特許拒絶査定不服審判
2022-015118
2ストローク内燃エンジン及び方法並びにモータサイクル
- 審判番号
- 2022-015118
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-543061
- 請求日
- 2022年09月26日
- 審決日
- 2024年01月23日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ケーティーエム アーゲー
- 【請求人代理人】▲吉▼川 俊雄
- 審判長/審判官
- 審判長 山本 信平
- 審判官 吉村 俊厚
- 審判官 倉橋 紀夫
- 分類
- P18 .113-WY (F02D) / P18 .121-WY (F02D) / P18 .537-WY (F02D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2019-543061「2ストローク内燃エンジン及び方法並びにモータサイクル」拒絶査定不服審判事件〔平成30年8月16日国際公開、WO2018/146251、令和2年2月27日国内公表、特表2020-506329、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)2月9日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年2月13日 (DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、令和3年6月22日付け(発送日:令和3年6月29日)で拒絶理由が通知され、令和3年12月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年5月17日付け(発送日:令和4年5月24日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して令和4年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。
(1)(進歩性)この出願の請求項1ないし12に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1ないし12に対して:引用文献1ないし8
<引用文献一覧>
1.特開2005-90369号公報
2.特開平5-65860号公報
3.特開2010-25083号公報
4.特開2010-25084号公報
5.欧州特許第0302045号明細書
6.特開昭60-147549号公報
7.特開昭61-53427号公報
8.特開昭61-123743号公報
(2)(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項1ないし12
第3 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし11に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、令和4年9月26日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。
「 【請求項1】
燃焼室(2)と排出口(8)とを備えている少なくとも1個のシリンダ(3)と、クランクシャフト(6)を備えているクランクハウジング(7)と、を有し、前記クランクハウジング(7)が少なくとも1個の掃気ポート(9、10)を介して前記燃焼室(2)と流路として接続されている2ストローク内燃エンジン(1)であって、
前記2ストローク内燃エンジン(1)は、シリンダ(3)毎に2個の噴射器(13、14)を有し、前記2ストローク内燃エンジン(1)が動作しているときの所定閾値より低い第1のエンジン負荷ではただ1個の前記噴射器(13または14)によって、前記所定閾値より高い第2のエンジン負荷では2個同時使用の前記噴射器(13、14)によって燃料が導入可能であり、
前記2ストローク内燃エンジン(1)は、シリンダ(3)毎に2個の掃気ポート(10、10)を有し、それぞれの掃気ポート(10、10)には、前記2個の噴射器(13、14)の1つが設けられ、
前記2ストローク内燃エンジン(1)が、前記噴射器(13、14)によって前記クランクハウジング(7)から前記燃焼室(2)内への流れの方向に対して概ね反対方向に燃料を前記掃気ポート(10、10)に噴射するように形成されており、
前記噴射器(13、14)のそれぞれが、少なくとも1個の円錐状の燃料ジェット(21)を生成し、前記噴射器(13、14)は、前記燃料ジェット(21)が前記掃気ポート(10、10)の壁(22)と交わらないように配置されている
ことを特徴とする、2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項2】
前記2ストローク内燃エンジン(1)が、前記第1のエンジン負荷では2個の前記噴射器(13、14)によって燃料サイクル毎に交互に燃料が噴射されるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項3】
前記2ストローク内燃エンジン(1)が、前記クランクシャフト(6)の全回転の一部分に対応するクランクシャフト角度内で燃料を噴射するように形成されており、前記一部分は、クランクシャフト角度の5度からクランクシャフト角度の350度であることを特徴とする、請求項1または2に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項4】
前記2ストローク内燃エンジン(1)が、前記2ストローク内燃エンジン(1)の最大負荷の7パーセントから40パーセントの前記2ストローク内燃エンジン(1)のエンジン負荷の領域で、ただ1個の前記噴射器(13または14)によって燃料を噴射するように形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項5】
前記2ストローク内燃エンジン(1)が、前記クランクシャフト(6)の全回転に対応するクランクシャフト角度の一部分で燃料を噴射するように形成されており、該一部分は前記2ストローク内燃エンジン(1)の回転速度が増加すると増加することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項6】
前記2ストローク内燃エンジン(1)が、制御装置(33)に機能的に結合しており、前記制御装置(33)は、前記2ストローク内燃エンジン(1)の負荷要求を設定するように形成されており、燃料の噴射は、設定された負荷要求に依存して、1個の前記噴射器(13または14)または2個の前記噴射器(13、14)によって行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項7】
負荷要求の設定が、前記2ストローク内燃エンジン(1)の上流にあらかじめ収容されているスロットル機関(17)の開口の決定によって行われることを特徴とする、請求項6に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項8】
前記2ストローク内燃エンジン(1)は、設定されている負荷要求及び/または前記2ストローク内燃エンジン(1)の回転速度に依存して、1個の前記噴射器(13または14)または2個の前記噴射器(13、14)の燃料の噴射の開始及び/または1個の前記噴射器(13または14)または2個の前記噴射器(13、14)の開口作動の期間を変更するように形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項9】
前記シリンダ(3)が第1の掃気ポート(9、9)及び第2の掃気ポート(10、10)を備えており、前記第2の掃気ポート(10、10)は、前記排出口(8)に対して、前記第1の掃気ポート(9、9)よりもさらに間隔をあけて配置されており、前記噴射器(13、14)は燃料を前記第2の掃気ポート(10、10)に噴射するように配置されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の2ストローク内燃エンジン(1)。
【請求項10】
2つの掃気ポート(10、10)と燃焼室(2)と排出口(8)とを備えている少なくとも1個のシリンダ(3)と、クランクシャフト(6)を備えているクランクハウジング(7)と、を有し、前記クランクハウジング(7)が2つの前記掃気ポート(10、10)を介して前記燃焼室(2)と流路として接続されている2ストローク内燃エンジン(1)を動作させる方法であって、
シリンダ(3)毎に2つの噴射器(13、14)によって前記2ストローク内燃エンジン(1)へ燃料が導入され、
前記2ストローク内燃エンジン(1)が動作しているときの所定閾値より低い第1のエンジン負荷ではただ1個の前記噴射器(13または14)によって、前記所定閾値より高い第2のエンジン負荷では2個同時使用の前記噴射器(13、14)によって燃料が導入可能とされ、
前記噴射器(13、14)によって前記クランクハウジング(7)から前記燃焼室(2)内への流れの方向に対して概ね反対方向に燃料が前記掃気ポート(10、10)に導入され、
前記噴射器(13、14)のそれぞれが、少なくとも1個の円錐状の燃料ジェット(21)を生成し、前記噴射器(13、14)は、前記燃料ジェット(21)が前記掃気ポート(10、10)の壁(22)と交わらないように配置されている
ことを特徴とする、方法。
【請求項11】
乗用サドル(30)と、前輪(28)と、後輪(29)と、請求項1から9のいずれか1項に記載の2ストローク内燃エンジン(1)と、を有するモータサイクル(27)。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)。
(1)「【0001】本発明は、燃焼室内で燃料と空気との混合気を圧縮して自着火させる自着火運転が可能な2サイクル式内燃機関に関する。」
(2)「【0053】この構成によれば、先に開口する第1の掃気ポートからの新気がスワールを生成して混合気のミキシングを促進し、その後に開口する第2の掃気ポートからの新気が上昇気流を形成して掃気を行うので、掃気効率が高まり、必要な掃気圧を抑制できるので、過給損失を低減し燃費を改善することができる。」
(3)「【0069】このガソリンエンジン100の燃焼室は、シリンダブロック140内に設けられた中空円筒形のシリンダ142と、シリンダ142内を上下に摺動するピストン152と、シリンダブロック140の上部に設けられたシリンダヘッド130によって形成されている。本実施例では、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とが一体となったモノブロック構造の例を示している。なお、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とで構成される筒状体を、広義の「シリンダ」と呼ぶ。また、本明細書においては、シリンダ142の中心軸に沿って、ピストン152がシリンダヘッド130に近づく方向を上方向と、ピストン152がシリンダヘッド130から離れる方向を下方向として説明する。
【0070】シリンダヘッド130には、燃焼室からの排気ガスが流出する排気ポート135のシリンダ142に面する開口部(排気口)を開閉する排気弁132と、点火プラグ136とが設けられている。排気弁132は、駆動アーム162を介して、電磁アクチュエータ164で駆動されている。電磁アクチュエータ164は、任意のタイミングで排気弁132を開閉することが可能である。なお、電磁アクチュエータの代わりに、油圧アクチュエータやカム機構などの他の種類の可変動弁機構によって排気弁132を駆動しても良い。
【0071】シリンダブロック140には、シリンダ142内に新気を流入する2種類の掃気ポート146,148(詳細な形状は後述)が設けられている。掃気ポート146,148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)は、ピストン152の上下動によって開閉され、ピストン152の下死点近傍において全開の状態となるように構成されている。掃気ポート146,148は、シリンダ142とは反対側の端部において、シリンダブロック140に設けられた給気サージタンク144に接続されている。」
(4)「【0075】ピストン152は、コネクティングロッド154を介してクランクシャフト156に接続されており、クランクシャフト156には、クランク角度を検出するクランク角センサ32が取り付けられている。」
(5)「【0086】図7は、図3の7?7断面を示す説明図である。掃気ポート146は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面にほぼ平行となるように形成されており(図3参照)、また、シリンダ142の中心軸からずれた方向に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されている(図7参照)。そのため、掃気ポート146からシリンダ142に流入した新気は、シリンダ142の内周に沿って移動し、シリンダ142内に、シリンダ142の中心軸に垂直な平面内での渦(スワール)を生成する。本明細書において、このような掃気ポート146を「接線ポート」と呼ぶ。本実施例では、2つの掃気ポート(接線ポート)146が、シリンダ142内に同じ方向のスワールを生成するような向きに設けられている。
【0087】また、掃気ポート(接線ポート)146のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近には、リブ(突起)145が設けられており(図7)、リブ145により掃気ポート146の掃気口は左右に2分割されている。掃気口が左右2分割されていることで、ピストン152の上下動に伴うピストンリング153(図3)の引っかかりが防止される。さらに、2つの掃気ポート146の内の1つの掃気口近傍には、ポート内に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁15が設けられている(図7)。燃料噴射弁15を掃気ポート146内に設けることにより、燃料噴霧を掃気流に乗せて混合気のミキシング促進を図ることができ、また、低圧噴射弁を採用できるため、燃料噴射弁や燃料ポンプのコストダウンが可能である。燃料噴射弁15の燃料噴射制御は、ECU30(図2)により行われる。なお、掃気ポート146の開口部(掃気口)近傍とは、掃気ポート146内であって、掃気ポート146の長さ方向の中間点よりシリンダ142に近い側であることが好ましい。
【0088】一方、掃気ポート148は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面に対し、新気が斜め下向きにシリンダ142内に流入するような勾配を設けて形成されている(図3参照)。また、掃気ポート148は、シリンダ142の中心軸に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されている(図7参照)。本明細書において、このような掃気ポート148を「ストレートポート」と呼ぶ。本実施例では、2つの掃気ポート(ストレートポート)148が、シリンダ142を挟んで対向するように設けられている。そのため、掃気ポート148からシリンダ142に流入した新気は、ピストン152の頂面に衝突して、向きを斜め上向きに転ずると共に(図3参照)、対向する2つの掃気ポート148からの新気同士がシリンダ142の中心軸付近で衝突するため(図7参照)、シリンダ142内に、シリンダ142の中心軸付近を上昇する上昇気流を生成する。
【0089】また、掃気ポート(ストレートポート)148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近には、リブ(突起)147が設けられており(図7)、リブ147により掃気ポート148の掃気口は左右に2分割されている。掃気口が左右2分割されていることで、ピストン152の上下動に伴うピストンリング153の引っかかりが防止される。さらに、2つの掃気ポート148の内の1つの掃気口近傍には、ポート内に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁14が設けられている(図7)。燃料噴射弁14を掃気ポート148内に設けることにより、低圧噴射弁を採用できるため、燃料噴射弁や燃料ポンプのコストダウンが可能である。燃料噴射弁14の燃料噴射制御は、ECU30(図2)により行われる。なお、掃気ポート148の開口部(掃気口)近傍とは、掃気ポート148内であって、掃気ポート148の長さ方向の中間点よりシリンダ142に近い側であることが好ましい。
【0090】なお、掃気ポート148が、斜め下向きの勾配を設けて形成されていることは、燃料噴射弁14によって噴射された燃料噴霧の吹き抜け防止の点からも好ましい。また、掃気ポート148がシリンダ142を挟んで対向するように設けられていることは、燃料噴射弁14によって噴射された燃料噴霧がシリンダ142の内壁面に付着し、HC(未燃燃料)やスモークの排出量が増加してしまうことを防止する点からも好ましい。
【0091】また、2つの掃気ポート(ストレートポート)148には、それぞれ開閉機構としての給気制御弁149(図3、図7)が設けられており、給気制御弁149の軸を中心とした回転によって、掃気ポート148の開閉を行うことができる。給気制御弁149の開閉制御は、ECU30(図2)により行われる。
【0092】低回転低負荷運転時には、ECU30は、掃気ポート(ストレートポート)148に設けられた給気制御弁149を閉じるような制御を行う。すなわち、低回転低負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146のみにより、シリンダ142内に新気が供給される。このとき、新気の流入速度は大きくなり、シリンダ142内の残留ガスと混合気とのミキシングが促進されるため、低回転低負荷運転時においても安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
【0093】また、掃気ポート(接線ポート)146は、前述の通り、シリンダ142内にスワールを生成するように形成されているため、シリンダ142内に流入した比較的低温の新気は、シリンダ142の内壁面に沿って移動し、高温の残留ガスは、シリンダ142の中央付近に分布する。従って、新気がシリンダ142内壁面から熱を奪うことによって、残留ガスの温度低下が抑制され、低回転低負荷運転時においても安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
【0094】さらに、掃気ポート146から排気口へと直接向かう気流を伴わないため、新気や噴射燃料の吹き抜けを抑制することができ、過給損失による燃費の悪化を防止することができる。
【0095】なお、低回転低負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146内に設けられた燃料噴射弁15により燃料噴射を行う。燃料噴射弁としては、ホロコーン型や、多孔衝突噴霧型、ファンスプレー型、中実コーン型、スリット型などが知られているが、燃料噴射弁15は、比較的噴射率が小さく噴霧貫徹力の小さいホロコーン型や多孔衝突噴霧型を採用することが好ましい。こうすれば、燃料噴霧を掃気ポート146が生成するスワールに容易に乗せることができ、混合気のミキシングを促進することができる。
【0096】一方、高回転高負荷運転時には、ECU30は、掃気ポート(ストレートポート)148に設けられた給気制御弁149を開けるような制御を行う。すなわち、高回転高負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146と掃気ポート(ストレートポート)148との両方から、シリンダ142内に新気が供給される。高回転高負荷運転時は、シリンダ内に供給される空気量および燃料量が多くミキシング時間が少ないが、両方の掃気ポートを使用することによって、掃気口の面積を増加させて速やかに掃気を行うことができ、安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
【0097】また、掃気ポート(ストレートポート)148は、シリンダ142内にシリンダ142の中心軸付近に沿った上昇気流を生成するように形成されているため、シリンダ142の中心軸付近に残りやすい残留ガスを確実に排出して、掃気率を高め、混合気の温度が必要以上に上昇することを抑制することができる。従って、高回転高負荷運転時においても、過早着火を起こすことなく圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
【0098】なお、高回転高負荷運転時には、掃気ポート(ストレートポート)148内に設けられた燃料噴射弁14により、あるいは、燃料噴射弁14と掃気ポート(接線ポート)146内に設けられた燃料噴射弁15とにより、燃料噴射を行う。燃料噴射弁14は、比較的噴射率が大きく噴霧貫徹力の大きいファンスプレー型や、中実コーン型、スリット型を採用することが好ましい。こうすれば、高回転高負荷運転時にも、短時間で必要な燃料量を噴射できると共に、燃料噴霧が掃気ポート148からの新気によって生成される上昇気流に乗って吹き抜けることを抑制することができる。
【0099】なお、掃気ポート(接線ポート)146により生成されるスワールと、掃気ポート(ストレートポート)148により生成される上昇気流とは、共にシリンダ142の中心軸に対して対称な気流である。すなわちシリンダ142の中心軸に垂直な断面内において、気流の偏りが少ない。従って、シリンダヘッド130に均等間隔に配置された排気弁132から、まんべんなく排気ガスを排出することができ、排気(掃気)の効率を高めることができる。」
(6)「【図7】
[図:0001407237000001.jpg]
」
(7)技術常識から、2サイクル式内燃機関はクランクハウジングを備えていると認められ、また、【図7】の図示内容から、1つのシリンダに対して燃料噴射弁14と燃料噴射弁15とが設けられていることが看て取れる。
上記記載事項及び認定事項からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「燃焼室と排気口とが設けられているシリンダ142と、クランクシャフト156を備えているクランクハウジングと、を有する、2サイクル式内燃機関であって、
前記2サイクル式内燃機関は、1つのシリンダ142に対して燃料噴射弁14と燃料噴射弁15とが設けられ、前記2サイクル式内燃機関の運転時の低回転低負荷運転時には燃料噴射弁15により、高回転高負荷運転時には燃料噴射弁14と燃料噴射弁15とにより燃料噴射を行い、
前記2サイクル式内燃機関は、シリンダ142に掃気ポート146,148が設けられ、掃気ポート146には燃料噴射弁15が、掃気ポート148には燃料噴射弁14が設けられる、
2サイクル式内燃機関。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0010】2サイクルエンジン1は、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、クランクケース4、ピストン5、コンロッド6、クランクケース4内に配設されピストン5を往復動させるクランク軸7を有し、クランクケース4にはリードバルブ8を介して吸気ポート9が設けられ、吸気ポート9は吸気管10に接続されている。シリンダヘッド2、シリンダブロック3およびピストン5で形成される空間には燃焼室11が形成され、シリンダブロック3の側面には燃焼室11に開口される排気ポート12が設けられると共に、該排気ポート12より下方に掃気ポート13が開口され、該掃気ポート13が掃気通路14を介してクランクケース4に接続されている。また、シリンダヘッド2には、燃焼室11に対向して点火プラグ15が配設され、掃気通路14には、掃気ポート13に対向して燃料噴射弁16が配設されている。」
上記記載事項からみて、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献2記載事項〕
「クランクケース4が掃気通路14を介して燃焼室11と接続されている2サイクルエンジン1において、掃気通路14に燃料噴射弁16が配設されていること。」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0001】本発明は、各気筒の吸気ポートに配置された燃料噴射弁から燃料を噴射して燃焼室に供給するポート噴射式の内燃機関に適用され、その燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置に関するものである。」
(2)「【0040】ここで、上述したバルブタイミング制御によって、上死点TDCよりも前(排気行程)で吸気バルブ25の開弁を開始させ、同排気行程で燃料噴射を行うと、吸気バルブ25の開き始めに、図3に示すように、筒内圧の高い気筒12から既燃ガスGが吸気ポート20側へ逆流し、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻される。この吹き戻しにより、吸気ポート20に付着する燃料Fの面積及び量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも多くなる。これに伴い、燃焼室14内に供給される燃料量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも一時的に少なくなって、空燃比が一時的にリーンとなるおそれがある。」
上記記載事項からみて、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献3記載事項〕
「ポート噴射式の内燃機関において、排気行程で燃料噴射を行うと既燃ガスGが吸気ポート20側へ逆流し、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻されること。」
4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0001】本発明は、吸気ポートに配置された燃料噴射弁から燃料を噴射して燃焼室に供給するポート噴射式の内燃機関であって、少なくとも吸気バルブの作動タイミングを変更するためのバルブタイミング可変装置が設けられた内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関するものである。」
(2)「【0038】ここで、吸気バルブ25の目標バルブタイミング及び燃料の目標噴射時期によっては、吸気バルブ25の開き始めから所定の期間にわたり、図3に示すように、筒内圧の高い気筒12から既燃ガスGが吸気ポート20側へ逆流し、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻される場合がある。この吹き戻しにより、吸気ポート20に付着する燃料Fの面積及び量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも多くなる。これに伴い、燃焼室14内に供給される燃料量が、既燃ガスGの逆流のない場合よりも一時的に少なくなって、空燃比が一時的にリーンになるおそれがある。」
上記記載事項からみて、引用文献4には次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献4記載事項〕
「ポート噴射式の内燃機関において、筒内圧の高い気筒12から既燃ガスGが吸気ポート20側へ逆流し、燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気上流側へ吹き戻されること。」
5 引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
[図:0001407237000002.jpg]
(当審訳)
「第2図は本発明に係わる掃気路(2)、(2′)に位置された複数個の噴射ノズル(5)を持った2サイクルエンジンの例を示している。これらのノズル(5)からの燃料ジェット(7)の軸方向(7′)はピストン(4)の中心(11)と掃気路(2)側に離間したところで合流するようにされている。また掃気路(2′)内のノズルの噴射方向は反対側の掃気路(2′)からの掃気風の流れとは基本的に方向を逆にするように構成されている。これにより掃気風と蒸発燃料との強い渦を形成させ、良好な混合と掃気層のコントロールを生みだす、またここで排気路(3)を通って漏出する燃料ロスは減少し、その結果炭化水素排出物も減少する。」
上記記載事項からみて、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献5記載事項〕
「2サイクルエンジンにおいて、掃気路(2′)内のノズルの噴射方向は反対側の掃気路(2′)からの掃気風の流れとは基本的に方向を逆にするように構成されていること。」
6 引用文献6
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「この発明は、陸、舶用ディーゼルエンジン等ディーゼルエンジンに使用する燃料供給装置の燃料噴射方法に関する。」(1頁左下欄11~13行)
(2)「本発明の機関の燃料噴射方法は、機関の減速運転時には、複数の燃料噴射弁を順次交互に使用して燃料を噴射させるものである。」(2頁左上欄15~17行)
上記記載事項からみて、引用文献6には次の事項(以下「引用文献6記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献6記載事項〕
「ディーゼルエンジンにおいて、機関の減速運転時には、複数の燃料噴射弁を順次交互に使用して燃料を噴射させること。」
7 引用文献7
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「この発明は、エンジンの燃料噴射装置、特に絞り弁の上流に燃料噴射弁を設けた燃料噴射装置に関する。」(1頁左下欄18行~右下欄1行)
(2)「絞り弁9の全開時より吸気通路5の上流側へ回動する上流側回動部9aの上方には、この上流側回動部9aと対向して第1噴射弁13が設けられ、絞り弁9の全開時より吸気通路5の下流側へ回動する下流側回動部9bの上方には、この下流側回動部9bと対向して第2噴射弁15が設けられている。」(2頁左上欄2~8行)
(3)「この発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、交互に燃料噴射可能な各噴射弁から噴射された燃料を、各噴射弁に対応する気筒へばらつきなく供給させることが可能な燃料噴射装置を提供することを目的とする。」(2頁右下欄1~5行)
上記記載事項からみて、引用文献7には次の事項(以下「引用文献7記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献7記載事項〕
「絞り弁の上流に第1噴射弁13と第2噴射弁15とを設けたエンジンにおいて、各噴射弁が交互に燃料噴射可能なこと。」
8 引用文献8
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献8には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「ところで、この種の装置ではインジェクタが故障した時のバックアップとしてインジェクタを2個備えることが提案され、かつこのインジェクタは交互に燃料を噴射するようになっている。」(1頁左下欄18行~右下欄1行)
(2)「本発明に係る内燃機関の電子制御燃料噴射手法が採用された吸気管圧力式の電子制御燃料噴射装置の実施例を詳細に説明する。」(1頁右下欄14~17行)
(3)「スロットル弁の上流に位置する燃料を噴射するための2個のインジェクタ30」(2頁左上欄18~19行)
上記記載事項からみて、引用文献8には次の事項(以下「引用文献8記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献8記載事項〕
「スロットル弁の上流に2個のインジェクタ30を備えた内燃機関において、インジェクタは交互に燃料を噴射するようになっていること。」
第5 対比及び判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「排気口」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明1における「排出口」に相当する。同様に、引用発明における、「設けられている」、「シリンダ142」、「クランクシャフト156」、「2サイクル式内燃機関」は、本願発明1における、「備えている」、「少なくとも1個のシリンダ」、「クランクシャフト」、「2ストローク内燃エンジン」にそれぞれ相当する。
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「1つのシリンダ142に対して燃料噴射弁15と燃料噴射弁14とが設けられ」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明1における「シリンダ毎に2個の噴射器を有し」に相当する。同様に、引用発明における「前記2サイクル式内燃機関の運転時の低回転低負荷運転時には燃料噴射弁15により、高回転高負荷運転時には燃料噴射弁14と燃料噴射弁15とにより燃料噴射を行い」は、本願発明1における「前記2ストローク内燃エンジンが動作しているときの所定閾値より低い第1のエンジン負荷ではただ1個の前記噴射器によって、前記所定閾値より高い第2のエンジン負荷では2個同時使用の前記噴射器によって燃料が導入可能であり」に相当する。
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「前記2サイクル式内燃機関は、シリンダ142に掃気ポート146,148が設けられ、掃気ポート146には燃料噴射弁15が、掃気ポート148には燃料噴射弁14が設けられ」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明1における「前記2ストローク内燃エンジンは、シリンダ毎に2個の掃気ポートを有し、それぞれの掃気ポートには、前記2個の噴射器の1つが設けられ」に相当する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点〕
「燃焼室と排出口とを備えている少なくとも1個のシリンダと、クランクシャフトを備えているクランクハウジングと、を有する、2ストローク内燃エンジンであって、
前記2ストローク内燃エンジンは、シリンダ毎に2個の噴射器を有し、前記2ストローク内燃エンジンが動作しているときの所定閾値より低い第1のエンジン負荷ではただ1個の前記噴射器によって、前記所定閾値より高い第2のエンジン負荷では2個同時使用の前記噴射器によって燃料が導入可能であり、
前記2ストローク内燃エンジンは、シリンダ毎に2個の掃気ポートを有し、それぞれの掃気ポートには、前記2個の噴射器の1つが設けられる、
2ストローク内燃エンジン。」
〔相違点1〕
本願発明1は「前記クランクハウジングが少なくとも1個の掃気ポートを介して前記燃焼室と流路として接続されている」のに対し、引用発明はクランクハウジングを介さずに、掃気ポート146が燃焼室142へ接続されている点。
〔相違点2〕
本願発明1は「前記2ストローク内燃エンジンが、前記噴射器によって前記クランクハウジングから前記燃焼室内への流れの方向に対して概ね反対方向に燃料を前記掃気ポートに噴射するように形成されて」いるのに対し、引用発明はこのような構成を備えていない点。
〔相違点3〕
本願発明1は「前記噴射器のそれぞれが、少なくとも1個の円錐状の燃料ジェットを生成し、前記噴射器は、前記燃料ジェットが前記掃気ポートの壁と交わらないように配置されている」のに対し、引用発明はこのような構成を備えていない点。
上記相違点1について検討する。
引用発明の、掃気ポート(接線ポート)146及び掃気ポート(ストレートポート)148は、それぞれシリンダ142内にスワール及び上昇気流を生成するよう形成され、混合気のミキシングの促進及び掃気効率向上を目的としている。そのために掃気ポート(接線ポート)146は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面にほぼ平行となるように形成され、かつ、シリンダ142の中心軸からずれた方向に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されており、掃気ポート148(ストレートポート)は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面に対し、新気が斜め下向きにシリンダ142内に流入するような勾配を設けて形成され、かつ、2つの掃気ポート(ストレートポート)148が、シリンダ142を挟んで対向するように設けられている。このように、引用発明の掃気ポート(接線ポート)146及び掃気ポート(ストレートポート)148は、その形状及び構造に特徴があるものであるから、両者のうちの少なくとも1つに引用文献2記載事項が示すような、クランクケース4が掃気通路14を介して燃焼室11と接続するという技術事項を適用する積極的な動機付けは見いだせない。
さらに、引用文献3記載事項ないし引用文献8記載事項は、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
加えて、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者が適宜なし得た設計的事項であるとの事情もない。
また、上記相違点3について検討する。
引用文献2記載事項ないし引用文献8記載事項は、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
また、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、本願の出願前に周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項であるとの事情もない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2ないし9、及び11について
本願発明2ないし9、及び11は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに本願発明2ないし本願発明9、及び本願発明11で新たに特定される発明特定事項を含むものであるから、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用発明及び、引用文献2記載事項ないし引用文献8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本願発明10について
本願発明10は、本願発明1を「方法」の発明として表現したものであって、本願発明1の全ての発明特定事項に対応する事項を含む一方、引用文献1には、引用発明に係る方法の発明(以下、「引用方法発明」という。)も実質的に記載されていると認められる。よって、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用方法発明及び、引用文献2記載事項ないし引用文献8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 小括
したがって、本願発明1ないし9、及び11は、引用発明及び、引用文献2記載事項ないし引用文献8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本願発明10は、引用方法発明及び、引用文献2記載事項ないし引用文献8記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
第6 原査定の理由(2)(明確性)について
審判請求時の補正により、補正前の請求項1及び11の「前記2ストローク内燃エンジン(1)は、2個の噴射器(13、14)を有し、前記2ストローク内燃エンジン(1)が動作しているときの第1のエンジン負荷ではただ1個の前記噴射器(13または14)によって、前記第1のエンジン負荷より高い第2のエンジン負荷では2個並列使用の前記噴射器(13、14)によって燃料が導入可能であり、前記2ストローク内燃エンジン(1)は、シリンダ(3)毎に2個の掃気ポート(10、10)を有し、それぞれの掃気ポート(10、10)には、前記2個の噴射機(13、14)の1つが設けられ」という記載は、「前記2ストローク内燃エンジン(1)は、シリンダ(3)毎に2個の噴射器(13、14)を有し、前記2ストローク内燃エンジン(1)が動作しているときの所定閾値より低い第1のエンジン負荷ではただ1個の前記噴射器(13または14)によって、前記所定閾値より高い第2のエンジン負荷では2個同時使用の前記噴射器(13、14)によって燃料が導入可能であり、前記2ストローク内燃エンジン(1)は、シリンダ(3)毎に2個の掃気ポート(10、10)を有し、それぞれの掃気ポート(10、10)には、前記2個の噴射器(13、14)の1つが設けられ」に補正され(下線は、補正箇所を示す。以下同様。)、さらに、補正前の請求項3の「好ましくはクランクシャフト角度の5度からクランクシャフト角度の350度」という記載は、「クランクシャフト角度の5度からクランクシャフト角度の350度」に補正されたことにより、本願発明1ないし11は明確となった。
したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-015118