2022-013158
両面粘着剤層付偏光フィルムおよび画像表示装置
- 審判番号
- 2022-013158
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-074619外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月23日
- 審決日
- 2023年07月31日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日東電工株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第50条の2、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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特願2015-120319号(以下「もとの特許出願」という。)は、2015年(平成27年)6月15日を出願日とする出願である。
特願2020-22109号(以下「第2出願」という。)は、もとの特許出願の一部を令和2年2月13日に新たな特許出願としたものである。
そして、特願2021-74619号(以下「本件出願」という。)は、第2出願の一部を令和3年4月27日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
同年 3月17日提出:手続補正書、意見書
同年 5月10日付け:補正の却下の決定
同年 5月10日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 8月23日提出:審判請求書
同年 8月23日提出:手続補正書(以下「本件補正」という。)
同年 9月27日作成:前置報告書
第2 令和4年8月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年8月23日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正前の特許請求の範囲の記載
令和4年3月17日にした手続補正は上記のとおり却下されたことから、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】画像表示装置において最も視認側に設けられる偏光フィルム並びに当該偏光フィルムの視認側に配置される粘着剤層Aおよび前記粘着剤層Aの反対側に配置される粘着剤層Bを有し、前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている両面粘着剤層付偏光フィルムであって、前記偏光フィルムは、厚み15μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであり、前記偏光子の側に粘着剤層Bが配置されており、前記粘着剤層Aの厚みは25μm以上であり、前記粘着剤層Bの厚みは25μm以下であり、前記セパレータSAは、厚みが40μm以上であり、かつ、セパレータ剥離力が0.1N/50mm以上であり、前記セパレータSAの剥離力が、前記セパレータSBの剥離力より高いことを特徴とする両面粘着剤層付偏光フィルム。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
「 【請求項1】画像表示装置において最も視認側に設けられる偏光フィルム並びに当該偏光フィルムの視認側に配置される粘着剤層Aおよび前記粘着剤層Aの反対側に配置される粘着剤層Bを有し、前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている両面粘着剤層付偏光フィルムであって、前記偏光フィルムは、厚み15μm以下の偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであり、前記偏光子の側に粘着剤層Bが配置されており、前記粘着剤層Aの厚みは25μm以上であり、前記粘着剤層Bの厚みは25μm以下であり、前記セパレータSAは、厚みが40μm以上であり、かつ、前記セパレータSAの剥離力が0.1~1N/50mmであり、前記セパレータSBの剥離力が0.01~1N/50mmであり、前記セパレータSAの剥離力が、前記セパレータSBの剥離力より高く、前記セパレータSAの剥離力と前記セパレータSBの剥離力の差が0.01~2N/50mmであることを特徴とする両面粘着剤層付偏光フィルム。」
(3)補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である、「セパレータSA」の剥離力を「0.1N/50mm以上」から「0.1~1N/50mm」へと変更し、特定されていなかった「セパレータSB」の剥離力の値を「0.01~1N/50mm」と特定し、さらには、本件補正前に「セパレータSAの剥離力が、セパレータSBの剥離力より高い」とのみ特定されていたものを、セパレータSA及びセパレータSBの剥離力の差を「0.01~2N/50mm」に特定する補正事項を含むところ、これらの補正事項は、いずれも本件出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0077】~【0078】の記載に基づくものである。
そして、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び発明が解決しようとする課題は、いずれも本件出願の明細書の【0010】に記載されているとおりであって、同一である。
そうしてみると、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に適合するとともに、同条第5項2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)が、同条第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
ア 本件補正後発明
本件補正後発明は、上記(2)に記載したとおりのものである。
イ 引用文献1の記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2014-115468号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。
(ア)「【特許請求の範囲】【請求項1】前面透明板またはタッチパネルと画像表示セルとの間に配置して用いられる粘着剤付き光学フィルムであって、偏光板を含む光学フィルム;前記光学フィルムの画像表示セルと貼り合せられる側の面に設けられた第一粘着剤層;および前記光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側の面に設けられた第二粘着剤層、を備え、続きを表示(全15行)さらに前記第一粘着剤層および前記第二の粘着剤層のそれぞれには、保護シートが剥離可能に貼着されており、前記第二粘着剤層の厚みが30μm以上である、両面粘着剤付き光学フィルム。【請求項2】前記第一粘着剤層の厚みが3~30μmである、請求項1に記載の両面粘着剤付き光学フィルム。・・・省略・・・【請求項8】画像表示装置を製造する方法であって、前記画像表示装置は、画像表示セル上に第一粘着剤層を介して偏光板を含む光学フィルムが配置され、前記偏光板上に第二粘着剤層を介して前面透明板またはタッチパネルが配置されており、請求項1~7のいずれか1項に記載の両面粘着剤付き光学フィルムの第一粘着剤層に貼着された保護シートが剥離された後、前記光学フィルムと前記画像表示セルとが前記第一粘着剤層を介して貼り合せられる第一貼合工程;および前記第二粘着剤層に貼着された保護シートが剥離された後、前記光学フィルムと前記前面透明板またはタッチパネルとが前記第二粘着剤層を介して貼り合せられる第二貼合工程、を有する、画像表示装置の製造方法。」
(イ)「【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、画像表示パネルの前面に透明板またはタッチパネルを備える画像表示装置の形成に用いられる粘着剤付き光学フィルムに関する。さらに、本発明は当該粘着剤付き光学フィルムを用いた画像表示装置の製造方法に関する。続きを表示(全23行)・・・中略・・・【発明が解決しようとする課題】【0009】層間充填剤として、液状の光硬化性樹脂を用いる方法では、液状樹脂のはみ出しに伴う汚染が生じる等の問題がある。一方、粘着シートを用いる方法では、貼り合せの前に粘着シートを画像表示装置のサイズと合致するようにカットする必要があることに加えて、所望位置に精度よく貼り合せることが容易でなく、作業性が良好とはいえない。【0010】前面透明板の画像表示パネル側の面の周縁部には、装飾や光遮蔽を目的とした印刷が施されることが多い。周縁部に印刷が施されると、印刷部分の境界に、10μm~数十μm程度の段差が生じるが、層間充填剤としてシート状粘着剤を用いた際は、この印刷段差部に気泡が生じ易いとの問題も生じ得る。【課題を解決するための手段】【0011】層間充填構造を採用する画像表示装置において、画像表示パネルと前面部材との貼り合せに関わる上記の諸問題は、偏光板の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着剤付きの偏光板を用いることによって解決される。【0012】すなわち、本発明は、前面透明板またはタッチパネルと画像表示セルとの間に配置して用いられる両面粘着剤付き光学フィルムに関する。本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、偏光板を含む光学フィルムの画像表示セルと貼り合せられる側の面に設けられた第一粘着剤層を備え、当該光学フィルムの透明板またはタッチパネルと貼り合せられる側の面に第二粘着剤層を備える。第一粘着剤層および第二の粘着剤層のそれぞれには、保護シートが剥離可能に貼着されている。第一粘着剤層の厚みは3~30μmであることが好ましく、第二粘着剤層の厚みは30μm以上であることが好ましい。・・・省略・・・【発明の効果】【0018】本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、画像表示セルとの貼り合せのための第一粘着剤層に加えて、前面透明板やタッチパネル等の前面透明部材と貼り合せるための第二の粘着剤層を備える。このような構成によれば、画像表示パネルと前面透明部材とを貼り合せて層間充填構造とする際に、別途の液状接着剤や粘着シートを設ける必要がない。そのため、液状樹脂や粘着シートのはみ出しによる汚染が防止されることに加えて、製造プロセスが簡略化される。【0019】また、第二粘着剤層の貯蔵弾性率に所定の温度依存性を持たせることで、前面透明部材の貼り合せの際の80℃付近での貯蔵弾性率を小さくして、粘着剤に段差追従性を持たせ、気泡の発生を抑制することができる。また、画像表示装置の使用環境温度における貯蔵弾性率を大きくして、実使用時の部材の位置ズレや粘着剤のはみ出し等の不具合を抑制することができる。【0020】さらに、第二粘着剤層として光硬化性粘着剤を用い、前面透明部材との貼り合せ後に光硬化を行うことで貯蔵弾性率を大きくすれば、画像表示装置が高温環境に晒された場合も粘着剤の流動が抑制される。そのため、段差付近での気泡の発生や剥離を抑制することが可能となる。」
(ウ)「【発明を実施するための形態】【0022】本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、偏光板を含む光学フィルムの一方の面に第一粘着剤層を備え、他方の面に第二粘着剤層を備える。第一粘着剤層は、画像表示セルと光学フィルムとの貼り合せに用いられる粘着剤層であり、第二粘着剤層は、前面透明部材(前面透明板またはタッチパネル)と光学フィルムとの貼り合せに用いられる粘着剤層である。【0023】続きを表示(全50行)以下では、適宜図面を参照しながら、本発明の詳細を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる両面粘着剤付き光学フィルム50を模式的に表す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100を模式的に表す断面図である。【0024】図1に示す両面粘着剤付き光学フィルム50は、光学フィルム10として偏光板11を備える。両面粘着剤付き光学フィルム50は、光学フィルム10の一方の面に第一粘着剤層21を備え、他方の面に第二粘着剤層22を備える。第一粘着剤層21上には、第一保護シート31が剥離可能に貼着されており、第二粘着剤層22上には、第二保護シート32が剥離可能に貼着されている。【0025】図3に示す画像表示装置100では、光学フィルム10の一方の面が、第一粘着剤層21を介して画像表示セル60と貼り合せられており、光学フィルム10の他方の面が第二粘着剤層22を介して前面透明部材70と貼り合せられている。【0026】[光学フィルム]光学フィルム10を構成する偏光板11としては、偏光子の片面または両面に、必要に応じて適宜の透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般に用いられる。偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。【0027】偏光子の保護フィルムとしての透明保護フィルムには、セルロース系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フェニルマレイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性および光学等方性に優れるものが好ましく用いられる。なお、偏光子の両面に透明保護フィルムが設けられる場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムが用いられてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムが用いられてもよい。また、液晶セルの光学補償や視野角拡大等を目的として、位相差板(延伸フィルム)等の光学異方性フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いることもできる。・・・省略・・・【0033】[第一粘着剤層]光学フィルム10の一方の面には、画像表示セル60との貼り合せに用いるための第一粘着剤層21が設けられる。第一粘着剤層21の厚さは、使用目的や接着力等に応じて適宜に決定できるが、本発明においては、3μm~30μmが好ましく、5μm~27μmがより好ましく、10μm~25μmがさらに好ましい。第一粘着剤層の厚みが前記範囲であれば、耐久性に優れると共に、気泡の混入等の不具合を抑制することができる。・・・省略・・・【0039】[第二粘着剤層]光学フィルム10の他方の面には、前面透明部材70との貼り合せに用いるための第二粘着剤層22が設けられる。このように、画像表示セルとの貼り合せに用いられる第一粘着剤層21の反対面に、前面透明部材との貼り合せのための第二粘着剤層22が設けられた両面粘着剤付き光学フィルムを用いれば、層間充填構造とする際に、光学フィルム10上に、液状接着剤や別途のシート状粘着剤層を付設する工程を設ける必要がない。そのため、画像表示装置の製造工程を簡略化できると共に、接着剤(粘着剤)のはみ出しによる汚染が防止される。【0040】<厚み>第二粘着剤層22の厚さは、30μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。第二粘着剤層の厚みが前記範囲より小さいと、光学フィルムと前面透明部材との貼り合せの際に、気泡が混入し易くなる傾向がある。【0041】特に、図3に模式的に示すように、前面透明部材70の画像表示パネル60側の面の周縁部に印刷部70aが設けられている場合は、第二粘着剤層の厚みが小さいと、粘着剤層が印刷段差に追従できず、印刷部70a付近に気泡が混入し易くなる傾向がある。そのため、光学フィルム10と貼り合せられる面に印刷部70aのような非平坦部を有する前面透明部材70が用いられる場合、第二粘着剤層の厚みは、非平坦部(印刷部)70aの厚みdaの1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2.0倍以上がさらに好ましい。【0042】第二粘着剤層22の厚さの上限は特に限定されないが、画像表示装置の軽量化・薄型化の観点や、粘着剤層形成の容易性、ハンドリング性等を勘案すると、300μm以下が好ましく、250μm以下がさらに好ましい。・・・省略・・・【0085】[保護シート]第一粘着剤層21および第二粘着剤層22のそれぞれには、保護シート31,32が剥離可能に貼着される。保護シート31,32は、粘着剤付き光学フィルム55が実用に供され、画像表示セル60や前面透明部材70と貼り合せられるまでの間、粘着剤層21,22の露出面を保護する目的で用いられる。【0086】保護シート31,32の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等が挙げられるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。・・・省略・・・【0088】保護シート31,32の厚みは、通常5~200μm、好ましくは10~150μm程度である。保護シートは、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、保護シートの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、実用に供する際に、粘着剤層21,22からの剥離性をより高めることができる。・・・省略・・・【0098】[画像表示装置]本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、図3に模式的に示すように、偏光板を含む光学フィルム10の一方の面に液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60を備え、他方の面(視認側)にタッチパネルや前面透明板等の前面透明部材70を備える画像表示装置100の形成に好適に用いられる。当該画像表示装置において、画像表示セル60は、第一粘着剤層21を介して光学フィルム10と貼り合せられ、前面透明部材70は、第二粘着剤層22を介して光学フィルム10と貼り合せられる。【0099】前面透明部材70としては、前面透明板(ウインドウ層)やタッチパネル等が挙げられる。前面透明板としては、適宜の機械強度および厚みを有する透明板が用いられる。このような透明板としては、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が用いられる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等、任意の方式のタッチパネルが用いられる。【0100】画像表示装置の形成において、両面粘着剤付き光学フィルム50は、画像表示のサイズに合わせた製品サイズに事前にカットされたものが好適に用いられる。画像表示セル60と両面粘着剤付き光学フィルム55との貼り合せ方法、および前面透明部材70と両面粘着剤付き光学フィルム55との貼り合せ方法は特に限定されず、第一粘着剤層21および第二粘着剤層22のそれぞれの表面に貼着された保護シート31,32を剥離した後、各種公知の方法により貼り合せることができる。【0101】本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、第一粘着剤層と第二の粘着剤層を備えるため、画像表示装置形成のための貼り合せ工程において、別途の液状接着剤や粘着シートを設ける必要がない。そのため、液状樹脂や粘着シートのはみ出しによる汚染が防止されることに加えて、製造プロセスが簡略化される。【0102】貼り合せの順序は特に限定されず、画像表示セル60と両面粘着剤付き光学フィルム55の第一粘着剤層21との貼り合せが先に行われてもよく、前面透明部材70と両面粘着剤付き光学フィルム55の第二粘着剤層22との貼り合せが先に行われてもよい。また、両者の貼り合せを同時に行うこともできる。貼り合せの作業性や、光学フィルムの軸精度を高める観点からは、第一粘着剤層21の表面から保護シート31が剥離された後、光学フィルム10と画像表示セル60とが第一粘着剤層を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、第二粘着剤層22の表面から保護シート32が剥離され、光学フィルム10と前面透明部材70とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われることが好ましい。」
(エ)「【実施例】【0108】以下に実施例および比較例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。【0109】続きを表示(全46行)[実施例1]<偏光板>ヨウ素が含浸された厚み25μmの延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に透明保護フィルムが貼り合せられた偏光板(偏光度99.995%)を用いた。偏光子の一方の面(画像表示セル側)の透明保護フィルムは、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる位相差フィルムであり、他方の面(視認側)の透明保護フィルムは、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムであった。【0110】<セル側粘着剤層(第一粘着剤層)の形成>(ベースポリマーの調製)温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、ブチルアクリレート97部、アクリル酸3部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部および酢酸エチル233部投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて、重量平均分子量(Mw)が110万のアクリル系ポリマーを得た。【0111】(粘着剤組成物の調製)上記アクリル系ポリマー溶液(固形分を100重量部とする)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL」)0.8重量部、シランカップリング剤(信越化学(株)製「KBM-403」)0.1部を加えて粘着剤組成物(溶液)を調製した。【0112】(粘着剤層の形成および架橋)セパレータ(表面が離型処理された厚み38μmのポリエチレンテレフタレート系フィルム)上に、上記の粘着剤組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去して、粘着剤層を得た。その後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行った。(以下、この粘着剤層を「粘着剤層A」と称する)【0113】<視認側粘着剤層(第二粘着剤層)の形成>(ベースポリマーの調製)ベースポリマーとして、ブチルアクリレート(BA)とメチルメタクリレート(MMA)のブロック共重合体(BA/MMA=2/1、重量平均分子量10万)が用いられた。(以下、このベースポリマーを「ポリマー1」と称する)【0114】(粘着剤組成物の調製)上記のポリマー1を80重量部、および可塑剤を20重量部、120重量部のトルエンに溶解して、粘着剤組成物(溶液)を調製した。可塑剤としては、重量分子量約3000のアクリルオリゴマー(東亜合成(株)製「ARUFON UP-1000」)が用いられた。【0115】(粘着剤層の形成)セパレータ上に、上記の粘着剤組成物溶液を、乾燥後の厚みが150μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去して、粘着剤層を得た。(以下、この粘着剤層を「粘着剤層B1」と称する)【0116】<両面粘着剤付き光学フィルムの作製>上記偏光板の一方の面にセル側粘着剤層として上記の粘着剤層Aを貼り合せた。その後、偏光板の他方の面に視認側粘着剤層として上記の粘着剤層B1を貼り合せた後、セパレータを剥離し、その上に粘着剤層B1を貼り合せて、粘着剤層B1が2層(合計厚み300μm)の粘着剤層とした。【0117】このようにして、偏光板(光学フィルム)の一方の面に、厚み20μmの粘着剤層、他方の面に、厚み300μmの粘着剤層が貼り合せられ、各粘着剤層上にセパレータが剥離可能に貼着された両面粘着剤付き光学フィルムを得た。【0118】<カッティング>上記の両面粘着剤付き光学フィルムを、48mm×98mmのサイズにトムソン刃で打ち抜いた。同一サイズに打ち抜かれた両面粘着剤付き光学フィルムを50枚積み重ね、その上下から万力状の治具にてフィルムを保持し、光学フィルムの端面から粘着剤層がはみ出るように加圧した。この状態で、光学フィルムの端面から0.5mm内側を、回転刃を用いて光学フィルムおよびセパレータと共に粘着剤層ごと切削した。その後、上記圧力を解放し、製品サイズにカットされた両面粘着剤付き偏光板を得た。【0119】<評価用疑似画像表示装置の作製>両面粘着剤付き偏光板の一方の面(粘着剤層A側)に平坦なガラス板(0.7mm×50mm×100mm)が貼り合せられ、他方の面(粘着剤層B側)には、黒色インク(厚み10μm)が周縁部に枠状に印刷されたガラス板(0.7mm×50mm×100mm、インク印刷幅:端部から10mm)が貼り合せられ、評価用疑似画像表示装置が作製された。【0120】まず、両面粘着剤付き偏光板の粘着剤層A側のセパレータを剥離した後、平坦なガラス板の一面に、粘着剤層がガラス面に接するように載置して貼り合せた。その後、粘着剤層B側の離型フィルムを剥離し、印刷されたガラス板の印刷面と粘着剤層が接するよう載置した後、真空熱圧着装置で熱圧着して貼り合せを行った(温度80℃、圧力0.1MPa、圧力保持時間5秒)。その後、オートクレーブ処理を行った(50℃、0.5MPa、30分)。・・・中略・・・【0124】<両面粘着剤付き光学フィルムの作製および評価用疑似画像表示装置の作製>上記ポリマー2を用いて、表1に示す組成の粘着剤組成物(溶液)が調製された。粘着剤層Bとして、表1に示す組成および厚みを有する粘着剤層が用いられたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着剤付き偏光板が作製された。なお、実施例4においては、粘着剤溶液をセパレータ上に塗布し、乾燥した後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行った。【0125】その後、実施例1と同様に、両面粘着剤付き光学フィルムのカッティングおよびガラス板との貼り合せが行われた。」
(オ)図1
「[図:0001402393000001.jpg]」
(カ)図3
「[図:0001402393000002.jpg]」
ウ 引用発明
上記イによれば、引用文献1には、【0024】、【0026】及び図1から理解される積層構造を有し、一方の面に画像表示セル60を備え、他方の面(視認側)に前面透明部材70を備える画像表示装置100(図3)の形成に用いられる(【0098】)、「両面粘着剤付き光学フィルム」が記載されている。
そして、図1及び図3の記載によれば、上記積層構造は、視認側から順に、第二保護シート32、第二粘着剤層22、光学フィルム10、第一粘着剤層21及び第一保護シート31からなり、上記光学フィルム10については【0026】に具体的な構造が、また、各粘着剤層及び各保護シートについては【0033】、【0039】及び【0040】に好ましい厚さ及びその厚さが奏する作用効果が記載されている。
さらに、引用文献1の【0102】には、上記「両面粘着剤付き光学フィルム」を用いて画像表示装置100を形成する際の一連の工程が記載されている。
以上によれば、引用文献1には、以下の「両面粘着剤付き光学フィルム」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「偏光板11を含む光学フィルム10の一方の面に液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60を備え、他方の面(視認側)にタッチパネルや前面透明板等の前面透明部材70を備える画像表示装置100の形成に用いられる両面粘着剤付き光学フィルムにおいて、両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルム10として偏光板11を備え、光学フィルム10の一方の面に第一粘着剤層21を備え、他方の面に第二粘着剤層22を備え、第一粘着剤層21上には、第一保護シート31が剥離可能に貼着されており、第二粘着剤層22上には、第二保護シート32が剥離可能に貼着されており、光学フィルム10を構成する偏光板11としては、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般的に用いられ、光学フィルム10の一方の面には、画像表示セル60との貼り合せに用いるための第一粘着剤層21が設けられ、第一粘着剤層21の厚さは10μm~25μmであり、第1粘着剤層の厚みが前記範囲であれば、耐久性に優れると共に、気泡の侵入等の不具合を抑制することができ、光学フィルム10の他方の面には、前面透明部材70との貼り合せに用いるための第二粘着剤層22が設けられ、第二粘着剤層22の厚さは30μm以上であり、第二粘着剤層22の厚みが前記範囲より小さいと、光学フィルムと前面透明部材との貼り合せの際に、気泡が混入し易くなる傾向があり、第二保護シート32の厚みは10~150μm程度であり、前記両面粘着剤付き光学フィルムは、第一粘着剤層21の表面から第一保護シート31が剥離された後、光学フィルム10と画像表示セル60とが第一粘着剤層を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、第二粘着剤層22の表面から第二保護シート32が剥離され、光学フィルム10と前面透明部材70とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われる、両面粘着剤付き光学フィルム。」
(当合議体注:上記認定では、「両面粘着剤付き光学フィルム」及び「両面粘着剤付き光学フィルム50」、「第二保護シート32」及び「保護シート32」並びに「偏光板11」及び「偏光板」は、いずれも用語を前者に統一した。)
エ 対比
本件補正後発明と引用発明とを対比する。
(ア)偏光フィルム
引用発明の「画像表示セル60」は、本件補正後発明の「画像表示装置」に相当する。
また、引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、「偏光板を含む光学フィルム10の一方の面に液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60を備え、他方の面(視認側)にタッチパネルや前面透明板等の前面透明部材70を備える画像表示装置100の形成に用いられる」。そして、上記「偏光板を含む光学フィルム10」が、「画像表示セル60」が「液晶セルや有機ELセル等」であることから、最も「視認側」に設けられることは明らかである。
したがって、引用発明の「偏光板を含む光学フィルム10」は、本件補正後発明において、「画像表示装置において最も視認側に設けられる」とされる、「偏光フィルム」に相当する。
(イ)粘着剤層A、粘着剤層B
引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルム10として偏光板11を備え、光学フィルム10の一方の面に第一粘着剤層21を備え、他方の面に第二粘着剤層22を備え」る。
また、引用発明の「偏光板を含む光学フィルム10の」上記「他方の面(視認側)」は、文字どおり、本件補正後発明の「視認側」であって、「液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル60を備え」る上記「一方の面」は、その反対側の面に該当する。
そうすると、引用発明の「第二粘着剤層22」は、本件補正後発明において、「偏光フィルムの視認側に配置される」とされる「粘着剤層A」に相当し、引用発明の「第一粘着剤層21」は、本件補正後発明において、「粘着剤層Aの反対側に配置される」とされる「粘着剤層B」に相当する。
さらに、引用発明の「第二粘着剤層22の厚さは30μm以上であ」り、「第一粘着剤層21の厚さは10μm~25μmであ」ることから、引用発明の「第二粘着剤層22」及び「第一粘着剤層21」は、それぞれ本件補正後発明の「粘着剤層Aの厚みは25μm以上であり」及び「粘着剤層Bの厚みは25μm以下であり」との要件を満たす。
(ウ)セパレータSA、セパレータSB、
引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルムは、」「光学フィルム10の一方の面に第一粘着剤層21を備え、他方の面に第二粘着剤層22を備え、第一粘着剤層21上には、第一保護シート31が剥離可能に貼着されており、第二粘着剤層22上には、第二保護シート32が剥離可能に貼着されて」いる。
上記構造及び上記イの対比結果によれば、引用発明の「第一保護シート31」及び「第二保護シート32」が、それぞれ本件補正後発明の「セパレータSB」及び「セパレータSA」に相当する。
(エ)両面粘着剤層付き偏光フィルム
上記(ア)~(ウ)によれば、引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、本件補正後発明において、「前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている」とされる「両面粘着剤層付偏光フィルム」に相当する。
オ 一致点及び相違点
上記エによれば、本件補正後発明と引用発明とは、
「画像表示装置において最も視認側に設けられる偏光フィルム並びに当該偏光フィルムの視認側に配置される粘着剤層Aおよび前記粘着剤層Aの反対側に配置される粘着剤層Bを有し、前記粘着剤層AにセパレータSA、前記粘着剤層BにセパレータSBを備えている両面粘着剤層付偏光フィルムであって、前記粘着剤層Aの厚みは25μm以上であり、前記粘着剤層Bの厚みは25μm以下である、両面粘着剤層付偏光フィルム。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
「偏光フィルム」が、本件補正後発明では、「15μm以下の偏光子」を有するのに対して、引用発明では、偏光子を有するものの、その厚さが特定されていない点。
(相違点2)
本件補正後発明では、「偏光フィルムは、」「偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有する片保護偏光フィルムであり、前記偏光子の側に粘着剤層Bが配置されて」いるのに対して、引用発明では、「光学フィルム10を構成する偏光板11としては、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般的に用いられ」ると特定されているにとどまる点。
(相違点3)
「セパレータSA」について、本件補正後発明では、「厚みが40μm以上であ」ると特定されているのに対して、引用発明では、「第二保護シート32の厚みは10~150μm程度であり」と特定されているにとどまる点。
(相違点4)
「セパレータSA」及び「セパレータSB」の各剥離力及び両者の剥離力の差について、本件補正後発明では、「セパレータSAの剥離力が0.1~1N/50mmであり、前記セパレータSBの剥離力が0.01~1N/50mmであり、前記セパレータSAの剥離力が、前記セパレータSBの剥離力より高く、前記セパレータSAの剥離力と前記セパレータSBの剥離力の差が0.01~2N/50mmである」と特定されているのに対して、引用発明では、「第二保護シート32」及び「第一保護シート31」のそれぞれの剥離力の値及び両者の剥離力の差が特定されていない点。
カ 判断
(ア)相違点1について
引用文献2(特開2012-247574号公報)の【0089】、引用文献3(特開2011-227450号公報)の【0032】及び引用文献7(特開2012-133308号公報)の【0046】等に例示されているように、偏光子として厚みが15μm以下のものは、本件出願時点において周知慣用技術であり、また、偏光子の薄型化を図ること自体は周知の課題であるから、引用発明の「偏光子」の厚みを15μm以下とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点2について
引用文献1の【0026】には、偏光子の片面に透明保護フィルムが貼り合せられた、本件補正後発明における「片保護偏光フィルム」の選択肢が明記されているところ、偏光子の片面にのみ透明保護フィルムが貼り合せられた、いわゆる、片保護偏光フィルムは、例えば、引用文献2の【0006】、引用文献3の【0098】、引用文献7の9頁24行~26行及び図3(「偏光板A2」)、引用文献8(特開2008-257025号公報)の【0052】及び図2及び引用文献9(特開2010-9027号公報)の【0005】等に記載されているように本件出願時点における周知技術である。
ここで、引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、「画像表示装置100の形成に用いられる」ものであるところ、当該画像形成装置の薄型化には、「偏光子」の薄型化(上記(ア))のみならず、「偏光板11を含む光学フィルム10」の薄型化も寄与することから、上記周知技術を心得た当業者であれば、引用発明の「偏光板11を含む光学フィルム10」として、上記周知の片保護偏光フィルムの採用を試みるといえる。
そして、その採用にあたって、当業者は、偏光子と透明保護フィルムのどちらの側を画像表示装置100側に配置するかを検討する必要があるところ、以下に示すとおり、偏光子の側を画像表示装置100側に配置して貼着することは当業者が容易に採用し選択し得ることである。
すなわち、引用文献2の【0002】及び【0011】には、「粘着剤層を有する粘着型偏光板」が、「偏光子の片側にのみ透明保護フィルムを有し、前記粘着剤層は、前記透明保護フィルムを有しない側の偏光子に設けられ」、前記粘着剤層を介して液晶セルに貼着されることが記載されている。また、引用文献7の【0041】及び図3には、「偏光子a」の片側にのみ「第一透明保護フィルムb1」を備える「偏光板A2」が、当該片側の反対側(「光学フィルム1」の「偏光子a」の側)に設けられた「粘着剤層2」を介して画像表示装置に配置されることが記載されている。
上記各記載によれば、粘着剤層を有する片保護偏光フィルムの配置方法として、偏光子の側を画像表示装置側に配置する、すなわち、当該偏光子の側に粘着剤層を配置することは、本件出願時点において周知技術であったと認められる。加えて、偏光子と透明保護フィルムのどちらの側を画像表示装置100側に配置するかは、いわば二者択一の選択である。
以上に照らせば、当業者が、引用発明において、偏光子の側を画像表示装置100側に配置する構成を採用することは容易である。
したがって、引用発明において、当業者が、引用文献2~3、7~9に記載された周知技術(片保護偏光フィルム)及び引用文献2及び引用文献7に記載された周知技術(片保護偏光フィルムの配置方法)を採用して、相違点2に係る本件補正後発明の構成とすることは容易なし得たことである。
(ウ)相違点3について
引用発明の「第二保護シート32の厚みは10~150μm程度であ」って、この範囲において厚みは任意であるところ、例えば、引用文献12(特開2004-10647号公報)の【0028】~【0030】(実施例1:厚み50μm及び60μm)、引用文献13(特開2012-184439号公報)の【0131】(実施例1:厚み50μm)、引用文献14(特開2007-9138号公報)の【0115】(実施例1:剥離ライナーの厚み80μm及び75μm)等の記載によれば、「40μm以上」はセパレータの厚みとしては一般的な厚みであると認められることに照らせば、引用発明の「第二保護シート32」として上記一般的な厚みのシートを採用することは、当業者が容易になし得たことである。
(エ)相違点4について
a ダブルセパレータタイプの両面粘着シートについての周知技術
本件出願前に公開された下記文献には、両面粘着シート(テープ)の両面の粘着剤層のそれぞれに剥離シート(セパレータ)が設けられた、いわゆる、ダブルセパレータタイプの両面粘着シート(テープ)について、次の記載がある。
(a)引用文献10(特開2010-24292号公報)
・「本発明の両面粘着シートは、一対の剥離シートの間に本発明の粘着剤の層が設けられたものである・・・中略・・・また、一方の剥離シートの粘着剤層に対する剥離力と他方の剥離シートの粘着剤層に対する剥離力とは、異なることが好ましい。これにより、一方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。」(【0022】)。
・「本発明の光学フィルターは、例えば以下のように製造することができる。まず、本発明の両面粘着シートの一方の剥離シート(剥離力の軽い方の剥離シート)を剥離し、粘着剤層の一方の面を露出させる。次いで露出した粘着剤層の一方の面を第1または第2の光学シートに貼着する。その後両面粘着シートの他方の剥離シート(剥離力の重い方の剥離シート)を剥離し、粘着剤層の他方の面を露出させる。次いで露出した粘着剤層の他方の面に第2または第1の光学シートに貼着することにより、第1の光学シートと第2の光学シートが貼合され、本発明の光学フィルターが得られる。」(【0028】)。
(b)引用文献11(特開2009-57426号公報)
「粘着層および粘着層の両側にそれぞれ積層された二つのセパレタータを有する粘着シートにおいては、二つのセパレータが順番に別々のタイミングで粘着層から剥がされるようになる。このため、粘着層から両方のセパレータが同時に剥がれてしまうこと(いわゆる、泣き別れ)を防止する必要があり、一般的には、粘着層と一方のセパレータとの粘着力が、粘着層と他方のセパレータとの粘着力よりも強くなっている。具体的には、剥離性の異なる二つのセパレータを粘着層にそれぞれ積層することにより、二つのセパレータに対する粘着層の粘着力に強弱を持たせている。」(【0012】)。
(c)引用文献13(特開2012-184439号公報)
・「本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプの両面粘着テープである場合、粘着体の一方の粘着面には剥離ライナーAが設けられ、他方の粘着面にも剥離ライナー(「剥離ライナーB」と称する場合がある)が設けられる。すなわち、両面粘着テープは、「剥離ライナーA/粘着体/剥離ライナーB」の構成を有する。」(【0022】)
・「また、本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプの両面粘着テープである場合、通常、剥離ライナーBの方が先に使用(貼付)される粘着面(「1面側」ともいう)に対して用いられ、剥離ライナーAの方が後に使用(貼付)される粘着面(「2面側」ともいう)に対して用いられる。従って、本発明の両面粘着テープにおいては、通常、剥離ライナーAは粘着体から剥離するのにより大きな力(剥離力)を要する「重剥離側」の剥離ライナーとして、剥離ライナーBはより小さな力(剥離力)で剥離が可能な「軽剥離側」の剥離ライナーとして使用される。」(【0023】)
・「本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプである場合、粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力と、粘着体に対する剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力との差(剥離力差)[(剥離ライナーAの剥離力)-(剥離ライナーBの剥離力)]は・・・中略・・・より好ましくは0.05~0.60N/50mmである。上記剥離力差が0.05N/50mm未満であると、剥離作業性が低下したり、泣き別れが起こる場合がある。一方、上記剥離力差が0.90N/50mmを超えると、剥離ライナーAの剥離力が大きすぎ、剥離ライナーAを剥がす際に不具合が生じる場合がある。本発明の両面粘着テープにおける剥離力差は上記の範囲を満足するため、例えば、剥離ライナーの選択剥離性に優れ、部材の貼り合わせ作業性が向上する。」(【0046】)。
上記(a)~(c)の記載事項を総合すると、以下の技術的事項は、本件出願時点における周知技術であったと認められる。
セパレータ/粘着剤層/セパレータの構造を有する、ダブルセパレータタイプの両面粘着シートにおいて、当該両面粘着シートを用いた貼り合わせ作業性を向上させるために、先に剥離する側のセパレータ(一方のセパレータ)の粘着剤層に対する剥離力を、後に剥離する側のセパレータ(他方のセパレータ)の前記粘着剤層に対する剥離力より小さく設計すること(以下「周知技術1」という。)。
(当合議体注:上記周知技術1の認定においては、「両面粘着シート」及び「両面粘着テープ」、「粘着剤層」及び「粘着体」並びに「剥離力」及び「粘着力」の用語をいずれも前者に統一した。また、「セパレータ」、「剥離ライナー」及び「剥離シート」を「セパレータ」に用語を統一した。)
b 引用発明への周知技術1の適用について
引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルムは、第一粘着剤層21の表面から第一保護シート31が剥離された後、光学フィルム10と画像表示セル60とが第一粘着剤層を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、第二粘着剤層22の表面から第二保護シート32が剥離され、光学フィルム10と前面透明部材70とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われる」ものである。
上記各貼合工程(使用方法)及び積層構造からみて、引用発明の「両面粘着剤付き光学フィルム」は、いわゆる、ダブルセパレータタイプの両面粘着シートに該当し、「第一保護シート31」が先に剥離する側のセパレータであり、「第二保護シート32」が後に剥離する側のセパレータに相当する。
したがって、上記周知技術1を熟知した当業者は、各貼合工程の作業性を向上させるために、引用発明の「第二保護シート32」の剥離力を「第一保護シート31」の剥離力より高く設計しようと動機づけられる。あるいは、貼合作業性の観点からみて、そのような設計は当然に採用すべき設計ともいえる。
そして、上記剥離力の具体的な値の設計にあたり、当業者が、まず参考にするのは、ダブルセパレータタイプの両面粘着シートにおいて、本件出願当時に通常採用されていた剥離力の範囲であると考えられるところ、当該通常採用されていた剥離力、ひいては、好ましい剥離力の差について、引用文献13(特開2012-184439号公報)及び引用文献14(特開2007-9138号公報)には、次の記載がある。
(a)引用文献13(特開2012-184439号公報)
・「本発明の両面粘着テープにおいて、粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力としては・・・中略・・・より好ましくは0.6N/50mm以下(例えば、0.03~0.6N/50mm)である。粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力が、1.0N/50mmを超える場合には、粘着体から剥離ライナーAを剥離する際に不具合が生じる場合がある。」(【0038】)。
・「剥離ライナー1~3」(剥離力:0.17~0.20N/50mm)(【0152】【表1】)。
・「本発明の両面粘着テープにおける、粘着体に対する剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力は・・・中略・・・より好ましくは0.05N/50mm以上(例えば、0.05~0.3N/50mm)である。」(【0045】)。
・「さらに、本発明の両面粘着テープがダブルセパレータタイプである場合、粘着体に対する剥離ライナーAの180°剥離試験における剥離力と、粘着体に対する剥離ライナーBの180°剥離試験における剥離力との差(剥離力差)[(剥離ライナーAの剥離力)-(剥離ライナーBの剥離力)]は・・・中略・・・より好ましくは0.05~0.60N/50mmである。上記剥離力差が0.05N/50mm未満であると、剥離作業性が低下したり、泣き別れが起こる場合がある。一方、上記剥離力差が0.90N/50mmを超えると、剥離ライナーAの剥離力が大きすぎ、剥離ライナーAを剥がす際に不具合が生じる場合がある。本発明の両面粘着テープにおける剥離力差は上記の範囲を満足するため、例えば、剥離ライナーの選択剥離性に優れ、部材の貼り合わせ作業性が向上する。」(【0046】)。
(b)引用文献14(特開2007-9138号公報)
「本発明の反射遮光性両面粘着テープ又はシートにおいて・・・中略・・・いずれの剥離ライナーに関する剥離力(温度:23℃、湿度:50%RH、剥離角度:180°、引張速度:300mm/min)も、2N/50mm以下(好ましくは1.5N/50mm以下、さらに好ましくは1N/50mm以下)であることが重要である。」(【0105】)。
上記(a)及び(b)の記載事項によれば、相違点4に係る「セパレータSAの剥離力が0.1~1N/50mmであり、前記セパレータSBの剥離力が0.01~1N/50mmであり」との要件に係る剥離力の数値範囲は、重剥離側のセパレータの剥離力及び軽剥離側のセパレータの剥離力の値として、本件出願当時において通常採用されていた範囲内のものといえる。
したがって、周知技術1を引用発明に適用するにあたり、「第一保護シート31」及び「第二保護シート32」の剥離力を上記通常採用されていた範囲内に設定した結果、当業者は、相違点4に係る本件補正後発明の「前記セパレータSAの剥離力が、前記セパレータSBの剥離力より高く、前記セパレータSAの剥離力と前記セパレータSBの剥離力の差が0.01~2N/50mmである」との構成に想到することとなる。
あるいは、相違点4に係る「セパレータSAの剥離力と前記セパレータSBの剥離力の差が0.01~2N/50mmである」との構成は、上記(a)の【0046】の知見を有する当業者が容易に想到し得たものである。
キ 請求人の主張について
(ア)令和4年8月23日提出の審判請求書において、請求人は、概略、次の点を主張する。
(主張1)後に剥離するセパレータの剥離力と、先に剥離するセパレータの剥離力との差について、引用文献12及び13は、同じ粘着剤層に対して、両側に設けられたセパレータの剥離力の差に係るから、本願発明のように、2つの粘着剤A、Bに対するセパレータSA、SBの剥離力の差が開示されているわけではない(引用文献12及び13に記載された剥離力の差を、引用発明の周知技術として適用することはできない)点(請求書7頁~9頁の「<<相違点6について>>」)。
(主張2)引用文献10及び11についても上記(ア)と同様である点(請求書9頁の「<<相違点7について>>」)
上記主張について検討する。
上記「カ(エ)」において、引用発明において当然に採用されるべき「剥離力の差」は、剥離力の差が所定の値以上でなければ、いわゆる、泣き別れ(引用文献11の【0012】(上記(エ))下線部)が発生して剥離作業制が低下することを抑制するために採用すべき構成であって、ダブルセパレータタイプの両面粘着シートが、粘着剤層が1つの両面粘着シート(基材レスタイプ)であるか、基材の両側に粘着剤層を備えた両面粘着シート(基材を有するタイプ)であるかを問わず必要とされる構成である。そして、上記泣き別れが発生するのは、剥離力の差が十分でないことに起因するという作用機序に照らせば、問題となる両面粘着シートが基材レスタイプであれば、粘着剤層と両側の剥離力が所定の差になるように設計すればよく、基材を有するタイプであれば、各セパレータとそれに隣接する粘着剤層の剥離力の差が当該所定の差になるように設計すればよいのであって、しかも、剥離力を調整する手段が、例えば、引用文献13の【0039】に記載されているように知られていることから、これらの手段を適宜採用して調整すれば足りることである。
したがって、基材レスタイプを開示した引用文献12及び13に記載された剥離力及びその差についての知見が、基材を有するタイプである引用発明に適用できないとする前提に誤りがあるから、上記主張1は採用の限りでない。
主張2についても、同様の理由により、採用の限りでない。
(イ)令和4年11月18日提出の上申書について
主張の内容は、実質的に、令和4年8月23日提出の審判請求書における上記主張1~2の主張と同じ内容である。
したがって、上記(ア)に示した理由と同様の理由により、採用の限りでない。
ク 小括
以上のとおり、本件補正後発明は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2、3、7~14に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)本件補正についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、令和4年8月23日にした手続補正は却下されたので、本件出願の請求項に係る発明のうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]「1(1)」に記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2014-115468号公報(引用文献1)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献1の記載及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2」[理由]「1(3)」のイ及びウに記載したとおりである。
4 対比及び判断
本願発明は、前記「第2」[理由]において検討した本件補正後発明から、前記「第2」[理由]1(3)で述べた限定を除いたものである。
そして、本願発明の構成を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正後発明が、前記「第2」[理由]1(3)に記載したとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうしてみると、本願発明も、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-013158