2022-017699
作業車両、及び、作業車両の制御方法
- 審判番号
- 2022-017699
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-526712外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月04日
- 審決日
- 2023年07月06日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社小松製作所
- 【請求人代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 分類
- P18 .121-WY (F02D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
第1 手続の経緯
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本願(特願2019-526712号)は、2018年(平成30年)5月29日(優先権主張 2017年(平成29年)6月27日)を国際出願日とする出願であって、令和4年3月2日付けで拒絶理由通知がされ、令和4年4月18日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年8月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年11月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年8月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし3、14及び15に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1、2及び3に記載された発明に基いて、本願請求項7に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、本願請求項8及び9に係る発明は、以下の引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、本願請求項10及び11に係る発明は、以下の引用文献1ないし6に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
ただし、本願請求項5、6、12及び13に係る発明については、原査定の時点では、拒絶の理由を発見しない。
引用文献等一覧
1.特開2008-144942号公報
2.特開平11-002144号公報
3.特開2011-245948号公報
4.特開2006-064011号公報
5.特開2006-291870号公報
6.特開平01-305141号公報
第3 本願発明
本願請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明15」という。)は、令和4年11月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される発明であり、このうち、独立形式請求項である本願発明1、14及び15は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】エンジンと、前記エンジンによって駆動される走行用ポンプと、前記走行用ポンプに接続された油圧回路と、前記油圧回路を介して前記走行用ポンプに接続された走行用モータと、を含む静油圧式変速機と、前記エンジンによって駆動される作業機用ポンプと、続きを表示(全15行)前記作業機用ポンプから吐出された作動油によって駆動される作業機と、アクセル操作部材と、前記アクセル操作部材の操作量を示す信号を出力する第1センサと、作業機操作部材と、前記作業機操作部材の操作量を示す信号を出力する第2センサと、前記第1センサ及び前記第2センサからの信号を受信するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記アクセル操作部材の操作量から、前記静油圧式変速機に入力される目標入力馬力を決定し、前記目標入力馬力と前記作業機操作部材の操作量とから、前記エンジンの目標回転速度を決定する、作業車両。」
「 【請求項14】エンジンと、前記エンジンに接続された静油圧式変速機と、前記エンジンに接続された作業機用ポンプと、前記作業機用ポンプから吐出された作動油によって駆動される作業機と、を備える作業車両を制御するためにコントローラによって実行される方法であって、アクセル操作部材の操作量を示す信号を受信することと、作業機操作部材の操作量を示す信号を受信することと、前記アクセル操作部材の操作量から、前記静油圧式変速機に入力される目標入力馬力を決定することと、前記目標入力馬力と前記作業機操作部材の操作量とから、前記エンジンの目標回転速度を決定すること、を備える方法。」
「 【請求項15】エンジンによって駆動される走行用ポンプと走行用モータとを含む静油圧式変速機と、作業機用ポンプとを備える作業車両の駆動系を制御するためにコントローラによって実行される方法であって、アクセル操作部材の操作量を示す信号を受信することと、作業機操作部材の操作量を示す信号を受信することと、前記アクセル操作部材の操作量から、前記走行用ポンプに入力される目標入力馬力を決定することと、前記目標入力馬力と前記作業機操作部材の操作量とから、前記エンジンから前記走行用ポンプに入力される目標回転速度を決定すること、を備える方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様。)。
「【0033】本発明の一実施形態に係る建設車両の牽引力制御装置を搭載したホイルローダ(建設車両)1について、図1~図14を用いて説明すれば以下の通りである。なお、以下の説明において登場する「トラクションコントロール作動モード」とは、油圧モータ(後述する走行モータ(走行用油圧モータ)12,13)の最大傾転角を調整することでホイルローダ1の牽引力を制御するモードを意味し、「スノーモード)」とは、エンジン8のMAX回転数の制限、あるいは走行用油圧ポンプ容量(後述するメインポンプ9の最大容量)、ポンプ容量制御シリンダ23へ付与されるパイロット圧等を調整する制御によってホイルローダ1の牽引力を制御するモードを意味するものとする。【0034】続きを表示(全11行)[ホイルローダ1の全体構成]本発明の一実施形態に係るホイルローダ(建設車両)1は、図1に示すように、タイヤ4a,4bにより自走可能であると共に作業機3を用いて所望の作業を行う建設車両である。ホイルローダ1は、車体フレーム2、作業機3、タイヤ4a,4b、キャブ5を備えている。【0035】車体フレーム2は、前側に配置されるフロントフレーム2aと、後側に配置されるリアフレーム2bとを有しており、フロントフレーム2aとリアフレーム2bとは車体フレーム2の中央部において左右方向に揺動可能な状態で連結されている。また、車体フレーム2には、タイヤ4a,4bや作業機3を駆動するための油圧駆動機構7が搭載されている。なお、この油圧駆動機構7の構成については、後段にて詳述する。【0036】フロントフレーム2aには、作業機3および一対のフロントタイヤ4aが取り付けられている。リアフレーム2bには、キャブ5、作動油タンク6、一対のリアタイヤ4bなどが設けられている。作業機3は、作業機用油圧ポンプ11(図2参照)からの圧油によって駆動される装置であって、フロントフレーム2aの前部に装着されたリフトアーム37と、リフトアーム37の先端に取り付けられたバケット38と、これらを駆動する作業機シリンダ26(図2参照)とを有している。」
「【0038】作動油タンク6は、キャブ5の後方に配置されており、各種の油圧ポンプによって加圧される作動油を蓄積する。[油圧駆動機構7]油圧駆動機構7は、図2に示すように、主として、エンジン8、メインポンプ(走行用油圧ポンプ)9、チャージポンプ10、作業機用油圧ポンプ11、第1走行モータ(走行用油圧モータ)12、第2走行モータ(走行用油圧モータ)13、クラッチ14、駆動軸15、コントローラ(制御部)16(図3参照)を有しており、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)システムが採用されている。続きを表示(全15行)【0039】エンジン8は、ディーゼル式のエンジンであり、エンジン8で発生した出力トルクが、メインポンプ9、チャージポンプ10、作業機用油圧ポンプ11、ステアリング用油圧ポンプ(図示せず)等に伝達される。エンジン8には、エンジン8の出力トルクと回転数とを制御する燃料噴射装置17が付設されており、アクセルの操作量(以下、「アクセル開度」と呼ぶ)に応じてスロットル開度を調整し、燃料の噴射量を調整する。アクセルは、エンジン8の目標回転数を指示する手段であり、アクセル開度検出部18(図3参照)が設けられている。アクセル開度検出部18は、ポテンショメータなどで構成されており、アクセル開度を検出する。アクセル開度検出部18は、アクセル開度を示す開度信号をコントローラ16へと送り、コントローラ16から燃料噴射装置17に制御信号が出力される。このため、オペレータはアクセルの操作量を調整することによってエンジン8の回転数を制御することができる。また、エンジン8には、エンジン8の実回転数を検出する回転センサからなるエンジン回転数検出部19(図3参照)が設けられており、エンジン回転数検出部19からの回転数信号がコントローラ16に入力される。【0040】メインポンプ9は、エンジン8によって駆動される可変容量型の油圧ポンプであり、メインポンプ9から吐出された圧油は、主回路20,21を通って第1走行モータ12および第2走行モータ13へと送られる。なお、この油圧駆動機構7には、主回路20,21を通る圧油の圧力(以下、「主回路油圧」)を検出する主回路油圧検出部22(図3参照)が設けられている。なお、主回路油圧は、第1走行モータ12および第2走行モータ13を駆動する圧油の駆動油圧に相当する。また、メインポンプ9には、メインポンプ9の容量を制御するためのポンプ容量制御シリンダ23と前後進切換弁24とが接続されている。【0041】チャージポンプ10は、エンジン8によって駆動され、主回路20,21へと圧油を供給するためのポンプである。また、チャージポンプ10は、メインポンプ9のパイロット回路に圧油を供給する。作業機用油圧ポンプ11は、エンジン8によって駆動されている。そして、作業機用油圧ポンプ11から吐出された圧油は、作業機用油圧回路25を介して作業機3の作業機シリンダ26に送られ、作業機シリンダ26を駆動する。【0042】第1走行モータ12は、可変容量型の油圧モータであり、メインポンプ9から吐出された圧油によって駆動され、走行のための駆動力を生じさせる。第1走行モータ12には、第1走行モータ12の傾転角を制御する第1モータシリンダ29と、第1モータシリンダ29を制御する第1モータ制御弁30(図3参照)とが設けられている。第1モータ制御弁30は、コントローラ16からの制御信号に基づいて制御される電磁制御弁であって、第1モータシリンダ29を制御することにより、第1走行モータ12の容量を、走行回路圧に応じた容量とすることができる。なお、第1走行モータ12の容量を走行回路圧に応じた容量とするのは、後述するように、第1走行モータ12のみで駆動する高速走行時の場合であり、第1走行モータ12と第2走行モータ13の両方で駆動する低速走行時には、第1走行モータ12は最大容量に固定される。【0043】第2走行モータ13は、第1走行モータ12と同様に、メインポンプ9から吐出された圧油によって駆動される可変容量型の油圧モータであり、駆動軸15に走行のための駆動力を生じさせる。第2走行モータ13は、油圧回路上において第1走行モータ12と並列に設けられている。また、第2走行モータ13には、第2走行モータ13の傾転角を制御する第2モータシリンダ31と、第2モータシリンダ31を制御する第2モータ制御弁32(図3参照)とが設けられている。第2モータ制御弁32は、コントローラ16からの制御信号に基づいて制御される電磁制御弁であり、第2モータシリンダ31を制御することにより、第2走行モータ13の容量を任意に変えることができる。また、第2モータ制御弁32に加えられる制御信号を調整することにより、最大傾転角および最小傾転角を調整することができる。」
「【0046】コントローラ16は、図3に示すように、燃料噴射装置17、アクセル開度検出部18、エンジン回転数検出部19、主回路油圧検出部22、前後進切換弁24、第1モータ制御弁30、第2モータ制御弁32、クラッチ制御弁33、車速検出部34、トラクションコントロール解除ボタン(トラクションコントロール解除操作部)35、トラクションコントロールスイッチ(トラクションコントロール設定部、スノーモード設定部)36、モード判定部39、前後進切換レバー55等と接続されており、制御ブロック(牽引力制御装置)40を構成する。そして、コントローラ16は、各検出部からの出力信号に基づいて各制御弁や燃料噴射装置17を電子制御して、エンジン回転数、各油圧ポンプ9~11の容量、各走行モータ12,13の容量等を制御したり、トラクションコントロール解除ボタン35等の操作によりトラクションコントロール作動モードからトラクションコントロール解除モードへ移行、復帰等を制御したりすることができる。なお、コントローラ16におけるトラクションコントロール解除モードとトラクションコントロール作動モードとの間の移行、復帰制御等の各種制御内容については、後段にて詳述する。【0047】[キャブ5内部の配置]キャブ5は、図6に示すように、内部に、オペレータシート(運転席)42、ステアリング43、右側コンソールボックス44、前方コンソールボックス46、右側コンソールボックス44の前方であってオペレータシート42の近接する位置に配置された作業機レバー53、を備えている。また、オペレータシート42の前方でステアリング43の下方、左側部分には、前方側に前後進切換レバー55と、が配置されている。そして、オペレータシート42にオペレータが着座した際の左右両側には、乗降用ドア45a,45bが取り付けられている。」
「【0049】右側コンソールボックス44は、図7および図8に示すように、アームレスト51やスイッチパネル52等を上面に配置したボックスであって、オペレータシート42と右側の乗降用ドア45aとの間のスペースに配置されている。また、右側コンソールボックス44は、図示しないスライドレールに沿って前後方向に移動可能である。アームレスト51は、図7に示すように、作業機レバー53のすぐ後方に配置されており、ホイルローダ1を運転するオペレータはこのアームレスト51上に腕(手首)をのせた状態で作業機レバー53を握りながら作業機3等の操作を行う。スイッチパネル52は、図8に示すように、アームレスト51のすぐ後方に配置されており、複数のスイッチ類を含んでいる。【0050】スイッチパネル52に含まれる複数のスイッチ類には、エンジンをスタートさせるキースイッチ61、車速レンジ切換スイッチ62,63、ファン逆転スイッチを含むスイッチ群64、およびT/Cスイッチ36等が含まれる。作業機レバー53は、これら2本のレバーを前後に傾斜させることで、ホイルローダ1の前方に取り付けられた作業機、つまりリフトアーム37やバケット38の動きを操作するためのレバーである。作業機レバー53は、上部にオペレータに把持されるグリップを有しており、作業機レバー53のうちの一方(この例では外側)のグリップ上面に、トラクションコントロール解除を実行するためのトラクションコントロール解除ボタン35が設けられている。」
「[図:0001400308000001.jpg]」(【図1】)
「[図:0001400308000002.jpg]」(【図2】)
「[図:0001400308000003.jpg]」(【図3】)
「[図:0001400308000004.jpg]」(【図6】)
「[図:0001400308000005.jpg]」(【図7】)
したがって、上記引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「エンジン8と、エンジン8によって駆動されるメインポンプ9と、メインポンプ9に接続された主回路20,21と、主回路20,21を通ってメインポンプ9から吐出された圧油が送られる走行用油圧モータ12,13と、を含む油圧駆動機構7と、エンジン8によって駆動される作業機用油圧ポンプ11と、作業機用油圧ポンプ11から吐出された圧油によって駆動される作業機3と、続きを表示(全13行)アクセルと、アクセルのアクセル開度を示す開度信号を出力するアクセル開度検出部18と、作業機レバー53と、作業機レバー53を前後に傾斜させて作業機3の動きを操作することと、アクセル開度検出部18からの開度信号が入力されるコントローラ16と、を備え、コントローラ16は、アクセルのアクセル開度から、エンジン8の目標回転数を指示する、ホイルローダ1。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は建設機械のエンジン制御装置に係わり、特にディーゼルエンジンにより油圧ポンプを回転駆動し、この油圧ポンプから吐出される圧油により油圧アクチュエータを駆動し、必要な作業を行う油圧ショベル等の建設機械のエンジン制御装置に関する。」
「【0027】図1において、1及び2は可変容量型の油圧ポンプであり、油圧ポンプ1,2は流量制御弁装置3を介してアクチュエータ5,6に接続され、油圧ポンプ1,2が吐出した圧油によりアクチュエータ5,6は駆動される。アクチュエータ5,6は例えば油圧ショベルの上部旋回対を回転駆動する旋回モータや、作業フロントを構成するブーム、アーム等を動かす油圧シリンダであり、このアクチュエータ5,6が駆動されることにより所定の作業が行われる。アクチュエータ5,6の駆動指令は操作レバー装置33,34により与えられ、操作レバー装置33,34を操作することにより流量制御弁装置3に含まれる対応する流量制御弁が操作され、アクチュエータ5,6の駆動が制御される。【0028】油圧ポンプ1,2は例えば斜板ポンプであり、容量可変機構である斜板1a,1bの傾転をレギュレータ7,8で制御することによりそれぞれのポンプ吐出流量が制御される。」
「【0030】油圧ポンプ1,2及びパイロットポンプ9は原動機10の出力軸11に接続され、原動機10により回転駆動される。原動機10はディーゼルエンジンであり、電子燃料噴射装置12を備えている。また、その目標回転数はアクセル操作入力部35により指令される。」
「【0035】ソレノイド制御弁30,31は、それぞれ、操作レバー装置33,34が中立位置にあるときには駆動電流が最小で、出力する制御圧力を最高にし、操作レバー装置33,34が操作されると、その操作量が増大するに従って駆動電流が増大し、出力する制御圧力が低くなるよう動作する(後述)。また、ソレノイド制御弁32はアクセル操作入力部35からのアクセル信号が指示するエンジン目標基準回転数が高くなるに従って駆動電流が増大し、出力する制御圧力が低くなるよう動作する(後述)。【0036】以上により、操作レバー装置33,34の操作量が増大するに従って油圧ポンプ1,2の吐出流量が増大し、流量制御弁装置3の要求流量に応じた吐出流量が得られるよう油圧ポンプ1,2の傾転が制御されると共に、油圧ポンプ1,2の吐出圧力が上昇するに従って、またアクセル制御入力部35から入力される目標回転数が低くなるに従って油圧ポンプ1,2の吐出流量の最大値が小さく制限され、油圧ポンプ1の負荷が原動機10の出力トルクを越えないように油圧ポンプ1,2の傾転が制御される。【0037】図1に戻り、40はポンプコントローラであり、50はエンジンコントローラである。【0038】ポンプコントローラ40は、圧力センサ41,42,43,44、回転数センサ51からの検出信号及びアクセル操作入力部35からのアクセル信号を入力し、所定の演算処理を行い、ソレノイド制御弁30,31,32へ制御電流を出力すると共に、エンジンコントローラ50にエンジン必要馬力信号PN及びエンジン必要回転数信号NNを出力する。【0039】操作レバー装置33,34は操作信号としてパイロット圧を生成し出力する油圧パイロット方式であり、操作レバー装置33,34のパイロット回路にはそのパイロット圧を検出するシャトル弁36,37が設けられ、圧力センサ41,42は、それぞれ、そのシャトル弁36,37により検出されたパイロット圧を検出する。また、圧力センサ43,44はそれぞれ油圧ポンプ1,2の吐出圧力を検出し、回転数センサ51はエンジン10の回転数を検出する。【0040】エンジンコントローラ50は前記アクセル操作入力部35からのアクセル信号及び回転数センサ51からの検出信号、ポンプコントローラ40からのエンジン必要馬力信号PN及びエンジン必要回転数信号NNを入力すると共に、燃料噴射装置12のリンク位置センサ52、進角センサ53からの検出信号を入力し、所定の演算処理を行い、燃料噴射装置12のガバナアクチュエータ54、タイマアクチュエータ55に制御電流を出力する。【0041】図3に電子燃料噴射装置12及びその制御系の概要を示す。図3において、電子燃料噴射装置12は、エンジン10の各シリンダ毎に噴射ポンプ56と噴射ノズル57とガバナ機構58とを有している。噴射ポンプ56は、プランジャ61と、このプランジャ61の内部を上下動するプランジャバレル62とを有し、カムシャフト59が回転すると、この回転によりカムシャフト59に設けられたカム60がプランジャ61を押し上げ燃料を加圧し、その加圧燃料がノズル57に送出され、エンジンのシリンダ内に噴射される。カムシャフト59はエンジン10のクランクシャフトに連動して回転する。」
「【0044】ポンプコントローラ40の処理内容を図4に機能ブロック図で示す。ポンプコントローラ40は、エンジン目標基準回転数演算部40a、ポンプ最大吸収トルク演算部40b、ポンプ最大吸収馬力演算部40c、第1ポンプ基準目標流量演算部40d、第1ポンプ目標流量演算部40e、第1ポンプ目標傾転演算部40f、第1ポンプ必要馬力演算部40g、第1ポンプ必要回転数演算部40h、第2ポンプ基準目標流量演算部40i、第2ポンプ目標流量演算部40j、第2ポンプ目標傾転演算部40k、第2ポンプ必要馬力演算部40m、第2ポンプ必要回転数演算部40n、加算部4p、最小値選択部40q、最大値演算部40r、第1、第2ポンプ傾転制御出力部40s,40t、ポンプトルク制御出力部40uの各機能を有している。【0045】エンジン目標基準回転数演算部40aはアクセル操作入力部35からのアクセル信号SWを入力し、これに基づいてエンジン目標基準回転数NRを算出する。この計算に用いるクセル信号SWとエンジン目標基準回転数NRとの関係を図5(a)に示す。図5(a)において、アクセル信号SWが増大すれば、これに応じてエンジン目標基準回転数NRが増加するようSWとNRとの関係が設定されている。【0046】ポンプ最大吸収トルク演算部40bは、演算部40aで計算したエンジン目標基準回転数NRを入力し、これに基づいてポンプ最大吸収トルクTRを算出する。この計算に用いるエンジン目標基準回転数NRとポンプ最大吸収トルクTRとの関係を図5(b)に示す。図5(b)において、エンジン目標基準回転数NRが増大すれば、これに応じてポンプ最大吸収トルクTRが増大するようにNRとTRとの関係が設定されている。ポンプトルク制御出力部40uはこのポンプ最大吸収トルクTRに基づきソレノイド制御弁32へ駆動電流を出力する(後述)。【0047】ポンプ最大吸収馬力演算部40cは、演算部40aで計算したエンジン目標基準回転数NRと演算部40bで計算したポンプ最大吸収トルクTRを入力し、これらに基づきポンプ最大吸収馬力PRを算出する。これは、続きを表示(全37行)ポンプ最大吸収馬力PR=ポンプ最大吸収トルクTR×エンジン目標基準回転数NR×係数…(1)の計算により行う。【0048】第1ポンプ基準目標流量演算部40dは、操作レバー装置33からの操作信号として圧力センサ41により検出したパイロット圧力P1を入力し、これに基づいて油圧ポンプ1の基準目標流量QR1を算出する。この計算に用いるパイロット圧力(操作信号)P1と基準目標流量QR1との関係を図5(c)に示す。図5(c)において、パイロット圧力P1が増大すれば、これに応じて基準目標流量QR1が増大するようにP1とQR1との関係が設定されている。【0049】第1ポンプ目標流量演算部40eは、演算部40aで計算したエンジン目標基準回転数NRと演算部40dで計算した基準目標流量QR1を入力し、基準目標流量QR1をエンジン目標基準回転数NRで補正してポンプ目標流量Q1を算出する。これは、予め設定された定数のエンジン最大回転数Nmaxを基にその比率でポンプ目標流量Q1を算出する下記の計算により行う。【0050】ポンプ目標流量Q1=ポンプ基準目標流量QR1/エンジン目標基準回転数NR/エンジン最大回転数Nmax(予め設定された定数)…(2)このようにポンプ目標流量Q1を算出することにより、アクセル操作入力部35により指令され、演算部40aで計算したエンジン目標基準回転数NRがエンジン最大回転数Nmaxに比して小さくなるに従って、ポンプ目標流量Q1が減少するので、エンジン目標基準回転数NRに応じて(アクセル操作入力部35からのアクセル信号SWに応じて)流量制御弁装置3のメータリング特性を変えることができる。【0051】第1ポンプ目標傾転演算部40fは、演算部40eで計算したポンプ目標流量Q1と回転数センサ51で検出したエンジン10の実回転数Neを入力し、これらに基づいて油圧ポンプ1のポンプ目標傾転θ1を算出する。これは、ポンプ目標傾転θ1=ポンプ目標流量Q1/エンジン実回転数Ne/係数…(3)の計算により行う。ポンプ傾転制御出力部40sはこのポンプ目標傾転θ1に基づきソレノイド制御弁30へ駆動電流を出力する(後述)。【0052】第1ポンプ必要馬力演算部40gは、演算部40eで計算したポンプ目標流量Q1と圧力センサ43で検出した油圧ポンプ1の吐出圧力PD1を入力し、これらに基づき油圧ポンプ1の回転駆動に必要なポンプ必要馬力PS1を算出する。これは、ポンプ必要馬力PS1=ポンプ目標流量Q1×ポンプ吐出圧力PD1×係数…(4)の計算により行う。【0053】第1ポンプ必要回転数演算部40hは、演算部40eで計算したポンプ目標流量Q1を入力し、これに基づいて油圧ポンプ1の回転駆動に必要なポンプ必要回転数NR1を計算する。これは、ポンプ必要回転数NR1=ポンプ目標流量Q1/ポンプ最大傾転(予め定められた定数)…(5)の計算により行う。【0054】第2ポンプ基準目標流量演算部40i、第2ポンプ目標流量演算部40j、第2ポンプ目標傾転演算部40k、第2ポンプ必要馬力演算部40m、第2ポンプ必要回転数演算部40nにおいても、油圧ポンプ2に対して同様の演算を行う。【0055】すなわち、第2ポンプ基準目標流量演算部40iは、操作レバー装置34からの操作信号として圧力センサ42により検出したパイロット圧力P2を入力し、これに基づいて図5(c)に示すような関係から油圧ポンプ2の基準目標流量QR2を算出する。【0056】第2ポンプ目標流量演算部40jは、演算部40aで計算したエンジン目標基準回転数NRと演算部40iで計算した基準目標流量QR2を入力し、上記(2)式と同様の式を用いて基準目標流量QR2をエンジン目標基準回転数NRで補正し、ポンプ目標流量Q2を算出する。【0057】第2ポンプ目標傾転演算部40kは、演算部40jで計算したポンプ目標流量Q2と回転数センサ51で検出したエンジン10の実回転数Neを入力し、これらに基づいて油圧ポンプ2のポンプ目標傾転θ2を上記(3)式と同様な式を用いて算出する。ポンプ傾転制御出力部40tはこのポンプ目標傾転θ2に基づきソレノイド制御弁31へ駆動電流を出力する(後述)。【0058】第2ポンプ必要馬力演算部40mは、演算部40jで計算したポンプ目標流量Q2と圧力センサ44で検出した油圧ポンプ2の吐出圧力PD2を入力し、これらに基づき上記(4)式と同様な式を用いてき油圧ポンプ2の回転駆動に必要なポンプ必要馬力PS2を算出する。【0059】第2ポンプ必要回転数演算部40nは、演算部40jで計算したポンプ目標流量Q2を入力し、これに基づいて上記(5)式と同様の式を用いて油圧ポンプ2の回転駆動に必要なポンプ必要回転数NR2を計算する。【0060】加算部4pは、ポンプ必要馬力PS1とポンプ必要馬力PS2を加算し、油圧ポンプ1,2の回転駆動に必要な合計値としてのポンプ必要馬力PS12を求める。【0061】最小値選択部40qは、このポンプ必要馬力PS12と演算部40cで計算したポンプ最大吸収馬力PRの小なる方を選択して、最終的なエンジン必要馬力PNを求め、これをエンジンコントローラ50へ送る。【0062】最大値演算部40rは、演算部40hで計算した油圧ポンプ1のポンプ必要回転数NR1と演算部40nで計算した油圧ポンプ2のポンプ必要回転数NR2の大なる方を選択して、最終的な流量制御エンジン必要回転数NNを算出し、これをエンジンコントローラ50へ送る。」
「【0067】エンジンコントローラ50では、ポンプコントローラ40で計算したエンジン必要馬力PNと流量制御エンジン必要回転数NNを基に燃料噴射量と燃料噴射時期を制御することで、エンジントルクとエンジン出力回転数を制御する。【0068】エンジンコントローラ50の処理内容を図7に機能ブロック図で示す。エンジンコントローラ50は、必要馬力参照目標エンジン回転数演算部50a、最大値選択部50b、燃料噴射量演算部50c、ガバナ指令値演算部50d、燃料噴射時期演算部50e、タイマ指令値演算部50fの各機能を有している。【0069】必要馬力参照目標エンジン回転数演算部50aは、ポンプコントローラ40からの上記エンジン必要馬力PNを入力し、これに対応する燃料消費率の最も低いエンジン回転数を必要馬力参照目標エンジン回転数NKとして求める。これは、例えばコントローラ50に図8に示すような必要馬力参照目標エンジン回転数参照テーブルを予め設定しておき、このテーブルを用いて行う。【0070】すなわち、図8において、必要馬力参照目標エンジン回転数参照テーブルにはエンジン出力トルク特性図とエンジンの等燃費曲線とエンジンの等馬力線図とから求めた太線で示すような「エンジン必要馬力に対する低燃費マッチング回転数線図」Xが予め設定されており、この線図X上でその時のエンジン必要馬力PNに対応する燃料消費率の最も低いエンジン回転数を参照し、これを必要馬力参照目標エンジン回転数NKとする。【0071】図9にそのエンジンの等燃費曲線とエンジンの等馬力線図の関係を示す。この等燃費曲線はエンジンの種類によって固有のものであり予め実験によって事前に把握されている。これを基に同じ馬力なら燃料消費率の最も低くなる回転数とトルクを決定し、これらの点をプロットすることにより「エンジン出力馬力に対する低燃費マッチング回転数線図」が求まり、これを「エンジン必要馬力に対する低燃費マッチング回転数線図」とする。【0072】最大値選択部50bは、演算部50aで計算した必要馬力参照目標エンジン回転数NKとポンプコントローラ40からの上記流量制御エンジン必要回転数NNを入力し、これらの大なる方を選択し、エンジン目標回転数NZとする。【0073】燃料噴射量演算部50cは、最大値選択部50bで求めたエンジン目標回転数NZと回転数センサ51で検出したエンジン実回転数Neを入力し、目標燃料噴射量を計算する。これは、エンジン目標回転数NZとエンジン実回転数Neとの偏差をとり、これをΔNとし、この偏差ΔNが負(ΔN<0)ならば、目標燃料噴射量を増大させ、偏差ΔNが正(ΔN>0)ならば、目標燃料噴射量を減少させ、偏差ΔNが0(ΔN=0)ならば、現在の目標燃料噴射量を維持するように計算する。【0074】ガバナ指令値演算部50dは、燃料噴射量演算部50cで計算した目標燃料噴射量とリンク位置センサ52からの検出信号(リンク位置信号)を入力し、目標燃料噴射量に応じたガバナ指令値を算出し、ガバナアクチュエータ54に対応する制御電流を出力する。これによりエンジン目標回転数NZとエンジン実回転数Neが一致するように燃料噴射量が調整される。リンク位置信号はフィードバック制御用である。【0075】燃料噴射時期演算部50eは、最大値選択部50bで求めたエンジン目標回転数NZを入力し、これに基づいて目標燃料噴射時期を算出する。この計算は公知であり、エンジン回転数が遅いときはエンジン回転に対して相対的に噴射時期を遅めとし、エンジン回転数が上昇するに従って噴射時期を早めるように目標となる噴射時期を演算する。」
「【0082】本発明では、流量制御エンジン必要回転数NNとは別に、エンジン必要馬力PNに対応する燃料消費率の最も低い必要馬力参照目標エンジン回転数NKを求め、両者の大なる方をエンジン目標回転数NZとして求める。このため、エンジン目標回転数NZは図10に示す低燃費マッチング回転数線図Xより下側に設定され、エンジン必要回転数NNが低い領域では最小の燃料消費率でエンジンを使用できる。【0083】例えば操作レバー装置の信号で決まる流量制御エンジン必要回転数NNが上記と同じ図10に示すNNaであるとき、出力トルク特性線が低燃費マッチング回転数線図Xと交わる点をAとすると、この点の出力トルクTa以下のエンジン出力トルクの領域では必要馬力参照目標エンジン回転数NKは低燃費マッチング回転数線図X上の点Aの回転数(=NNa)より低い回転数(図で見て点Aの左側の回転数)になり、NNa>NKなので、NNaがエンジン目標回転数NZとして選択される。これは図11に示す従来と同じである。【0084】一方、エンジン負荷が増大し、エンジン出力トルクがTa以上になると、必要馬力参照目標エンジン回転数NKは低燃費マッチング回転数線図X上の点Aの回転数(=NNa)より高い回転数(図で見て点Aの右側の回転数)になり、NNa<NKとなるので、NKがエンジン目標回転数NZとして設定される。このため、燃料消費率の低い領域でエンジンを使うことができる。【0085】また、例えば操作レバー装置をフルに操作し、流量制御エンジン必要回転数NNが図10に示すNNmaxに設定された場合は、常にNNmax>NKとなるので、NNmax、つまり操作レバー装置の操作量に応じた目標回転数が常にエンジン目標回転数NZとして選択される。【0086】一方、エンジン目標回転数NZが図10に示す低燃費マッチング回転数線図Xより下側にあるときには、特公平3-9293号に記載の従来技術と同様、操作レバー装置からの信号応じてエンジン目標回転数NZが設定され、騒音低減と操作性の向上が図れる。」
「【0088】なお、以上の実施形態では、ポンプコントローラとエンジンコントローラを別々に設けたが、これらを1つのコントローラで構成しても良いことは勿論である。」
「[図:0001400308000006.jpg]」(【図1】)
「[図:0001400308000007.jpg]」(【図2】)
「[図:0001400308000008.jpg]」(【図4】)
「[図:0001400308000009.jpg]」(【図5】)
「[図:0001400308000010.jpg]」(【図7】)
したがって、上記引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「原動機10と、原動機10によって回転駆動される油圧ポンプ1,2と、油圧ポンプ1,2が吐出した圧油によって駆動される油圧ショベルや旋回モータと、アクセルと、続きを表示(全13行)アクセルの操作入力を示すアクセル信号SWと、操作レバー装置33,34と、操作レバー装置33,34の操作量を示す操作信号としてのパイロット圧力P1,P2を検出する圧力センサ41,42と、アクセル信号SW及び圧力センサ41,42からのパイロット圧力P1,P2を入力するポンプコントローラ40及びエンジンコントローラ50と、を備え、ポンプコントローラ40及びエンジンコントローラ50は、アクセルの操作入力から、エンジン必要馬力PNを求め、エンジン必要馬力PNと操作レバー装置33,34の操作量とから、原動機10のエンジン目標回転数NZを求める、油圧ショベル等の建設機械。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、エンジン及び電動発電機を備えたハイブリッドタイプの建設機械に関し、特に、ホイールローダ等のように極低速で大きな牽引力を発生することの多いものに好適な制御の技術に係る。」
「【0030】(駆動系の概略構成)図1は、本発明の実施形態に係る建設機械1の駆動系の構成を示すブロック図である。図示のように建設機械1は、動力源としてエンジン10及び電動発電機11を備え、これらの出力を遊星ギヤ装置により合成して、駆動輪20側に出力するように構成した、いわゆるハイブリッドタイプの駆動系を備えている。【0031】図の例では、エンジン10の出力軸が遊星ギヤ装置のサンギヤ16aに接続され、電動発電機11の出力軸は、リングギヤ16bと接続されるギヤ17に接続されている。また、遊星ギヤ装置のキャリア18は、複数の変速段に自動的に切替可能な電子制御の変速機12に接続されていて、この変速機12がデファレンシャルギヤ19を介して駆動輪20に接続されている。さらに、サンギヤ16aとキャリア18との間には直結クラッチ15が設けられており、これを締結すればエンジン10の出力が変速機12に直接、伝達されるようになる。」
「【0034】また、この実施形態において建設機械1は、図示しないバケットやアーム等の荷役装置を駆動したり、或いは操舵装置を駆動するための油圧ポンプ41と、その油圧ポンプ41からの圧油をアクチュエータに供給及び排出するための荷役・操舵油圧回路43とを備えている。油圧ポンプ41は、ギヤ42及び44によりエンジン10の出力軸に駆動連結されており、これと荷役・操舵油圧回路43との間には抵抗制御装置51が設けられている。詳しくは後述するが、抵抗制御装置51は、油圧ポンプ41をエンブレ調整装置として機能させるためのものである。【0035】前記エンジン10、電動発電機11及び変速機12の動作を協調させて適切に制御するために、建設機械1には統合的な制御装置2が搭載されている。図2は、制御装置2の構成を示す機能ブロック図であり、この制御装置2には、蓄電器14の蓄電量、アクセル及びブレーキの操作量、車速、電動発電機11の回転数及びトルク(蓄電器14の充放電量に相当)、エンジン10の回転数、並びに、変速レバー、前後進レバー、荷役操作レバー等の各レバー位置が入力される。」
「【0044】(駆動系の基本的な制御)この実施形態の建設機械1における駆動系の基本的な制御は、アクセル操作量及び車速に基づいて必要とされる駆動力を走行トルク計算手段203aによって計算し、それに応じて電動発電機11とエンジン10とのトルクの配分(遊星ギヤ装置のギヤ比によって決められる)をトルク配分手段205が行い、その結果を電動発電機11及びエンジン10に出力する、というものである。」
「【0047】-エンジン回転数の設定手順-次に、フローチャート等を参照しながら、エンジン回転数設定手段201、変速段数計算手段203b、及びトルク配分手段205における具体的な処理について、説明する。なお、以下に説明するのは、直結クラッチ15が解放された低速域での走行、すなわち例えばホイールローダのV字作業のように建設機械1が加速及び減速を繰り返したりスイッチバックを繰り返したりするときの処理についてのものである。【0048】続きを表示(全11行)まず、エンジン回転数設定手段201におけるエンジン設定回転数計算の処理手順を、図3のフローチャートに示す。図示のように、エンジン回転数設定手段201は、蓄電器14の蓄電量が、予め設定された蓄電量の下限値(設定下限値)より少ないか否かを判定する(S101)。ここで、蓄電量が設定下限値よりも少ないと判定した場合(S101でYES)、すなわち蓄電量が不足していると判定した場合、エンジン回転数設定手段201は、アクセルが踏み込まれている(アクセルがオンされている)か否かを判定する(S102)。アクセルが踏み込まれていないと判定した場合(S102でNO)は処理を終了し、アクセルが踏み込まれていると判定した場合(S102でYES)は、エンジン設定回転数を増加する(S103)。【0049】一方、ステップS101で蓄電量が設定下限値以上であると判定した場合(S101でNO)、すなわち蓄電量が十分であると判定した場合、エンジン回転数設定手段201は、蓄電器14の蓄電量が、予め設定された蓄電量の上限値(設定上限値)より多いか否かを判定する(S104)。ここで、蓄電量が設定上限値以下であると判定した場合(S104でNO)、すなわち蓄電量は適切であると判定した場合は処理を終了し、蓄電量が設定上限値より多いと判定した場合(S104でYES)、アクセルが踏み込まれているか否かを判定する(S105)。そして、アクセルが踏み込まれていないと判定した場合(S105でNO)は処理を終了し、アクセルが踏み込まれていると判定した場合(S105でYES)は、エンジン設定回転数を低下させる(S103)。【0050】要するに、アクセルが踏み込まれているときには、蓄電器14の蓄電量が相対的に少ない場合にエンジン回転数を上昇させる一方、蓄電量が相対的に多い場合にはエンジン回転数を低下させるようにしており、このような処理によって蓄電量に応じた適切なエンジン回転数の設定を行うことができる。【0051】ここで、上述したエンジン回転数の制御は、操縦フィーリングに影響を与えることがないように、エンジン回転数のみを変化させることが好ましく、そのためには、アクセル操作量に対応した駆動力を電動発電機11及びエンジン10により発生した状態で、エンジン回転数のみを変化させる必要がある。そこで、以下に述べるように、遊星ギヤ装置の出力軸であるキャリア18のトルクを一定に保ったまま、エンジン10と電動発電機11とのトルク配分を変えることによってエンジン回転数の増速及び減速を行う。」
「【0055】図4に示すとおり、走行トルク計算手段203aは、アクセル開度、車速、及び変速段数に基づいて、走行に必要なトルクを算出し、その算出した結果として走行トルク指令(Tout)をトルク配分手段205へ出力する。この走行トルク指令(Tout)の入力を受けたトルク配分手段205は、TM=Tout・aM/aout 及び TE=Tout・aM/aout を計算し、その計算結果として電動発電機トルク指令(TM)及びエンジントルク指令(TE)を電動発電機11及びエンジン10へそれぞれ出力する。【0056】なお、自車が走行するのに必要なトルク以外の牽引力を必要としない通常の走行の場合、走行トルクは、アクセル開度及び車速(車速の変化率も含む)により一意に決定される。この走行トルクの計算においては、変速段によらず同じ加速となるように、変速段の段数も考慮され、これにより、蓄電量により変速段が異なっている場合であっても、同じ速度で同じアクセル開度であれば同じ走行トルク指令が出力されて、同じ加速力が得られるようになる。したがって、操縦者はその時点での変速段数を意識する必要はない。【0057】これに対し、重量物の牽引及び土砂のすくいこみ等の牽引力が必要な走行状況においては、走行トルク指令を出力しても車速が上昇しないため、必要に応じて走行トルク指令を増加する必要が生じる。この場合は、走行トルク計算処理に組み込まれた積分制御の上限値をアクセル開度に応じて設定するようにする。こうすれば、重量物の牽引や土砂のすくいこみ時に、アクセルを踏み込んでも車速が上昇しない、いわゆるストール状態になれば牽引力が徐々に増加してゆき、その上限値がアクセル開度に応じて設定されることになるから、必要な牽引力がアクセル操作によって得られるようになる。【0058】このような牽引力が必要とされる走行状況においては、回生制動による走行が多くなり、発電状態が持続することになるため、後述する変速段数計算手段203bにおける処理の結果としてシフトダウンが行われ、その結果、牽引力も増すことになる。また、土砂のすくい込み作業等の際に操縦者が事前に牽引力の増加が必要であると判断した場合は、手動でシフトダウンを行うことによって円滑に作業を行えるようにすることもできる。【0059】また、荷役装置や操舵装置を駆動するときには、そのために油圧ポンプ41が必要とするトルクを上乗せする必要があるので、計算手段203の荷役エンジントルク計算手段203cが油圧ポンプ41の必要とするトルクTE2を算出し、その算出した結果として荷役エンジントルク指令(TE2)を出力する。この荷役エンジントルク指令(TE2)は、図4の下段に示すようにエンジントルク指令(TE)に加算され、その加算後のエンジントルク指令(TE+TE2)がエンジン10へ出力される。この際、必要とするポンプ吐出量も計算し、油圧ポンプへ出力するとともに、油圧ポンプが必要とするトルクの計算にその吐出量を使用する。」
「[図:0001400308000011.jpg]」(【図1】)
「[図:0001400308000012.jpg]」(【図2】)
「[図:0001400308000013.jpg]」(【図3】)
「[図:0001400308000014.jpg]」(【図4】)
したがって、上記引用文献3には、以下の技術的事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「エンジン10と、エンジン10の出力軸に駆動連結される油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41からの圧油によって駆動されるバケットやアーム等の荷役装置と、アクセルと、続きを表示(全12行)アクセルのアクセル操作量を示すアクセル開度と、荷役操作レバーと、荷役操作レバーの操作量を示すレバー位置と、アクセル開度及び荷役操作レバーのレバー位置を受信する入力する制御装置2と、を備え、制御装置2は、アクセルのアクセル操作量から、エンジン10のエンジン設定回転数を設定する、ホイールローダ等の建設機械1。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、次の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、油圧式無段変速装置に関し、より詳細には、油圧式無段変速装置を構成する油圧ポンプ及び/又は油圧モータの可動斜板の斜板角度を制御する技術に関する。」
「【0029】次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る油圧式無段変速装置の全体的な構成を示した正面一部断面図、図2は中立位置保持機構を示す正面断面図、図3は同じく平面断面図、図4は同じく一側面図、図5は同じく他側面図、図6は油圧ポンプ用の負荷制御機構を示す正面断面図、図7は油圧式無段変速装置の油圧回路図、図8は油圧モータ用の負荷制御機構を示す正面断面図、図9は負荷制御機構による制御機構の一例を表した状態図、図10はエンジン馬力線図、図11は車速に対する牽引力の関係を表した図、図12はリリーフ圧とエンジン馬力線との関係を表した図である。本実施例に係る油圧式無段変速装置(以下、「HST」と略記)1は、トラクタ等の農作業用の作業車両に用いることができ、以下、本実施例においては、作業機としてローダ作業機を備えた作業車両に搭載される場合について説明する。続きを表示(全19行)【0030】まず、本発明に係る油圧式無段変速装置の全体構成について、以下に説明する。図1に示すように、HST1においては、いずれも可変容積型に構成した油圧ポンプ10及び油圧モータ11をハウジング12に内包するとともに、ハウジング12には、その他に、油圧ポンプ10及び油圧モータ11の可動斜板10a・11aの斜板角度を調整して、各油圧ポンプ10及び油圧モータ11の出力回転を制御する機構としての油圧サーボ機構2・2、中立位置保持機構3(最大斜板位置保持機構103)及び負荷制御機構4・104等が設けられている。そして、油圧サーボ機構2・2、中立位置保持機構3(最大斜板位置保持機構103)及び負荷制御機構4・104等は、それぞれ油圧ポンプ10及び油圧モータ11に対して一対ずつ設けられている。【0031】以下、特に断りのない場合には、油圧ポンプ10側の油圧サーボ機構2及び中立位置保持機構3等について説明する。すなわち、本実施例においては、油圧ポンプ10及び油圧モータ11に配置されるこれらの構成(油圧サーボ機構2・2、中立位置保持機構3(最大斜板位置保持機構103))は互いに異なることがなく、略同一の構成である。【0032】本実施例においては、後述する理由から、油圧ポンプ10及び油圧モータ11をいずれも可変容積型に構成するのが好ましいが、少なくとも一方を可変容積型に構成して、他方を固定容積型に構成してもよい。例えば、油圧ポンプ10を可変容積型に構成して油圧モータ11を固定容積型に構成したり、油圧モータ11を可変容積型に構成して油圧ポンプ10を固定容積型に構成したりしてもよい。本実施例においては、特に断りがない場合には、油圧ポンプ10及び油圧モータ11を可変容積型に構成した場合について説明するが、本実施例はこれに限定されないことは、以上のことからいうまでもない。【0033】ここで、図7に示すように、可変容積型の油圧ポンプ10は、駆動軸57、シリンダブロック(図略)、プランジャ(図略)及びプランジャに当接した可動斜板10a等により構成されている。可動斜板10aはプランジャの頭部が当接または係合されて摺動量が変更され、油圧ポンプ10の作動油の吐出量を調節可能に構成されている。可変容積型の油圧モータ11は、可変容積型の油圧ポンプ10と同様に、シリンダブロック(図略)、プランジャ(図略)及びプランジャに当接した可動斜板11aにより構成されている。可動斜板11aはプランジャの頭部が当接または係合されて摺動量が変更され、油圧モータ11への圧油の吸入量を調節可能に構成されている。油圧ポンプ10及び油圧モータ11は図示せぬ油路板の同一面に略平行に並設され、メイン油路13を介して油圧ポンプ10より圧油が油圧モータ11に供給される。このような構成により、エンジン15からの駆動力が駆動軸57に入力されて、油圧ポンプ10が駆動される。そして、油圧ポンプ10及び油圧モータ11は、油圧ポンプ10の駆動力により吐出された圧油が油圧モータ11に供給されて、この圧油の給排により油圧モータ11が駆動され、油圧モータ11の駆動力が出力軸59に伝達される。【0034】次に、油圧サーボ機構2について、以下に説明する。図1に示すように、HST1は、油圧ポンプ10と油圧モータ11とが上下(左右であってもよい)に並設され、油圧ポンプ10の一側方には油圧ポンプ10用の油圧サーボ機構2が配設され、油圧モータ11の一側方であって油圧サーボ機構2の下方に同じく油圧モータ11用の油圧サーボ機構2が配設されている。油圧サーボ機構2は、ピストン21と、該ピストン21の内部に配置されるスプール22を備えた手動斜板角度制御バルブ23等とから構成されるもので、HST1のハウジング12内部に収納されて、それぞれ一体的に構成されている。【0035】油圧サーボ機構2は、手動斜板角度制御バルブ23を備えるもので、具体的には、ハウジング12内であって油圧ポンプ10の可動斜板10aの側部にシリンダ室24が形成され、シリンダ室24内にピストン21が収納され、ピストン21の側面に可動斜板10aの側部より突設したピン軸25が嵌合されている。ピストン21の軸心位置には貫通孔が開口され、この貫通孔内にスプール22が摺動自在に嵌装されている。」
「【0060】可変容積型の油圧ポンプ10は、油圧ポンプ50から駆動軸57を介してエンジン15からの駆動が伝達され、かかる駆動力によって前記シリンダブロック等が回転駆動される。この油圧ポンプ10は、メイン油路13を介して同じく可変容積型の油圧モータ11と流体的に接続され、油圧ポンプ10から吐出された圧油が油圧モータ11に給排される。この油圧ポンプ10の可動斜板10aは、上述のように油圧サーボ機構2、中立位置保持機構3及び負荷制御機構4等によって、その斜板角度が制御されている。油圧サーボ機構2等には、メイン油路13から油路58を介して圧油が給排されており、最終的にはHST1内の前記油溜り56に排出される。負荷制御機構4は、メイン油路13から給排油路14を介して圧油を給排され、かかる圧油を受けてシリンダ41に内挿されたスプール40が摺動される。【0061】また、油圧モータ11の可動斜板11aを傾動制御するための手段して、油圧ポンプ10と同様に油圧サーボ機構2や負荷制御機構104等が接続されている。油圧モータ11は、メイン油路13を介して油圧ポンプ10と流体的に接続され、油圧ポンプ10より吐出された圧油によってシリンダブロック等が回転駆動されて出力軸59が回転駆動する。この出力軸59の回転駆動は、図示せぬ車軸駆動用の走行軸や作業機の駆動用の駆動軸等に伝達される。この油圧モータ11の構成等に関しては、後述する。」
「【0076】すなわち、作業車両が通常走行している場合は、HST1の出力回転数は変速操作レバー29の回動操作によって増減される。そして、低速で作業機によるローダ作業を行う場合等は、大きな牽引力を必要とするために出力軸59(車軸)に負荷トルクがかかり、かかる負荷はエンジン15にもかかりエンジン馬力を超えるとエンストしてしまう。そこで、かかるエンストを防止するために、メイン油路13内の油圧が増加するとメイン油路13の圧油を受けてシリンダ41内のスプールが摺動されるように構成して、油圧ポンプ10の可動斜板10aの斜板角度が小さくなるように制御するのである。つまり、油圧ポンプ10の可動斜板10aの斜板角度を小さくして、油圧ポンプ10からの圧油の吐出量を減少させて車速が低減するように制御することで、エンジン15のエンストを防止するように構成されている。【0077】図10に示すように、エンジン15の車速(km/h)に対する牽引力(kg・f)の関係は、エンジン馬力線Aで表される。作業車両においては、車軸の駆動力に加えて、作業機を駆動させるための駆動力が必要であることから、走行時Hには、牽引力は不要であるため高速走行が可能であり、ローダ突込み時Mには、作業車両に配設されたローダ作業機を地面に突っ込ませるための牽引力を生み出すために中速トルクを生起するように構成されている。そして、ローダ作業時Lには、ローダ作業機を駆動させて作業を行うための牽引力を要するため、さらに大きな低速トルクを生起することが可能なように構成される。【0078】このようなエンジン15を搭載した作業車両においては、エンジン馬力線Aに対応する所定の牽引力を超える負荷がかかるとエンストしてしまうため、従来は、変速装置等によって車速を下げることで牽引力を大きくする(高トルクとなる)ように手動で操作したり、作業車両に予め馬力の大きなエンジンを搭載したりして、エンストを防止するように構成されていた。例えば、作業機の使用時や登坂走行時に、所定の車速に対応する牽引力を超える負荷がエンジン15にかかるとエンストしてしまうため、オペレータ等が変速レバーやアクセルペダル等を操作して作業車両の車速を中速もしくは低速に調整する必要があった。」
「【0081】図11に示すように、本実施例に係るHST1は、このような負荷制御機構4・104を配設して、HST1の車速に対する牽引力の関係を表した曲線Bが、破線で示したエンジン15のエンジン馬力線Aを超えないように、各油圧ポンプ10および油圧モータ11の可動斜板10a・11aの斜板角度を制御、すなわち、負荷制御するように構成されている。」
「[図:0001400308000015.jpg]」(【図1】)
「[図:0001400308000016.jpg]」(【図7】)
「[図:0001400308000017.jpg]」(【図11】)
したがって、上記引用文献4には、以下の技術的事項(以下、「引用文献4に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「エンジン15と、エンジン15によって駆動される油圧ポンプ10と、油圧ポンプ10に接続されたメイン油路13と、メイン油路13を介して油圧ポンプ10より圧油が供給される油圧モータ11と、を含む油圧式無断変速装置(HST)1と、エンジン15によって駆動される作業機と、アクセルペダルと、を備える、ローダ作業機を備えた作業車両。」
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、次の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、運転者の意図する車速に車両を制御する車速制御装置に関するものである。」
「【0015】アクセルポジションセンサ3は、ドライバーのアクセル踏込み量APOを検出する。」
「【0017】エンジン回転速度センサ5は、エンジンの点火信号からエンジン回転速度aNEを検出する。【0018】車速制御ECU10は、マイクロコンピューターとその周辺部品とにより構成され、制御周期(例えば10ms)毎に制御開始スイッチ1、ブレーキスイッチ2、アクセルポジションセンサ3、車速センサ4、エンジン回転速度センサ5、車間距離センサ9からの信号を取込んで、エンジンECU6、トランスミッションECU7に指令値を出力する。車速制御ECU10は、図1に示すように、マイクロコンピューターのソフトウェア形態により構成される制御開始判定部20、目標車速算出部30、車速制御部40、実変速比算出部50、駆動力分配部60、規範モデル時定数決定部70を備えている。車速制御ECU10は、スロットルとトランスミッションとを用いることによって、車速を制御する。なお車速制御ECU10の各構成部の詳細については後述する。【0019】エンジンECU6は、車速制御ECU10から出力されたエンジントルク指令値cTE及び制御実行フラグfSTARTに基づいて、スロットル開度を算出し、スロットルアクチュエータ8にスロットル開度信号を出力する。すなわち、エンジンECU6は、制御実行フラグfSTARTが1の場合には車速制御実行状態であると判定し、車速制御ECU10から出力されたエンジントルク指令値cTEに基づいたエンジントルクを出力するようにスロットルアクチュエータ8を制御する。一方、制御実行フラグfSTARTが0の場合には車速制御停止状態である判定し、アクセル踏込み量APOに応じたエンジントルクを出力するようにスロットルアクチュエータ8を制御する。【0020】スロットルアクチュエータ8は、スロットル開度信号に従ってエンジンのスロットルバルブを調整する。」
「【0027】制御開始判定部20から出力された制御実行フラグfSTARTは、エンジンECU6、トランスミッションECU7に入力され、エンジンECU6及びトランスミッションECU7は、上述した制御を行う。【0028】≪目標車速算出部30≫目標車速算出部30は、図3に示すように目標加速度決定部31、積分処理部32より構成され、制御実行フラグfSTART、実車速aVSP、アクセル踏込み量APOを取込み、目標車速tVSPを算出する。【0029】目標加速度決定部31は、積分処理部32で算出された目標車速tVSPとアクセル踏込み量APOとから図4に示すマップに基づき目標加速度tACCを決定する。図4に示されるように目標加速度tACCは、アクセル踏込み量が大きいほど大きくなる。また車速が高くなるほど走行抵抗は大きくなり、実現可能な加速度は小さくなることに対応するため、図4では同じアクセル踏込み量であれば、車速が高いほど、目標加速度は小さくなるように設定されている。」
「[図:0001400308000018.jpg]」(【図1】)
「[図:0001400308000019.jpg]」(【図3】)
したがって、上記引用文献5には、以下の技術的事項(以下、「引用文献5に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「エンジンと、トランスミッションと、アクセルと、前記アクセルの操作量を示すアクセル踏込み量APOを出力するアクセルポジションセンサ3と、アクセルポジションセンサ3からのアクセル踏込み量APOを取込む車速制御ECU10と、を備え、前記車速制御ECU10は、前記アクセルのアクセル踏込み量APOから、前記エンジンのエンジントルク指令値cTEを出力する、車両。」
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、次の事項が記載されている。
「(産業上の利用分野)本発明は内燃エンジンの吸入空気量制御装置に関し、特にエンジンに供給される吸入空気量を、車輌の速度あるいは加速度に応じて制御する制御装置に関する。」(第1ページ右下欄第14行ないし第18行)
「第1図は本発明に係る吸入空気量制御装置の全体構成を示すブロック図である。同図中1はアクセルペダル位置センサであり、アクセルペダル位置、即ちその踏込量δを検出し、その検出信号を目標車速設定回路(目標車速設定手段)2及び後述する目標回転数設定回路27に供給する。」(第2ページ左下欄第13行ないし第18行)
「第1図中の符号27~37はエンジン回転数に応じてスロットル弁開弁速度を設定するブロックである。即ち、まず前記目標回転数設定回路27はアクセルペダルの踏込量δに応じて目標エンジン回転数Neoを設定する。第4図はこの一例を示すNeoテーブルであり、同図によれば目標エンジン回転数Neoは、アクセルペダルの踏込量δの増加につれて直線的に増加するように設定されている(同図実線)。」(第5ページ左下欄第2行ないし第10行)
「[図:0001400308000020.jpg]」(第1図)
「[図:0001400308000021.jpg]」(第4図)
したがって、上記引用文献6には、以下の技術的事項(以下、「引用文献6に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「エンジンと、アクセルペダルと、アクセルペダルの操作量を示すアクセルペダルの踏込量δを検出し供給するアクセルペダル位置センサと、アクセルペダル位置センサからのアクセルペダルの踏込量δを受信する目標回転数設定回路27と、を備え、前記目標回転数設定回路27は、前記アクセルのアクセルペダルの踏込量δから、前記エンジン8の目標エンジン回転数Neоを設定する」、
車輛。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明における「エンジン8」は、本願発明1における「エンジン」に相当する。
イ 引用発明における「エンジン8によって駆動されるメインポンプ9」は、本願発明1における「エンジンによって駆動される走行用ポンプ」に相当し、同様に、「メインポンプ9に接続された主回路20,21」は「走行用ポンプに接続された油圧回路」に相当し、「主回路20,21を通ってメインポンプ9から吐出された圧油が送られる走行用油圧モータ12,13」は「油圧回路を介して走行用ポンプに接続された走行用モータ」に相当する。
そして、引用発明における「エンジン8によって駆動されるメインポンプ9と、メインポンプ9に接続された主回路20,21と、主回路20,21を通ってメインポンプ9から吐出された圧油が送られる走行用油圧モータ12,13と、を含む油圧駆動機構7」は、本願発明1における「エンジンによって駆動される走行用ポンプと、走行用ポンプに接続された油圧回路と、油圧回路を介して走行用ポンプに接続された走行用モータと、を含む静油圧式変速機」に相当する。
ウ 引用発明における「エンジン8によって駆動される作業機用油圧ポンプ11」は、本願発明1における「エンジンによって駆動される作業機用ポンプ」に相当し、同様に、「作業機用油圧ポンプ11から吐出された圧油によって駆動される作業機3」は「作業機用ポンプから吐出された作動油によって駆動される作業機」に相当する。
エ 引用発明における「アクセル」は、本願発明1における「アクセル操作部材」に相当する。
また、引用発明における「アクセル開度」は、本願発明1における「アクセル操作部材の操作量」に相当し、同様に、「アクセル開度を示す開度信号」は「アクセル操作部材の操作量を示す信号」に相当する。
そして、引用発明における「アクセル開度を示す開度信号を出力するアクセル開度検出部18」は、本願発明1における「アクセル操作部材の操作量を示す信号を出力する第1センサ」に相当する。
オ 引用発明における「作業機レバー53」は、本願発明1における「作業機操作部材」に相当する。
また、引用発明における「作業機レバー53を前後に傾斜させて作業機3の動きを操作すること」は、本願発明1における「作業機操作部材の操作量を示す信号を出力する第2センサ」と、「作業機操作部材の操作量を出力する」ことという限りにおいて一致する。
カ 引用発明における「アクセル開度検出部18からの開度信号が入力されるコントローラ16」は、本願発明1における「第1センサ及び第2センサからの信号を受信するコントローラ」と、「第1センサからの信号を受信するコントローラ」という限りにおいて一致する。
キ 引用発明における「エンジン8の目標回転数」は、本願発明1における「エンジンの目標回転速度」に相当し、同様に、「エンジン8の目標回転数を指示する」ことは「エンジンの目標回転速度を決定する」ことに相当する。
そして、引用発明における「コントローラ16は、アクセル開度から、エンジン8の目標回転数を指示する」ことは、本願発明1における「コントローラは、アクセル操作部材の操作量から、静油圧式変速機に入力される目標入力馬力を決定し、目標入力馬力と作業機操作部材の操作量とから、エンジンの目標回転速度を決定する」ことと、「コントローラは、アクセル操作部材の操作量から、エンジンの目標回転速度を決定する」ことという限りにおいて一致する。
ク 引用発明における「ホイルローダ1」は、本願発明1における「作業車両」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「エンジンと、エンジンによって駆動される走行用ポンプと、走行用ポンプに接続された油圧回路と、油圧回路を介して走行用ポンプに接続された走行用モータと、を含む静油圧式変速機と、エンジンによって駆動される作業機用ポンプと、作業機用ポンプから吐出された作動油によって駆動される作業機と、続きを表示(全13行)アクセル操作部材と、アクセル操作部材の操作量を示す信号を出力する第1センサと、作業機操作部材と、作業機操作部材の操作量を出力することと、第1センサからの信号を受信するコントローラと、を備え、コントローラは、アクセル操作部材の操作量から、エンジンの目標回転速度を決定する、作業車両。」
(相違点1)
作業機操作部材の操作量を出力することに関して、本願発明1は、作業機操作部材の操作量「を示す信号」を出力する「第2センサ」を備え、「第2センサからの信号」を「コントローラ」が「受信する」ものであるのに対し、引用発明は、作業機レバー53を前後に傾斜させて(作業機操作部材の操作量)作業機3の動きを操作する(を出力する)ものではあるものの、本願発明1のように、作業機操作部材の操作量「を示す信号」を出力する「第2センサ」を備え、「第2センサからの信号」を「コントローラ」が「受信する」ものであるのかが明らかでない点。
(相違点2)
コントローラが、アクセル操作部材の操作量から、エンジンの目標回転速度を決定することに関して、本願発明1は、コントローラが、アクセル操作部材の操作量から、「静油圧式変速機に入力される目標入力馬力を決定し」、「目標入力馬力と作業機操作部材の操作量とから」、エンジンの目標回転速度を決定するものであるのに対し、引用発明は、コントローラ16(コントローラ)が、アクセル開度(アクセル操作部材の操作量)から、エンジン8(エンジン)の目標回転数(目標回転速度)を指示する(決定する)ものではあるものの、本願発明1のように、アクセル開度(アクセル操作部材の操作量)から、「静油圧式変速機に入力される目標入力馬力を決定し」、「目標入力馬力と作業機操作部材の操作量とから」、エンジン8(エンジン)の目標回転数」(目標回転速度)を指示する(決定する)ものではない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
引用文献2ないし6に記載された技術的事項は、「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」ないし「6.引用文献6について」に記載のとおりである。
しかしながら、引用文献2に記載された技術的事項は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項のように、アクセル操作部材の操作量から、「静油圧式変速機に入力される目標入力馬力を決定し」、「目標入力馬力と作業機操作部材の操作量とから」、エンジンの目標回転速度を決定することを記載ないし示唆するものではないことから、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項に容易に想到することはできない。
また、上記引用文献3は、原査定では本願発明4において新たに特定された発明特定事項に対して引用され、同引用文献4は、同じく本願発明7において新たに特定された発明特定事項に対して引用され、同引用文献5は、同じく本願発明8及び9において新たに特定された発明特定事項に対して引用され、同引用文献6は、同じく本願発明10及び11において新たに特定された発明特定事項に対して引用されたものであるところ、引用文献3に記載された技術的事項ないし引用文献6に記載された技術的事項のいずれも相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を開示するものではない。
以上のとおり、引用文献2ないし6に記載された技術的事項はいずれも相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を記載ないし示唆するものではないことから、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は引用発明並びに引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)まとめ
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2ないし13について
本願発明2ないし13は、本願発明1を引用するものであり、本願発明1と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明14について
本願発明14は、本願発明1と同様な作業車両を制御するためにコントローラによって実行される方法の発明であり、本願発明1と同様な発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4.本願発明15について
本願発明15は、本願発明1と同様な作業車両の駆動系を制御するためにコントローラによって実行される方法の発明であり、本願発明1と同様な発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし15は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-017699