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特許異議申立

2022-700420

ヘルメット

審判番号
2022-700420
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-563740外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6967088
請求日
2022年05月16日
審決日
2022年08月30日
公報発行日
2022年09月30日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-Y (A42B) / P1651.121-Y (A42B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6967088号発明「ヘルメット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6967088号の請求項1~24に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6967088号の請求項1~24に係る特許についての出願(以下「本件特許出願」という。)は、2018年(平成30年)5月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年5月19日 英国)を国際出願日とする出願であって、令和3年10月26日に特許権の設定登録がされ、同年11月17日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~24に係る特許に対し、令和4年5月16日に、特許異議申立人森本敏明(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 本件特許出願の請求項1~24に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明24」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~24に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 エネルギー吸収層と、 前記エネルギー吸収層の外側に形成され前記エネルギー吸収層よりも硬い比較的硬い層と、 前記比較的硬い層の外側表面に載置された複数の外側プレートとを備え、 前記外側プレートが、ある外側プレートに対する衝撃下でその外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動し且つ他の外側プレートに対して相対的に移動できるように、前記比較的硬い層に載置され、 前記比較的硬い層の前記外側表面と前記外側プレートの表面の少なくとも一部との間に、ある外側プレートに対する衝撃下で前記比較的硬い層の前記外側表面と接触する低摩擦接触部が設けられた、ヘルメット。 【請求項2】 前記複数の外側プレートが、前記ヘルメットの最外層を形成する、請求項1に記載のヘルメット。 【請求項3】 各外側プレートと組み合わせられ、衝撃がないときに前記エネルギー吸収層及び前記比較的硬い層のうち少なくとも1つに対して前記外側プレートを固定するように構成された、少なくとも1つのコネクターを更に備える、請求項1又は2に記載のヘルメット。 【請求項4】 前記コネクターの少なくとも1つが、前記外側プレートの中央領域に設けられた、請求項3に記載のヘルメット。 【請求項5】 前記コネクターの少なくとも1つが、前記外側プレートの縁部に設けられた、請求項3又は4に記載のヘルメット。 【請求項6】 少なくとも1つの外側プレートと組み合わせられ、衝撃がないときに前記外側プレートを隣接する外側プレートに固定するように構成された少なくとも1つのコネクターを更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項7】 少なくとも1つのコネクターが、前記コネクターと組み合わせられた外側プレートに対する衝撃下で変形するように構成された、請求項3~5のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項8】 前記コネクターが、前記コネクターと組み合わせられた前記外側プレートに対する衝撃下で弾性的に変形するように構成された、請求項7に記載のヘルメット。 【請求項9】 前記コネクターが弾性織物で形成された、請求項7又は8に記載のヘルメット。 【請求項10】 少なくとも1つのコネクターが、前記コネクターと組み合わせられた前記外側プレートに対する衝撃下で断裂するように構成された、請求項3~9のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項11】 前記コネクターが接着剤である、請求項10に記載のヘルメット。 【請求項12】 少なくとも1つのコネクターが、前記コネクターと組み合わせられた前記外側プレートに対する衝撃がないときに、前記外側プレートを、スナップフィット、ねじ、機械的固定具、磁石又は摩擦嵌合要素の少なくとも1つにより初期位置に固定するように構成され、 前記スナップフィット、ねじ、機械的固定具、磁石又は摩擦嵌合要素の少なくとも1つが、前記外側プレートに対する衝撃下で前記外側プレートを解放するように構成された、請求項3~11のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項13】 少なくとも1つの外側プレートが、前記外側プレートに対する衝撃がないときに前記ヘルメットの外部から見て凸形状を有し、前記外側プレートに対する衝撃下で、前記ヘルメットの外部から見て凹形状に変化するように構成された、請求項1~12のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項14】 前記コネクターが、前記外側プレートの形状の変化によって前記外側プレートが解放されて前記比較的硬い層に対して相対的に摺動するように構成された、請求項3若しくは6又はそれに従属する請求項に従属する請求項13に記載のヘルメット。 【請求項15】 前記少なくとも1つの外側プレートが、前記比較的硬い層の内側表面に設けられた対応する内側プレートに接続され、 前記外側プレートが凸形状にあるとき前記内側プレートが前記比較的硬い層の前記内側表面に対して押し当てられて、前記外側プレートに対する衝撃がないときに前記外側プレートを前記比較的硬い層に少なくとも部分的に固定する、請求項13又は14に記載のヘルメット。 【請求項16】 前記比較的硬い層の前記内側表面に形成され、前記外側プレートに対する衝撃がないときに前記比較的硬い層に対する前記内側プレートの位置を受容且つ固定するように構成された凹部を更に備える、請求項15に記載のヘルメット。 【請求項17】 前記外側プレートが、前記凸形状と前記凹形状との間で弾性的に変形する、請求項13~16のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項18】 前記外側プレートが、前記凸形状にあるとき、応力がかかっていない状態に対して相対的に弾性的に変形されている、請求項13~17のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項19】 前記複数の外側プレートの外側に設けられた材料外側層を更に備え、 前記外側プレートが、それぞれの位置において前記材料外側層に接続され、 前記材料外側層が、外側プレートに対する衝撃下で変形して、前記外側プレートの互いに対する相対的な移動及び前記比較的硬い層に対する相対的な移動を可能とするように構成されている、請求項1に記載のヘルメット。 【請求項20】 前記外側プレートが、1つ又は2つの基準の外側プレート形状の繰り返しパターンを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項21】 少なくとも1つの基準の外側プレート形状が、三角形、正方形、長方形、ひし形、五角形、六角形、円形、楕円形及び涙形である、請求項20に記載のヘルメット。 【請求項22】 前記外側プレートが、前記エネルギー吸収層よりも硬い比較的硬い材料で形成された、請求項1~21のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項23】 前記外側プレートが、外側プレートに対する接線方向又は斜めの衝撃に応答して外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動するように載置された、請求項1~22のいずれか一項に記載のヘルメット。 【請求項24】 少なくとも1つの外側プレートが、斜めの衝撃に応答して前記外側プレートを解放して前記比較的硬い層に亘って摺動させるために、前記外側プレートの表面の接線方向における前記外側プレートに対する斜めの衝撃の必要な力成分が、斜めの衝撃の第2の方向よりも斜めの衝撃の第1の方向に関して大きくなるように、比較的硬い層に載置され、前記第1及び第2の方向が、前記外側プレートの前記表面に投影したときに前記外側プレートの前記表面に対して垂直な軸線周りにおいて異なる角度を有する、請求項1~23のいずれか一項に記載のヘルメット。」 第3 申立理由の概要 申立人は、以下の甲第1号証~甲第10号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲10」ということがある。)を提出して、以下の申立理由により請求項1~24に係る特許を取り消すべきである旨主張する。 1 証拠方法 甲1:米国特許出願公開第2005/0257312号明細書 甲2:特表2003-518203号公報 甲3:特表2007-522352号公報 甲4:米国特許出願公開第2016/0058093号明細書 甲5:国際公開第2015/103634号 甲6:米国特許出願公開第2016/0278469号明細書 甲7:米国特許出願公開第2004/0117896号明細書 甲8:米国特許出願公開第2012/0017358号明細書 甲9:特表2009-519381号公報 甲10:米国特許第4134155号明細書 2 申立理由 (1)申立理由1(新規性、進歩性欠如。甲1を主引用文献とする場合。) 本件発明1~5、7、8、13、15、17、18、20~22及び24は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、請求項1~5、7、8、13、15、17、18、20~22及び24に係る特許は、同法第29条1項の規定に違反してされたものであるから、 また、本件発明1~24は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1~24に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 請求項1~24に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(進歩性欠如。甲2を主引用文献とする場合。) 本件発明1~5、7、8、22は、甲2に記載された発明及び甲3、4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1~5、7、8、22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 本件発明6、9、19は、甲2に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項6、9、19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 本件発明10~12は、甲2に記載された発明及び甲3~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項10~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 本件発明15、23は、甲2に記載された発明及び甲3、4、7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項15、23に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 本件発明20、21は、甲2に記載された発明及び甲3、4、6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項20、21に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 本件発明13、14、16~18、24は、甲2に記載された発明及び甲3~10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項13、14、16~18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、 請求項1~24に係る特許は、取り消されるべきものである。 第4 証拠の記載事項等 1 甲1について (1)記載事項 甲1には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。 「[0044] Reference may first be had to FIG. 1 which illustrates a bicycle helmet construction 10 for use in protecting a user's head 12 from impact forces, which for example would occur if the wearer was struck by a car or otherwise was thrown from a bicycle (not shown). The helmet construction 10 includes a generally domed shaped shell 14 which is secured in place on top of the user's head 12 by a releasable chin strap 16. The chin strap 16 is of a conventional two-piece design and is secured at each of its ends 18,18(FIG. 2) to a respective longitudinal side portion of the shell 14. As shown best in FIG. 2, the shell 14 has a size and contour selected so as to substantially cover the top of the user's head 12 and extends symmetrically in the front-to-back direction about a vertical central axis A-A1 (FIG. 2). The inner surface 20 of the shell 14 which is immediately adjacent to the user's head 12 is lined with strips of resiliently compressible foam cushioning 22. The cushioning 22 assists in maintaining the shell 14 comfortably in the correct position on top of the user's head 12 and furthermore, advantageously acts to assist in the absorption of impact forces.」 (訳:[0044] 例えば、着用者が自動車に衝突するか、又は自転車から投げ出された場合に生じるであろう(図示しない)、衝撃力から使用者の頭部12を保護するために使用するための自転車用ヘルメット構造10を示す図1が参照される。ヘルメット構造10は、解放可能なあご紐16によって使用者の頭部12の頂上の所定の位置に固定される、ほぼドーム状のシェル14を含む。あご紐16は、従来のツーピース設計であり、その端部18a、18b(図2)のそれぞれで、シェル14のそれぞれの長手方向側部へ固定される。図2に最もよく示されているように、シェル14は、使用者の頭部12の頂点を実質的に覆うように選択されたサイズ及び輪郭を有し、垂直中心軸A-A1に関して前後方向に対照的に延びている(図2)。使用者の頭部12に間近に隣接するシェル14の内面20は、弾力的に圧縮可能な発泡クッション22のストリップで裏打ちされている。クッション22は、シェル14を使用者の頭部12の頂点の正しい位置に快適に維持することを補助し、さらに衝撃力の吸収を補助するように作用するという利点がある。) 「[0045] The shell 14 is composed of three separate or discrete panels 26,28,30 which, as will be described, are interconnected to provide the shell 14 with its contoured dome shape. Each of the panels 26,28,30 are made of rigid or semi-rigid plastic which is generally curved to a corresponding portion of the user's head, and have a cross-sectional thickness selected to provide the desired degree of impact protection. In the case of a bicycle helmet, the plastic used to form the panels 26,28,30 would have a cross-sectional thickness of about 1 to 2 mm, however, thicker or thinner panel constructions could be used. As shown in FIG. 2, the panel 26 which covers the right side of the user's head 12 is formed in the mirror construction to the panel 30 used to cover the left side. The panels 26,28,30 are interconnected by physically coupling the right side panel 26 and the left side panel 30 to the central panel 28 by a series of two-piece rivets 38. As shown best in FIG. 3, the rivets 38 are configured to be assembled in a releasable screw-fit arrangement and include a male portion 40 and a female portion 42. Both portions 40,42 of the rivet include a respective shaft 44 and an enlarged diameter head 46. The shaft 44 of the male portion 40 is characterized by an externally threaded tip. The shaft 44 of female portion 42 includes an internally threaded socket sized to receive the threaded tip of the male potion 40 in a screw fit.」 (訳:[0045] シェル14は、3つの別個の、又は個別のパネル26、28、30で構成され、これらは、説明されるように、相互に連結されて、シェル14にその輪郭のあるドーム形状を提供する。パネル26、28、30の各々は、使用者の頭部の対応する部分にほぼ湾曲している剛性又は半剛性プラスチックからなり、所望の程度の衝撃保護を提供するために選択された断面厚さを有する。自転車用ヘルメットの場合、パネル26、28、30を形成するために使用されるプラスチックは、約1~2mmの断面厚さを有するであろうが、より厚い又はより薄いパネル構造を使用することが可能である。図2に示すように、使用者の頭部12の右側を覆うパネル26は、左側を覆うために用いるパネル30に対して鏡面構造で形成されている。パネル26、28、30は、右側パネル26と左側パネル30とを一連の2ピースリボット38によって中央パネル28に物理的に結合することによって相互に連結されている。図3に最もよく示されているように、リベット38は、解放可能なねじ嵌め配置で組み立てられるように構成されており、雄部40及び雌部42を含む。リベットの両部分40、42は、それぞれのシャフト44及び拡大された直径のヘッド46を含む。雄部分40のシャフト44は、外部にねじ込まれた先端を有することを特徴とする。雌部分42のシャフト44は、雄部40のねじ切りされた先端をねじ込み式に受け入れる大きさの内部ねじ切りされたソケットを含む。) 「[0046] FIG. 2 shows best the right side and left side panels 26,30 as being formed with a double sidewall 50a,50b construction. The sidewalls 50a,50b of each panel 26,30 are spaced apart in a generally parallel relationship to each other, and merge at an outermost edge bight 52.」 (訳:[0046] 図2は、右側及び左側のパネル26、30が二重側壁50a。50bの構造で形成されている。各パネル26、30の側壁50a、50bは、互いに概ね平行な関係で離間しており、最外縁の湾曲部52で合体している。) 「[0050] As shown best in FIG. 3, the use of removable rivets 38 advantageously permit adjustment in the relative positioning of the shell panels 26, 28 and 30. This adjustable positioning enables the helmet assembly 10 to be fitted to differing sized heads 12. In particular, in assembly of the shell 14, the outer tab portions 70-of each side 66 of the central panel 28 are fitted between the sidewalls 50a,50b and into the interior cavity 56 of each side panel 26,30, respectively.・・・」 (訳:[0050] 図3に最もよく示されているように、取り外し可能なリベット38を使用することにより、パネル26、28及び30の相対的位置決めにおける調節が可能になるという利点がある。この調節可能な位置決めは、ヘルメットアセンブリ10の異なるサイズの頭部12に適合されることを可能にする。特に、シェル14の組み立てにおいて、中央パネル28の各側面66の外側タブ70a~dは、それぞれ側壁50a、50bの間及び側面パネル26、30の内部空洞56の中に嵌め込まれる。・・・) 「[0052] In particular, as shown best in FIGS. 4 and 5, upon the application of a predetermined minimum impact force (arrow 100) which, for example, could be selected as the force which occurs when a user falls and strikes his head 12 against an object, the impact force 100 acts on the panel 26 (or alternately the panel 28 or panel 30, depending upon the point of impact). The impact of a force 100 exceeding the predetermined minimum force results in the movement of the panel 26 in the direction of arrow 120 (FIG. 5) relative to the panel 28. In particular, the force 100 urges the panel 26 in movement relative to the remainder of the helmet assembly 10.・・・」 (訳:[0052] 特に、図4、5に最もよく示されているように、例えば、ユーザーが転倒して頭部12を物体にぶつけたときに生じる力として選択することができる所定の最小衝撃力(代替的には、矢印100)の印加時に、衝撃力100はパネル26(又は衝撃点に応じてパネル28又はパネル30)に対して作用する。所定の最小力を超える力100の衝撃により、パネル26がパネル28に対して矢印120(図5b)に相対移動する。特に、力100は、ヘルメットアセンブリ10の残りの部分に対してパネル26を相対的に移動するよう促す。・・・) 図1 [図:0001388426000001.jpg] 図2 [図:0001388426000002.jpg] 図3 [図:0001388426000003.jpg] 図4a [図:0001388426000004.jpg] 図5a、図5b [図:0001388426000005.jpg] (2)甲1の記載から認められること ア [0044]の記載によれば、ヘルメット構造10は、あご紐16によって使用者に固定される、ほぼドーム状のシェル14と、シェル14の内面20に裏打ちされた、弾性的に圧縮可能な発泡クッション22を含むことが認められ、[0045]の記載も参酌すると、シェル14は、パネル26、28、30で構成されるから、ヘルメット構造10は、発泡クッション22と、パネル26、28、30とを含むこと、及び、パネル28は、発泡クッション22の外側に設けられることが認められる。 イ [0046]、[0050]及び図3、図5a、図5bの記載によれば、パネル26、30は、それぞれ、側壁50a、50bを有し、側壁50a、50bの間に、パネル28の各側面66の外側タブ70a~dが嵌め込まれて、取り外し可能なリベット38により接続されることが認められる。 ウ [0052]及び図4a、図5a、図5bの記載によれば、パネル26、30は、所定の最小力を超える力100の衝撃により、パネル28に対して相対移動することが認められる。 (3)甲1発明 上記(2)ア~ウを総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「弾性的に圧縮可能な発泡クッション22と、 発泡クッション22の外側に設けられるパネル28と、 それぞれ、側壁50a、50bを有し、側壁50a、50bの間に、パネル28の各側面66の外側タブ70a~dが嵌め込まれて、取り外し可能なリベット38により接続されるパネル26及びパネル30とを含み、 パネル26、30は、所定の最小力を超える力100の衝撃により、パネル28に対して相対移動する、ヘルメット構造10。」 2 甲2について (1)記載事項 甲2には、図面と共に、以下の事項が記載されている。 「 【0004】 (発明の目的) 本発明の目的は、装着者のために損傷の危険性を軽減する防護ヘルメットを製作することにある。別の目的は、装着者にとって簡便で軽量の弾力性があるヘルメットを製作することにある。他の目的は、製造が容易な防護ヘルメットを製作することにある。」 「 【0011】 (好ましい実施形態の説明) 図1に概略的に示す本発明による防護ヘルメット1は、外部シェル2およびその内部に配置した装着者の頭部に接触するための内部シェル3から構成される。外部シェル2と内部シェル3の間にスライド層4が配置されており、この層によって外部シェル2および内部シェル3間の移動が可能になる。ヘルメットの縁部に、1つまたは複数の連結部材5が配置されており、それが外部シェル2と内部シェル3を相互連結し、エネルギーを吸収することによってそれらの間の相互変位を打ち消す。」 「 【0013】 図2は、二次元の一実施形態における単純化したモデルを用いた、本発明による防護ヘルメット1の機能原理を示し、そこではヘルメット1および頭蓋10が半円筒形をなし、頭蓋10は縦軸11上に取り付けてある。この軸11からわずかな距離のところに、ヘルメット1が頭蓋10に伝達される捩れ力およびトルクの測定用センサ12があり、この衝撃Kは、防護ヘルメット1に対する接線力KTおよび半径方向力KRを引き起こす。この特定の状況では、ヘルメットを回転させる接線力KTおよびその作用のみが重要である。 【0014】 図から分かるように、力Kは内部シェル3に対する外部シェル2の変位13を引き起こし、連結部材5が変形する。」 「 【0017】 図1に示す実施形態以外に、防護ヘルメット1の他の幾つかの実施形態も可能である。可能な数例の変形形態が図3に示されている。図3aでは、内部シェル3が、とより軟質の比較的厚い内層3’から構成されている。・・・」 「 【0027】 上で用いたスライド層という用語は、2つの部分の間に位置し、滑動または別の方法によってこれらの部分間の相互変位を円滑にする層をいう。このスライド層の構造は、材料および設計に関して、広い範囲内で異なり得る。スライド層の数およびそれらの配置も同様に異なり得る。」 図1 [図:0001388426000006.jpg] 図2 [図:0001388426000007.jpg] 図3a [図:0001388426000008.jpg] (2)甲2の記載から認められること ア 【0011】、【0017】及び図3aの記載によれば、防護ヘルメット1は、軟質の比較的厚い内層3’と、より硬質の比較的薄い外層3”と、外部シェル2とを有すること、外層3”は、内層3’の外側に設けられること、外部シェル2は、外層3”の外側に設けられること、及び、外部シェル2と外層3”との間にスライド層4が配置されることが認められる。 イ 【0013】、【0014】、【0017】及び図2、図3aの記載によれば、外部シェル2は、斜め方向の衝撃Kを受けたときに、外層3”に対して移動できるように、外層3”の外側に設けられることが認められる。 (3)甲2発明 上記(2)ア及びイを総合すると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「軟質の比較的厚い内層3’と、 内層3’の外側に設けられ、より硬質の比較的薄い外層3”と、 外層3”の外側に設けられる外部シェル2とを有し、 外部シェル2は、斜め方向の衝撃Kを受けたときに、外層3”に対して移動できるように、外層3”の外側に設けられ、 外部シェル2と外層3”との間にスライド層4が配置される、防護ヘルメット1。」 3 甲3について (1)記載事項 甲3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「【0010】 本発明の目的 本発明の目的は、これらの短所を改善すること、及び、異なった頭部の形態に合わせて調節することが可能で、且つ、使用者の快適さ及び保護が最適化されることを可能にする保護用ヘルメットを提供することにある。」 「【0013】 特定の実施形態の説明 図3及び図4において、ヘルメット1は、変形可能なフォームライナー7により形成された内部層と、例えばキャップ体8により形成された可撓性接合手段と、複数の硬質のシェル断片9により形成された外部層とを備えている。シェル断片9は、キャップ体8に固定的に取り付けられ、且つ、キャップ体8により互いに関して関節状に連結されている。好ましくは編織材料又はエラストマーの特質を持つ可撓性材料から作られたキャップ体8は、フォームライナー7を覆い、且つ、シェル断片9の間での関節状の連結を確実にする。シェル断片9は、頭頂部断片9a、後頭部断片9b、四つの横側部断片9c及び前部断片9dを形成するような態様で、キャップ体8上に固定及び配列されている。図3に図示されたヘルメット1の特定の実施形態において、異なったシェル断片9は接合されておらず、且つ、互いに対して間隙10により分離されている。これらの分離間隙10は、ヘルメット1が使用者の頭部にはめられたときに、シェル断片9の非常に撓みやすい関節状の連結を確保する。 【0014】 キャップ体8は、ヘルメット1が使用者の頭部にぴったり合うようにされたときに、フォームライナー7とシェル断片9の一部との間で僅かな滑動を許容するような態様で、フォームライナー7に接合されている。フォームライナー7とキャップ体8との間の接合は、例えば、ヘルメット1の縁部の全体に沿ってフォームライナー7を包み込む、キャップ体8の縫い目により達成される。このような構成は、従って、フォームライナー7とキャップ体8(シェル断片9を支持し且つ関節状に連結するもの)との間の僅かな滑動を許容するものである。ヘルメット1の全体の可撓性が維持され、且つ、この僅かな滑動が、ヘルメット1が使用者の頭部にはめられたときに、ヘルメット1が容易に変形することを可能にする。」 図3 [図:0001388426000009.jpg] (2)甲3技術事項 【0013】及び【0014】の記載によれば、甲3には、以下の事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「ヘルメット1は、変形可能なフォームライナー7により形成された内部層と、キャップ体8により形成された可撓性接合手段と、複数の硬質のシェル断片9により形成された外部層とを備え、キャップ体8は、ヘルメット1が使用者の頭部にぴったり合うようにされたときに、シェル断片9の一部との間で僅かな滑動を許容すること。」 4 甲4について (1)記載事項 甲4には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「[0230] FIG. 44 presents a pictorial diagram of protective headgear in accordance with an embodiment of the present disclosure. In particular, protective headgear 900 in the form of a football helmet is presented. The protective headgear 900 includes a headgear body 904 that is wearable on a head of the wearer. The protective headgear 900 includes a top slot in a top portion of the headgear body 904 that runs from a front portion 903 of the headgear body that covers a forehead of the wearer to a back portion of the headgear body 907 that covers a back of the head of the wearer. In the example shown, the top slot is filled with a top piece 902 that slidably attaches to the headgear body to cover the top slot and to provide protection to the frontal lobe, cerebral cortex and parietal lobe of the wearer.」 (訳:[0230] 図44は、本開示の一実施形態による保護ヘッドギアの図を提示する。特に、フットボールヘルメットの形態の保護ヘッドギア900が掲示される。保護ヘッドギア900は、着用者の頭部に装着可能なヘッドギア本体904を含む。保護ヘッドギア900は、ヘッドギア本体904の上部に、着用者の額を覆うヘッドギア本体の前部903からの後頭部を覆うヘッドギア本体の後部907に至るトップスロットを含む。図示の例では、トップスロットはトップピース902で満たされ、トップピース902は、ヘッドギア本体に摺動可能に取り付けられてトップスロットを覆い、着用者の前頭葉、大脳皮質及び頭頂葉に保護を提供する。) 「[0256] FIG. 51 presents a pictorial diagram of protective headgear in accordance with an embodiment of the present disclosure. In particular protective headgear 920 presents a further example of protective headgear 900 that, in addition to top piece 902, includes a side slot in a side portion of the headgear body 924 that is covered by a side piece 922. The side piece 922 slidably attaches to the headgear body 924 and operates in a similar fashion to top piece 902 to diffuse energy from a side impact from either an upward or downward angle to the protective headgear by sliding in either direction 926 within the slide slot. While a single sidepiece is shown, the headgear body 920 can have a similar side piece on the opposite side (not expressly shown) and/or multiple side pieces on each side. In particular, the side piece 922 can provide protection to the amygdala, corpus callosum, hypothalamus, entorhinal cortex and hippocampus of the wearer.」 (訳:[0256] 本開示の一実施形態による保護ヘッドギアの図を示す。特に保護ヘッドギア920は、トップピース902に加えて、サイドピース922によって覆われるヘッドギア本体924の側部にサイドスロットを含む保護ヘッドギア900のさらなる例を示す。サイドピース922は、ヘッドギア本体924に摺動可能に取り付けられ、トップピース902と同様の方法で動作して、スライドスロット内でいずれかの方向926にスライドすることによって、保護ヘッドギアに対する上方又は下方のいずれかの角度からの側面衝突からのエネルギーを拡散する。単一のサイドピースが示されているが、ヘッドギア本体920は、反対側に同様のサイドピース(明示的に示されていない)及び/又は核側面に複数のサイドピースを有することができる。特に、サイドピース922は、着用者の扁桃体、脳梁、視床下部、及び海馬の保護を提供できる。) 図44 [図:0001388426000010.jpg] 図50A [図:0001388426000011.jpg] 図51 [図:0001388426000012.jpg] (2)甲4技術事項 [0230]、[0256]、図50A及び図51の記載によれば、甲4には、以下の事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「保護ヘッドギア920は、ヘッドギア本体924を含み、ヘッドギア本体924の上部のトップスロットに摺動可能に取り付けられるトップピース902と、ヘッドギア本体924の側部のサイドスロットに摺動可能に取り付けられるサイドピース922とを含むこと。」 第5 対比・判断 1 申立理由1 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「発泡クッション22」は、その機能や構造からみて、前者の「エネルギー吸収層」に相当し、以下同様に、「パネル28」は「比較的硬い層」に、「パネル26」と「パネル30」はそれぞれ「外側プレート」に、「パネル26及びパネル30」は「複数の外側プレート」に、「含」むことは「備え」ることに、「ヘルメット構造10」は「ヘルメット」に、それぞれ相当する。 後者の「発泡クッション22」が弾性的に圧縮可能であることを勘案すると、後者の「パネル28」は「発泡クッション22」より硬いことは明らかであるから、後者の「発泡クッション22の外側に設けられるパネル28」は、前者の「前記エネルギー吸収層の外側に形成され前記エネルギー吸収層よりも硬い比較的硬い層」に相当する。 後者において、「パネル26、30」の一方がパネル28に対して相対移動すると、「パネル26、30」の他方に対しても相対移動することを勘案すると、後者の「パネル26、30は、所定の最小力を超える力100の衝撃により、パネル28に対して相対移動する」ことは、前者の「前記外側プレートが、ある外側プレートに対する衝撃下でその外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動し且つ他の外側プレートに対して相対的に移動できるように、前記比較的硬い層に載置され」ることに相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1> 「エネルギー吸収層と、 前記エネルギー吸収層の外側に形成され前記エネルギー吸収層よりも硬い比較的硬い層と、 複数の外側プレートとを備え、 前記外側プレートが、ある外側プレートに対する衝撃下でその外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動し且つ他の外側プレートに対して相対的に移動できるように、前記比較的硬い層に載置された、ヘルメット。」 <相違点1-1> 外側プレートは、本件発明1では、「前記比較的硬い層の外側表面に載置された」ものであるのに対し、甲1発明では、「側壁50a、50bを有し、側壁50a、50bの間に、パネル28の各側面66の外側タブ70a~dが嵌め込まれて」、取り外し可能なリベット38により接続されるものである点。 <相違点1-2> 本件発明1は、「前記比較的硬い層の前記外側表面と前記外側プレートの表面の少なくとも一部との間に、ある外側プレートに対する衝撃下で前記比較的硬い層の前記外側表面と接触する低摩擦接触部が設けられた」ものであるのに対し、甲1発明は、そのような構成が特定されていない点。 イ 相違点についての判断 まずは、相違点1-1について検討する。 相違点1-1は、物理的構造に基づく相違点であるから、実質的な相違点であり、よって、本件発明1は、甲1発明ではない。 また、甲1発明において、相違点1-1に係る本件発明1の構成とするためには、パネル26、30の側壁50a、50bのうち、側壁50bのみを削除する必要がある。甲1には、パネル26、30から側壁50bのみを削除してよいことについては、何ら記載されておらず、示唆もない。そして、甲1発明において、パネル26、30の側壁50a、50bの間に、パネル28の各側面66の外側タブ70a~dが嵌め込まれて、取り外し可能なリベット38により接続されることが、ヘルメットとして必要な強度を得るための構成の1つであると認められるところ、パネル26、30から側壁50bのみを削除してよいことを認めるに足る合理的な理由を見いだせない。 よって、甲1発明において、相違点1-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、相違点1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件発明2~24について 本件発明2~24は、本件発明1の全ての構成を有し、本件発明1の構成を更に限定するものであるから、上記(1)で説示したとおり、本件発明2~5、7、8、13、15、17、18、20~22及び24も甲1発明ではなく、本件発明2~24も、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 申立理由2 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比すると、後者の「内層3’」は、その機能や構造から、前者の「エネルギー吸収層」に相当し、以下同様に、「外層3”」は「比較的硬い層」に、「外部シェル2」は「外側プレート」に、「有」することは「備え」ることに、「斜め方向の衝撃Kを受けたとき」は「衝撃下」に、「防護ヘルメット1」は「ヘルメット」に、それぞれ相当する。 後者の「スライド層4」は、甲2の【0027】等の記載に示されるように、2つの部材の間に位置し、2つの部材の相互変位を円滑にする層であり、その摩擦は低めであるのは明らかであるから、前者の「低摩擦接触部」に相当する。 後者の「内層3’の外側に設けられ」ることは、前者の「前記エネルギー吸収層の外側に形成され」ることに相当し、後者の「より硬質の比較的薄い外層3”」は、前者の「前記エネルギー吸収層よりも硬い比較的硬い層」に相当する。 後者の「外層3”の外側に設けられる外部シェル2」は、前者の「前記比較的硬い層の外側表面に載置された複数の外側プレート」と、「前記比較的硬い層の外側表面に載置された外側プレート」という点で共通する。 後者の「外部シェル2は、斜め方向の衝撃Kを受けたときに、外層3”に対して移動できるように、外層3”の外側に設けられ」ることは、前者の「前記外側プレートが、ある外側プレートに対する衝撃下でその外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動し且つ他の外側プレートに対して相対的に移動できるように、前記比較的硬い層に載置され」ることと、「前記外側プレートが、ある外側プレートに対する衝撃下でその外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動できるように、前記比較的硬い層に載置され」ることという点で共通する。 後者の「スライド層4」は、外部シェル2と外層3”との間に配置され、外部シェル2が斜め方向の衝撃Kを受けたときに、外層3”に接触することは明らかであるから、後者の「外部シェル2と外層3”との間にスライド層4が配置される」ことは、前者の「前記比較的硬い層の前記外側表面と前記外側プレートの表面の少なくとも一部との間に、ある外側プレートに対する衝撃下で前記比較的硬い層の前記外側表面と接触する低摩擦接触部が設けられた」ことに相当する。 以上によれば、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点2> 「エネルギー吸収層と、 前記エネルギー吸収層の外側に形成され前記エネルギー吸収層よりも硬い比較的硬い層と、 前記比較的硬い層の外側表面に載置された外側プレートとを備え、 前記外側プレートが、ある外側プレートに対する衝撃下でその外側プレートが前記比較的硬い層に亘って摺動できるように、前記比較的硬い層に載置され、 前記比較的硬い層の前記外側表面と前記外側プレートの表面の少なくとも一部との間に、ある外側プレートに対する衝撃下で前記比較的硬い層の前記外側表面と接触する低摩擦接触部が設けられた、ヘルメット。」 <相違点2> 本件発明1では、外側プレートは、「複数」であり、ある外側プレートに対する衝撃下で「他の外側プレートに対して相対的に移動できるように」、前記比較的硬い層に載置されるのに対し、甲2発明では、外部シェル2は「1つ」で、外層3”の外側に設けられる点。 (2)相違点2についての判断 甲3技術事項(上記「第4 3(2)」)の「シェル断片9」は、ヘルメット1が使用者の頭部にぴったり合うようにされたときに、フォームライナー7との間で僅かな滑動をするものであり、外部から衝撃を受けたときに、その衝撃を緩和するために、フォームライナー7との間で滑動をするものではないので、本件発明1の「外側プレート」に相当するものとは認められない。 よって、甲2発明に甲3技術事項を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成とならないことは明らかである。 また、甲2発明に甲4技術事項を適用して、相違点2に係る本件発明1の構成とするためには、少なくとも、甲2発明の「外部シェル2」を、甲4技術事項の「トップピース902」と「サイドピース922」に置き換える必要があるところ、甲2発明の「外部シェル2」は、防護ヘルメット1の外面全体にわたるものであり、防護ヘルメット1への外からの衝撃を全て受け得るものであるのに対し、甲4技術事項の「トップピース902」と「サイドピース922」は、それぞれ、ヘッドギア本体924の上部の一部に形成されたトップスロットを覆うものと、ヘッドギア本体924の側部の一部に形成されたサイドスロットを覆うものであり、ヘッドギア本体924への外からの衝撃を全ては受け得るものではないから、甲4技術事項の「トップピース902」と「サイドピース922」による機能は、甲2発明の「外部シェル2」による機能と同等ではなく、衝撃を受け止める部分の全体に対する割合という点で劣るものである。 そして、機能が劣ることになるにもかかわらず、甲2発明の「外部シェル2」を、甲4技術事項の「トップピース902」と「サイドピース922」に置き換えることがよいと認めるに足る合理的な理由を見いだせないから、甲2発明に甲4技術事項を適用して、甲2発明の「外部シェル2」を、甲4技術事項の「トップピース902」と「サイドピース922」に置き換えることに動機付けがあるとは認められない。 よって、甲2発明に甲4技術事項を適用して、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、甲2発明、及び、甲3、4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 なお、甲5~10にも、相違点2に係る本件発明1の構成についての記載も示唆も見いだせないから、本件発明1は、甲2発明及び甲3~10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件発明2~24について 本件発明2~24は、本件発明1の全ての構成を有し、本件発明1の構成を更に限定するものであるから、上記(1)で説示したとおり、本件発明2~24も、甲2発明及び甲3~10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上によれば、特許異議の申立理由及び証拠によっては、請求項1~24に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700420

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