特許拒絶査定不服審判
2022-008165
底面パネル及び空気調和装置の室外機
- 審判番号
- 2022-008165
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-569313外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月31日
- 審決日
- 2023年03月09日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WY (F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-569313「底面パネル及び空気調和装置の室外機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月 6日国際公開、WO2020/157959、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)2月1日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 1月12日 :手続補正書の提出
令和 3年 9月24日付け:拒絶理由通知書
令和 3年12月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 3月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 4年 5月31日 :審判請求書の提出
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1に係る発明に対して:引用文献1
・請求項2に係る発明に対して:引用文献1~2
・請求項3~4に係る発明に対して:引用文献1~3
なお、原査定では、請求項3~4に係る発明に対して、「・引用文献等 1―4」とした記載がなされているものの、引用文献等一覧には、「引用文献4」なる刊行物の記載はない。また、原査定の請求項3~4についての検討として、「令和3年9月24日付け拒絶理由通知書の請求項3-4に関する備考を参照されたい。」と記載されているところ、令和3年9月24日付け拒絶理由通知書の請求項3~4に関する「・引用文献等」には、「1-3」とされ、備考にも、引用文献1~3以外の文献を用いての言及はされておらず、また、当該拒絶理由通知書の引用文献等一覧には、「引用文献4」なる刊行物は記載されていない。これらを総合すると、原査定では、請求項3~4に係る発明に対して、「・引用文献等 1―4」と記載しているものの、引用文献4は誤記であり、正しくは、「・引用文献等 1―3」として扱った。
<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2012-242026号公報
引用文献2.特開2017-129287号公報
引用文献3.特開2011-133159号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明4」という。)は、令和3年12月3日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
空気調和装置の室外機の底面パネルであって、
前記室外機の下面を構成する底面部と、
前記底面部の周縁部から前記底面部と交差する方向に延びる側壁部と、
前記底面部と前記側壁部とに接続された熱交換器載置台と
を備え、
前記熱交換器載置台は、
前記側壁部に接続され、前記熱交換器載置台の上面部を形成する載置面
を有しており、
前記載置面には、
前記側壁部に沿って延在する第1排水溝と、
前記第1排水溝と連通し、前記側壁部から離れる方向に延在する第2排水溝とが設けられており、
前記第2排水溝の底部は、前記側壁部から離れる方向である、前記第1排水溝と連通する前記第2排水溝の入口側の端部から前記第2排水溝の出口側の端部に向かう方向において、前記底面部に向かって傾斜しており、
前記第2排水溝の底部の幅は、前記入口側の端部から前記出口側の端部に向けて漸次的に大きくなる
底面パネル。」
なお、本願発明2~4は、本願発明1と同一の構成を備え、その一部を限定する(本願発明2)、あるいは他の特定事項をさらに備える(本願発明3及び4)とした発明である。
第4 引用文献
1 引用文献1
(1) 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は当審にて付加した。以下同様。)
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記構成では、室外熱交換器のドレン水が底フレーム上で上記ドレン水排出口へ流れて行かずに底フレーム上に溜まってしまい、ドレン水がケーシングの外に排出されなくなるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、室外熱交換器をケーシングの底フレームに載置して固定するタイプの冷凍装置の室外ユニットにおいて、ドレン水の排水性を高めることである。」
「【0011】
この第1の発明では、室外熱交換器(30)は、底フレーム(22)の凸部(22c)と部分的に接触した状態で該底フレーム(22)に固定され、隣り合う凸部(22c)の間では、室外熱交換器(30)の下端と底フレーム(22)の傾斜面(22b)との間に空間が形成されている。この状態で、室外熱交換器(30)が蒸発器になる運転状態では、室外熱交換器(30)で発生するドレン水は室外熱交換器(30)の下端から底フレーム(22)の傾斜面(22b)に滴下する。上記傾斜面(22b)に滴下した水滴は、単独で、あるいは複数の水滴が集合して傾斜面(22b)に沿って下方へ流れる。したがって、ドレン水は室外熱交換器(30)の近傍に溜まらない。」
「【0027】
図1~図4に示すように、本実施形態1の室外ユニット(10)は、冷凍装置である空気調和装置に用いられるものであって、図示しないが、室内ユニットが接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成している。
【0028】
上記室外ユニット(10)は、例えば、ビルの屋上等に設置され、ケーシング(20)と室外熱交換器(30)と室外ファン(40)と圧縮機構(50)とを備えている。
【0029】
上記ケーシング(20)は、平面視矩形状に形成され、4本の支柱(21)と底フレーム(22)と側面パネル(23)と天板(24)とを備えている。」
「【0039】
図5は底フレーム(22)の斜視図、図6は底フレーム(22)に室外熱交換器(30)を載置して固定した状態の要部断面図である。上記底フレーム(22)は、ベースプレート(22a)と、上記室外熱交換器(30)の底面から下方に離れて位置する傾斜面(22b)と、該傾斜面(22b)から上方へ突出する複数の凸部(22c)とを有している。各凸部(22c)の上端面は、室外熱交換器(30)を載置する載置面として構成されている。また、各凸部(22c)の側面はテーパ面(22f)になっている。
【0040】
上記傾斜面(22c)は、その下端が上記ベースプレート(22a)に連接するように構成されている。この傾斜面(22b)は、図6に示すように、室外熱交換器(30)の厚さ方向へ傾斜している。上記傾斜面(22b)から上方へ突出している複数の凸部(22c)は、その上端面が上記室外熱交換器の載置面として構成されている。また、上記ベースプレート(22a)には、凹凸形状の補強部(22d)が形成されている。
【0041】
上記底フレーム(22)の傾斜面(22b)は、ケーシング(20)の外側から内側に向かって下向きに傾斜している。また、底フレーム(22)には、上記ベースプレート(22a)の面上における上記傾斜面(22b)の下端近傍の位置に、ドレン水排出口(22e)が形成されている。底フレーム(22)の下方には、このドレン水排出口(22e)から排出されるドレン水を受けるためのドレンパン(図示せず)が設けられている。」
「【0043】
暖房運転時に室外熱交換器(30)においてドレン水が発生すると、室外熱交換器(30)の下端と底フレーム(22)の傾斜面(22b)との間に形成されている空隙において、室外熱交換器(30)の下端から上記傾斜面(22b)へドレン水が滴下する。また、室外熱交換器(30)の下端が底フレーム(22)の凸部(22c)に接している部分では、ドレン水は室外熱交換器(30)から凸部(33c)へ流れ落ち、さらに凸部(22c)の周囲に形成されているテーパ面(22f)から上記傾斜面(22b)へ流れ落ちる。
【0044】
この傾斜面(22b)上のドレン水の水滴は、単独で、あるいは複数の水滴が集合して、上記傾斜面(22b)に沿って下方へ流れていく。その際、底フレーム(22)の傾斜面(22b)がケーシング(20)の外側から内側に向かって下向きに傾斜しているので、ドレン水は、上記傾斜面(22b)に沿ってケーシング(20)の内側へ向かって、ベースプレート(22a)へ流れていく。したがって、ドレン水は室外熱交換器の周りには溜まらない。」
「
[図:0001396970000001.jpg]
」
「
[図:0001396970000002.jpg]
」
「
[図:0001396970000003.jpg]
」
「
[図:0001396970000004.jpg]
」
(2) 引用文献1の記載から認められる事項
(ア)段落【0028】-【0029】、【0039】には、室外ユニット(10)は、ケーシング(20)を備えており、ケーシング(20)は、底フレーム(22)を備えており、底フレーム(22)は、ベースプレート(22a)を有していることが記載されている。また、図1の図示内容より、底フレーム(22)は、室外ユニット(10)の下面を構成することが看取できる。してみると、ベースプレート(22a)は、室外ユニット(10)の下面を構成するといえる。
(イ)図6の図示内容より、ケーシング(20)は、ベースプレート(22a)と交差する方向に延びる部分(以下、「部分A」という。)を有していることが看取できる。当該部分Aについて、図6を基に当審にて図中に位置を示すと以下のとおりである。
[図:0001396970000005.jpg]
(ウ)図5、6の図示内容より、凸部(22c)は、ベースプレート(22a)と部分Aとに接続されることが看取できる。
(エ)図5、6の図示内容より、底フレーム(22)は、部分Aに沿って、溝状の構造(以下、「溝A」という。)が延在していることが看取できる。当該溝Aについて、図5、6を基に当審にて図中に例示的に位置を示すと以下のとおりである。
[図:0001396970000006.jpg]
[図:0001396970000007.jpg]
(オ)段落【0039】-【0041】及び図5、6の図示内容より、複数の凸部(22c)の間に、溝Aと連通し、部分Aから離れる方向に延在し、部分Aから離れる方向において、ベースプレート(22a)に向かって底部である傾斜面(22b)が傾斜している溝状の構造(以下、「溝B」という。)を有していることが看取できる。また、溝Bは、溝Aと連通する側を入口側とし、傾斜の下側を出口側とすると、入口側から出口側に向かう方向に傾斜しているといえる。当該溝Bについて、図5を基に当審にて図中に例示的に位置を示すと以下のとおりである。
[図:0001396970000008.jpg]
(カ)図5、6の図示内容より、各凸部(22c)は、溝Aを介して部分Aに接続されることが看取できる。
(キ)図5の図示内容より、底フレーム(22)を上から見た場合に、各凸部(22c)は、角部が丸みを帯びた形状であることが看取できる。そうすると、凸部(22c)の間の溝Bについて、溝Aと連通する側を入口側とし、傾斜の下側を出口側とすると、当該溝Bの底部の幅は、入口側から出口側に向けて、大きい状態から小さい状態に変化し、さらに小さい状態から大きい状態に変化するものであるといえる。
(3) 引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「空気調和装置の室外ユニットの底フレーム(22)であって、
室外ユニット(10)の下面を構成するベースプレート(22a)と、
ベースプレート(22a)と交差する方向に延びる部分Aと、
ベースプレート(22a)と部分Aとに接続された複数の凸部(22c)と
を備え、
各凸部(22c)は、溝Aを介して部分Aに接続され、各凸部(22c)の上端面は、室外熱交換器(30)を載置する載置面として構成されており、
底フレーム(22)には、
部分Aに沿って延在する溝Aと、
溝Aと連通し、部分Aから離れる方向に延在する溝Bとが設けられており、
溝Bの底部は、部分Aから離れる方向である、溝Aと連通する溝Bの入口側から出口側に向かう方向において、ベースプレート(22a)に向かって傾斜しており、
凸部(22c)の間の溝Bの底部の幅は、入口側から出口側に向けて、大きい状態から小さい状態に変化し、さらに小さい状態から大きい状態に変化する
底フレーム(22)。」
2 引用文献2
(1) 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0009】
[第1実施形態]
〈全体構成〉
まず、図1~図4を参照し、本発明の第1実施形態による空気調和機の室外機Ouの構成を説明する。
この室外機Ou(送風機)は、トップフロータイプと呼ばれるものであり、中小規模の建築物におけるいわゆるマルチ型空気調和機に多用されている。図1は室外機Ouの一部切欠正面図、図2はその縦断面図、図3はその分解平面図、図4はその斜視図である。
図1において、室外機Ouは、略直方体状に形成された主筐体300と、主筐体300の上面を覆う樹脂製の上面カバー400とを有している。主筐体300の上部には、前後方向に渡ってモータ支持板102が梁状に設けられている。また、モータ支持板102には、ファンモータ101が装着されており、ファンモータ101の回転軸には、樹脂製のプロペラファン100が結合されている。プロペラファン100は、主筐体300の内部の空気を上方に向かって排出する。
【0010】
上面カバー400は、プロペラファン100を取り囲むように配置されたファン周辺部401と、略平板状に形成された天板部403とを有している。ファン周辺部401の吹出口側には、その半径が上に向かって階段状に拡大する段差部402が形成され、さらに下流側の吹出口には、異物や指等の侵入を防ぐために、金属網であるファンガード105が装着されている。ファンガード105は、メンテナンスのために脱着可能になっている。上述したファン周辺部401および段差部402を合せた部分を「ベルマウス」と呼ぶ。」
「【0013】
また、上面カバー400の段差部402には、ファンガード固定穴106bに対向する箇所にファンガード固定ボス106a(ファンガード固定部)が形成されている。ファンガード固定ボス106aとファンガード固定穴106bとは、図示せぬネジによって着脱可能な状態で固定される。
次に、図4は、ファンガード105を除いた状態の室外機Ouの斜視図である。図4において、ファンガード固定ボス106aは、上下方向の軸を有する略円柱状に形成されている。
【0014】
次に、図5に示す断面図を参照し、段差部402の詳細形状を説明する。
段差部402は、交互に接合された複数の円環部404と、複数の円筒部406とを有している。円環部404は、略円環の板状に形成されている。また、円筒部406は、略円筒状に形成されている。各円環部404は、その内周部において下方の円筒部406と接合されるとともに、その外周部において上方の円筒部406と接合されている。これにより、段差部402は、全体として、上に向かうほど段階的に半径が広がる、略切頭円錐状(テーパー状)の形状を有する。
【0015】
ここで、円筒部406は、ほぼ鉛直方向に沿って形成されるが、円環部404は、水平面に対して、付着した雨水が流れ落ちる程度の角度θだけ内側に向かって傾斜している。これは、円環部404に雨水が溜まることを防止するためである。上述したように、気温が0℃付近の雨天時に暖房運転を行うと、プロペラファン100の吹出温度は氷点下になるため、雨水が凍結しやすくなる。本実施形態においては、円環部404の傾斜角度は、雨水が流れ落ちる程度の角度θであり、円筒部406の傾斜角度は約90°であるから、段差部402の内面の各部は、全体に渡って、付着した水滴が流れ落ちる傾斜角度(θ以上の角度)を有する。これにより、段差部402の内壁面に沿って雨水を速やかに下方に落下させることができ、成長した氷塊によってプロペラファン100が損傷するような事態を未然に防止することができる。
【0016】
ここで、一般的に1~2%程度の勾配があれば水滴は流れ落ちるとされるため、円環部404の傾斜角度θは1°以上(勾配1.75%)以上にすることが望ましい。但し、室外機Ouの据付面が必ずしも水平面にならないことや、上面カバー400自体の組立公差、部品公差、変形等を考慮すると、傾斜角度θを5°以上にすることが、より望ましい。」
「
[図:0001396970000009.jpg]
」
「
[図:0001396970000010.jpg]
」
「
[図:0001396970000011.jpg]
」
(2) 引用文献2から把握できる技術事項
上記(1)を踏まえると、引用文献2から以下の技術事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が把握できる。
「トップフロータイプの室外機Ou(送風機)において、
室外機Ouは、略直方体状に形成された主筐体300と、主筐体300の上面を覆う樹脂製の上面カバー400とを有しており、
上面カバー400は、ファン周辺部401と、天板部403とを有しており、
ファン周辺部401の吹出口側には、その半径が上に向かって階段状に拡大する段差部402が形成され、
段差部402は、交互に接合された複数の円環部404と、複数の円筒部406とを有しており、
円環部404の傾斜角度θは、5°以上にするトップフロータイプの室外機Ou。」
3 引用文献3
(1) 引用文献3の記載事項
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献3には、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関わり、より詳細には、凝縮水の漏洩防止に関するものである。」
「【0010】
請求項1の発明によれば、ベースの配管導出部リブは、ベース上に形成された凝縮水の案内リブより高く形成されていることにより、ベースのノックアウト部が除去され本体の下部から配管が導出された場合、もしくは本体の側面を配管導出部として使用し、ベースのノックアウト部が除去されない場合においても、ベース上に貯留された凝縮水は、配管導出部リブまで達することなく、メイン排出孔あるいはサブ排出口を介して外部に排出されることになり、これにより、本体下部の配管導出部からの凝縮水の漏洩を的確に防止することができる空気調和機の室外機となっている。」
「【0014】
本発明による空気調和機の室外機は、図1の外観斜視図で示すように、下面に左右一対の脚体2aを備え、周囲に後述するフランジ2bを備えた平板状の板金からなるベース2と、同ベース2の前面側に立設され、格子状の吹出口3aを備えた前面パネル3と、前記ベース1の右側に立設される後述する右側面パネル5と、前記ベース1の左側に立設される後述する左側面パネル6と、これらの上面に被着される板金からなる天板4とで本体1を構成しており、同本体1の後面1aと右側面パネル5の側面吸込口とは外気の吸込口となっている。また、前面パネル3の左側下部には、配管を導出するノックアウト部1cが設けられ、折曲部にもノックアウト部1bが設けられている。ノックアウト部1cあるいはノックアウト部1bから導出された配管は、図示しない室内機に接続され、配管内を流れる冷媒により室内機は冷暖房運転を行うようになっている。尚、ベース2にも、配管を本体1下部から導出できるように、後述するノックアウト部18が設けられている。
【0015】
次に、全体構成について説明する。図2の分解斜視図で示すように、前記ベース2上は、仕切板7により左右に区画され、区画された一方に機械室8が、区画された他方に熱交換器室9が設けられている。機械室8には圧縮機10が配設されるとともに、室内機に連なる配管が接続される操作弁10aが設けられ、その上方には、制御基板を収納し、電装品カバー16aが被着される電装品箱16が設けられている。」
「【0020】
ベース2は、図3(A)の斜視図及び図3(B)の平面図で示すように、平板状の鋼板をプレス加工成型して形成され、周囲にはフランジ2bが立設されている。ベース2の中央部左方には、上記した圧縮機10を固定するための、螺子孔を穿設した円錐台形状のボス20が三箇所、突起部として形成されており、中央部右方には、上記したファンモータ取付台12を固定するための、螺子孔を穿設した断面台形状のリブ21が一対となって前後方向に形成され、また、同リブ21
及びボス20を補強するための補強リブ25が左右方向に、リブ21と連続となるように形成されている。また、ボス20とリブ21との間には、凝縮水を後述するメイン排出孔22に導びくための、リブ21より低い幅広状の中央案内リブ27が設けられ、ベース2の右方には、帯状の右方案内リブ28が設けられている。
【0021】
中央部後方には、ベース2上に滴下した凝縮水を排出するメイン排出孔22が、ベース2の底面部より低くなるように段差を介して穿設され、また、ベース2の底面部は、メイン排出孔22に向かい緩い傾斜面となるように形成されている。熱交換器11からベース2上に滴下した凝縮水は、通常時は、上記した中央案内リブ27、右方案内リブ28及びリブ21にガイドされて、実線矢印で示すように、メイン排出孔22に向かい流れていくようになっている。」
「
[図:0001396970000012.jpg]
」
(2) 引用文献3から把握できる技術事項
上記(1)を踏まえると、引用文献3から以下の技術事項(以下、「引用文献3の技術事項」という。)が把握できる。
「空気調和機の室外機において、周囲にフランジ2bを備えた平板状の板金からなるベース2を備え、
ベース2の中央部後方には、ベース2上に滴下した凝縮水を排出するメイン排出孔22が、ベース2の底面部より低くなるように段差を介して穿設され、また、ベース2の底面部は、メイン排出孔22に向かい緩い傾斜面となるように形成されており、
熱交換器11からベース2上に滴下した凝縮水は、メイン排出孔22に向かい流れていくようになっている空気調和機の室外機」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 本願発明1と引用発明とを、その機能、構造及び技術的意義を考慮して対比する。
(ア)引用発明における「空調調和装置」は、本願発明1における「空調調和装置」に相当し、以下同様に、「室外ユニット」は、「室外機」に、「ベースプレート(22a)」は、「底面部」に、それぞれ相当する。
(イ) 上記(ア)を踏まえると、引用発明における「室外ユニット(10)の下面を構成するベースプレート(22a)」は、本願発明1における「前記室外機の下面を構成する底面部」に相当する。
(ウ) 上記(ア)を踏まえると、引用発明における「ベースプレート(22a)と交差する方向に延びる部分A」との事項と、本願発明1における「前記底面部の周縁部から前記底面部と交差する方向に延びる側壁部」との事項とは、「前記底面部と交差する方向に延びる側壁部」という限りにおいて一致する。
(エ)引用発明における「複数の凸部(22c)」は、室外熱交換器(30)を載置するものであり、「ベースプレート(22a)と部分Aとに接続された」ものであるので、本願発明1における「前記底面部と前記側壁部とに接続された熱交換器載置台」に相当する。
(オ)引用発明における「各凸部(22c)の上端面」は、「部分Aに接続され」るものであり、「室外熱交換器(30)を載置する載置面として構成されて」いるものであるので、本願発明1における「前記側壁部に接続され、前記熱交換器載置台の上面部を形成する載置面」に相当する。
(カ)引用文献1の段落【0043】には「ドレン水は室外熱交換器(30)から凸部(33c)へ流れ落ち、さらに凸部(22c)の周囲に形成されているテーパ面(22f)から上記傾斜面(22b)へ流れ落ちる。」との記載があることを踏まえると、溝Aにおいて、水は排水される構造であるといえる。
してみると、引用発明における「部分Aに沿って延在する溝A」は、部分Aに沿って延在する溝状の構造であり、排水を行うものであるので、本願発明1における「前記側壁部に沿って延在する第1排水溝」に相当する。
また、引用発明における「底フレーム(22)には、部分Aに沿って延在する溝Aと、溝Aと連通し、部分Aから離れる方向に延在する溝Bとが設けられており」との事項と、本願発明1における「前記載置面には、前記側壁部に沿って延在する第1排水溝と、前記第1排水溝と連通し、前記側壁部から離れる方向に延在する第2排水溝とが設けられており」との事項とは、「前記側壁部に沿って延在する第1排水溝と、前記第1排水溝と連通し、前記側壁部から離れる方向に延在する第2排水溝とが設けられており」という限りにおいて一致する。
(キ)引用発明における「溝Bの底部は、部分Aから離れる方向である、溝Aと連通する溝Bの入口側から出口側に向かう方向において、ベースプレート(22a)に向かって傾斜して」いるとの事項と、本願発明1の「前記第2排水溝の底部は、前記側壁部から離れる方向である、前記第1排水溝と連通する前記第2排水溝の入口側の端部から前記第2排水溝の出口側の端部に向かう方向において、前記底面部に向かって傾斜して」いるとの事項とは、「前記第2排水溝の底部は、前記側壁部から離れる方向である、前記第1排水溝と連通する前記第2排水溝の入口側から前記第2排水溝の出口側に向かう方向において、前記底面部に向かって傾斜して」いるという限りにおいて一致する。
(ク)引用発明における「凸部(22c)の間の溝Bの底部の幅は、入口側から出口側に向けて、大きい状態から小さい状態に変化し、さらに小さい状態から大きい状態に変化する」との事項と、本願発明1の「前記第2排水溝の底部の幅は、前記入口側の端部から前記出口側の端部に向けて漸次的に大きくなる」との事項とは、「前記第2排水溝の底部の幅は、前記入口側から前記出口側に向けて幅の大きさが変化する」という限りにおいて一致する。
(2) 以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
空気調和装置の室外機の底面パネルであって、
前記室外機の下面を構成する底面部と、
前記底面部と交差する方向に延びる側壁部と、
前記底面部と前記側壁部とに接続された熱交換器載置台と
を備え、
前記熱交換器載置台は、
前記側壁部に接続され、前記熱交換器載置台の上面部を形成する載置面を有しており、
前記側壁部に沿って延在する第1排水溝と、
前記第1排水溝と連通し、前記側壁部から離れる方向に延在する第2排水溝とが設けられており、
前記第2排水溝の底部は、前記側壁部から離れる方向である、前記第1排水溝と連通する前記第2排水溝の入口側から前記第2排水溝の出口側に向かう方向において、前記底面部に向かって傾斜しており、
前記第2排水溝の底部の幅は、前記入口側から前記出口側に向けて幅の大きさが変化する
底面パネル。
[相違点1]
「前記底面部と交差する方向に延びる側壁部」に関して、本願発明1では、「前記底面部の周縁部から」延びるものであるのに対し、引用発明では、「前記底面部の周縁部から」延びるものであるのか定かでない点。
[相違点2]
「前記側壁部に沿って延在する第1排水溝と、前記第1排水溝と連通し、前記側壁部から離れる方向に延在する第2排水溝とが設けられており」に関して、本願発明1では、「前記側壁部に沿って延在する第1排水溝と、前記第1排水溝と連通し、前記側壁部から離れる方向に延在する第2排水溝と」は、「前記載置面」に設けられているのに対し、引用発明では、底フレーム(22)に設けられているものの、「各凸部(22c)の上端面」に設けられていない点。
[相違点3]
「前記第2排水溝の底部は、前記側壁部から離れる方向である、前記第1排水溝と連通する前記第2排水溝の入口側から前記第2排水溝の出口側に向かう方向において、前記底面部に向かって傾斜している」との事項について、本願発明1では、第2排水溝の底部は、入口側の「端部」から出口側の「端部」に向かう方向において傾斜しているのに対し、引用発明では、溝Bの底部は、入口側から出口側に向かう方向において傾斜しているものの、「端部」についてどの部分を指すのか定かでない点。
[相違点4]
「前記第2排水溝の底部の幅は、前記入口側の端部から前記出口側の端部に向けて幅の大きさが変化する」との事項について、本願発明1では、「前記入口側の端部から前記出口側の端部に向けて漸次的に大きくなる」のに対し、引用発明では、引用発明では、「入口側から出口側に向けて、大きい状態から小さい状態に変化し、さらに小さい状態から大きい状態に変化する」ものである点。
(3) [相違点1]~[相違点4]についての判断
(ア) [相違点1]について
引用文献1の図6を参照すると、部分Aは、傾斜面(22b)や凸部(22c)を介して、ベースプレート(22a)から延びることが看取できる。そして、ベースプレート(22a)に対して、傾斜面(22b)や凸部(22c)が接続される部分は、ベースプレート(22a)の周縁部であり、部分Aは、ベースプレート(22a)の周縁部から、傾斜面(22b)や凸部(22c)を介して、ベースプレート(22a)と交差する方向に延びているといえる。
また、仮に、本願発明1の「前記底面部の周縁部から前記底面部と交差する方向に延びる側壁部」との発明特定事項について、側壁部は、底面部の周縁部から直接延びるものと解釈した場合について検討する。引用発明における「ベースプレート(22a)」及び複数の「傾斜面(22b)」は、図6からみて、室外ユニットの下面を構成するといえるので、本願発明1における「底面部」に相当する。そうすると、部分Aは、「傾斜面(22b)」の周縁部から直接延びているといえるので、引用発明は、本願発明1の「前記底面部の周縁部から前記底面部と交差する方向に延びる側壁部」に相当する構成を備えている。
よって、相違点1は、実質的な相違点ではなく、引用発明は、相違点1にかかる構成を有している。
(イ) [相違点2]について
本願発明1における「第2排水溝」の機能について検討するに、本願の明細書の段落【0043】によると「この構成によれば、第1排水溝45dに滞留したドレン水60は、熱交換器載置台45の載置面45aに到達する前に、熱交換器載置台45の第2排水溝45eから排水される。したがって、上述の構成によれば、第1排水溝45dにドレン水60が滞留することを抑制でき」ることが開示されている。
また、引用文献1の溝Bの機能について検討するに、引用文献1には「隣り合う凸部(22c)の間では、室外熱交換器(30)の下端と底フレーム(22)の傾斜面(22b)との間に空間が形成されている。・・・したがって、ドレン水は室外熱交換器(30)の近傍に溜まらない。」(【0011】)と記載されていることを踏まえると、溝Bは、ドレン水が室外熱交換器(30)の近傍に溜まらなくするためのものであるといえる。また、溝Bは、その構造上、溝Aに滴下したドレン水を凸部(22c)の上端面に到達する前に排水するものであるといえる。
そうすると、引用発明における「溝B」と本願発明1における「第2排水溝」とは、同じ機能を有しているといえる。
そして、引用発明において、複数の凸部(22c)の間の排水を行う機能を有する「溝B」を「第2排水溝」と呼称し、複数の凸部(22c)と溝Aと溝Bとを一連のものとして捉え、「溝A」と「溝B」とが「複数の凸部(22c)」の「載置面に」「設けられている」と言い換えることは、表現上の微差でしかなく、実質的な相違点ではない。
よって、相違点2は、実質的な相違点ではなく、引用発明は、相違点2にかかる構成を有している。
(ウ) [相違点3]及び[相違点4]について
相違点3及び相違点4は、関連している事項であるため、合わせて検討する。また、事案に鑑みて、相違点4から検討する。
本願発明1において、「第2排水溝の底部の幅は、前記入口側の端部から前記出口側の端部に向けて漸次的に大きくなる」との発明特定事項を有する構成について検討するに、当該構成は、本願の図8、図9に図示されているように底面パネルを上から見た場合に、第2排水溝の両側に位置する2つの載置面45aの間隔がハの字状になる構成であるといえる。
一方で、引用文献1の明細書全体や図面(特に図4)を参照しても、溝Bを挟む両側の凸部(22c)は、そのようなハの字状の間隔を有するものとは認められない。
また、引用発明において、「凸部(22c)の間の溝Bの底部の幅」は、「入口側から出口側に向けて、大きい状態から小さい状態に変化し、さらに小さい状態から大きい状態に変化する」ものであり、当該構成は、上記第4の1(2)(キ)に記載したとおり、底フレーム(22)を上から見た場合に、各凸部(22c)の角部が丸みを帯びた形状であると看取できることから認められる構成である。
ここで、引用文献1の明細書全体及び図面を参照しても、引用発明は、各凸部(22c)間の溝Bの底部の幅について、技術的な意図をもって、入口側の端部から前記出口側の端部に向けて、敢えて変化させることを開示するとは認められない。そして、引用発明において溝Bの底部の幅について、「前記入口側の端部から前記出口側の端部に向けて漸次的に大きくなる」ように構成を変更することへの何らかの動機付けがあるとは認められない。
そして、本願発明1は、相違点4にかかる構成とすることにより、「空気調和装置の室外機100が傾斜面に設置され、第2排水溝45eの幅方向に傾いた場合であっても、第2排水溝45eの側部45e4、45e5のいずれかの面は、側壁部50から離れる方向に傾斜する。したがって、上述の構成によれば、第2排水溝45eにドレン水が滞留することも抑制できるため、ドレン水が凍結した氷が、熱交換器載置台45に形成されるのをより良好に防ぐことができる。」(【0050】)という作用効果を奏する。そして、当該作用効果は、引用文献1に開示されていない有利なものであるといえる。
そうすると、相違点3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2~4について
本願発明2~4は、本願発明1と同一の構成を備え、その一部を限定する(本願発明2)、あるいは他の特定事項をさらに備える(本願発明3及び4)とした発明であり、いずれも相違点4にかかる事項を有する。そして、引用文献2の技術事項及び引用文献3の技術事項は、当該相違点4にかかる事項を含むものではない。
よって、上記1の検討と同様に、本願発明2~4は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2の技術事項並びに引用文献3の技術事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~4は、当業者が引用発明及び引用文献2の技術事項並びに引用文献3の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008165