2022-009122
排気浄化システムの制御装置
- 審判番号
- 2022-009122
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-078547外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月14日
- 審決日
- 2023年01月31日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】トヨタ自動車株式会社
- 【請求人代理人】片山 修平
- 分類
- P18 .121-WY (F02D) / P18 .537-WY (F02D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月16日の出願であって、令和3年11月30日付け(発送日:同年12月7日)で拒絶の理由が通知され、その指定期間内の令和3年12月22日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和4年5月17日付け(発送日:同年5月24日)で拒絶査定がなされ、これに対し、令和4年6月14日に拒絶査定不服審判が請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
1.原査定の拒絶の概要
原査定の拒絶の概要は以下のとおりである。
「この出願については、令和 3年11月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由2によって、拒絶をすべきものです。なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。備考●理由2(特許法第36条第6項第2号)について・請求項1下記の点で、依然として不明確である。(1)請求項1の「前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数とに基づいて、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度を補正する補正部」なる記載について、「反映係数」の定義が必ずしも明確でないが、依然として、「前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数」と「前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度の補正の仕方」との対応関係(要するに、「前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数」にどのように基づいて補正しているか)が不明確である。(2)請求項1の記載について、依然として、「補正部」における補正内容と、制御内容との対応、関係が何ら規定されておらず、補正した複数の位置における温度をどうするのか不明確である。」
第3 本願発明
令和4年6月14日の手続補正は、特許請求の範囲について、令和4年6月14日の手続補正前(令和3年12月22日付けの手続補正書)に記載された、
「 【請求項1】内燃機関の排気通路において排気の流れる方向の上流側から下流側にかけて設けられた、燃料添加部と、排気の温度を測定する第1温度センサと、排気を浄化する排気浄化部と、排気の温度を測定する第2温度センサと、を有する内燃機関の排気浄化システムの制御装置であって、前記排気浄化部の温度を上昇させることで、前記排気浄化部を再生させる再生方法として、前記内燃機関におけるポスト噴射および前記燃料添加部からの燃料の添加の少なくとも一方を行う再生制御部と、前記第1温度センサにより測定された排気の温度に基づいて、前記排気の流れる方向に沿う前記排気浄化部の複数の位置における温度を推定する第1温度推定部と、前記第1温度推定部によって推定される前記排気浄化部の複数の位置における温度に基づいて、前記第2温度センサの位置における排気の温度を推定する第2温度推定部と、前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数とに基づいて、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度を補正する補正部と、を具備する排気浄化システムの制御装置。」
を、
「 【請求項1】内燃機関の排気通路において排気の流れる方向の上流側から下流側にかけて設けられた、燃料添加部と、排気の温度を測定する第1温度センサと、排気を浄化する排気浄化部と、排気の温度を測定する第2温度センサと、を有する内燃機関の排気浄化システムの制御装置であって、前記排気浄化部の温度を上昇させることで、前記排気浄化部を再生させる再生方法として、前記内燃機関におけるポスト噴射および前記燃料添加部からの燃料の添加の少なくとも一方を行う再生制御部と、前記第1温度センサにより測定された排気の温度に基づいて、前記排気の流れる方向に沿う前記排気浄化部の複数の位置における温度を推定する第1温度推定部と、前記第1温度推定部によって推定される前記排気浄化部の複数の位置における温度に基づいて、前記第2温度センサの位置における排気の温度を推定する第2温度推定部と、前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数とに基づいて、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度を補正する補正部と、を具備し、前記補正部は、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度に、前記温度の差と前記反映係数との積を加算することで、前記複数の位置における温度を補正し、前記再生制御部は、前記補正された温度に基づいて前記ポスト噴射および前記燃料の添加の少なくとも一方における燃料の供給量を調節する排気浄化システムの制御装置。」
と補正するものである。(下線は、請求人が補正箇所を示すために付したものである。)
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和4年6月14日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりものであると認める。
第4 判断
1.「反映係数」について
本願発明1における、「前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数とに基づいて、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度を補正する補正部」なる事項において、「反映係数」は「前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した」ものである事項が特定されている。
そして、本願発明1において、「前記補正部は、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度に、前記温度の差と前記反映係数との積を加算することで、前記複数の位置における温度を補正し」なる事項が特定されている。
してみると、本願発明1における「反映係数」は、「前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した」ものといえる。
また、「補正部」は、前記「反映係数」と、「前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差」である「前記温度の差」とに基づいて、具体的には、「前記補正部は、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度に、前記温度の差と前記反映係数との積を加算することで、前記複数の位置における温度を補正」することが理解できるから、「反映係数」と「前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度の補正の仕方」との対応関係も明確である。
そうすると、原査定における「理由2」、「(1)」に係る拒絶の理由はない。
したがって、本願発明1により、原査定における「理由2」、「(1)」の拒絶の理由は解消されたと解するのが相当である。
なお、本願発明1の「前記第2温度センサにより測定された排気の温度と前記第2温度推定部により推定された排気の温度との差と、前記複数の位置および前記再生制御部による再生方法を反映した反映係数とに基づいて、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度を補正する補正部」なる事項、及び、「前記補正部は、前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度に、前記温度の差と前記反映係数との積を加算することで、前記複数の位置における温度を補正し」なる事項について、
本願の発明の詳細な説明の段落【0022】~【0024】には、「反映係数」を用いた補正を行うことの技術的意味に関し、「前記再生制御部による再生方法」に応じて未燃燃料の微粒化作用等が異なることによって、一連の「前記複数の位置」における温度の上昇又は下降の傾向が異なるから、「前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度」に対して、当該温度の上昇又は下降の傾向が考慮された「前記複数の位置」及び「前記再生制御部による再生方法」を反映した「反映係数」を用いることで、温度推定の精度が向上する旨、記載されているから、これら記載を踏まえると、本願発明1の「反映係数」と「前記第1温度推定部により推定された前記複数の位置における温度の補正の仕方」との対応関係はより明確になるといえる。
2.「補正部」における補正内容と、制御内容との対応関係について
本願発明1は、「前記再生制御部は、前記補正された温度に基づいて前記ポスト噴射および前記燃料の添加の少なくとも一方における燃料の供給量を調節する」事項を特定するものである。
そして、当該事項により、本願発明1において、「補正部」における「反映係数」を用いた温度の補正により補正された温度である「前記補正された温度」に基づいて、「前記ポスト噴射および前記燃料の添加の少なくとも一方における燃料の供給量を調節する」という制御が明確に理解できるから、原査定における「理由2」、「(2)」に係る拒絶の理由はない。
そうすると、本願発明1により、原査定における「理由2」、「(2)」の拒絶の理由は解消されたと解するのが相当である。
なお、本願発明1の「補正部」における「反映係数」を用いた温度の補正、及び、「前記再生制御部は、前記補正された温度に基づいて前記ポスト噴射および前記燃料の添加の少なくとも一方における燃料の供給量を調節する」事項について、
本願の発明の詳細な説明の段落【0022】~【0024】には、既に述べたとおり、「反映係数」を用いた温度の補正を行うことで温度推定の精度が向上する旨、記載され、同段落【0025】には、温度を精度高く推定することで、PMの量の推定の精度も向上し、再生開始時のPMの堆積量を正確に推定することで、再生における未燃燃料の供給量を適切に調節することができる旨、記載されているから、これら記載を踏まえると、本願発明1の「補正部」における補正内容である「反映係数」を用いた温度の補正と、「前記再生制御部」による制御内容である「前記補正された温度に基づいて前記ポスト噴射および前記燃料の添加の少なくとも一方における燃料の供給量を調節する」という制御内容との関係はより明確になるといえる。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明1は明確である。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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