意匠拒絶査定不服審判
2022-008567
包装用袋
- 審判番号
- 2022-008567
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2021-001994
- 登録番号
- 1731290
- 請求日
- 2022年06月06日
- 審決日
- 2022年09月08日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】日本マタイ株式会社
- 【請求人代理人】菊池 徹
- 【請求人代理人】菊池 新一
- 【請求人代理人】松本 英俊
- 【請求人代理人】岡地 優司
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 橘 崇生
- 審判官 正田 毅
- 分類
- D18 .121-WY (F4-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項、意匠法第4条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2021-1994「包装用袋」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の主な経緯
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)1月29日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和 3年 2月25日 :新規性の喪失の例外証明書提出書の提出
8月24日付け :拒絶理由の通知
10月13日 :意見書の提出
令和 4年 2月24日付け :拒絶査定
6月 6日 :審判請求書の提出
6月14日付け :手続補正指令
7月19日 :手続補正書の提出
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「包装用袋」とし、その形状は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は包装用袋に係る創作とのことですが、インフレーション成形による矩形の袋は例示するまでもなく本願出願前から見られ、矩形の袋の一辺の上下においてノッチ及びその周囲を同様に形成すること(例えば意匠1参照)、ノッチを弧状のシール部で囲むこと(例えば意匠1及び意匠2参照)も本願出願前から見られ、ノッチを直線の切り込みとすることも例示するまでもなく本願出願前から行われています。
以上を鑑みると、本願意匠は、ありふれたインフレーション成形による矩形の袋の一辺の上下において、ノッチ及びその周囲が同様となるよう、本願出願前から見られる切り込みからなるノッチを形成し、このノッチを本願出願前から見られるように弧状のシール部で囲んだものといえ、容易に創作ができたものといえます。
意匠1
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2001-301770
【図1】に表れた「包装用袋」の意匠
意匠2
特許庁発行の公開特許公報記載
平成 8年特許出願公開第072929号
【図1】に表れた「インフレーション成形袋」の意匠」
第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、つまり、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
なお、「日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状」を、以下「公知形状」という。
1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「包装用袋」であって、例えば培土を包装または保管するために使用されるものであり、樹脂をインフレーション加工し、一定間隔ごとに裁断を行い、下部をヒートシールすることで上方が開口した袋本体を形成したものであって、この袋本体の端部の上部と下部の2か所にノッチ加工と、そのノッチ部分を囲うように半円弧状に熱圧着をすることにより製造される。ノッチ部分から誤って袋を開封しようとした際には、半円弧状の熱圧着部分が障害となり、誤開封を回避することができるものである。
(2)本願意匠の形状
本願意匠は、主に以下の形状を認めることができる。
〔形状A〕筒状の本体の下端をヒートシール(以下、ヒートシールした部分を「シール部」という。)した、上方が開口した袋である。
〔形状B〕全体形状は、縦長長方形である。
〔形状C〕一方の側辺の上側と下側にノッチを設けている。
〔形状D〕ノッチの周囲には、円弧状のシール部を設けている(以下、ノッチとその周囲に設けたシール部を併せて「ノッチ部」ともいう。)。
〔形状E〕ノッチの周囲の、円弧状のシール部の幅は、本体下端のシール部の幅よりも細いものである。
〔形状F〕下側のノッチ部は、下端から僅かしか離れていない位置に設けている。
〔形状G〕上側のノッチ部は、上端から、下端から下側のノッチ部の距離よりも離れた位置に、設けている。
〔形状H〕ノッチの形状は横長長方形である。
〔形状I〕ノッチの横長さ(深さ)は、ノッチ部の最大幅(横長さ)の約3分の1である。
〔形状J〕各部の寸法比率は、袋本体の縦長さ:袋本体の横長さ:円弧状シール部の高さ(ノッチ部の高さ)は、約100:64:4である。
2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前からの公知形状
本願意匠の出願前からの公知形状は、以下のとおりである。
ア.意匠1より
〔形状1a〕左右の側辺と下端をヒートシール(以下、ヒートシールした部分を「シール部」という。)した、上方が開口した袋である。
〔形状1b〕全体形状は、縦長長方形である。
〔形状1c〕一方の側辺の上側と下側にノッチを設けている。
〔形状1d〕ノッチの周囲には、弓形(円弧とその両端を結ぶ弦とによって囲まれた図形)の面状シール部を設けている。
イ.意匠2より
〔形状2a〕筒状の本体の上下端をヒートシール(以下、ヒートシールした部分を「シール部」という。)した袋である。
〔形状2b〕全体形状は、縦長長方形である。
〔形状2c〕一方の側辺の上側にノッチを設けている。
〔形状2d〕ノッチの周囲には、円弧状のシール部を設けている(以下、ノッチとその周囲に設けたシール部を併せて「ノッチ部」という。)。
〔形状2f〕上側のノッチ部は、上端から僅かしか離れていない位置に設けている。
ウ.意匠3より
令和4年2月24日付けの拒絶査定において示された意匠登録第1556197号の意匠を「意匠3」という。
〔形状3a〕下端で折り返した本体の左右両辺のやや内側をヒートシール(以下、ヒートシールした部分を「シール部」という。)した、上方が開口した袋である。
〔形状3b〕全体形状は、縦長長方形である。
〔形状3c〕両方の側辺の上側にノッチを設けている。
〔形状3d〕ノッチの周囲には、円弧状のシール部を設けている(以下、ノッチとその周囲に設けたシール部を併せて「ノッチ部」という。)。
〔形状3h〕ノッチの形状は横長長方形である。
エ.意匠4より
本願の出願前である平成29年(2017年)2月2日に、特許庁から発行された登録実用新案公報に記載の「実用新案登録第3208688号」の、【図1】及び【図2】に表された「袋体」の意匠を「意匠4」という。
〔形状4a〕筒状の本体の上端をヒートシール(以下、ヒートシールした部分を「シール部」という。)した、下方が開口した袋である。
〔形状4b〕全体形状は、縦長長方形である。
〔形状4c〕一方の側辺の上側に2か所と、両方の側辺の下側にノッチを設けている。
〔形状4d〕上側の2つのノッチの周囲には、縦長長方形の、下側のノッチの周囲には、円弧状のシール部を設けている(以下、ノッチとその周囲に設けたシール部を併せて「ノッチ部」ともいう。)。
〔形状4f〕図2によると、上側のノッチ部は、上端から僅かしか離れていない位置に設けている。
〔形状4g〕図2によると、下側のノッチ部は、下端から、上端から上側のノッチ部の距離よりも離れた位置に、設けている。
〔形状4j〕各部の寸法比率は、袋本体の縦長さ:袋本体の横長さ:円弧状シール部の高さ(ノッチ部の高さ)は、約100:60:5である。
(2)本願意匠の創作の容易性について
本願意匠の形状Aは、袋状の本体の上端をヒートシールして、反対側を開口した袋(意匠4)が存在し、筒状ではないが、下端をヒートシールして、上方を開口した袋(意匠1)の存在で、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願意匠の形状Bは、意匠1ないし4によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願意匠の形状Cは、意匠1をモチーフとして、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願意匠の形状Dは、意匠2ないし4(意匠4については、下側のノッチ部による。)によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願意匠の形状F及びGについては、袋本体を形成するためのヒートシール部を端部に近い位置に施し、培土など商品を詰めた後にヒートシールにて閉じるために余裕を持たせて、端部から少し離れた位置にノッチを設ける形状は、意匠4の存在により、本願の出願前の公知形状と認められ、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願意匠の形状Hは、意匠3によって、本願の出願前の公知形状と認められ、容易に創作をすることができたものと認められる。
この種物品分野においては、様々な大きさの袋が存在し、また、各部の寸法比率も様々なものが存在していることからすると、本願の形状Jは、意匠4の寸法比率とさほど変わらないことから、この寸法比率の僅かな改変に困難性は認められず、意匠4の存在によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
しかし、本願意匠の形状E及びIは、本願の出願前からの公知形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。
3.結び
したがって、本願意匠は、原審で示した各意匠を基にしては、意匠法第3条第2項の規定に該当しないので、原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできないのはもちろんのこと、当審において当合議体が発見した意匠4を加えたとしても、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当しない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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