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特許拒絶査定不服審判

2022-010788

機器

審判番号
2022-010788
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-560726外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月11日
審決日
2023年03月28日
公報発行日
2023年05月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-560726「機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月25日国際公開、WO2020/129214、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 19項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2018年(平成30年)12月20日を国際出願日とする出願であって、令和3年12月2日付けで拒絶理由が通知され、令和4年2月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和4年4月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和4年7月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和4年4月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2(進歩性) 本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、本願請求項7-10に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.米国特許出願公開第2016/0081215号明細書

2.特開2006-253531号公報

3.特開平7-162167号公報

4.実願昭63-65796号(実開平01-169682号)のマイクロフィルム

5.国際公開第2016/038933号

第3 本願発明

本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、令和4年7月11日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1-2は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
長尺であり短手方向における両端部それぞれに係止片が設けられたレールに取着される機器であって、
前記レールが前記レールの長手方向が予め設定された第1方向に沿うように配置されるレール配置部と、前記レールが前記レール配置部に配置された状態で前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止爪と、を有する筐体と、
前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記レールの短手方向における他端部に設けられた係止片を係止する係止位置と、前記他端部に設けられた係止片の係止を解除する解除位置と、をとりうる係止部材と、
続きを表示(全12行)
前記係止部材を前記解除位置へ移動させる際にユーザにより押下される押下部が前記筐体の外側へ露出した状態で前記筐体に設けられた解除釦と、
前記押下部が押下されることにより前記解除釦が予め設定された待機位置から前記待機位置よりも前記筐体の内側に位置する押下時位置へ移動するのに伴い、前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ移動させる伝達ユニットと、を備え、
前記係止部材は、
本体部と、
前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止部と、を有し、
前記係止部は、
前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記係止片に当接する第1平坦面部分と、前記係止部における前記第1平坦面部分よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜した第1傾斜面部分と、前記第1平坦面部分と平行であり前記係止部の前記係止片の厚さ方向における前記第1平坦面部分の側とは反対側に形成された第2平坦面部分と、前記係止部の前記係止片の厚さ方向における前記第1傾斜面部分の側とは反対側に形成され、前記係止部における前記第2平坦面部分よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜し前記第1傾斜面部分と平行な第2傾斜面部分と、を有する、
機器。」
「 【請求項2】
長尺であり短手方向における両端部それぞれに係止片が設けられたレールに取着される機器であって、
前記レールが前記レールの長手方向が予め設定された第1方向に沿うように配置されるレール配置部と、前記レールが前記レール配置部に配置された状態で前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止爪と、を有する筐体と、
前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記レールの短手方向における他端部に設けられた係止片を係止する係止位置と、前記他端部に設けられた係止片の係止を解除する解除位置と、をとりうる係止部材と、
続きを表示(全12行)
前記係止部材を前記解除位置へ移動させる際にユーザにより押下される押下部が前記筐体の外側へ露出した状態で前記筐体に設けられた解除釦と、
前記押下部が押下されることにより前記解除釦が予め設定された待機位置から前記待機位置よりも前記筐体の内側に位置する押下時位置へ移動するのに伴い、前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ移動させる伝達ユニットと、を備え、
前記係止部材は、
本体部と、
前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止部と、を有し、
前記係止部は、
前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合において、前記本体部から前記係止片と平行に延出する平板状の第1延出部と、前記第1延出部の先端部から前記第1延出部の延出方向と交差する方向へ延出する平板状の第2延出部と、を有する、
機器。」

なお、本願発明3-10は、本願発明1又は2を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1及び引用発明

(1) 引用文献1

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア [図3]-[図4]

「
[図:0001397022000001.jpg]
[図:0001397022000002.jpg]
」

イ 段落[0031]-[0035]

「[0031]
In one embodiment, the base 16 includes a back wall 20 and a contiguous peripheral outer wall 22 that extends from the back wall 20. Similarly, the cover 18 includes a front wall 24 and a contiguous peripheral outer wall 26 that extends from the front wall. The outer wall 22 of the base 16 and the outer wall 26 of the cover 18 engage one another at peripheral edges when assembled to create a unified structure or body. As shown in FIG. 2, the front wall 24 of the cover 18 of the mounting bracket 12 includes a raised portion 28 having a display panel 30, which displays relevant information about the electronic components (e.g., PCBAs) housed within the mounting enclosure assembly 10. As shown in FIG. 3, the back wall 20 of the base 16 of the mounting bracket 12 includes a mounting configuration defined by a recessed slot 32 formed in the base. Although the mounting bracket 12 is shown and described as having the base 16 and the mating cover 18, it should be understood that the mounting bracket 12 can be any size or shaped box or enclosure and still fall within the scope of the present disclosure.
[0032]
The base 16 of the mounting bracket 12 may be formed with protrusions 42 to aid in securing the base 16 of the mounting bracket 12 to the DIN rail 40, shown in FIG. 6. The back wall 20 of the base 16 of the mounting bracket 12 includes a locking mechanism generally indicated at 46 to releasably lock the mounting enclosure assembly 10 to the DIN rail 40. The construction and operation of the locking mechanism 46 is discussed in detail, below.
・・・(中略)・・・
[0034]
As shown with additional reference to FIGS. 4-6, the locking mechanism 46 is attached to the base 16 of the mounting enclosure assembly 10. As shown, protrusions 82 of the locking mechanism 46 extend into the slot 32 of the base 16 and are configured for securing the mounting enclosure assembly 10 to the DIN rail 40. In FIG. 6, the protrusions 82 of locking mechanism 46 are designed to engage a first flange 110 of a DIN rail 40 while the fixed set of protrusions 42 positioned on the base 16 of the mounting bracket 12 across slot 32 are positioned to engage a second flange 115 of the DIN rail 40. FIG. 5 illustrates the locking mechanism 46 removed to expose the underlying base 16. Each recess 87 is positioned to receive a corresponding boss 86 (shown in FIG. 7) from the locking mechanism 46.
[0035]
FIGS. 7 and 8 show the locking mechanism 46 isolated from the mounting enclosure assembly 10. The locking mechanism 46 includes a release button 96. The release button 96 is connected to the protrusion 82 by an armature 80. In one embodiment, the armature 80 is a hinged armature. The armature 80 is configured to translate a force of depressing the button 96 into a rotational movement of the protrusion 82 away from the DIN-rail flange 110. The hinged armature 80 includes a hinge 90 situated between a first portion 84 proximate the protrusion 82 and a second portion 94 proximate the release button 96. The hinge 90 functions elastically to return the mechanism 46 to a secure position when the button 96 is released. Tapered ends 88, 92 of the respective portions 84, 94 of the hinged armature 80 form the hinge 90. The first portion 84 is positioned at an angle to the second portion 94. For example, the first portion 84 is positioned substantially perpendicularly to the second portion 94, as shown.」

(当審訳:

[0031]

一実施形態では、ベース16は、後壁20と、後壁20から延びて隣接する外周壁22を備えている。同様に、カバー18は、前壁24と、前壁から延びて隣接する外周壁26を有している。ベース16の外周壁22と、カバー18の外周壁26とは、一体化された構造体又はボディーを形成するために組み立てられたときに、周縁で互いに係合する。図2に示すように、取付ブラケット12のカバー18の前壁24は、表示パネル30を有する突出部28を含んでおり、表示パネル30には、取付筐体10内に収容された電子部品(例えば、プリント回路基板アセンブリ)についての関連情報を表示する。図3に示すように、取付ブラケット12のベース16の後壁20は、ベースに形成された凹状溝部32によって規定される取付構造を含んでいる。取付ブラケット12は、ベース16とカバー18とを有するものとして図示されて説明されているが、取付ブラケット12は、任意のサイズまたは形状の箱または筐体とすることができ、それでもなお本発明の範囲内に含まれることが理解される。

[0032]

図6に示すように、取付ブラケット12のベース部16は、突起42が形成されることによって、取付ブラケット12のベース16をDINレール40に固定するのを助けてもよい。取付ブラケット12のベース16の背壁面20は、取付筐体アセンブリ10をDINレール40に着脱自在に係止するための、全体として46として示される係止機構を含んでいる。係止機構46の構成及び動作は、以下で詳細に説明する。

・・・(中略)・・・

[0034]

図4-6を追加で参照して示すように、係止機構46は、筐体アセンブリ10のベース16に取り付けられる。図示されるように、係止機構46の突起82は、ベース16の溝部32に延出して、取付筐体アセンブリ10をDINレール40に固定するように構成されている。図6において、係止機構46の突起82は、DINレール40の第1のフランジ部110に係合する一方で、取付ブラケット12のベース16上に位置する固定された突起42の組は、溝部32を挟んで、DINレール40の第2のフランジ部115に係合するように配置されるように設計されている。図5では、下部の基材16を露出させるために、係止機構46は取り除かれて図示されている。各凹部87は、ロック機構46の対応するボス86(図7に示す)を受け止めるように配置される。

[0035]

図7及び図8は、取付筐体アセンブリ10から分離された、係止機構46を示している。係止機構46は、解除ボタン96を備えている。解除ボタン96は、アーマチュア80によって、突起82に接続されている。一実施形態では、アーマチュア80はヒンジ付きのアーマチュアである。アーマチュア80は、ボタン96を押圧する力を、突起82がDINレールのフランジ部110から離れる回転運動に変換するように構成されている。ヒンジ付きのアーマチュア80は、突起82に近い第一の部分84と、解除ボタン96に近い第2部分94との間に位置するヒンジ90を含んでいる。ヒンジ90は、ボタン96が放されたとき、機構46が固定された位置に戻るように弾性的に機能する。ヒンジ付きのアーマチュア80の各部分84、94それぞれのテーパ状の端部88、92が、ヒンジ90を形成している。第1の部分84は、第2部分94に対してある角度で配置される。例えば、第1の部分84は第2部分94に対して実質的に垂直に配置される。)

ウ [図7]-[図10]

「
[図:0001397022000003.jpg]
[図:0001397022000004.jpg]
[図:0001397022000005.jpg]
」

エ 段落[0037]

「[0037]

As shown in FIGS. 7 and 8, the protrusions 82 are beveled. The beveled edge 83 of the protrusions 82 aid in engaging the flange 110 of the DIN rail 40. The beveled edge 83 causes the protrusion 82 to retract when it contacts the flange 110. Then after passing the flange 110, the protrusion 82 snaps back and locks into place. The beveled edge 83 may allow the protrusion to engage the flange 110, without the operator having to first depress a release button 96. However, once the locking mechanism 46 is engaged to the flange 110, the beveled edge 83 does not compromise the secure engagement.

(当審訳:

[0037]

図7及び図8に示すように、突起82は面取りされている。突起部82の面取りされた端部83は、DINレール40のフランジ部110に係合するのを助ける。面取りされた端部83は、突起82が、フランジ部110と接触する場合に、突起82を後退させる。それから、フランジ部110を通過した後、突起82は跳ね返って、所定位置に係止する。面取りされた端部83は、最初に解除ボタン96を押圧しなくても、フランジ部110と係合することを可能にする。しかしながら、一旦係止機構46がフランジ部110に係合されると、面取りされた端部83が確実な係合を損なうことはない。)

(2) 引用発明

よって、引用文献1には、特に,上記ア、イを参照すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「取付ブラケット12のベース16の後壁20は、ベースに形成された凹状溝部32によって規定される取付構造を含んでおり、
ベース16とカバー18とを有する、取付ブラケット12は、任意のサイズまたは形状の箱または筐体とすることができ、
取付ブラケット12のベース部16は、突起42が形成されることによって、取付ブラケット12のベース16をDINレール40に固定するのを助け、
係止機構46は、筐体アセンブリ10のベース16に取り付けられ、係止機構46の突起82は、ベース16の溝部32に延出しており、
係止機構46の突起82は、DINレール40の第1のフランジ部110に係合する一方で、取付ブラケット12のベース16上に位置する固定された突起42の組は、溝部32を挟んで、DINレール40の第2のフランジ部115に係合するように配置され、
係止機構46は、解除ボタン96を備え、解除ボタン96は、アーマチュア80によって、突起82に接続され、
アーマチュア80は、ボタン96を押圧する力を、突起82がDINレールのフランジ部110から離れる回転運動に変換するように構成され、
ヒンジ付きのアーマチュア80は、突起82に近い第一の部分84と、解除ボタン96に近い第2部分94との間に位置するヒンジ90を含み、
ヒンジ90は、ボタン96が放されたとき、機構46が固定された位置に戻るように弾性的に機能する、
筐体アセンブリ10。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

(1) 【図4】-【図5】

「
[図:0001397022000006.jpg]
[図:0001397022000007.jpg]
」

(2) 段落【0028】-【0029】

「【0028】
図4は電気機器10の側面図であり、底板42から折り曲げられて形成されている固定部74が電気機器10の側面に押し込まれることで底板42を電気機器10に固定している。そして、電気機器10は底板42の固定爪50とスライダ46の可動爪60とでレール22を挟持することによって、電気機器10がレール22に固定される。
【0029】
このように構成された電気機器10をレール50に取り付ける場合、レール22の上端側に当たるレールエッジ22aを固定爪50に挿入し電気機器10の下側を押圧することによってレール22の下側に当たるレールエッジ22bが、くさび型の形状を有する可動爪60を上から押圧するので、レール22は可動爪60の傾斜部を押圧し、スライダ46に下方へ移動させる力が作用し、図5に示すようにレール22の下端に当たるレールエッジ22bが可動爪60の保持部60bを乗り越え、立ち上げ部60aに達することで、電気機器10は固定爪50と可動爪60とでレール22を挟持することになる。」

3 引用文献3

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。

(1) 【図8】

「
[図:0001397022000008.jpg]
」

(2) 段落【0015】

「【0015】支持レール10に継電ボックス1を装着する場合には、図5~図6に示すように、まず、継電ボックス1を支持レール10に対して傾斜させて、レール嵌挿溝15の両側縁に互い違い状に配置された開放縁16b,17b間に支持レール10を嵌挿する。次いで継電ボックス1を矢印方向に回動してレール嵌挿溝15の支持段縁16a,17aを、図7~図8に示すように、支持レール10の両側の係合縁12,12に夫々当接させると、該支持レール10の両係合縁12,12に支持段縁16a,17aの係止突起18,18が係合される。これと同時に、第一の支持段縁16aと、該支持段縁16aに対向させて設けた節度段縁19が、図8に示すように、支持レール10の両係合縁12,12の端縁を幅方向から挟持する。このため、継電ボックス1が支持レール10から簡単に外れなくなり、その固定が行なわれる。」

4 引用文献4

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、次の事項が記載されている。

(1) 【図2】-【図3】

「
[図:0001397022000009.jpg]
[図:0001397022000010.jpg]
」

(2) 3ページ3-14行

「即ち図2は本考案になる一例でエアシリンダ等直線型駆動機C1、C2により開閉されるダンパ羽根B1、B2があり、それぞれがシリンダーストロークに見合うレバー長さlをもつレバー5、7、9、11とリンク4、6、8、10により連結されその間にレバー長2×lのレバー1とその中央に摺動子2とガイドレール3を有して成るダンパーにおいて、図1ではシリンダC1が縮んだ状態でダンパB1が閉止、シリンダC2が伸びてダンパB2が全開の状態を示す。図3ではC1はそのままでC2のみが縮み、ダンパB2を全閉した状態を示す。」

5 引用文献5

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、次の事項が記載されている。

(1) 【図1】

「
[図:0001397022000011.jpg]
」

(2) 段落【0025】

「[0025] また、図2及び図3に示すように、変速機ケース3には、一対のプーリ半体ディスク13の中心に対応させて中央リンク21が配置されている。中央リンク21は、その中央を変速機ケース3に回転自在に軸支されている。中央リンク21の両端には、夫々連結リンク23の一方の端部が回転自在に連結されている。また、各連結リンク23の他方の端部は、第1プーリとしての移動部8に夫々回転自在に連結されている。本実施形態においては、中央リンク21と連結リンク23とがリンク機構を構成する。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1) 対比

本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「DINレール40」の「第1のフランジ部110」と「第2のフランジ部110」とは、本願発明1の「レール」の「係止片」に相当する。

よって、「第1のフランジ部110」と、「第2のフランジ部110」を備える、引用発明の「ブラケット12のベース16をDINレール40に固定する」、「取付ブラケット12」を備える「筐体アセンブリ10」は、本願発明1の「長尺であり短手方向における両端部それぞれに係止片が設けられたレールに取着される機器」に相当する。

イ 引用発明の「ベース16の溝部32」(図3を参照。)は、本願発明1の「前記レールが前記レールの長手方向が予め設定された第1方向に沿うように配置されるレール配置部」に相当する。

引用発明の「突起42」(図4を参照。)は、「取付ブラケット12のベース部16は、突起42が形成されることによって、取付ブラケット12のベース16をDINレール40に固定するのを助け」、「取付ブラケット12のベース16上に位置する固定された突起42の組は、溝部32を挟んで、DINレール40の第2のフランジ部115に係合する」から、本願発明1の「前記レールが前記レール配置部に配置された状態で前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止爪」に相当する。

よって、引用発明の「溝部32」と「突起42」を有する「筐体アセンブリ10」は、本願発明1の「前記レールが前記レールの長手方向が予め設定された第1方向に沿うように配置されるレール配置部と、前記レールが前記レール配置部に配置された状態で前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止爪と、を有する筐体」に相当する。

ウ 引用発明の「係止機構46」(図4、図9を参照。)は、「係止機構46は、解除ボタン96を備え、解除ボタン96は、アーマチュア80によって、突起82に接続され、

アーマチュア80は、ボタン96を押圧する力を、突起82がDINレールのフランジ部110から離れる回転運動に変換するように構成され、

ヒンジ付きのアーマチュア80は、突起82に近い第一の部分84と、解除ボタン96に近い第2部分94との間に位置するヒンジ90を含み、

ヒンジ90は、ボタン96が放されたとき、機構46が固定された位置に戻るように弾性的に機能する」から、本願発明1の「前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記レールの短手方向における他端部に設けられた係止片を係止する係止位置と、前記他端部に設けられた係止片の係止を解除する解除位置と、をとりうる係止部材」に相当する。

また、引用発明の「係止機構46」のうちの「解除ボタン96」(図4、図9、図10を参照。)は、本願発明1の「前記係止部材を前記解除位置へ移動させる際にユーザにより押下される押下部が前記筐体の外側へ露出した状態で前記筐体に設けられた解除釦」に相当する。

また、引用発明の「係止機構46」のうちの「ヒンジ付きのアーマチュア80」(図4、 図7、図8を参照。)は、「ボタン96を押圧する力を、突起82がDINレールのフランジ部110から離れる回転運動に変換するように構成され」るから、本願発明1の「前記押下部が押下されることにより前記解除釦が予め設定された待機位置から前記待機位置よりも前記筐体の内側に位置する押下時位置へ移動するのに伴い、前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ移動させる伝達ユニット」に相当する。

また、引用発明の「係止機構46」のうちの「突起82」は、本願発明1の「係止部」に相当する。

よって、引用発明の「係止機構46は、筐体アセンブリ10のベース16に取り付けられ、係止機構46の突起82は、ベース16の溝部32に延出しており、係止機構46の突起82は、DINレール40の第1のフランジ部110に係合する」ことは、本願発明1の「前記係止部材は、本体部と、前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止部と、を有し」ていることに相当する。

(2) よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「長尺であり短手方向における両端部それぞれに係止片が設けられたレールに取着される機器であって、
前記レールが前記レールの長手方向が予め設定された第1方向に沿うように配置されるレール配置部と、前記レールが前記レール配置部に配置された状態で前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止爪と、を有する筐体と、
前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記レールの短手方向における他端部に設けられた係止片を係止する係止位置と、前記他端部に設けられた係止片の係止を解除する解除位置と、をとりうる係止部材と、
前記係止部材を前記解除位置へ移動させる際にユーザにより押下される押下部が前記筐体の外側へ露出した状態で前記筐体に設けられた解除釦と、
前記押下部が押下されることにより前記解除釦が予め設定された待機位置から前記待機位置よりも前記筐体の内側に位置する押下時位置へ移動するのに伴い、前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ移動させる伝達ユニットと、を備え、
前記係止部材は、
本体部と、
前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止部と、を有する、
機器。」

[相違点1]

本願発明1の「係止部」は、「前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記係止片に当接する第1平坦面部分と、前記係止部における前記第1平坦面部分よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜した第1傾斜面部分と、前記第1平坦面部分と平行であり前記係止部の前記係止片の厚さ方向における前記第1平坦面部分の側とは反対側に形成された第2平坦面部分と、前記係止部の前記係止片の厚さ方向における前記第1傾斜面部分の側とは反対側に形成され、前記係止部における前記第2平坦面部分よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜し前記第1傾斜面部分と平行な第2傾斜面部分と、を有する」のに対して、引用発明は、第1平坦面部分と、第1傾斜面部分と、第2平坦面部分と、第2傾斜面部分とを有することについて特定されていない点。

(3) 当審の判断

上記[相違点1]について、検討する。

本願発明1の上記[相違点1]に係る、「係止機構」の「係止部」は、「前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記係止片に当接する第1平坦面部分と、前記係止部における前記第1平坦面部分よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜した第1傾斜面部分と、前記第1平坦面部分と平行であり前記係止部の前記係止片の厚さ方向における前記第1平坦面部分の側とは反対側に形成された第2平坦面部分と、前記係止部の前記係止片の厚さ方向における前記第1傾斜面部分の側とは反対側に形成され、前記係止部における前記第2平坦面部分よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜し前記第1傾斜面部分と平行な第2傾斜面部分と、を有する」という構成は、上記引用文献1-5には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

すなわち、引用文献2(上記第4の2を参照。)には、レールと接する箇所に傾斜面を設けることが記載され、引用文献3(上記第4の3を参照。)には、レールと接する箇所に平坦面と傾斜面を備えることが記載され、引用文献4-5(上記第4の4-5を参照。)には、それぞれ、連結片を軸支して両端を逆方向に移動させるリンク機構の周知技術が開示されるが、上記[相違点1]の構成は、開示していない。

なお、「引用文献1(引用発明)」には、特に、上記第4の1(1)ウの(係止機構の正面斜視図である)図7、及び、(係止機構の背面斜視図である)図8、上記第4の1(1)エの段落[0037]の記載を参照すると、さらに、実施例の「突起82」の形状について、「突起82は面取りされ、突起部82の面取りされた端部83は、DINレール40のフランジ部110に係合するのを助け、面取りされた端部83は、突起82が、フランジ部110と接触する場合に、突起82を後退させ、それから、フランジ部110を通過した後、突起82は跳ね返って、所定位置に係止し、面取りされた端部83は、最初に解除ボタン96を押圧しなくても、フランジ部110と係合することを可能にする」ことが開示されている。

しかしながら、この「突起82」の「面取りされた端部83」の構成は、「第1平坦面部分」と、「第1傾斜面部分」と、「第2平坦面部分」と、「第2傾斜面部分」とを有する、本願発明1の「係止部」の構成とは明らかに異なる。

(なお、「面取り」の傾斜の向きは(図7、及び、図8の「端部83」を参照。)、「最初に解除ボタン96を押圧しなくても、フランジ部110と係合することを可能にする」という目的で、「突起82が、フランジ部110と接触する場合に、突起82を後退させ」る方向に傾斜が形成されているから、本願発明1の「前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記係止片に当接する第1平坦面部分」「よりも先端側に位置し前記係止部の先端縁に近づくほど、前記係止片から離れるように傾斜した」向きとは傾斜の向きが反対であるから、機能も異なるものと解される。)

よって、引用発明において、さらに、上記第4の1(1)ウ、エの記載を考慮したとしても、本願発明1の上記[相違点1]に係る構成は、引用文献1-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2について

(1) 対比

本願発明1と同様に(上記第5の1「(1) 対比」を参照。)、本願発明2と、引用発明とを対比すると、本願発明2と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「長尺であり短手方向における両端部それぞれに係止片が設けられたレールに取着される機器であって、
前記レールが前記レールの長手方向が予め設定された第1方向に沿うように配置されるレール配置部と、前記レールが前記レール配置部に配置された状態で前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止爪と、を有する筐体と、
前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記レールの短手方向における他端部に設けられた係止片を係止する係止位置と、前記他端部に設けられた係止片の係止を解除する解除位置と、をとりうる係止部材と、
前記係止部材を前記解除位置へ移動させる際にユーザにより押下される押下部が前記筐体の外側へ露出した状態で前記筐体に設けられた解除釦と、
前記押下部が押下されることにより前記解除釦が予め設定された待機位置から前記待機位置よりも前記筐体の内側に位置する押下時位置へ移動するのに伴い、前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ移動させる伝達ユニットと、を備え、
前記係止部材は、
本体部と、
前記本体部から延出し前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合、前記レールの短手方向における一端部に設けられた係止片を係止する係止部と、を有する、
機器。」

[相違点2]

本願発明2の「係止部」は、「前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合において、前記本体部から前記係止片と平行に延出する平板状の第1延出部と、前記第1延出部の先端部から前記第1延出部の延出方向と交差する方向へ延出する平板状の第2延出部と、を有する」のに対して、引用発明は、平板状の第1延出部と、平板状の第2延出部とを有することについて特定されていない点。

(3) 当審の判断

上記[相違点2]について、先に検討する。

本願発明2の上記[相違点2]に係る、「係止部」は、「前記レールが前記レール配置部に配置された状態で、前記係止部材が前記係止位置に位置する場合において、前記本体部から前記係止片と平行に延出する平板状の第1延出部と、前記第1延出部の先端部から前記第1延出部の延出方向と交差する方向へ延出する平板状の第2延出部と、を有する」という構成は、上記引用文献1-5には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

すなわち、引用文献2(上記第4の2を参照。)には、レールと接する箇所に傾斜面を設けることが記載され、引用文献3(上記第4の3を参照。)には、レールと接する箇所に平坦面と傾斜面を備えることが記載され、引用文献4-5(上記第4の4-5を参照。)には、それぞれ、連結片を軸支して両端を逆方向に移動させるリンク機構の周知技術が開示されるが、上記[相違点2]の構成は、開示していない。

なお、「引用文献1(引用発明)」には、特に、上記第4の1(1)ウの(係止機構の正面斜視図である)図7、及び、(係止機構の背面斜視図である)図8、上記第4の1(1)エの段落[0037]の記載を参照すると、さらに、実施例の「突起82」の形状について、「突起82は面取りされ、突起部82の面取りされた端部83は、DINレール40のフランジ部110に係合するのを助け、面取りされた端部83は、突起82が、フランジ部110と接触する場合に、突起82を後退させ、それから、フランジ部110を通過した後、突起82は跳ね返って、所定位置に係止し、面取りされた端部83は、最初に解除ボタン96を押圧しなくても、フランジ部110と係合することを可能にする」ことが開示されている。

しかしながら、この「突起82」の「面取りされた端部83」の構成は、「平板状の第1延出部」と、「平板状の第2延出部」とを有する、本願発明2の「係止部」の構成とは明らかに異なる。

よって、引用発明において、さらに、上記第4の1(1)ウ、エの記載を考慮したとしても、本願発明2の上記[相違点2]に係る構成は、引用文献1-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明2は、当業者であっても引用文献1-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明3-10について

本願発明3-10も、本願発明1の上記[相違点1]、あるいは、本願発明2の上記[相違点2]の構成と、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1または2と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-10は、当業者が引用文献1-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-010788

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