特許拒絶査定不服審判
2022-018045
動画閲覧装置、動画閲覧装置の制御方法、およびプログラム
- 審判番号
- 2022-018045
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-201093
- 請求日
- 2022年11月09日
- 審決日
- 2023年11月07日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ミルプラトー
- 【請求人代理人】鮫島 睦
- 【請求人代理人】柳橋 泰雄
- 【請求人代理人】今井 孝弘
- 審判長/審判官
- 審判長 五十嵐 努
- 審判官 木方 庸輔
- 審判官 板垣 有紀
- 分類
- P18 .121-Z (G06T) / P18 .575-Z (G06T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-201093「動画閲覧装置、動画閲覧装置の制御方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和元年10月24日出願公開、特開2019-185726〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年3月30日に出願された特願2018-69040号の一部を、平成30年10月25日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年 3月30日 :手続補正書
令和4年 3月15日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月 7日付け:意見書及び手続補正書の提出
令和4年 7月27日付け:拒絶査定
令和4年11月 9日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和4年11月9日になされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年11月9日になされた手続補正を却下する。
[理由]
1 令和4年11月9日になされた手続補正(本件補正)の内容
令和4年11月9日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を、令和4年4月7日付け手続補正書により補正された「本件補正前の特許請求の範囲」から、本件補正により補正された「本件補正後の特許請求の範囲」へと補正するものである。
ここで、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであり、補正前後の請求項は、それぞれ以下のとおりである。
以下、本件補正前の請求項1に係る発明を「本願発明」といい、本件補正後の請求項1に係る発明を「本願補正発明」という。
なお、下線は、補正箇所を示したものである。また、当審にて、本願発明と本願補正発明を、それぞれ発明特定事項に分説して(A)~(F)とし、以下それぞれ「発明特定事項A」~「発明特定事項F」という。
(1)本願発明(本件補正前の請求項1に係る発明)
「【請求項1】
(A) 動画を入力してデータベースに登録する動画入力部と、
(B) 登録された前記動画におけるシーンの特徴量を抽出し、前記特徴量に応じてシーンの画定を行うシーン解析部と、
(C) 前記シーン解析部において画定された前記シーンごとにシーン名を付与して前記シーン名を前記シーンごとに紐付けるシーン名付与部と、
(D) 前記動画の再生中に、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部と、を備え、
(E) 前記シーン解析部は、前記マーキングが行われた場合には、前記マーキングされた位置に基づいて前記シーンのすくなくとも開始位置または終了位置のいずれかを修正する、
(F) ことを特徴とする動画閲覧装置。
(2)本願補正発明(本件補正後の請求項1に係る発明)
「【請求項1】
(A) 動画を入力してデータベースに登録する動画入力部と、
(B) 登録された前記動画におけるシーンの特徴量を抽出し、前記特徴量に応じてシーンの画定を行うシーン解析部と、
(C) 前記シーン解析部において画定された前記シーンごとにシーン名を付与して前記シーン名を前記シーンごとに紐付けるシーン名付与部と、
(D’) 前記動画の再生中に、前記動画とは別にマーキング用の画像を提示することなく、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部と、を備え、
(E) 前記シーン解析部は、前記マーキングが行われた場合には、前記マーキングされた位置に基づいて前記シーンのすくなくとも開始位置または終了位置のいずれかを修正する、
(F) ことを特徴とする動画閲覧装置。
2 補正の適否について
上記1のとおり、本件補正は、本願発明に、上記1(2)において下線部で示した記載を追加して、本願補正発明とする補正(以下「補正事項1」という。)を含むものである。
すなわち、補正事項1は、本願発明の発明特定事項Dである「前記動画の再生中に、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部と、を備え、」を、本願補正発明の発明特定事項D’である「前記動画の再生中に、前記動画とは別にマーキング用の画像を提示することなく、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部と、を備え、」とするものである。
以下、補正事項1の補正の適否について検討する。
(1)補正の目的
補正事項1による請求項1についての補正は、「マーキング部」における、「前記動画の再生中に、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングする」動作について、更に「前記動画とは別にマーキング用の画像を提示することなく」との発明特定事項を加えるものであるから、本件補正による請求項1の補正は、限定的減縮を目的とするものである。
そして、補正事項1による請求項1についての補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無
補正事項1による請求項1についての補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0083】における「第1実施形態のように手技解析部20により自動的に手技の画定を行わない場合には、手術動画を手術動画表示部401に表示させた直後にはグラフを表示させず、ユーザによるマーキングが行われた後にグラフを表示させるようにしてもよい。」との記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
よって、補正事項1による請求項1についての補正は、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
(3)独立特許要件
補正事項1による請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。
ア 本願補正発明
本願補正発明は、上記1(2)のとおりである。
イ 各引用文献の記載と、各引用文献に記載の発明及び事項
独立特許要件を検討するにあたっての引用文献は、以下のとおりである。
1.特開平9-265547号公報(拒絶査定の引用文献1)
2.特開平5-334374号公報(拒絶査定の引用文献5;周知技術を示す文献)
3.特開平9-139915号公報(拒絶査定の引用文献6;周知技術を示す文献)
4.特開平10-51734号公報(前置報告の引用文献5;周知技術を示す文献)
(ア)引用文献1(特開平9-265547号公報)
a 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は、強調のために当審にて付した(以下同様。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は映像情報編集装置に関し,特にパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の表示画面上に,時間的な関連を持つ一連の映像情報をコミック風に表示するための映像情報(コミック形式ムービー)を,素材映像シーケンスから編集して作成する装置に関するものである。」
「【0005】しかし一方で,図8に示すように,複数のムービーを,表示画面上にコミックのコマのように空間的に配置された複数の任意形状の表示枠に割り当て,しかも各ムービーを一連の映像シーケンスとして,コマの読み順に従って順次再生するコミック形式のムービー方式が提案されている(特願平7-250355号:映像情報表示装置)。
【0006】このコミック形式のムービーを,従来の映像情報編集装置と表示画面編集装置を用いて作成する場合,以下の手順で行うことになる。
(1) まず,素材映像シーケンスをどのように分割して,表示画面上にどのように配置するかをあらかじめ設計する。
【0007】(2) この設計に従って,映像情報編集装置で素材映像シーケンスをM本の映像シーケンスに分割する。
(3) さらに,分割された映像シーケンスを,設計に従って表示画面編集装置で所定の大きさ,形状に加工し,表示画面上の所定の位置に配置する。
【0008】(4) 各映像シーケンスをムービーに変換する。」
「【図8】
[図:0001405487000001.jpg]
」
「【0013】
【課題を解決するための手段】図1は,上記課題を解決するための本発明の構成例を示す。図1において,1は表示部であって,映像シーケンス表示部1-2とページ画像表示部1-5とを持つ。2は映像シーケンス入力部,3はカット点位置情報入力部,4はコマ情報入力部,5は命令入力部,6は画像座標入力部,7は映像シーケンス蓄積部,8はカット点位置情報蓄積部,9はコマ情報蓄積部,10は編集処理部,11はコミック形式ムービー生成処理部,12は生成されたコミック形式ムービーを出力する出力部を表す。
【0014】映像シーケンス入力部2は,素材映像シーケンスを入力する。映像シーケンス蓄積部7は,映像シーケンス入力部2が入力した素材映像シーケンスを蓄積する。カット点位置情報入力部3は,素材映像シーケンスのカット点位置情報を入力する。カット点位置情報蓄積部8は,そのカット点位置情報を蓄積する。コマ情報入力部4は,コマ形状情報およびコマ位置情報から構成されるコマ情報を入力する。コマ情報蓄積部9は,コマ形状情報およびコマ位置情報から構成されるコマ情報を蓄積する。」
「【0018】編集処理部10は,命令入力部5からカット点変更命令が入力されると,指定されたコマ識別番号およびフレーム識別番号に基づいて,カット点位置情報蓄積部8に蓄積されたカット点位置情報を書き換えてカット点変更処理を行う。また,命令入力部5からコマ分割命令またはコマ統合命令が入力されると,指定されたコマ識別番号に基づいて,カット点位置情報蓄積部8に蓄積されたカット点位置情報およびコマ情報蓄積部9に蓄積されたコマ情報を書き換えることにより,ページ画像におけるコマの分割処理またはコマの統合処理を行う。」
「【0021】
【発明の実施の形態】図2~図5は本発明の実施の形態を説明するための図である。コミック形式のムービーを,直感的かつ簡単に制作するためには,基本的に制作作業は,映像シーケンスの時間軸方向の編集作業と,表示画面上での空間方向の編集作業の両者を同時に連携して実行する必要がある。
【0022】本発明では,このような映像情報編集装置を実現するために,図2に示すように,映像情報編集装置の基本的な表示画面を,映像シーケンス表示部1-2とページ画像表示部1-5から構成する。
【0023】映像シーケンス表示部1-2には,映像シーケンス蓄積部7に蓄積された素材映像シーケンスが,図2に示すようにフレーム単位で表示される。この素材映像シーケンスは,あらかじめ適当な方法で(例えば,等フレーム間隔で,または各フレーム間の物理的特徴量の変化に基づくカット点検出手法によって),N個のカットSi(i=0,…,N-1)に区分されているものとする。各カットSiの先頭フレーム識別番号が,カット点位置情報fiとして,カット点位置情報蓄積部8に蓄積されている。
【0024】(前略)
ページ画像表示部1-5には,現在のコミック形式ムービーが初期状態で(すなわち静止状態で)表示される。初期状態では,図2のような定型的なコマ配置で,N個のコマがページ画像表示部1-5に配置される。このように静止画像状態のコミック形式ムービーをページ画像と呼ぶことにする。」
「【0027】制作者は,ページ画像表示部1-5に表示された初期状態のページ画像を見て,あるコマに対応するムービーのフレーム開始位置を変更する必要を感じた場合,映像シーケンス表示部1-2で,そのコマと同じ識別色の外枠を有するフレームをマウスなどのポインティングデバイスを用いて指定し,次いで所望のフレーム開始位置に対応する映像シーケンス表示部1-2上のフレームを指定する。
【0028】これにより,カット点位置情報蓄積部8の対応するカットのカット点位置情報が新たなフレーム識別番号に書き換えられ,同時にページ画像表示部1-5上の指定されたコマに表示されている静止画像も,書き換えられたフレーム識別番号に対応する新たなフレーム画像に変更される。すなわち,映像シーケンス表示部1-2のフレーム開始位置を変更すると,ページ画像表示部1-5の対応するコマ内のフレーム画像表示と,カット点位置情報蓄積部8の対応するカット点位置情報とが連動して書き換わる。」
「【図2】
[図:0001405487000002.jpg]
」
「【0042】7は映像シーケンス蓄積部であって,あらかじめ素材映像シーケンスを構成するM個のフレーム画像に先頭から順番に付されたフレーム番号によってアクセス可能なフレーム画像蓄積部7-1~Mから構成される。8はカット点位置情報蓄積部であって,コマ識別番号によってアクセス可能なN個の単位カット点位置情報蓄積部8-1~Nから構成され,初期状態では,各単位カット点位置情報蓄積部8-1~Nには,あらかじめ空白情報が蓄積されている。」
b 引用文献1に記載された発明(引用発明)
上記aによれば、引用文献1の段落【0023】には、「映像シーケンス蓄積部7に蓄積された素材映像シーケンス」と記載されているから、引用発明は、素材映像シーケンスを蓄積した映像シーケンス蓄積部を備えるものである。
そうすると、引用文献1に記載された発明(以下「引用発明」という。)は、以下のとおりである。
なお、当審にて引用発明を(a)~(i)に分説し、以下それぞれ「構成a」~「構成i」という。また、各構成の末尾の( )内に、引用文献1における記載箇所を示した。
(引用発明)
「(a)コミック形式ムービーを,素材映像シーケンスから編集して作成する映像情報編集装置であって(【0001】、【0022】)、
(b)映像シーケンス表示部1-2とページ画像表示部1-5とを持つ表示部1、映像シーケンス入力部2、カット点位置情報入力部3、命令入力部5、映像シーケンス蓄積部7、カット点位置情報蓄積部8、編集処理部10を備え(【0013】)、
(c)映像シーケンス入力部2は、素材映像シーケンスを入力し(【0014】)、
(d)映像シーケンス蓄積部7は,映像シーケンス入力部2が入力した素材映像シーケンスを蓄積し(【0014】)、
(e)編集処理部10は、命令入力部5からカット点変更命令が入力されると、指定されたコマ識別番号およびフレーム識別番号に基づいて、カット点位置情報蓄積部8に蓄積されたカット点位置情報を書き換えてカット点変更処理を行い(【0018】)、
(f)素材映像シーケンスは、あらかじめ、各フレーム間の物理的特徴量の変化に基づくカット点検出手法によってN個のカットSi(i=0,…,N-1)に区分され、各カットSiの先頭フレーム識別番号が、カット点位置情報fiとして、コマ識別番号によってアクセス可能なカット点位置情報蓄積部8に蓄積され(【0023】、【0042】)、
(g)コミック形式ムービーは、初期状態で、N個のコマがページ画像表示部1-5に配置され(【0024】)、
(h)制作者は、ページ画像表示部1-5に表示された初期状態のページ画像を見て、あるコマに対応するムービーのフレーム開始位置を変更する必要を感じた場合、映像シーケンス表示部1-2で、そのコマと同じ識別色の外枠を有するフレームをマウスなどのポインティングデバイスを用いて指定し、次いで所望のフレーム開始位置に対応する映像シーケンス表示部1-2上のフレームを指定し(【0027】)、
(i)映像シーケンス表示部1-2のフレーム開始位置を変更すると、ページ画像表示部1-5の対応するコマ内のフレーム画像表示と、カット点位置情報蓄積部8の対応するカット点位置情報とが連動して書き換わる(【0028】)
(a)映像情報編集装置(【0001】、【0022】)。」
(イ)引用文献2(特開平5-334374号公報)
引用文献2には、以下の記載がある。
「【0016】本発明の他の目的は、自動的に検出されたシーン変化点を、ユーザが効率よく確認・修正できるようにすることにある。」
「【0059】(1)シーン・エディタ
シーン・エディタは、ユーザがシーンの代表フレームやシーンに対応する動画像を見ながら、シーン変化点を確認してシーン変化検出装置11の誤りを修正すること、シーンの属性情報を入力編集すること、および代表フレームを変更することのためのエディタである。」
「【0067】シーン変化点を追加する場合、ユーザは、入力装置15を使って、シーンが変化したと判断するフレームにおいて動画像を静止させることを指示し、続いて編集コマンド部46に示されるシーン変化点追加コマンドを選択する。これに応じて、シーン・エディタは、指示されたフレームをシーン変化点としてシーンを分ける。(後略)
【0068】(前略)続いて、ユーザは、新しいシーンの代表フレームを指示する。その指示は、併合されるシーンのどれかの代表フレームの縮小画33をクリックするか、またはモニター18に再生される映像を所望のフレームにおいて静止させること、およびこれに続いて編集コマンド部46に示されるシーン変化点取消コマンドを選択することによって行われる。(後略)」
(ウ)引用文献3(特開平9-139915号公報)
引用文献3には、以下の記載がある。
「【0009】
【発明が解決しようとする課題】圧縮動画像を蓄積した動画像データベースでは、検索・閲覧を行なうエンドユーザに対して、適切な検索・閲覧手段を提供する必要がある。この検索・閲覧手段として、自動シーンチェンジ検出により動画内容が大きく変わったフレーム画像を抽出し、これを一覧表示する方法がある。この方法は、情報提供者が手間をかけずに自動的にシーンチェンジ検出結果を記録したインデクス情報を作成することができ、かつ、ユーザが動画内容の瞬間的な把握ができる有効な手段である。しかし、現状の自動シーンチェンジ検出は、映像内容により切り分けたものではないため、不十分な面がある。これを補い、過不足のないインデクス情報を提供するためには、自動作成されたインデクス情報を容易に再編集する手段が必要である。(後略)」
「【0079】(実施の形態6)図13は、インデクス画像を編集するための圧縮動画像簡易編集装置である。(後略)」
「【0082】ユーザからの編集命令は、インデクス画像の削除・変更・追加の3種類がある。ユーザは、インデクス画像を削除したい場合は、一覧表示されているインデクス画像から一つのインデクス画像を選択した後に、インデクス削除命令を送る。このとき、シーンチェンジ情報編集手段903は、削除されたインデクス画像に対応したシーン情報と、その一つ前のシーン情報を統合する。インデクス画像を追加したい場合は、一覧表示されている詳細フーレム画像(当審注:「詳細フーレム画像」は、「詳細フレーム画像」の誤記と認められる。)から一つのフレーム画像を選択したり、再生されている動画像を適当なところで一時停止する等の手段で、追加するフレーム静止画像を決定した後に、インデクス追加命令を送る。このとき、シーンチェンジ情報編集手段903は、追加されたフレーム画像を含むシーン情報を、追加されたフレームを境界として二つに分割する。インデクス画像変更は、シーン境界の変更を意味し、削除・追加を組み合わせになる(当審注:「削除・追加を組み合わせになる」の記載は、「削除・追加の組み合わせからなる」の誤記と認められる。)。ただし、これらの操作を行うための適当なGUIがユーザに提供されるものとする。」
(エ)引用文献4(特開平10-51734号公報)
引用文献4には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン放送番組制作、ビデオ番組制作などの動画像制作などに用いられる動画像編集装置とその編集方法に関する。」
「【0009】
【発明が解決しようとする課題】あるシーンから別のシーンに緩やかに変化する画像(ディゾルブ効果を与えられた画像等)の場合には、自動シーン分割処理によってもシーンの変化点が検出されない場合が発生する。また、自動シーン分割により設定された分割点以外の場所で、シーン分割処理を行いたい場合がある。例えば、画像情報で別の分割処理方法、例えば、音声情報を利用した分割処理による分割点の追加を行いたい場合がある。従来の方法によっては分割点の再設定を行おうとする範囲において、動画像を繰り返し再生を行いながらキー入力(専用ボタン等による入力等)で分割点の設定を行う必要があり、この場合目的の位置を設定するには、時間と経験を要した。」
「【0029】ここで、オペレータがシーン分割点を設定する方法について説明する。1つめの方法は、分割しようとするフレーム位置のM-アイコンを、図4のようにフィルムイメージ状に表示させ、これをマウスでクリックすることで行える。このときシーンの分割点は下向きの矢印404で示される。
【0030】2つめの方法は、図4に示すPREVIEWボタン405をクリックした後、表示された図5のウインドウ503上で画像を再生する。ウインドウ503に分割点を設定したい画像が表示された時にキーボードあるいはマウス209から分割点をSPACEボタン501の操作により入力する。(後略)」
「【0035】オペレータはこの再生画面を見ながら、その再生に応じた任意のフレーム画像が表示されたタイミングで所定のキーボードを叩くか、もしくはマウスまたはキーボード209によりボタン501をクリックすることで分割点を指定する。このとき、スロー再生やコマ送りの機能を、機能実現手段502を用いることで実行し、この段階で、目的の設定フレーム位置に、より近いフレーム位置に設定を行うことが出来る。(後略)」
「【図4】
[図:0001405487000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001405487000004.jpg]
」
ウ 対比
本願補正発明と、引用発明を対比する。
(ア)発明特定事項A
引用発明の構成cによれば、「映像シーケンス入力部2」は、素材映像シーケンスを入力するものであり、また、構成dによれば、「映像シーケンス蓄積部7」は、素材映像シーケンスを蓄積するものである。
ここで、引用発明の「素材映像シーケンス」は、動画であることは明白であるから、本願補正発明の「動画」に相当する。
また、引用発明の「映像シーケンス蓄積部7」は、フレーム単位で画像を読み出し可能に管理するデータベースといえるものであるから、本願補正発明の「データベース」に相当する。
よって、引用発明の「映像シーケンス入力部2」及び「映像シーケンス蓄積部7」からなる構成は、本願補正発明における発明特定事項Aである「動画を入力してデータベースに登録する動画入力部」に相当する。
(イ)発明特定事項B
引用発明は、構成fによれば、素材映像シーケンスを「各フレーム間の物理的特徴量の変化」に基づくカット点検出手法によって、N個のカットに区分する構成を備えるものである。
ここで、構成dによれば、素材映像シーケンスは、映像シーケンス蓄積部に蓄積されたものであるから、本願補正発明の「登録された前記動画」に相当し、また、引用発明の素材映像シーケンスをN個のカットに区分すること、及び区分された「カット」は、それぞれ本願補正発明の「シーンの画定を行う」こと、及び「シーン」に相当する。
そうすると、引用発明の「各フレーム間の物理的特徴量の変化」に基づいて素材映像シーケンスをN個のカットに区分することは、本願補正発明の「シーンの特徴量」を抽出し、前記特徴量に応じてシーンを画定することに相当する。
よって、引用発明の素材映像シーケンスを各フレーム間の物理的特徴量の変化に基づくカット点検出手法によって、N個のカットに区分する構成は、本願補正発明の発明特定事項Bである「登録された前記動画におけるシーンの特徴量を抽出し、前記特徴量に応じてシーンの画定を行うシーン解析部」に相当する。
(ウ)発明特定事項C
本願発明の「シーン名」について、一般に、動画のシーン名には、文字列、ID、番号などが用いられるところ、本願発明においては、「シーン名」に具体的な特定がなく、文字列、ID、番号が含まれるものと認められる。
一方で、引用発明は、構成fによれば、各カットSiの「先頭フレーム識別番号」が、カット点位置情報fiとして、コマ識別番号によってアクセス可能なカット点位置情報蓄積部8に蓄積されるものである。
また、引用発明の構成gによれば、コミック形式ムービーは、初期状態で、N個のコマがページ画像表示部1-5に配置されるものであり、コマ識別番号やカット点位置情報fiは、各カットSiに紐付けられているといえる。
そうすると、コマ識別番号やカット点位置情報fiは、コマに対応する各カットSiを特定するID又は番号といえるものであるから、引用発明の「コマ識別番号」や「カット点位置情報fi」は、本願補正発明のシーン毎に付与された「シーン名」に相当する。
よって、引用発明において、各カットSiの先頭フレーム識別番号を、カット点位置情報fiとして、コマ識別番号によってアクセス可能に蓄積する構成は、本願補正発明における発明特定事項Cである「前記シーン解析部において画定された前記シーンごとにシーン名を付与して前記シーン名を前記シーンごとに紐付けるシーン名付与部」に相当する。
(エ)発明特定事項D’
引用発明は、構成hによれば、「制作者」が、ページ画像表示部1-5に表示された初期状態のページ画像を見て、あるコマに対応するムービーのフレーム開始位置を変更する必要を感じた場合、映像シーケンス表示部1-2でそのコマと同じ識別色の外枠を有するフレームをマウスなどにより指定することで、所望のフレーム開始位置に対応する映像シーケンス表示部1-2上のフレームを指定するものである。
ここで、引用発明の映像シーケンス表示部1-2上のフレームは、図2を参照すると、時系列に並べて表示されており、この並びは、動画の時間軸を表すものといえる。
そうすると、引用発明において、映像シーケンス表示部1-2で、特定位置のフレームをマウスなどにより指定することは、時間軸上の所定の位置をマーキングする動作といえる。
よって、引用発明の上述の動作を行う構成と、本願補正発明の発明特定事項D’とは、「前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部」(以下「発明特定事項D”」という。)を備える点で共通する。
一方で、本願補正発明と引用発明は、マーキング部におけるマーキングについて、本願補正発明では、「前記動画の再生中に、前記動画とは別にマーキング用の画像を提示することなく」行われるのに対し、引用発明では、映像シーケンス表示部1-2上にマウスなどを用いて指定可能なフレームが表示されている状態で行われる点で、相違する。
(オ)発明特定事項E
上記(エ)で述べたとおり、引用発明において、映像シーケンス表示部1-2で、特定位置のフレームをマウスなどにより指定することは、時間軸上の所定の位置をマーキングする動作に相当する。
また、引用発明の構成eによれば、編集処理部10は、命令入力部5からカット点変更命令が入力されると、指定されたコマ識別番号およびフレーム識別番号に基づいて、カット点位置情報蓄積部8に蓄積されたカット点位置情報を書き換えてカット点変更処理を行うものである。
そうすると、引用発明の構成iにおける「映像シーケンス表示部1-2のフレーム開始位置を変更すると」、「カット点位置情報蓄積部8の対応するカット点位置情報とが連動して書き換わる」処理は、本願補正発明の「前記マーキングが行われた場合には、前記マーキングされた位置に基づいて前記シーンのすくなくとも開始位置または終了位置のいずれかを修正する」処理に相当する。
また、引用発明において上記の処理を行う構成と、上記(イ)の処理を行う構成とからなる構成は、本願補正発明の「シーン解析部」に相当する。
よって、引用発明の上記処理は、本願補正発明の発明特定事項Eである「前記シーン解析部は、前記マーキングが行われた場合には、前記マーキングされた位置に基づいて前記シーンのすくなくとも開始位置または終了位置のいずれかを修正する」との発明特定事項に相当する。
(カ)発明特定事項F
引用発明は、構成aによれば、「映像情報編集装置」である。
一般に、編集する装置において、閲覧が可能であることは、自明である。
そうすると、引用発明の「映像情報編集装置」は、本願補正発明における発明特定事項Fである「動画閲覧装置」に相当する。
(キ)一致点・相違点
上記(ア)~(カ)のとおりであるから、本願補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
【一致点】
「(A) 動画を入力してデータベースに登録する動画入力部と、
(B) 登録された前記動画におけるシーンの特徴量を抽出し、前記特徴量に応じてシーンの画定を行うシーン解析部と、
(C) 前記シーン解析部において画定された前記シーンごとにシーン名を付与して前記シーン名を前記シーンごとに紐付けるシーン名付与部と、
(D”)前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部と、を備え、
(E) 前記シーン解析部は、前記マーキングが行われた場合には、前記マーキングされた位置に基づいて前記シーンのすくなくとも開始位置または終了位置のいずれかを修正する、
(F) ことを特徴とする動画閲覧装置。」
【相違点】
マーキング部におけるマーキングについて、本願補正発明では、「前記動画の再生中に、前記動画とは別にマーキング用の画像を提示することなく」行われるのに対し、引用発明では、映像シーケンス表示部1-2上にマウスなどを用いて指定可能なフレームが表示されている状態で行われる点。
エ 当審の判断
上記ウ(キ)の相違点について検討する。
上記イの(イ)~(エ)で示した引用文献2~4の記載によれば、動画像から、自動的に抽出したシーンやカットの変化点を修正する際に、(1)一覧表示されたフレームを選択して修正する動作(引用文献2の【0068】、引用文献3の【0082】、引用文献4の【0029】等参照。)、及び、(2)画像を再生しながら修正する動作(引用文献2の【0068】、引用文献3の【0082】、引用文献4の【0030】等参照。)は、いずれも周知技術である。以下、それぞれ「周知技術1」、「周知技術2」という。
ここで、周知技術1の場合には、フレームの選択(マーキング)用の画像を提示する必要があるが、周知技術2の場合には、そのような提示が必要ないことは、自明である。
また、上記の周知技術1及び周知技術2の動作を行う構成は、互いに排他的な構成ではない。例えば、引用文献4には、周知技術1のように、フィルムイメージ状に表示させた画面において、「PREVIEWボタン405をクリック」することで、周知技術2の動作を実施する構成が記載されており、周知技術1及び2は、人手による作業の効率性を考慮して、適宜使い分けて使用できるものといえる。
してみると、引用発明は、自動的に検出されたカット点以外の場所をシーン分割するニーズがあり、シーンの長さによっては、映像シーケンス表示部1-2のフレーム画像表示よりも、周知技術2のように画像を再生しながらカット点を指定する方が効率的である場合が生じるから、引用発明において周知技術2を適用することで上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 効果等について
本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易になし得たものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易になし得たものから当業者が容易に予測しうる範囲 内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。
カ 請求人の主張について
本件審判請求の請求人は、審判請求書の3(3)において、本願補正発明と拒絶査定の各引用文献とを比較して、各引用文献には、「動画の再生中に、前記動画とは別にマーキング用の画像を提示することなく、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部」(発明特定事項D’)が備えられていないことから、特許法第29条第2項の規定に該当しない旨を主張している。
しかし、この点は、上記ア~エのとおり、引用発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上述の請求人の主張は、採用できない。
キ まとめ
上記ア~エのとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。
第3 本願の特許請求の範囲
1 本願発明
令和4年11月9日になされた手続補正は、上記「第2」のとおり却下されたから、本願の特許請求の範囲は、同年4月7日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲のとおり(上記「第2」の[理由]の1(1)に記載したとおり)のものである。以下に、本願の請求項1に係る発明である本願発明を再掲する。
(本願発明)
「【請求項1】
(A) 動画を入力してデータベースに登録する動画入力部と、
(B) 登録された前記動画におけるシーンの特徴量を抽出し、前記特徴量に応じてシーンの画定を行うシーン解析部と、
(C) 前記シーン解析部において画定された前記シーンごとにシーン名を付与して前記シーン名を前記シーンごとに紐付けるシーン名付与部と、
(D) 前記動画の再生中に、前記動画の時間軸上の所定の位置をマーキングするマーキング部と、を備え、
(E) 前記シーン解析部は、前記マーキングが行われた場合には、前記マーキングされた位置に基づいて前記シーンのすくなくとも開始位置または終了位置のいずれかを修正する、
(F) ことを特徴とする動画閲覧装置。」
2 原査定の拒絶の理由と引用文献
原査定である令和4年7月27日付け拒絶査定は、特許請求の範囲の請求項1に係る発明である本願発明について、拒絶査定の引用文献1、5~6(上記「第2」の[理由]の2(3)イにおいて、本審決において独立特許要件を検討した際の引用文献1、3~4)に基づいて、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものを含むものである。
3 対比・判断
本願発明は、上記「第2」の[理由]の1(1)で示したとおりであり、本願補正発明から上記「第2」の[理由]の2で示した補正事項1の限定を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明の相違点は、上記「第2」の[理由]の2(3)ウ(キ)において相違点としたもののうち、以下のもののみである。
【相違点】
マーキング部によるマーキングにおいて、本願補正発明の発明特定事項Dは、「前記動画の再生中に」行うとの発明特定事項を備えているのに対し、引用発明は、そのような構成について記載がない点。
そして、上記「第2」の[理由]の2(3)エの判断と同様に、引用発明に、引用文献2~4に記載の周知技術を適用することで、上記相違点に係る構成を備える構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-018045