特許拒絶査定不服審判
2022-020294
誤り率測定装置及びエラーカウント方法
- 審判番号
- 2022-020294
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-052350外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年12月14日
- 審決日
- 2023年10月25日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .537-Z (H04L) / P18 .561-Z (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条、特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 52350「誤り率測定装置及びエラーカウント方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月30日出願公開、特開2021-153226〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月24日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 4年 5月24日付け 拒絶理由通知書
7月13日 意見書・手続補正書
10月19日付け 拒絶査定
12月14日 審判請求書・手続補正書
以下では、令和4年10月19日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年7月13日の手続補正書による補正を「前回補正」といい、同年12月14日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正前の請求項1の記載
本件補正前の、前回補正で補正された請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
既知パターンのPAM4信号をテスト信号として被測定物(W)に入力し、前記テスト信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受信し、受信した信号と前記テスト信号との比較結果に基づいて前記被測定物のFEC(Forward Error Correction)動作が可能か否かを測定する誤り率測定装置(1)であって、
前記被測定物の通信規格に応じて前記FECの1Codeword長、1FEC Symbol長を設定する操作部(4)と、
前記被測定物からの信号を受信して変換されたシンボル列データを記憶する記憶部(5)と、
前記記憶部に記憶されたシンボル列データを最上位ビット列データと最下位ビット列データに分割するデータ分割手段(3da)と、
前記データ分割手段にて分割した最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれをエラーデータと比較して前記操作部で設定された前記1Codeword長ごとの最上位ビットエラーと最下位ビットエラーをそれぞれ検出するとともに、前記操作部で設定された前記1FEC Symbol長の間隔で前記最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれのFEC Symbol Errorを検出するデータ比較部(3d)と、
前記データ比較部にて検出した最上位ビットエラーと最下位ビットエラーを別々にカウントするとともに、前記最上位ビット列データと前記最下位ビット列データそれぞれの前記FEC Symbol Errorを別々にカウントするエラーカウント手段(7a)と、を備えたことを特徴とする誤り率測定装置。」
(2)本件補正後の請求項1の記載
本件補正後の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
「【請求項1】
既知パターンのPAM4信号をテスト信号として被測定物(W)に入力し、前記テスト信号の入力に伴う前記被測定物からの信号を受信し、受信した信号と前記テスト信号との比較結果に基づいて前記被測定物のFEC(Forward Error Correction)動作が可能か否かを測定する誤り率測定装置(1)であって、
前記被測定物の通信規格に応じて前記FECの1Codeword長、1FEC Symbol長を設定する操作部(4)と、
前記被測定物からの信号を受信して変換されたシンボル列データを記憶する記憶部(5)と、
前記記憶部に記憶されたシンボル列データを最上位ビット列データと最下位ビット列データに分割するデータ分割手段(3da)と、
前記データ分割手段にて分割した最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれを、エラーを示すビットデータであるエラーデータと比較して前記操作部で設定された前記1Codeword長ごとの最上位ビットエラーと最下位ビットエラーをそれぞれ検出するとともに、前記操作部で設定された前記1FEC Symbol長の間隔で前記最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれのFEC Symbol Errorを検出するデータ比較部(3d)と、
前記データ比較部にて検出した最上位ビットエラーと最下位ビットエラーを別々にカウントするとともに、前記最上位ビット列データと前記最下位ビット列データそれぞれの前記FEC Symbol Errorを別々にカウントするエラーカウント手段(7a)と、を備えたことを特徴とする誤り率測定装置。」
2 本件補正の目的
請求項1の記載について、拒絶理由通知書では「請求項1の「エラーデータ」に係る記載は、以下の(a)~(d)に示すように、極めて不明確であり、発明を明確に特定できない。」との拒絶理由が示され、原査定でも同様に「請求項1の「エラーデータ」に係る記載は不明確であり、発明を明確に特定できない。」との拒絶理由が示された。
前記拒絶理由を受けて、請求人は、「令和4年12月14日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1,2(当審注:「1,3」の誤記と認める。)の補正事項は、「エラーデータ」を明確にするため、出願当初明細書の段落番号[0035]の記載などに基づくものであります。」(審判請求書5頁)と主張する。
以上の経緯を踏まえると、請求項1に係る本件補正は、「エラーデータ」に対して「エラーを示すビットデータである」との説明を付加するから、請求項1に係る本件補正は、特許法17条の2第5項4号の「明りようでない記載の釈明」を目的とするものと認められる。
3 本件補正における新規事項追加の有無
前記2のとおり、本件補正は、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータである」という事項を導入するものである。
しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータである」ことを直接記載した箇所はない。
そこで、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータである」ことが導かれるか否かを以下で判断する。
(1)当初明細書等の記載事項
ア 当初明細書等には、次の記載がある。なお、下線は強調のため、当審で付した。
(ア)「【0020】
第1信号発生部2aは、固定データを含む既知パターンからなる所望のPAM4シンボル列を発生するにあたり、第2信号発生部2bが生成する最下位ビット列信号(LSB:Least Significant Bit )と足し合わせてPAM4信号を生成するための最上位ビット列信号(MSB:Most Significant Bit)を生成する。
【0021】
第2信号発生部2bは、第1信号発生部2aが生成する最上位ビット列信号と足し合わせてPAM4信号を生成するための最下位ビット列信号を生成する。
【0022】
第1信号発生部2a、第2信号発生部2bが発生する具体的なビット列信号としては、例えばPRBS7(パターン長:27 -1)、PRBS9(パターン長:29 -1)、PRBS10(パターン長:210-1)、PRBS11(パターン長:211-1)、PRBS15(パターン長:215-1)、PRBS20(パターン長:220-1)などの各種疑似ランダムパターン(PRBS:Pseudo Random Bit Sequence)といった周期パターンや、PRBS13Q、PRBS31Q、SSPRQなどのPAMを評価するための評価用パターンがある。
【0023】
信号合成出力部2cは、第1信号発生部2aが発生する最上位ビット列信号と第2信号発生部2bが発生する最下位ビット列信号とを足し合わせてPAM4信号を出力する。このPAM4信号は、被測定物Wの誤り率などを測定する際、既知パターンのテスト信号として被測定物Wに入力される。
【0024】
なお、テスト信号に挿入するエラーは任意である。例えば被測定物WのFECエラー耐性を調べる場合には任意のFEC Symbol Errorが挿入される。また、被測定物Wの耐性確認をする場合にはエラーを挿入し、被測定物Wが他の任意のテスト信号でエラー確認する場合にはエラーを挿入せずにキャプチャ機能で確認する。」
(イ)「【0027】
信号受信部3aは、被測定物Wに入力したテスト信号がPAM4信号の場合、被測定物Wから受信したPAM4信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしてシンボル列データ(0、1、2、3のシンボル値からなるシンボルの列のデータ)に変換する。この信号受信部3aにて変換されたシンボル列データは、同期検出部3bに入力される。」
(ウ)「【0029】
同期検出部3bは、被測定物Wに入力したテスト信号がPAM4信号の場合、操作部4にて予め設定される設定タイミングにより、記憶部5から読み込んだ基準となるPAM4信号のシンボル列のデータである基準データと、被測定物Wから受信して信号受信部3aから出力されるPAM4信号のシンボル列データとの同期を取って取り込み、取り込んだ入力データとなるシンボル列データをデータ比較部3dに出力する。」
(エ)「【0035】
データ比較部3dは、被測定物Wに入力したテスト信号がPAM4信号の場合、同期検出部3bにて設定タイミングで基準データ(テスト信号)と同期を取って取り込んだシンボル列データの1FEC Symbol(10bitまたは20bit)の先頭を捉えて最上位ビット列データ(以下、MSBデータと言う)と最下位ビット列データ(以下、LSBデータと言う)にデータ分割手段3daにて分割し、MSBデータとLSBデータそれぞれをエラーデータ(「1」)と比較して1Codeword長ごとの最上位ビットエラー(以下、MSBエラーと言う)と最下位ビットエラー(以下、LSBエラーと言う)をそれぞれ検出する。すなわち、分割されたMSBデータが「1」であればMSBエラーとして検出してカウントし、分割されたLSBデータが「1」であればLSBエラーとして検出する。なお、シンボル列データの1FEC Symbolの先頭は、データ比較部3dのカウンタを自走させて先頭を仮定することで検出している。」
イ 前記アの記載によれば、当初明細書等には、テスト信号を作成してからエラーを検出するまでの動作として、以下の動作が記載されている。
動作1 信号合成出力部2cは、最上位ビット列信号と最下位ビット列信号とを足し合わせてPAM4信号を出力する。このPAM4信号は、既知パターンのテスト信号として被測定物Wに入力される。テスト信号に挿入するエラーは任意である。
動作2 信号受信部3aは、被測定物Wから受信したPAM4信号をサンプリングしてシンボル列データに変換する。
動作3 同期検出部3bは、基準データと、被測定物Wから受信して信号受信部3aから出力されるPAM4信号のシンボル列データとの同期を取って取り込み、取り込んだ入力データとなるシンボル列データをデータ比較部3dに出力する。
動作4 データ比較部3dは、基準データ(テスト信号)と同期を取って取り込んだシンボル列データの1FEC Symbolの先頭を捉えてMSBデータとLSBデータに分割し、MSBデータとLSBデータそれぞれをエラーデータ(「1」)と比較してMSBエラーとLSBエラーをそれぞれ検出する。すなわち、分割されたMSBデータが「1」であればMSBエラーとして検出してカウントし、分割されたLSBデータが「1」であればLSBエラーとして検出する。
(2)「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータ」であるか否かの判断
当初明細書等における「エラーデータ」は、「シンボル列データ」を分割した「MSBデータ」及び「LSBデータ」と比較されることにより、「MSBエラー」及び「LSBエラー」を検出するものである(動作4)。つまり、「エラーデータ」は、エラーを検出するために用いられるデータであるから、エラーが検出されていない段階で存在するデータである。
そうすると、エラーが検出されていない段階で存在する「エラーデータ」は、検出されていないエラーを示すことが不可能であるから、「エラーを示すビットデータ」ではあり得ない。
なお、検出される前の「エラー」は「テスト信号に挿入」され得る(動作1)ものの、動作1~動作4を総合的に見ると、「テスト信号」に「エラー」が挿入されているか否かによらず、当該信号は「テスト信号」と呼ばれており、当該信号は、「基準データ」と同じものであって(動作4)、「エラーデータ」とは異なると解される。
そうすると、「エラー」を挿入された「テスト信号」(「基準データ」)は、「エラーデータ」とは異なるデータであると解される。
また、当初明細書等のその余の部分を参照しても、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータ」であることを伺わせる記載はない。
(3)新規事項追加の有無
前記(2)によれば、本件補正によって導入された「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータである」という事項は、当初明細書等のすべての記載を総合しても導くことはできない。
したがって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項(すなわち、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータである」という事項)を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項の規定に違反する。
(4)請求人の主張についての判断
請求人は、「令和4年12月14日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1,2(当審注:「1,3」の誤記と認める。)の補正事項は、「エラーデータ」を明確にするため、出願当初明細書の段落番号[0035]の記載などに基づくものであります。」(審判請求書5頁)と主張する。
しかしながら、前記(1)~(3)のとおり、当初明細書等の【0035】等を参照しても、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータである」ことは導かれないので、請求人の主張は採用できない。
4 本件補正についての小括
前記3のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は前記第2のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に示した請求項1に記載されたとおりのものと認める。
第4 原査定の概要
原査定の概要は、以下のとおりである。
意見書及び手続補正書の内容を考慮しても、拒絶理由通知書で理由1(1
)として示した記載不備が解消していない。
すなわち、
1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記(1)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1の「エラーデータ」に係る記載は、以下の(a)~(d)に示すように、極めて不明確であり、発明を明確に特定できない。
(a)請求項1には「前記データ分割手段にて分割した最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれをエラーデータと比較して前記操作部で設定された前記1Codeword長ごとの最上位ビットエラーと最下位ビットエラーをそれぞれ検出する」との記載があるが、そもそも、ここでいう「エラーデータ」とは、どのようにして得られた、どのようなデータであるのか不明である。
(b)上記(a)の点が不明確であることも手伝って、(受信データ(に由来するデータ。以下同様)と正常データを比較して受信データがエラーかどうかを検出する、というのであればともかく)、受信データとエラーデータとを比較して、エラーを検出するとは、一体どういうことなのか明確ではない。
(c)請求項1に記載された、「テスト信号」と「エラーデータ」との関係が明らかではない。
(d)上記(c)の点が不明確であることも手伝って、「受信した信号と前記テスト信号との比較結果に基づいて」との記載における「比較」と、「前記データ分割手段にて分割した最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれをエラーデータと比較して」との記載における「比較」との関係(異同や包含関係など)が明らかではなく、発明全体の構成及び動作を明確に特定できない。
請求項3も同様。
よって、請求項1、3に係る発明及び請求項1、3を引用する請求項2、4に係る発明は、明確ではない。
第5 特許請求の範囲の記載不備の有無についての判断
1 特許請求の範囲の記載について
請求項1の「エラーデータ」という語は、その記載のみからは、「エラーを示すデータ」を意味するのか、「エラーを含むデータ」を意味するのか、それ以外を意味するのかが明らかではない。
また、特許請求の範囲の記載全体を参照しても、「エラーデータ」がどのようなデータであるかは理解できない。
請求項1には、「前記データ分割手段にて分割した最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれをエラーデータと比較して前記操作部で設定された前記1Codeword長ごとの最上位ビットエラーと最下位ビットエラーをそれぞれ検出する」との記載があるが、当該記載に対応する発明の詳細な説明の【0035】を参照しても、以下の2のとおり、「エラーデータ」がどのようなデータであるのかは理解できない。
2 発明の詳細な説明の記載について
請求項1の「エラーデータ」について、本願の発明の詳細な説明の全体を参照しても、「エラーデータ」がどのようにして作成されるのか、どのような性質を持つデータなのかが説明されていない。
また、前記第2[理由]3(2)のとおりであるから、本願の発明の詳細な説明を参照しても、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータ」であるとは解されず、かつ、「エラーデータ」が「テスト信号」ないし「基準データ」と同一であるとも解されない。(なお、発明の詳細な説明は前回補正で補正されているが、前回補正で補正された【0007】~【0010】の記載内容は、それぞれ請求項1~4の記載内容と同等である。)
仮に、「エラーデータ」がエラーを示す信号であるとしても、当該エラーデータは、被測定物Wから得られた「シンボル列データ」を分割した「MSBデータ」及び「LSBデータ」と比較することでエラーが検出されるという動作(動作4)と整合しない。すなわち、エラーを示す信号(「基準データ」とは異なる信号)と受信した信号とを比較したところで、エラーは検出できない。
以上によれば、請求項1の「エラーデータ」は不明確であり、「エラーデータ」を発明特定事項として含む請求項1に係る発明は、明確であるとはいえないから、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法36条6項2号の規定に違反する。
3 請求人の主張について
(1)「エラーデータ」について
請求人の主張によれば、「エラーデータ」は、どのビットが誤っているかを示すデータであり、被測定物からの受信信号とテスト信号(基準信号)との排他的論理和(EX-OR)を取ることで生成するものである。(意見書2~3頁)
しかしながら、「エラーデータ」が受信信号とテスト信号との排他的論理和を取ることで生成するものとの説明は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明に記載されておらず、請求人の主張は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明によって裏付けられていない。
また、仮に、エラーデータが請求人の主張のとおりに生成されたものであるとして、そのようにして生成されたエラーデータと、「最上位ビット列データ」及び「最下位ビット列データ」(発明の詳細な説明のMSBデータ及びLSBデータ、すなわち、シンボル列データ)とを比較しても、エラーは検出できない(エラーはエラーデータとして検出済みである)。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(2)「エラーデータ」の「比較」について
ア 請求人は、請求項1に記載された「エラーデータ」の「比較」について、以下の(ア)~(ウ)を主張する。
(ア)「受信した信号と前記テスト信号との比較結果に基づいて」との記載における「比較」は、「エラーデータ」を生成するために、被測定物からの受信信号とテスト信号の排他的論理和(EX-OR)を取ることに相当する。(意見書3頁)
(イ)「前記データ分割手段にて分割した最上位ビット列データと最下位ビット列データそれぞれをエラーデータと比較して」との記載における「比較」は、被測定物からの受信信号を最上位ビット列データと最下位ビット列データに変換したうえ、それぞれ最上位ビット列データと最下位ビット列データに対応する「エラーデータ」とを表示上で重ね合わせて相違ビットを強調表示することに相当する。(意見書3頁)
(ウ)「エラーデータ」は、被測定物Wに入力したテスト信号がPAM4信号の場合、出願当初明細書の段落番号[0035]に記載されているように、最上位ビット列データと最下位ビット列データの各ビットと比較してエラーを検出するためのエラーを示すビットデータであり、例えばエラーデータが「1」のとき、最上位ビット列データのビットが「1」であればエラーとして検出する。(審判請求書6頁)
イ(ア)前記ア(ア)の主張について検討すると、請求項1には「受信した信号と前記テスト信号との比較結果に基づいて前記被測定物のFEC(Forward Error Correction)動作が可能か否かを測定する」と記載されているのみであり、当該記載における「比較」が「受信信号とテスト信号の排他的論理和(EX-OR)を取ることに相当する」ことは記載されていない。
加えて、発明の詳細な説明にも、受信信号とテスト信号との比較が両者の排他的論理和であるとは説明されていない。
なお、受信信号のエラーを検出するために、受信信号とテスト信号との排他的論理和を取ることは周知技術ではあるが、そのようにして作成されたデータが請求項1の「エラーデータ」であると仮定すると、前記2のとおり、当該「エラーデータ」とシンボル列データ(受信信号)とを比較する動作と整合しないため、前記仮定は採用できない。
以上によれば、前記ア(ア)に示した請求人の主張は採用できない。
(イ)前記ア(イ)の主張について検討すると、請求人は、「前回意見書(令和4年7月13日付け提出)の被測定物からの受信信号と「エラーデータ」を表示上で重ね合わせて相違ビットを強調表示する旨、また、それぞれ最上位ビット列データと最下位ビット列データに対応する「エラーデータ」とを表示上で重ね合わせて相違ビットを強調表示することに相当する旨の記載は、錯誤により誤っておりましたため、これらの記載を取り消させていただきます。」(審判請求書6頁)と主張するので、前記ア(イ)の主張は採用できない。
(ウ)前記ア(ウ)の主張について検討すると、前記第2[理由]3(2)に示すように、「エラーデータ」は「エラーを示すビットデータ」はないため、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータ」であることを前提とする前記主張は、前提において失当である。
また、前記主張における「エラーデータが「1」のとき、最上位ビット列データのビットが「1」であればエラーとして検出する」という動作は、前記2のとおり、「エラーデータ」が「エラーを示すビットデータ」であることと整合しない。
したがって、前記ア(ウ)の主張は採用できない。
第6 むすび
前記第5のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法36条6項2号の規定に違反する。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-020294