特許拒絶査定不服審判
2022-013230
空気調和機の室内機
- 審判番号
- 2022-013230
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-556371外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月24日
- 審決日
- 2023年06月12日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WYF(F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-556371「空気調和機の室内機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月14日国際公開、WO2020/095342、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)11月5日を国際出願日とする出願であって、その手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和2年11月24日 :手続補正書の提出
令和3年11月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出
同 年 6月 6日付け:拒絶査定
同 年 8月24日 :審判請求書、手続補正書の提出
同 年12月21日 :上申書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年6月6日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1-4に係る発明は、下記の引用文献1-5に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1に係る発明に対して:引用文献1-2,5
・請求項2に係る発明に対して:引用文献1-3,5
・請求項3に係る発明に対して:引用文献1-3,5
・請求項4に係る発明に対して:引用文献1-5
<引用文献等一覧>
1.特開2012-220163号公報
2.特開2007-294784号公報
3.国際公開第2017/037820号
4.特開平10-110970号公報
5.特開2003-284224号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許請求の範囲の請求項1及び明細書の段落【0009】に「上部の側縁部である」という事項を追加するものである。
上記の請求項1の補正は、審判請求時の補正前の請求項1に記載された「空気調和機の室内機」が「備え」る「遮蔽板」が「備え」るとした「第1側縁部」に対して、「上部の側縁部である」ことを追加し、新たに特定するものであるから、上記の特許請求の範囲の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「遮蔽板」の「第1側縁部」が「上部の側縁部」であることは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0029】に、「本実施の形態では、遮蔽板10の上部側縁部が、第1側縁部11aとなっている。」と記載されているから、補正により新たに追加された事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、審判請求時の補正後の請求項1-4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、令和4年8月24日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。
「【請求項1】
冷媒が流れる冷媒配管を有する室内熱交換器と、
前記冷媒配管に設けられた温度センサと、
前記室内熱交換器に空気を吹き出すファンと、
前記温度センサと前記ファンとの間に設けられ、前記ファンから前記温度センサに向かって吹き出される空気の流れを遮る遮蔽板と、
を備え、
前記遮蔽板は、上部の側縁部である第1側縁部と該第1側縁部の反対側の側縁部である第2側縁部とを有する板状の本体部を備え、
前記第1側縁部には、前記第2側縁部に向かって凹むV字状の切り欠きが形成されており、
前記本体部には、前記第1側縁部の前記切り欠きと前記第2側縁部との間に、前記温度センサに接続され前記切り欠きを跨いで引き回される配線を固定するクランプが、前記切り欠きのV字状の谷部の前記第2側縁部に向かう延長線上に設けられており、
前記クランプは、前記本体部に取り付けられる箇所である取付部と、可撓性を有し、前記配線を固定する部分である固定部とを備えている
空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記切り欠きの縁に密着曲げ加工が施されている
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記第1側縁部が延びる方向において、
前記固定部は、前記切り欠きの幅の中に配置されている
請求項1又は請求項2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記遮蔽板が取り付けられる被取付部材を備え、
前記遮蔽板は、前記第1側縁部から突出し、前記被取付部材に取り付けられる足部を備え、
前記第1側縁部と前記足部との間に形成される隙間は、前記配線の直径よりも小さい
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。」
第5 引用文献の記載事項
1 引用文献1
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、参考のために当審が付した。以下同様。)
ア 「【0022】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気調和機の概略構成図が示されている。
空気調和機1は、図1に示されるように、室内の天井面等に設置される室内ユニット2(以下、この室内ユニット2をして空気調和機と称することもある。)と、屋外の適所に設置され、上記室内ユニット2に対して液管、ガス管の2本の冷媒配管4および通信線5を介して接続される室外ユニット3とから構成されており、室内ユニット2に接続されているワイヤードリモコン6を介して運転操作されるようになっている。」
イ 「【0024】
室内ユニット2は、図1に示されるように、室内の天井面等に設置されるユニット本体10と、その下部に装着される天井パネル11とを備えている。天井パネル11には、中央部に室内空気を吸込むための吸込みグリル12が設けられ、その周りに空調風を吹出す風向調整ルーバ13を備えた空気吹出し口14が4方向に配設されている。また、ユニット本体10の内部には、図2ないし図5に示されるように、ファンモータ15、このファンモータにより駆動されるターボファン16、ターボファン16の吸入側に設けられるベルマウス17、ターボファン16を取り囲むように配設される室内熱交換器(熱交換器)18、室内膨張弁19、室内熱交換器18の下部に設けられるドレンパン20、ドレンポンプ21、室内コントローラ22等が内蔵されている。」
ウ 「【0026】
室内熱交換器18は、プレートフィン&チューブ型の熱交換器であり、略矩形状に折り曲げ成形され、上記したターボファン16の周りを取り囲むようにユニット本体10内に固定配置されている。また、この室内熱交換器18は、その一コーナ部が熱交換器の両端部により開口された開口部18Aとされており、該開口部18Aには、室内熱交換器18によって区画された内側空間23と、その外側に形成されている配管室24とを仕切るとともに、室内熱交換器18の両端部を連結し、ユニット本体10側に固定設置するためのバッフルプレート25が設けられている。
【0027】
室内熱交換器18の周りを取り囲んでいる外側空間26は、ターボファン16から吹出され、室内熱交換器18を通過することによって冷却または加熱された温調風を、天井パネル11に設けられている4方向の空気吹出し口14へと導風するための導風路とされている。また、配管室24には、室内熱交換器18に接続される液管およびガス管等の冷媒配管類4と、その液管側に設けられる室内側膨張弁19等とが配設されている。
【0028】
上記バッフルプレート25は、室内熱交換器18の両端部間に連結されており、図2および図3に示されるように、配管室24側に凸形状となるように、くの字形状に曲げ成形され、ターボファン16の外周との距離が可及的に大きく、かつその距離が略均等に保たれるように構成されている。また、このバッフルプレート25には、図3ないし図5に示されるように、ターボファン16の主板16A側から吹出される空気流の主流が吹き付けられる上半部分のみに、水平方向に細長くされている多数のスリット穴(穴)25Aが穿設されている。
【0029】
なお、上記実施形態では、バッフルプレート25の上半部分の略全面に上下方向に複数列に多数のスリット穴25Aを穿設した構成としているが、このスリット穴25Aをバッフルプレート25の上半部分のターボファン16の回転方向N(図2参照)の下流側領域のみに設け、バッフルプレート25の強度を確保するとともに、配管室24内において室内熱交換器18と接続される冷媒配管4に設置される温度センサ等に対し、ターボファン16から吹出された空気流が直接吹き付けられないように構成してもよい。」
エ 「
[図:0001399115000001.jpg]
」
オ 「
[図:0001399115000002.jpg]
」
(2) 上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 上記ア乃至エから、引用文献1に記載された空気調和機1の室内ユニット2は、室内熱交換器18に接続される液管およびガス管等の冷媒配管類4と、冷媒配管4に設置される温度センサと、室内熱交換器18を通過する風を吹き出すターボファン16と、前記温度センサに対し、ターボファン16から吹出された空気流が直接吹き付けられないように構成されたバッフルプレート25と、を備えるものである。
イ 上記エ及びオから、引用文献1に記載されたバッフルプレート25は、温度センサとターボファン16との間に設けられ、上部の側縁部と該上部の側縁部の反対側の側縁部である下部の側縁部とを有する板状の部分を備えるものである。
(3) 上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「室内熱交換器18に接続される液管およびガス管等の冷媒配管類4と、
冷媒配管4に設置される温度センサと、
室内熱交換器18を通過する風を吹き出すターボファン16と、
前記温度センサとターボファン16との間に設けられ、前記温度センサに対し、ターボファン16から吹出された空気流が直接吹き付けられないように構成されたバッフルプレート25と、
を備え、
バッフルプレート25は、上部の側縁部と該上部の側縁部の反対側の側縁部である下部の側縁部とを有する板状の部分を備えている
空気調和機1の室内ユニット2。」
2 引用文献2
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
ア 「【0007】
図1に示すように、本発明の基板に設けるリード線保持穴は、リード線Rを通す保持穴であって、丸穴(1)と袴状に開口されたリード線R差込み口(2)と、これによって形成された狭窄部(3)とから形成されている。
このため形状からして丸穴(1)は実施例中では頭(1)と称し、狭窄部(3)は本文を通して頚(3)とし、末広がりの袴状開口部は単に開口部(2)とする。
【0008】
保持穴はこのような形状であって、リード線Rは、図2に示されているように基板の保持穴上にリード線Rを置き、芯を出したリード線の先端を半田付けBして開口部(2)側からリード線Rを差込み、頚(3)の部分に圧入させて頭(1)の部分にリード線Rを納めて実装を完了させる。このように基板への実装に当ってはリード線Rを折ること曲げることなく回路基板が完成される。」
イ 「【0012】
このように本発明のリード線保持穴はドリル加工とパンチ加工の2段の加工によってパンチ金型の山形頂部の刃の傷みを防ぐことが可能となり、リード線Rの基板Aへの実装に当っては図2のイ図、ロ図、ハ図の手順のように実装する。Bは半田ランドである。図示の上段aはそれぞれの平面図を示し、下段bはそれぞれのX-X断面図を示している。そして、イ図はリード線Rを基板Aに実装する前の未着の状態図で、ロ図はリード線Rの先端を芯出しして半田付Bをした未だリード線Rの未処理の状態図を示している。ハ図はリード線Rを開口部(2)から差込み、頚部(3)に押込んで頭(1)に嵌め込んだ実装完了の図を示すもので、図示するように本発明のリード線保持穴を用いて基板Aにリード線Rを実装する際は、リード線を強制的に曲げたり、折ることなく、ストレスを与えない形で実装することができる。」
ウ 「
[図:0001399115000003.jpg]
」
(2) 上記(1)から、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献2に記載された技術>
「リード線Rの先端を半田付けBして、リード線Rを末広がりの袴状開口部2から差込み、狭窄部3に押込んで丸穴1に嵌め込むことによって、リード線Rを基板Aに実装する。」
3 引用文献5
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに、次の記載がある。
ア 「【0007】上述のように概略構成された電線固定具Aが,実際に電線を固定する場合の一例について図2を用いて説明する。先ず,電線固定具Aの可撓部10が折り曲げられることによって,挟持部20,30を互いに対向させる。このとき,対向する挟持部20,30の内面側に電線X,Yを配置して,挟持部20の貫通孔40と挟持部30の貫通孔50とに螺子60を挿入して締めることによって電線X,Yを挟持部20,30で挟持する。更に,上記挟持部20,30の2つ分の厚さ以上の長さを有する螺子を螺子60として用いることで,該螺子60は,挟持部20,30で上記電線X,Yを挟持すると共に,エアコンの外箱等の支持物(ここでは,図2の紙面に向かって奥側,即ち挟持部30側あるものとする)に電線固定具Aを共締めすることが可能となって,電線固定具Aを装置内の所望の位置に固定することが可能となる。上述の共締めが不可能な場合は,挟持部30が上記支持物と接する面に接着材を塗布することによって,電線固定具Aを所望の位置に固定しても良い。また,上記挟持部20,30の内面側には,既に述べたように複数条の凹溝90(図1参照)が設けられており,この凹溝90が電線固定具Aより電線X,Yが抜け落ちることを防止する滑り止めの機能を果たしている。もちろん,この滑り止め機能を果たせるものであれば如何なるものが設けられても良いので,例えば,上記挟持部20,30の内面側に凸部が設けられても良く,また凹凸や粗面が形成されても良い。このように電線固定具Aを利用することで,電線X,Yは直接支持物と接触することが無くなるので(即ち,図2においては,電線X,Yと支持物との間に樹脂製の挟持部30が介在する状態となるので),電線X,Yの被覆が挟持部20,30による固定で損傷した場合であっても樹脂性の挟持部20,30によって絶縁が保たれて,漏電を防止することが可能となる。また,電線固定具Aを一体成型する樹脂としては,例えば,絶縁性の特性を有するポリエチレン樹脂,フェノール樹脂,若しくはABS樹脂等であっても良く,他方難燃性の特性を考慮するのであればポリカーボネート樹脂,若しくはポリアミド樹脂であっても良い。もちろん,絶縁性と難燃性の両方の特性を有する樹脂を用いても良い。更に,挟持部20の外部面に,装置の使用方法や,電線の種別等を記載する表示部として活用しても良い。」
イ 「
[図:0001399115000004.jpg]
」
(2) 上記(1)から、引用文献5には、次の技術(以下「引用文献5に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献5に記載された技術>
「電線固定具Aの可撓部10を折り曲げることによって、挟持部20,30を互いに対向させ、対向する挟持部20,30の内面側に電線X,Yを配置し、挟持部20の貫通孔40と挟持部30の貫通孔50とに挟持部20,30の2つ分の厚さ以上の長さを有する螺子60を挿入して締めることによって、挟持部20,30で電線X,Yを挟持すると共に、支持物に電線固定具Aを共締めする。」
4 その他の文献について
(1) また、前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献6(特開2016-223666号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
ア 「【0019】
また、ダクト型空気調和機200の一部を下面から見た図である図3に示すように、熱交換器用の筐体10Aの左側面板10A4には、ドレンポンプ60やフロートスイッチ70をメンテナンスするためのメンテナンス開口91と、熱交換器20の配管や配線を引き出すための配管開口92が形成されている。」
イ 「【0021】
配管開口92には、熱交換器20の液管21をガイドするガイド凹部92a、熱交換器20のガス管22をガイドするガイド凹部92b、配線をガイドするガイド凹部92c,92dが形成されている。後記するように、メンテナンス開口91の上部(図3では下部)はメンテナンス第1蓋93で閉じられ、メンテナンス開口91の下部(図3では上部)はメンテナンス第2蓋94で閉じられる。また、配管開口92は配管蓋95で閉じられる。96はフロートスイッチ70が内側に取り付けられる配管蓋である。」
ウ 「【0027】
図8はドレンポンプ60の配線101とフロートスイッチ70の配線102を電装品箱80に配線する説明図、図9は熱交換器20の配管温度を検出する温度センサの配線103,104と電子膨張弁の配線105とを電装品箱80に配線する説明図である。」
エ 「【0029】
また、温度センサの配線103,104は、配管開口92のガイド凹部92dを経由し左側面板10A4の外側を経由して電装品箱80内のコネクタ84に接続される。電子膨張弁の配線105も、配管開口92のガイド凹部92dを経由し左側面板10A4の外側を経由して電装品箱80内のコネクタ84に接続される。なお、温度センサや電子膨張弁は本発明に直接関連しないので図示していない。」
オ 「
[図:0001399115000005.jpg]
」
(2) 上記(1)から、引用文献6には、次の技術(以下「引用文献6に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献6に記載された技術>
「ダクト型空気調和機200の熱交換器用の筐体10Aの左側面板10A4に配線を引き出すための配管開口92Aを形成し、配管開口92Aに配線をガイドするためのガイド凹部92dを形成し、温度センサの配線103,104を配管開口92のガイド凹部92d及び左側面板10A4の外側を経由して電装品箱80内のコネクタ84に接続する。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「室内熱交換器18」、「液管およびガス管等の冷媒配管類4」は、それぞれ本願発明1の「室内熱交換器」、「冷媒が流れる冷媒配管」に相当するから、引用発明の「室内熱交換器18に接続される液管およびガス管等の冷媒配管類4」は、本願発明1の「冷媒が流れる冷媒配管を有する室内熱交換器」に相当する。
引用発明の「温度センサ」は、本願発明1の「温度センサ」に相当するから、引用発明の「冷媒配管4に設けられた温度センサ」は、本願発明1の「前記冷媒配管に設けられた温度センサ」に相当する。
引用発明の「ターボファン16」は、本願発明1の「ファン」に相当するから、引用発明の「室内熱交換器18を通過する風を吹き出すターボファン16」は、本願発明1の「前記室内熱交換器に空気を吹き出すファン」に相当する。
引用発明の「前記温度センサとターボファン16との間に設けられ、前記温度センサに対し、ターボファン16から吹出された空気流が直接吹き付けられないように構成されたバッフルプレート25」は、温度センサにターボファンからの空気の流れがあたらないように遮るものであるから、本願発明1の「前記温度センサと前記ファンとの間に設けられ、前記ファンから前記温度センサに向かって吹き出される空気の流れを遮る遮蔽板」に相当する。
引用発明の「バッフルプレート25は、上部の側縁部と該上部の側縁部の反対側の側縁部である下部の側縁部とを有する板状の部分を備えている」ことは、本願発明1の「前記遮蔽板は、上部の側縁部である第1側縁部と該第1側縁部の反対側の側縁部である第2側縁部とを有する板状の本体部を備え」ることに相当する。
引用発明の「空気調和機1の室内ユニット2」は、本願発明1の「空気調和機の室内機」に相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「冷媒が流れる冷媒配管を有する室内熱交換器と、
前記冷媒配管に設けられた温度センサと、
前記室内熱交換器に空気を吹き出すファンと、
前記温度センサと前記ファンとの間に設けられ、前記ファンから前記温度センサに向かって吹き出される空気の流れを遮る遮蔽板と、
を備え、
前記遮蔽板は、上部の側縁部である第1側縁部と該第1側縁部の反対側の側縁部である第2側縁部とを有する板状の本体部を備えている
空気調和機の室内機。」
<相違点1>
本願発明1は、「前記第1側縁部には、前記第2側縁部に向かって凹むV字状の切り欠きが形成されて」いるのに対し、引用発明は、当該事項について特定していない点。
<相違点2>
本願発明1は、「前記本体部には、前記第1側縁部の前記切り欠きと前記第2側縁部との間に、前記温度センサに接続され前記切り欠きを跨いで引き回される配線を固定するクランプが、前記切り欠きのV字状の谷部の前記第2側縁部に向かう延長線上に設けられており、前記クランプは、前記本体部に取り付けられる箇所である取付部と、可撓性を有し、前記配線を固定する部分である固定部とを備えている」のに対し、引用発明は、当該事項について特定していない点。
(2) 判断
相違点1について検討する。
本願明細書の段落【0010】には、発明の効果として、次のとおり記載されている。
「本発明に係る空気調和機の室内機においては、温度センサに接続されている配線を第1側縁部のV字状の切り欠きの縁に引っ掛け、該配線を第2側縁部に向かって引っ張る。これにより、温度センサに接続されている配線は、切り欠きの縁に沿ってV字形状の谷の方へ移動し、クランプの位置へ誘導される。このため、本発明に係る空気調和機の室内機は、温度センサに接続されている配線の途中部をクランプに容易に固定することができ、温度センサに接続されている配線の途中部を遮蔽板に固定する際の配線の引き回し作業を従来よりも容易に行うことができる。」
したがって、相違点1に係る本願発明1の「前記第1側縁部には、前記第2側縁部に向かって凹むV字状の切り欠きが形成されて」いるという構成は、温度センサの配線を固定位置であるクランプの位置へ誘導するためのものであると理解できる。
一方、引用文献2に記載された技術の袴状開口部2は、形状だけであればV字状の切り欠きといえる。
しかし、リード線Rの先端を半田付けBして、リード線Rを末広がりの袴状開口部2から差込み、狭窄部3に押込んで丸穴1に嵌め込むという一連の過程を考慮すると、引用文献2に記載された袴状開口部2は、半田付けBの位置に固定されたリード線Rを保持する丸穴1へ誘導するためのものであり、袴状開口部2と丸穴1とは協働する関係にあって、袴状開口部2のみを分離し、引用発明に適用することはできない。
そうすると、引用発明に対して、引用文献2に記載された技術を適用したものは、相違点1に係る本願発明1の上記構成とはならず、上記相違点1は、当業者にとり容易想到とはいえない。
また、引用文献5に記載された技術は、V字状の切り欠きといえるものを有しない。
そうすると、相違点1に係る本願発明1の上記構成は、引用文献5に記載された技術とは異なるものである。
そして、当該相違点1に係る発明特定事項が、周知技術といえるか否かを検討する上で、前置報告書で引用された引用文献6に記載された技術を見たところ、引用文献6に記載のガイド凹部92dは、切り欠きであるといえるから、引用文献6に記載された技術は、ダクト型空気調和機に関し、熱交換器用の筐体10の左側面板10A4に切り欠きを形成するものである。
しかし、引用発明は、ダクト型空気調和機ではない点で引用文献6に記載された技術と異なり、引用文献6に記載された技術を適用することを試みても、温度センサの配線の具体的な引き回し経路を特定していない引用発明において、切り欠きの位置を遮蔽板の上部の側縁部である第1側縁部に変更するという着想には至り得ない。
以上のことから、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術、引用文献5に記載された技術及び引用文献6に記載された技術から、相違点1に係る本願発明1の上記構成を容易に想到することはできない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術、引用文献5に記載された技術及び引用文献6に記載された技術に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2-4について
本願発明2-4も、本願発明1の「前記第1側縁部には、前記第2側縁部に向かって凹むV字状の切り欠きが形成されて」いると同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2-5に記載された技術及び前置報告書において引用された引用文献6に記載された技術に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-4は、「前記遮蔽板は、上部の側縁部である第1側縁部と該第1側縁部の反対側の側縁部である第2側縁部とを有する板状の本体部を備え、前記第1側縁部には、前記第2側縁部に向かって凹むV字状の切り欠きが形成されて」いるという構成を備えるものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5及び前置報告書において引用された引用文献6に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-013230