2022-006164
空気調和機
- 審判番号
- 2022-006164
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-211581外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月25日
- 審決日
- 2023年01月05日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月1日の出願であって、令和3年7月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年2月28日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年4月25日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和4年2月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(1)この出願の請求項1~3、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)この出願の請求項4、6~10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)この出願の請求項11~13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1~3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2015-025564号公報
2.特開2003-090623号公報
3.特開2005-221089号公報
第3 本願発明
本願の請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、令和3年10月5日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願発明1-13は、以下のとおりである。
「【請求項1】空気調和機であって、送風を行う送風部と、光を出射する光出射部と、続きを表示(全32行)前記送風部及び前記光出射部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記送風部からの風量が第1の風量である場合における前記光出射部から出射される光の焦点位置が、前記送風部からの風量が前記第1の風量よりも強い風量である第2の風量である場合における前記光出射部から出射される光の焦点位置よりも前記空気調和機に近くなるように、前記送風部からの風量に応じて前記光出射部から出射される光を制御する空気調和機。【請求項2】前記送風部は、風向きを調節する風向調節部を有する請求項1に記載の空気調和機。【請求項3】前記制御部は、前記風向調節部を制御することにより、前記光出射部から出射される光の方向を制御する請求項2に記載の空気調和機。【請求項4】前記光出射部は、前記風向調節部に固定されている請求項3に記載の空気調和機。【請求項5】前記制御部は、前記風向調節部の動作とは独立して前記光出射部から出射される光の方向を制御する請求項2に記載の空気調和機。【請求項6】前記風向調節部は、ルーバを有する請求項2から5のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項7】前記風向調節部は、フラップを有する請求項2から6のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項8】前記制御部は、前記風量に応じて前記光出射部から出射される光の焦点位置を制御する請求項1から7のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項9】前記光出射部は、前記光を放射する光源と、前記光源と共に用いられる光学素子とを有する請求項8に記載の空気調和機。【請求項10】前記制御部は、前記風量に応じて前記光学素子に対する前記光源の位置を制御することにより前記焦点位置を制御する請求項9に記載の空気調和機。【請求項11】前記制御部は、前記風量に応じて前記光出射部から出射される光の強度を制御する請求項1から10のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項12】前記送風部は、気流を生成するファンを有する請求項1から11のいずれか1項に記載の空気調和機。【請求項13】前記制御部は、前記ファンの回転数を制御することにより前記風量を制御する請求項12に記載の空気調和機。」
第4 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2015-025564号公報には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付したものである。また、「・・・」は記載の省略を意味する。以下同様。)。
ア「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の構成の空気調和機では、音声のみに頼る操作となり、周囲雑音などの状況によっては誤動作が発生し、所望の正確な動作ができなくなる可能性があるという課題を有していた。
・・・
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明による空気調和機は、空気調和機の運転設定情報を含む画像を投影する投影手段と、撮像手段とを備え、前記撮像手段が、前記投影手段により投影された画像と、在室者との位置関係を検出し、その検出結果に基づいて、運転設定を変更するものである。」
イ「【0033】
図2は本発明の実施の形態における空気調和機の室内ユニットの斜視図である。
・・・
【0037】
室内ユニット11の本体内には、室内送風機6と、室内送風機6の上部を囲むように配された室内熱交換器5と、さらには室内熱交換器5を囲むようにエアフィルタ(図示せず)が配置されている。
・・・
【0041】
また、前面パネル13には、本発明における投影手段である投影部21が、室内ユニット11の略中央部に配置されている。
【0042】
投影部21は、LEDやハロゲンランプなどからなる光源部や、LCD(透過型液晶)やLCOS(反射型液晶)などの画像素子、およびレンズ、必要に応じミラーなどから構成されている。
【0043】
投影部21のレンズは、投影方向に前後に稼働することで投影画像の焦点を調節することができ、レンズを自動的に焦点があった位置へ調整可能となっている。また、投影部21のレンズは、稼働することにより、投影位置や方向を自在に調整することができる。」
ウ「【0049】
図3に示すように、空調制御部31は、室内配管温センサ7や室外配管温センサ9などから出力される信号に基づき、圧縮機1や四方弁2、室内送風機6や、上下風向偏向羽根17、左右風向偏向羽根18などの、空調運転に必要な空気調和機の各構成部品の制御を行う。
・・・
【0052】
投影部21は、投影画像信号出力部35からの出力指示に基づき、投影制御部36により制御されて、被空調室内に画像を可視光で光学的に投影する。
・・・
【0056】
図4は、被空調室内に画像が投影された状態を示す概念図であり、41は、被空調室内に在室するユーザを示している。被空調室内に在室するユーザ41が、空気調和機に画像の投影を指示すると、図4に示すように、空気調和機への運転状態を指示する画像が、被空調室内に投影される。」
エ「【0081】
投影部21により投影される画像には、空気調和機の運転設定情報を含むものとする。より具体的には、「冷房」、「暖房」、「除湿」、「自動」などの空気調和機の運転モードに関する情報や、設定温度に関する情報や、風量設定や風向設定に関する情報や、空気清浄機能など各種の付加機能の運転状態に関する情報を、文字情報として画像化したものである。
・・・
【0095】
このように、空気調和機から吹き出される風を、被空調室内の対応する位置へとユーザ41が直接指定することができるため、ユーザ41が空気調和機に設定されている風向や風量を直感的に理解でき、また個人の嗜好に合わせて、空気調和機への運転指示を、きわめて容易にかつ直感的に自在に指示することが可能となる。」
オ 「【図4】[図:0001392967000001.jpg]」
したがって、上記ア~オの事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「空気調和機であって、室内送風機6と、被空調室内に画像を可視光で光学的に投影する投影部21と、室内送風機6及び投影部21を制御する空調制御部31又は投影制御部36とを備え、投影部21のレンズは、投影方向に前後に稼働することで投影画像の焦点を調節することができ、レンズを自動的に焦点があった位置へ調整可能となっており、投影部21により投影される画像は、風量設定や風向設定に関する情報を、文字情報として画像化したものである空気調和機。」
(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2003-090623号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0009】発光素子4の配置は、前記以外に、吹出口2の下方であってもよく、あるいは図2に例示する如く、吹出口2の内側に配置することも妨げない。【0010】ところで本発明は、キャビネットの足元温風器だけでなく、エアコンに適用することも可能である。この場合、図3に示す如く、発光素子4は、エアコン10におけるエア吹出口11内に設けられるルーバー12に装着することが考えられる。勿論、発光素子4を、エア吹出口11の周囲に配置する態様を採用してもよい。」
(3)引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開2005-221089号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0095】上記構成において、風量表示手段4は羽根1bに取付けた光源4bが回転することにより大きな円として表示し、さらに実際の風量を発光パターン、設定風量の70%以上である時は点灯、設定風量の50%以上70%未満の時は点滅、設定風量の50%未満の時は消灯、として報知することにより、居住者は換気送風装置から離れた位置であっても、実際の風量を一目で容易に認識することができる。【0096】なお、実施の形態1では、風速検出手段2に熱線式風速計を用いたが、熱線式風速計にかえて超音波式風速計や翼車式風速計あるいはピトー管式風速計などを用いてもよく、その作用効果に差異を生じない。【0097】また、発光パターン決定の所定条件は、必ずしも3段階である必要は無く、2段階以下もしくは4段階以上であっても良い。【0098】また、光源4bの発光パターンは輝度の変化、例えば風量が大きいほど輝度も大きい、であっても良いさらに、光源4bの個数は、単数または複数であっても良い。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「空気調和機」、「室内送風機6」は、それぞれ、本願発明1の「空気調和機」、「送風を行う送風部」に相当する。
イ 引用発明の「被空調室内に画像を可視光で光学的に投影する投影部21」は、光を出射することが明らかであるから、本願発明1の「光を出射する光出射部」に相当する。
ウ 引用発明の「空調制御部31又は投影制御部36」は、本願発明1の「制御部」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、
「空気調和機であって、送風を行う送風部と、光を出射する光出射部と、前記送風部及び前記光出射部を制御する制御部とを備える空気調和機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明1は、「前記制御部は、前記送風部からの風量が第1の風量である場合における前記光出射部から出射される光の焦点位置が、前記送風部からの風量が前記第1の風量よりも強い風量である第2の風量である場合における前記光出射部から出射される光の焦点位置よりも前記空気調和機に近くなるように、前記送風部からの風量に応じて前記光出射部から出射される光を制御する」の対し、引用発明は、「投影部21のレンズは、投影方向に前後に稼働することで投影画像の焦点を調節することができ、レンズを自動的に焦点があった位置へ調整可能となっており、
投影部21により投影される画像は、風量設定や風向設定に関する情報を、文字情報として画像化したものである」点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
引用発明の投影部21により投影される画像は、風量設定や風向設定に関する情報を、図4に示すように床などに文字情報として画像化したものである。また、引用発明において、投影部21のレンズが前後に稼働することで投影画像の焦点を調節するのは、レンズを自動的に焦点があった位置へ調整して、投影画像によって表現される床などの文字情報をユーザが認識できるようにするものであって、風向や風量に応じて光の焦点位置を変更するものではない。
そして、引用発明において、風向や風量に応じて光の焦点位置を変更した場合、床面などの平坦な面の位置に関わらず投影画像(文字情報)の焦点位置が変更されることとなり、ユーザは、空気調和機に設定されている風向や風量を認識することが困難となるから、引用発明において、風量に応じて光の焦点位置を変更することや、弱風量時に強風量時よりも空気調和機に近い位置に光の焦点が位置するように構成する動機付けはない。
したがって、本願発明1は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2~13について
本願発明2~13は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえず、さらに引用文献2、3に記載された事項を考慮しても当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~3、5は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本願発明4、6~10は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、本願発明11~13は、引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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