縦棒を渡すように張られメッシュ窓を有する側面シート」は前者の「隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シート」に相当する。
b
後者の「底面に位置する底面シート」は、前者の「底面に位置する非伸縮性の底面シート」と、「底面に位置する底面シート」である点で共通する。
c
後者の「前記底面シートは、シート状の部材であって、平面視において六角形の形状を有」する構成は、前者の「前記底面シートは平面視において多角形の形状を有」する構成に相当する。
d
後者の「各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分に接続部材を介して固定されるとともに、底面シートが接続部材に引っ張られて平面的に広がり、プレイヤードとして使用可能な組立状態であ」る構成について検討する。
後者の「各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分」に「固定される」構成は、前者の「各縦枠の下端部分」が「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」る構成に相当する。
そして、後者においては、底面シートが平面的に広がり、使用可能な組立状態であるプレイヤードの各縦棒の下端部分が、底面シートの六角形の頂点にあたる部分に固定されていることで、各縦棒の下端部分の外側への移動が制限されるから、後者の「各縦棒の下端部分は底面シートの六角形の頂点にあたる部分に接続部材を介して固定されるとともに、底面シートが接続部材に引っ張られて平面的に広がり、プレイヤードとして使用可能な組立状態であ」る構成は、前者の「各縦枠の下端部分は」「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限されており」、及び「各縦枠の下端部分を」「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し」の構成に相当する。
また、後者の「接続部材」は、前者の「接続テープ」と、「接続部材」である点で共通する。
e
後者の「プレイヤード」は、その用途からみて、前者の「幼児用サークル」に相当する。
f
上記a~eより、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点1Aで一致し、相違点1A~2Aで相違する。
<一致点1A>
「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、
隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、
底面に位置する底面シートと、を備え、
前記底面シートは平面視において多角形の形状を有しており、
各縦枠の下端部分は前記底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、
各縦枠の下端部分を前記底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限する接続部材を備え、
前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されている、幼児用サークル。」
<相違点1A>
本件発明1では、「底面シート」が「非伸縮性」であるのに対し、甲2発明では、「底面シート」が非伸縮性であるか否か特定されていない点。
<相違点2A>
「接続部材」に関し、
本件発明1では、「接続テープ」が「各縦枠に対して取外しできるように構成され」ており、「前記側面シート及び前記底面シートが」「各縦枠に対して取外し可能に構成されている」のに対し、
甲2発明では、「接続部材」が各縦棒に対して取外しできるか否か特定されておらず、「側面前記側面シート及び前記底面シート」が各縦棒に対して取外し可能に構成されているか否か特定されていない点。
(イ)判断
a 技術常識及び周知事項について
(a)本件技術常識
幼児が中に入って活動することを前提とするプレイヤードやベビーサークルにおいて、底面に位置するシート状の部材が非伸縮性の部材であることは、例えば、甲8、16~18に示されるように、技術常識(以下「本件技術常識」という。)である。
(b)本件周知事項
プレイヤードやベビーサークルの技術分野において、シートを洗濯するために、フレームからシートを取り外し可能とすることは、例えば、甲4、16~18に示されるように周知の事項(以下「本件周知事項」という。)である。
b 相違点1Aについて
甲2発明はプレイヤードであって、幼児が中に入って活動することを前提とする製品であり、甲2発明の底面シートはシート状の部材であるから、本件技術常識に照らせば、甲2発明の底面シートは「非伸縮性」であると認められる。
したがって、相違点1Aは実質的な相違点ではない。
c 相違点2Aについて
(a)周知事項を適用することによる容易想到性について
本件周知事項のとおり、プレイヤードやベビーサークルの技術分野において、フレームからシートを取り外して洗濯可能にすることは周知事項である。
甲2発明は、幼児が中に入って活動することを前提とするプレイヤードであるから、シートを洗濯するという課題が内在しているといえ、甲2発明に本件周知事項を適用する動機があるといえる。そして、甲2発明に本件周知事項を適用し、甲2発明の側面シート及び底面シートを各縦棒に対して取り外し可能なものとすれば、接続部材も各縦棒に対して取外しできるようになることは必然であり、そのような接続部材として慣用手段の「接続テープ」を採用することも当業者が容易になし得た程度のことである。
(b)甲4に記載された事項を適用することによる容易想到性について
甲4には、上記3(4)ウに示すとおり、子供に十分な保護及び封じ込めを提供するプレイヤードにおいて、囲いをフレーム構造から取り外して洗浄及び清掃可能とする技術が記載されている。
甲2発明と甲4に記載された事項とは、ともにプレイヤードの技術分野に属し、甲2発明は、幼児が中に入って活動することを前提とするプレイヤードであるから、シートを洗濯するという課題が内在しているといえ、甲2発明に甲4に記載された事項を適用する動機があるといえる。そして、甲2発明に甲4に記載された事項を適用し、甲2発明の側面シート及び底面シートを各縦棒に対して取り外し可能なものとすれば、接続部材も各縦棒に対して取外しできるようになることは必然であり、そのような接続部材として慣用手段の「接続テープ」を採用することも当業者が容易になし得た程度のことである。
d 被請求人の主張について
(a)
被請求人は、相違点1Aについて、令和5年6月13日の口頭審理陳述要領書の「5 5-2(1)」において、甲3の底布材41はメッシュ状であって伸縮性があり、乙2の底網3dはネット状であって伸縮性があることから、幼児用サークルにおける底面シートが非伸縮性であることは技術常識ではない旨主張する。
また、令和4年11月18日の審判事件答弁書の「6(2)イ」においては、相違点1Aに関連して、次のように主張する。
例えば、甲3の底面に位置する底布材41はメッシュ状であり伸縮性を有すると考えられることからも、幼児が足を取られないように底面シートを非伸縮性とすることは幼児用サークルにおける技術常識とはいえず、また、底面シートが伸縮性であれば幼児の足が取られ、非伸縮性であれば足がとられないとする技術的根拠は明らかでない。そして、本件発明1では、縦枠の下端部分が外側に広がろうとする際に、これを防止し幼児用サークル全体の形状を保っために底面シートが非伸縮性であることが求められているのであって、幼児が足をとられるのを防ぐためではない。
上記主張について検討する。
底面シートが非伸縮性であることは技術常識ではないことの根拠として、被請求人が挙げる甲3の底布材41及び乙2の底網3dは、いずれも底面に位置する部材がメッシュ状又はネット状である。メッシュ状又はネット状の場合には伸縮性を有するとしても、甲2発明のように底面に位置する部材がシート状である場合であっても伸縮性を有することを示すものではない。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
(b)
被請求人は、令和4年11月18日の審判事件答弁書の「6(2)ウ」において、次のように主張する。なお、被請求人の主張は甲1発明に対するものであるが、甲2発明についても同様の主張をするものと解されるので、以下では、甲2発明に対する主張としている。
甲2発明の接続部材は、縦棒の下端部分の外側への移動を制限しているか否か明らかでない点で相違する。甲2発明の接続部材が縦棒の下端部分の外側への移動を制限するか否かは、縦棒、底面シート、接続部材の材質や位置関係等に依存するところ、それらが不明である。むしろ接続部材は素早く組み立て折りたためるように、各部材を連動させるものに過ぎない。
上記主張について検討する。
上記(ア)dで対比したように、各縦棒の下端部分がシート状の底面シートに接続部材を介して固定される構成は、これによって各縦棒の下端部分が外側へ移動しようとしても、底面シート及び接続部材によって下端部分の外側への移動が制限されることは明らかである。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
(c)
被請求人は、相違点2Aについて、令和5年7月27日の審判事件答弁書の「6(1)オ~カ」、「6(2)イ~ウ」において、概ね次のように主張する。
甲4には本件発明1の接続テープに対応する部材が存在しないから、甲2発明に甲4発明を適用し、甲2発明の側面シート及び底面シートを縦棒に対して取外し可能としても、接続部材が省略されるため、本件発明1に至らない。
また、甲8の部材Dはタッピングねじによって部材Gに固定され、甲8の部材Bは、内から外に折り返した部分が部材Aにねじ止めされており、部材B及び部材Cを部材Aから切り離すには、上記タッピングねじ及びねじ止めを外す必要があり、使用者が使用時に行う作業の範囲を超えている。甲18はフレームに対してキャップ状のフットプラグが取り外せるようにしたもので、甲2発明に適用すると部材Gが取り付けられたままとなり、部材B及び部材Cを洗濯機等で洗うことができない。したがって、甲8、18を根拠に、側面シート及び底面シートが縦枠に対して取外しできることは周知技術ではない。
また、令和4年11月18日の審判事件答弁書の「6(2)オ」において、相違点2Aに関連して、次のように主張する。
本件発明1は、接続テープは各縦枠に対して取外しでき、側面シート及び底面シートは各縦枠に対して取外し可能に構成されているため、底面シート及び側面シートを縦枠から取外して洗うことができ、幼児用サークルを清潔に保つことができるという作用効果を奏する。これに対し、甲2発明は、接続部材は縦棒に対して取外しできず、側面シート及び底面シートは縦棒に対して取外しできないため、上述の本件発明1の作用効果を奏しない。
上記主張について検討する。
被請求人は、甲4には本件発明1の接続テープに対応する部材が存在しないから、甲2発明に甲4発明を適用し、甲2発明の側面シート及び底面シートを縦棒に対して取外し可能としても、接続部材が省略されるため、本件発明1に至らないと主張する。
しかし、側面シート及び底面シートを取り外すためには、それらを縦枠等に取り付けている箇所を取り外せば良いのであって、甲2発明のように接続部材がある場合において、接続部材を省略することが必須であるとはいえない。
被請求人は、甲8、18を根拠に、側面シート及び底面シートが縦枠に対して取外しできることは周知技術ではないと主張する。
しかし、甲18のみならず、甲4、甲16、甲17にも、フレームに対してシートを取り外すことが示されているから、上記a(b)のとおり、シートを洗濯するために、フレームからシートを取り外し可能とすることは周知の技術であると認められる。
被請求人は、本件発明1は、接続テープと側面シート及び底面シートとは各縦枠に対して取外し可能に構成されているため、底面シート及び側面シートを縦枠から取外して洗うことができ、幼児用サークルを清潔に保つことができるという作用効果を奏するが、甲2発明は、接続部材と側面シート及び底面シートとは縦棒に対して取外しできないため幼児用サークルを清潔に保つことができるという作用効果を奏しないと主張する。
しかし、上記cに示すとおり、内部で幼児が活動するプレイヤードは、これを清潔に保つために洗濯するという課題を内在するとともに、シートを洗濯するために、フレームからシートを取り外し可能とすることは周知の事項(本件周知事項)であるから、被請求人の主張する作用効果は当業者の予測の範囲内のものであって格別なものとはいえない。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
e 小括
本件発明1は、甲2発明と本件周知事項とに基いて、又は、甲2発明と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲1を主引用例とする無効理由
甲1発明は、甲2発明と同じである。
したがって、本件発明1と甲1発明とを対比すると、一致点1Aで一致し、相違点1A及び相違点2Aで相違する。
そして、上記ア(イ)と同様の判断により、本件発明1は、甲1発明と本件周知事項とに基いて、又は、甲1発明と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 甲5を主引用例とする無効理由
(ア)対比
本件発明1と甲5発明とを対比する。
a
後者の「フレーム脚」は、その機能からみて、前者の「縦枠」に相当する。そうすると、後者の「複数のフレーム脚は環状に配置され」る構成は、前者の「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠」と、「環状に配置される複数の縦枠」である点で共通する。
b
後者の「側壁420」は「サイドパネル422」を有し、「サイドパネル422」は「メッシュからなる部分とナイロンからなる部分との組合せでシート状に形成」される。したがって、後者の「サイドパネル422と換気パネル424を有する側壁420」及び「側壁420は隣り合うフレーム脚を渡すように張られ、サイドパネル422はメッシュからなる部分とナイロンからなる部分との組合せでシート状に形成され」る構成は、前者の「隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シート」に相当する。
c
後者の「床410」は、前者の「底面に位置する非伸縮性の底面シート」と「底面に位置する底面シート」である点で共通する。
そして、「底面シート」が、後者の「平面視において六角形の形状を有」する構成は、前者の「前記底面シートは平面視において多角形の形状を有」する構成と、「前記底面シートは平面視において多角形の形状を有」する構成において共通し、後者の「側壁420は、床410に接続され、床410と一体構造を確定」する構成は、前者の「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成」される構成と、「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成」される構成において共通する。
d
後者の「プレイヤード400」は、その用途からみて、前者の「幼児用サークル」に相当する。
e
上記a~dより、本件発明1と甲5発明とは、以下の一致点1Cで一致し、相違点1C~3Cで相違する。
<一致点1C>
「環状に配置される複数の縦枠と、
隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、
底面に位置する底面部材と、を備え、
前記底面部材は平面視において多角形の形状を有しており、
前記側面シート及び前記底面部材が一体に形成されている、幼児用サークル。」
<相違点1C>
本件発明1では、複数の縦枠の「それぞれが内側に傾斜する」のに対し、甲5発明では、フレーム脚のそれぞれが内側に傾斜するか否か特定されていない点。
<相違点2C>
「底面部材」が、
本件発明1では「非伸縮性の底面シート」であるのに対し、
甲5発明では「床410」が非伸縮性のシートか否か特定されない点。
<相違点3C>
本件発明1は、「各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限」する「接続テープを備え」るのに対し、
甲5発明は、「各フレーム脚の下端部分は床410の六角形の頂点にあたる部分の近傍に存在」するものの、各フレーム脚の下端部分の外側への移動が制限されることについて特定されていない点。
<相違点4C>
本件発明1では、「各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え」、「前記側面シート及び前記底面シートが」「各縦枠に対して取外し可能に構成され」るのに対し、
甲5発明では、上記「接続テープ」に相当する構成を備えておらず、このため「側壁420」及び「床410」が、当該構成を備えることにより「各フレーム脚に対して取外し可能に構成されているものでもない点。
(イ)判断
a 相違点3Cについて
事案に鑑み、相違点3Cについて先に検討する。
甲5発明は、段落[0002]~[0003]に記載されるように、安全で快適な睡眠を促進するために、収容構造体の内部と収容構造体の外部との間の空気の通過を可能にするための換気パネルを備えることを課題とするものであり、当該課題の解決のため、側壁420は換気パネル424を有する。そして、段落[0032]の記載から、フラップ428は、砂又は小さな破片がコーナー換気パネル424を通ってプレイヤード400の内部に吹き込むのを防ぐ役割を果たすもので、フラップ428は、フラップ428をコーナー換気パネル424からわずかに間隔を空けて維持し、それによってパネル424を通る空気の流れを促進するために、ストラップ、例えば、図6に示すようなウェビングのストラップによってそれぞれのフレーム脚部に固定できるようになっている。
しかしながら、当該フラップ428及びストラップは、コーナー換気パネル424を空気が通れるようにフレーム脚に取り付けられているに過ぎず、床410の六角形の頂点とフレーム脚を接続して、フレーム脚が外側へ移動することを制限するものではなく、また、そのような制限を行うことを想定したものでもない。また、その他、甲5には、各フレーム脚の下端部分の外側への移動を制限すべきとする記載も示唆も見いだせない。
そうすると、甲5発明においては、床410とフレーム脚を接続して、フレーム脚の外側への移動を制限することは想定されておらず、また、そのように構成する動機付けも見いだせないから、本件周知事項又は甲4に記載された事項若しくは甲8、甲18に記載された技術事項(接続部材を各縦枠に対して取外し可能とすること)を考慮しても、上記相違点3Cに係る本件発明1の発明特定事項とすることは容易に想到できたものとはいえない。
b 小括
上記aのとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明と周知事項とに基いて、又は、甲5発明と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2について
ア 甲2を主引用例とする無効理由
(ア)対比
本件発明2と甲2発明とを対比する。
a
後者の「受け部材」は、縦棒の下端部を受け、接地するものであるから、前者の「接地部材」に相当する。
そうすると、後者の「各縦棒は前記受け部材のうち中心から外側にずれた部分に固定され」る構成は、前者の「円形であって各縦枠を受ける複数の接地部材を更に備え、各縦枠は前記接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定されている」構成と、「各縦枠を受ける複数の接地部材を更に備え」る構成において共通する。
b
上記aより、本件発明2と甲2発明とは、一致点1Aで一致し、相違点1A~2Aで相違することに加え、以下の一致点2Aで一致し、相違点3Aで相違する。
<一致点2A>
「各縦枠を受ける複数の接地部材を更に備える、幼児用サークル。」
<相違点3A>
本件発明2では、「接地部材」は「円形であって」、「各縦枠は前記接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定されている」のに対し、
甲2発明では、「受け部材」は「楕円状であって」、「各縦棒は前記受け部材のうち中心から外側にずれた部分に固定され」る点。
(イ)判断
相違点3Aについて検討する。
甲3には、上記3(3)ウに示したとおり、幼児を収容して、幼児を安全に遊ばせるための幼児用サークル1において、下ジョイント32は下第3筒状部32cと接地面に当接する載置プレート32dを含み、立てられた状態で配置される縦パイプ21を、下ジョイント32の中心から幼児用サークルの内側にずれた部分に存在する下第3筒状部32cに保持し、縦パイプ21を載置プレート32dとは反対側に向けて傾けることによって、幼児用サークル1内で動き回る幼児が、載置プレート32d側に向かって縦パイプ21を押す力を加えても、載置プレート32dがこの押された力を支えるように機能する技術的事項が記載されている。
本件発明2と甲3に記載された事項とを対比する。
後者の「幼児用サークル」は前者の「幼児用サークル」に相当し、以下同様に、「縦パイプ21」は「縦枠」に、「下ジョイント32」は接地面に当接する載置プレート32dを含むから「接地部材」に、それぞれ相当する。
また、後者の「縦パイプ21を、下ジョイント32の中心から幼児用サークルの内側にずれた部分に存在する下第3筒状部32cに保持」する構成は、前者の「各縦枠は前記接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定され」る構成に相当し、同様に、「縦パイプ21を載置プレート32dとは反対側に向けて傾ける」構成は、「縦枠」を「内側に傾斜」させる構成に相当する。
そうすると、甲3に記載された事項は、本件発明2の用語を用いると、
「幼児を収容して、幼児を安全に遊ばせるための幼児用サークルにおいて、立てられた状態で配置される縦枠は、接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定され、縦枠を内側に傾斜させる技術」と表現できる。
甲2発明と甲3に記載された事項とは、内部で幼児が遊ぶためのプレイヤードや幼児用サークルとして、技術分野が共通しており、また、甲2発明の受け部材と甲3に記載された事項の下ジョイント32とは、内側に傾斜する縦枠を受けつつ接地するという機能の点で共通するから、甲2発明の受け部材に甲3に記載された事項を適用することに困難性は見いだせない。また、受け部材の形状を円形とすることは設計的事項である。そうすると甲2発明において、相違点4Aに係る本件発明2の構成とすることは、甲3に記載された事項を適用し、かつ、上記の設計変更を行うことにより、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本件発明2は、甲2発明と甲3に記載された事項と本件周知事項とに基いて、又は、甲2発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲1を主引用例とする無効理由
甲1発明は、甲2発明と同じである。
したがって、本件発明2と甲1発明とを対比すると、一致点1A及び一致点2Aで一致し、相違点1A~3Aで相違する。
そして、上記ア(イ)と同様の判断により、本件発明2は、甲1発明と甲3に記載された事項と本件周知事項とに基いて、又は、甲1発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 甲5を主引用例とする無効理由
本件発明2は本件発明1の発明特定事項を全て含むから、本件発明2と甲5発明とを対比すると、少なくとも相違点3Cが存在する。そして、上記(1)ウ(イ)と同様の判断により、本件発明2は、甲5発明と甲3に記載された事項と周知事項とに基いて、又は、甲5発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明3について
ア 甲2を主引用例とする無効理由
(ア)対比
本件発明3と甲2発明とを対比する。
a
後者の「第1棒」は前者の「第1連結部材」に相当し、同様に、「第2棒」は「第2連結部材」に相当する。
そうすると、後者の「第1棒は隣り合う縦棒のうち一方の縦棒の上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦棒のうち他方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されており、第2棒は前記他方の縦棒の上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦棒に他端が上下移動可能に接続されている」構成は、前者の「前記第1連結部材は、隣り合う縦枠のうち一方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦枠のうち他方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されており、前記第2連結部材は、前記他方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されている」構成に相当する。
b
上記aより、本件発明3と甲2発明とは、一致点1A及び一致点2Aで一致し、相違点1A~3Aで相違することに加え、以下の一致点3Aにおいて一致し、新たな相違点はない。
<一致点3A>
「隣り合う縦枠を連結する第1連結部材及び第2連結部材を更に備え、
前記第1連結部材は、隣り合う縦枠のうち一方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦枠のうち他方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されており、
前記第2連結部材は、前記他方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されている、幼児用サークル。」
相違点1A~3Aについては、上記(1)ア(イ)、(2)ア(イ)で判断したとおりである。
したがって、本件発明3は、甲2発明と甲3に記載された事項と本件周知事項とに基いて、又は、甲1発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲1を主引用例とする無効理由
甲1発明は、甲2発明と同じである。
したがって、本件発明3と甲1発明とを対比すると、一致点1A~3Aで一致し、相違点1A~3Aで相違する。
そして、上記アと同様の判断により、本件発明3は、甲1発明と甲3に記載された事項と本件周知事項とに基いて、又は、甲1発明と甲3に記載された事項と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 甲5を主引用例とする無効理由
本件発明3は本件発明1の発明特定事項を全て含むから、本件発明3と甲5発明とを対比すると、少なくとも相違点3Cが存在する。そして、上記(1)ウ(イ)のとおり、本件発明3は、甲5発明と周知事項とに基いて、又は、甲5発明と甲4に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
6 小括
以上のとおりであるから、請求人の主張する甲1又は甲2を主引用例とする無効理由及び提出された証拠方法によって、本件発明1~3についての特許は無効とすべきである。
第5 77号事件について
1 請求人の主張の概要及び証拠方法
請求人は、「特許第6914521号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、甲第1号証~甲第3号証を添付した令和4年8月25日付けの審判請求書、令和5年1月24日付けの審判事件弁駁書、甲第4号証~甲第17号証を添付した令和5年6月13日付けの口頭審理陳述要領書、及び、令和5年9月6日付け上申書を提出し、以下の無効理由により、本件発明1~4に係る特許は無効とすべきものであると主張する。(以下、第5では甲第1の1号証~甲第1の3号証を「甲1の1」~「甲1の3」又はまとめて「甲1」と、甲第2号証~甲第17号証をそれぞれ「甲2」~「甲17」という。)
(1)無効理由
本件発明1~4は、特許法第30条第2項の規定の適用を受けることができない甲1により電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって特許法第29条第1項第3号に該当するため、その特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(2)証拠方法
請求人が提出した甲1~甲17は、以下のとおりである。
甲1の1:アットプレスによるプレスリリースページ https://www.atpres
s.ne.jp/news/134510 スクリーンショット画像(76号事件の
甲13の1)
甲1の2:甲1の1のプレスリリースページ左側に表示される印刷ボタンを
押下することによって開く印刷用ページの印刷物(76号事件の
甲13の2)
甲1の3:甲1の1のプレスリリースページ右側に表示され、スクロールす
ることによって閲覧可能な画像を「画像一括ダウンロード」ボタ
ンを押下することによってダウンロードした画像の印刷物(76
号事件の甲13の3)
甲2 :アットプレスの運営会社を説明するページ https://www.atpres
s.ne.jp/company/ スクリーンショット画像(76号事件の甲1
4)
甲3 :アットプレスの特長を説明するページ https://www.atpress.ne
.jp/service/ スクリーンショット画像(76号事件の甲15)
甲4 :令和3年経済センサス-活動調査 速報集計 結果の要約(令和
4年5月31日、総務省報道資料)
甲5 :中小企業白書(2013年版)抜粋「ITの導入の状況」
甲6 :カタログ「KATOJI NEW COLLECTION 2005」表紙、目次、p.64-65
、裏表紙(76号事件の甲1)
甲7 :米国GRACO(グレコ)社製プレイヤードの各部材についての分析
実験報告書(76号事件の甲8)
甲8 :甲7の分析対象品の入手経路についての請求人の従業員による陳
述書(76号事件の甲9)
甲9 :甲8の別紙4の日本語版取扱説明書についての報告書(76号事
件の甲10)
甲10 :動画共有サイトの広告動画ページ「Comfortable Outdoor Play w
ith the #Graco #Pack'n Play #Playard Sport」 https://www.
youtube.com/watch?v=pDADS7FmjHw(76号事件の甲2)
甲11 :米国特許出願公開第2004/0261174号明細書(76号
事件の甲5)
甲12 :本件特許に係る特許出願の審査で通知された拒絶理由通知書(7
6号事件の甲12)
甲13 :特開2016-19676号公報(76号事件の甲3)
甲14 :米国特許出願公開第2004/0237191号明細書(76号
事件の甲4)
甲15 :「洗えるソフトベビーサークル プレミアム」の中古品について
の確認実験報告書(1)(76号事件の甲16)
甲16 :「ベビーザらス限定 ベビーサークル ミッキーマウス&フレン
ズ」の中古品についての確認実験報告書(2)(76号事件の甲
17)
甲17 :「ベビービョルン プレイヤード」の中古品についての確認実験
報告書(3)(76号事件の甲18)
2 被請求人の主張の概要及び証拠方法
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、令和4年11月18日付けの審判事件答弁書、及び、乙第1号証を添付した令和5年6月13日付けの口頭審理陳述要領書を提出し、請求人の主張する上記無効理由は、理由がない旨主張する。(以下、第5では乙第1号証を「乙1」という。)
乙1:「洗ってたためるポータブルベビーサークル」 https://www.nihoni
kuji.co.jp/item/araetetatameru_circle.html
3 各甲号証の記載事項等
(1)甲1の1~甲1の3
甲1の1~甲1の3には以下の記載等がある。
ア 記載事項
(ア)
甲1の1は、プレスリリース配信サービス「@Press」(以下「アットプレス」ともいう。)に掲載されたプレスリリースページの印刷物であり、その内容は、次のとおりである。
「
[図:0001417959000050.jpg]
[図:0001417959000051.jpg]
[図:0001417959000052.jpg]
[図:0001417959000053.jpg]
」
(イ)
甲1の2は、甲1の1の印刷用ページであり、次の記載がある。
a
「2017.08.01 10:00 株式会社日本育児」(第1ページ右上ヘッダ欄)
b
「株式会社日本育児(本社:大阪府大阪市中央区、代表取締役社長:石迫壮馬、以下日本育児)は、洗えてたためるポータブルベビーサークルを、2017年8月1日から株式会社赤ちゃん本舗(本社:大阪府大阪市)が運営するアカチャンホンポで限定販売いたします。」(第1ページ第4行~同ページ第7行)
c
「■『洗えてたためるポータブルベビーサークル』の特長
1.組立・収納約1分。サッと広げて・サッと収納できます。
簡単にサッと広げてすぐ使える設計のアルミフレームを採用しました。安定プレートを6か所差し込み、カチッとなるまで広げるだけでベビーサークルの完成です。収納時も2か所のロックボタンを押して解錠し縮めるだけです。使わないときはサッとたたんでスペースを有効に使えます。コンパクトにたためるので、部屋の隅に置いたり、ショルダー付きの専用収納袋に入れて持ち運びもできて便利です。アルミフレームは軽量でありながら丈夫なのでしっかり支え、きょうだいが増えても長く使えます。
2.洗えるカバーは、ベビーサークルを組み立てたままで簡単にはずせます。
ベビーサークルを組み立てたままで上下を固定しているボタンと面ファスナーをはずせば、簡単にカバーだけをはずすことができます。取り付け方・取り外し方を簡単にすれば気軽に洗濯でき、赤ちゃんが快適に過ごせる環境を保つことができると考えました。カバーは洗濯機でも洗えます。
3.使いやすさと快適スペースにする機能が充実しています。
開閉しやすいファスナー扉を開けるとずりばいの赤ちゃんでもお子さま自身で出入りすることができます。付属の安定プレートは安定感を増すだけでなく、床を保護します。また、黒色メッシュでお子さまの様子を確認しやすく、月と星柄のふんわりとしたマットで快適に過ごせます。安心して遊べるようにベビーサークルの内側にフレームが出ないようにカバーで覆いました。」(第2ページ第4行~同ページ第22行)
(ウ)
甲1の3は、甲1の1の1枚目右側の「画像ダウンロード」からダウンロードした画像であり、第1~3、5、7ページには、以下の画像(以下、それぞれ「画像1」~「画像3」、「画像5」~「画像7」という。)が記載されている。
画像1
「
[図:0001417959000054.jpg]
」
画像2
「
[図:0001417959000055.jpg]
」
画像3
「
[図:0001417959000056.jpg]
」
画像5
「
[図:0001417959000057.jpg]
」
画像6
「
[図:0001417959000058.jpg]
」
画像7
「
[図:0001417959000059.jpg]
」
イ 看取事項
(ア)
画像1、画像5又は画像7から、環状に配置され上下方向に伸びる複数のフレーム(審判請求書で部材Aとされる部材。以下「縦フレーム」という。)、隣り合う縦フレームを渡すように張られ黒いメッシュ(審判請求書で部材B1とされる部材。以下「メッシュ」という。)を有するシート状の部材(審判請求書で部材Bとされる部材。以下「側面カバー」という。)及び底面に位置するシート状の部材(審判請求書で部材Cとされる部材。以下「底面カバー」という。)であって、平面視において六角形の形状を有するものが看取できる。
(イ)
画像1又は画像5から、縦フレームは、ベビーサークルの中心に関して点対称に環状に配置されることが看取できる。
画像5又は画像6の下段の側面カバー及び底面カバーが取り除かれた縦フレームの画像から、縦フレームの上端側が下端側より相互に近接するよう内傾していることが看取できる。また、画像7から、最も左側に位置する縦フレームの上端側は、背景の棚の垂直壁との比較で、ベビーサークルの内側に傾斜していることが看取できる。
(ウ)
画像5から、「ボタン開閉」及び「面ファスナー開閉」との記載や、「着脱カンタン」及び「洗えるカバー」との記載が看取できる。
また、画像5から、各縦フレームの下端部分は底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に面ファスナーによって固定されること、及び、縦フレームの下端部分には、円形の安定プレートを備え、各縦フレームは安定プレートのうち中心から内側にずれた部分に固定されることが看取できる。
(エ)
画像2から、側面カバーと底面カバーとは端縁同士が接続されており、ベビーサークルの折り畳み状態において、両者は一体となって屈曲し、底面カバーはたるんでいることが看取できる。また、画像6の上段の画像から、側面カバーの上縁部の一部が把持され斜めに持ち上げられたベビーサークルにおいて、縦フレームは展開された組立て状態を維持し、面ファスナーに引っ張られて平面的に広がった状態を維持していることが看取できる。
(オ)
画像6の下段の画像から、隣り合う縦フレームに斜めに交差して掛け渡される2本のフレーム(審判請求書で部材E、Fとされる部材。以下「第1斜めフレーム」、「第2斜めフレーム」という。)の上方側の一端は隣り合う縦フレームのうち一方の縦フレームの上端部分に接続され、下方側の一端は隣り合う縦フレームのうち他方の縦フレームに接続されることが看取できる。また、画像2から、第1斜めフレーム及び第2斜めフレームは、交差する長さ方向の中央部において互いに軸支されることが看取できる。
さらに、画像1から、第1斜めフレーム及び第2斜めフレームの傾きは水平に近く、それらの下方側の他端は縦フレームの上部に位置することが看取でき、画像2から、第1斜めフレーム及び第2斜めフレームの傾きは水平と垂直の間程度の傾きであり、それらの下方側の他端は縦フレームの中間に位置することが看取でき、画像3から、第1斜めフレーム及び第2斜めフレームの傾きは垂直に近く、それらの下方側の他端は縦フレームの下部に位置することが看取できる。
ウ 認定事項
(ア)
画像5はベビーサークルを見下ろす方向から撮影した画像であり、画像6の下段の画像は側面カバー及び底面カバーを取り除いた縦フレームの画像であるところ、上記看取事項(イ)のとおり、撮影者から近い上端側より、撮影者から相対的に遠いにもかかわらず、下端側は内へすぼむことなく、むしろ外へ広がるように写っていることや、また、上記看取事項(イ)のとおり、縦フレームはベビーサークルの中心に関して点対称に環状に配置され、画像7の最も左側に位置する縦フレームはベビーサークルの内側に傾斜していると認められることを踏まえると、縦フレームはそれぞれが内側に傾斜すると認められる。
(イ)
上記記載事項(イ)cの「ベビーサークルを組み立てたままで上下を固定しているボタンと面ファスナーをはずせば、簡単にカバーだけをはずすことができます。取り付け方・取り外し方を簡単にすれば気軽に洗濯でき」という記載、上記看取事項(ウ)及び画像5とから、側面カバー及び底面カバーはカバーの部分であって両者はカバーとして一体に形成されており、側面カバー上部のボタンと面ファスナーとを開くことで縦フレームに対して取り外して、洗濯できると認められる。
(ウ)
画像1は縦フレームが展開された組立状態、画像3は縦フレームが畳まれた状態、画像2は両状態の過渡期における状態を示すと理解できる。そして、上記看取事項(オ)から、当該第1斜めフレーム及び第2斜めフレームは、隣り合う縦フレームの間隔を広げるためのリンク機構を構成しているものと理解でき、縦フレームとの配置関係を踏まえると、第1斜めフレームの上方側の一端は隣り合う縦フレームのうち一方の縦フレームの上端に回動可能に接続され、下方側の他端は隣り合う縦フレームのうち他方の縦フレームに沿って移動可能に接続され、第2斜めフレームの上方側の一端は隣り合う縦フレームのうち他方の縦フレームの上端に回動可能に接続され、下方側の他端は隣り合う縦フレームのうち一方の縦フレームに沿って移動可能に接続されると理解できる。
そうすると、第1斜めフレーム及び第2斜めフレームは、隣り合う縦フレームを連結し、第1斜めフレームは隣り合う縦フレームのうち一方の縦フレームの上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦フレームのうち他方の縦フレームに他端が上下移動可能に接続されており、第2斜めフレームは前記他方の縦フレームの上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦フレームに他端が上下移動可能に接続されていると認められる。
エ 甲1により利用可能となった発明
上記ア~ウより、甲1のアットプレスのプレスリリースページには次の発明(以下「アットプレス公開発明」という。)が掲載されていると認められる。
〔アットプレス公開発明〕
「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6本の縦フレームと、
隣り合う縦フレームを渡すように張られメッシュを有するシート状の側面カバーと、
底面に位置するシート状の底面カバーと、を備え、
前記底面カバーは平面視において六角形の形状を有しており、
各縦フレームの下端部分は前記底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定され、
各縦フレームの下端部分を前記底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定し、かつ、各縦フレームに対して取外しできる面ファスナーを備え、底面カバーが面ファスナーに引っ張られて平面的に広がった組立状態を維持し、
側面カバー及び底面カバーはカバーとして一体に形成されているとともに、各縦フレームに対して取外し可能であり、
円形であって各縦フレームが差し込まれる6個の安定プレートを更に備え、
各縦フレームは前記安定プレートのうち中心から内側にずれた部分に固定されており、
隣り合う縦フレームを連結する第1斜めフレーム及び第2斜めフレームを更に備え、
第1斜めフレームは隣り合う縦フレームのうち一方の縦フレームの上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦フレームのうち他方の縦フレームに他端が上下移動可能に接続されており、
第2斜めフレームは前記他方の縦フレームの上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦フレームに他端が上下移動可能に接続されている、
ベビーサークル。」
(2)甲2
甲2は、アットプレスの運営会社を説明するページのスクリーンショット画像の印刷物であり、第1ページには、次の記載がある。
「運営会社 商号 ソーシャルワイヤー株式会社」
また、第2ページには次の記載がある。
「新規会員登録」、「@Pressの特長」、「会員ログインページ」、「ご利用の流れ」。
(3)甲3
甲3は、@Pressの特長を説明するページのスクリーンショット画像の印刷物であり、その第1~3ページは次のとおりである。
第1ページ
「
[図:0001417959000060.jpg]
」
第2ページ
「
[図:0001417959000061.jpg]
」
第3ページ
「
[図:0001417959000062.jpg]
」
第1ページの上段には、次の記載が看取できる。
「日本で一番 記事や取材につながる! プレスリリース配信サービス 利用をはじめる」
また、第1ページの右下には、「全国メディアから 地方メディアまで どこよりも幅広く配信可能」の記載とともに、書類を表す絵から、@Pressを経てWEBやテレビ等に伸びる矢印が看取できる。
第2ページの上段には、次の記載が看取できる。
「ポイント2 専任スタッフによる原稿チェックと配信リスト作成」
第3ページの下段には、次の記載が看取できる。
「特長4 利用企業数22,000以上 上場企業はもちろん、マスメディアや記者クラブを抱える官公庁、有名イベントの事務局や中小ベンチャー企業まで利用されているサービスです。」
(4)甲4
甲4は、総務省・経済産業省が公表した「令和3年度経済センサス-活動調査」の速報集計であり、「1.概況」欄には、次の記載がある。
「2021年6月1日現在の企業等の数は367万4千企業、民営事業所数は507万9千事業所、従業者数は5745万8千人」
(5)甲5
甲5には、2013年版中小企業白書の抜粋であり、次の図が掲載されている。
第2-4-2図
「
[図:0001417959000063.jpg]
」
当該図から、2012年時点で、大企業の95.6%、中規模企業の80.4%、小規模事業者の46.3%が自社ホームページを開設していることが読み取れる。
4 当審の判断
(1)アットプレス公開発明が、特許法第30条第2項の規定の適用を受けることができるものか否かについて
ア 請求人の主張
請求人は、77号事件の審判請求書の「6(6-2)」において、
「本件出願経過においては、
(1)(当審注:原文では丸に1)平成29年5月29日に被請求人が株式会社赤ちゃん本舗に幼児用サークルについて商談(説明)したことにより発明(以下「発明1」という。)が公開された事実を示した、新規性喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書と、
(2)(当審注:原文では丸に2)同年7月27日に被請求人が下記アドレスの自社のウェブサイトに https://www.nihonikuji.co.jp/item/araetetatameru_circle.html 幼児用サークルについて掲載したことにより発明(以下「発明2」という。)が公開された事実を示した、新規性喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書とが、出願(同年8月4日)後の同年8月10日付け提出書にて提出された(受付日は同年8月14日)。
しかしながら、同年8月1日に甲1の「アットプレス」により発明(以下「発明3」という。)が公開された事実については、新規性喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書が提出されなかった。」(第9ページ第20行~第10ページ第7行)
と経過を示しつつ、次のように主張する。
特許・実用新案審査基準第III部第2章第5節4.2の審査基準(以下、単に「審査基準」という。)を参照して、「証明する書面」が提出されていなかった発明3は当該基準に記載された条件(i)~(iii)の(i)及び(iii)は満たすものの、(ii)の「「第2項の規定の適用が認められた発明」の公開行為と密接に関連する公開行為によって公開された発明であること、又は権利者若しくは権利者が公開を依頼した者のいずれでもない者によって公開された発明であること。」という条件は満たさないから、特許法第30条第2項の適用を受けることができない。
イ 被請求人の主張
被請求人は令和4年11月18日差出の審判事件答弁書の「6(2)」において、概ね次のように主張する。
現代社会においては、新製品をリリースする場合、まずは自社ウェブサイトにおいてインターネット上に公開し、自社サイトに誘導するため、自社サイトのURLを載せた他のサイトを設けることもまた一般的に行われていることである。プレスリリースサイトは自社サイトの窓口に過ぎないから、あえて別個のものと捉える必要はなく、自社サイトに直結したものと考えるのが相当である。よって、これら誘導のための各サイトにおける公開行為は、自社サイトにおける公開行為と「密接に関連する」。閲覧者は、どのウェブサイトを見ても、誘導された結果、自社サイトに到達し、これを閲覧することになり、そこで発明の存在を知るから、これらの公開行為を「密接に関連する」と解しても、第三者に不測の損害を与えるものではない。
「第29条第1項各号のいずれかに該当するに至った発明」ごと、つまり「発明」ごとに証明書を提出すれば足り、公開行為ごとに証明書を提出する必要はない。例えば、複数の公開行為があったとしても、公開された発明が同一であれば、1つの証明書の提出で足りると解すべきである。
請求人は、アットプレスと被請求人の自社ウェブサイトでは、公開場所や公開範囲が異なるから、条件(ii)を満たさないと主張するが、公開場所や公開範囲が異なる場合には条件(ii)を満たさないとの規定はない。
また、令和5年6月13日提出の口頭審理陳述要領書の「5 5-3(1)」において、概ね次のように主張する。
現代社会において、より多くの閲覧者を得るために、プレスリリースサイトやSNSを利用し、自社ウェブサイトに誘導することは、インターネット広報の基本であるから、アットプレスのプレスリリースサイトにおける公開行為と自社ウェブサイトにおける公開行為とは密接に関連する。
また、本件において、第三者が、新規性喪失の例外の手続が採られた自社ウェブサイトを見て拒絶理由がないと判断した場合、自社ウェブサイトに誘導するためのプレスリリースサイトを見ても同じ判断を行うため、第三者保護としては必要十分である。
ウ 判断
(ア)特許法30条の規定について
a 原則
特許法第30条第1項~第3項は、次のように規定する。
「第三十条 特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から一年以内にその者がした特許出願に係る発明についての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。
2 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項各号のいずれかに該当するに至つたものを除く。)も、その該当するに至つた日から一年以内にその者がした特許出願に係る発明についての同項及び同条第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面(次項において「証明書」という。)を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。」
特許法第30条第1項の趣旨は、特許要件として新規性が要求されているため、特許出願をすることなく、自ら発明を公開した者は、その後に特許を出願しても、自ら発明を公開したことにより特許を受けられない結果になることがあり得るところ、この結果は、発明者、特に特許法の規定を十分知らない技術研究者にとって酷であり、また、発明を公開した者が公開によって不利益を受けることになっては、産業の発達に寄与するという特許法の目的(同法第1条)に悖る結果ともなることから、一定の要件を具備した場合には、発明が既に公開されていることを理由に特許出願を拒絶されることがないようにするというものである。また、特許法第30条は、第29条第1項の例外を定めた規定であり、その解釈適用は、例外を定めた趣旨に合致するように、上記のような発明者を救済するために必要な限度で行われるべきであり、発明者を必要以上に保護したり、社会一般に不測の損害を与える結果を招来したりすることがあってはならないと解される(知財高判平成19年8月30日判決(平成18年(行ケ)第10559号))。
現行法の特許法第30条第2項においても、その趣旨は、旧法(平成23年、30年改正前)と変更はなく、上記の趣旨の下、第30条第2項の例外適用を受けようとする者には、同条第3項の証明書(以下「証明書」という。)の提出が義務づけられている。
b 例外(複数の公開行為がある場合)
特許審査基準では、上記aの原則どおり、権利者が発明を複数の異なる雑誌に掲載した場合等、権利者の行為に起因して公開された発明が複数存在する場合において、第2項の規定の適用を受けるためには、原則として、それぞれの「公開された発明」について証明書が提出されていなければならないとしたうえで、その例外について、権利者の行為に起因して公開された発明が以下の条件(i)から(iii)までの全てを満たすことが出願人によって証明された場合は、その証明書が提出されていなくても第2項の規定の適用を受けることができるとされている。
(i)「証明する書面」に基づいて第2項の規定の適用が認められた発明(以下「第2項適用発明」という。)と同一であるか、又は同一とみなすことができること。
(ii)「第2項適用発明」の公開行為と密接に関連する公開行為によって公開された発明であること、又は権利者若しくは権利者が公開を依頼した者のいずれでもない者によって公開された発明であること。
(iii)「第2項適用発明」の公開以降に公開された発明であること。
(イ)本件へのあてはめ
a 事実認定
(a)アットプレスについて
上記3(3)のとおり、甲3は、@Pressの特長を説明するページであり、第1ページの「日本で一番 記事や取材につながる! プレスリリース配信サービス」との記載や、同ページ右下の図から、アットプレスは、各種メディア向けにプレスリリースを配信して、各種メディアによる記事化や取材を促すためのサービスであると認められる。さらに、同右下の図において、書類を示す絵から@Pressに矢印が伸びていること、第2ページの「専任スタッフによる原稿チェック」との記載から、アットプレスでは原稿チェックが行われるものであり、当該原稿は、記事化や取材を望む依頼者が作成するものと認められる。すなわち、アットプレスでは、依頼者がプレスリリース配信したい内容をアットプレスに送り、アットプレスの専任スタッフによる原稿チェック等を経て、プレスリリース配信されるものと理解できる。依頼者からの依頼に基づくサービスであることは、甲2において「新規会員登録」、「会員ログインページ」、「ご利用の流れ」など、アットプレスの利用には、会員登録が必要であることからも裏付けられる。
以上を踏まえれば、ソーシャルワイヤー株式会社が運営するアットプレスによるプレスリリース配信サービスは、依頼者の依頼に基づいてプレスリリースを行うサービスであると認められる。
(b)本件特許に係る公開行為について
平成29年8月10日に特許庁に提出された新規性喪失の例外適用の証明書(以下「証明書」という。)及び甲1によれば、本件特許に係る公開行為として、以下の3つの公開行為があったことが認められる。
平成29年5月29日、株式会社赤ちゃん本舗との商談において、被請求人が幼児用サークルについて説明したことによる公開(以下「赤ちゃん本舗公開行為」という。)。
平成29年7月27日、被請求人が自社ウェブサイト
(https://www.nihonikuji.co.jp/item/araetetatameru_circle.html)に掲載したことによる公開(以下「自社サイト公開行為」という。)
平成29年8月1日に、運営会社であるソーシャルワイヤー株式会社によって、アットプレスのプレスリリースページに「洗えてたためるポータブルベビーサークル」が掲載されたことによる公開(以下「アットプレス公開行為」という。)
なお、赤ちゃん本舗公開行為と自社サイト公開行為については、証明書が提出されている。
(c)アットプレス公開行為について
上記(a)に示したとおり、アットプレスによるプレスリリース配信サービスは、依頼者の依頼に基づいて提供されるものであると認められ、また甲1の1には記事見出しの右下部に「株式会社日本育児」と被請求人の名称も記載されていることから、アットプレス公開行為は、被請求人からの依頼に基づいて、ソーシャルワイヤー株式会社により行われたと認められる。
なお、この点については、令和4年(ワ)第5553号特許権侵害差止等請求事件の判決においても、「原告が、インターネット上のプレスリリース配信サービス「@Press」(以下「アットプレス」という。)に依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行ったこと(乙9の1~3)による新規性喪失の有無(争点2-4)」(第5ページの「2(2)エ」を参照。)と、原告(本件の被請求人)の依頼に基づいて公開されたと認定されている。
b 例外適用の可否
被請求人は、赤ちゃん本舗公開行為及び自社サイト公開行為については、証明書の提出を行っていたから、特許法第30条第2項の規定を知っていたと認められる。また、その後に行われたアットプレス公開行為は、被請求人の依頼に基づいて行われたものであるから、当該公開行為について被請求人は知っていたものと認められる。また、証明書の提出ができなかったとする事情も認められない。
特許法第30条第2項の趣旨は、特許法の規定を十分知らない者を救済するために必要な限度で行われるべき例外的な措置である(上記(ア)a)ところ、この趣旨に照らせば、特許法の規定を知っていた被請求人の依頼に基づくアットプレス公開行為について、被請求人が証明書の提出を省略したことを救済することは、必要な限度の範囲を超えるものである。
また、特許審査基準では、上記(ア)bのように例外を示しているところ、当該審査基準に照らして、アットプレス公開行為が、当該例外に係る条件(i)~(iii)を満たすか否かについて検討すると、まず、条件(i)については、甲1の1の第2~3ページの「■「洗えてたためるポータブルベビーサークル」の特長」の欄には、「安定プレートを6か所差し込み、カチッとなるまで広げるだけでベビーサークルの完成です。収納時も2か所のロックボタンを押して解錠し縮めるだけです。」や「開閉しやすいファスナー扉を開けるとずりばいの赤ちゃんでもお子様自身で出入りすることができます。」といった乙1には含まれていない商品の特長点が具体的に説明されており、両サイトで公開された情報は同一ではない。そうすると、条件(i)が充足されているとはいえない。また、条件(ii)については、アットプレス公開行為と自社サイト公開行為とが、一方の公開行為によって必然的に他方の公開行為が行われる関係(例えば、学会発表による公開とその後の講演要旨集による公開、及び、記者会見による公開とその後の新聞掲載による公開の事例が挙げられる。)にはなく、両者が密接に関連するとはいえず、また、アットプレス公開行為は、上記a(c)のとおり、「権利者が公開を依頼した者」による公開に該当することとなる。そうすると、条件(ii)も充足されているとはいえない。
したがって、アットプレス公開行為は、条件(i)~(iii)のうち、少なくとも条件(i)及び(ii)を充足するとはいえない。
以上を総合考慮すると、アットプレス公開発明について特許法第30条第2項の例外適用はできないとするのが相当である。
この点に関する被請求人の主張について、以下検討する。
被請求人は、プレスリリースサイトは自社サイトの窓口に過ぎないから、あえて別個のものと捉える必要はなく、自社サイトに直結したものと考えるのが相当であり、自社サイトへの誘導のためのプレスリリースサイト等での公開行為は、自社サイトにおける公開行為と「密接に関連する」旨を主張する。しかしながら、プレスリリースサイトが自社サイトへ誘導するための窓口であったとしても、すでに判断したとおり、アットプレス公開行為と自社サイト公開行為とは密接に関連する公開行為とはいえない。
被請求人は、より多くの閲覧者を得るために、プレスリリースサイトやSNSを利用し、自社ウェブサイトに誘導することは、インターネット広報の基本であるから、アットプレス公開行為と自社サイト公開行為とは密接に関連する旨を主張する。しかしながら、甲3に記載されるようにアットプレスの利用企業数が22,000以上程度であるところ、甲4によれば2021年の企業数は367万社であり、甲5によれば2012年時点で小規模事業者であっても46.3%が自社ホームページを開設しており、甲4と甲5の時期の違いを考慮しても、アットプレスの利用企業数が自社ウェブサイトの開設数に比べて顕著に少ないことは明らかであるから、自社ウェブサイトに公開した者がアットプレスのプレスリリースサイトに公開することが一般的な行為であるとまではいえない。さらに、自社サイトのみならず、SNSやプレスリリースサイトで製品を紹介する行為が広く行われているとしても、種々多様な情報媒体を駆使して自社製品を宣伝又は紹介しているということに過ぎないのであって、ある媒体で公開する行為によって別の媒体で公開する行為が必然的に生じるなどの、両公開行為が密接に関連するといえる事情がなければ、両者を密接に関連する公開行為であるということはできない。
また、被請求人は、「特許法第29条第1項各号のいずれかに該当するに至った発明」ごと、つまり「発明」ごとに証明書を提出すれば足り、公開行為ごとに証明書を提出する必要はない旨を主張する。しかしながら、複数の公開行為があれば、それに対応して複数の特許法第29条第1項各号に該当するに至った発明が存すると考えるのが相当であるから、被請求人の主張は採用できない。
また、被請求人は、新規性喪失の例外の手続きが採られた自社ウェブサイトを見て拒絶理由がないと判断した場合、自社ウェブサイトに誘導するプレスリリースサイトを見ても、同じ判断を行うため、第三者に不測の損害を与えるものではない旨を主張する。しかしながら、特許法第30条は、その規定からみて、特許を受けることができなくなる出願人側の不利益を、証明書の提出等の一定の手続を行うことを条件として、解消するためのものであって、第三者への損害の有無を問題とするものではない。
以上のとおりであるから、アットプレス公開発明は、特許法第30条第2項の適用を受けられるものではない。
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1とアットプレス公開発明とを対比する。
(ア)
後者の「縦フレーム」は前者の「縦枠」に相当し、以下、同様に、「メッシュ」は「メッシュ部」に、「シート状の側面カバー」は「側面シート」に、それぞれ相当する。
そうすると、後者の「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6本の縦フレーム」は、前者の「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠」に、「隣り合う縦フレームを渡すように張られメッシュを有するシート状の側面カバー」は、隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シート」にそれぞれ相当する。
(イ)
後者の「底面に位置するシート状の底面カバー」は、前者の「底面に位置する非伸縮性の底面シート」と、「底面に位置する底面シート」である点で共通する。また、後者の「前記底面カバーは平面視において六角形の形状を有」する構成は、前者の「前記底面シートは平面視において多角形の形状を有」する構成に相当する。
(ウ)
後者の「各縦フレームの下端部分は前記底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定され、各縦フレームの下端部分を前記底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定し、かつ、各縦フレームに対して取外しできる面ファスナーを備え、底面カバーが面ファスナーに引っ張られて平面的に広がった組立状態を維持」する構成について検討する。
後者の「各縦フレームの下端部分は前記底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定され」る構成は、前者の「各縦枠の下端部分」が「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」る構成に相当する。
そして、後者においては、底面カバーが平面的に広がり、組立状態であるベビーサークルの各縦フレームの下端部分が、底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定されていることで、各縦フレームの下端部分の外側への移動が制限されるから、後者の「各縦フレームの下端部分を前記底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定し、かつ、各縦フレームに対して取外しできる面ファスナーを備え、底面カバーが面ファスナーに引っ張られて平面的に広がった組立状態を維持」する構成は、前者の「各縦枠の下端部分は」「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限されており」、及び「各縦枠の下端部分を」「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限」する構成に相当する。
また、後者の「面ファスナー」は前者の「接続テープ」に相当する。
(エ)
後者の「側面カバー及び底面カバーはカバーとして一体に形成されているとともに、各縦フレームに対して取外し可能」である構成は、前者の「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能」である構成に相当する。
また、後者の「ベビーサークル」は、その用途からみて、前者の「幼児用サークル」に相当する。
(オ)
上記(ア)~(エ)より、本件発明1とアットプレス公開発明とは、以下の一致点1Dで一致し、相違点1Dで一応相違する。
<一致点1D>
「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、
隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、
底面に位置する底面シートと、を備え、
前記底面シートは平面視において多角形の形状を有しており、
各縦枠の下端部分は前記底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、
各縦枠の下端部分を前記底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え、
前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている、幼児用サークル。
<相違点1D>
本件発明1では、「底面シート」が「非伸縮性」であるのに対し、アットプレス公開発明では、「底面カバー」が非伸縮性であるか否か特定されない点。
イ 判断
相違点1Dについて検討する。
アットプレス公開発明はベビーサークルあって、幼児が中に入って活動することを前提とする製品であり、アットプレス公開発明の底面シートはシート状の部材であるから、本件技術常識に照らせば、アットプレス公開発明の底面カバーは非伸縮性であると認められる。
したがって、相違点1Dは実質的な相違点ではない。
よって、本件発明1はアットプレス公開発明である。
ウ 被請求人の主張について
被請求人は、令和4年11月18日提出の審判事件答弁書の「6(3)」において、次のように主張する。
本件訂正発明1の縦枠は内側に傾斜するのに対し、アットプレス公開発明の縦フレームは内側に傾斜しているか否か明らかでない点で相違する。
また、本件訂正発明1の底面シートは非伸縮性であるのに対し、アットプレス公開発明の底面カバーは非伸縮性であるか否か明らかでない点で相違する。
さらに、本件訂正発明1の接続テープは、各縦枠の下端部分の外側への移動を制限しているのに対し、アットプレス公開発明の面ファスナーは、縦フレームの下端部分の外側への移動を制限しているか否か明らかでない点で相違する。
また、被請求人は、上記主張に関連し、令和5年6月13日提出の口頭審理陳述要領書の「5 5-3(3)」及び「5 5-2(1)イ」において、76号事件の乙2を挙げて、底面カバーを非伸縮性とすることが技術常識でない旨を主張し、令和5年6月13日提出の口頭審理陳述要領書の「5 5-3(6)」において、アットプレス公開発明の面ファスナーが縦フレームの下端部分の外側への移動を制限するか否かは、面ファスナーの材質のみに依存するのではなく、縦フレーム、底面カバー、面ファスナーの材質や位置関係等に依存するから、面ファスナーが縦フレームの下端部分の外側への移動を制限しているとはいえない旨を主張する。
上記主張について検討する。
アットプレス公開発明の縦フレームは内側に傾斜しているか否かについては、上記3(1)イ(イ)に示すとおり、画像5又は画像6の下段の側面カバー及び底面カバーが取り除かれた縦フレームの画像から、縦フレームの上端側が下端側より相互に近接するよう内傾していることが、画像7から、背景の棚の垂直壁との比較で、縦フレームはベビーサークルの内側に傾斜していることが看取でき、上記3(1)ウ(ア)に示すとおり、縦フレームはそれぞれが内側に傾斜すると認められる。
また、アットプレス公開発明の底面カバーが非伸縮性であるか否かについては、「第4 5(1)ア(イ)d(a)」に示したように、底面シートが非伸縮性であることは技術常識ではないことの根拠として、被請求人が挙げる甲3の底布材41及び乙2の底網3dは、いずれも底面に位置する部材がメッシュ状又はネット状であり、メッシュ状又はネット状の場合には伸縮性を有するとしても、アットプレス公開発明のように底面カバーがシート状である場合であっても伸縮性を有することを示すものではない。そして、上記イに示すとおり、幼児が中に入って活動することを前提とするプレイヤードやベビーサークルにおいて、底面に位置するシート状の部材が非伸縮性の部材であるという本件技術常識から、底面カバーは非伸縮性であると認められるし、面ファスナーは、縦フレームの下端部分の外側への移動を制限しているか否かについては、上記ア(ウ)に示すとおり、各縦フレームの下端部分は、面ファスナーによって平面的に広がった組立状態を維持する底面カバーの六角形の頂点にあたる部分に固定されるのであるから、その結果、外側への移動が制限されることは明らかである。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
(3)本件発明2について
本件発明2とアットプレス公開発明とを対比する。
ア
後者の「円形であって各縦フレームが差し込まれる6個の安定プレート」は前者の「円形であって各縦枠を受ける複数の接地部材」に相当し、同様に、「各縦フレームは前記安定プレートのうち中心から内側にずれた部分に固定」される構成は「各縦枠は前記接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定」される構成に相当する。
イ
上記アより、本件発明2とアットプレス公開発明とは、一致点1Dで一致することに加え、以下の一致点2Dで一致し、相違点はない。
<一致点2D>
「円形であって各縦枠を受ける複数の接地部材を更に備え、各縦枠は前記接地部材のうち中心から内側にずれた部分に固定されている、幼児用サークル。」
したがって、本件発明2はアットプレス公開発明である。
(4)本件発明3について
本件発明3とアットプレス公開発明とを対比する。
ア
後者の「第1斜めフレーム」は前者の「第1連結部材」に相当し、同様に、「第2斜めフレーム」は「第2連結部材」に相当する。
イ
後者の「第1斜めフレームは隣り合う縦フレームのうち一方の縦フレームの上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦フレームのうち他方の縦フレームに他端が上下移動可能に接続され」る構成は、前者の「前記第1連結部材は、隣り合う縦枠のうち一方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦枠のうち他方の縦枠に他端が上下移動可能に接続され」る構成に相当し、同様に、「第2斜めフレームは前記他方の縦フレームの上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦フレームに他端が上下移動可能に接続され」る構成は「前記第2連結部材は、前記他方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦枠に他端が上下移動可能に接続され」る構成に相当する。
ウ
上記ア~イより、本件発明3とアットプレス公開発明とは、一致点1D及び一致点2Dで一致することに加え、以下の一致点3Dで一致し、相違点はない。
<一致点3D>
「隣り合う縦枠を連結する第1連結部材及び第2連結部材を更に備え、前記第1連結部材は、隣り合う縦枠のうち一方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、隣り合う縦枠のうち他方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されており、前記第2連結部材は、前記他方の縦枠の上端部分に一端が回動可能に接続され、前記一方の縦枠に他端が上下移動可能に接続されている、幼児用サークル。」
したがって、本件発明3はアットプレス公開発明である。
5 小括
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由及び提出された証拠方法によって、本件発明1~3についての特許は無効とすべきである。
第6 むすび
上記のとおりであるから、76号事件で請求人の主張する無効理由及び提出された証拠方法によって、本件発明1~3についての特許は無効とすべきである。
また、77号事件で請求人の主張する無効理由及び提出された証拠方法によって、本件発明1~3についての特許は無効とすべきである。
本件発明4は、本件訂正により存在しないものとなったため、特許法第135条の規定により、本件発明4についての76号事件及び77号事件の審判の請求を却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、76号事件及び77号事件の審判費用は、被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-800076