特許拒絶査定不服審判
2022-005808
おむつ交換台
- 審判番号
- 2022-005808
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-196190
- 請求日
- 2022年04月18日
- 審決日
- 2023年03月27日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コンビ株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】伊藤 健太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 八木 誠
- 審判官 出口 昌哉
- 分類
- P18 .121-Z (A47D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-196190号「おむつ交換台」拒絶査定不服審判事件〔令和2年4月23日出願公開、特開2020-62225号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年10月17日の出願であって、令和3年5月31日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月23日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、同年9月16日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月26日に意見書が提出されたが、令和4年1月11日付で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して同年4月18日に拒絶査定に対する審判請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明は、令和3年6月23日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
2つの側板と、該2つの側板間に設けられた天板と、該天板上に設けられた分割板であって、前記天板上のスペースを、乳幼児を配置するスペースと物品を配置するスペースとに分割する分割板と、を具備し、
前記天板の下には、単一のスペースが設けられていることを特徴とするおむつ交換台。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定における拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1~3
・引用文献 1、2
<引用文献等一覧>
1.公益社団法人 全国私立保育連盟、トイレのこだわり・ハンガリー、保育のこだわり、2013年5月7日、http://www.zenshihoren.or.jp/specialized/feature/article.html?id=58
2.水上金属株式会社、2018年度版 みんなの想いを omoio 製品カタログ、日本、2018年9月27日、16-19ページ、https://www.omoio.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/omoio-catalog-2018.pdf、http://www.omoio.jp/%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%82%A4%E3%82%AA%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%B02018%E5%B9%B4%E7%89%88%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/
第4 引用文献等の記載事項等
1 引用文献1について
(1)記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
ア 「ハンガリーでは排泄や食事など育児に関する世話をとても丁寧にします。
見学中、おむつ交換にひとりあたり15分くらいかけていることもありました。職員の配置は日本とほぼ同じで1.2歳児混合クラス12人で保育士2人、2クラスにひとり助手がいます。トイレは、2クラスに1部屋ありとても清潔で美しく整えられています。そこに、おむつ交換台2台、便器2個がありました。クラスに各1つということです。
排泄の世話は担当の保育士がします。おむつ換えをしている間、保育士はずっと子どもに話しかけていました。「気持ちよくなったかしら」「こちらの足をあげるわよ~」「今度はこちらの足」すると、子どもも保育士の言葉に反応し足をあげて協力をしていました。
おむつの交換はいつも同じ手順で行なわれています。おしりを拭いたあと、交換台のとなりにある洗面台でお湯でおしりを洗い、クリームを塗ります(ヨーロッパでは水が硬水で皮膚が乾燥するため)。交換台から洗面台へ約半歩移動するときもおしりはちゃんとタオルでくるんでいました。小さな子にもスッポンポンでさっと移動するのではなく、大事に関わっていることが表れています。
こんな日々の中で自分が大切にされていることを実感し、自尊感情が育っていくのだと思いました。」
イ 画像
[図:0001397838000001.jpg]
ウ 画像
[図:0001397838000002.jpg]
エ 画像
[図:0001397838000003.jpg]
(2)引用発明
上記ア、エ(特に上記エ)の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「2つの側板と、2つの側板間に設けられた天板と、天板上に設けられた分割板であって、天板上のスペースを、乳幼児を配置するスペースと物品を配置するスペースとに分割する分割板と、を具備し、
天板の下には、複数の収容棚が設けられている、おむつ交換台。」
2 引用文献2について
(1)記載事項
引用文献2には以下の事項が記載されている。
ア オムツっ子NRの画像(16ページ)
[図:0001397838000004.jpg]
イ オムツっ子NRの画像(17ページ)
[図:0001397838000005.jpg]
ウ オムツっ子NW(18ページ)
「■荷物棚 交換台下部に手荷物などを置くことができます。」
エ オムツっ子NWの画像(18ページ)
[図:0001397838000006.jpg]
(2)引用文献2の記載から認められること
上記(1)ア、ウ及びエを総合すると、引用文献2には、「天板の下に単一のスペースが設けられた「オムツっ子NR」(16、17ページ)及び天板の下に荷物棚を配置することによって複数のスペースが設けられた「オムツっ子NW」」(18ページ)(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「側板」は、その機能や構造からみて、前者の「側板」に相当し、以下同様に、「天板」は「天板」に、「分割板」は「分割板」に、「乳幼児を配置するスペース」は「乳幼児を配置するスペース」に、「物品を配置するスペース」は「物品を配置するスペース」に、「おむつ交換台」は「おむつ交換台」に、それぞれ相当する。
そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「2つの側板と、2つの側板間に設けられた天板と、天板上に設けられた分割板であって、天板上のスペースを、乳幼児を配置するスペースと物品を配置するスペースとに分割する分割板と、を具備するおむつ交換台。」
<相違点1>
本願発明では、天板の下には「単一のスペース」が設けられているのに対し、引用発明では、天板の下には「複数の収納棚」が設けられている点。
2 相違点についての判断
引用文献2には、おむつ交換台として、天板の下に荷物棚(収納手段)を設けるものだけでなく、天板の下に単一のスペースを設けるもの記載されているから、引用文献2に接した当業者であれば、おむつ交換台の天板の下の構成として、収納手段を設けるものの他に、単一のスペースを設けるものも選択肢の1つとしてあることが認識できるのは明らかである。
また、一般的に部品点数や製造工程が増えるとコストが上がるという技術常識を勘案すると、天板の下に単一のスペースを設けるものが、天板の下に荷物棚等の収納手段を設けるものより、コストが安いことも自明なことである。
そうすると、引用文献1、2に接した当業者であれば、引用発明において、使い勝手やコスト等を考慮して、天板の下の複数の収納棚に替えて単一のスペースを設けることで、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
そして、本願発明の効果は、引用文献1、2から当業者が予測し得る程度のものにすぎず、格別なものであるとは認められない。
3 請求人の主張について
請求人は、(1)引用発明は、保育施設で複数の乳幼児におむつ交換等を行うためのものであるのに対し、引用文献2に記載のおむつ交換台は、1人の保護者が1人の乳幼児のおむつ交換を行うためのもので、対象となる使用者が全く異なるものであるから、引用発明において、引用文献2に記載された事項を適用することには動機付けはなく、(2)引用発明において、天板の下の複数の収納棚を排除して単一のスペースを設けることには、保育施設の職員からの反発等の観点から阻害要因があるといえ、また、(3)本願発明は、天板の下に単一のスペースを設けることで、そのスペースに荷物や乳母車等を置くこともでき、設置スペースを有効に活用できるという顕著な効果を奏するもの(本願の明細書の【0029】参照。)であるから、
本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない旨主張する(特に、審判請求書の「3-1」参照。)。
まず、上記(1)について検討する。引用文献2の17ページには、天板の下に単一のスペースが設けられた「オムツっ子NR」が複数隣り合って並べる例(上記「第3 2(1)イ」)が記載されていることを勘案すると、引用文献2に記載されたおむつ交換台は、1人の保護者が1人の乳幼児のおむつ交換を行うことだけではなく、複数の乳幼児に対して別々の人がおむつ交換を行うことが必要な様々な施設で利用されることも想定されているのは明らかである。
次に、上記(2)について検討する。引用発明において、天板の下の複数の収納棚に替えて単一のスペースを設けた場合、該スペースをどのように利用するのかは使用者の自由であり、何らかの収容手段を該スペースに設けることも可能であり、例えば、収容手段を設ける場合、そのおむつ交換台専用の収容手段だけでなく、広く世間に流通している種々の製品から収容手段を選ぶことも可能であるから、保育施設ごとのニーズに対応することも可能になる。よって、引用発明において、天板の下の複数の収納棚を排除して単一のスペースを設けることに阻害要因があるとは認められない。
そして、上記(3)の主張における本願発明の効果は、本願の明細書の記載に基づくものではない。仮に、請求人の主張する効果があるとしても、引用文献1、2に接した当業者であれば、予測し得る程度のものにすぎない。
以上によれば、請求人の上記主張は、採用することはできない。
4 小括
以上によれば、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献等2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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