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特許拒絶査定不服審判

2022-006270

電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板

審判番号
2022-006270
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-023167外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月25日
審決日
2023年01月12日
公報発行日
2023年02月24日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 23167「電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018-129472、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年2月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 9月 4日付け:拒絶理由通知書
令和3年 1月 6日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 6月11日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和3年 8月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 1月24日付け:令和3年8月13日の手続補正についての

補正の却下の決定、拒絶査定

令和4年 4月25日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年1月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2016-063117号公報

2.特開2014-078574号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2016-029748号公報(周知技術を示す文献)

4.特開2015-185659号公報

第3 本願発明

本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和4年4月25日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、
前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し、
前記絶縁樹脂層はカーボンブラックを含み、
前記キャリアフィルムの前記絶縁樹脂層側の表面の算術平均粗さRaが0.2μm以上2.5μm以下で、
かつ、前記算術平均粗さRaと、前記キャリアフィルムの前記絶縁樹脂層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRsmとが、Ra/Rsm=6.0×10-3以上35.0×10-3以下の関係を満たす電磁波シールドフィルム。」

また、本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。

さらに、本願発明3は、本願発明1の「電磁波シールドフィルム」を引用する「電磁波シールドフィルム付きプリント配線板」の発明であり、実質的に、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「【0013】
<電磁波シールドフィルム>
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの一例を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム10は、絶縁性保護層12と、絶縁性保護層12の第1の表面を覆う金属薄膜層14と、金属薄膜層14の表面を覆うプライマ層15と、プライマ層15の表面を覆う導電性接着剤層16と、絶縁性保護層12の第2の表面を覆う第1の離型フィルム18と、導電性接着剤層16の表面を覆う第2の離型フィルム20とを備える。」
「【0015】
絶縁性保護層12としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜、熱可塑性樹脂を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。ハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜が好ましい。
【0016】
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、UV硬化アクリレート樹脂等が挙げられ、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。」
「【0018】
絶縁性保護層12は、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板に意匠性を付与するために、着色されていてもよい。
絶縁性保護層12は、貯蔵弾性率等の特性、材料等が異なる2種以上の層から構成されていてもよい。」
「【0048】
(第1の離型フィルム)
第1の離型フィルム18は、絶縁性保護層12や金属薄膜層14を形成する際のキャリアフィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム18は、電磁波シールドフィルム10をフレキシブルプリント配線板等に貼り付けた後には、絶縁性保護層12から剥離される。」

【図1】「

[図:0001393874000001.jpg]

」

したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「絶縁性保護層12と、絶縁性保護層12の第1の表面を覆う金属薄膜層14と、絶縁性保護層12の第2の表面を覆う第1の離型フィルム18とを備え、
絶縁性保護層12としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜、熱可塑性樹脂を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられ、
絶縁性保護層12は、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板に意匠性を付与するために、着色されていてもよく、
第1の離型フィルム18は、絶縁性保護層12や金属薄膜層14を形成する際のキャリアフィルムとなるものである、
電磁波シールドフィルム10。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

「【0022】
まず着色剤(a)を含有する絶縁性樹脂層(A)について説明する。
絶縁性樹脂層(A)は、導電層(B) の絶縁被覆に加えて、物理的、化学的なストレスからフレキシブルプリント配線板を保護する役割を担うものであり、優れた屈曲性が必要である。この様な観点から、絶縁性樹脂層(A) を構成する材料としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。」
「【0029】
着色剤(a)としては、有機顔料、無機顔料、染料などを使用することができ、その中でも黒色、緑色、青色及び赤色からなる群より選ばれる着色剤を使用することが好ましい。
【0030】
黒色着色剤としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的にはC.I .PigmentBl ack6、7、12、20、31、32等が挙げられる。」
「【0036】
また、黒色、緑色、青色及び赤色からなる群より選ばれる着色剤(a)の中で、隠蔽性の点でカーボンブラックが好ましい。なお、カーボンブラックの中には、導電性に優れるものもあるが、本発明の場合、そのようなものは好ましくない。導電性に優れるカーボンブラックは、一般にπ 電子導電性を有している。従って、本発明で好適に用いられるカーボンブラックは、粒子表面がπ電子共役を妨げるように表面修飾を施したものが好適である。例えば、三菱化学(株)製のMA-100が挙げられる。」

3 引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0027】
絶縁層7は、上記のような樹脂に、着色用の顔料等が含まれているものであってもよい。例えば、カーボンブラック等を挙げることができる。また、絶縁層7は、外側表面がマット処理されていてもよい。マット処理は、エンボスロール加工、練りこみマット、ケミカルマットコートおよびサンドブラスト加工等のいずれで行われるものであってもよい。」

4 引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。

「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、電磁波シールドフィルムをフレキシブルプリントサーキット(FPC)やモジュールに転写するに際して、生産効率を高めるべく、より高温での転写加工処理がなされるようになってきた。しかしながら、このような転写条件においては、上述したような従来の支持フィルムでは耐熱性が不足し、支持フィルムを剥離する際に支持フィルムが破断してしまう等の剥離性に問題がある。
【0008】
本発明は、上記を鑑みなされたもので、その目的は、電磁波シールドフィルムをFPCやモジュール等の部材に転写するに際して、良好な艶消し外観を表面に付与できると同時に、転写工程における高温処理を経ても、転写後に支持フィルムを剥離するに際して破断等の剥離性低下の生じ難い、支持フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、表面光沢度が特定範囲にあるポリエステルフィルムのサブピーク温度を特定範囲内とすれば、電磁波シールドフィルム表面に良好な艶消し外観を付与できるとともに、転写加工後のフィルム剥離性も良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。」
「【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、凹凸面側に形成した電磁波シールドフィルムをFPCやモジュール等の部材に転写するに際し、良好な艶消し外観を部材表面に付与できると同時に、かかる転写工程における高温処理を経ても、転写後に支持フィルムを剥離するに際して破断等の剥離性低下の生じ難い、電磁波シールドフィルム転写用ポリエステルフィルムを提供することができる。」
「【0013】
(光沢度:G60)
本発明の電磁波シールド転写用ポリエステルフィルムは、その少なくとも片側表面に凹凸を有しており、該表面の光沢度(G60)が10以上20以下、好ましくは10以上15以下であることが必要である。なお、ここでいう光沢度(G60)とは、JIS規格Z8741に準拠し、入射角、受光角ともに60°で測定した値である。光沢度がこの範囲であることにより、艶消し表面外観を電磁波シールドフィルム表面に好適に付与することができる。光沢度が下限より小さいものは、後述のように、粒子の添加量を増加したりサンドマット処理を強化することとなり、フィルム製膜性の悪化や転写工程での高温圧着後の重剥離化が起こるので好ましくない。一方、光沢度が超えると、電磁波シールドフィルム表面に十分な艶消し外観を付与できなくなるので好ましくない。
【0014】
続きを表示(全12行)
表面に凹凸を形成して上述のような光沢度とする方法としては、例えば少なくともフィルム片側面をサンドマット処理する方法や、少なくとも片側表面に凹凸形成のための粒子を含有する艶消し層を有する積層フィルムとする等を挙げることができる。本発明においては、より高い耐熱性を付与することができ、また異物の混入等の問題も比較的少ないことから、基材層と少なくとも一方の表面に粒子含有の艶消し層とを有する積層ポリエステルフィルム、特に両層がポリエステル、なかでもポリエチレンテレフタレートで構成された共押出しの積層ポリエステルフィルムが好ましい。
【0015】
(表面粗さ)
本発明の凹凸を有する表面(艶消し面)の10点平均粗さRzは、3000nm以上、6000nm以下であることが好ましく、より好ましくは4000nm以上、5000nm以下である。艶消し面の10点平均粗さRzがかかる範囲内であることにより、転写後の電磁波シールドフィルム表面の艶消し外観性をより高めることができる。この10点平均粗さRzが下限値に満たない場合、艶消し外観性の向上効果が小さくなる。一方、10点平均粗さRzが上限値を超える場合、艶消し外観性は良好であるものの、表面の凹凸が激し過ぎるために、製膜の際に粒子の脱落が起こったり、転写工程での高温圧着後の重剥離化が起こる等の不具合が生じることがある。
なお、艶消し表面の10点平均粗さRzは、例えば後述する平均粒径および最大粒子径を有する粒子を後述する範囲内で含有する艶消し層を有する積層ポリエステルフィルムとすることにより得られる。
【0016】
(艶消し層)
積層ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面を占める艶消し層は、表面に凹凸を形成するための粒子(凹凸形成性粒子)を含有するポリマーからなる。粒子を含有させるポリマーは特に限定されないが、ポリエステル、特に後述する基材層に用いられるポリエステルと同一のものが好ましい。また粒子の平均粒径は2.5μm以上、5.5μm以下が好ましく、その含有量は、艶消し層の質量を基準として5質量%以上、25質量%以下が好ましい。さらに、艶消し層に含有する粒子の最大粒子径を16μm以下にすることが好ましい。このような態様とすることで、十分な艶消し外観を得ながら、転写工程での高温圧着後の剥離性を優れたものにし易くなる。」
「【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、各特性値は以下の方法により測定した。
【0031】
1.光沢度(G60)
JIS規格(Z8741)に準拠し、日本電色工業(株)製のグロスメーター「VGS-SENSOR」を用いて測定した。入射角、受光角ともに60°にて測定(N=5)し、その平均値を用いた。」
「【0033】
3.平均粒径および最大粒子径
粒子をエチレングリコール中に3%の濃度になるようにミキサーで攪拌し、島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD-7000を用いて測定を行った。粒度分布測定結果から50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。また、最大粒子径は粒径d98とした。なおd98の値は累積粒径分布曲線の98%における粒径である。」
「【0036】
6.10点平均粗さRz
JIS-B0601、B0651に従い、3次元表面粗さ計(小坂研究所製、商品名:SURF CORDER SE-3CK)を使用して、触針先端R2μm、走査ピッチ2μm、走査長1mm、走査本数100本、カットオフ0.25mm、倍率5000倍の条件にて、10点平均粗さRzを測定した。」
「【0039】
[実施例1~4および比較例1~4]
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.63dl/g)に表1に示すとおりの粒子を添加して艶消し層(A層)を形成するためのA層ポリマーとし、また、A層と同様の粒子を表1の含有量にて添加し、基材層(B層)を形成するためのB層ポリマーとし、それぞれ280℃に加熱された押出機に供給し、A層ポリマー、B層ポリマーをA/Bの積層構成となるような2層フィードブロック装置を用い合流させ、その積層状態を維持したままダイスよりシートを20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを縦方向に3.2倍延伸し、その後、140℃で横方向に3.4倍に延伸し、更に表1に示す条件で熱固定して、2軸延伸積層ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を得た。各々のフィルムの評価結果を表1に示す。」

【表1】「

[図:0001393874000002.jpg]

」

したがって、引用文献4(特に、【表1】の実施例1-4)には、「粒子の平均粒径が3.0-5.3μmであり、粒子の最大粒子径が8-10μmであり、光沢度(G60)が12-18%であり、10点平均粗さRzが4010-4353nmである電磁波シールド転写用ポリエステルフィルム」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「絶縁性保護層12」は、「熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、硬化させて形成された塗膜、熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜、熱可塑性樹脂を溶融成形したフィルムからなる層等」であるから、本願発明1の「絶縁樹脂層」に相当する。

イ 引用発明の「金属薄膜層14」は、導電性を有する層であることが明らかであるから、本願発明1の「導電層」に相当する。また、引用発明の「金属薄膜層14」は、「絶縁性保護層12の第1の表面を覆う」ものであるから、上記アを踏まえると、本願発明1の「前記絶縁樹脂層に隣接する」「導電層」に相当する。

ウ 引用発明の「第1の離型フィルム18」は、「絶縁性保護層12や金属薄膜層14を形成する際のキャリアフィルムとなるものである」から、本願発明1の「キャリアフィルム」に相当する。また、引用発明の「第1の離型フィルム18」は、「絶縁性保護層12の第2の表面を覆う」ものであるから、上記ア、イを踏まえると、本願発明1の「前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接する」「キャリアフィルム」に相当する。

エ 引用発明の「電磁波シールドフィルム10」は、本願発明1の「電磁波シールドフィルム」に相当する。また、引用発明において、「電磁波シールドフィルム10は、絶縁性保護層12と、絶縁性保護層12の第1の表面を覆う金属薄膜層14と、絶縁性保護層12の第2の表面を覆う第1の離型フィルム18とを備え」るから、上記ア-ウを踏まえると、本願発明1と引用発明は、「絶縁樹脂層」と、「前記絶縁樹脂層に隣接する導電層」と、「前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有」する「電磁波シールドフィルム」である点で一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)

「絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、
前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有する、
電磁波シールドフィルム。」

(相違点1)

本願発明1では、「前記絶縁樹脂層はカーボンブラックを含」むのに対し、引用発明では、「絶縁性保護層12は、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板に意匠性を付与するために、着色されていてもよ」いとなっているが、絶縁性保護層12がカーボンブラックを含むことについては特定されていない点。

(相違点2)

本願発明1では、「前記キャリアフィルムの前記絶縁樹脂層側の表面の算術平均粗さRaが0.2μm以上2.5μm以下で、かつ、前記算術平均粗さRaと、前記キャリアフィルムの前記絶縁樹脂層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRsmとが、Ra/Rsm=6.0×10-3以上35.0×10-3以下の関係を満たす」のに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。

上記第4の4に記載のとおり、引用文献4には、「粒子の平均粒径が3.0-5.3μmであり、粒子の最大粒子径が8-10μmであり、光沢度(G60)が12-18%であり、10点平均粗さRzが4010-4353nmである電磁波シールド転写用ポリエステルフィルム」という技術的事項が記載されている。しかしながら、引用文献4には、上記相違点2に係る本願発明1の構成について記載も示唆もない。

また、引用文献2-3には、上記相違点2に係る本願発明1の構成について記載も示唆もない。

さらに、上記相違点2に係る本願発明1の構成が本願の出願前に周知技術であったともいえない。

したがって、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項から、上記相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。

よって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2について

本願発明2は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明3について

本願発明3は、本願発明1の「電磁波シールドフィルム」を引用する「電磁波シールドフィルム付きプリント配線板」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1-3は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-006270

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