特許拒絶査定不服審判
2022-019206
熱交換器及び熱交換器の製造方法
- 審判番号
- 2022-019206
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-209823外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月29日
- 審決日
- 2023年07月24日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (F28F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-209823「熱交換器及び熱交換器の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月21日出願公開、特開2020- 76537、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年11月7日の出願であって、その手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和 4年 7月 7日付け:拒絶理由通知書
同 年 9月 2日 :意見書、手続補正書の提出
同 年 9月15日付け:拒絶査定
同 年11月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年 1月30日 :上申書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年9月15日付け拒絶査定)の概要は、以下のとおりである。
1.本願の請求項1~2に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.本願の請求項1~4に係る発明は、下記の引用文献1~3に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
理由1
・請求項1~2に係る発明に対して:引用文献1
理由2
・請求項1~2に係る発明に対して:引用文献1
・請求項3~4に係る発明に対して:引用文献1~3
<引用文献等一覧>
1.特開2012-251735号公報
2.特開2018-54272号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2004-358483号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明3」という。)は、令和4年11月29日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、以下のとおりである。
「【請求項1】
伝熱管(20)と、該伝熱管(20)の端部に接合されたヘッダ(16)とを備えた熱交換器であって、
前記ヘッダ(16)における前記伝熱管(20)との接合面(17)は、空気流通方向の上流側及び下流側の少なくとも一方に面するように、該伝熱管(20)が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜しており、
前記伝熱管(20)は、空気流通方向に並んで複数列配置され、
前記ヘッダ(16)は、前記複数列の伝熱管(20)毎に独立して複数設けられ、
前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含み、
前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
伝熱管(20)と、該伝熱管(20)の端部に接合されたヘッダ(16)とを備えた熱交換器の製造方法であって、
前記ヘッダ(16)における前記伝熱管(20)との接合面(17)は、空気流通方向の上流側及び下流側の少なくとも一方に面するように、該伝熱管(20)が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜しており、
前記伝熱管(20)は、空気流通方向に並んで複数列配置され、
前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含み、
前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置され、
前記ヘッダ(16)の接合面(17)に前記伝熱管(20)を接続する工程と、
前記ヘッダ(16)の上流側及び下流側の接合面(17)に対向するように熱源(50)をそれぞれ配置する工程と、
前記熱源(50)によって前記ヘッダ(16)の接合面(17)を加熱して、前記伝熱管(20)と該ヘッダ(16)とを接合材(15)によって接合する工程とを備えたことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記伝熱管(20)を、フィン(30)と交差するように配置する工程と、
前記伝熱管(20)を拡張させる拡管及び接合材を用いた接合のうち少なくとも一方によって、該フィン(30)を該伝熱管(20)に固定する工程とを備えたことを特徴とする熱交換器の製造方法。」
第4 引用文献1の記載事項
1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある。(下線は、参考のために当審が付した。また、「・・・」は、記載の省略を意味する。以下同様。)
(1) 「【0001】
本発明は、車両用空調装置の冷媒回路に用いて好適な熱交換器に関する。」
(2) 「【0005】
近年、燃費向上の観点から車両の軽量化が促進され、これに伴い上記熱交換器の軽量化も求められている。特に上記ヘッダダンクは冷媒の高圧に耐えうる耐圧強度を確保するべく重厚化する傾向があるため、ヘッダタンクの薄肉化、ひいては軽量化が課題となっている。
また、上記従来技術では上記溝部を形成した結果、ヘッダタンクの上側外面に凹部が形成され、ヘッダタンクの外形が複雑な形状とならざるを得ず、ヘッダタンクに対する熱交換器の他の構成部品の接合が困難になり、熱交換器の生産性が低下するとの問題がある。」
(3) 「【0016】
以下に本発明の一実施形態に係る熱交換器1について図面を参照して説明する。
図1は熱交換器1の斜視図を示している。例えば、熱交換器1は図示しない車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する冷媒回路に組み込まれ、当該空調装置の運転時にはエバポレータとして使用される。熱交換器1は、冷媒Rの冷媒流路を形成する多数のチューブ2が上下方向に配され、各チューブ2間にはコルゲートフィン(フィン)4(部分的にのみ示す)が接合され、フィン4は熱交換器1における外気Aの通風流路を形成し、各チューブ2内を流れる冷媒Rと外気Aとの熱交換を促進する。チューブ2とフィン4とは交互に配列され、その左右両側面をサイドプレート6で覆うことにより熱交換のコア部8が形成される。
【0017】
コア部8の上下両端では、各チューブ2の上端部、下端部がそれぞれ上側ヘッダタンク(ヘッダタンク)10、下側ヘッダタンク(ヘッダタンク)12に接続される。上側及び下側ヘッダタンク10,12内には、各タンク10,12の長手方向に各チューブ2による冷媒流路と連通された各空間14,16がそれぞれ形成されている。各空間14,16はそれぞれ各チューブ2の配列方向、即ち上側及び下側ヘッダタンク10,12の長手方向に延設される上側及び下側タンクプレート(タンクプレート)18,20によって区画されている。」
(4) 「【0022】
図3、4は下側ヘッダタンク12の横断面をそれぞれ上側及び下側から見た斜視図である。下側ヘッダタンク12(以下、単にヘッダタンク12と称することもある)は、チューブ2が接続される断面視皿形状の上側プレート30と、同じく断面視皿形状の下側プレート32とを接合することにより空間16を形成している。下側プレート32の上端開口部は上側プレート30の下端開口部の内面に嵌め込まれて接合部34を形成する。」
(5) 「【0026】
図5はヘッダタンク12の横断面を示した断面図である。上側プレート30の上側外面は区画位置36を起点に外気Aが通風される前後両方向に下方に傾斜した平面(斜面)46をなして形成されている。一方、下側プレート32の下側外面は区画位置36を起点に外気Aが通風される前後両方向に若干湾曲しながら上方に傾斜した曲面48をなして形成される。
・・・
【0028】
また、従来は、ヘッダタンク12の外形が複雑な形状となった結果生じた凹部に凝縮水が溜まって排水性が悪化することにより、ヘッダタンク12の腐食を招いたり、或いは、溜まった凝縮水の着霜によって熱交換器1の熱効率の悪化が生じていた。しかし、ヘッダタンク12の上側外面が区画位置36を起点に下方に傾斜した平面46をなすことにより、チューブ2及びヘッダタンク12で結露した凝縮水の排水性を大幅に高めることができる。従って、排水性の悪化に伴うヘッダタンク12の腐食を防止して熱交換器1の耐久性を向上することができ、また、溜まった凝縮水による着霜を防止して熱交換器1の熱効率を向上することができる。」
(6) 「【図1】
[図:0001400337000001.jpg]
」
(7) 「【図5】
[図:0001400337000002.jpg]
」
2 上記記載から、引用文献1には、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
(1) 上記(7)から、チューブ2は、外気Aが通風される方向に並んで2列配置されていることが看取される。
(2) 上記(4)、(5)及び(7)から、下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2が接続されており、斜面46は、外気Aが通風される方向の上流側及び下流側に面するように、チューブ2が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜していることが把握される。また、下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2が接続されているということは、熱交換器1を製造する際に、下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2を接続する工程を備えると認められる。
(3) 上記(4)、(5)及び(7)から、下側ヘッダタンク12は、外気Aが通風される方向の上流側に面するように傾斜した上流側の斜面46と、下流側に面するように傾斜した下流側の斜面46とを含むことが把握される。
3 上記1及び2から、引用文献1には、以下の発明(以下、それぞれ「引用発明1-1」、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明1-1>
「チューブ2と、各チューブ2の上端部、下端部がそれぞれ接続される上側ヘッダタンク(ヘッダタンク)10、下側ヘッダタンク(ヘッダタンク)12とを備えた熱交換器1であって、
下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2が接続されており、斜面46は、外気Aが通風される方向の上流側及び下流側に面するように、チューブ2が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜しており、
チューブ2は、外気Aが通風される方向に並んで2列配置され、
上側及び下側ヘッダタンク10,12内にそれぞれ形成された各空間14,16は、上側及び下側ヘッダタンク10,12の長手方向に延設される上側及び下側タンクプレート(タンクプレート)18,20によって区画され、
下側ヘッダタンク12は、外気Aが通風される方向の上流側に面するように傾斜した上流側の斜面46と、下流側に面するように傾斜した下流側の斜面46とを含む熱交換器1。」
<引用発明1-2>
「チューブ2と、各チューブ2の上端部、下端部がそれぞれ接続される上側ヘッダタンク(ヘッダタンク)10、下側ヘッダタンク(ヘッダタンク)12とを備えた熱交換器1の製造方法であって、
下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2が接続されており、斜面46は、外気Aが通風される方向の上流側及び下流側に面するように、チューブ2が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜しており、
チューブ2は、外気Aが通風される方向に並んで2列配置され、 下側ヘッダタンク12は、外気Aが通風される方向の上流側に面するように傾斜した上流側の斜面46と、下流側に面するように傾斜した下流側の斜面46とを含み、
上側及び下側ヘッダタンク10,12内にそれぞれ形成された各空間14,16は、上側及び下側ヘッダタンク10,12の長手方向に延設される上側及び下側タンクプレート(タンクプレート)18,20によって区画され、
下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2を接続する工程を備える熱交換器1の製造方法。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明1-1とを対比する。
ア 引用発明1-1の「チューブ2」は、本願発明1の「伝熱管(20)」に相当し、引用発明1-1の「上側ヘッダタンク(ヘッダタンク)10、下側ヘッダタンク(ヘッダタンク)12」は、本願発明1の「ヘッダ(16)」に相当し、引用発明1-1の「熱交換器1」は、本願発明1の「熱交換器」に相当する。
そうすると、引用発明1-1の「チューブ2と、各チューブ2の上端部、下端部がそれぞれ接続される上側ヘッダタンク(ヘッダタンク)10、下側ヘッダタンク(ヘッダタンク)12とを備えた熱交換器1」は、本願発明1の「伝熱管(20)と、該伝熱管(20)の端部に接合されたヘッダ(16)とを備えた熱交換器」に相当する。
イ 引用発明1-1の「下側ヘッダタンク12の斜面46」は、「チューブ2が接続され」る部分であるから、上記アの相当関係を加味すると、本願発明1の「前記ヘッダ(16)における前記伝熱管(20)との接合面」に相当する。引用発明1-1の「外気Aが通風される方向」は、本願発明1の「空気流通方向」に相当する。
そうすると、引用発明1-1の「下側ヘッダタンク12の斜面46にチューブ2が接続されており、斜面46は、外気Aが通風される方向の上流側及び下流側に面するように、チューブ2が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜して」いることは、上記アの相当関係を加味すると、本願発明1の「前記ヘッダ(16)における前記伝熱管(20)との接合面は、空気流通方向の上流側及び下流側の少なくとも一方に面するように、該伝熱管(20)が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜して」いることに相当する。
ウ 引用発明1-1の「チューブ2は、外気Aが通風される方向に並んで2列配置され」ることは、引用発明1-1の「チューブ2」が本願発明1の「伝熱管(20)」に相当し、引用発明1-1の「外気Aが通風される方向」が本願発明1の「空気流通方向」に相当するから、本願発明1の「前記伝熱管(20)は、空気流通方向に並んで複数列配置され」ることに相当する。
エ 引用発明1-1の「下側ヘッダタンク12は、外気Aが通風される方向の上流側に面するように傾斜した上流側の斜面46と、下流側に面するように傾斜した下流側の斜面46とを含む」ことと、本願発明1の「前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含」むこととは、上記ア及びイの相当関係を加味すると、「前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)」「と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)」とを含むことの限りにおいて一致する。
オ 上記ア~エを総合すると、本願発明1と引用発明1-1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「伝熱管(20)と、該伝熱管(20)の端部に接合されたヘッダ(16)とを備えた熱交換器であって、
前記ヘッダ(16)における前記伝熱管(20)との接合面(17)は、空気流通方向の上流側及び下流側の少なくとも一方に面するように、該伝熱管(20)が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜しており、
前記伝熱管(20)は、空気流通方向に並んで複数列配置され、
前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)とを含む熱交換器。」
<相違点1>
ヘッダの構成に関して、本願発明1は、「前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含」むものであるのに対して、引用発明1-1は、「下側ヘッダタンク12は、外気Aが通風される方向の上流側に面するように傾斜した上流側の斜面46と、下流側に面するように傾斜した下流側の斜面46とを含む」ものである点。
<相違点2>
本願発明1は、「前記ヘッダ(16)は、前記複数列の伝熱管(20)毎に独立して複数設けられ」かつ「前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置されている」ものであるのに対して、引用発明1-1は、「上側及び下側ヘッダタンク10,12内にそれぞれ形成された各空間14,16は、上側及び下側ヘッダタンク10,12の長手方向に延設される上側及び下側タンクプレート(タンクプレート)18,20によって区画され」るものである点。
(2) 判断
ア 上記相違点1及び相違点2は、どちらも実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではない。
イ 事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
熱交換器の構成に関して、伝熱管を空気流通方向に並べて複数列配置し、ヘッダを前記複数列の伝熱管毎に独立して複数設けて、前記複数のヘッダを空気流通方向に並べて且つ互いに隙間を存して配置することが本願の出願前に周知技術であったとしても、引用発明1-1に当該周知技術を適用することには、阻害要因が存在すると認められる。
すなわち、上記第4 1(1)及び(2)のとおり、引用発明1-1の熱交換器は、車両に搭載することを前提としたものであり、ヘッダタンクの薄肉化、換言すると、コンパクト化が要求されるものである。
ここで、引用発明1-1に上記周知技術を適用し、ヘッダタンク10、12について、外気Aが通風される方向に並んで2列配置されたチューブ2毎にそれぞれ独立して設けて、複数のヘッダタンクを外気Aの通風方向に並べて且つ互いに隙間を存して配置するように変更を施した場合には、ヘッダタンクが大型化し、上記のコンパクト化に反することが明らかである。
そうすると、引用発明1-1に上記周知技術を適用することには、阻害要因が存在すると認められる。
以上のことから、当業者であっても、引用発明1-1から、上記相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1-1に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
(1) 対比
上記1(1)の検討内容をふまえると、本願発明2と引用発明1-2との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「伝熱管(20)と、該伝熱管(20)の端部に接合されたヘッダ(16)とを備えた熱交換器の製造方法であって、
前記ヘッダ(16)における前記伝熱管(20)との接合面(17)は、空気流通方向の上流側及び下流側の少なくとも一方に面するように、該伝熱管(20)が伸びる方向と直交する方向に対して傾斜しており、
前記伝熱管(20)は、空気流通方向に並んで複数列配置され、
前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)とを含み、
前記ヘッダ(16)の接合面(17)に前記伝熱管(20)を接続する工程を備えた熱交換器の製造方法。」
<相違点3>
ヘッダの構成に関して、本願発明2は、「前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含」むものであるのに対して、引用発明1-2は、「下側ヘッダタンク12は、外気Aが通風される方向の上流側に面するように傾斜した上流側の斜面46と、下流側に面するように傾斜した下流側の斜面46とを含む」ものである点。
<相違点4>
本願発明2は、「前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置され」ているものであるのに対して、引用発明1-2は、「上側及び下側ヘッダタンク10,12内にそれぞれ形成された各空間14,16は、上側及び下側ヘッダタンク10,12の長手方向に延設される上側及び下側タンクプレート(タンクプレート)18,20によって区画され」ているものである点。
<相違点5>
本願発明2は、「前記ヘッダ(16)の上流側及び下流側の接合面(17)に対向するように熱源(50)をそれぞれ配置する工程と、前記熱源(50)によって前記ヘッダ(16)の接合面(17)を加熱して、前記伝熱管(20)と該ヘッダ(16)とを接合材(15)によって接合する工程とを備えた」ものであるのに対して、引用発明1-2は、そのような工程を備えていない点。
(2) 判断
事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。
上記1(2)イと同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-2から、上記相違点4に係る本願発明2の構成を容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点3及び5について検討するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても、引用発明1-2及び拒絶査定において引用された引用文献2~3に記載された技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明3について
本願発明3も、本願発明2の「前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置されている」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-2及び拒絶査定において引用された引用文献2~3に記載された技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定について
1 審判請求時の補正により、本願発明1は、「前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含」む構成、及び「前記ヘッダ(16)は、前記複数列の伝熱管(20)毎に独立して複数設けられ」かつ「前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置されている」という構成を備えるものとなっており、引用文献1に記載された発明ではない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2 審判請求時の補正により、本願発明1は、「前記ヘッダ(16)は、空気流通方向の上流側に面するように傾斜した上流側の接合面(17)を有する上流側のヘッダ(16)と、下流側に面するように傾斜した下流側の接合面(17)を有する下流側のヘッダ(16)とを含」む構成、及び「前記ヘッダ(16)は、前記複数列の伝熱管(20)毎に独立して複数設けられ」かつ「前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置されている」という構成を備えるものとなっており、本願発明2~3は、「前記複数のヘッダ(16)は、空気流通方向に並び且つ互いに隙間を存して配置され」ているという構成を備えるものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1~3に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-019206