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特許拒絶査定不服審判

2022-009215

通信装置、通信方法、及び、プログラム

審判番号
2022-009215
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-067872外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月15日
審決日
2023年01月23日
公報発行日
2023年02月24日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 67872「通信装置、通信方法、及び、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-167583、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 19項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成31年3月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年12月14日付け:拒絶理由通知書
令和4年 2月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月 3日付け:拒絶査定
令和4年 6月15日 :審判請求書の提出
令和4年10月18日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和4年12月14日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年3月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-5に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.ネットワーク管理 最強の指南書 、日本、日経BP社、2016年04月29日、p.170

2.特開2009-224916号公報 (周知技術を示す文献)

3.特開2014-033424号公報 (周知技術を示す文献)

4.新里 祐教、IoT 最強の指南書 、日本、日経BP社 吉田 琢也、2018年05月21日、p.194-195 (周知技術を示す文献)

5.サンダース クリス Chris Sanders、実践 パケット解析 初版 Practical Packet Analysis、第1版、日本、株式会社オライリー・ジャパン オライリー ティム、2008年01月22日、P.140-142 (周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要

当審が令和4年10月18日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

特許請求の範囲、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて検討したところ、以下のとおりである。

請求項1、5には「前記通信装置とは別体であるモニタ装置に送信し」及

び「前記モニタ装置から受信する」と記載されているが、この記載では、パソコン等の端末装置において、無線LANルータ等の端末装置と別体の通信装置を用いて通信を行うとともに、端末装置から通信装置の動作を設定する、又は端末装置において通信装置の状態をモニタする、といった構成も含んでいるように読み取れ、範囲が不明確である。本願の課題に鑑みると、このような一般的な構成は含まれないといえるから、このような構成が明確に含まれない記載とされたい。

また、請求項1、5には「前記通信装置とは別体であるモニタ装置」と記載されているが、何をモニタするモニタ装置であるのか、また、通信装置との関係について不明確である。

さらに、請求項1、5を引用する請求項2-4、6にも同様の理由が該当する。

第4 本願発明

本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年12月14日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
通信装置であって、
通信用のインタフェースと、
前記インタフェースに設定可能な1以上の設定情報に1対1に対応する1以上の疑似インタフェース識別子を生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記1以上の疑似インタフェース識別子を、前記通信装置とは別体であり、前記通信装置の通信パケットをキャプチャした動作の結果を表示するモニタ装置にネットワークを介して送信し、送信した前記1以上の疑似インタフェース識別子のうちから選択された一の疑似インタフェース識別子を前記モニタ装置から前記ネットワークを介して受信する処理部と、
前記処理部が受信した前記一の疑似インタフェース識別子に対応する前記設定情報に基づく設定を前記インタフェースに適用した後に、当該設定に従った動作を行わせる制御部とを備える
通信装置。」

また、本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。

さらに、本願発明5は、本願発明1に対応する「通信方法」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

加えて、本願発明6は、本願発明5を引用する「プログラム」の発明であり、実質的に、本願発明5を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

ア 「Aさんは、Wiresharkのモニターモードのセットアップ済みのLinuxパソコンをカバンから取り出し、先ほど通常モードでキャプチャーを行ったノートパソコンの横にLinuxパソコンを置いた。
まずLinuxパソコンの無線チャネルをアクセスポイントに合わせた。Linuxでの無線チャネルの変更は、コマンドで実行する。例えば、Ubuntuで「wlan0」と認識された無線LANアダプターのチャネルを6chに変更するときは、コマンドを実行するターミナルを開いて、
sudo iwconfig wlan0 channe1 6
と入力してEnterキーを押せば、チャネルが変更される。
モニターモードでのパケットキャプチャーを開始したら、横に置いたWindowsパソコンでNASサーバーにアクセスしてファイル転送を行う。モニターモードでのキャプチャー実行中は、キャプチャ一に利用した無線LANアダプターでの通常の無線LAN通信ができなくなるからだ。」(左欄2行-中欄5行)
イ 「そこでフィルター機能を使った。
フィルター機能は、Wiresharkの画面上部にあるFilter欄から使う。パケットに絞り込むため、F社のアクセスポイントをMACアドレスで指定した。具体的には、
wlan.addr == 00:3a:9d:1a:79:66
と入力してEnterキーを押した。「==」は一致を示す記号で、00から始まる数値がアクセスポイントのMACアドレスを示す。」(中欄下から4行-右欄10行)

ここで、引用文献1に記載されている事項について検討する。

上記アの「Aさんは、Wiresharkのモニターモードのセットアップ済みのLinuxパソコンをカバンから取り出し、先ほど通常モードでキャプチャーを行ったノートパソコンの横にLinuxパソコンを置いた。」及び「モニターモードでのパケットキャプチャーを開始したら、横に置いたWindowsパソコンでNASサーバーにアクセスしてファイル転送を行う。」との記載から、引用文献1には、「パケットキャプチャーを行うWindowsノートパソコンであって、Windowsノートパソコンとは別体であり、Wiresharkのモニターモードのセットアップ済みのLinuxパソコンによりモニターされる、Windowsノートパソコン」が記載されていると認められる。

したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「パケットキャプチャーを行うWindowsノートパソコンであって、
Windowsノートパソコンとは別体であり、Wiresharkのモニターモードのセットアップ済みのLinuxパソコンによりモニターされる、
Windowsノートパソコン。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0005】
図4に示すように、WLAN及びDCLの各通信方式は、いずれも2.4GHzから2.5GHzまでの周波数帯域(2.4GHz帯)を使用している。そして、各々の通信方式において、周波数帯域内を複数分割したチャンネルが設定されている。なお、各々の通信方式におけるチャンネルを区別するために、以下、WLANで使用されるチャンネルをWLANチャンネル、DCLで使用されるチャンネルをDCLチャンネルと称する。
【0006】
WLANでは、2.4GHzから2.5GHzまでの周波数帯域が14のWLANチャンネル(wch1~wch14)に分けられている。WLANは、14のWLANチャンネルのうち1つのWLANチャンネルを継続して使用しながら、その1つのWLANチャンネルに対して送信データを直接スペクトラム拡散する直接拡散方式により、無線通信を行う。
【0007】
一方、DCLでは、2.4GHzから2.5GHzまでの周波数帯域が89のDCLチャンネル(dch1~dch89)に分けられている。そして、ホッピング周期と称される所定の周期(例えば、1/100秒)毎に、89あるDCLチャンネルのうち予め選択された例えば45のDCLチャンネルの間で、使用されるDCLチャンネルが変更(ホッピング)される周波数ホッピング方式により無線通信が行われる。」

3 引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0242】
また、例えば、A1乃至A5において、WiFi干渉しているときは、当該空間と未使用チャンネルA6を入れ替えることにより、WiFi干渉を回避することができる。なお、未使用チャンネルとして対でB6も設定されているが、B6を用いても同様に回避することができる。
【0243】
ここで、本技術の参考となる各国規格の一部を以下の(a)乃至(h)に示す。
続きを表示(全21行)
(a)日本(TELEC(財団法人テレコムエンジニアリングセンター)、ほか認定機関あり)
2.412~2.472GHz、13チャネル(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing))
2.412~2.484GHz、14チャネル(CCK(Complementary Code Keying) ただし、ch14=11bのみ利用可能)
(b)米州(FCC) FCC(米国連邦通信委員会)
2.412~2.462GHz、11チャネル
(c)北米(FCCを除く)IC(カナダ)
2.412~2.462 GHz、11チャネル
(d)ETSI(欧州通信規格協会)
2.412~2.472 GHz、13チャネル
(e)中国
2.412~2.472GHz、13チャネル
(f)韓国
2.412~2.472GHz、13チャネル
(g)シンガポール
2.412~2.472GHz、13チャネル(ETSI)
(h)台湾
2.412~2.462GHz、11チャネル(FCC)」

4 引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。

「▼ヘッドレス運用
モニターやキーボードを直接接続せずに運用すること。操作が必要な場合は、リモートSSH(Secure SHell)やリモートデスクトップを使ってネットワーク経由で接続する。」(195ページ左上欄3-8行)

「吉田:その通り。P社では、工場内のIoT端末が出すパケットを、Raspberry PiのWiresharkでキャプチャーしてモニタリングしているの(図1)。Raspberry Piはヘッドレス運用で本社のパソコンからリモートデスクトップを使って遠隔操作しているわ。」(195ページ左下欄6-13行)

【図1】「

[図:0001393908000001.jpg]

」

5 引用文献5について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。

「[Interface]
キャプチャに使うデバイスを選択できます。解析するときに、複数のAirPcapを使って複数のチャンネルを同時にスニッフィングする場合があります。
[Blink Led]
AirPcapのLEDを点滅させます。複数のAirPcapを使っているときに、どれを使っているかを示すためのものです。
[Channel]
ここでは、AirPcapを使ってキャプチャするチャンネルを選択します。」(141ページ1-8行)

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「Windowsノートパソコン」は、パケットキャプチャーを行うことから、通信に関する装置であることは明らかである。したがって、引用発明の「Windowsノートパソコン」は、本願発明1の「通信装置」に相当する。

イ 引用発明の「Windowsノートパソコン」は、パケットキャプチャーを行うことから、通信用のインタフェースを備えていることは明らかである。

ウ 引用発明の「パケット」は、通信に関するものであることが明らかであるから、本願発明の「通信パケット」に相当する。また、引用発明において、「パケットキャプチャーを行うWindowsノートパソコンであ」ることから、Windowsノートパソコンは、当該Windowsノートパソコンのパケットをキャプチャした動作の結果を得る処理部のような構成を備えていることは明らかである。したがって、上記アを踏まえると、引用発明の「Windowsノートパソコン」と、本願発明の「前記生成部が生成した前記1以上の疑似インタフェース識別子を、前記通信装置とは別体であり、前記通信装置の通信パケットをキャプチャした動作の結果を表示するモニタ装置にネットワークを介して送信し、送信した前記1以上の疑似インタフェース識別子のうちから選択された一の疑似インタフェース識別子を前記モニタ装置から前記ネットワークを介して受信する処理部」「を備える」こととは、「前記通信装置の通信パケットをキャプチャした動作の結果を得る処理部」を備える点で共通するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「通信装置であって、
通信用のインタフェースと、
前記通信装置の通信パケットをキャプチャした動作の結果を得る処理部とを備える
通信装置。」

(相違点1)

本願発明1では、「前記インタフェースに設定可能な1以上の設定情報に1対1に対応する1以上の疑似インタフェース識別子を生成する生成部」を備えるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(相違点2)

本願発明1では、「前記生成部が生成した前記1以上の疑似インタフェース識別子を、前記通信装置とは別体であり、前記通信装置の通信パケットをキャプチャした動作の結果を表示するモニタ装置にネットワークを介して送信し、送信した前記1以上の疑似インタフェース識別子のうちから選択された一の疑似インタフェース識別子を前記モニタ装置から前記ネットワークを介して受信する処理部」を備えるのに対し、引用発明では、「Windowsノートパソコンとは別体であり、Wiresharkのモニターモードのセットアップ済みのLinuxパソコンによりモニターされ」ているが、疑似インタフェース識別子に関する構成については特定されていない点。

(相違点3)

本願発明1では、「前記処理部が受信した前記一の疑似インタフェース識別子に対応する前記設定情報に基づく設定を前記インタフェースに適用した後に、当該設定に従った動作を行わせる制御部」を備えるのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。

上記第5の4の記載から、「モニタ装置を通信装置と別体とすること」は、本願の出願前において周知技術であったと認められる。

また、上記第5の5の記載から、「監視するインタフェースを複数とすること」は、本願の出願前において周知技術であったと認められる。

さらに、通信分野の技術常識に照らすと、「識別子が長い場合などに、別名を与えること」は、本願の出願前において周知技術であったと認められる。

しかしながら、上記周知技術を考慮しても、引用文献2-5には、上記相違点2に係る本願発明1の構成について記載も示唆もなく、この構成までが本願の出願前において周知技術であったともいえない。

したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項から、上記相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。

よって、上記相違点1、3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2-4について

本願発明2-4は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明5について

本願発明5は、上記相違点2に係る本願発明1の構成に対応する構成を実質的に備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明6について

本願発明6は、実質的に、本願発明5と同一の構成を備えるものであるから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由についての判断

令和4年12月14日付けの手続補正において、請求項1、5では、「・・・前記通信装置とは別体であるモニタ装置に送信し、・・・」を、「・・・前記通信装置とは別体であり、前記通信装置の通信パケットをキャプチャした動作の結果を表示するモニタ装置にネットワークを介して送信し、・・・」と補正され、また、「・・・前記モニタ装置から受信する・・・」を、「・・・前記モニタ装置から前記ネットワークを介して受信する・・・」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第8 むすび

以上のとおり、本願発明1-6は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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