特許拒絶査定不服審判
2022-005123
アミロイド沈着疾患を治療するための方法および組成物
- 審判番号
- 2022-005123
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-505320
- 請求日
- 2022年04月06日
- 審決日
- 2024年06月18日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
- 【請求人代理人】弁理士法人筒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 松波 由美子
- 審判官 山村 祥子
- 審判官 冨永 みどり
- 分類
- P18 .121-WZ (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-505320「アミロイド沈着疾患を治療するための方法および組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月 7日国際公開、WO2019/027721、令和 2年10月15日国内公表、特表2020-529990〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 出願の経緯
本願は、2018年(平成30年)7月24日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理2017年8月1日(US)アメリカ合衆国、平成30(2018)年3月2日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって、その主な手続の経緯は次のとおりである。
令和 3年 4月14日付け 拒絶理由通知
同年10月26日 意見書および手続補正書の提出
同年11月29日付け 拒絶査定
令和 4年 4月 6日 審判請求書及び手続補正書の提出
同年 5月18日 手続補正書(方式)の提出
(「請求の理由」の内容を補正するもの)
令和 5年10月18日付け 拒絶理由通知(当審による)
令和 6年 3月21日 意見書および手続補正書の提出(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項14に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「κまたはλ軽鎖原線維凝集体沈着物を含む原発性アミロイドーシスを有するヒト患者のκおよび/またはλ軽鎖原線維凝集体沈着物の量を減少させるために使用の医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、抗体と、薬学的に許容される担体と、を含み、
前記抗体は、
(a)配列番号47を含むVK領域、
(b)配列番号48を含むVH領域、および
(c)ヒトIgG1定常領域、を含み、
前記抗体は、配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を含むマウス抗体よりも高い親和性でアミロイド原線維のエピトープに結合する、医薬組成物。」
第3 拒絶の理由
令和5年10月18日付け拒絶理由通知書において当審が通知した拒絶理由のうち、「理由1(進歩性)」で通知した拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
この出願の請求項1~21に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献2に記載された発明及び引用文献1に記載された技術的事項、並びに、本願優先日における技術常識(引用文献3)に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.Blood, 2015, 126(23):188
2.Clinical Cancer Research,2003,Vol.9,No.10, p.3831S-3838S
3.医学のあゆみ, 2015, Vol.252, No.10, p.1087-1092
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 各引用文献に記載された事項
(1)引用文献2の記載事項
本願優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、令和5年10月18日付けの拒絶理由通知で引用した上記引用文献2(Clinical Cancer Research,2003,Vol.9,No.10, p.3831S-3838S)には、以下の記載がある。引用文献2は英文で記載されているので、当審合議体による訳文で記載する。なお、「・・・」は摘記の省略を示し、下線は当審合議体が付した。
ア(3831sページ“Abstract”の項)
「目的:我々は以前、ある種のマウス抗ヒト軽鎖モノクローナル抗体(mAbs)が、ALや他のタイプのアミロイド線維に共通するエピトープを認識することを報告した。この証拠に基づいて、そのような抗体の一つである11-1F4を、ヒトAL抽出物のs.c.注射によって誘導されたALアミロイドーマを持つマウスに投与した。このmAbはアミロイドに結合し、Fcを介した細胞炎症反応を開始し、腫瘍塊を急速に縮小させた。この試薬を臨床用に開発するため、11-1F4 mAbをキメラ化し、その活性を未修飾抗体の活性と比較した。
実験デザイン:キメラ(c)11-1F4 mAbは、マウス11-1F4重・軽鎖可変領域(VH、VL)とヒト重・軽鎖定常領域(CH、CL)をコードするスーパーベクターDNAをトランスフェクトしたCHOdhfr安定哺乳動物細胞株で産生された。この抗体産物を2つのin vivo実験モデルで、線維結合活性とアミロイド溶解能を解析した。
結果:c11-1F4 mAbがアミロイドと相互作用する能力はin vitroで証明された。この試薬をヒトAL腫瘍または全身性AA沈着マウスに投与したところ、動物に毒性は認められず、アミロイド負荷が顕著に減少した。
結論:これらの結果から、GMPグレードのc11-1F4を製造し、原発性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした第I/II相臨床試験を行い、試薬の有効性を判定することにした。アミロイド反応性抗体の使用は、この必ず死に至る疾患の治療における新しいアプローチとなるであろう。」
イ(3831sページ右欄下から8行~3832sページ左欄41行)
「材料および方法
m11-1F4抗体重鎖および軽鎖可変領域遺伝子のPCRクローニングと配列決定。IgG1 m11-1F4アミロイド反応性mAbを産生するSP2/0ハイブリドーマ細胞株から2つのクローン(B2C4とB2D6)をAERES Biomedical Ltd. (Mill Hill)に提供した。(Mill Hill)に提供された。細胞は、20%(v/v)のウシ胎児血清(Hy-clone, Logan, UT)、ペニシリン/ストレプトマイシン、L-グルタミン(Life Technologies, Inc.)を添加したDMEM培地(Life Technologies, Inc., Rockville,MD) で培養した。108個の生存細胞まで増殖させた後、各クローンから総RNAを単離し(RNA Isolation kit; Stratagene, La Jolla, CA)、調製したNotI-d(T)18プライマーを用いて第1鎖cDNAを合成した。 次に、AmpliTaq DNAポリメラーゼを用いて、JonesとBendig(14)が記述しているように、それぞれのcDNA鋳型からmVHとVL(Vκ)遺伝子をPCR増幅した。異なる変性リーダー配列-特異的VHとVκ、および適切なCHとCLプライマー(Cγ1、Cγ2a、Cγ2b、Cγ3、Cκの等モル混合)を用いて別々のPCRを行った。産物は、0.5g/mlのエチジウムブロミドを含む1%アガロース/トリスホウ酸塩(pH8.8)ゲル上での電気泳動により同定した。推定陽性産物(~450bp)を、Topo TA クローニングキット(Invitrogen, Carlsbad, CA)に含まれるpCR2.1ベクターに直接クローニングし、メーカーに記載されたプロトコルを用いてTOP10コンピテントセルに形質転換した。450bpを挿入したプラスミドを含むコロニーを、GussowとClacksonの方法(15)に従って、17-および21-merオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRスクリーニングによって選択し、二本鎖DNAをABI PRISM 310 Genetic AnalyzerとABI Prism BigDyeターミネーターを用いて塩基配列を決定した。具体的に設計されたPCRプライマーを使用して、11-1F4 VHおよびVκ遺伝子の5’および3’末端を改変して、哺乳動物細胞におけるそれらの産物の一過性発現を得た。バックプライマーは、HindIII制限およびKozak翻訳開始部位、ならびに免疫グロブリンリーダー配列を導入した。フォワードVκプライマーは、スプライスドナーおよびBamHI制限部位を提供し、そしてVHについては、ApaI制限部位を含むCγ1遺伝子の最初の22 bpを提供した。正確に修飾された11-1F4 VHおよびVκ遺伝子を含有する陽性PCR産物を前述のように同定し、HindIII-ApaI(ヒトγ1、Gm1アロタイプ)およびHindIII-BamHI(ヒトCκ、Km3アロタイプ)断片としてそれぞれの発現ベクターにサブクローニングした。次に、ライゲーションしたVκおよびVH構築物を用いてDH5コンピテント細胞を形質転換し、PCRスクリーニングにより陽性クローンを選択した。
COS細胞におけるc11-1F4 mAbの一過性発現のための単一スーパーベクターの構築。c11-1F4抗体の両方の鎖を発現する単一のスーパーベクターを、重鎖および軽鎖発現カセットのEcoRI制限酵素消化産物を連結することによって構築した。
ウ(3832sページ右欄3行~11行)
「CHOdhfr哺乳動物細胞のトランスフェクション。 ・・・PBS中の107細胞/mlのアリコートを、Bio-Rad Gene Pulserを用い、1900V、25μファラドの静電容量で、13μgの11-1F4スーパーベクターDNAでトランスフェクトした。」
エ(3832sページ右欄42行~54行)
「c11-1F4 mAbの産生および精製。 インビトロおよびインビボ研究に利用可能な十分な量のc11-1F4抗体を得るために、3つのCHOdhfr安定細胞株(22C1、22C5、および22D2)を、α-MEM、10-6 M MTX、および50μg/mlゲンタマイシンを含む単一のIntegra CL1000産生フラスコ(・・・)中で1ヶ月間増殖させた。上清を約5 mlまで濃縮し、Pierce Protein A結合緩衝液中で1:1に希釈し、そして抗体を、Immunopure Plus Protein A Purification Kit(・・・)を使用して、製造業者によって特定されるように単離した。次いで、溶出および中和した物質を、Slide-A-Lyzer透析カセット(・・・)を使用してPBS中で一晩透析し、滅菌濾過し、1 ml容量にアリコートし、そして-20℃で凍結した。」
オ(3833sページ左欄5行~9行)
「In Vivoモデル。 BALB/cマウスに、前述(13)のように、原発性(AL)アミロイドーシス患者の肝臓または脾臓から抽出したヒトアミロイド線維を肩甲骨間100mg注射することにより、皮下アミロイドーマを誘導した。」
カ(3833sページ左欄14行~45行)
「結果
c11-1F4抗体の生成。 m11-1F4 VHおよびVκ遺伝子をクローニングするように設計された複数のPCR反応により、B2C4およびB2D6ハイブリドーマ細胞株の両方から予想サイズ(約450 bp)の産物が得られた。それぞれからの少なくとも3つのクローンからのPCR産物の分析により、予想される重鎖および軽鎖配列が得られた。改変されたマウスVHおよびVκ11-1F4遺伝子構築物(「材料および方法」を参照のこと)を、ヒトCγ1およびCκ定常領域遺伝子とともに、それらのそれぞれの哺乳動物発現ベクター中に首尾よくクローニングし、そしてCOS細胞の同時トランスフェクションのために使用した。両方の種由来の免疫グロブリン遺伝子から構成される単一のスーパーベクターもまた、この目的のために調製した。スーパーベクターで達成された実質的により高い発現レベルのために、この構築物を使用して、CHOdhfr-哺乳動物細胞をトランスフェクトし、続いてMTXを含むまたは含まない培地中で培養した。増幅株のうち3株(22C1、22C5、22D2)は、抗体産生率が最も高く(それぞれ50.6、42.5、47μg/106細胞/日)、倍加時間はおよそ48-60時間であった。96時間の指数関数的成長では3系統は同じ速度で増殖したが、この期間中に22C1の生産量は31から37μg/106細胞/日に増加したのに対し、22C5と22D2の生産量はそれぞれ24から20μg、34から31μgに減少した。安定生育期間中、初期生菌数と96時間生菌数の平均に基づく生産量は同程度であった(それぞれ24.7、21.5、20.5 μg/106細胞/日)。同様に、1ヵ月の培養期間中、培地中の抗体濃度は比較的安定していた。3つのCHO細胞株(22C1、22C5、22D2)とその産物は、細菌、真菌、マイコプラズマに汚染されておらず、エンドトキシンレベルも許容範囲であった(それぞれ0.7、1.1、23.4単位/μg)。」
キ(3833sページ右欄下から6行~3834sページ右欄20行)
「In Vivo分析。我々のin vivoアミロイドーマモデルにおいて、アミロイド溶解を促進するIgG1κ c11-1F4 mAbの有効性を、マウス親のものと比較した。・・・最初の実験では、SDS-PAGE、ウェスタンブロット、および化学分析によって示されたように、アミロイド前駆体κ1軽鎖(BJP、HIG)の主要部分を表す断片(約16kDaおよび18kDa)からなるヒトALκ抽出物(参考文献19;患者HIG)100mgを含む溶液1mlを4匹にs.c.注射した。・・・原線維抽出物の注射から48時間後、4組のうち2組にmAbまたはcmAbのどちらか一方を100μgの静脈内注射をした。この処置を4、6、8、10、12日目に繰り返した(すなわち、各マウスは合計600μgの抗体を投与された)。・・・
アミロイド誘導から約11日後、mAbを注射したマウスの腫瘍は小さくなり始めた。各組から1匹を15日目に安楽死させたところ、11-1F4投与マウスのアミロイドーマは対照2匹よりも明らかに小さくなっていた(図6)。・・・表2に示すように、m11-1F4 mAbを投与された2匹のマウスの残存アミロイドーマの湿重量は、キメラ抗体投与マウスの湿重量よりやや少なかった。しかしながら、どちらの場合もコントロールと比較して大きさは著しく減少した、すなわち、それぞれ平均83%と70%であった。」
ク(3835sページ左欄下から4行~右欄10行)
「アミロイド原性λ3 BJP BALの16kDa軽鎖フラグメントを主に含むヒトALλ(患者BAL)抽出物を注射したマウスにおいて、cおよびm11-1F4 mAbの治療効果を比較するために同一のプロトコルを用いた。m11-1F4 mAbを投与した動物のうち1匹のアミロイドーマは12日目に退縮し始めたので、4組の各マウスから1匹を15日目に犠牲にした。mおよびc11-1F4 mAb処置動物から摘出されたアミロイドーマの質量は、対照と比較してそれぞれ75%および15%減少していた(表3)。残りの一群は21日目に安楽死させた;この場合、アミロイドーマはそれぞれ58%と43%減少した。アミロイドーマの顕微鏡検査の結果は、ALκ HIG研究で述べたものと同様であった。」
ケ(3833sページ右欄1~13行)
「In Vitro分析。3つのc11-1F4mAbsの特性を表1にまとめた。SDS-PAGE(図1)およびウェスタンブロット分析により、これらの分子はキメラIgG1重鎖および軽鎖として予想される分子量を有することが示された。これらの分析はまた、4℃、37℃、70℃で1-4時間保存した後の抗体産物の安定性を示した。他の実験では、cおよびm11-1F4mAbsと合成ALアミロイド線維との結合をELISAで測定し、cおよびm11-1F4mAbsと合成ALアミロイド線維との結合をELISAで測定し同等の結果が得られた(図2)。さらに、サイズ排除HPLCの結果から、キメラ抗体調製物には目立ったタンパク質の凝集体は含まれていないこと、すなわちほぼ完全にIgGモノマーから構成されていることが示された(図3)。」
コ(3834sページ図1)
[図:0001415622000001.jpg]
図1 還元および非還元条件下でのc11-1F4 mAbsのSDS-PAGEによる分析(クマシーブルー染色Novex bis tris 4-12%NuPageゲル)。レーン1には分子量既知のタンパク質標準物質、レーン2にはヒトIgG mAb、レーン4-6にはそれぞれ22C1,22C5,22D2 mAbを含む。免疫グロブリン重鎖と軽鎖の位置は示した通り。
サ(3834sページ図2)
[図:0001415622000002.jpg]
図2 c11-1F4抗体のin vitro反応性。c11-1F4 mAbs 22C1、22C5、22D2およびm11-1F4 mAbをELISAプレートにコートした合成軽鎖線維(JTO5)に対して結合ELISAを行った。
(2)引用文献1の記載事項
本願優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、令和5年10月18日付けの拒絶理由通知で引用した上記引用文献1(Blood, 2015, 126(23):188)には、次の事項が記載されている。なお、引用文献1は英文で記載されているため、当審合議体による訳文で摘記する。
ア(“Methods”の項)
「方法:本試験は、再発または難治性のALアミロイドーシス患者を対象としたCh IgG1 mAb 11-1F4の非盲検用量漸増第I相臨床試験である。本試験は、実験的治療薬の治験許可申請(IND)のもと、Ch IgG1 mAb 11-1F4を単回静脈内投与した場合の最大耐容量、忍容性および安全性を明らかにすることを主要目的として実施された。副次的目的は薬物動態、安全性、臓器反応などであった。・・・」
イ(“Results”の項)
「結果:2015年7月14日現在、試験を完了した6人の患者を含む用量レベル6が完了した。2人の患者は主に心臓、2人の患者は主に皮膚、2人の患者は主に胃腸(GI)の病変があった。すべての患者は投与量に耐え、グレード3、4の有害事象(AE)および死亡は発生しなかった。・・・本試験の主要目的は安全性を評価することであったが、Ch IgG1 mAb 11-1F4を1回注入しただけで6例中3例に臓器反応が認められた(心臓2例、消化器1例)。」
2 引用文献2に記載された発明
引用文献2には、前記1(1)ア、イ、カのとおり、SP2/0ハイブリドーマ細胞株であるB2C4およびB2D6が産生するマウス11-1F4 mAbの重・軽鎖可変領域(VH、VL)と、ヒトCγ1およびCκ定常領域をコードするスーパーベクターを構築したこと、前記1(1)ア、ウ、エ、カのとおり、前記スーパーベクターをCHOdhfr安定哺乳動物細胞株にトランスフェクトして、キメラ(c)11-1F4 mAbを産生させ、精製したこと、および、前記1(1)オ、キ、クのとおり、原発性アミロイドーシス患者からのヒトALκ抽出物またはALλ抽出物をマウスに注入してアミロイドーマを誘導した後、当該マウスに前記c11-1F4mAbを静脈内注射したことにより、対照と比較してアミロイドーマの量が減少したことが記載されている。
また、抗体を静脈内注射する際に抗体を含む液体組成物とすることは自明である。
そうすると、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「原発性アミロイドーシス患者からのヒトALκ抽出物またはALλ抽出物をマウスに注入して誘導したアミロイドーマの量を減少させるための、SP2/0ハイブリドーマ細胞株であるB2C4およびB2D6が産生するマウス11-1F4 mAbの重・軽鎖可変領域(VH、VL)と、ヒトCγ1およびCκ定常領域をコードするスーパーベクターDNAをトランスフェクトしてCHOdhfr安定哺乳動物細胞株で産生されたc11-1F4 mAbを含む液体組成物。」
第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると次のことがいえる。
1 引用発明の「c11-1F4 mAb」は、ヒトCγ1およびCκ定常領域をコードする部分を含むDNAをトランスフェクトされた細胞株から発現されたものであるから、本願発明の「(c)ヒトIgG1定常領域」を含む抗体に相当する。
2 本願明細書の【0106】の「種々の剤形のための薬理学的に許容される担体は、当技術分野で知られている。例えば、固形製剤用の賦形剤、潤滑剤、結合剤および崩壊剤が知られており、液体製剤用の溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、等張剤、緩衝剤および無痛化剤が知られている。」という記載からみて、本願発明の「薬学的に許容しうる担体」には、少なくとも液体製剤用の溶媒が含まれるものであるところ、引用発明の「c11-1F4 mAb」が、アミロイドーマの量を減少させるという薬理作用を有することからみて、引用発明の「c11-1F4 mAbを含む液体組成物」は、「液体製剤用の溶媒」を含むものであるから、本願発明の「薬学的に許容しうる担体」を含む「医薬組成物」に相当する。なお、前記第4の1(1)エのように、引用発明の「c11-1F4 mAb」はPBS、すなわちリン酸緩衝液により透析して得られたものであること、及び技術常識からみて、引用発明の液体組成物は、本願発明の「薬学的に許容しうる担体」に相当する「緩衝剤」を含むともいえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「(c)ヒトIgG1定常領域を含む抗体と、薬学的に許容しうる担体とを含む、医薬組成物」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
抗体が、本願発明では、「(a)配列番号47を含むVK領域」及び「(b)配列番号48を含むVH領域」を含むのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
<相違点2>
医薬組成物が、本願発明は、「κまたはλ軽鎖原線維凝集体沈着物を含む原発性アミロイドーシスを有するヒト患者のκおよび/またはλ軽鎖原線維凝集体沈着物の量を減少させるための」ものであるのに対し、引用発明は、「原発性アミロイドーシス患者からのヒトALκ抽出物またはALλ抽出物をマウスに注入して誘導したアミロイドーマの量を減少させるための」ものである点。
<相違点3>
抗体が、本願発明では、「配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を含むマウス抗体よりも高い親和性でアミロイド原線維のエピトープに結合する」ものであるのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。
第6 判断
1 相違点1について
本願発明の「(a)配列番号47を含むVK領域」、「(b)配列番号48を含むVH領域」及び「(c)ヒトIgG1定常領域」を含む抗体は、本願明細書の実施例の記載からみて、SP2/0ハイブリドーマ細胞株である2つのクローン「B2C4、B2D6」が産生する「マウス11-1F4(m11-1F4)抗体」のVHおよびVκ領域遺伝子をクローニングし(実施例1)、ヒトCγ1およびCκ定常領域と連結してキメラ化することにより得たものであるところ(実施例2)、引用発明に係る抗体も、第4の2で認定したとおり、「SP2/0ハイブリドーマ細胞株であるB2C4およびB2D6が産生するマウス11-1F4 mAbの重・軽鎖可変領域(VH、VL)と、ヒトCγ1およびCκ定常領域をコードするスーパーベクターDNAをトランスフェクトしてCHOdhfr安定哺乳動物細胞株で産生された」ものである。そうすると、引用発明に係る抗体は、本願発明と同一のクローンB2C4、B2D6が産生する、本願発明と同一のマウス11-1F4抗体を元にして、キメラ抗体の一般的な手法、すなわち、マウス抗体のその可変領域を、ヒトCγ1およびCκ定常領域と連結してキメラ化することにより作製した抗体であり、マウス11-1F4抗体の可変領域にヒトCγ1およびCκ定常領域と連結した抗体である点で異なるところはない。
そして、本願明細書には、本願発明の抗体のV領域のアミノ酸配列として「配列番号47のVK領域および配列番号48のVH領域」が記載される(配列表、【図6】及び【図7】)とともに、「マウス11-1F4(m11-1F4)抗体」のVκ領域およびVH領域のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号36および配列番号35であることが記載され(配列表、【図2】及び【図3】)、キメラ化後の「配列番号47のVK領域および配列番号48のVH領域」と、キメラ化前の「マウス11-1F4(m11-1F4)抗体」のVκ領域(配列番号36)とVH領域(配列番号35)のアミノ酸配列を比較すると、VKおよびVH両領域のアミノ酸配列は、それぞれ、キメラ化前後で保持されていることが見て取れる。そしてこのことは、一般に、キメラ抗体とは、マウス抗体の可変領域をヒト抗体の定常領域に連結したものを意味することが、本願出願日当時の技術常識であったこと(必要ならば、2002年9月17日日経BP社発行「日経バイオ最新用語辞典第5版」第215頁参照)とも符合する。
ここで、配列番号47のアミノ酸配列に関し、配列表においては、65及び66番目のアミノ酸が、「Arg Asp(RD)」となっているが、同じく配列番号47が記載されている図6には、65及び66番目のアミノ酸に相当するアミノ酸は「DR」と記載され、また、これに対応するDNA配列である配列番号42においても、当該部位のDNA配列(265-270)は、「Asp Arg」をコードする「gac agg」と記載されているから、配列表における配列番号47の65番目及び66番目の「Arg Asp」が「Asp Arg」の誤記であることは明らかである。また、配列番号35のアミノ酸に関し、配列表においては、60番目のアミノ酸が、「Lys(K)」となっているが、同じく配列番号35が記載されている図2において、60番目のアミノ酸に相当するアミノ酸は「H」と記載され、また、これに対応するDNA配列である配列番号39においても、当該部位のDNA配列(178-180)は、「His(H)」をコードする「cat」と記載されているから、配列表における配列番号35の60番目の「Lys」が「His」の誤記であることは明らかである。
そうすると、引用発明に係るc11-1F4mAbのVL領域(ここで、前記第4の1(1)イの「VL(Vκ)」の記載より、VLとVκは同義である。)およびVH領域は、本願発明と同様、「マウス11-1F4(m11-1F4)抗体」に由来する、配列番号36を含むVκ領域、および、配列番号35を含むVH領域であり、そのアミノ酸配列は、これにヒト由来の定常領域を連結するキメラ化においても保持されるところ、配列番号36および配列番号35は、それぞれ配列番号47および配列番号48と同一のアミノ酸配列であるから、「(a)配列番号47を含むVK領域」及び「(b)配列番号48を含むVH領域」であるといえる。
したがって、相違点1は実質的な相違点ではない。
2 相違点2について
前記第4の1(1)アのとおり、引用文献2には、臨床用に開発するため、11-1F4 mAbをキメラ化し、その活性を未修飾抗体の活性と比較したこと、原発性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした第I/II相臨床試験を行い、試薬の有効性を判定することにしたことが記載されており、また引用文献1に記載されるように、実際に再発または難治性のALアミロイドーシス患者を対象としてキメラ抗体の非盲検用量漸増第I相臨床試験が行われていること(第4の1(2)ア及びイ)が、本願優先日に公知であることからみれば、原発性アミロイドーシス患者からのヒトALκ抽出物またはALλ抽出物をマウスに注入して誘導したアミロイドーマ、すなわち、κまたはλ軽鎖原線維凝集体沈着物の量を減少できる引用発明を、κまたはλ軽鎖原線維凝集体沈着物を含む原発性アミロイドーシスを有するヒト患者のκおよび/またはλ軽鎖原線維凝集体沈着物の量を減少させるために使用することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
3 相違点3について
相違点1のとおり、引用発明に係る抗体は、本願発明と同一のクローンB2C4、B2D6が産生する、本願発明と同一のマウス11-1F4抗体を元にして、一般的なキメラ化の手法により、その定常領域を、ヒトCγ1およびCκ定常領域と連結してキメラ化することで作製した抗体であり、マウス11-1F4抗体の可変領域にヒトCγ1およびCκ定常領域と連結した抗体である点で異なるところはない。したがって、その機能についても当然に同一の機能を備えるはずであるといえる。
実際、前記第4の1(1)ケのとおり、引用文献2には、c11-1F4mAbsおよびm11-1F4mAbsと合成ALアミロイド線維との結合をELISAで測定し、その結果として、第4の1(1)サのとおり、図2に、m11-1F4よりc11-1F4mAbが合成ALアミロイド線維との結合性が高いことが示されている。そして、前記m11-1F4は、SP2/0ハイブリドーマ細胞株から2つのクローン(B2C4とB2D6)が産生するマウスmAbであって、前記1で述べたように、配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を有するマウス抗体であるところ、引用発明のc11-1F4が、配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を有するマウス抗体m11-1F4よりも高い親和性でアミロイド原線維のエピトープに結合する抗体であることは、この点からも明らかである。
したがって、相違点3は実質的な相違点ではない。
4 本願発明の効果について
本願明細書では、本願発明に係るキメラ11-1F4抗体をヒトに投与することで、λ鎖アミロイド沈着物の減少がもたらされたことが確認されている(実施例8)が、引用文献2には、前記c11-1F4 mAbによって原発性アミロイドーシス患者からのヒトALκ抽出物またはALλ抽出物をマウスに注入して誘導したアミロイドーマの量を減少できたことが記載されていることからみれば(前記第4の1(1)オ、キ、ク)、c11-1F4 mAbによって、原発性アミロイドーシスを有するヒト患者体内のκおよび/またはλ軽鎖原線維凝集体沈着物の量も減少できると予測するといえる。
また、本願明細書には、本願発明に係るキメラ11-1F4抗体がそのマウス同等物よりも高い親和性でアミロイド原線維に結合することが示されている(実施例6、図8)が、引用文献2においても、前記3で述べたように、図2に、引用発明のc11-1F4 mAbがm11-1F4 mAbに比べて合成ALアミロイド線維との結合性が高いことが示されている。
したがって、本願発明の構成により奏される効果が、引用文献2に記載された事項から当業者が予測し得ない格別の効果であるとは認められない。
5 請求人の主張について
(1)請求人は、令和6年3月21日提出の意見書において、「理由1」として、引用文献1および引用文献2(当審注:上記意見書の「引用文献1」および「引用文献2」は、それぞれ、「引用文献2」、「引用文献1」の誤記と認め、以下、そのように読替えをして記載する。)のいずれも、単独でも組み合わせでも、本願発明に記載のマウス-キメラ抗体の化学構造や、そのPCR修飾されたVH領域又はVK領域のいずれかの配列を開示または示唆していないと主張する。
しかし、前記1で述べたように、引用発明のc11-1F4mAbは、本願発明と同一のマウス抗体を元にして、ヒト抗体の定常領域と連結することにより得たキメラ抗体であって、マウス抗体のVκ領域及びVH領域におけるアミノ酸配列を有するものであるところ、引用文献に本願発明に記載のヒトマウス-キメラ抗体の化学構造やそのPCR修飾されたVH領域又はVK領域のいずれかの配列を開示していないことにより、抗体自体として、引用発明のc11-1F4mAbが、本願発明の抗体と異なることにはならない。
(2)請求人は、同意見書において、「理由2」として、本願とは異なり、引用文献2には、本願のキメラ抗体を作製するためのいかなる方法も開示しまたは示唆していないと主張し、また、「理由3」として、本願とは異なり、以下a)~c)にさらに説明するように、引用文献2の開示により、本願のキメラ抗体を作製するためのいかなる方法を容易に想到できるものではないと主張するので、以下、検討する。
ア a)として、請求人は、「本願明細書の段落【0171】の記載に示唆されているように、完全な配列をクローンし、可変領域遺伝子全体を増幅するため、この領域に隣接するプライマー、すなわちリーダー配列および定常領域配列特異的プライマーを選択しなければな」らず、一方、引用文献2は、定常領域プライマーを使用することを開示または示唆していない旨主張している。
しかし、前記第4の1(1)イのとおり、引用文献2にも、異なる変性リーダー配列-特異的VHとVκ、および適切なCHとCLプライマー(Cγ1、Cγ2a、Cγ2b、Cγ3、Cκの等モル混合)を用いて別々のPCRを行い、cDNA鋳型からmVHとVL(Vκ)遺伝子をPCR増幅したたことが記載され、「適切なCHとCLプライマー(Cγ1、Cγ2a、Cγ2b、Cγ3、Cκの等モル混合)」は定常領域であるCHとCLのプライマーであるので、引用文献2には定常領域プライマーの使用が開示されている。
イ b)として、請求人は、「本願実施例2に記載されているように、キメラマウス-ヒト抗体の一部として哺乳動物細胞で上記の11-1F4のVHおよびVK可変領域遺伝子の一過的発現を可能にするためには、特異的に設計されたPCRプライマーを使用して5’末端および3’末端を改変することが必要で」あり、「特異的に設計されたPCRプライマーの配列は、出願当初明細書の表5に示」され、「一方、引用文献2には、哺乳動物細胞でその産物を一過的に発現させるために、11-1F4のVHおよびVK遺伝子の5’末端と3’末端を修飾するために特別に設計されたPCRプライマーが使用されたと述べているが、引用文献2に使用したPCRプライマーの配列を開示していないため、ソロモン(当審合議体注:引用文献2の著者)はVHおよびVK遺伝子の改変を実現し」なかった旨主張する。
しかし、前記第4の1(1)イ及びウのとおり、引用文献2には、具体的に設計されたPCRプライマーを使用して、11-1F4 VHおよびVκ遺伝子の5’および3’末端を改変し、哺乳動物細胞におけるそれらの産物の一過性発現を得、c11-1F4抗体の両方の鎖を発現する単一のスーパーベクターを、重鎖および軽鎖発現カセットのEcoRI制限酵素消化産物を連結することによって構築し、前記スーパーベクターをCHOdhfr哺乳動物細胞にトランスフェクションしたことが記載されており、また、前記第4の1(1)エ及びカのとおり、c11-1F4 mAbを産生するCHOdhfr安定細胞株(22C1、22C5、および22D2)が得られたこと、及び、得られたc11-1F4 mAbについて、前記第4の1(1)ケのとおり、キメラIgG1重鎖および軽鎖として予想される分子量を有するものが得られたことが、図1(前記第4の1(1)コ、下に再掲する。)とともに記載されている。
[図:0001415622000003.jpg]
図1 還元および非還元条件下でのc11-1F4 mAbsのSDS-PAGEによる分析(クマシーブルー染色Novex bis tris 4-12%NuPageゲル)。レーン1には分子量既知のタンパク質標準物質、レーン2にはヒトIgG mAb、レーン4-6にはそれぞれ22C1,22C5,22D2 mAbを含む。免疫グロブリン重鎖と軽鎖の位置は示した通り。
したがって、引用文献2に、11-1F4 VHおよびVκ遺伝子の5’および3’末端を改変し、一過性発現するスーパーベクターを構築し、c11-1F4の取得を実現したことが記載されており、引用文献2に使用したPCRプライマーの配列を開示していないことが、キメラ11-1F4の取得が実現できなかったことを意味するものではない。
ウ c)として、請求人は、「引用文献2には、「c11-1F4抗体の両方の鎖を発現する単一スーパーベクターは、重鎖および軽鎖発現カセットのEcoRI制限酵素消化産物を連結することによって構築された。」のみ述べ」、「HCMViプロモーターを使用してスーパーベクターを構築することや、重鎖および軽鎖発現カセットの構築や、SV40初期プロモーターおよび不完全SV40後期プロモーターまたはspaC2終結シグナル配列のいずれも開示して」おらず、引用文献2には、「本願明細書に開示しているスーパーベクターの構築物の実現を開示してい」ないと主張する。
しかし、前記イで述べたように、引用文献2には、c11-1F4抗体の両方の鎖を発現する単一のスーパーベクターを、重鎖および軽鎖発現カセットのEcoRI制限酵素消化産物を連結することによって構築し、実際にc11-1F4を取得したことが、裏付けをもって示されている。
以上をまとめると、引用文献2には、本願発明の抗体と同じVK領域及びVH領域を有しかつヒトIgG1定常領域を有する抗体であるcA11-1F4を実際に作製し、その作製方法についても具体的に記載されているのであるから、請求人の主張は採用の限りではない。
(3)請求人は、同意見書において、「理由4」として、引用文献2に開示のキメラ抗体は、アミロイド原線維に対して、その由来となるマウス抗体の結合親和性と「同等」または「同一」の結合親和性を有するキメラ抗体であるのに対し、本願発明のキメラ抗体は「前記キメラマウス-ヒト抗体は、配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を含むマウス抗体よりも高い親和性でアミロイド原線維のエピトープに結合」するものであって、本願発明のキメラ抗体は引用文献2に開示のキメラ抗体とは異なると主張する。
確かに、引用文献2には、文言上、ELISA法により測定した合成アミノフィブリルに対する結合は、図2に示されるように、キメラ及びマウス11-1F4で「comparable」すなわち同等であると記載されている(3833sページ右欄7-9行)。しかしながら、前記3で述べたように、前記第4の1(1)サの図2(以下、再掲する。)には、引用発明に係るキメラ抗体であるc11-1F4の吸光度の方が、配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を有するマウス抗体であるm11-1F4の吸光度より、全ての濃度範囲において高い値を有しており、かかる記載に基づき、キメラ抗体であるc11-1F4の方が高い親和性でアミロイド原線維のエピトープに結合する抗体であると評価し得ることは当業者の技術常識に照らし明らかである。
[図:0001415622000004.jpg]
図2 c11-1F4抗体のin vitro反応性。c11-1F4 mAbs 22C1、22C5、22D2およびm11-1F4 mAbをELISAプレートにコートした合成軽鎖線維(JTO5)に対して結合ELISAを行った。
したがって、引用発明のc11-1F4は、配列番号36のVκ領域および配列番号35のVH領域を有するマウス抗体m11-1F4よりも高い親和性でアミロイド原線維のエピトープに結合する抗体である。
よって、請求人の主張を参酌しても、上記1~4で説示した判断は左右されない。
5 したがって、本願発明は、引用発明、並びに、引用文献2に記載された事項及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献1及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
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2022-005123