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特許拒絶査定不服審判

2022-013092

情報処理システム

審判番号
2022-013092
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-215016外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年08月22日
審決日
2023年02月14日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WY (G06F) / P18 .1 -WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-215016「情報処理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月 4日出願公開、特開2020- 86541、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成30年11月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 6月21日付け:拒絶理由通知書
令和3年 7月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月15日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和4年 2月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 6月 8日付け:令和4年2月1日の手続補正についての

補正の却下の決定、拒絶査定

令和4年 8月22日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年6月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 理由1(明確性)

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1において、「前記自由入力を受け付けたテキスト情報に基づいて,あらかじめ定められた情報種別ごとにその内容を標準化された形式とした構造化情報とする構造化処理部」とあるが、テキスト情報に対していかなる処理を行うのかが明確でない。また、標準化についてもその定義が明確でなく、いかなる構成を用いて、いかなる対象にどのような処理を行うことを標準化と称するのかが不明である。よって表示処理部の構成は明確でない。

同様の記載を有する請求項6、請求項1を引用する請求項2-5に対しても同様の指摘ができる。

2 理由2(発明該当性)

この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

請求項1-6に記載されたものは、コンピュータを用いた情報処理の手順であると解釈できる。そして、各請求項で記載された処理内容は、テキストを処理して処理結果を表示するという、いわゆるテキスト処理であり、機器等に対する制御を具体的に行う、あるいは、対象の物理的性質等に基づく情報処理を具体的に行うものではない。

また、各請求項に記載された処理内容は、上記理由1で指摘したように具体的な処理内容が明確でない部分があり、全体として、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとは認められない。

よって、請求項1-6に記載されたものは、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められず、特許法における「発明」に該当しない。

(上記判断については、特許庁が公表する、「特許・実用新案審査基準」第III部第1章、及び、「特許・実用新案審査ハンドブック」付属書B第1章2.1節の説明も参考にされたい。なお、令和3年7月9日提出の意見書の主張について、自然言語解析処理の技術が高くなくても適切に構造化させやすくする、という技術的意義に照らすと、どうして本願発明が、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作に該当する、といえるのか不明である。引用される判例は、技術的意義に照らして判断すべきとしているだけであり、技術的意義を有する発明が直ちに、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作に該当するものであるとしているわけではないと解されるので留意されたい。)

また、令和4年2月1日提出の意見書において、「いわゆるテキスト処理であっても,特許法上の発明に該当することは明らか」である旨主張しているが、拒絶理由通知の指摘は、請求項1-6に記載されたものがいわゆるテキスト処理であることのみを理由に、「発明」に該当しないとしているのではなく、請求項1-6に記載されたテキスト処理が、機器等に対する制御を具体的に行う、あるいは、対象の物理的性質等に基づく情報処理を具体的に行うものでないことに加えて、請求項1-6の記載では、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されていないために、「発明」に該当しないことをいうものである。この考え方については、拒絶理由通知でも示した、「特許・実用新案審査ハンドブック」付属書B第1章2.1節、特に2.1.1節の図に示されているので確認されたい。

さらに、同意見書の「3 特許法第36条第6項第2号および特許法第29条第1項柱書の拒絶理由について」、「(2)特許法第29条第1項柱書について」、「イ 本願発明は,特許法上の発明に該当すること」の(ウ),(エ)の記載も検討したが、(ウ)で主張される本願の技術的課題及び技術的構成については一応理解できるものの、そこから、(エ)の「本願発明は,その前提とする技術的課題,その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らせば,全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作にあたると思料致します。」との主張につながる部分が根拠不明(拒絶理由通知で示したように、引用される判例は、技術的意義に照らして判断すべきとしているだけであり、技術的意義を有する発明が直ちに、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作に該当するものであるとしているわけではない)であり、採用することができない。

3 理由3(進歩性)

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2017-142653号公報

2.特開2004-86307号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年8月22日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
演算装置と表示装置とを備えたコンピュータで機能する情報処理システムであって,
前記演算装置は,
電子カルテの自由入力欄にテキスト情報の自由入力を受け付けるテキスト情報入力受付処理部と,
続きを表示(全13行)
前記自由入力を受け付けたテキスト情報から自然言語解析処理を用いて抽出したテキスト情報に基づいて,あらかじめ定められた情報種別ごとにテーブル形式の構造化情報とする構造化処理部と,
前記テキスト情報と前記構造化情報とを前記表示装置に表示させる表示処理部と,を有しており,
前記構造化処理部は,
前記自由入力を受け付けたテキスト情報からあらかじめ定めた情報種別を検出することで切り出したテキスト情報について,その情報種別に対応する対象情報を,係り受け解析,文脈解析,またはニューラルネットワークを用いた学習モデルによる機械学習のいずれか一以上の前記自然言語解析処理を用いて抽出し,前記抽出した対象情報をテーブル形式で格納して構造化情報とし,
前記表示処理部は,
前記テキスト情報を前記表示装置における第1の表示領域に表示させ,
前記構造化情報を前記表示装置における第2の表示領域に表示させ,
前記第1の表示領域へのテキスト情報の入力に応じて,前記第2の表示領域に前記構造化情報を表示させる,
ことを特徴とする情報処理システム。」

また、本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。

さらに、本願発明6は、本願発明1に対応する「情報処理プログラム」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献、引用発明

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【0004】
しかしながら、上記従来技術のようなシステムは、文章を作成する作成者(文章発信者)のためにあるというよりは、むしろ、作成された文章を閲覧して知識を得ようとする文章受信者のためのものである。このため、これを文章作成者が用いた場合には、次のような問題が生じる。
【0005】
すなわち、上記のような従来技術では、記事などの文章の作成とは別に、関連語の収集を行わねばならず、作成者の文章作成の流れが中断してしまうおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決して、文章作成者にとって文章作成の流れをできるだけ中断させずに、重要語や関連語を提示して、文章作成のアシストを行うことのできるリアルタイム・ライティング支援装置を提供することを目的とする。」
「【0041】
1.リアルタイム・ライティング支援装置の機能ブロック図
この発明の一実施形態によるリアルタイム・ライティング支援装置の機能ブロック図を示す。この実施形態では、リアルタイム・ライティング支援装置をサーバ装置Sとして構築している。
【0042】
端末装置Tには、記事入力領域20、重要語表示領域22、関連語表示領域24が設けられている。ユーザが端末装置Tを操作して、記事入力領域20に記事を作成しながら入力しているとする。
【0043】
入力された記事は、順次、リアルタイムにてサーバ装置Sに送信される。サーバ装置Sの入力記事取得手段2は、送信されてきた記事を取得する。重要語抽出手段4は、取得した記事からリアルタイムに重要語を抽出する。重要語表示手段6は、抽出された重要語を端末装置Tの重要語表示領域22において表示する。」
「【0046】
2.サーバ装置Sのハードウェア構成
図2に、サーバ装置Sのハードウエア構成を示す。CPU30には、メモリ32、ディスプレイ34、ハードディスク38、DVD-ROMドライブ40、通信回路42、キーボード/マウス43が接続されている。通信回路42は、インターネットなどに接続するためのものである。
【0047】
ハードディスク38には、オペレーティングシステム44、サーバプログラム46が記録されている。サーバプログラム46は、オペレーティングシステム44と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM48に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ40を介して、ハードディスク38にインストールしたものである。
【0048】
端末装置Tのハードウエア構成も同様である。ただし、ハードディスク38には、サーバプログラム46に代えて、ブラウザプログラムが記録されている。」
「【0049】
3.リアルタイム・ライティング支援処理
図3、図4に、端末装置Tのブラウザプログラム、サーバ装置Sのサーバプログラムのフローチャートを示す。
【0050】
続きを表示(全11行)
ユーザの操作に応じ、端末装置TのCPU50(以下、端末装置Tと省略することがある)は、サーバ装置Sにアクセスし支援画面を要求する(ステップS1)。これを受けて、サーバ装置SのCPU30(以下、サーバ装置Sと省略することがある)は、支援画面を送信する(ステップS11)。端末装置Tは、受信した支援画面をディスプレイ54に表示する(ステップS2)。
【0051】
図5に、支援画面の例を示す。作成中の記事を入力するための記事入力領域80、重要語を表示するための重要語表示領域82、関連記事を表示するための関連記事表示領域84を備えている。
【0052】
ユーザが、記事入力領域80に記事を入力すると、端末装置Tは、入力された記事をサーバ装置に送信する(ステップS3)。この送信処理は、記事が入力されるごとにリアルタイムに行われる。サーバ装置Sは、送信されてきた記事を受信する(ステップS12)。
【0053】
サーバ装置Sは、受信した記事について形態素解析を行う(ステップS13)。なお、すでに形態素解析を行っている部分はそれを利用し、今回新たに入力された部分についてのみ形態素解析を行えばよい。続いて、サーバ装置Sは、抽出した形態素のうち名詞について、その重要度をそれぞれ算出する(ステップS14)。」
「【0059】
以上のようにして各名詞について重要度を算出すると、次に、重要度の高い順に所定個数の重要語を抽出する(ステップS15)。この実施形態では、入力された記事中の名詞の数に応じて抽出する重要語の数を変えるようにしている。名詞の数が50個以上となれば20個の重要語を選ぶようにしている。それ以下の名詞数の場合には、名詞数が少なくなるにつれて抽出する重要語の数も少なくするようにしている。」
「【0061】
次に、サーバ装置Sは、上記のようにして抽出した重要語を重要語表示領域82に示し、関連記事へのリンクを関連記事表示領域84に示した支援画面を生成し、端末装置Tに送信する(ステップS17)。端末装置Tは、これを受けて、重要語および関連記事へのリンクが追加されて更新された支援画面を表示する(ステップS4)。」
「【0062】
図6に、端末装置Tにおいて表示された支援画面を示す。図6においては、記事入力領域80に「もののインターネットと呼ばれるIoTが」という記事が途中まで入力されている。上記の重要語抽出処理により、「インターネット」「もの」「IoT」が重要語として抽出され、重要語表示領域82に表示されている。この実施形態では、重要度の高いものほど大きく表示するようにしている。また、関連記事表示領域84に、関連記事へのリンクが表示されている。
【0063】
この状態にて端末装置Tにおいて、重要語がクリックされるなどの特別な処理がなされなければ、端末装置Tは、ステップS3以下の処理を繰り返す。ユーザによって、さらに記事の入力が進むと、これに応じて、リアルタイムに上記の重要語抽出処理、関連記事抽出処理がなされ、重要語表示領域82に重要語が表示され、関連記事表示領域84に関連記事へのリンクが表示される。
【0064】
入力が進んだ状態における支援画面を図7に示す。記事入力領域80に「もののインターネットと呼ばれるIoTが進んでいる。単に、ものがインターネットに繋がったというだけではない影響が産業界を襲っている。その」という入力途中の記事が表示されている。これに対応して、重要語表示領域82には、抽出された重要語「産業界」「インターネット」「影響」「もの」「IoT」が表示されている。
【0065】
このように、記事入力領域80に記事が入力されると、これにつれて、リアルタイムに重要語が再抽出されて表示される。したがって、常に、入力された記事に対応して、重要語が抽出されて表示されることになる。」

【図1】「

[図:0001395113000001.jpg]

」

【図2】「

[図:0001395113000002.jpg]

」

【図3】「

[図:0001395113000003.jpg]

」

【図4】「

[図:0001395113000004.jpg]

」

【図5】「

[図:0001395113000005.jpg]

」

【図6】「

[図:0001395113000006.jpg]

」

【図7】「

[図:0001395113000007.jpg]

」

したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「端末装置Tには、記事入力領域20、重要語表示領域22が設けられ、
ユーザが端末装置Tを操作して、記事入力領域20に記事を作成しながら入力しているとし、
入力された記事は、順次、リアルタイムにてサーバ装置Sに送信され、
サーバ装置Sの入力記事取得手段2は、送信されてきた記事を取得し、
続きを表示(全20行)
重要語抽出手段4は、取得した記事からリアルタイムに重要語を抽出し、
重要語表示手段6は、抽出された重要語を端末装置Tの重要語表示領域22において表示し、
ユーザの操作に応じ、端末装置TのCPU50(以下、端末装置Tと省略することがある)は、サーバ装置Sにアクセスし支援画面を要求し、
これを受けて、サーバ装置SのCPU30(以下、サーバ装置Sと省略することがある)は、支援画面を送信し、
端末装置Tは、受信した支援画面をディスプレイ54に表示し、
支援画面は、作成中の記事を入力するための記事入力領域80、重要語を表示するための重要語表示領域82を備えており、
ユーザが、記事入力領域80に記事を入力すると、端末装置Tは、入力された記事をサーバ装置に送信し、この送信処理は、記事が入力されるごとにリアルタイムに行われ、
サーバ装置Sは、送信されてきた記事を受信し、
サーバ装置Sは、受信した記事について形態素解析を行い、
サーバ装置Sは、抽出した形態素のうち名詞について、その重要度をそれぞれ算出し、
各名詞について重要度を算出すると、次に、重要度の高い順に所定個数の重要語を抽出し、
サーバ装置Sは、上記のようにして抽出した重要語を重要語表示領域82に示した支援画面を生成し、端末装置Tに送信し、
端末装置Tは、これを受けて、重要語が追加されて更新された支援画面を表示し、
端末装置Tにおいて表示された支援画面では、記事入力領域80に「もののインターネットと呼ばれるIoTが」という記事が途中まで入力され、上記の重要語抽出処理により、「インターネット」「もの」「IoT」が重要語として抽出され、重要語表示領域82に表示され、
入力が進んだ状態における支援画面では、記事入力領域80に「もののインターネットと呼ばれるIoTが進んでいる。単に、ものがインターネットに繋がったというだけではない影響が産業界を襲っている。その」という入力途中の記事が表示され、これに対応して、重要語表示領域82には、抽出された重要語「産業界」「インターネット」「影響」「もの」「IoT」が表示されている、
サーバ装置S及び端末装置T。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0028】
図8は文書解析処理の例を示す図である。図8では、文書Aの内容の「米国では大統領選挙の開票を行なった。」という解析文からキーワード抽出を行なう処理について説明する。上記解析文に対して形態素解析を実行し形態素の単位に分割することができる。即ち、図8の単語切り出し結果で表される形態素の単位に分割することができる。情報処理装置のCPU2は、この形態素の中から、キーワードとなりうる単語を抽出する。キーワードを抽出する方法は、自立語をキーワードとして抽出するとか、品詞によって判定するなど種々の抽出方法があるが、第1の実施の形態では自立語をキーワードとして抽出するものとする。その結果、図8の抽出キーワードにある形態素がキーワードとして抽出される。
【0029】
ステップS104では、情報処理装置のCPU2は、抽出した検索キーワードの標準表記(単語群に含まれる単語の中から代表する単語の表記)を取得して標準単語として登録する。標準表記取得処理の詳細は図6のキーワードの標準化処理を用いて後述する。
【0030】
図9は標準表記データを一覧表とした例を示す図である。多くの単語の場合、活用形や異表記(ひらがな、カタカナ、漢字の違い)、表記のゆれ(送り仮名の違い)、同義語、類義語など、同じ意味を表すために複数の語が存在する。標準表記データは、これらの語を一定の基準で一つの標準的な表記とするためのデータである。例えば図9によると、「アメリカ」、「米国」、「USA」、「合衆国」、「亜米利加」、「AMERICA」等は全て「アメリカ」という標準表記で表現することができる。また、動詞、形容詞などは、未然、連用、終止、連体、仮定、命令等の活用があるが、それらはすべて終止形として表現する。図9の例では「行なう」と「おこなう」は異表記、「アメリカ」と「亜米利加」は異体字、「大統領」と「プレジデント」は同義語であり、図9では不図示であるが「来日」と「日本訪問」は類義語である。
【0031】
図6は標準表記取得処理を示すフローチャートである。ステップS301では、検索者は上記図4のステップS103で抽出したキーワードを情報処理装置の入力装置1から入力する。従って、第1の実施の形態の文では「米国」「大統領」「選挙」「開票」「行っ」が対象のキーワードとなる。ステップS302では、情報処理装置のCPU2は、それぞれの基となるキーワードで標準表記データを検索する。ステップS303では、情報処理装置のCPU2は、記憶装置4に格納されている標準表記データを取得する。検索結果がない(標準表記がない)単語については、単語そのものを標準表記として、標準表記データを取得する。
【0032】
図10は上記図9の標準表記データを参照して入力表記から標準表記を取得する例を示す図である。その結果、標準表記として「アメリカ」「大統領」「選挙」「開票」「行なう」を取得することができる。」

【図6】「

[図:0001395113000008.jpg]

」

【図8】「

[図:0001395113000009.jpg]

」

【図9】「

[図:0001395113000010.jpg]

」

【図10】「

[図:0001395113000011.jpg]

」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「CPU30」及び「CPU50」は、本願発明1の「演算装置」に相当する。また、引用発明の「ディスプレイ54」は、本願発明1の「表示装置」に相当する。さらに、引用発明の「サーバ装置S及び端末装置T」は、コンピュータで機能する情報処理システムであることは明らかであるから、本願発明1の「コンピュータで機能する」「情報処理システム」に相当する。加えて、引用発明の「サーバ装置S及び端末装置T」は、「CPU30」、「CPU50」及び「ディスプレイ54」を備えている。

したがって、引用発明の「サーバ装置S及び端末装置T」は、本願発明1の「演算装置と表示装置とを備えたコンピュータで機能する情報処理システム」に相当する。

イ 引用発明において、「記事入力領域80に『もののインターネットと呼ばれるIoTが進んでいる。単に、ものがインターネットに繋がったというだけではない影響が産業界を襲っている。その』という入力途中の記事が表示され」ていることから、記事入力領域80は、テキスト情報の自由入力がなされる欄であるといえる。したがって、引用発明の「記事」及び「記事入力領域80」は、それぞれ、本願発明1の「テキスト情報」及び「自由入力欄」に相当する。

また、引用発明において、「ユーザが端末装置Tを操作して、記事入力領域20に記事を作成しながら入力しているとし」、「入力された記事は、順次、リアルタイムにてサーバ装置Sに送信され」、「サーバ装置Sの入力記事取得手段2は、送信されてきた記事を取得」することから、「入力記事取得手段2」は、記事入力領域20に記事の入力を受け付ける処理部であるといえる。ここで、引用発明の「記事入力領域20」も、「記事入力領域80」同様に、テキスト情報の自由入力がなされる欄であるといえるから、本願発明1の「自由入力欄」に相当する。したがって、引用発明の「入力記事取得手段2」は、本願発明1の「自由入力欄にテキスト情報の自由入力を受け付ける」「テキスト情報入力受付処理部」に相当するといえる。

さらに、計算機分野の技術常識に照らすと、引用発明の「サーバS」において、「CPU30」が「入力記事取得手段2」を有しているといえる。

よって、上記アを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記演算装置は」、「電子カルテの自由入力欄にテキスト情報の自由入力を受け付けるテキスト情報入力受付処理部」を有している構成と、「前記演算装置は」、「自由入力欄にテキスト情報の自由入力を受け付けるテキスト情報入力受付処理部」を有している点で共通するといえる。

ウ 引用発明の「形態素解析」は、言語処理分野の技術常識に照らすと、本願発明1の「自然言語解析処理」に相当する。また、引用発明において、「重要語抽出手段4は、取得した記事からリアルタイムに重要語を抽出し」、「ユーザが、記事入力領域80に記事を入力すると、端末装置Tは、入力された記事をサーバ装置に送信し」、「サーバ装置Sは、送信されてきた記事を受信し」、「サーバ装置Sは、受信した記事について形態素解析を行い」、「サーバ装置Sは、抽出した形態素のうち名詞について、その重要度をそれぞれ算出し」、「各名詞について重要度を算出すると、次に、重要度の高い順に所定個数の重要語を抽出」することから、上記イを踏まえると、引用発明の「重要語抽出手段4」は、自由入力を受け付けたテキスト情報から形態素解析を用いて抽出したテキスト情報に基づいて、重要語を抽出するという処理を行う処理部であるといえる。さらに、引用発明の「重要語」は、「記事」から抽出された情報であるから、本願発明1の「前記自由入力を受け付けたテキスト情報からあらかじめ定めた情報種別を検出することで切り出したテキスト情報について、その情報種別に対応する対象情報を、係り受け解析、文脈解析、またはニューラルネットワークを用いた学習モデルによる機械学習のいずれか一以上の前記自然言語解析処理を用いて抽出し、前記抽出した対象情報をテーブル形式で格納する」「構造化情報」と、「抽出された情報」である点で共通するといえる。加えて、計算機分野の技術常識に照らすと、引用発明の「サーバS」において、「CPU30」が「重要語抽出手段4」を有しているといえる。

したがって、上記アを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記演算装置は」、「前記自由入力を受け付けたテキスト情報から自然言語解析処理を用いて抽出したテキスト情報に基づいて、あらかじめ定められた情報種別ごとにテーブル形式の構造化情報とする構造化処理部」を有している構成と、「前記演算装置は」、「前記自由入力を受け付けたテキスト情報から自然言語解析処理を用いて抽出したテキスト情報に基づいて、抽出された情報とする処理部」とを有している点で共通するといえる。

エ 引用発明において、「端末装置Tには、記事入力領域20、重要語表示領域22が設けられ」、「ユーザが端末装置Tを操作して、記事入力領域20に記事を作成しながら入力しているとし」、「入力された記事は、順次、リアルタイムにてサーバ装置Sに送信され」、「重要語表示手段6は、抽出された重要語を端末装置Tの重要語表示領域22において表示し」、「端末装置Tは、受信した支援画面をディスプレイ54に表示し」、「支援画面は、作成中の記事を入力するための記事入力領域80、重要語を表示するための重要語表示領域82を備えており」、「サーバ装置Sは、上記のようにして抽出した重要語を重要語表示領域82に示した支援画面を生成し、端末装置Tに送信し」、「端末装置Tは、これを受けて、重要語が追加されて更新された支援画面を表示し」、「記事入力領域80に『もののインターネットと呼ばれるIoTが進んでいる。単に、ものがインターネットに繋がったというだけではない影響が産業界を襲っている。その』という入力途中の記事が表示され、これに対応して、重要語表示領域82には、抽出された重要語『産業界』『インターネット』『影響』『もの』『IoT』が表示されている」ことから、上記イを踏まえると、端末装置Tにおいて、「記事」及び「重要語」を「ディスプレイ54」に表示させる表示処理部に相当する構成を有していることは明らかであり、その場合、引用発明の「端末装置T」において、「CPU50」が表示処理部に相当する構成を有していることもいえる。

したがって、上記ア-ウを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記演算装置は」、「前記テキスト情報と前記構造化情報とを前記表示装置に表示させる表示処理部」を有している構成と、「前記演算装置は」、「前記テキスト情報と抽出された情報とを前記表示装置に表示させる表示処理部」とを有している点で共通するといえる。

オ 引用発明の「記事入力領域80」及び「重要語表示領域82」は、それぞれ、本願発明1の「第1の表示領域」及び「第2の表示領域」に相当する。また、引用発明において、「端末装置Tは、受信した支援画面をディスプレイ54に表示し」、「端末装置Tにおいて表示された支援画面では、記事入力領域80に『もののインターネットと呼ばれるIoTが』という記事が途中まで入力され、上記の重要語抽出処理により、『インターネット』『もの』『IoT』が重要語として抽出され、重要語表示領域82に表示され」、「入力が進んだ状態における支援画面では、記事入力領域80に『もののインターネットと呼ばれるIoTが進んでいる。単に、ものがインターネットに繋がったというだけではない影響が産業界を襲っている。その』という入力途中の記事が表示され、これに対応して、重要語表示領域82には、抽出された重要語『産業界』『インターネット』『影響』『もの』『IoT』が表示されている」から、「記事」を「ディスプレイ54」における「記事入力領域80」に表示させ、「重要語」を「ディスプレイ54」における「重要語表示領域82」に表示させ、「記事入力領域80」への「記事」の入力に応じて、「重要語表示領域82」に「重要語」を表示させているといえる。

したがって、上記ア-エを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記表示処理部は、前記テキスト情報を前記表示装置における第1の表示領域に表示させ、前記構造化情報を前記表示装置における第2の表示領域に表示させ、前記第1の表示領域へのテキスト情報の入力に応じて、前記第2の表示領域に前記構造化情報を表示させる」構成と、「前記表示処理部は、前記テキスト情報を前記表示装置における第1の表示領域に表示させ、抽出された情報を前記表示装置における第2の表示領域に表示させ、前記第1の表示領域へのテキスト情報の入力に応じて、前記第2の表示領域に抽出された情報を表示させる」点で共通するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「演算装置と表示装置とを備えたコンピュータで機能する情報処理システムであって、
前記演算装置は、
自由入力欄にテキスト情報の自由入力を受け付けるテキスト情報入力受付処理部と、
前記自由入力を受け付けたテキスト情報から自然言語解析処理を用いて抽出したテキスト情報に基づいて、抽出された情報とする処理部と、
前記テキスト情報と抽出された情報とを前記表示装置に表示させる表示処理部と、を有しており、
前記表示処理部は、
前記テキスト情報を前記表示装置における第1の表示領域に表示させ、
抽出された情報を前記表示装置における第2の表示領域に表示させ、
前記第1の表示領域へのテキスト情報の入力に応じて、前記第2の表示領域に抽出された情報を表示させる、
ことを特徴とする情報処理システム。」

(相違点1)

自由入力欄において、本願発明1では、「電子カルテ」であるのに対し、引用発明では、「記事」である点。

(相違点2)

本願発明1では、「前記自由入力を受け付けたテキスト情報から自然言語解析処理を用いて抽出したテキスト情報に基づいて、あらかじめ定められた情報種別ごとにテーブル形式の構造化情報とする構造化処理部」であるのに対し、引用発明では、「あらかじめ定められた情報種別ごとにテーブル形式の構造化情報とする」構成について特定されていない点。

(相違点3)

「テキスト情報」とともに表示装置に表示させる情報において、本願発明1では、「構造化情報」であるのに対し、引用発明では、「重要語」である点。

(相違点4)

本願発明1では、「前記構造化処理部は、前記自由入力を受け付けたテキスト情報からあらかじめ定めた情報種別を検出することで切り出したテキスト情報について、その情報種別に対応する対象情報を、係り受け解析、文脈解析、またはニューラルネットワークを用いた学習モデルによる機械学習のいずれか一以上の前記自然言語解析処理を用いて抽出し、前記抽出した対象情報をテーブル形式で格納して構造化情報と」するのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(相違点5)

表示装置における第2の表示領域に表示させる情報において、本願発明1では、「構造化情報」であるのに対し、引用発明では、「重要語」である点。

(相違点6)

前記第1の表示領域へのテキスト情報の入力に応じて、前記第2の表示領域に表示させる情報において、本願発明1では、「構造化情報」であるのに対し、引用発明では、「重要語」である点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑みて、上記相違点6について先に検討する。

引用文献2には、上記相違点6に係る本願発明1の構成について記載も示唆もなく、また、このような構成が本願の出願前において周知技術であったともいえない。そして、本願発明1は、上記相違点6に係る構成により、「自由入力可能なテキスト入力を行う者は、テキスト情報を入力する際に、その構造化がどのように行われているのかを認識しながら行うこととなり、そのため、テキスト情報の構造化の意識づけが行われるので、自動的にテキスト情報の入力をする場合に、構造化を意識した入力を心がけるようになり、その結果、自由入力されたテキスト情報自体が、構造化に適した入力となり、構造化の精度を向上させることができる」(本願明細書【0037】参照。)という格別の効果を奏するものであるから、このような構成とすることが単なる設計的事項であるとはいえない。

したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、上記相違点6に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。

よって、上記相違点1-5について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2-5について

本願発明2-5は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明6について

本願発明6は、上記相違点6に係る本願発明1の構成に対応する構成を実質的に備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定の理由1-2についての判断

1 理由1(明確性)について

令和4年8月22日付けの手続補正において、「前記構造化処理部は,前記自由入力を受け付けたテキスト情報からあらかじめ定めた情報種別を検出することで切り出したテキスト情報について,その情報種別に対応する対象情報を,係り受け解析,文脈解析,またはニューラルネットワークを用いた学習モデルによる機械学習のいずれか一以上の前記自然言語解析処理を用いて抽出し,前記抽出した対象情報をテーブル形式で格納して構造化情報とし」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(発明該当性)について

令和4年8月22日付けの手続補正において、「前記構造化処理部は,前記自由入力を受け付けたテキスト情報からあらかじめ定めた情報種別を検出することで切り出したテキスト情報について,その情報種別に対応する対象情報を,係り受け解析,文脈解析,またはニューラルネットワークを用いた学習モデルによる機械学習のいずれか一以上の前記自然言語解析処理を用いて抽出し,前記抽出した対象情報をテーブル形式で格納して構造化情報とし」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-013092

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