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特許拒絶査定不服審判

2022-015018

電流検出装置、管理装置、エンジン始動用のバッテリ

審判番号
2022-015018
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-089372
請求日
2022年09月22日
審決日
2023年08月30日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社GSユアサ
  • 【請求人代理人】中原 正樹
  • 【請求人】イリソ電子工業株式会社
  • 【請求人代理人】中原 正樹
審判長/審判官
  • 審判長 濱野 隆
  • 審判官 後藤 慎平
  • 審判官 田邉 英治
分類
P18 .121-Z (G01R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017- 89372「電流検出装置、管理装置、エンジン始動用のバッテリ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月29日出願公開、特開2018-189384〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年4月28日に出願された特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年 8月 6日付け:拒絶理由通知書 同月30日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月24日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年12月24日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 4月21日付け:拒絶理由通知書 同年 5月26日 :意見書、手続補正書の提出 同年 8月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 8月30日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月22日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~6に係る発明は、令和4年5月26日に提出された手続補正書により補正された請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。 以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。 「 【請求項1】 電気化学素子の電流検出装置であって、 部品が搭載された回路基板と、 前記電気化学素子の電流を検出する抵抗器と、を備え、 前記回路基板上には、第1端子を有するコネクタが設けられ、 前記第1端子は、前記コネクタの前面壁の挿通孔に対応して前記コネクタ内に配置されており、 前記抵抗器は、前記回路基板と略平行に突出し、前記第1端子に接触する第2端子を有し、 前記第2端子は、前記回路基板と略平行な方向で前記挿通孔を介して前記第1端子の内部に挿入された状態で、前記回路基板上で前記第1端子に接触する電流検出装置。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由(進歩性)の概要は、次のとおりである。 理由(進歩性の欠如) 本願発明は、本願の出願前に発行された下記の引用文献1~4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:独国特許出願公開第102012211701号明細書 引用文献2:国際公開第2013/015219号 引用文献3:米国特許第5820423号明細書 引用文献4:特開昭60-117574号公報 第4 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 1 引用文献1に記載された事項と引用発明の認定 (1) 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(独国特許出願公開第102012211701号明細書)には、以下の記載がある。日本語訳は合議体において作成した。下線は合議体が付した。以下同様である。 ア 段落[0001]、[0008]~[0015] 「 [図:0001403358000001.jpg] 」 (本発明は、電流センサのための測定抵抗及び本発明による測定抵抗を備えた電流センサユニットに関する。) 「 [図:0001403358000002.jpg] 」 (測定抵抗は有利には実質的にボルト状に構成されており、測定抵抗の少なくとも一つの中央部分は適切な抵抗材料から成る。測定抵抗の互いに対向する二つの端部部分の少なくとも一つの端部部分は固定手段を有する。固定手段としては、例えばねじ又はリベット結合のために一般的な円筒形の形状が適している。固定手段を介して、電流センサのための測定抵抗又は電流センサユニットは、バッテリ端子及び/又はバッテリケーブルに直接接続される。測定抵抗自体は、適切な構成によって固定手段として用いられ、この固定手段を介してバッテリケーブルがバッテリ端子と接続される。このために測定抵抗は特にボルト状に形成されていてよい。このボルト状の構成によって、測定抵抗には、従来技術においてしばしば平坦に形成された測定抵抗の場合よりも著しく高い安定性が与えられる。したがって、測定抵抗のためのさらなる支持構造又は安定化構造は必要とされない。ほぼボルト状の測定抵抗の少なくとも一つの端部区分にねじ山を備えた有利な構成によって、測定抵抗は、そのために設けられた端子クランプの開口に直接取り付けることができ、例えばねじ山を備えた開口にねじ込むことによって又はロックナットによって固定することによって取り付けることができる。) 「 [図:0001403358000003.jpg] 」 (したがって、本発明に従って構成された測定抵抗は、十分に安定しており、ねじれに対して耐性があり、直接的に、かつ更なる補助的又は付加的なコンポーネントなしで、使用することができる。これにより、支持構造体をバッテリ端子に固定することができる。) 「[0010](略)」 「 [図:0001403358000004.jpg] 」 (さらに、必要な電流測定回路が配置されるプリント配線板も、測定抵抗に直接取り付けることができる。) 「 [図:0001403358000005.jpg] 」 (プリント配線板と測定抵抗との直接的な接続のためには、複数の可能性がある。) 「 [図:0001403358000006.jpg] 」 (第一に、このために設けられた接点を備えたプリント配線板を、測定抵抗の接触面に直接はんだ付け又は溶接することができる。実質的にボルト状の測定抵抗はこのために少なくとも一つの面取り部を有することができる。択一的には、測定抵抗が、プリント配線板に接触するための突出した接触要素を有していてよい。突出した接触要素は、例えばボルト長手軸線に対してほぼ垂直に突出した接触ばねとして形成することができる。別の択一的な構成としては、ピン長手方向軸線に対して平行に延びるスリットとしての接触要素の構成が考えられる。) 「 [図:0001403358000007.jpg] 」 (上述した測定抵抗及び/又は上述したバッテリ端子装置は、制御装置、センサ、又はいわゆるシャントインタフェースを備えたその他の電子機器、ひいては測定抵抗のためのインタフェースにおいて使用することができる。一つの可能な用途は、通常は自動車用の電子式バッテリセンサに設けることができる。) 「 [図:0001403358000008.jpg] 」 (測定抵抗は接触要素を介して、プリント配線板上に集積されている測定回路と接続されている。この種の装置によって、エネルギー管理システムを変換するための自動車のバッテリの状態の識別が可能である。これにより、バッテリの電圧変動を評価し、これに基づいた信号を搭載電源に転送することができる。これらの信号によって提供される情報を考慮して、搭載電源の制御装置が、バッテリの状態に依存する機能をコントロールすることが可能である。この種の機能は、例えば交通信号灯での停止時の自動車の内燃機関の遮断を含む。) イ 段落[0054]~[0057]、Fig.10、Fig.11 「 [図:0001403358000009.jpg] 」 (電流センサユニット5の第5実施形態が図10及び図11に示されている。この電流センサユニット5は、図6及び図7に示された実施形態による測定抵抗102、すなわちピン長手軸に対して実質的に垂直に突出する、接触ばね50として構成された接触要素を備えた測定抵抗102を含んでいる。) 「 [図:0001403358000010.jpg] 」 (図6及び図7に示した実施例とは異なり、接触ばね50は、プリント配線板200を越えて突出する、接触レールとして形成された接点221にはんだ付けされるのではなく、導電性材料から成るクランプ要素54によってプリント配線板202に直接クランプされる。) 「 [図:0001403358000011.jpg] 」 (接続の安定性を改善するために、プリント配線板202の接点223を形成する導体路に孔23を設けることができる。これらの孔23は、クランプ要素54の内側に設けられたピン状の成形部55に係合するために設けられている。) 「 [図:0001403358000012.jpg] 」 (この取り外し可能な結合部を保護するためには、付加的な保護キャップ58が設けられていてよい。この保護キャップ58は上側及び下側から測定抵抗102とプリント配線板202との間の結合領域に被せ嵌められ、かつ互いにクリップ結合されることができる。保護キャップの位置を固定するために、二つの保護キャップ58のうちの少なくとも一つは固定ピン59を有することができ、この固定ピンはプリント配線板202の対応する固定孔27内に係合する。) 「 [図:0001403358000013.jpg] 」 「 [図:0001403358000014.jpg] 」 (2) 引用文献1の記載から認定した事項 引用文献1の段落[0055]、[0056]、Fig.10、Fig.11の記載からみて、引用文献1の接触ばね50はプリント配線板202と略平行に突出していることが読み取れる。 (3) 引用発明の認定 前記(1)において摘記した事項及び前記(2)において認定した事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「バッテリ端子及び/又はバッテリケーブルに直接接続される電流センサユニットであって、([0008]) 電流センサユニットは測定抵抗を備え、([0001]) 電流測定回路が配置されるプリント配線板が、測定抵抗に直接取り付けられており、([0011]) 測定抵抗102は、ピン長手軸に対して実質的に垂直に突出する、接触ばね50として構成された接触要素を備え、([0054]) 接触ばね50はプリント配線板202と略平行に突出し、(前記(2)認定事項) 接触ばね50は、導電性材料から成るクランプ要素54によってプリント配線板202に直接クランプされ、([0055]) 接続の安定性を改善するために、プリント配線板202の接点223を形成する導体路に孔23を設け、これらの孔23は、クランプ要素54の内側に設けられたピン状の成形部55に係合するために設けられ、([0056]) 取り外し可能な結合部を形成してなる、([0057]) 電流センサユニット。」 2 引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項の認定 (1) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2(国際公開第2013/015219号)には、以下の記載がある。 ア 段落[0001]、[0010]~[0017]、[図1]~[図3A] 「[0001] 本発明はシャント抵抗器の電圧検出装置に係り、特にその抵抗体に流れる監視対象電流により該抵抗体の両端に形成される電圧を取り出す電圧検出回路の構成に関する。」 「[0010] 図1は本発明の一実施例のシャント抵抗器を示す。このシャント抵抗器10は、マンガニン等の抵抗合金材料からなる棒状(円柱状)の抵抗体11と、該抵抗体とは別部材の一対の銅等の高導電率金属材料からなる棒状(円柱状)の主電極12,12と、該抵抗体の近傍に起立した一対の検出端子13a,13aとを備える。検出端子13aは、抵抗体の両端面に当接した端子材(電圧検出電極)13より延在しており、抵抗体11に生じる電圧を検出するためのものである。また、検出端子13aは、主電極12における所定の接続部に接続されており、本例では、主電極12の抵抗体11側の端面に接続されている。検出端子13aにはコネクタが接続可能で、電圧検出回路に接続する一対の配線が該コネクタにより検出端子13aに電気的に接続される。 [0011] この抵抗器10では、抵抗体11と該抵抗体に監視対象電流を流すための主電極12との間に電圧検出電極13を介在させている。そして、円柱状の抵抗体11の長さ方向の両端面に板状の電圧検出電極13の端面と円柱状の主電極12の端面とがそれぞれ対向するように固定されている。ここで、抵抗体11と電圧検出電極13、および主電極12と電圧検出電極13とは、それぞれの接合面を当接させて圧接またはろう接により接合したものであり、機械的にも強固で電気的にも安定している。従って、検出端子13aにおいて、主電極の銅材の抵抗分の影響を受けることなく、直接抵抗体11自体の抵抗値および抵抗温度係数に基づく電圧を検出することが可能となる。 [0012] 上記シャント抵抗器10によれば、電圧検出電極と検出端子が一体の接合パーツであるため、組み付け工程が簡易となる。また、検出端子13aの固定位置のバラツキを抑制することができ、抵抗体11の直近位置での電圧検出が可能となる。 [0013] また、電圧検出電極13が電極の一部になる為、接合部分から外れることがなく、耐久性にも優れ、抵抗値の経時変化も小さくなる。そして、電極と抵抗体と厚み又は径方向への重なり部分がなく全体として柱状であり、電極と抵抗体とが断面(端面)で接合し、その接合面全体にわたって接合している為、スムーズな電流経路と放熱経路が得られ、接合強度も強い。 [0014] また、シャント抵抗器10は、円柱状に構成した電極12,12の両端に扁平部12f,12fを形成した構造である。扁平部12fには開口を備え、バッテリ等と接続したバスバー15を、開口を介してボルトおよびナット14を用いて接続固定ができる構造になっている。扁平部12fを形成したので、バスバーや平板状の接続端子金具との接続固定が容易となる。 [0015] 図2は電圧検出電極13の検出端子13aを電圧検出回路のコネクタ21に接続した状態を示す。上述したように、シャント抵抗器は、監視対象電流の経路に挿入され、該電流によってシャント抵抗器の抵抗体11の両端に生じる電圧を電圧検出回路により検出し、既知の抵抗値から電流を検出する。係る抵抗体11の両端に形成される電圧を取り出す電圧検出回路の入力部に、検出端子13aと接続可能なコネクタ21を備えている。 [0016] 図3Aはコネクタ21の内部を示す。コネクタ21には検出端子13aに嵌着し、それぞれ電気的に接続された一対の配線23を備える。検出端子13aと、この検出端子13aにそれぞれ電気的に接続された配線23とを含む一対の電圧検出配線は、互いに所定の離間距離を保った状態で抵抗体11の中心軸から外周方向へ引き出してから、互いに近接させている。 [0017] すなわち、一対の検出端子13aおよび/または検出端子13aに嵌着した配線23の端部が、検出端子13a同士の離間距離(抵抗体11の中心軸方向における離間距離)と略同じ距離を隔てて上方に延びる。そして、抵抗体11から離れた所定の位置において、抵抗体の軸方向と略平行となるように配線23同士を近接させる。そして配線23は、平衡線または撚り線23aとして図示しない電圧検出回路基板側に接続される。なお、本文において所定個所とは、前述の抵抗体11から離れた所定の位置および/または電圧検出配線が近接する個所を示す。検出端子13aと配線23からなる一対の電圧検出配線は、配線23を屈曲させることによって近接している。電圧検出配線を近接させる所定個所はコネクタ21内に設けられている。平衡線または撚り線23aは一対の配線が近接し、外部磁束や電界の影響を受けないことが好ましい。」 「[図1] [図:0001403358000015.jpg] 」 「[図2] [図:0001403358000016.jpg] 」 「[図3A] [図:0001403358000017.jpg] 」 イ 段落[0021]、[図5] 「[0021] 本発明は抵抗体11の抵抗Rに基づく正規の検出電圧の他に、抵抗体自体の自己インダクタンスLに基づく誤差電圧の影響を取り除くことができる電圧検出回路を提供することにある。このため、図5に示すように平衡線または撚り線23aの先端にコネクタ22を設け、該コネクタを介して電圧検出回路基板20のローパスフィルタ24に接続する。誤差電圧の影響を除去するためには実効的インダクタンスLeを一定値に固定し、ローパスフィルタの回路定数に合わせる必要がある。」 「[図5] [図:0001403358000018.jpg] 」 ウ 段落[0024]、[図6] 「[0024] 図6はコネクタ21,22の形状例を示す。抵抗器の検出端子13aは、抵抗体11の両端面に当接した端子材(検出電極13)より延在し、起立しているので、これにコネクタ21の孔部21hを差し込むことで容易に装着が可能である。」 「[図6] [図:0001403358000019.jpg] 」 (2) 引用文献2の記載から認定した事項 引用文献2の段落[0024]、[図6]の記載からみて、引用文献2のコネクタ21の検出端子13aと接続する側の面に孔部21hを備えることが読み取れる。 (3) 引用文献2技術事項の認定 前記(1)に摘記した事項及び前記(2)において認定した事項から、引用文献2には次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献2技術事項」という。)。 [引用文献2技術事項] 「シャント抵抗器の電圧検出装置において、([0001]) シャント抵抗器10は、マンガニン等の抵抗合金材料からなる棒状(円柱状)の抵抗体11と、該抵抗体とは別部材の一対の銅等の高導電率金属材料からなる棒状(円柱状)の主電極12,12と、該抵抗体の近傍に起立した一対の検出端子13a,13aとを備え、検出端子13aは、抵抗体の両端面に当接した端子材(電圧検出電極)13より延在しており、抵抗体11に生じる電圧を検出するためのものであり、([0010]) シャント抵抗器10は、円柱状に構成した電極12,12の両端に扁平部12f,12fを形成し、開口を備えた扁平部12fにおいて、バッテリ等と接続したバスバー15を、開口を介して接続固定ができる構造となっており、([0014]) 電圧検出電極13の検出端子13aを電圧検出回路のコネクタ21に接続し、監視対象電流の経路に挿入され、該電流によってシャント抵抗器の抵抗体11の両端に生じる電圧を電圧検出回路により検出し、既知の抵抗値から電流を検出しており、([0015]) コネクタ21には検出端子13aに嵌着し、それぞれ電気的に接続された一対の配線23を備え、配線23は、平衡線または撚り線23aとして電圧検出回路基板側に接続され、([0016]、[0017]) コネクタ21の検出端子13aと接続する側の面に孔部21hを備え、(前記(2)認定事項) 抵抗器の検出端子13aは、これにコネクタ21の孔部21hを差し込むことで容易に装着が可能であること。([0024])」 第5 本願発明と引用発明の対比 1 対比分析 請求項1における本願発明の特定の順に沿って、本願発明と引用発明を対比する。 (1)ア 引用発明は、「バッテリ端子及び/又はバッテリケーブルに直接接続される電流センサユニット」の発明であり、「電流センサユニット」は「測定抵抗を備え」、「電流測定回路が配置されるプリント配線板が、測定抵抗に直接取り付けられて」いることにより電流を測定する構成を備えるから、「電流センサユニット」は、本願発明の「電流検出装置」に相当する。 イ また、本願発明の「電気化学素子」は、本願の明細書の段落【0002】によれば「一次電池や二次電池」を意味するから、引用発明の「バッテリ」は本願発明の「電気化学素子」に相当する。 ウ 前記ア及びイを踏まえると、本願発明と引用発明は、「電気化学素子の電流検出装置」の発明である点で一致する。 (2)ア 本願発明の「部品が搭載された回路基板」の「部品」について、本願の明細書の【0061】には「回路基板90は、少なくとも抵抗器80の接続相手でなるコネクタ100を有していればよく、BM51などの他部品を搭載しているか、否かは任意である。」と記載されており、【0026】には「BM51は、回路基板90上に配置されている。BM51は、電圧検出部55の出力に基づいて各二次電池31の電圧や組電池30の総電圧を監視する。」と記載されていることを踏まえると、本願発明の「部品」とは、具体的には「電圧検出部55の出力に基づいて各二次電池31の電圧や組電池30の総電圧を監視する」「BM51」を指すと解するのが相当である。 イ 引用発明において、「電流センサユニットは測定抵抗を備え」、「電流測定回路が配置されるプリント配線板が、測定抵抗に直接取り付けられて」いるところ、「測定抵抗」を用いて「電流測定」を行う場合には、「測定抵抗」の両端に生じる電圧を検出し、電流値=電圧値/抵抗値の関係(オームの法則)により電流の測定が行われるのが通常であるから、引用発明の「電流測定回路」が「測定抵抗」の両端に生じる電圧を検出していることは自明である。 ウ 前記ア及びイを踏まえると、引用発明の「電流測定回路」及び「プリント配線板」は、それぞれ本願発明の「部品」及び「回路基板」に相当し、引用発明においても、「部品」(電流測定回路)が「配置」すなわち「搭載」されていると認められる。 エ したがって、本願発明と引用発明は、「部品が搭載された回路基板」を備える点で一致する。 (3)ア 本願発明の「電気化学素子の電流を検出する抵抗器」について、本願の明細書の【0026】に「BM51は、回路基板90上に配置されている。BM51は、電圧検出部55の出力に基づいて各二次電池31の電圧や組電池30の総電圧を監視する。また、抵抗器80の両端電圧Vrから、二次電池31の電流Iを検出して、電流Iを監視する。」と記載されていることから、「抵抗器」自体が「電気化学素子の電流を検出する」のではなく、本願発明の「抵抗器」は「電気化学素子の電流を検出する」ために用いられるものであると解するのが相当と認められる。 イ 引用発明の「電流センサユニット」が備える「測定抵抗」は、前記(2)イを踏まえると、その両端に生じる電圧から電流の測定を行うためのものであることは明らかである。 ウ したがって、前記ア及びイを踏まえると、引用発明の「測定抵抗」は、本願発明の「抵抗器」に相当し、本願発明と引用発明は、「前記電気化学素子の電流を検出する抵抗器と、を備え[る]」点で一致する。 (4)ア 引用発明において、「測定抵抗102は、ピン長手軸に対して実質的に垂直に突出する、接触ばね50として構成された接触要素を備え」、「接触ばね50は、導電性材料から成るクランプ要素54によってプリント配線板202に直接クランプされ」、「プリント配線板202の接点223を形成する導体路に孔23を設け、これらの孔23は、クランプ要素54の内側に設けられたピン状の成形部55に係合するために設けられ」ているから、「クランプ要素54」によって「直接クランプ」される「プリント配線板202」の部分が「プリント配線板202の接点223」であると認められる。 イ ここで、引用発明において、「プリント配線板202の接点223を形成する導体路」と「接触ばね50」は「クランプ要素54」を介して電気的に接続されていることは明らかである。 ウ そうすると、引用発明の「プリント配線板202の接点223」は、本願発明の「第1端子」に相当し、引用発明の「測定抵抗102」の「接触ばね50」は、本願発明の「第2端子」に相当し、本願発明と引用発明は、「第1端子」と「第2端子」は電気的に接続されている点で共通する。 エ そして、引用発明の「プリント配線板202の接点223を形成する導体路」はプリント配線板202上の部材であることは明らかであるから、本願発明と引用発明は、「前記回路基板上に第1端子が設けられている」点で共通する。 オ さらに、引用発明の「測定抵抗102」の「接触ばね50」は「プリント配線板202と略平行に突出し」ているから、本願発明と引用発明は、「前記抵抗器は、前記回路基板と略平行に突出する第2端子を有する」点で共通する。 カ 以上を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記回路基板上に第1端子が設けられ、前記抵抗器は、前記回路基板と略平行に突出し、前記第1端子に電気的に接続される第2端子を有する」点で共通する。 2 一致点及び相違点の認定 前記1の対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次の(1)の一致点において一致し、後記(2)の相違点において相違する。 (1) 一致点 「電気化学素子の電流検出装置であって、 部品が搭載された回路基板と、 前記電気化学素子の電流を検出する抵抗器と、を備え、 前記回路基板上に第1端子が設けられ、 前記抵抗器は、前記回路基板と略平行に突出し、前記第1端子に電気的に接続される第2端子を有する電流検出装置。」である点。 (2) 相違点 本願発明においては、「前記回路基板上には、第1端子を有するコネクタが設けられ、前記第1端子は、前記コネクタの前面壁の挿通孔に対応して前記コネクタ内に配置されており」、「前記第2端子は、前記回路基板と略平行な方向で前記挿通孔を介して前記第1端子の内部に挿入された状態で、前記回路基板上で前記第1端子に接触する」構成を有するのに対し、 引用発明においては、「プリント配線板202の接点223」と、「測定抵抗102」の「接触ばね50」とが、「クランプ要素54」を介して電気的に接続されており、コネクタを有していないため、「プリント配線板202の接点223」と、「測定抵抗102」の「接触ばね50」との接続について、前記構成を有していない点。 第6 判断 1 本願発明の想到容易性についての判断 (1) 相違点の検討 ア 引用発明に引用文献2技術事項を適用する動機付けについて (ア) 引用文献2技術事項は、「シャント抵抗器10」の「電極12,12の両端」にある「扁平部12f」において「バッテリ等と接続したバスバー15」が「接続固定」され、「電圧検出電極13の検出端子13aを電圧検出回路のコネクタ21に接続し、監視対象電流の経路に挿入され、該電流によってシャント抵抗器の抵抗体11の両端に生じる電圧を電圧検出回路により検出し、既知の抵抗値から電流を検出」するものであり、「コネクタ21」の「配線23」が「電圧検出回路基板側に接続され」ているから、バッテリに接続したシャント抵抗器10、コネクタ21、配線23、電圧検出回路基板からなる電流センサユニットが開示されているといえる。 そうすると、引用発明と引用文献2技術事項は、いずれもバッテリに接続した抵抗と回路基板を含む電流センサユニットであり、当該抵抗と回路基板との間における、取り外し可能な結合部を含む接続に関する技術を開示している点で技術分野が密接に関連している。 (イ) また、引用文献1の段落[0012]において、「プリント配線板と測定抵抗との直接的な接続のためには、複数の可能性がある。」と記載されており、当該複数の可能性の一つとして、引用文献2技術事項の「電圧検出回路のコネクタ21」と「シャント抵抗器10」の接続に係る構成を適用することは当業者であれば、当然に試み得ることである。 (ウ) 以上を踏まえると、引用発明において、「クランプ要素54」を介して「プリント配線板202」と「測定抵抗102」の「接触ばね50」の電気的な接続をする代わりに、引用文献2技術事項の「コネクタ21」を用いた接続技術を適用する契機はあるというべきである。 イ 相違点に係る構成について (ア) 以下の(イ)において詳述するとおり、引用発明に引用文献2技術事項の「コネクタ21」を用いた接続技術を適用することにより、前記相違点に係る本願発明の構成を得ることは、当業者ならば格別の困難性はない。 なお、引用文献2技術事項の主要な構成と本願発明の相違点に係る主要な構成の対応関係を参照の便宜を図るため以下に示す。 <引用文献2技術事項> <本願発明> シャント抵抗器10 抵抗器 検出端子13a 第2端子 コネクタ21 コネクタ 孔部21h 挿通孔 コネクタ21内の端子部 第1端子 (イ)a コネクタ内の第1端子と抵抗器の第2端子の接触に係る構成について 引用文献2技術事項において、「コネクタ21の検出端子13aと接続する側の面に孔部21hを備え」、「抵抗器の検出端子13a」に「コネクタ21の孔部21hを差し込む」ことにより、「コネクタ21」の「一対の配線23」は「検出端子13aに嵌着し、それぞれ電気的に接続され」るから、コネクタ21の前面壁の孔部21hに対応して前記コネクタ21内に端子部が配置されており、前記検出端子13aは、前記孔部21hを介して前記端子部の内部に挿入された状態で、前記端子部に接触すると認められる。 したがって、引用発明に引用文献2技術事項の「コネクタ21」を用いた接続技術を適用すると、前記相違点に係る本願発明の構成のうち、「第1端子を有するコネクタが設けられ、前記第1端子は、前記コネクタの前面壁の挿通孔に対応して前記コネクタ内に配置されており」、「前記第2端子は、前記挿通孔を介して前記第1端子の内部に挿入された状態で、前記第1端子に接触する」ことが得られることになる。 b 回路基板上にコネクタを設けることについて 引用発明の「プリント配線板202の接点223」と「測定抵抗102」の「接触ばね50」との接続に、引用文献2技術事項の「コネクタ21」を用いた接続技術を適用する際には、「プリント配線板202の接点223を形成する導体路」はプリント配線板202上の部材であることは明らかであるから、「導体路」に対応するコネクタ21をプリント配線板202上に配置する構成を採用することは当然検討すべき事項であって、当業者であれば当該構成を採用することは技術の具体化に伴う設計事項にすぎない。そして、当該構成を採用することにより前記相違点に係る本願発明の「前記回路基板上には、第1端子を有するコネクタが設けられ」る構成が自ずと得られることとなる。 c 第2端子が回路基板に略平行な方向で挿通孔に挿入される構成について 引用発明において、「プリント配線板202」の側面側、すなわち、これと略平行な方向から「測定抵抗102」の「接触ばね50」を接続していることに鑑みると、引用発明に引用文献2技術事項を適用する際に、引用文献2技術事項の「検出端子13a」を「プリント配線板202」に略平行な方向で「プリント配線板202」上に配置した「コネクタ21」の「孔部21h」に差し込むようにすることは当業者が適宜なし得る設計事項にすぎず、前記相違点に係る本願発明の「第2端子」が「前記回路基板と略平行な方向で」挿通孔を介して第1端子の内部に挿入される構成は、格別のものではない。 (2) 総合評価 前記(1)の検討結果を総合しても、前記相違点に係る本願発明の構成を導き出すことは当業者にとっては、格別困難なものではない。 また、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難で、かつ、格別顕著な効果を認めることができない。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 2 請求人の主張について (1) 請求人の主張の内容 ア 審判請求書の主張について 審判請求書において、請求人は、引用文献1と引用文献3との組み合わせに関する主張はしているものの、引用文献1と引用文献2との組み合わせについては、「他の引用文献についても同様に、本願請求項1の上記特徴は、開示されておらず、また、引用文献1に他の引用文献を組み合わせても、本願請求項1の上記特徴を容易に想到できるものでもありません。」と主張するのみであり、引用文献2技術事項を引用発明に適用することに対して具体的な主張を述べていない。 イ 意見書の主張について 令和3年12月24日に提出された意見書(以下単に「意見書」という。)において、請求人は、引用文献1と引用文献2との組み合わせについて概略次の主張をしている。 引用文献1に引用文献2を組み合わせると、導体板202(回路基板)の端面又は導体板200(回路基板)から突出した接点221(第1端子)の先端に孔が空いており、接触バネ50(第2端子)が導体板202(回路基板)又は導体板200(回路基板)から突出した接点221(第1端子)の当該孔に挿入される、または、挟まれることが想到できるのみであって、引用文献1及び2からは、本願のように、第2端子が回路基板上で第1端子に挿入されて回路基板上で第1端子と接触するような構成を、容易に想到できない。 (2) 請求人の主張に対する当審の判断 前記1(1)イにおいて検討したとおり、当審においては、引用発明に引用文献2技術事項を適用する際に引用文献2技術事項の「コネクタ21」を引用発明の「プリント配線板202」上に配置するという観点で相違点の判断を行っており、請求人の主張するような「プリント配線板」(導体板200)の端面又は「プリント配線板」から突出した接点221に孔を設けるということは、当審の判断とは関係がないものであるから、かかる観点に基づいてした意見書の主張は採用することはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-015018

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