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特許拒絶査定不服審判

2022-005772

乗客コンベアのチェーン伸び検出装置

審判番号
2022-005772
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-129368外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月18日
審決日
2023年10月11日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B66B) / P18 .537-WZ (B66B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-129368「乗客コンベアのチェーン伸び検出装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月10日出願公開、特開2022- 26078〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和2年7月30日に出願された特願2020-129368号であり、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 3年 9月16日付け 拒絶理由通知

同年11月29日 意見書、手続補正書

令和 4年 1月17日付け 拒絶査定

同年 4月18日 審判請求書、手続補正書

令和 5年 3月27日付け 拒絶理由通知

同年 6月 1日 意見書、手続補正書

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明は、令和5年6月1日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

〔本願発明〕

「伸び検出対象のチェーンが掛け渡された一対のスプロケットのうち、一方の前記スプロケットを回転可能、かつ、一方の前記スプロケットを他方の前記スプロケットとの間の距離を可変可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を介して前記一対のスプロケットの間の前記チェーンの張力が高くなる方向に付勢する付勢部材と、
設置位置が可変な付勢力調整部材が設けられるとともに、一端が前記支持部材に固定された検出部材と、
切欠あるいは開口が設けられるとともに、前記チェーンの伸びに従って前記付勢力調整部材及び前記検出部材と一体に移動する第1検出片を有し、前記切欠あるいは前記開口を検出して前記方向における前記支持部材の所定の基準位置からの移動量が第1の所定の移動量を超えた場合に、前記チェーンの伸び量が所定の伸び量を超えた旨の伸び検出信号を出力するチェーン伸び検出部と、
続きを表示(全11行)
を有し、
前記チェーン伸び検出部は、前記第1検出片の前記切欠あるいは開口が設けられた面に光を照射する透過型光電センサが前記チェーンの伸びとは独立して固定され、
前記チェーンの伸びによる前記第1検出片の前記方向における移動により、前記光の前記切欠あるいは前記開口による透過状態と、前記切欠以外あるいは前記開口以外の部位による遮光状態と、の状態変化により移動量を検出し、
前記移動量が前記第1の所定の移動量を超えたことを検出し前記伸び検出信号を出力し、
前記チェーンの伸びに従って、前記付勢力調整部材及び前記検出部材と一体に移動することにより、前記第1の検出片と共に前記方向に同一の移動量で移動する第2検出片と、
前記第2検出片の前記方向における移動量が前記第1の所定の移動量より大きい第2の所定の移動量を超えたことを検出した場合に前記チェーンが切断したことを検出した旨の切断検出信号を出力する切断センサと、
を備えたチェーン伸び検出装置。」

第3 拒絶の理由

令和5年3月27日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、次のとおりのものである。

〔理由2〕

この出願の請求項1~2、5~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1:特開2008-189450号公報
引用文献2:実公昭62-1188号公報
引用文献3:特開2003-321186号公報
引用文献4:特開2009-91125号公報
引用文献5:特開昭62-269002号公報
引用文献6:特開平5-149714号公報
引用文献7:特開2005-300296号公報
引用文献8:特開昭61-73004号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載

引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。

ア.

「【0012】
以下、本発明の乗客コンベアの実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の乗客コンベアとしてのエスカレータの要部を示す模式図である。同図において、エスカレータ1は、自重及び乗客を支える躯体としてのトラス2を備え、このトラス2内の一方の乗降口と他方の乗降口との間に、複数の踏段3が無端状に連結されて掛け渡されている。なお、図1では、説明を容易にするために、配設されている複数の踏段のうち、一部のみを図示している。
【0013】
各踏段3は、無端状の踏段チェーン4により連結されている。この踏段チェーン4は、トラス2内における上階側の乗降口近傍に設けられた駆動輪5に巻き掛けられているとともに、下階側の乗降口近傍に設けられた従動輪6に巻き掛けられていて、この駆動輪5及び従動輪6が踏段チェーン4の折り返し部になっている。駆動輪5近傍の機械室内には、駆動装置7が設けられていて、この駆動装置7の出力部7aと駆動輪5の両者に駆動チェーン8が巻き掛けられている。この駆動チェーン8により駆動装置7の出力部7aからの駆動力が駆動輪に伝達され、この駆動輪に駆動チェーン8とは別の位置で巻き掛けられている踏段チェーン4に駆動力が伝達されて、踏段チェーン4に連結されている踏段3が上階側の乗降口と下階側の乗降口との間を、図示しないガイドレールに案内されて循環移動するようになっている。」

イ.

「【0037】
次に、踏段チェーン4の伸びを検出する安全装置を、図10を用いて説明する。図10は、踏段チェーン4が折り返される従動輪6近傍の模式図である。図10において、踏段チェーン4は、トラス2の下階側の水平部に設けられた従動輪6に巻き掛けられている。踏段チェーン4が従動輪6に巻き掛けられて循環移動するときに生じる振動を吸収するとともに、踏段チェーン4に張力を付与するために、踏段チェーン緊張装置50が設けられている。この踏段チェーン緊張装置50は、従動輪6の回転軸6aを回動可能に支持する軸受け51と、この軸受け51が載置された台車52と、この台車52の車輪を案内して台車52を前後方向に移動可能にするレール53と、台車52に立設された固定板54と、この固定板54に固着され、従動輪6よりも後方に延びるロッド55と、このロッドに取り付けられたバネ56と、トラス2の縦梁に掛け渡され、バネ56の移動を規制する第1のストッパ57と、ロッド55に取り付けられ、バネ56の移動を規制する第2のストッパ58とを備えている。この踏段チェーン緊張装置50は、第1のストッパ57と第2のストッパ58との間でバネ56が圧縮されており、この圧縮されたバネ56が伸びようとする力がロッド55から台車52に伝えられて台車52を後方に引っ張ることにより、台車52上に載置された軸受け51に支持される従動輪に後方への張力を付与し、これにより踏段チェーン4に張力が付与されている。
【0038】
踏段チェーン緊張装置50の近傍には、踏段チェーン4が破断したときに、その破断を検出するチェーン破断検出装置60が設けられている。このチェーン破断検出装置60は、図11に踏段チェーン緊張装置50の先端部近傍のA領域を拡大して示すように、上記ロッド55に取り付けられた第2のストッパの近傍でこのロッド55に固定された固定片61と、この固定片の一端部に固着された波形片62と、この波形片62が接するように取り付けられたリミットスイッチ63とを備えている。踏段チェーン4が破断すると、踏段チェーン緊張装置50のバネ56の張力によりロッド55が前方向に移動するので、このロッド55の移動をリミットスイッチ62で検出する。
【0039】
そして、本実施形態では、踏段チェーンの伸びを検出する安全装置70が、チェーン破断検出装置60の近傍に設けられている。この安全装置70は、図11に示されるように、このロッド55に固定された作動片71と、作動片71のロッドの軸方向と平行な前後方向の変位により作動する検出スイッチ72とを有している。この検出スイッチ72は、チェーン破断検出装置60のリミットスイッチ63よりも優先的に作動するように、チェーンが延びて作動片71が所定値まで変位したときに作動するように設定されている。検出スイッチ72は、リミットスイッチや光電スイッチ、近接スイッチなどを用いることができる。この検出スイッチ72は、制御盤や端子盤など接続され、検出スイッチ72が作動したときにチェーン予兆信号を出力し、エレベータの管理者に対しチェーン予兆情報を表示して警告することができるようになっている。
【0040】
踏段チェーン4は、踏段チェーン緊張装置50により張力が付与されている。そのため、踏段チェーン緊張装置50のロッド55に安全装置70を設けることにより、チェーンの伸びを確実に検出することができる。そして、踏段チェーン4が初期値から使用限界値まで伸びたときのロッド55に固着された作動片71の変位量などの適切な変位量を規定値として定め、作動片が、この規定値まで変位したときに検出スイッチ72が作動するように設定する。そうすると、踏段チェーン4が破断する以前に、踏段チェーン4の伸び量が使用限界値に達したときなどのように、乗客コンベアの管理者に対しチェーン状態について適切な情報を通報すべき量まで踏段チェーンが伸びたときに、検出スイッチ72が作動し、チェーン予兆信号を出力し、エレベータの管理者に対しチェーン予兆情報が表示される。したがって、チェーンの伸びを自動的に、かつ確実に検出することが可能になる。」

ウ.

【図10】

[図:0001404108000001.jpg]

エ.

【図11】

[図:0001404108000002.jpg]

オ.

上記イの段落【0038】~【0039】には、固定片61及び作動片71は、共にロッド55に固定されることが記載されており、当該記載から、固定片61は作動片71と共に同一の移動量で移動すると認められる。

また、図10~図11から、固定片61及び作動片71をロッド55にナットによって固定することが看取できる。

カ.

段落【0037】の「トラス2の縦梁に掛け渡され、バネ56の移動を規制する第1のストッパ57・・・」との記載及び段落【0039】の「この検出スイッチ72は、・・・、チェーンが延びて作動片71が所定値まで変位したときに作動するように設定されている。」との記載、及び図10~図11から、検出スイッチ72を備えた安全装置70の背面側にトラス2があることが看取できることを踏まえると、検出スイッチ72は、チェーンの伸びによって位置が変化しないように固定されていることが記載されていると認められる。

(2)引用文献1に記載された発明

上記(1)の記載事項ア~エ並びに認定事項オ及びカから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

〔引用発明〕

「上階側の乗降口近傍に設けられた駆動輪5に巻き掛けられているとともに、
下階側の乗降口近傍に設けられた従動輪6に巻き掛けられている踏段チェーン4を有するエスカレータ1の従動輪6近傍に設けられた、踏段チェーン緊張装置50、チェーン破断検出装置60及び安全装置70であって、
踏段チェーン緊張装置50は、従動輪6を回動可能に支持する軸受け51と、この軸受け51が載置された台車52と、この台車52を前後方向に移動可能にするレール53と、台車52に立設された固定板54と、この固定板54に固着され、従動輪6よりも後方に延びるロッド55と、このロッド55に取り付けられたバネ56と、バネ56の移動を規制する第1のストッパ57と、ロッド55に取り付けられてバネ56の移動を規制し、第1のストッパ57との間でバネ56を圧縮する第2のストッパ58とを備えており、圧縮されたバネ56が伸びようとする力がロッド55から台車52に伝えられて台車52を後方に引っ張ることにより、台車52上に載置された軸受け51に支持される従動輪6に後方への張力を付与することで踏段チェーン4に張力を付与するものであり、
チェーン破断検出装置60は、ロッド55に固定された固定片61と、固定片61の一端部に固着された波形片62と、波形片62が接するように取り付けられたリミットスイッチ63とを備え、踏段チェーン4が破断すると、ロッド55の移動をリミットスイッチ63で検出するものであり、
安全装置70は、ロッド55に固定された作動片71と、作動片71のロッド55の軸方向と平行な前後方向の変位により作動する検出スイッチ72とを備えており、
固定片61は作動片71と共に同一の移動量で移動するようにロッド55に固定されており、
検出スイッチ72はチェーンの伸びによって位置が変化しないように固定され、
検出スイッチ72は、光電スイッチを用いるものであって、踏段チェーン4が初期値から使用限界値まで伸びたときの作動片71の変位量などの適切な変位量を規定値として定め、作動片71が、この規定値まで変位したときに検出スイッチ72が作動することで、踏段チェーン4が破断する以前に、チェーン破断検出装置60のリミットスイッチ63よりも優先的に作動してチェーン予兆信号を出力し、管理者に対しチェーン予兆情報を表示して警告する、
踏段チェーン緊張装置50、チェーン破断検出装置60及び安全装置70。」

2 引用文献2

引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「この考案はエスカレータ或いは動く歩動等のマンコンベアにおける踏段チエーン伸び検出装置に関する。」(第1ページ第1欄第24行~第2欄第2行)

(2)

「また、上記従動輪2は踏段チエーン3のたるみを防止すると共に、同チエーン3の経年変化による伸びを吸収すべく、第2図に示す如くトラス10に対し摺動可能に設置され、且つその軸受け部がトラス10に固定したロツド受け11に貫通するテンシヨンロツド12と連結され、そのテンシヨンロツド12の途中にダブルナツトにより固定したばね受け13と上記ロツド受け11との間に圧縮ばね14を介在して、そのばね力によりテンシヨンロツド12を介して引張られて常に踏段チエーン3にテンシヨンを与えるように構成されている。」(第1ページ第2欄第15行~第2ページ第3欄第2行)

(3)

第2図

[図:0001404108000003.jpg]

(4)

第3図

[図:0001404108000004.jpg]

(5)

上記(2)、(4)の記載から、テンシヨンロツド12の途中にダブルナツトにより固定されたばね受け13は、テンシヨンロツド12上でのダブルナツトの設置位置を変更することで、ばね受け13のテンシヨンロツド12上での設置位置が変更され、それによって、圧縮ばね14のテンシヨンが調整されているものと認められる。

(6)

上記(1)~(4)の記載事項及び上記(5)の認定事項からみて、引用文献2には、以下の事項が記載されているといえる。

「エスカレータにおいて、ダブルナツト及びばね受け13の設置位置を変更することで、圧縮ばね14が常に踏段チェーン3にテンシヨンを与えるように調整する技術。」

3 引用文献3

引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「【0022】
13は調整ナットで、引張り軸11にねじ込まれてブラケット12の反下鎖車7側に配置されている。14は圧縮コイルばねからなる付勢体で、引張り軸11に嵌合されてブラケット12と調整ナット13の間に配置されている。20は変位体で、引張り軸11の挿通端における先端寄りに配置され、引張り軸11にねじ込まれて両側に配置された止めナットによって所定位置に締結されている。」

(2)

「【0025】
上記のように構成された乗客コンベヤーにおいて、付勢体14により引張り軸11を介して下鎖車7が主枠1下端側へ引っ張られて運動機構19に張力が付与される。そして、駆動機5が付勢されると駆動鎖6、上鎖車4を介して運動機構19が駆動され、踏段3が循環移動して踏段3上の乗客が一方の乗降口から他方の乗降口へ搬送される。」

(3)

【図2】

[図:0001404108000005.jpg]

(4)

上記(1)~(3)の記載から、調整ナット13は、引張り軸11上での設置位置が変更されることで、付勢体14の付勢力が調整されているものと認められる。

(5)

上記(1)~(3)の記載事項及び上記(4)の認定事項からみて、引用文献3には、以下の事項が記載されているといえる。

「エスカレータにおいて、調整ナット13の設置位置を変更することで、付勢体14の付勢力を調整する技術。」

4 引用文献4

引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「【0012】
図1および図2において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、乗り口から降り口に至るように架設されたトラス2と、トラス2の上端側に配設された駆動機3と、トラス2の上端側に配設された上鎖車4と、トラス2の下端側に配設された下鎖車5と、駆動機3の出力を上鎖車4に伝達する駆動鎖6と、無端状をなし、上鎖車4と下鎖車5とに巻き掛けられて、駆動機3の出力が駆動鎖6を介して伝達されて回転駆動する上鎖車4により循環移動する踏段鎖7と、踏段鎖7に連結された多数の踏段8と、トラス2の間口方向の両縁部に立設されてトラス2の長手方向に沿って踏段8を挟むように配置された一対の欄干9と、一対の欄干9のそれぞれに配設されて、踏段8と同期して移動する一対の移動手摺10と、駆動機3を駆動制御するエスカレータ制御盤11と、踏段鎖7の破断を検出する踏段鎖破断検出装置20と、を備えている。
【0013】
踏段鎖破断検出装置20は、その一端が下鎖車5に連結されて、下鎖車5から上鎖車4と離反する方向に延設された引っ張り軸21と、取付腕22aと支持腕22bとからなるL字状に作製され、支持腕22bが引っ張り軸21と直交するように取付腕22aをトラス2に固定して取り付けられ、引っ張り軸21が支持腕22bに穿設された貫通穴に遊嵌状態に挿通されるフランジ22と、支持腕22bの貫通穴から延出する引っ張り軸21の他端側に螺着された調整ナット23と、引っ張り軸21に外嵌状態に装着されて支持腕22bと調整ナット23との間に縮設され、引っ張り軸21および下鎖車5を介して踏段鎖7に所定の張力を付与する圧縮コイルバネ24と、一端が引っ張り軸21の一端と支持腕22bとの間に固着されて、引っ張り軸21の長さ方向に沿って、かつ引っ張り軸21の長さ方向と平行に、引っ張り軸21の他端側に延設された取付板25と、取付板25に固着されて、踏段鎖7の張力の変動により生じる引っ張り軸21の変位に連動して移動するスイッチカム40と、スイッチカム40の移動により踏段鎖7の異常伸びの発生を検出するリミットスイッチ30と、を備えている。」

(2)

「【0022】
係合突起50は、断面T字状をなし、可動カム部45の底面から突設されて他端側から一端に至るように延設されている。ガイド穴51は、係合突起50の先端面の一端側に開口し、穴方向を可動カム部45の底面に直交するように凹設されている。係止片52がガイド穴51に出没自在に配設され、ばね53が係止片52を延出する方向に付勢するようにガイド穴51内に配設されている。そして、係止片52の鍔部52aがガイド穴51の係止部51aに当接し、係止片52のそれ以上の延出が阻止されている。また、係止片52の先端面52bは、その延出量が他端から一端に徐々に小さくなる傾斜面に形成されている。」

(3)

「【0025】
なお、係止解除穴57から係止片52の先端面52bを押圧し、係止片52をガイド穴51内に押し込んで係止片52と係止穴56との係合を解除すると、可動カム部54がばね58の付勢力により他端側に引っ張られる。これにより、可動カム部45がガイド溝55に案内されて他端側にスライド移動し、係止部59に当接し、図6の(a)に示される初期状態に復帰する。」

(4)

「【0026】
つぎに、このように構成された踏段鎖破断検出装置20の動作について図2および図7を参照しつつ説明する。
エスカレータ1においては、初期状態では、調整ナット23の締着力が調整され、所定の張力が踏段鎖7に付与されるように圧縮コイルバネ24の収縮量が調整されている。そして、スイッチカム40が初期位置から第1距離および第4距離移動したときに、プランジャ32がそれぞれ第1ストローク量および第2ストローク量押し込まれるように、リミットスイッチ30およびスイッチカム40の位置が調整されている。この時、プランジャローラ33は、図7の(a)に示されるように、固定カム部41の底部42および第1カム面43に対して離間する初期位置に位置している。また、図示していないが、この踏段鎖破断検出装置20の第1端子36と第3端子38と(b接点)が、ハンドガードスイッチ、スカートガードスイッチなどの他の検出装置のb接点とともに、駆動機3への通電経路に直列に接続されている。」

(5)

「【0032】
また、保守点検時、作業者がスイッチカム40を目視点検し、可動カム部45が固定カム部41に対して変スライド移動していれば、踏段鎖7の伸び調整時期の到来と判断し、可動カム部45が固定カム部41に対してスライド移動していなければ、踏段鎖7の伸び調整時期ではないと判断できる。そして、踏段鎖7の伸び調整時期の到来と判断すれば、調整ナット23の締着力を調整し、所定の張力が踏段鎖7に付与されるように圧縮コイルバネ24の収縮量を調整する。そして、リミットスイッチ30およびスイッチカム40の位置を再調整する。」

(6)

【図2】

[図:0001404108000006.jpg]

(7)

上記(1)、(4)~(6)に記載の調整ナット26は、引っ張り軸21上での設置位置が変更されることで、圧縮コイルバネ24の付勢力が調整されているものと認められる。

(8)

上記(1)~(6)の記載事項及び上記(4)の認定事項からみて、引用文献4には、以下の事項が記載されているといえる。

「エスカレータにおいて、調整ナット23の設置位置を変更することで、圧縮コイルバネ24の付勢力を調整する技術。」

5 引用文献5

引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「この種の光応用の位置検出器は一般的に光電スイッチと呼ばれており、透過形、同軸反射形、直接反射形、輻射形等の各種型式のものが知られている。この中で、発電プラントの弁開度検出への適用が考えられているのは透過形または同軸反射形である。
第6図は透過形の光電スイッチの原理を示す構成図、第7図はこの光電スイッチの訂細な構成を示すブロック回路図である。
第6図において、投光器1からの光は受光器2により受信されるが、例えば図示しない弁の制御棒の動きに連動して進退する被検出体3が基準となる位置から移動せず、光をさえぎらなければ、受光器2に光が入射し、従って被検出体3のオフ状態(以下OFF状態と言う)がW1認される。これに対して、被検出体3が弁の開動作に連動して進んで投光器1からの光をさえぎると、受光器2への光が途絶えるため、被検出体3の特定の弁開度に対応する位置でのオン状態(以下ON状態と言う)が確認される。」(第2ページ左下欄末行~右下欄第19行)

(2)

第6図

[図:0001404108000007.jpg]

(3)

上記(1)~(2)の記載事項からみて、引用文献5には、以下の事項が記載されているといえる。

「投光器1からの光が、被検出体3が移動しないことによってさえぎられず、受光器2により受信されるオフ状態と、被検出体3が移動することによってさえぎられ、受光器2により受信されないオン状態とを確認可能な透過型の光電スイッチの技術。」

6 引用文献6

引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「【0004】
このように光学センサをシャッタ羽根等の被検出物の位置検出手段として用いたものには、図8に示すフォトリフレクタ4を用いた反射型の位置検出機構、および図9に示すフォトインタラプタ5を用いた透過型の位置検出機構がある。」

(2)

「【0006】
また、図9に示すフォトインタラプタ5を用いた位置検出機構は、フォトインタラプタ5の発光部7と受光部10とがその間を被検出片3が移動可能な間隔を隔てて対向配置された構成となっている。
【0007】
これらの位置検出機構では、発光部7が被検出片3から開放されて受光部10(図8では図示されていない)が光を検出した時に電気信号が得られるようになっている。しかし、シャッタ制御用の電気トリガーの場合、出力信号のタイミングの安定度は、そのままシャッタ性能に影響するが、図8および図9のような構造では検出接片3が検出位置に来る前に光が回り込んで受光され、出力信号のタイミングがずれることがある。このため、例えばフォトリフレクタ4を用いる場合、図10に示すように、発光部7から受光部10に跨がる狭い領域をスリット11を設けて制限し、スリット11の前方の被検出片3が移動してスリット11を全開させた時に前記出力信号を発生させ、これにより出力信号のタイミングを安定させていた。」

(3)

【図9】

[図:0001404108000008.jpg]

(4)

上記(1)~(3)の記載事項からみて、引用文献6には、以下の事項が記載されているといえる。

「発光部7と受光部10との間が移動可能な被検出片3で隔てられ、被検出片3が移動して受光部10が光を検出すると、電気信号が得られるフォトインタラプタ5を用いた透過型の位置検出機構の技術。」

7 引用文献7

引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「【0074】
この吸着治具検出装置160は、ブラケット161に取り付けられたフォトセンサ(フォトスイッチ)162を有する。このフォトセンサ162はコ字状のセンサ本体163を有し、このセンサ本体163は図21,図21A,図21Bに示したように対向部163a,163bを有する。そして、対向部163a,163bには図21Bに示したように互いに対向する発光素子164と受光素子165がそれぞれ設けられている。」

(2)

「【0077】
また、遮光板169には、図21A~図21Cに示したように切欠169aが形成されている。この遮光板169は、レンズ吸着治具120の取付軸部121が外筒88内に挿入されていない状態のとき、発光素子164と受光素子165との間に配設されて、発光素子164から出射した光りを遮断して受光素子165に到達しないようにしている。また、レンズ吸着治具120の取付軸部121が線状バネ89,89の直線部89b,89bに保持される位置まで外筒88内に押し込まれた状態では、遮光板169の切欠169aが発光素子164と受光素子165との間に配設されて、発光素子164から出射した光りが受光素子165に到達するようになっている。
<制御回路>
上述した液晶表示器11は図2に示した演算制御回路130により作動制御されるようになっている。」

(3)

【図21B】

[図:0001404108000009.jpg]

(4)

上記(1)~(3)の記載事項からみて、引用文献7には、以下の事項が記載されているといえる。

「発光素子164と受光素子165との間に遮光板169の面が配置されると、光を受光素子165に到達させないように遮断し、発光素子164と受光素子165との間に遮光板169の切欠169aが配置されると、光を受光素子165に到達させるフォトセンサ(フォトスイッチ)162の技術。」

8 引用文献8

引用文献8には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)

「本発明は機械的変位量を光のデジタル量に変換する光応用の位置検出センサに関するものである。
従来例の構成とその問題点
受,発光素子を用いた機械的変位量を検知する従来のセンサは、通常、対向して設置された受,発光素子の間に、発光素子から受光素子への光の照射量を制限する遮光板を有し、遮光板には同遮光板の動き、位置を知るためのデジタルコード化された穴が対向する受,発光素子間に位置するように開けられている。発光素子から受光素子への光の照射の有無によりこの穴のコードを読み取り、それにより遮光板の位置が検出できる。また、遮光板を測定対象となる機械的変位に対応させて動かせば、その変位量が検出される。」(第1ページ右下欄第5~18行)

(2)

上記(1)の記載事項からみて、引用文献8には、以下の事項が記載されているといえる。

「発光素子と受光素子との間に、光の照射量を制限する遮光板を有し、遮光板が動かされ、遮光板の穴が対向する発光素子と受光素子との間に位置するか否かで、光の照射の有無を検知し、遮光板の変位量を検出する光応用の位置検出センサの技術。」

第5 対比・判断

1 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)

後者の「踏段チェーン4」は、「安全装置70」によってその「伸び」が「検出」されるから、前者の「伸び検出対象のチェーン」に相当する。

後者の「上階側の乗降口近傍に設けられた駆動輪5」と「下階側の乗降口近傍に設けられた従動輪6」とは、「踏段チェーン4」が「巻き掛けられている」から、前者の「伸び検出対象のチェーンが掛け渡された一対のスプロケット」に相当する。

そして、後者の「軸受け51」及び「台車52」は、「従動輪6を回動可能に支持」し、かつ、「レール53」を介して「前後方向に移動可能」であるところ、「前後方向に移動」することで「従動輪6」も「前後方向に移動」し、それによって「従動輪6」と「駆動輪5」との間の前後方向の距離が変更可能となっていることは明らかであるから、前者の「一方の前記スプロケットを回転可能、かつ、一方の前記スプロケットを他方の前記スプロケットとの間の距離を可変可能に支持する支持部材」に相当する。

(2)

後者の「バネ56」は、その「伸びようとする力」が「台車52に伝えられて台車52を後方に引っ張ることにより、台車52上に載置された軸受け51に支持される従動輪6に後方への張力を付与することで踏段チェーン4に張力を付与するもの」であるから、前者の「前記支持部材を介して前記一対のスプロケットの間の前記チェーンの張力が高くなる方向に付勢する付勢部材」に相当する。

(3)

後者の「ロッド55」は、「台車52に立設された固定板54」「に固着され」ることで、「台車52」に固定され、「従動輪6よりも後方に延び」ているから、「台車52」に前方側の端部が固定されているといえ、また、「作動片71のロッド55の軸方向と平行な前後方向の変位」が「検出スイッチ72」を「作動」させるから、前者の「設置位置が可変な付勢力調整部材が設けられるとともに、一端が前記支持部材に固定された検出部材」と、「一端が前記支持部材に固定された検出部材」である点で一致する。

(4)

後者の「作動片71」は、「ロッド55に固定され」ており、「踏段チェーン4が初期値から使用限界値まで伸びたときの作動片71の変位量などの適切な変位量を規定値として定め、作動片71が、この規定値まで変位したとき」に「検出スイッチ72」が「作動」するものであるから、前者の「切欠あるいは開口が設けられるとともに、前記チェーンの伸びに従って前記付勢力調整部材及び前記検出部材と一体に移動する第1検出片」と、「前記チェーンの伸びに従って前記検出部材と一体に移動する第1検出体」である点で一致する。

後者の「検出スイッチ72」及び「作動片71」は、「踏段チェーン4が初期値から使用限界値まで伸びたときの作動片71の変位量などの適切な変位量を規定値として定め、作動片71が、この規定値まで変位したとき」に「検出スイッチ72」が「作動」することで、「管理者に対しチェーン予兆情報を表示して警告する」ものであるから、前者の「前記方向における前記支持部材の所定の基準位置からの移動量が第1の所定の移動量を超えた場合に、前記チェーンの伸び量が所定の伸び量を超えた旨の伸び検出信号を出力するチェーン伸び検出部」に相当する。

後者の「検出スイッチ72はチェーンの伸びによって位置が変化しないように固定され」ることは、第1検出体を検出する検出主体である検出スイッチ72がチェーンの伸びとは独立していることを意味するから、前者の「前記チェーン伸び検出部は、前記第1検出片の前記切欠あるいは開口が設けられた面に光を照射する透過型光電センサが前記チェーンの伸びとは独立して固定され」ることと、「前記チェーン伸び検出部は、前記第1検出体の検出主体がチェーンの伸びとは独立して固定され」る点で一致する。

そして、後者の「踏段チェーン4が初期値から使用限界値まで伸びたときの作動片71の変位量などの適切な変位量を規定値として定め、作動片71が、この規定値まで変位したとき」に「検出スイッチ72」が「チェーン予兆信号を出力」することは、前者の「前記移動量が前記第1の所定の移動量を超えたことを検出し前記伸び検出信号を出力」することに相当する。

(5)

後者の「固定片61」は、「作動片71と共に同一の移動量で移動するようにロッド55に固定され」ており、「踏段チェーン4が破断すると、ロッド55の移動をリミットスイッチ63で検出する」ものであるから、前者の「前記チェーンの伸びに従って、前記付勢力調整部材及び前記検出部材と一体に移動することにより、前記第1の検出片と共に前記方向に同一の移動量で移動する第2検出片」と、「前記チェーンの伸びに従って、前記検出部材と一体に移動することにより、前記第1の検出体と共に前記方向に同一の移動量で移動する第2検出片」である点で一致する。

そして、後者の「リミットスイッチ63」は、「踏段チェーン4が破断すると、ロッド55の移動をリミットスイッチ63で検出するもの」であって、「検出スイッチ72」が「踏断チェーン4が破断する以前に、チェーン破断検出装置60のリミットスイッチ63よりも優先的に作動してチェーン予兆信号を出力」するものであるから、前者の「前記第2検出片の前記方向における移動量が前記第1の所定の移動量より大きい第2の所定の移動量を超えたことを検出した場合に前記チェーンが切断したことを検出した旨の切断検出信号を出力する切断センサ」と、「前記チェーンが切断したことを検出した旨の切断信号を出力する切断センサ」である点で一致する。

(6)

後者の「踏段チェーン緊張装置50、チェーン破断検出装置60及び安全装置70」は、前者の「チェーン伸び検出装置」に相当する。

以上のとおりであるから、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

〔一致点1〕

「伸び検出対象のチェーンが掛け渡された一対のスプロケットのうち、一方の前記スプロケットを回転可能、かつ、一方の前記スプロケットを他方の前記スプロケットとの間の距離を可変可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を介して前記一対のスプロケットの間の前記チェーンの張力が高くなる方向に付勢する付勢部材と、
一端が前記支持部材に固定された検出部材と、
前記チェーンの伸びに従って前記検出部材と一体に移動する第1検出体を有し、前記方向における前記支持部材の所定の基準位置からの移動量が第1の所定の移動量を超えた場合に、前記チェーンの伸び量が所定の伸び量を超えた旨の伸び検出信号を出力するチェーン伸び検出部と、
を有し、
前記チェーン伸び検出部は、前記第1検出体の検出主体がチェーンの伸びとは独立して固定され、
前記移動量が前記第1の所定の移動量を超えたことを検出し前記伸び検出信号を出力し、
前記チェーンの伸びに従って、前記検出部材と一体に移動することにより、前記第1の検出体と共に前記方向に同一の移動量で移動する第2検出片と、
前記チェーンが切断したことを検出した旨の切断信号を出力する切断センサと、
を備えたチェーン伸び検出装置。」

〔相違点1〕

本願発明では、「第1検出体」が「切欠あるいは開口が設け」られた「第1検出片」であり、「第1検出体の検出主体」が「前記切欠あるいは開口が設けられた面に光を照射する透過型光電センサ」であって、「前記チェーンの伸びによる前記第1検出片の前記方向における移動により、前記光の前記切欠あるいは前記開口による透過状態と、前記切欠以外あるいは前記開口以外の部位による遮光状態と、の状態変化により移動量を検出」するのに対し、引用発明では、「第1検出体」である「作動片71」に「切欠あるいは開口」を設けることの特定がなく、「第1検出体の検出主体」である「検出スイッチ72は、光電スイッチを用いるもの」ではあるものの、「作動片71」の変位を検出する際の手法として、透過型の光電センサを用いて光の透過状態と遮光状態との状態変化を検出する手法を採用していることが特定されていない点。

〔相違点2〕

本願発明では、「検出部材」に「設置位置が可変な付勢力調整部材が設け」られ、「第1検出片」が「前記チェーンの伸びに従って前記付勢力調整部材及び前記検出部材と一体に移動」し、「第2検出片」が「前記付勢力調整部材と一体に移動」するのに対し、引用発明では、固定片61と作動片71とはロッド55に固定されるものの、それらの設置位置が可変であることや、「第2のストッパ58」を介してバネ56の付勢力を調整していることが特定されておらず、「作動片71」及び「固定片61」が「前記付勢力調整部材」「と一体に移動する」ことの特定もない点。

〔相違点3〕

「切断センサ」について、本願発明では、「前記第2検出片の前記方向における移動量が前記第1の所定の移動量より大きい第2の所定の移動量を超えたことを検出した場合に前記チェーンが切断したことを検出した旨の切断検出信号を出力する」のに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点。

2 判断

(1)相違点1について

引用文献5~8によって例示されるように、検出対象の位置を検出する透過型の光電センサは周知技術である。また、引用文献7~8に記載されているように、光電センサの検出対象に切欠や穴を設け、当該切欠や穴による光の透過を利用することも周知技術であるといえる。

引用発明の作動片71及び検出スイッチ72とこれらの周知技術とは、共に光電センサを用い、検出対象の位置を検出するという機能の点で共通するから、作動片71及び検出スイッチ72にこれらの周知技術を採用し、透過型の光電センサの検出対象に設けた切欠あるいは開口による透過状態と、切欠以外あるいは開口以外の部位による遮光状態との状態変化により移動量を検出するように構成することによって、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について

引用文献1の図10~図11から、固定片61及び作動片71をロッド55にナットによって固定することが看取されるところ(上記第4の1の(1)オ)、エスカレータにおいて、チェーンに張力を付与する付勢部材の付勢力を調整可能とするために、支持部材と付勢部材との間で設置位置が可変な調整ナット等の付勢力調整部材を設けることは、引用文献2~4によって例示されるように、当業者における周知技術である。

よって、当該周知技術を引用発明のロッド55に付加し、付勢力調整部材として用いることに、格別の困難性はない。

そして、引用発明では、「固定片61」は「作動片71」と共に「同一の移動量で移動するようにロッド55に固定されて」いるから、上記周知技術の付加の結果、「付勢力調整部材」が「第1検出片」及び「第2検出片」とは一体に移動すると認められる。

そうすると、引用発明に、引用文献2~4によって例示される周知の付勢力調整部材を採用することによって、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について

引用発明では、「チェーン破断検出装置60」による破断検出よりも、「安全装置70」による伸び検出の方が優先的に作動するようになっている(上記第4の1の(1)イ.に摘記した、段落【0039】の「この検出スイッチ72は、チェーン破断検出装置60のリミットスイッチ63よりも優先的に作動するように、チェーンが延びて作動片71が所定値まで変位したときに作動するように設定されている。」の記載も参照。)。また、引用発明には明示されていないが、破断検出の際に何らかの切断検出信号を出力することは技術常識であるといえる。

そうすると、破断検出に用いる固定片61の移動量の閾値として、伸び検出に用いる作動片71の移動量の閾値よりも大きくなるように構成し、当該閾値を超えたことを検出した場合に切断検出信号を出力するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4)小括

本願発明の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明及び引用文献2~8によって例示される周知技術から予測できる程度のものであって格別のものではない。

よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2~8によって例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2~8に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-005772

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