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特許拒絶査定不服審判

2022-006191

感光性樹脂組成物

審判番号
2022-006191
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-005407外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月25日
審決日
2023年08月08日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G03F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 5407「感光性樹脂組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020- 64325〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続等の経緯 特願2020-5407号(以下「本件出願」という。)は、平成24年9月28日に出願された特願2012-218641号の一部を分割して、平成30年5月31日に新たな特許出願とした特願2018-105365号の一部を分割して、令和2年1月16日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和2年 2月17日 :手続補正書の提出 令和2年11月13日付け:拒絶理由通知書 令和3年 1月15日 :手続補正書、意見書の提出 令和3年 6月21日付け:拒絶理由通知書 令和3年 8月26日 :手続補正書、意見書の提出 令和4年 1月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和4年 4月25日 :審判請求書の提出 令和5年 2月 3日付け:拒絶理由通知書 令和5年 4月 5日 :意見書の提出 第2 本件発明 本件出願の請求項1~12に係る発明は、令和3年8月26日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のものである(以下「本件発明1」という。また、本件発明1~12を総称して「本件発明」という。)。 「 硬化レリーフパターンの製造方法であって、 前記製造方法は、プリベーク膜の形成工程、露光工程、現像工程、及び加熱硬化工程を有し、 前記プリベーク膜の形成工程は、 感光性樹脂組成物の調整工程と、 前記感光性樹脂組成物を基板上にスピンコートして塗膜を形成する塗膜工程と、 前記塗膜を乾燥させるプリベーク工程と、を有し、 前記感光性樹脂組成物は、 (A)酸性の官能基を有するアルカリ可溶性樹脂; (B)光酸発生剤;及び (C)25℃における蒸気圧が10Pa~250Paであり、かつ25℃における密度が0.7g/cm3~1.02g/cm3である溶媒; を含み、 前記酸性の官能基は、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの基であり、 前記調整工程は、 該感光性樹脂組成物の25℃における密度を、0.75g/cm3~1.1g/cm3の範囲内に、そして該感光性樹脂組成物の25℃における粘度を、0.5Pa・s~2Pa・sの範囲内に調整し、 前記塗膜工程では、スピンコートのスピンの回転数が、500rpm~5000rpmであり、かつ 前記硬化レリーフパターンの膜厚が、3μm~20μmである、 硬化レリーフパターンの製造方法。」 第3 当審拒絶理由の概要 令和5年2月3日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。 ●理由1(進歩性) 本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (引用文献等一覧) 1.特開2007-158324号公報 2.国際公開第2012/004536号(日本語訳として国内公表公報である特表2013-531504号公報を参照されたい。) 3.特開2005-229067号公報 4.特公平5-11613号公報 5.特開2009-175399号公報 6.特開2011-197362号公報 (引用文献1は主引例であり、引用文献2~6は技術常識又は周知技術を示す文献である。引用文献1、5は、それぞれ、原査定の理由における引用文献2、7であり、引用文献2~4、6は、新たに引用された文献である。) 第4 当合議体の判断 1 引用文献の記載事項及び引用発明 (1)引用文献1の記載 当合議体の拒絶の理由で引用文献1として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、特開2007-158324号公報には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付与したものであって、引用発明の認定又は判断で活用した箇所である。 ア 「【請求項1】 a)ノボラック樹脂; b)1,2-キノンジアジド化合物; c)光酸発生剤; d)メラミン系架橋剤;および e)溶媒 を含むことを特徴とする有機発光ダイオード用感光性樹脂組成物。 【請求項2】 a)ノボラック樹脂100重量部に対して、 b)1,2-キノンジアジド化合物5~100重量部; c)光酸発生剤1~20重量部; d)メラミン系架橋剤1~30重量部;および e)溶媒を感光性樹脂組成物内の固形分含量が10~50重量%になるように含む請求項1に記載の有機発光ダイオード用感光性樹脂組成物。 ・・・(中略)・・・ 【請求項10】 請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を用いた有機発光ダイオード基板のパターン形成方法。」 イ 「【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明のOLED用感光性樹脂組成物は、a)ノボラック樹脂;b)1,2-キノンジアジド化合物;c)光酸発生剤;d)メラミン系架橋剤;およびe)溶媒を含むことを特徴とする。 ・・・(中略)・・・ 【0028】 本発明に使用される前記e)の溶媒は、絶縁体とセパレータとの平坦性と、コーティング染みを発生しないようにして均一なパターンプロファイルを形成する作用を果たす。 ・・・ 【0029】 前記溶媒は、全感光性樹脂組成物の固形分含量が10~50重量%になるように含まれるのが好ましく、さらに好ましくは15~40重量%である。前記全組成物の固形分含量が10重量%未満である場合にはコーティング厚さが薄くなり、コーティング平坦性が低下する傾向があり、50重量%を超える場合にはコーティング厚さが厚くなり、コーティング時にコーティング装備に無理を与える傾向がある。」 ウ 「【0032】 本発明のOLED基板のパターン形成方法は、感光性樹脂組成物をインシュレータとセパレータを同時に形成してOLED基板のパターンを形成する方法において、前記感光性樹脂組成物を使用することを特徴とする。 具体的な例として、前記感光性樹脂組成物を用いてOLED基板のパターンを形成する方法は次の通りである。 【0033】 まず、本発明の感光性樹脂組成物をスプレー法、ロールコーター法、回転塗布法などで基板表面に塗布し、プリベークによって溶媒を除去して、塗布膜を形成する。この時、前記プリベークは80~120℃の温度で1~15分間実施するのが好ましい。 その後、予め準備されたパターンによって可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを前記形成された塗布膜に照射し、必要に応じて露光後ベーク(PEB)と全面露光(Flood Exposure)を実施した後、現像液で現像して、不必要な部分を除去することによって所定のパターンを形成する。 【0034】 前記現像液は、アルカリ水溶液を使用するのがよく、具体的に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、n-プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などを使用することができる。・・・ 【0035】 また、前記のような現像液で現像した後、超純水で30~90秒間洗浄して不必要な部分を除去し、乾燥してパターンを形成し、パターンをオーブンなどの加熱装置によって130~250℃の温度で30~90分間加熱処理して最終パターンを得ることができる。 【0036】 本発明による感光性樹脂組成物は感度、低誘電特性などの種々の性能に優れ、特に一つの感光性樹脂組成物で絶縁体とセパレータの2種類の層のパターンを同時に形成することができ、工程時間を短縮することができるとともに、同時にパネル上の開口率を顕著に向上させてOLED製造工程に適用するに適する。ここで、絶縁体とセパレータの2種類の層のパターンを同時に形成するとは、積層された絶縁体とセパレータとを連続的にパターニングするか、ある領域に絶縁体が形成されており、別の領域にセパレータが形成されており、それらを同時にパターニングするか、あるいはその双方を含む。」 エ 「【0037】 以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。 実施例1 (ノボラック樹脂製造) オーバーヘッド撹拌機にメタクレゾール45g、パラクレゾール55g、ホルムアルデヒド65gおよびシュウ酸0.5gを入れ、攪拌して均質混合物を製造した。前記均質混合物を95℃で加熱し、この温度を4時間維持した。還流コンデンサを蒸留装置に置き換え、均質混合物の温度を110℃で2時間蒸留させた。真空蒸留を180℃で2時間行って、残余単量体を蒸留除去し、溶融されたノボラック樹脂を室温で冷却させた。その後、GPCで重量平均分子量を測定して、重量平均分子量が3500であるノボラック樹脂を収得した。この重量平均分子量はGPCを用いて測定したポリスチレン換算平均分子量である。 【0038】 (1,2-キノンジアジド化合物製造) 4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1モルと1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸[クロライド]2モルを縮合反応させて、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステルを製造した。 【0039】 (感光性樹脂組成物製造) 前記ノボラック樹脂100重量部と前記製造した4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル30重量部、光酸発生剤としてトリアジン系TME-トリアジン(TME-Triazine)3重量部およびメラミン架橋剤としてヘキサメチロールメラミン5重量部を混合した。その後、前記混合物の固形分含量が20重量%になるようにジプロピレングリコールジメチルエーテルで溶解させた後、0.2μmのミリポアフィルターでろ過して感光性樹脂組成物を製造した。 【0040】 実施例2 前記実施例1でノボラック樹脂重合時に単量体として、メタクレゾール45gおよびパラクレゾール55gの代わりに、メタクレゾール70gおよびキシレノール30gを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0041】 実施例3 前記実施例1でノボラック樹脂重合時に単量体として、メタクレゾール45gおよびパラクレゾール55gの代わりに、メタクレゾール35g、パラクレゾール40g、およびキシレノール25gを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0042】 実施例4 前記実施例1でノボラック樹脂重合時に単量体として、メタクレゾール45gおよびパラクレゾール55gの代わりに、メタクレゾール40、パラクレゾール40g、およびトリメチルフェノール20gを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0043】 実施例5 前記実施例1で感光性樹脂組成物製造時に、光酸発生剤のトリアジン系TME-トリアジン(TME-Triazine)の代わりに、スルホニウム塩系トリフェノールスルホニウムおよび(4-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0044】 実施例6 前記実施例1で感光性樹脂組成物製造時に、光酸発生剤のトリアジン系TME-トリアジン(TME-Triazine)の代わりに、ヨードニウム塩系ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0045】 実施例7 前記実施例1で感光性樹脂組成物製造時に、光酸発生剤のトリアジン系TME-トリアジン(TME-Triazine)の代わりに、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタンを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0046】 実施例8 前記実施例1で感光性樹脂組成物製造時に、光酸発生剤のトリアジン系TME-トリアジン(TME-Triazine)の代わりに、ニトロベンジルスルホネート系2,4-ジニトロベンジルスルホネートを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0047】 比較例1 前記実施例1で感光性樹脂組成物製造時に光酸発生剤のトリアジン系TME-トリアジン(TME-Triazine)を使用しないことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。 【0048】 比較例2 前記実施例1で感光性樹脂組成物製造時に4,4‘-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステルを使用しないことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、感光性樹脂組成物を製造した。」 オ 「【0049】 前記実施例1~8および比較例1、2で製造された感光性樹脂組成物を用いて下記のような方法で物性を評価した。その結果を下記表1に示した。 イ)ポジティブ型感度-ITOの蒸着された370mm×470mmガラス基板上にスピンコーターを用いて前記実施例1~8および比較例1、2で製造した感光性樹脂組成物を塗布した後、110℃にて、2分間ホットプレート上でプリベークして、厚さが2.0μmである膜を形成した。前記形成した膜に所定パターンマスクを用いて435nmでの強度が20mW/cm2である紫外線を50μmアイソレートパターン(Isolate Pattern)CD(critical dimension)基準ドーズツクリアー(Dose to Clear)量を照射した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%の水溶液で、23℃で90秒間現像し、超純水で1分間洗浄した。その後、前記で現像されたパターンをオーブンの中で、140℃にて60分間加熱して硬化させ、厚さ1.5μmのパターン膜を得た。 【0050】 ロ)ネガティブ型感度-ITOの蒸着された370mm×470mmガラス基板上にスピンコーターを用いて前記実施例1~8および比較例1、2で製造した感光性樹脂組成物を塗布した後、110℃で2分間ホットプレート上でプリベークして、厚さが5.0μmである膜を形成した。形成した膜に所定パターンマスクを用いて435nmでの強度が20mW/cm2である紫外線を25μmアイソレートパターン(Isolate Pattern)CD基準ドーズ(Dose)量を照射し、110℃にて、90秒間ホットプレート上で露光後ベーク(PEB)をした。そして、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%の水溶液で23℃にて100秒間現像した後、超純水で1分間洗浄した。前記で現像されたパターンをオーブンの中で、140℃にて60分間加熱して硬化させ、厚さ4.0μmのパターン膜を得た。 ・・・・・ 【0053】 ホ)開口率-OLEDパネル製造時、ITOが蒸着された370×470ガラス基板上にセパレータを、25μmを基準に絶縁体とセパレータ形成時、絶縁体とセパレータを除いた残りのITO面積を開口率(%)として評価した。 まず、2-段階工程の場合、比較例1で製造した感光性樹脂組成物を用いて前記イ)の方法で絶縁体を形成し、比較例2で製造した感光性樹脂組成物を用いて前記ロ)の方法でセパレータを形成した。1-段階工程の場合、実施例1~8で製造した感光性樹脂組成物を塗布した後、110℃で2分間ホットプレート上でプリベークして、厚さが6.0μmである膜を形成した。形成した膜に所定ポジティブパターンマスクを用いて435nmでの強度が20mW/cm2である紫外線を50μmアイソレートパターンCD基準ドーズツクリアー量を照射した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%の水溶液で、23℃にて90秒間現像した後、超純水で1分間洗浄して、ポジティブパターンを形成した。その後、ネガティブパターンマスクをアラインした後、435nmでの強度が20mW/cm2である紫外線を25μmアイソレートパターンCD基準ドーズ量を照射した後、110℃にて、90秒間ホットプレート上で露光後ベーク(PEB)した。その後、マスクを除去し、前面露光を100mJ/sqcmし、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%の水溶液で、23℃にて100秒間現像した後、超純水で1分間洗浄した。前記で現像されたパターンをオーブンの中で、140℃にて60分間加熱して硬化させ、厚さ1.5μmのインシュレータと4.0μmのセパレータを同時に形成した。」 (2)引用文献1に記載された発明 上記(1)ウ【0032】、【0033】の記載を踏まえると、上記(1)オ【0050】には、上記(1)エの実施例1で製造した感光性樹脂組成物を用いた、次の「パターン形成方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「 メタクレゾール45g、パラクレゾール55g、ホルムアルデヒド65gおよびシュウ酸0.5g攪拌して均質混合物を製造し、前記均質混合物を95℃で加熱しこの温度を4時間維持し、均質混合物の温度を110℃で2時間蒸留させ、真空蒸留を180℃で2時間行って、残余単量体を蒸留除去し、溶融されたノボラック樹脂を室温で冷却させて、重量平均分子量が3500であるノボラック樹脂を収得し、 前記ノボラック樹脂100重量部、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル30重量部、光酸発生剤としてトリアジン系TME-トリアジン3重量部、及びメラミン架橋剤としてヘキサメチロールメラミン5重量部を混合し、その後、前記混合物の固形分含量が20重量%になるようにジプロピレングリコールジメチルエーテルで溶解させた後、0.2μmのミリポアフィルターでろ過して製造した感光性樹脂組成物を用い、 ITOの蒸着された370mm×470mmガラス基板上にスピンコーターを用いて前記感光性樹脂組成物を塗布した後、110℃で2分間ホットプレート上でプリベークして、厚さが5.0μmである膜を形成し、形成した膜に所定パターンマスクを用いて435nmでの強度が20mW/cm2である紫外線を25μmアイソレートパターンCD基準ドーズ量を照射し、110℃にて、90秒間ホットプレート上で露光後ベークをし、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%の水溶液で23℃にて100秒間現像した後、超純水で1分間洗浄し、前記で現像されたパターンをオーブンの中で、140℃にて60分間加熱して硬化させ、厚さ4.0μmのパターン膜を得た、パターン形成方法。」 (3)引用文献2の記載事項 当合議体の拒絶の理由で引用文献2として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、国際公開第2012/004536号には、以下の記載がある。丸括弧内の翻訳は、対応する公表公報である特表2013-531504号公報を参考にした当合議体によるものである。 ア 「 [図:0001402217000001.jpg] [図:0001402217000002.jpg] 」(14頁16行~15頁4行) ( 遠心積層(又はスピンコーティング)は基板上、好ましくはその中心にポリマを含む溶液を滴下することにある。回転基板はその表面上に滴下された溶液をスピンにより拡げて過剰液体を排出し、残留溶媒は蒸発して基板上に原料のみを残す。得られた薄膜の厚さは回転速度、溶液の粘度及び/又は濃度により変化する。 この最新の技術は例えばCranston et al., Morphological and Optical Characterization of Polyelectrolyte Multilayers Incorporating Nanocrystalline Cellulose Biomacromolecules 2006, 7, (9), 2522-2530又はCranston et al, Birefringence in Spin-Coated Films Containing Cellulose Nanocrystals Colloids and Surfaces A 2008, 325, (1-2), 44-51による文献に研究されている。 最新の技術の枠内において、検出層3を形成するように設計された層又は副層の厚さを調節するために、好都合にはDavid et al., Spin Coating of Thin and Ultrathin Polymer Films Polymer engineering and science, vol. 38, No. 12, December 1998, p 2040から得られた以下の式(1)を参照することが可能である。すなわち、 [図:0001402217000003.jpg] ただし、hf:層の厚さ η0:溶液の初期粘度 ρ :液体密度 ω :スピン速度 この原理は高分子電解質に特に有効であるが、他のタイプの相互作用を互いに有する何れの材料にも適用される。)(公表公報【0132】~【0135】) イ 「 [図:0001402217000004.jpg] 」(21頁1~9行) ( 方法 1.1.薄層の作成 1.1.1.スピン層形成による構築 支持体は70%硫酸H2SO4と30%過酸化水素H2O2から成る腐食性混合物中で30分間クリーニングされる。 支持体は次いで二つの連続する水槽内でリンスされ、窒素中で乾燥される。 全ての試験に対して、秒当たり1400rpmの同一加速度により、2000rpmの回転速度で、スピン層形成装置SPIN150NPP(SPS欧州)により層は作成される。)(公表公報【0188】~【0190】) (4)引用文献3の記載事項 当合議体の拒絶の理由で引用文献3として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、特開2005-229067号公報には、以下の記載がある。 ア 「【0024】 スピンコート法によれば、スピンナ8などで基板部材12を高速回転させることによって紫外線感光性樹脂4を基板部材12上に均一に塗布することができる。・・・均一にコーティングされた紫外線感光性樹脂4を硬化炉などによって熱を供給しプリベークさせる。 【0025】 その時、紫外線感光性樹脂4の表面と導電極部分3の表面を略同面一にする。紫外線感光樹脂4の表面と導電極部分3の表面が略同面一であるので、ハンダの分離による導通不良およびハンダの破断を抑制することができる。したがって、ハンダ付けの長期信頼性を得ることができる。紫外線感光性樹脂4の表面と導電極部分3の表面を略同面一にするため、コーティングする膜厚を基板電極2における導電極部分3の高さ(たとえば0603サイズの部品を実装するためのビルドアップ多層基板においては約30μm)と略同じにすることが望ましい。そのため、コーティングに必要な条件(たとえばコーティングする紫外線硬化樹脂4の粘度を鑑みたスピンナの回転数と膜厚の関係)を明確にしなければならない。本実施の形態では先ず使用する紫外線感光性樹脂4の粘度を900mPa・sとして回転数と膜厚の関係を図3に示すように明確にした。このグラフによって、たとえば求める膜厚が30μmであれば回転数を500rpmにすることで、コーティングする紫外線感光性樹脂4の膜厚を基板電極2における導電極部分3と略同等の高さに形成することが可能となる。」 イ 「【図4】 [図:0001402217000005.jpg] 」 (5)引用文献4の記載事項 当合議体の拒絶の理由で引用文献4として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、特公平5-11613号公報には、以下の記載がある。 「 本発明の組成物は、置換フエノール溶媒または置換フエノール溶媒と極性溶媒および上記の低沸点有機液体化合物との混合物中で熱可塑性のプレイミド化したポリイミドをクマリン染料と混合することによつて製造する。本発明の膜溶液は通常約10~約20重量%のポリイミド樹脂を含む。クマリン染料は溶液の重量基準で約0.1~約1重量%、あるいは全固形物の約1~約3重量%の濃度で調合物中に通常存在できる。置換フエノール溶媒あるいは溶媒の混合物およびこの混合物からなる組成物の量は公知のコーテイング技術により所望される一定の厚みおよびコーテイング品質を得るように選択する。 本発明の組成物は好適な支持体上にスピンコーテイング、浸漬、刷毛塗り、ロール塗り、噴霧などのような慣用の任意の方法によつてでも被覆されるリフト-オフ膜あるいはマスキング膜として使用してよい。用いられる特定の技法は溶液の密度、粘度、および固形物含有量によつて決まる。2000~10000rpmでの1~90秒間のスピンコーテイングが良好なものであることがわかり、かつ均一なリフト-オフ層になる。リフト-オフ膜として使用するときは、本発明の組成物の支持体上の厚みは約0.5~約8ミクロンの範囲でよく、大部分のリフト-オフ方法について約1.5~約2.5ミクロンの厚みが好ましい。マスキング膜として使用するときは、付着した膜の厚みは当該技術において周知のごとく、用いられるエツチング方法によつて決まる。 実際上は、本発明の組成物をリフト-オフ膜として使用するときは、リフト-オフ膜材料の溶液は半導体基体上にスピンコーテイングによつて下引き層膜として塗布する。層の厚みは基体上に付着された材料の粘度と付着中のスピンされる速度によつて調整される。集積回路の応用分野で使用するときは、典型的には、厚みは1.5~2.5ミクロン、好ましくは約1.8~2.0ミクロンの範囲内である。」(6頁右欄8行~7頁左欄1行) (6)引用文献5の記載事項 当合議体の拒絶の理由で引用文献5として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、特開2009-175399号公報には、以下の記載がある。 ア 「【0013】 本発明の感光性組成物は次のようにして調製できる。まず、無機粉末に分散剤を加えて、1次混合物を得る(混合工程)。次に、前記1次混合物を100MPa以上の高せん断応力をかけて固練りする(1次分散工程)。その後、感光性有機成分を加えて2次混合物を得る(2次混合工程)、2次混合物をロールミル等にて分散する(2次分散工程)。最後に、有機溶剤を加えて粘度を調整する(粘度調整工程)。」 イ 「【0016】 感光性組成物の粘度調整は無機成分、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は0.5~200Pa・sが好ましい。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、0.5~5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10~20μmを得るには、50~200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2~20Pa・sが好ましい。 【0017】 溶液の粘度を調整するために用いられる有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトン、テルピネオール、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。」 (7)引用文献6の記載事項 当合議体の拒絶の理由で引用文献6として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、特開2011-197362号公報には、以下の記載がある。 ア 「【0057】 本発明の樹脂組成物の粘度は、2~5000mPa・sが好ましい。粘度が2mPa・s以上となるように固形分濃度を調整することにより、所望の膜厚を得ることが容易になる。一方粘度が5000mPa・s以下であれば、均一性の高い塗布膜を得ることが容易になる。このような粘度を有する樹脂組成物は、例えば固形分濃度を5~60重量%にすることで容易に得ることができる。」 イ 「【0071】 (2)イミド化率測定 (a)成分の樹脂のイミド化率は、次の方法で測定した。まず、各実施例の方法で得られた(a)成分の粉体を35重量%の濃度でγ-ブチロラクトン(以降GBLと呼ぶ)に溶解させ、6インチのシリコンウェハー上に塗布現像装置Mark-7(東京エレクトロン(株)製)を用いて120℃で3分間のベーク後の膜厚が5μmになるように塗膜を作製した。・・・ ・・・(中略)・・・ 【0073】 (4)感光特性の評価 ワニスを、6インチのシリコンウェハー上に120℃で3分間のベーク後の膜厚が5μmになるように、塗布現像装置Mark-7(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークを行なった。露光機i線ステッパーDSW-8000(GCA社製)にパターンの切られたレチクルをセットし、50~1000mJ/cm2の露光量で50mJ/cm2ステップで露光した。露光後、Mark-7の現像装置を用いて、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液(多摩化学工業(株)製)を用いてパドル法で現像液の吐出時間10秒、パドル時間40秒の現像を2回繰り返し、その後純水でリンス後、振り切り乾燥し、ポジ型のパターンを得た。・・・ ・・・(中略)・・・ 【0076】 (7)硬化膜の機械特性の評価 ワニスを6インチのシリコンウェハー上に、120℃で3分間のプリベーク後の膜厚が11μmとなるように塗布現像装置Mark-7を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークした後、イナートオーブンCLH-21CD-S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で3.5℃/分で200℃まで昇温し、200℃で1時間加熱処理を行なった。」 2 対比 本件発明1と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。 (1)「(A)酸性の官能基を有するアルカリ可溶性樹脂」について 引用発明の「感光性樹脂組成物」における「ノボラック樹脂」は、酸性の官能基を有するアルカリ可溶性樹脂であって、フェノール性水酸基を有している樹脂であることは技術常識から明らかであるから、本件発明1の「(A)酸性の官能基を有するアルカリ可溶性樹脂」に相当し、本件発明1の「前記酸性の官能基は、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの基であり」との構成も備える。 (2)「(B)光酸発生剤」について 引用発明の「感光性樹脂組成物」における「4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル」又は「光酸発生剤」としての「トリアジン系TME-トリアジン」は、本件発明1の「(B)光酸発生剤」に相当する。 (3)「(C)溶媒」について 引用発明の「感光性樹脂組成物」における「ジプロピレングリコールジメチルエーテル」は、感光性樹脂組成物における固形分としての混合物を溶解させるものであるから、「溶媒」であることは明らかである。 そして、所定温度での「蒸気圧」及び「密度」は物質固有の物性値であるところ、本件明細書【0158】の「使用した溶媒、及びそれらの25℃での蒸気圧と密度を下記に示す:・・・(中略)・・・(C-8)ジプロピレングリコールジメチルエーテル(蒸気圧70Pa、密度0.91g/cm3)」との記載によれば、「ジプロピレングリコールジメチルエーテル」が、「25℃における蒸気圧が10Pa~250Paであり、かつ25℃における密度が0.7g/cm3~1.02g/cm3である」との条件を満たすことは明らかであるから、引用発明の「ジプロピレングリコールジメチルエーテル」は、本件発明1の「(C)25℃における蒸気圧が10Pa~250Paであり、かつ25℃における密度が0.7g/cm3~1.02g/cm3である溶媒」に相当する。 (4)「硬化レリーフパターンの製造方法」について また、引用発明は、パターン形成方法として、「感光性樹脂組成物を製造」する工程、「ガラス基板上にスピンコーターを用いて前記感光性樹脂組成物を塗布」する工程、「ホットプレート上でプリベークして、厚さが5.0μmである膜を形成」する工程、「形成した膜に所定パターンマスクを用いて・・・紫外線を・・・照射」する工程、「水溶液で・・・現像」する工程、「現像されたパターンをオーブンの中で、・・・加熱して硬化させ、厚さ4.0μmのパターン膜」を形成する工程、を順に有しているところ、 引用発明の、「感光性樹脂組成物を製造」する工程、「ガラス基板上にスピンコーターを用いて前記感光性樹脂組成物を塗布」する工程、及び、ホットプレート上でプリベークし所定の厚さの膜を形成する工程は、それぞれ、本件発明1の「感光性樹脂組成物の調整工程」、「前記感光性樹脂組成物を基板上にスピンコートして塗膜を形成する塗膜工程」、及び、「前記塗膜を乾燥させるプリベーク工程」に相当し、引用発明のこれら3つの工程が、本件発明1の「前記プリベーク膜の形成工程」に相当する。 また、引用発明の、「形成した膜に所定パターンマスクを用いて・・・紫外線を・・・照射」する工程、「水溶液で・・・現像」する工程、「現像されたパターンをオーブンの中で、・・・加熱して硬化させ」、及び、「現像されたパターンをオーブンの中で、・・・加熱して硬化させ、厚さ4.0μmのパターン膜」を形成する工程は、それぞれ、本件発明1の「硬化レリーフパターンの製造方法」における「露光工程」、「現像工程」、及び、「加熱硬化工程」に相当する。 そして、引用発明の「パターン膜」は、その厚さからみて、本件発明1において「膜厚が、3μm~20μmである」とされる「硬化レリーフパターン」に相当し、引用発明の「パターン形成方法」は、本件発明1の「硬化レリーフパターンの製造方法」に相当する。 3 一致点及び相違点 上記2の対比によれば、本件発明1と引用発明とは、 「硬化レリーフパターンの製造方法であって、 前記製造方法は、プリベーク膜の形成工程、露光工程、現像工程、及び加熱硬化工程を有し、 前記プリベーク膜の形成工程は、 感光性樹脂組成物の調整工程と、 前記感光性樹脂組成物を基板上にスピンコートして塗膜を形成する塗膜工程と、 前記塗膜を乾燥させるプリベーク工程と、を有し、 前記感光性樹脂組成物は、 (A)酸性の官能基を有するアルカリ可溶性樹脂; (B)光酸発生剤;及び (C)25℃における蒸気圧が10Pa~250Paであり、かつ25℃における密度が0.7g/cm3~1.02g/cm3である溶媒; を含み、 前記酸性の官能基は、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1つの基であり、 前記硬化レリーフパターンの膜厚が、3μm~20μmである、 硬化レリーフパターンの製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 本件発明1は、 「 前記調整工程は、 該感光性樹脂組成物の25℃における密度を、0.75g/cm3~1.1g/cm3の範囲内に、そして該感光性樹脂組成物の25℃における粘度を、0.5Pa・s~2Pa・sの範囲内に調整し、 前記塗膜工程では、スピンコートのスピンの回転数が、500rpm~5000rpmであり、」 との発明特定事項を備えるのに対して、引用発明は、調整工程において、感光性樹脂組成物の密度及び粘度を上記範囲内に調整しているものか不明であり、塗膜工程におけるスピンコートのスピンの回転数が不明である点。 3 判断 上記相違点について検討する。 (1)上記1(3)イ、(4)、(5)に示した引用文献2~4の記載事項によれば、スピンコートによる塗膜方法におけるスピンの回転数として「500rpm~5000rpm」は一般的な範囲内のものであると認められるから、引用発明のスピンコートにおけるスピンの回転数を上記一般的な範囲内である「500rpm~5000rpm」に想定して、感光性樹脂組成物の調整を行うことは、当業者が通常試みることである。 (2)また、引用発明の感光性樹脂組成物は、混合物の固形分含量が20重量%であって、固形分以外は溶媒であってその含量は80重量%であると認められ、また、上記2(3)に示したとおり、当該感光性樹脂組成物における溶媒「ジプロピレングリコールジメチルエーテル」の25℃における密度は「0.91g/cm3」である。ここで、固形分の25℃における密度は不明であるものの、その大半を占めるノボラック樹脂の密度は、通常、1.0g/cm3より少し大きい程度であることを踏まえると、引用発明の感光性樹脂組成物の25℃における密度が、「0.75g/cm3~1.1g/cm3の範囲内」にあることは明らかである。 してみると、引用発明は、感光性樹脂組成物の調整工程において、「該感光性樹脂組成物の25℃における密度を、0.75g/cm3~1.1g/cm3の範囲内に」「調整し」ているといえる。 (3)そして、スピンコートによる塗膜方法において、得られる塗膜の膜厚がスピンの回転数、溶液の粘度及び密度の関数として定まること(上記1(3)の引用文献2の記載載を参照。)、溶液の粘度を調整し所望の膜厚を得られるようにすること(上記1(4)の引用文献3、上記1(5)の引用文献4、上記1(6)の引用文献5の記載を参照。)は、本件出願前における当業者にとっての技術常識であると認められるところ、所望の膜厚の硬化レリーフパターンを得るための感光性樹脂組成物の粘度として、「0.5Pa・s~2Pa・s」という範囲は格別のものではない(上記1(6)の引用文献5、上記1(7)の引用文献6、上記1(4)の引用文献3の記載を参照。)から、上記(1)の調整にあたり、引用発明の「感光性樹脂組成物」の粘度を上記「0.5Pa・s~2Pa・s」の範囲内に調整することは、当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。 なお、粘度を調整するために固形分含量(溶媒の含量)を調整する際には、組成物の粘度だけでなく密度も変化することが考えられるが、上記(1)の検討を踏まえると、粘度に比べて密度は大きく変化することはなく、溶媒として25℃における密度が0.91g/cm3であるジプロピレングリコールジメチルエーテルをもっぱら用いている以上、感光性樹脂組成物の25℃における密度が「0.75g/cm3~1.1g/cm3の範囲」外のものとなることはないと考えられる。(このことは、本件出願の明細書における実施例/比較例において、比較例13及び14が、ワニスの粘度を本件発明1の範囲外(それぞれ、4P及び22P)に調整した他は、実施例1(その粘度は10P)と同様にポジ型感光性樹脂組成物を調製しているが、感光性樹脂組成物の密度は実施例1から大きく変化せず、依然として本件発明1の範囲内であることからも、容易に推認できることである。)。 (4)以上によれば、本件発明1は、引用発明に基づいて、上記の技術常識及び周知技術を踏まえた当業者が、容易に想到し得たものである。 (5)なお、請求人は、令和5年4月5日提出した意見書の「2.理由1(進歩性)について」において、 「 上記のご認定に関連しまして、引用文献1の段落[0029]には、コーティング厚さ、およびコーティング平坦性の観点から溶媒の量について「前記溶媒は、全感光性樹脂組成物の固形分含量が10~50重量%になるように含まれるのが」好ましいことが記載されています。しかしながら、この記載は、濃度であって、密度ではありません。 また、引用文献2、3も密度には言及していません。 一般に、例えば本件発明1のように、濃度を濃くしても比重の軽い溶媒を使えば密度は低くなり、他方では、濃度を薄くしても比重の重い溶媒を使えば密度は高くなりますので、濃度を調節することがそのまま密度を調節することにはなりません。そのため、「溶液の粘度及び/又は密度の関数として定まり・・・ことは・・・技術常識である」というご認定には飛躍がありまして、技術常識とまではいえないことが考えられます。よって、より少ない吐出質量で所定膜厚のプリベーク膜を得て、その膜厚均一性を優れたものにするために、密度を本件発明1の所定の範囲内にすることは、当業者が容易に想到し得たものではないと思料します。」 と主張している。 上記主張について検討する。 請求人が主張するとおり、確かに濃度を調節することが必ずしも密度を調節しているとはいえないものの、上記(3)に述べたように、スピンコートによる塗膜方法において、得られる塗膜の膜厚がスピンの回転数、溶液の粘度及び密度の関数として定まることが技術常識であることは揺るがない事実である。そして、スピンの回転数を一般的な範囲内に想定した上で、所定の膜厚が得られるように、密度の条件を満たしたまま、粘度を調整することは、当業者が適宜なし得る設計的事項であることも、上記(3)に示したとおりである。 よって、上記主張をもってしても、本件発明1は引用発明及び技術常識又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとの判断を覆すには至らない。 第5 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-006191

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