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特許拒絶査定不服審判

2022-013553

プレートフィン熱交換器を用いて1つ又は複数の飲料成分を冷却するためのシステム及び方法

審判番号
2022-013553
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-516125外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月29日
審決日
2023年06月01日
公報発行日
2023年06月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (F28D) / P18 .537-WY (F28D) / P18 .562-WY (F28D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-516125「プレートフィン熱交換器を用いて1つ又は複数の飲料成分を冷却するためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日国際公開、WO2018/064252、令和 1年10月24日国内公表、特表2019-530844、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2017年(平成29年)9月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年9月28日 米国、2017年1月27日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりのものである。

令和2年 8月31日 手続補正書の提出

令和3年 7月20日付け 拒絶理由通知

令和3年10月26日 意見書、手続補正書の提出

令和3年12月22日付け 拒絶理由通知(最後)

令和4年 3月25日 意見書、手続補正書の提出

令和4年 4月25日付け 補正の却下の決定、拒絶査定

令和4年 8月29日 審判請求書、手続補正書の提出

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年8月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

[理由]

1.本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載

本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。)。

「【請求項1】
飲料ディスペンサの内部又は飲料ディスペンサのアイスビンの下部で冷却媒体と熱接触して配置され、当該飲料ディスペンサの1つ又は複数の流体を冷却するプレート熱交換器であって、
上部プレートと、
下部プレートと、
続きを表示(全11行)
外部境界壁と、
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置された複数の流体流路と、
前記複数の流体流路のそれぞれの内部に配置され、前記上部プレート及び前記下部プレートと熱接触しているフィンと、
を備え、
前記複数の流体流路のそれぞれは、入口流路及び出口流路を備え、
前記複数の流体流路における互いに隣接する流体流路同士では、その前記入口流路同士が隣接して配置され、
この隣接する入口流路同士は、内壁により分離され、かつ、当該内壁を共有しており、当該内壁を介して交換されるいかなる熱も減らすように構成されている、プレート熱交換器。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載

本件補正前の、令和3年10月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】
飲料ディスペンサの内部又は飲料ディスペンサのアイスビンの下部で冷却媒体と熱接触して配置され、当該飲料ディスペンサの1つ又は複数の流体を冷却するプレート熱交換器であって、
上部プレートと、
下部プレートと、
続きを表示(全11行)
外部境界壁と、
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置された複数の流体流路と、
前記複数の流体流路のそれぞれの内部に配置され、前記上部プレート及び前記下部プレートと熱接触しているフィンと、
を備え、
前記複数の流体流路のそれぞれは、入口流路及び出口流路を備え、
前記複数の流体流路における互いに隣接する流体流路同士では、その前記入口流路同士が隣接して配置され、
この隣接する入口流路同士は、内壁により分離され、かつ、当該内壁を共有する、プレート熱交換器。」

2.本件補正の適否

本件補正により、「隣接する入口流路同士」を「分離」し「共有」される「内壁」について、「当該内壁を介して交換されるいかなる熱も減らすように構成されている」点が特定された。

これに関して、明細書の段落【0030】には、「ある場合では、入口流れ部分150は、出口流れ部分152よりも比較的温かい流体流動を含むことができる。すなわち、プレートフィン熱交換器100内の流体115は典型的には、入口114では、116を出るときよりも温かい。流体115は典型的には、流体流路112に沿って入口114から出口116まで流動する際、徐々に冷たくなる。その結果、入口流れ部分150を、隣接する流体流路112の出口流れ部分152に隣接させて配置することが望ましくない場合がある。このような流体流動の配置により、熱伝達を減少させることができる。したがって、図7、図8、及び図11に示すように、各流体流路112の入口流れ部分150は、それに隣接する各流体流路112の別の入口流れ部分150に隣接させて配置することができる。隣接する入口流れ部分150は、内壁154により分離することができ、またこれを共有することができる。同様に、図4、図8、及び図12に示すように、各流体流路112の出口流れ部分152は、それに隣接する各流体流路112の別の出口流れ部分152に隣接させて配置することができる。隣接する出口流れ部分152は、内壁154により分離することができ、またこれを共有することができる。このように、隣接する入口流れ部分150又は隣接する出口流れ部分152の間の内壁154を介して交換されたいかなる熱も、最小限のものであり得るか、又はプレートフィン熱交換器100の全体の熱伝達に最小限の影響を及ぼし得る。」との記載があるものの、「当該内壁を介して交換されるいかなる熱も減らすように構成されている」ことは、記載も示唆もされておらず、さらに、明細書の他の箇所を参照しても、記載も示唆もされているとはいえない。

したがって、「当該内壁を介して交換されるいかなる熱も減らすように構成されている」との事項を含む本件補正は、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項を参照。)。

3.本件補正についてのむすび

上記2.のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、令和4年8月29日提出の手続補正書による手続補正は却下された。

したがって、本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和3年10月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
飲料ディスペンサの内部又は飲料ディスペンサのアイスビンの下部で冷却媒体と熱接触して配置され、当該飲料ディスペンサの1つ又は複数の流体を冷却するプレート熱交換器であって、
上部プレートと、
下部プレートと、
続きを表示(全23行)
外部境界壁と、
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置された複数の流体流路と、
前記複数の流体流路のそれぞれの内部に配置され、前記上部プレート及び前記下部プレートと熱接触しているフィンと、
を備え、
前記複数の流体流路のそれぞれは、入口流路及び出口流路を備え、
前記複数の流体流路における互いに隣接する流体流路同士では、その前記入口流路同士が隣接して配置され、
この隣接する入口流路同士は、内壁により分離され、かつ、当該内壁を共有する、プレート熱交換器。
【請求項2】
共に積み重なった複数の前記プレート熱交換器を更に備える、請求項1に記載のプレート熱交換器。
【請求項3】
前記各流体流路の入口流路が、それに隣接して積み重なる各流体流路の別の入口流路に隣接して配置される、請求項2に記載のプレート熱交換器。
【請求項4】
前記各流体流路の出口流路が、それに隣接して積み重なる各流体流路の別の出口流路に隣接して配置される、請求項2に記載のプレート熱交換器。
【請求項5】
前記フィンが、複数のU字型チャネルを形成するように折り畳まれた単一の一体構造を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項6】
前記フィンが、複数の行及び複数の列を有する単一の一体構造を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項7】
前記複数の行が、隣接する行から少なくとも部分的にオフセットされている、請求項6に記載のプレート熱交換器。」

第4 原査定の概要

原査定(令和4年4月25日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1-4に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

<引用文献等一覧>

1.米国特許出願公開第2009/0285956号明細書

2.中国実用新案第202304511号明細書

3.特開2010-144952号公報

4.特開2004-61032号公報

第5 引用文献

1.引用文献1

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。()は当審訳を示す。以下同様。)。

(1)引用文献1の記載

ア「[0002] The present invention relates to a heat exchanger, such as a heat exchanger used in a beverage dispenser, and particularly to a heat exchanger that uses ice to cool components for beverages dispensed by the beverage dispenser. The invention also relates to an improved beverage dispenser utilizing a heat exchanger, methods of cooling beverages and beverage components, and methods of constructing a heat exchanger.」

([0002] 本発明は、熱交換器、飲料ディスペンサで使用される熱交換器のような、特に、氷は、飲料ディスペンサーによって注出される飲料のための構成要素を冷却するために使用する熱交換器に関するものである。また、本発明は、熱交換器を利用する改良された飲料ディスペンサ、飲料および飲料成分としての方法、および熱交換器を構築する方法に関するものである。)

イ「[0057] A first embodiment of a beverage dispensing system 10, capable of dispensing both ice and beverages, is shown in FIG. 1. Important details of the dispenser, as shown in the exploded view of FIG. 2, include an ice bin 14, heat exchanger 30, and base 12. Ice bin 14 interfaces with heat exchanger 30 via gasket 11. Ice bin 14 may be formed with hollow walls which are later filled with foam. The ice bin 14 comprises an inner wall 6, a foam layer 7, and an outer wall 8. In this embodiment, where the beverage dispenser is combined with an ice dispenser, the ice storage bin comprises an ice dispensing aperture 9 and the dispenser includes an ice dispensing chute 4 connected to the storage bin in proximity to the ice dispensing aperture 9. At least one paddlewheel (not shown) is located in the ice storage bin and is configured to lift ice to the ice dispensing aperture in a conventional manner. Other items typically found in a beverage dispenser that can be included in the beverage dispensing system 10 include a carbonator (not shown) and a circulating pump (not shown).」

([0057] 氷及び飲料の双方を分配することができる、図1に示されている飲料ディスペンスシステム10の第1の実施形態であるディスペンサの重要な詳細は、図2の分解図に示すように、アイスビン14、熱交換器30と、基部12とを含んでいる。アイスビン14がガスケット11を介して熱交換器30と連係するアイスビン14は、後に発泡体が充填された中空壁で形成されてもよい。アイスビン14は、内壁6、発泡層7、および外壁8を含むこの実施形態において、飲料ディスペンサは、氷ディスペンサと組み合わされると、貯氷庫が氷ディスペンス開口9を備えており、ディスペンサは氷分配開口部9に近接するように貯蔵容器に接続されて氷小出しシュート4とを備えている少なくとも1つのパドル(図示せず)が、氷の貯蔵容器内に配置され、従来の方法で氷ディスペンス開口部に氷を持ち上げるように構成されている。飲料ディスペンスシステム10に含めることができる飲料ディスペンサにおいて典型的に見出される他のアイテムは、炭酸化器(図示せず)と循環ポンプ(図示せず)を含む。)

ウ「[0059] A first embodiment of a heat exchanger 30 made according to the present invention is shown in FIGS. 3-8. The heat exchanger 30 is configured to cool beverage components by the melting of ice in contact with the heat exchanger. In this embodiment, the valves and heat exchanger are part of a single piece of dispensing equipment, and the ice is contained in the piece of dispensing equipment in contact with the heat exchanger. The heat exchanger 30 is cooled by melting ice in the bottom of the ice bin 14. Heat is transferred to the ice from components of the beverages that are dispensed by the ice/beverage dispenser 10. Heat is transferred by passing water (plain or carbonated), a single component beverage or a concentrated beverage syrup through a flow channel in the heat exchanger 30. The heat exchanger 30 has multiple flow channels, each carrying a separate beverage or beverage component. The flow channels are connected to the tubing 13 and 15. As will be discussed below, in some embodiments, a manifold built into the heat exchanger may allow one inlet line to feed several different distinct passageways through the heat exchanger.

[0060] A preferred heat exchanger 30 comprises a plurality of sheets of heat transfer material and at least first and second flow channels defined by surfaces made at least in part by the sheets of heat transfer material. The heat exchanger will comprises at least first and second sheets of heat transfer material, and the first and second flow channels are formed between the first and second sheets. Preferably the heat exchanger has at least first, second and third sheets 32, 34, 36, (FIG. 4) of heat transfer material that are substantially flat, arranged in a generally parallel relationship and sealed together at their periphery; and at least one first dividers located between the first and second sheets of heat transfer material so as to form at least first and second flow channels in the space between the first and second sheets. A second divider is preferably located between the second and third sheets so as to form at least third and fourth flow channels in the space between the second and third sheets. In this embodiment, the dividers are provided by portions of one or more of the first, second and third sheets, particularly by an upstanding portion formed from the second and third sheets.

[0061] The heat exchanger 30 further comprises fourth and fifth sheets of heat transfer material 38 and 40, and dividers between the third and fourth sheets and between the fourth and fifth sheets to form additional flow channels. Connections 41, 42, 43, 44, 46 and 47 are provided on the heat exchanger 30 and are configured to connect water lines and beverage concentrate lines respectively to the various flow channels. The connections 41, 43 and 47 allow fluid to enter respective flow channels, and connectors 42, 44 and 46 are outlet connectors. The flow channels run from the front to the back, and from the back to the front, of the heat exchanger. As explained in more detail below, holes 48 and 49 formed in strategic places in some of the sheets allow for transverse passageways between sheets. The beverage concentrate passageways include a front-to-back and return flow all in one level. The water passageways flow front-to-back on alternating spaces on one level and back-to-front on alternating spaces on another level.

[0062] The first sheet 32 also forms the bottom of the ice bin 14. To properly hold the ice while it melts, the first sheet includes a flange 33 around its perimeter and extending away from the second sheet 34. The first sheet 32 includes at least one, and preferably two melt water drain holes 35 through the flange 33. The main surface of sheet 32 may be flat as shown in FIG. 4, whereas the other sheets 34, 36, 38 and 40 preferably include depressions 39 in the form of chevrons.

[0063] FIG. 5 shows a bottom plan view of sheet 40, and FIG. 6 shows a cross-sectional view of the heat exchanger 30. The upstanding portions 45 of the sheets 34, 36, 38 and 40, providing dividers between flow channels, are made by stamped embosses, and are flat across their extended sections, to mate with flat sections between rows of chevrons in the adjacent sheet. The chevron shaped depressions 39 in sheets 34, 36, 38 and 40 form regions 37 (FIG. 6) of undulating sheet material between the embossed projections 45. Since these regions form the flow channels, the depressions 39 form flow inhibitors in the flow channels. It should be noted that the contacts between chevrons in adjacent sheets, seen in the cross section of FIG. 6, are point contacts, and directly in front and behind the point contacts there will be space where fluid can flow. FIGS. 7 and 8 show a plan and end elevation view of sheet 38.

[0064] The water flow paths enter through inlets 41 and fill half of the spaces between sheets 32 and 34 formed by the dividers 45. The water flows to the back of the heat exchanger 30 where it passes through holes 48 in sheets 34 and 36. This brings the water to the level between sheets 36 and 38, where it flows back to the front of the heat exchanger 30 in half of the spaces. As can be seen in FIG. 4, three dividers 45 in sheet 38 do not extend all the way up to the front of the sheet. As a result, water can pass between the spaces and enter the adjacent space, where it travels back to the real of the heat exchanger in the space between sheets 36 and 38, through holes 49, and back to the other half of the spaces between sheets 32 and 34, where it flows back to the front and exits through outlet fittings 42.

[0064] The beverage concentrate flow paths are simpler, as they stay all in one level of the heat exchanger. As seen in FIG. 4, the space between sheets 34 and 36 is divided up into six spaces that each has an inlet 43. However, there are dividers 31 that bisect the flow paths so that syrup flows from the front of the heat exchanger to the back along one side of the space, then around the end of the dividers 31 and back to the front of the heat exchanger 30, where the beverage concentrate exits outlets 44. Six beverage concentrates can thus be cooled between sheets 34 and 36. Another six beverage concentrates can be cooled in the spaces between sheets 38 and 40, entering inlets 47 and exiting outlets 46.」

([0059] 本発明に従って製造された熱交換器30の第1の実施の形態は、図3-8に示されている。熱交換器30は、熱交換器と接触している氷の融解による飲料の構成要素を冷却するように構成されている。この実施形態では、弁および熱交換器は一体成形分配装置の一部であり、氷が熱交換器と接触して、一体型分配装置の中に含まれている。熱交換器30は、貯氷庫14の底の氷を溶かすことによって冷却される。熱は、氷/飲料ディスペンサ10によって分配される飲料の成分から氷に伝導される。熱は、熱交換器30内の流路を介して水(炭酸抜きまたは炭酸)、単一成分の飲料又は濃縮飲料シロップを通過させることによって伝導される。熱交換器30は、複数の流路を有し、それぞれ別の飲料又は飲料成分が運ばれる。流路は、管13及び15に接続されている。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、熱交換器に組み込まれたマニホールドにより、1つの入口ラインが熱交換器を通るいくつかの異なる個別の通路に供給できる。

[0060] 好適な熱交換器30は、伝熱材料の複数のシートと、少なくとも1枚の伝熱材料によって少なくとも部分的に作製された表面によって画定された第1及び第2の流れチャネルを含む。熱交換器については、熱伝導性材料の第1のシートおよび第2のシートを含み、第1及び第2の流れチャネルは、第1および第2のシートの間に形成される。好ましくは、熱交換器は、実質的に平坦であり、ほぼ平行な関係で配置され、周縁部で一緒にシールされた熱伝達材料の少なくとも第1、第2、および第3のシート32、34、36(図4)を有し、少なくとも1つの第1の仕切りは、第1のシートと第2のシートとの間の空間に少なくとも第1流路と第2流路を形成するように、第1のシートと第2の熱伝達材料シートとの間に配置される。第2のシートと第3のシートとの間の空間に少なくとも第3および第4の流路を形成するために、第2の仕切りは、第2及び第3のシートの間に配置されることが好ましい。この実施形態では、仕切りは、1つまたはそれ以上の第1、第2及び第3のシートの部分によって提供され、特に、第2及び第3のシートから形成された直立部である。

[0061] 熱交換器30はさらに、伝熱材38および40からなる第4および第5のシートと、追加の流路を形成するための第3及び第4のシートとの間および第4及び第5シートの間の仕切りを備える。接続41、42、43、44、46および47は熱交換器30に設けられており、水および飲料濃縮物のラインをそれぞれ種々の流路に接続するよう構成されている。接続部41、43、47は、流体が各流路に入ることを可能にし、コネクタ42、44、46は出口コネクタである。流路は、熱交換器の前方から後方に、及び後方から前方に、延びる。以下でより詳細に説明するように、いくつかのシート内の戦略的場所に形成された孔48および49は、シート間を横断する通路を可能にする。飲料濃縮物通路はすべて1つのレベルにおいて前から後ろへと戻り流が挙げられる。水通路は、あるレベルの交互のスペースでは前から後ろに流れ、別のレベルの交互のスペースでは後ろから前に流れる。

[0062] 第1シート32は、貯氷庫14の底部を形成する。融解する氷を適切に保持し得るように、第1のシートは、その周辺部の周りにあり、第2のシート34から離れるように延びているフランジ33を備えている。第1シート32は、少なくとも1本、好ましくは2本の、フランジ33を通過する融解水排水孔35を有している。シート32の主表面は、平坦であってもよく、図4に示すように、シート34、36、38及び40は、好ましくは、V字形状(chevron)の形態の凹部39を有する。

[0063] 図5は、シート40の底面図を示し、図6は熱交換器30の断面図を示している。シート34、36、38及び40の直立部分45は、流路の間の仕切りを提供し、スタンプされたエンボスによって形成されており、隣接するシートの仕切りの列の間の平らな部分と嵌合するように、その延長部分にわたって平らである。シート34、36、38および40の山形の凹部39は、エンボス加工された凸部45の間に波形シート材料の領域37(図6)を形成する。これらの領域は流路を形成するので、凹部39は流路内に流れ阻害部を形成する。隣接するシートの山と山の間の接触は、図6の断面図に示すように、点接触であり、接触点のすぐ後方の流体が流れることができる空間が存在することになる。図7及び図8は、シート38の平面図および端面図を示している。

[0064] 水流路は、入口41を通って入り、仕切り45によって形成されたシート32と34との間の空間の半分を満たす。水は熱交換器30の背面に流れ、そこでシート34および36の穴48を通過する。これは、シート36と38の間で、熱交換器30の背面から正面へと流入する空間の半分に水をもたらす。図4に見られるように、シート38内の3つの仕切り45は、シートの前側まで延びていない。その結果、水空間との間を通過し、シート36と38との間の空間に熱交換器の実部に戻るように移動するとき、隣接した空間に入り、貫通孔49とシート32及び34の間の空間には、前方に向けて流れ戻り、出口フィッティング42から出て行く場合の他の半分に戻すことができる。)

エ 図2「

[図:0001398088000001.jpg]

」

オ 図3「

[図:0001398088000002.jpg]

」

カ 図4「

[図:0001398088000003.jpg]

」

キ 段落[0057]の記載及び図2の図示内容及びより、熱交換器30は、飲料ディスペンスシステム10の内部又は飲料ディスペンスシステム10のアイスビン14の下部に配置されることが理解できる。

ク 段落[0057]、[0061]の記載より、熱交換器30は、1つ又は複数の飲料又は飲料成分を冷却することが理解できる。

ケ 図4の図示内容より、第3のシート36の下側に第2のシート34が配置されることが理解できる。

コ 段落[0060]の記載及び図4の図示内容より、第2のシート34および第3のシート36の周縁部に形成されるシール部分は、外部との境界となる部分であることが理解できる。

サ 段落[0060]の記載及び図4の図示内容より、第2のシート34と第3のシート36との間には、複数の流路が形成されることが理解できる。

(2)引用発明

上記(1)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「飲料ディスペンスシステム10の内部又は飲料ディスペンスシステム10のアイスビン14の下部に配置され、氷と接触することで1つ又は複数の飲料又は飲料成分を冷却する熱交換器30であって、
第3のシート36と、
第3のシート36の下側に配置される第2のシート34と、
第3のシート36及び第2のシート34の周縁部に形成されるシール部分と、
第3のシート36と第2のシート34との間に配設された複数の流路と、
を備え、
前記複数の流路のそれぞれは、接続部43および出口コネクタ44を備え、
前記複数の流体流路における互いに隣接する流路同士では、接続部43および出口コネクタ44が隣接して配置される、熱交換器30。」

2.引用文献2

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献2の記載

ア「

[図:0001398088000004.jpg]

」

([0007] 本実用新案が解決する技術的課題は、より低い加工コストで高出力電子部品用のプレート型ラジエータを提供することである。

[0008] 本実用新案で用いる技術的解決手段は、溝板と平板を貼り合わせたプレート型ラジエータであり、シートの上下をそれぞれ平板と溝板に貼り付けるものである。このうち、放熱フィンは、上端面が平板、下端面が溝板にそれぞれ取り付けられるものであれば、板型でも柱型でもよく、このような放熱フィンを使用して熱伝導効率を高めることができる。)

イ「

[図:0001398088000005.jpg]

」

([0028] 本実用新案が対象とする水冷式プレート型ラジエータは、水入口3、水出口4、溝板1、平板2、放熱フィン6で構成されている。溝板1は、片面が平坦面、他面が凹部構造となっており、この凹部構造は、溝板1に設けられた仕切り板5により、相互に凹部領域が分割されています。この溝板1を平板2に接着し、凹み部分を冷却水流路で囲み、両者を接着する前に、この凹み部分に放熱フィン6を配置し、放熱フィン6の上下を平板2と溝板1にそれぞれ接着し、平板2と接着して水冷式プレート型ラジエータの放熱体を構成する。これにより、既存のプレート式ラジエータが、接触面積を大きくするために冷却水流路を狭い幅、大きな深さ、高精度、複雑な形状にしているため、冷却水流路の機械加工による材料やエネルギーの浪費、生産効率の低下やコスト高も回避することができる。溝板1、平板2、および放熱フィン6の間の接着は、溶接によって達成され、これによって密閉性が得られると同時に、接着相で局所的に接着することができ、接続部の強度を保証することができる。本実用新案のプレート型ラジエータは、流路の加工精度が低く、加工コストを節約し、加工効率を向上させることができる。)

ウ 図1-3「

[図:0001398088000006.jpg]

」

(2)引用文献2に記載の事項

上記(1)を総合すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

「水冷式プレート型ラジエータにおいて、溝板1及び平板2の間に、そのそれぞれに接着される放熱フィン6を設けること。」

3.引用文献3

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献3の記載

ア「【0007】

上記のように構成したコールドプレートにおいては、両飲料冷却管路の導入口部を冷却プレートにおける交差方向の中央部に各々配置して各飲料冷却管を各々互いに交差方向における反対向きに連続させ各飲料冷却管の導出口部を冷却プレートにおける交差方向の互いに反対側の端部に配置しているので、両飲料冷却管路内の飲料は導出口部側で互いに他の飲料冷却管路内の飲料の温度による影響を受けることがない。よって、一方の飲料冷却管路に飲料を導出させる間隔が空くことで十分に冷却された飲料が待機した状態で、他方の飲料冷却管路に新たに飲料を導入して冷却させても、一方の飲料冷却管路の導出口部側で十分に冷却された飲料は他方の飲料冷却管路を通過する飲料による温度の影響を受けることがなく十分に冷却された状態にすることができる。」

イ「【0008】

以下に、本発明によるコールドプレートの一実施形態を図面を参照して説明する。本発明に係るコールドプレート10は、氷等の冷却材を裁置面21に裁置して冷却される熱伝導性の高い冷却プレート20と、冷却プレート20の裁置面21の下側に沿って設けられて冷却プレート20の一方向に延びるとともに裁置面21の端部で折り返されて一方向と交差する交差方向に連続して配されて冷却プレート20により内部を通過する飲料が冷却される2つの飲料冷却管路30,40とを備えている。このコールドプレート10は、両飲料冷却管路30,40の導入口部31,41を冷却プレート20における交差方向の中央部に各々配置して各飲料冷却管路30,40を各々互いに交差方向における反対向きに連続させ各飲料冷却管路30,40の導出口部32,42を冷却プレート20における交差方向の互いに反対側の端部に配置した。以下に、このコールドプレート10について詳述する。」

ウ「【0013】

なお、本実施形態においては、飲料冷却管路30,40を冷却プレート20内にステンレス製の管部材を鋳包むことにより形成しているが、本発明はこれに限られるものでなく、冷却プレート20は上下の2つのプレートから成るようにし、これらのプレートの少なくとも一方に飲料冷却管路30,40となる溝を蛇行して形成させこれら2つのプレートを固着させるようにしても同様の作用効果を得ることができる。」

エ「【図1】

[図:0001398088000007.jpg]

」

オ「【図2】

[図:0001398088000008.jpg]

」

カ 図1、図2の図示内容より、各導入口部31、41及びそれに続く各飲料冷却管路30、40が、冷却プレート20の中央領域において間隔をもって配置される点が看取できる。

(2)引用文献3に記載の事項

上記(1)からみて、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

「コールドプレート10において、飲料の各導入口部31、41及びそれに続く各飲料冷却管路30、40が、冷却プレート20の中央領域において間隔をもって配置されること。」

4.引用文献4

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献4の記載

ア「【0001】

【発明の属する技術分野】

本発明は、インナーフィンを有する熱交換器用偏平チューブに関する。」

イ「【0008】

【発明の実施の形態】

次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。

図1~図3は夫々本発明の第1~第3の実施の形態を示す要部斜視図であり、図4は夫々の実施の形態におけるV-V矢視断面図である。

これらの実施の形態における偏平チューブ3は、夫々一対の対向する平坦面部1の両側間が外側に凸の曲面部2で一体に形成されてなる。そしてその偏平チューブ3の内部に挿入されるインナーフィン4は、図8(A)のコルゲート型のもの又は(B)のオフセット型のものが収納される。それらのインナーフィン4の幅は、偏平チューブ3の平坦面部1の幅に等しい。」

ウ「【図1】

[図:0001398088000009.jpg]

」

エ「【図8】

[図:0001398088000010.jpg]

」

(2)引用文献4に記載の事項

上記(1)からみて、引用文献4には、以下の事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。

「インナーフィン4を有する熱交換器用偏平チューブ3において、インナーフィン4は、コルゲート型又はオフセット型であること。」

第6 対比・判断

1.本願発明1について

本願発明1と引用発明とを対比する。

引用発明の「飲料ディスペンスシステム10」、「アイスビン14」、「氷」、「飲料又は飲料成分」、「熱交換器30」は、それぞれ本願発明1の「飲料ディスペンサ」、「アイスビン」、「冷却媒体」「複数の流体」、「プレート熱交換器」に相当する。

そして、引用発明の「飲料ディスペンスシステム10の内部又は飲料ディスペンスシステム10のアイスビン14の下部に配置され、氷と接触することで1つ又は複数の飲料又は飲料成分を冷却する熱交換器30」は、本願発明1の「飲料ディスペンサの内部又は飲料ディスペンサのアイスビンの下部で冷却媒体と熱接触して配置され、当該飲料ディスペンサの1つ又は複数の流体を冷却するプレート熱交換器」に相当する。

引用発明の「第3のシート36」は、本願発明の「上部プレート」に相当する。

引用発明の「第3のシート36の下側に配置される第2のシート34」は、本願発明の「下部プレート」に相当する。

引用発明の「第3のシート36及び第2のシート34の周縁部に形成されるシール部分」は、本願発明の「外部境界壁」に相当する。

引用発明の「接続部43」、「出口コネクタ44」は、それぞれ本願発明の「入口流路」、「出口流路」に相当する。

したがって、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。

(一致点)

「飲料ディスペンサの内部又は飲料ディスペンサのアイスビンの下部で冷却媒体と熱接触して配置され、当該飲料ディスペンサの1つ又は複数の流体を冷却するプレート熱交換器であって、
上部プレートと、
下部プレートと、
外部境界壁と、
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置された複数の流体流路と、
を備え、
前記複数の流体流路のそれぞれは、入口流路及び出口流路を備える、プレート熱交換器。」

(相違点1)

本願発明1は、「前記複数の流体流路のそれぞれの内部に配置され、前記上部プレート及び前記下部プレートと熱接触しているフィン」を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。

(相違点2)

本願発明1は、「前記複数の流体流路における互いに隣接する流体流路同士では、その前記入口流路同士が隣接して配置され、この隣接する入口流路同士は、内壁により分離され、かつ、当該内壁を共有する」のに対し、引用発明は、「前記複数の流体流路における互いに隣接する流路同士では、接続部43および出口コネクタ44が隣接して配置され」る点。

以下、相違点について検討する。

事案に鑑みて、相違点2から検討する。

本願発明1は、相違点2に係る構成を備えることで、「隣接する入口流れ部分150又は隣接する出口流れ部分152の間の内壁154を介して交換されたいかなる熱も、最小限のものであり得るか、又はプレートフィン熱交換器100の全体の熱伝達に最小限の影響を及ぼし得る」という作用効果を奏するものである。

一方、引用文献3記載事項では、各導入口部31、41及びそれに続く各飲料冷却管路30、40が、冷却プレート20の中央領域において間隔をもって配置されているから、たとえ、飲料冷却管路30、40を、管部材によるものに代えて、「冷却プレート20は上下の2つのプレートから成るようにし、これらのプレートの少なくとも一方に飲料冷却管路30,40となる溝を蛇行して形成させこれら2つのプレートを固着させる」(段落【0013】(上記「第4 3.(1)ウ」)を参照。)ように構成したとしても、そのことが「隣接する入口流路同士は、内壁により分離され、かつ、当該内壁を共有する」構成になると解するべき特段の事情も認められない。

したがって、引用発明に引用文献3記載事項を適用したとしても、相違点2に係る構成には想到しない。

そして、引用文献3は、導入口部31、41を中央部に配置し、さらに導出口部32、42を端部に配置することで、導出口部側32、42での両飲料冷却管路内の飲料の温度による影響を抑えようとする点を開示するが(段落【0007】(上記「第4 3.(1)ア」)を参照。)、導入口部31、41での両飲料冷却管路内の飲料の温度による影響を抑えようとする点は、開示されているとはいえない。

一方、本願発明1は、上述した作用効果を奏するものであって、この点、引用文献3記載事項に記載がないものであるから、引用発明に引用文献3記載事項を適用する際に、「隣接する入口流路同士は、内壁により分離され、かつ、当該内壁を共有する」よう構成することが、当業者が設計上適宜になし得た事項であるともいえない。

また、引用文献2記載事項及び引用文献4記載事項のいずれにも、上記相違点2に係る本願発明に相当する構成は、記載も示唆もされていない。

したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2-4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2-7について

本願の特許請求の範囲における請求項2-7は、請求項1の記載を他の記載と置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本願発明2-7は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。

したがって、本願発明2-7は、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2-4記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第7 むすび

以上のとおり、本願の請求項1-7に係る発明は、当業者が引用文献1-4に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-013553

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