特許拒絶査定不服審判
2022-018715
情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
- 審判番号
- 2022-018715
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-077764
- 請求日
- 2022年11月21日
- 審決日
- 2024年09月24日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ナビタイムジャパン
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】吉田 昌司
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 殿川 雅也
- 審判官 桐山 愛世
- 分類
- P18 .113-WZ (G09F) / P18 .121-WZ (G09F) / P18 .561-WZ (G09F) / P18 .537-WZ (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-77764「情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和1年10月24日出願公開、特開2019-184924〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月13日の出願であって、令和4年1月24日付けで拒絶理由が通知され、同年5月31日に意見書が提出され、同年8月22日付けで拒絶査定された(謄本送達日:同年8月26日)。これに対し、同年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出された。
その後、令和5年9月19日付けで当審による補正の却下の決定により令和4年11月21日付けの手続補正が却下されるとともに同日付けで拒絶理由が通知され、令和5年11月17日に手続補正書及び意見書が提出され、令和6年3月26日付けで拒絶理由が通知され、同年5月16日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年5月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの以下のものであると認める。
「【請求項1】
端末装置において時刻表アプリもしくはウィジェットが起動されることにより又はナビゲーション・アプリから時刻表メニューが選択されることにより前記端末装置の表示部に表示される交通機関の時刻表とともに前記表示部に表示される広告を出稿するための情報処理システムであって、
前記時刻表に含まれる時刻表情報を含む広告出力条件情報と、前記広告出力条件情報に基づいて前記時刻表とともに表示するための広告情報とを受け付ける出稿情報受付手段と、
前記広告出力条件情報および前記広告情報を関連付けて記憶する出稿情報データベースを作成するデータベース作成手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。」
第3 当審における拒絶の理由
当審が令和6年3月26日付けで通知した拒絶理由のうちの理由2は、次のとおりのものである。
2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2002-222357号公報
引用文献2:特開2017-207976号公報
引用文献3:特開2016-75985号公報
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1記載事項
本願の出願前である平成14年8月9日に頒布された刊行物である特開2002-222357号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【発明の属する技術分野】
【0002】本発明は、広告ちらし、その他の広告情報を電子的に配達する技術に関するものである。」
「【0055】図1に、本実施形態に係る電子広告システムの構成を示す。
【0056】図中、100は消費者が使用する消費者端末装置、200は広告主が使用する広告主端末装置、300は広告代理店が使用する代理店サーバ、400は過搬型の電子記憶媒体、500はインターネット、600は消費者が使用する携帯電話端末である。」
「【0058】さて、このような構成において、広告代理店は、広告主からの依頼に基づき、電子書類として作成した広告ちらしと、他の公共的情報の電子書類と、これら電子書類を消費者端末100において利用するための閲覧プログラムとを格納した、CD-ROMやDVD-ROMなどの電子記憶媒体400を多数作成し、それぞれを各消費者宅に配達する。」
「【0067】…主制御部101は、コンテンツデータ中のタイトル421がインデックスの情報要素420を読み出し、その表示情報要素群に従って、図5に示すメインページとして表示部102に表示させる(ステップ401)。
…
【0069】さて、図5のメインページでは、電子記憶媒体400に含まれる公共的情報のタイトル421の文字列と、電子記憶媒体400に含まれる広告ちらしのタイトル421と当該広告ちらし内容のトピックスよりなる文字列を表示オブジェクトとして表示する。」
「【0072】…このメインページ上で、公共的情報の電子書類のタイトル421の文字列が入力部103を介して消費者によって選択されると、主制御部101は、当該情報要素420の処理情報群423によって選択されたタイトル421に対してリンクされている情報要素420を読み出し、図7に示す情報表示ページとして表示する。ここで、メインページの公共的情報の各電子書類のタイトル421の文字列の表示オブジェクトには、対応する公共的情報の電子書類に対応する情報要素420が処理情報群423によってリンクされている。
【0073】図7は、情報表示ページの一例として、「時刻表(平日)」のタイトル421文字列にリンクされた情報要素420(便宜上、「時刻表表示データ」と呼ぶ)の表示を示したものであり、この情報表示ページには図示するように時刻表と、特定広告主の広告情報が含まれる。」
「【0075】図の時刻表に対しては、ユーザは、「マイweb登録」コマンドを選択することができ、…時刻表データを伴うマイWeb登録要求を、代理店サーバ300に送信し、代理店サーバ300上の、この消費者のディレクトリへの時刻表データの格納を依頼する。」
「【0111】次に、代理サーバ300のマイwebデータスぺース317上の各消費者のディレクトリのWebページの利用法について説明する。
【0112】マイWeb登録処理部315は、図16aに示す消費者から登録を要求された各情報要素のインデックスのWebページと、これに各々リンクされた、図16bに示す登録を要求された各情報要素の表示情報群422が表す内容を表示するWebページとを、当該消費者のディレクトリに格納する。インデックスのWebページのURLは予め対応する消費者に通知されており、各消費者は、任意のブラウザ端末からWebサーバを介して、自身に割り当てられたディレクトリのWebページを閲覧したり、任意の情報要素に対応するWebページおよび当該情報要素のインデックスのWebページ中のインデックス表示を削除したりすることができる。ここで、これらのWebページは、携帯電話端末や他のモバイル端末から利用可能な形式で(HTMLタグセットを使用して)記述される。」
「【0113】…消費者は、たとえば、外出先で携帯電話から代理サーバ400上の自身のWebページにアクセスして、先に登録しておいた時刻表などの公共的情報を表示して利用したりすることができる。」
「【0117】また、以上では、マイWeb登録要求…と共に、登録する情報(時刻表データなどの公共的情報や、商品販売データや、クーポン券データ)を消費者端末100から代理店サーバ300に送り、その消費者のディレクトリのWebページに登録した…」
「【図1】
[図:0001416975000001.jpg]
」
「【図5】
[図:0001416975000002.jpg]
」
「【図7】
[図:0001416975000003.jpg]
」
上記引用文献1記載事項を整理すると、引用文献1には以下の事項が記載されている。
ア 上記【0055】、【0056】及び図1に、「消費者端末装置100、広告主端末装置200、代理店サーバ300、消費者が使用する携帯電話端末600を含む電子広告システム」が記載されている。
イ 上記【0058】に、「広告代理店は、広告主からの依頼に基づき、電子書類として作成した広告ちらしと、公共的情報の電子書類と、これらの電子書類を消費者端末100において利用するための閲覧プログラムとを格納した電子記憶媒体400を作成」することが記載されている。
ウ 上記【0075】に、「消費者が時刻表データを伴うマイWeb登録要求を代理店サーバ300に送信して消費者のディレクトリに時刻表データの格納を依頼」すること、上記【0117】に、「時刻表などの公共的情報を代理店サーバ300の消費者ディレクトリのWebページに登録」することが記載されている。これらを総合すると、引用文献1には「消費者が時刻表データを伴うマイWeb登録要求を行うと、代理店サーバ300に、時刻表データが送信されて消費者のディレクトリに時刻表データが格納され」ることが記載されている。
エ 上記【0072】、【0073】、図5及び図7に、「メインページ上で、公共的情報の電子書類のタイトル421の文字列が入力部103を介して消費者によって選択されると「時刻表(平日)」のタイトル421文字列にリンクされた時刻表と広告情報が表示され」ることが記載されている。
オ 上記【0112】及び【0113】に、「携帯電話端末600は、消費者が外出先から消費者自身のWebページにアクセスして時刻表などの公共的情報を表示するために利用され」ることが記載されている。
カ 引用文献1の図5及び図7から、上記エを踏まえると、消費者自身のWebページに表示される時刻表に、特定の駅における発車時刻が表示されていることが看取できる。
(2)引用発明1
上記(1)アないしオの記載事項及び上記(1)カの認定事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
消費者端末装置100、広告主端末装置200、広告代理店が使用する代理店サーバ300、消費者が使用する携帯電話端末600を含み((1)ア)、
広告代理店は、広告主からの依頼に基づき、電子書類として作成した広告ちらしと、公共的情報の電子書類と、これらの電子書類を消費者端末100において利用するための閲覧プログラムとを格納した電子記憶媒体400を作成し((1)イ)、
消費者が時刻表データを伴うマイWeb登録要求を行うと、代理店サーバ300に、時刻表データが送信されて消費者のディレクトリに時刻表データが格納され((1)ウ)、
携帯電話端末600は、消費者が外出先から消費者自身のWebページにアクセスして時刻表などの公共的情報を表示するために利用され、メインページ上で、公共的情報の電子書類のタイトル421の文字列が入力部103を介して消費者によって選択されると「時刻表(平日)」のタイトル421文字列にリンクされた時刻表と広告情報が表示され((1)エ、(1)オ)、
消費者自身のWebページに表示される時刻表に、特定の駅における発車時刻が表示される((1)カ)、
電子広告システム((1)ア)。
2 引用文献2について
(1)引用文献2記載事項
本願の出願前である平成29年11月24日に発行された特開2017-207976号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、経路情報を求めるユーザに対して、単に地点や日時のみを広告出力条件として広告を提示しているに過ぎず、各ユーザに適した広告を十分に提示することができなかった。
【0006】
本発明は、きめ細かく柔軟に広告を出稿することができること、また、各ユーザに適した広告を提示することを目的とする。」
「【0012】
<広告出稿システム>
本発明の実施形態に係る情報処理システム1について説明する。この情報処理システム1は、広告情報を出稿するための広告出稿システムであり、モバイル端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等)やパソコン等の電子機器(後述の端末装置6)を用いて経路探索を求めるユーザに対し、経路探索結果に加えて、経路探索条件(より正確には後述の経路探索応用条件)に基づく広告を提示する。
【0013】
情報処理システム1は、図1に示すように、出稿端末2およびサーバ3を備えている。出稿端末2およびサーバ3は、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。ネットワークは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0014】
出稿端末2は、広告情報を出稿するために出稿者(広告出稿情報入力者)が使用するものであり、例えば、デスクトップ型のパソコンである。なお、出稿端末2は、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末であってもよい。
【0015】
出稿端末2は、図1に示すように、通信部21と、制御部22と、操作部23と、表示部24とを有する。
【0016】
通信部21は、ネットワークを介して制御部22とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。制御部22は、出稿情報受付部221を有する。操作部23は、出稿者が出稿端末2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等である。表示部24は、液晶ディスプレイ等の映像表示手段であり、出稿端末2から出稿者へ様々な情報を出力する。なお、操作部23がタッチパネルの場合には、操作部23が表示部24を兼ねてもよい。
【0017】
制御部22の出稿情報受付部221は、広告対象の商品またはサービスを示す広告情報と、経路探索応用条件とを受付ける。ここで、経路探索応用条件とは、地点条件(出発地、目的地等)および日時条件(出発時刻、到着時刻等)以外の経路探索条件であって、広告情報の出力条件となる条件のことである。出稿情報受付部221は、出稿者が操作部23により入力した広告情報および経路探索応用条件を取得する。なお、出稿情報受付部221は、出稿端末2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0018】
次に、サーバ3について説明する。図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。
【0019】
通信部31は、ネットワークを介して出稿端末2と、サーバ3の制御部32との間で情報を送受信するインターフェースである。制御部32は、データベース作成部321を有する。記憶部33は、例えばハードディスク、SSD等から構成され、出稿情報データベース331を有する。なお、記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられなくてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0020】
制御部32のデータベース作成部321は、出稿情報データベース331を作成する。出稿情報データベース331は、広告情報と経路探索応用条件とを関連付けて記憶するデータベースである。データベース作成部321は、作成した出稿情報データベース331を記憶部33に記憶させる。なお、データベース作成部321は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0021】
出稿情報データベース331について図2を参照してより詳しく説明する。図2は、出稿情報データベース331の一例を示している。図2に示すように、出稿情報データベース331は、広告情報(商品・サービス)を含む出稿者情報と、広告ID、広告出力条件および広告単価を含む出稿情報とを有する。なお、図2において、出稿情報内の“*”は任意であることを示している。例えば、広告IDがC-1-01の場合、列車種別が終電検索であることが広告情報の出力条件であり、その他の探索条件は問わない。
【0022】
出稿者情報は、広告主、商品・サービス、およびグループを含んでいる。図2の例では、広告主には、タクシー事業者A、製薬会社B、クレジットカード販売代理店Cが登録されている。タクシー事業者AのサービスはタクシーAおよび定額タクシーであり、製薬会社Bの商品はウコンドリンクBであり、クレジットカード販売代理店Cの商品はクレジットカードCおよびDである。
【0023】
なお、出稿者情報に含まれる「グループ」は、商品・サービスをグループ化するために用いられる。
【0024】
出稿情報は、図2に示すように、広告ID、広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)、および広告単価を含んでいる。経路探索基本条件は、地点条件(出発地および目的地)および日時条件(発着日時)を含む条件のことであり、経路探索を実行する上で基本となる探索条件である。経路探索応用条件は、図2の例では、「列車種別」、「交通手段」、「表示順序」および「徒歩設定」を含んでいる。
【0025】
「列車種別」は、駅の発着順によって規定される列車種別に係る経路探索条件のことであり、例えば、最終電車を検索する終電検索、始発電車を検索する始発検索である。「交通手段」は、移動するための交通手段等に係る経路探索条件のことであり、例えば、「自動車」、「徒歩のみ」、「自転車のみ」、「タクシー優先利用」等である。図2に示すように、交通手段に係る経路探索条件には、他にも、渋滞を考慮して移動経路を探索する「渋滞考慮」、高速道路等の有料道路を考慮した移動経路の探索を行う「有料道路」、ETC搭載車両専用のスマートインターチェンジを考慮した移動経路の探索を行う「スマートIC考慮」等がある。」
「【0030】
次に、図3を参照して、上記の構成を有する情報処理システム1の処理動作の一例について説明する。
【0031】
まず、出稿端末2の出稿情報受付部221が、広告情報および経路探索応用条件を受け付ける(ステップS11)。なお、本ステップにおいて、出稿情報受付部221は、経路探索基本条件を広告出力条件の一部として受け付けてもよい。
【0032】
より詳しくは、出稿端末2の画面に表示されたユーザインタフェースを介して出稿者が広告情報および経路探索応用条件等を入力することで、出稿情報受付部221は広告情報および経路探索応用条件を受け付ける。
【0033】
図4は、出稿端末2の出稿情報入力画面の一例を示している。なお、ボタンBは、広告出力条件を追加するためのボタンであり、ボタンBが選択されると、広告出力条件を設定するためのフィールドが画面に追加される。また、スライダーバーSは、表示領域を左右に移動させて、設定/表示する出稿情報を切り替えるために使用される。
【0034】
図4に示すように、出稿者は希望に応じて複数の出稿情報(出稿情報1,2,3,・・・)を設定することが可能である。図4の例では、2つの出稿情報1,2が設定されており、広告主(タクシー事業者A)の広告に係るサービスはタクシー配送である。また、広告出力条件は、出稿情報1の場合、列車種別条件が終電検索であることであり、出稿情報2の場合、列車種別条件が始発検索であり且つ目的地が羽田空港であることである。
…
【0036】
出稿情報受付部221が広告情報および経路探索応用条件を受け付けた後、出稿端末2の通信部21が広告情報および経路探索応用条件をサーバ3に送信し(ステップS12)、サーバ3の通信部31が当該情報を受信する。
【0037】
次に、サーバ3のデータベース作成部321が、出稿端末2から受信した情報に基づいて出稿情報データベース331を作成する(ステップS13)。
【0038】
以上説明したように、情報処理システム1では、出稿端末2を介して少なくとも広告情報と経路探索応用条件を出稿者から受け付け、受け付けた広告情報と経路探索応用条件を関連付けて記憶する出稿情報データベース331を作成する。出稿情報データベース331は、後述するように、モバイル端末やパソコン等のユーザに広告情報を配信するために利用される。
【0039】
上記のように、本実施形態に係る広告出稿システムによれば、出稿者は、経路探索応用条件を用いて、きめ細かく柔軟に広告を出稿することができる。」
「【0042】
端末装置6は、モバイル端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等) やパソコン等の電子機器である。この端末装置6は、図5に示すように、通信部61と、制御部62と、操作部63と、表示部64とを有する。
【0043】
通信部61は、ネットワークを介して制御部62とサーバ7との間で情報を送受信するためのインターフェースである。制御部62は、経路探索条件受付部621と、情報出力部622とを有する。なお、制御部62の各部は、端末装置6内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。」
「【0065】
次に、サーバ7の広告情報取得部723が、端末装置6から受信した経路探索条件に含まれる経路探索応用条件に基づいて出稿情報データベース731を検索し、経路探索応用条件にマッチングする広告情報を取得する(ステップS43)。すなわち、広告情報取得部723は、端末装置6から受信した経路探索応用条件と、出稿情報データベース731の広告出力条件に含まれる経路探索応用条件とが一致するレコードを検索することにより広告情報を取得する。
【0066】
なお、本実施形態では、経路探索を実行する前であっても、経路探索条件に基づいて広告情報を取得することが可能である。…
【0067】
次に、サーバ7は、通信部71により移動経路情報および広告情報を端末装置6に送信する(ステップS44)。そして、端末装置6が通信部61を介して移動経路情報および広告情報を取得する。
【0068】
次に、端末装置6の情報出力部622が、表示部64に移動経路情報および広告情報を出力する(ステップS33)。そして、表示部64が移動経路情報および広告情報を表示する。図8(b),図9(b)および図10(b)は、表示部64に表示された移動経路情報および広告情報の画面表示例を示している。」
「【図1】
[図:0001416975000004.jpg]
」
「【図2】
[図:0001416975000005.jpg]
」
上記引用文献2記載事項を整理すると、引用文献2には以下の事項が記載されている。
ア 上記【0042】及び【0043】に「端末装置6は、図5に示すように、通信部61と、制御部62と、操作部63と、表示部64とを有する」、「制御部62の各部は、端末装置6内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい」と、上記【0068】に「端末装置6の情報出力部622が、表示部64に移動経路情報および広告情報を出力する」、「表示部64が移動経路情報および広告情報を表示する」と記載されている。
上記【0013】~【0015】に「情報処理システム1」が「出稿端末2」、「端末装置6」、「サ―バ3」を有することが記載されており、上記【0012】に「情報処理システム1」が「広告出稿システム」であることが記載されており、これらを踏まえると、上記【0012】ないし【0017】、【0024】、【0031】には「広告情報及び広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)を受け付ける出稿情報受付部221を備えた、出稿端末2」及び「端末装置6と出稿端末2とサーバ3を備えた広告出稿システム」が記載されている。
したがって、引用文献2には「端末装置6と出稿端末2とサーバ3を備えた広告出稿システム」、「端末装置6は、制御部62を備え、制御部62は端末装置6内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されており、端末装置6の情報出力部622が表示部64に移動経路情報とともに広告を表示」する点、及び「広告情報を受け付ける出稿情報受付部221を備えた出稿端末2」が記載されている。
イ 上記【0024】ないし【0025】の記載から、引用文献2には、「経路探索基本条件は、地点条件(出発地および目的地)および日時条件(発着日時)を含み、経路探索応用条件は、交通手段、表示順序および徒歩設定を含み、列車種別として、最終電車を検索する終電検索、始発電車を検索する始発検索を含」むことが記載されている。
ウ 上記【0019】~【0021】の記載、及び、上記アの「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)」から、引用文献2には、「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)及び広告情報とを関連付けて記憶する出稿情報データベース331」を備えた「サーバ3」が記載されている。
エ 上記【0019】~【0020】に、「出稿情報データベース331を作成するデータベース作成部321」を備えた「サーバ3」が記載されている。
オ 上記【0031】の「出稿端末2の出稿情報受付部221が、広告情報および経路探索応用条件を受け付ける」及び「出稿情報受付部221は、経路探索基本条件を広告出力条件の一部として受け付けてもよい」との記載を考慮すると、「経路探索基本条件」と「経路探索応用条件」はともに検索される広告出力条件であるから、上記【0065】ないし【0068】の記載から、引用文献2には「経路探索基本条件又は経路探索応用条件と出稿情報データベース731の広告出力条件に含まれる経路探索基本条件又は経路探索応用条件とが一致するレコードを検索して端末装置6の表示部64に移動経路情報とともに表示するための広告情報」が記載されている。
(2)引用発明2
上記(1)アないしオの記載事項から、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
端末装置6と出稿端末2とサーバ3を備えた広告出稿システムであって、
端末装置6は、制御部62を備え、制御部62は端末装置6内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されており、端末装置6の情報出力部622が表示部64に移動経路情報とともに広告を表示し、((1)ア)、
広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)において((1)ウ)、
経路探索基本条件は、地点条件(出発地および目的地)および日時条件(発着日時)を含み、経路探索応用条件は、交通手段、表示順序および徒歩設定を含み、列車種別として、最終電車を検索する終電検索、始発電車を検索する始発検索を含んでおり((1)イ)、
出稿端末2は、経路探索基本条件又は経路探索応用条件と出稿情報データベース731の広告出力条件に含まれる経路探索基本条件又は経路探索応用条件とが一致するレコードを検索して端末装置6の表示部64に移動経路情報とともに表示するための広告情報を受け付ける出稿情報受付部221を備え((1)ア、((1)オ)、
サーバ3は、
広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)及び広告情報を関連付けて記憶する出稿情報データベース331と((1)ウ)、
出稿情報データベース331を作成するデータベース作成部321((1)エ)、を備えた、
広告出稿システム((1)ア)。
3 周知技術
本願の出願前である平成28年5月12日に発行された特開2016-75985号公報(以下「引用文献3」という。)の【0096】には、以下の周知の技術事項(以下「周知技術」という。)が記載されている。
ナビアプリ等のアブリケーションソフトウェア。
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「携帯電話端末600」、「時刻表」、「広告情報」は、各々本願発明の「端末装置」、「交通機関の時刻表」、「広告」に相当する。
イ 引用発明1の「電子広告システム」は、後述する相違点を除き、本願発明の「情報処理システム」に相当する。
ウ 引用発明1の「消費者自身のWebページ」に「時刻表と広告情報が表示」されることは、時刻表とともに広告が表示されているといえるから、本願発明の「前記端末装置の表示部に表示される交通機関の時刻表とともに表示する広告」に相当する。
エ 引用発明1の広告代理店が電子書類としての広告ちらしを作成することは広告を出稿することにあたるので、引用発明1の「電子広告システム」と本願発明の「情報処理システム」は、ともに「広告を出稿するための情報処理システム」である。
そうすると、本願発明と引用発明1は、
[一致点]
「端末装置において前記端末装置の表示部に表示される交通機関の時刻表とともに表示する広告を出稿するための情報処理システム。」
で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明が「端末装置において時刻表アプリもしくはウィジェットが起動されることにより又はナビゲーション・アプリから時刻表メニューが選択されることにより」時刻表とともに表示する広告を出稿するためのものであるのに対し、引用発明1は、「消費者が外出先から」「携帯電話端末600」を利用して「消費者自身のWebページにアクセスして」時刻表とともに表示する広告を出稿するものである点。
[相違点2]
本願発明が「前記時刻表に含まれる時刻表情報を含む広告出力条件情報と、前記広告出力条件情報に基づいて前記時刻表とともに表示するための広告情報とを受け付ける出稿情報受付手段と、 前記広告出力条件情報および前記広告情報を関連付けて記憶する出稿情報データベースを作成するデータベース作成手段」(スペースは改行を意味する。)を備えるのに対し、引用発明1は、「広告主からの依頼に基づき」時刻表とともに表示するための広告を出稿するものといえるものの、「広告出力条件情報」、「出稿情報受付手段」、「データベース作成手段」を備えない点。
2 判断
(1)相違点1について
ア 端末装置において動作するナビアプリ等のアプリケーションソフトウェアは上記「第4 3」のとおり周知技術であり、アプリケーションソフトウェアの起動に伴い端末装置にアプリケーションソフトの画面が表示されることは技術常識であることから、引用発明1の「Webページにアクセスして」「時刻表と広告情報」を表示することを、本願発明のように「時刻表アプリ」「が起動されることにより」「時刻表」及び「広告情報」が「前記端末装置の表示部に表示」されるようにすることは当業者が容易になし得る程度のことである。
イ また、「ウィジェット」により画面を構成すること、及び特定の画面をメニュー選択により表示することは、本願出願前に普通に行われていたことであって、当業者が適宜なし得る程度の事項であるから、本願発明の「ウィジェットが起動されることにより又はナビゲーション・アプリから時刻表メニューが選択されることにより」「時刻表」及び「広告情報」が「前記端末装置の表示部に表示」されることも、引用発明1に基づいて当業者が容易になし得る程度のことである。
(2)相違点2について
ア 引用発明2の「広告情報」は、本願発明の「広告情報」に相当する。
イ 引用発明2の「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)」は、地点条件(出発地および目的地)及び日時条件(発着日時)を含み、交通機関が鉄道の場合、地点条件である出発地と目的地が発車駅と到着駅であり、日時条件である発着日時が列車の発車時刻と到着時刻にあたるから、これらは引用発明1にみられるように交通機関の時刻表に含まれる情報である。したがって、引用発明2の「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)」と本願発明の「前記時刻表に含まれる時刻表情報を含む広告出力条件情報」は、ともに「時刻表に含まれる時刻表情報を含む」「広告出力条件情報」との概念で一致する。
ウ 引用発明2の「経路探索応用条件と広告出力条件に含まれる経路探索応用条件とが一致するレコードを検索することにより取得」することは「広告出力条件に基づいて」いるといえるので、引用発明2の「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)と、経路探索基本条件又は経路探索応用条件と広告出力条件に含まれる経路探索基本条件又は経路探索応用条件とが一致するレコードを検索することにより取得して表示部64に移動経路情報とともに表示される広告情報を受け付ける出稿端末2の出稿情報受付部221」と、本願発明の「出稿情報受付手段」とは、上記イを踏まえれば、「広告出力条件情報と、前記広告出力条件情報に基づいて前記時刻表情報とともに表示するための広告情報とを受け付ける出稿情報受付手段」である点で共通する。
エ 引用発明2の「出稿情報データベース331」は「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)及び広告情報とを関連付けて記憶」しており、「データベース作成部321」が「出稿情報データベース331」を作成しているのだから、引用発明2の「広告出力条件(経路探索基本条件、経路探索応用条件)及び広告情報とを関連付けて記憶する出稿情報データベース331」を作成する「データベース作成部321」は、本願発明1の「広告出力条件情報および前記広告情報を関連付けて記憶する出稿情報データベースを作成するデータベース作成手段」に相当する。
オ 上記アないしエから、引用文献2には、相違点2の「前記時刻表に含まれる時刻表情報を含む広告出力条件情報と、前記広告出力条件情報に基づいて前記時刻表とともに表示するための広告情報とを受け付ける出稿情報受付手段と、前記広告出力条件情報および前記広告情報を関連付けて記憶する出稿情報データベースを作成するデータベース作成手段」が記載されている。
カ そして、引用発明1及び引用発明2は、ともに駅等の地点情報に関連した交通機関の発車時刻情報とともに広告を表示する点で共通するばかりか、、交通機関を利用した移動に際して必要となる情報を端末に表示させるという利用場面も共通するから引用発明1に引用発明2を適用する動機付けがある。したがって、時刻表とともに表示する広告を出稿する引用発明1に対して、引用発明2を適用して相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和6年5月16日に意見書を提出して、「三 本願が特許されるべき理由(2)拒絶理由2(進歩性)の解消について」において、以下のように主張している。
(1)主張1
「…引用文献2と本願とでは、広告出力条件の技術的意味合いが全く異なります。すなわち、引用文献2は、経路を導くための経路探索条件(インプット情報)を広告出力条件とするのに対し、本願発明は、時刻表アプリ等において事前登録された駅や現在地の最寄り駅(周辺駅)など(段落0002)の何らかの条件によって導かれた時刻表に含まれる時刻表情報(アウトプット情報)を広告出力条件とします。かかる点で、本願と引用文献2との広告出力条件は全く相異なるものです。
したがって、引用文献2には相違点2の『前記交通機関の時刻表に含まれる時刻表情報を含む広告出力条件情報と、前記広告出力条件情報に基づいて前記時刻表とともに表示するための広告情報とを受け付ける出稿情報受付手段と、 前記広告出力条件情報および前記広告情報を関連付けて記憶する出稿情報データベースを作成するデータベース作成手段』が記載されているとの御認定は妥当でないと思料いたします。」
(2)主張2
「…前述のように引用文献2には、インプット情報である経路探索条件を広告出力条件とする広告を出稿するためのシステムが開示されているに過ぎず、引用文献2に記載の事項を引用文献1に記載の発明に適用すること自体、困難であると言わねばなりません。すなわち、引用文献2はユーザのインプット情報を広告出力条件とするものであることから、引用文献2に接した当業者といえども、時刻表情報を含む広告出力条件情報と広告情報とを関連付けて記憶する出稿情報データベースを作成して、引用文献1に開示された時刻表とともに表示される広告を、アウトプット情報である時刻表情報を広告出力条件とするものとするという技術的思想に想到することは容易でないと思料いたします。」
(3)主張1及び主張2について
ア 上記(2)カで説示したとおり、引用発明1及び引用発明2は、ともに駅等の地点情報に関連した交通機関の発車時刻情報とともに広告を表示するために広告を出稿するシステムに関し、交通機関の発車時刻のように時刻表に含まれる情報とともに広告を表示する点で共通する。さらに、時刻表を表示する引用発明1と経路情報を表示する引用発明2は、ともに交通機関を利用した移動に際して必要となる情報を端末に表示させるという利用場面も共通するのであるから、引用発明1に引用発明2を適用する動機付けがある。
また、引用文献2が経路を導くための経路探索条件(インプット情報)を広告出力条件とするものであるとしても、経路探索条件に駅等の地点情報及び交通機関の発車時刻情報が含まれるのであるから、引用発明2の経路探索条件に用いられる情報は表示される時刻表情報と共通又は関連するので、引用発明2と同様に交通機関の特定の駅に関連した発車時刻情報を表示する引用発明1に対して、引用発明2の技術を採用することになんら困難性は認められない。
したがって、請求人の主張1及び主張2にかかわらず、引用発明1に引用発明2を適用することは当業者が容易に想到し得るものである。
4 小括
本願発明1は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-018715